TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#618/25-Feb-02

知的所有権をもつ人々に対する挑戦は速度を増し、そして猛々しくなって来ている;Adam のこれらの百鬼闇行への挑戦について読み進めて欲しい。続いて、Chris Pepper は Mac OS X における異種プログラムの同居の連載記事の最後として Java との関係について解説している。ニュースの部では、TidBITS 読者に対する無料の ebook 提供の話、数多くのリリース、Mac OS X 10.1.3、Adobe GoLive 6、Adobe LiveMotion 2、ConceptDraw 1.7.5、IPNetTuner 1.5 についてと、Photoshop 7 に関する発表についてお知らせする。

記事:

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本号の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/25-Feb-02

Mac OS X 10.1.3 リリースされる -- Apple は Mac OS X 10.1.3 アップデートを Software Update 経由の 17.3 MB のダウンロードとしてリリースした。(もし Mac OS X 10.1 か 10.1.1 を使っているのであれば、38.4 MB の統合アップデートが別に用意されている。)これまでの Mac OS X アップデート同様、今回のも入手する価値は十分ある。そして Apple に対してはしっかりしたリリースノートを提供していることに拍手を送りたい。信頼性向上とともに、Mac OS X 10.1.3 には、更に多くの CD ディスク書込みやデジタルカメラ用のドライバが含まれ、PowerBook G4 に接続された外部 VGA ディスプレイで DVD の再生が出来るようになり、PowerBook を新たなディスプレイに接続する時、ビデオミラーリングがデフォルトになり、そして iTunes にフルスクリーンビジュアライザを追加し動作速度を向上している。ネットワークセキュリティにも注意が払われた。ログイン認証に LDAP と Active Directory サービスに対するサポートが加えられ、OpenSSH 3.0.2p1 へのアップデート、WebDAV での Digest 認証のサポート、そして Apple の Mail アプリケーションに対する SSL 暗号化対応が加えられている。[ACE](カメ)

<http://www.apple.com/macosx/upgrade/softwareupdates.html>

Dealmac、TidBITS のスポンサーに -- もうだいぶ前になるが、我々は DealBITS というもう一つのニューズレターを発行していた。DealBITS のねらいは、企業が特売企画をしたときにそれを集めて流すようにすれば、少々の金額は払ってくれるのではないかというものであった。この特売情報というのは重要である - 我々は通常価格よりも安い価格を掲示する事で読者の役に立ちたいと考えたのである。DealBITS は時代の先を行きすぎていた。しかしながら、我々の一番新しいスポンサーである dealmac の人たちは、取引したいという情報を集め交渉するという概念がいかに強力であるかを実証してきた。dealmac は何も売らない - 第三者間の商取引を取引に関する情報を提供する事で仲立するだけである。取引情報を集めそしていろいろな形で(Web ページで時系列的に、メールで、そして検索可能なデータベースで)提供するという基本機能のほかに、dealmac が付加する本当の価値は一つ一つの取引がその製品の知り得る限り一番安い値段で行われるようにすることである(唯一の例外はよく知られたブランドものの場合であり、人々は余分に払っても良いと考える場合がある)。そしてこれがすべてではない - 可能な場合には、dealmac はその読者のためだけの更なる安い価格を交渉するのである。

dealmac に加えて、非コンピュータ製品を扱う dealnews、RAM 価格を比較するのにカスタム化出来るインターフェースを持つ dealram が運用されている。我々はこの dealmac のスポンサー化を dealram からの最新 RAM 価格をいくつか抜きだして、毎号冒頭にあるスポンサー欄に掲示することから始めたい;自動化がうまくいった暁には、もっと多くの一般的な Mac 関連の取引情報も入れるようにしたい。いずれにしても、これで毎週スポンサー欄を見る楽しみが増えること請け合いである。我々の選りぬきのスポンサーグループに dealmac を迎えるのは至上の喜びである。[ACE](カメ)

<http://dealmac.com/?ref=tb>
<http://dealnews.com/?ref=tb>
<http://dealram.com/?ref=tb>

GoLive 6, LiveMotion 2 出荷、Photoshop 7 の発表 -- Adobe はプロ向けの Web デザインツールである GoLive 6 を現在出荷中である。Mac OS X 対応に加えて、GoLive 6 にはワークグループ機能とダイナミックコンテンツオーサリング機能が追加されている。LiveMotion 2 も同時に出荷中で、Mac OS X 下で動作しいくつかの Web アニメーション機能が改善されている。GoLive は $400 で、アップデート版は $100 である;LiveMotion も同じ価格体系となっているが、現在は新規ユーザに対して期間限定で $200 の導入促進価格が出されている;両方のプログラムのバンドル版も $450 で購入できる。これにもまして注目を集めているのが、Photoshop 7 の発表である。Mac OS X ネイティブとなるほか新機能が追加される。出荷は 2002年の第二四半期となる予定で、新規購入は $600、アップグレードするユーザに対しては $150 が見込まれている。[JLC](カメ)

<http://www.adobe.com/golive/>
<http://www.adobe.com/livemotion/>
<http://www.adobe.com/photoshop/>

ConceptDraw、1.7.5 にアップデート -- CS Odessa(TidBITS スポンサー)はバージョン 1.7.5 として $125 の ConceptDraw Standard と $250 の ConceptDraw Professional をリリースした(レビュー記事は TidBITS-553 の“ConceptDraw コネクション”を参照)。新機能には、PDF へのエクスポートと Mac OS X でのスクロールホイールマウスのサポートが含まれている;CS Odessa はまたインターフェースの改善にも手をつけ、Stamp ツールの機能を拡張し、そして Professional 版ではアウトラインモードを強化している。バージョン 1.7.5 では多くのバグ対策がなされており、その範囲は HTML 及び EPS エクスポート、印刷サイズ、Mac OS X 内でのライブラリからのドラッグ&ドロップ、テキスト編集等々に及んでいる。このアップデートは従前の ConceptDraw のユーザに対して無料である;ダウンロードサイズは、5.1 MB (Standard) と 7.4 MB (Professional) となっている。[ACE](カメ)

<http://www.conceptdraw.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06179>
<http://www.conceptdraw.com/en/resources/versionch/vers171ch175.shtml>

IPNetTuner 1.5 スピードテストを追加 -- 自分のインターネット接続は実際どれぐらい速いのか、あるいは本来の帯域幅が得られていないのではないかと疑問に思っている?Sustainable Softworks がリリースしたばかりの IPNetTuner 1.5 は、そのネットワークユーティリティの Open Transport 最適化機能(Mac OS 9 のみ)にスピードテスト機能を追加した。IPNetTuner には今回 Open Transport を一般の接続形態に自動的にチューンする configurations が組みこまれた。Open Transport 最適化は魔術のようなものであるので、この組込みの configurations は取りあえず立ち上げるのに役立つ。その上で、リアルタイムの性能グラフを見ることで、加えた変更が役に立っているのかどうかの判断材料にできる。IPNetTuner 1.5 は $15 であり、前のバージョンからのアップデートは無料である。544K のダウンロード。[ACE](カメ)

<http://www.sustworks.com/site/prod_ottuner.html>

TidBITS の読者に本を無償で -- いや、確かにこれは少々変に聞えるかもしれない。TidBITS の読者でもある Audri と Jim Lanford 夫妻は WZ.com という Web サイトを運営している。ここでは忙しい人のための情報をいろいろな形で、PDF ベースの電子本、別名 ebooks もその一つ、を出版している。人々に ebooks を知ってもらうためのプロモを制作するため、Audri はいろいろなエキスパートに(どうも Audri は私もそのカテゴリに入ると考えたらしい)自分のビジネスを良くするための短いアドバイスを寄せてくれるよう頼んでいた。もともと人がいいほうなので、私の TidBITS を続けてきた経験に基いた一遍のアドバイスを彼女に送った。そして Audri と Jim はすべてのエキスパートのアドバイスをまとめて 104 頁の ebook に仕立て上げた - 43 Specific Ways to Make 2002 Your Best, Most Profitable Year Ever - そして TidBITS の読者に下記の URL 経由で無償で提供してくれている。この宣伝コピーはちょっと息苦しい。それで私の警鐘を鳴らしてしまったが、この二人は危ないものは避けている:Audri の言によると、ebook をダウンロードすることはただ一回のクッキーをセットするだけで、かつ同時に提供されるニューズレターを受取ることになることも前もって通知されニューズレター購読は容易に取消せる。でも真に問題なのは、私の洞察力にあふれた知性の発露はさておいて、この本の中身は本当に良いのか?である。この ebook を全部読んだあと、大部分のアドバイスは、短いながら、誰にでも役立つ大事な事を指摘していると報告できるのは嬉しいことである。一つ一つの話の短さに惑わされないように - 多くは読んでいる間に浮んでくる考えよりもずっと深い考察を必要としている。(全公開:皆さんがこの無料の本をダウンロードした後 WZ.com から他の本を買うと、TidBITS は小額の協賛金を受取ることになる。)[ACE](カメ)

<http://make2002great.com/a155.html>


著作権:儲けるのは誰だ?

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳:佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>
訳:細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>

3歳の子供と一緒に暮らしていると、思いもかけない物の見方を発見するものだ。Tristan が同じくらいの年の子供達と一緒に遊ぶたびに、親はそれこそ 30秒も経たずに誰がどのおもちゃで遊ぶかで喧嘩になるのを止めないといけない。「ピーターにも機関車を貸してあげないとといけないよ。」と私達は言い、その日の午後に 15 あるいは 20回もくり返し教える事だろう。

知的所有権を取り巻く現在の騒ぎを、子供に説明する必要がないのは幸いだ。でなければ「レコード会社は、どうしてみんなが音楽を貸し借りするのを嫌がるの?」と聞かれるかもしれない。その時は「それはね、会社の人はみんながそんなことをするのが嫌いなんだよ。それに、会社の人は、契約っていうものを持っていて、それには、会社の人が何でも好きなようにしてもいいって書いてあるんだよ。」と答えておこう。「でも、もしピーターに貸したくないおもちゃがある時は、遊びに来る前に部屋にしまっておきなさいって言ってるよね。誰にも手が届かない所に音楽を隠しておけば良いのに。」ほら、核心に近付く質問が飛んできた。「本当はね、音楽をみんなで貸し借りするんじゃなくて、買って欲しいってことなんだよ。」などと言ったりしたら、3歳の子供の心はすかさずこう思うだろう。「それじゃあ、もしピーターが僕の機関車を貸してって言ったら、キャンディーをくれないとイヤだって言っていいの?」もう、こうなったら親の威厳に頼って頭ごなしに言うしかない。「だめ!それは、いい子のすることじゃあないよ。仲良く一緒に遊びなさい!」

Napster よりも良くはない -- それは、公平なたとえではない。誰もレコード会社がいい子になるなんて思っていない。切っても生えてくるヒドラの頭のような音楽共有サービスを、一生懸命働くミュージシャンを衰退させる悪魔にしたてあげた今、レコード会社は驚くなかれ同じ矛先をミュージシャンに向けているのだ。

最近の New York Times の記事は、音楽好きな Windows ユーザに有料で音楽をオンラインで聴かせる Pressplay と MusicNet が、ミュージシャンに対して“一銭”も支払っていないという事実に対して、複数のレコーディングミュージシャン達がしばらく苦情を訴えていたことを明らかにした(ここで“一銭”とは、ダウンロード一回につき一セントのまたほんの一部だ)。レコード会社がこんな少額の支払いに興味を持つなんて、誰が本気で信じただろうか?

<http://www.nytimes.com/2002/02/18/technology/18SONG.html>

それだけではない。ミュージシャンの音楽に対しレコード会社が何でも思い通りにする権利を付与する契約は、あらゆるものを含むとはいかないようだ。何人ものミュージシャンが MusicNet と Pressplay から彼等の音楽を取り除くよう、場合によっては停止命令を文書で送って要求し、程度の差はあるものの成功している。つまり、これらのレコード会社によるサービスは、インターネットから音楽をダウンロードすることができる Windows ユーザに対し課金しているのにミュージシャンに利益を与えないだけでなく、多くの場合許可を得ずにやっているのだ。レコード会社と音楽共有サービスの境目は、どんどんぼやけてきている。

苦情を訴えているのはミュージシャンだけではない。 Napster に対する RIAA(Recording Industry Association of America:米国レコード協会)からの現在進行中の訴訟で、Napster 側に否定的な判決を下してきた第九区裁判所の裁判官 Marilyn Hall Patel は金曜日、5つの主なレコード会社に対し数千に及ぶ音楽の著作権を所有していることを証明するよう求める判決を言い渡した(つまりそれらが雇用による作品、本質的にレコード会社からの注文による作品か、あるいはレコード会社の労働者としてミュージシャンが制作したものかどうか、を証明しないといけない)。 判決の中で、Patel 裁判官はさらに一歩進んで、音楽をオンラインで配信されるのを妨害するために、レコード会社がこの疑問点のある著作権を使用しなかったと証明するよう命じた。彼女は、「申し立てによると(レコード会社の)不公平な行為は現在も進行中であり、将来予期される被害は大きい。もし Napster の言い分が正しいなら、原告はデジタル配信をほとんど独占しようと画策している。結果として生じる損害は、Napster と公衆の利益双方に悪影響を及ぼすだろう。」と書き記している。(モノポリーよろしく)我々も Broadway と Park Place にホテルを建て始めたほうが良い - 独占禁止法の時代なんだ!

<http://www.wired.com/news/mp3/0,1285,50625,00.html>

CD は CD...Philips が違うと言うまでは -- 別のデジタルミュージックの戦いでは、音楽会社がコピー防止機能を全ての音楽 CD にこっそり採用したいとする欲望に対して2つの注目すべき打撃を受けた。最初の一撃は Philips 社 - オランダのエレクトロニクスの巨人で、1980年代にソニーと共同で CD オーディオの Red Book 規格を策定し、現在は公式な Compact Disc ロゴを管理している - からやってきた。 Philips 社は、コピー防止機能が音楽 CD にエラー信号をのせて、コンピュータ CD プレイヤー(DVD プレイヤーは言わずもがなだ)で再生できないようにしている事実に対し喜んではいないようだ。Philips 社の代理人 Klaus Petri は Financial Times に対し、「あれは銀色の円盤に音楽データが入っているだけで、CD とは似ても似つかぬものだ」と述べた。さらに、Philips 社著作権オフィスの Gerry Wirtz 統括マネージャーはロイターに、 Philips 社はレコード会社に対しコピー防止機能付きの CD からCD ロゴを取り去り消費者のために警告ステッカーを貼るよう強制するかも知れない、と話したとされる。もしかするとデジタルミレニアム著作権法のコピー防止機能を回避する装置の禁止条項に抵触するかもしれないが、彼はさらに Philips 社のドライブは将来コピー防止機能が付いていてもそれを読み込んだり書き込んだりできるものになるだろうとも述べた。

<http://www.wired.com/news/mp3/0,1285,50101,00.html>
<http://www.usatoday.com/life/cyber/tech/review/2002/1/18/cd-row.htm>

1980 年代の中頃、ロックの象徴であった Frank Zappa が CD に警告ラベルを貼られたことに対し Tipper Gore を“文化的テロリスト”と呼んだことがあった。Karen DeLise が次にレコード会社からそのように言われるのかもしれない。Karen DeLise とは誰か?彼女は、アルバム“Charley Pride: A Tribute to Jim Reeves”、米国で最初に発売されたコピー防止機能付きの CD の件でMusic City Records、Fahrenheit Entertainment、そして Sunncomm(デジタル権利管理会社)を訴えた人だ。

訴訟の中で彼女は、Charley Pride のアルバムの警告ラベルに、コンピュータの CD プレイヤーで再生できないとか、音楽をポータブル MP3 プレイヤーに転送できないとは書いてなかったと訴えている。さらに Sunncomm のデジタル権利管理ソフトウェアがユーザに、Web サイトで個人が特定できる情報を登録するよう要求したことから、プライバシーに関する懸念も出てきた。被告の会社は現在は和解して、個人を特定する情報の追跡を停止し、すでに集められている情報は破棄し、消費者に対し CD は DVD プレイヤー、MP3 プレイヤー、あるいはコンピュータの CD ドライブで再生できないことを警告するようにした。このような訴訟と Philips の姿勢の狭間で、ひょっとしたら近いうちにコピー防止機能付き CD にも公衆衛生局からの警告が必要となるかもしれない。

<http://news.com.com/2100-1023-843114.html>

コピー防止機能が付いていても、米国で CD が発表される前にファイル交換サービスにそれの曲が現われるのを防ぐことはできなかった。伝えられるところによれば、それは米国に先立ち 2000枚程オーストラリアでコピー防止機能無しで発表されたためだが、破られないコピー防止機能があるはずもなく、しかも破られるのは一回だけで充分なのだ。ほとんどのソフトウエアのコピー防止機能は消えていったが、それはユーザが嫌がりそしてあっけないほど簡単に破られたからであり、同じ理由で音楽業界からも消え去ることだろう。同情する余地はほとんどない。 Microsoft や Adobe などの会社は、コピー防止機能無しでもなんとかやっているのだから。

<http://news.com.com/2100-1023-257682.html?legacy=cnet>

ともあれ、法廷に戻ろう... -- 先週の記事で Larry Lessig が述べた Creative Commons プロジェクトは、1998 Sonny Bono Copyright Term Extension Act(著作権延長法案: 既存の著作権を20年延長し著作権の有効期間を著作者の死後50年から70年に変更する)に異議を唱える最高裁の前庭だ。法の名前に拘わらず、この法はソニーからシェールへの甘いベストヒット曲「アイ・ゴット・ユー・ベイブ」を保護するよう意図したものではなく、米国の偉大な偶像ミッキーマウスを保護するように意図されたものだ。問題の核心は、著作権期間を延長することによって、膨大な大多数の作品がパブリックドメインの外側で以前より長い期間、制約に苦しめられることにある。この判例の被告、Eldritch Press と Higginson Books は、入手不能になった古い書籍の復刻を望んでいる。率直に言って、そうしなければ殆ど誰もそれらの名著を読もうとはしないだろう(1901年 Maurice Maeterlinck 著「蜜蜂の生活」は決して私の読書リストに載ることはなかっただろう)。市場で売れなかったからといって、それがアイデアの市場でも無価値というわけではない。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06720>
日本語面白い概念を数個
<http://www.salon.com/tech/feature/2002/02/21/web_copyright/>
<http://www.eldritchpress.org/>
<http://www.higginsonbooks.com/>
訳注:「ソニー&シェール」<http://www.rr.iij4u.or.jp/~takijun/back6070/pops_s1.htm>
訳注:「蜜蜂の生活」<http://www.kousakusha.co.jp/DTL/mitsubachi.html>

私は思うのだが、著作権とは、著作者に期間を限定した独占権を与えることにより、革新性と創造性を育成することを意図したものだ。政府によって著作権が保証されることは重要だ、そして少なくともそれは(先週の統計に関するマーク・トウェインの引用のように Benjamin Disraeli の言葉でなかったら)アブラハム・リンカーンの言葉「人民の、人民による、人民のためのもの」であろう。私の解釈では、創造的な作品に期間を限定した独占権を保証することは、少なくとも、新しい作品を奨励することにより公共善を提供することだ。シャーリー・マクレーンを介したチャネリングが途絶えて久しいが、霊媒師でもいない限り、死んでから一年後に作者たちが新作を出せるはずもない。死後70年間ではなおさらだろう。「蜜蜂の生活」のような作品を入手するのが制約されると、創造性は強化されない。それではどうして少数の養蜂家が読むよう Eldritch Press の ウェブサイトに公共物を提供しないのだろうか?このような制約が適用されるのは無名のウェブサイトだけとは限らない。例えばそもそも図書館の第一の目的は知識の保存と共有だったではないか。これまでの歴史で、それが商業的に可能であるか、あるいは政治的な流れに乗っているかどうかにかかわらず、知識の保存と共有は大切なことだ。

「蜜蜂の生活」でそれを想像することは難しいが、さらに重要なことがある。我々の文化遺産を形成してきた創造的な作品たちを下敷きにして、また新しい作品が創造されてゆくのだ。白雪姫はおとぎ話で、ディズニーがアニメ化するずっと前からあった。ウエストサイド物語はシェークスピアのロメオとジュリエットなしでは存在しないだろう。過去の作品からの参照や影響を受けないで何かを新たに創造することは殆ど不可能かもしれない。これは Negativland のようなコンパイルアーチスト(編集作家)の作品をみればより明白だ。彼らがやっていることのすべては他人の作品からサンプリングされている。しかし、彼らが作ったものは新しいものだろうか?私にはそのように思われるのだが。この映画(要 RealPlayer)を観てあなた自身で判断されたい。この映画はディズニーのリトルマーメイドとさらに沢山の流用がある(映画の20分は、Negativland の Mark Hosler により、公正使用とパブリックドメインに関するとても面白い談話から始まる)。また同様に、Negativland の Mark Hosler と Don Joyce による 1992年の愉快なインタビューも読むとよい。Negativland に対する U2 レコードの訴訟について、U2 ギタリストの Edge が応えており、アーチストと所属レコード会社との間に存在する深い亀裂が強調されている。

<http://realserver.law.duke.edu/ramgen/publicdomain/public%20domain%20panel%203.rm>
<http://www.negativland.com/edge.html>

公益を損なうやり方に使われることで問題になっているのは著作権ばかりではない。ここで特許についても考慮しよう。British Telecom の保有する 1976年の特許はおそらくハイパーリンクの全概念をカバーしている。これが実に馬鹿げているからといって、BT の弁護士が Prodigy を訴求するのを止めなかったし、うまくゆけば、他の主要なインターネット・サービスプロバイダや Web を使用する他のいかなる会社も訴求するだろう。Vannevar Bush が1945年に memex の概念を記述したことは、どうでもよい。また、1960年代初期からの Ted Nelson による理論的 Xanadu プロジェクトを無視するのも忘れてはいけない、そして Douglas Englebart による 1962年の人間の知性を増大させる論文と、1968年 NLS(oNLine System)のデモンストレーションも確実に避けよう。

<http://www.wired.com/news/business/0,1367,50356,00.html?tw=wn20020212>
<http://www.theatlantic.com/unbound/flashbks/computer/bushf.htm>
<http://www.xanadu.net/>
<http://www.histech.rwth-aachen.de/www/quellen/engelbart/ahi62index.html>
<http://sloan.stanford.edu/MouseSite/1968Demo.html>

知的所有権の生態系 -- どこかがおかしいのは明らかだろう。いまや普遍的になりつつある個人による無償の行為を犯罪として扱おうとする立法的アプローチでは問題は解決しない。知名度と報酬によるコンテンツの制作を悪とするのは私の信条とするところではない。私の職業生活はすべてその収入を基盤にしている。一方また、これまでずっと TidBITS は無料にしてきたし、非営利出版物に TidBITS の記事を自由に再掲載してもらったり、ベストセラー本をオンラインでまるごと無料で公開したりもしてきた。私が特別というわけではない。インターネットは究極のパブリックドメインの中で膨大な数の人々が情報を著作し共有することを可能にした。そして多くの人々が直接または間接的な各自のやり方で収入を確保している。

私はこれまで Macintosh 業界でこのやり方を使った、しかしここで我々はアイデアの生態系について議論している、そして現在の収支不均衡は著作権所有産業の影響のせいだ。おそらく私は、リンクメタデータによりコンテンツ著作者は自動的にクレジットと返報が得られるとする Xanadu の Ted Nelson によるユートピア的アプローチに永久に毒されているのだろう。しかし共同体としての我々は、制作者、消費者、そして捉え難い概念の公共善の要望とニーズに関して妥協できる折衷を提供するシステムを作ることに向けて、その内容を掌握することに努力を方向転換する必要がある。できることなら、私の3歳の息子にその結果を説明できるようになりたい。


Mac OS X: 異種のプログラムが同居−その 3

by Chris Pepper <pepper@reppep.com>
訳:倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>

この記事の第一編Mac OS X: 異種のプログラムが同居−その1では、Mac OS X のための Apple 独自のプログラミング環境である Classic、Carbon、そして Cocoa を、第二編Mac OS X:異種のプログラムが同居−その 2では機種に依存しない Unix 層を見てみた。最後に、この第三編では Java について調べてみよう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1214>

コーヒーを一杯 -- プログラミング言語と動作環境の双方である Java はコンピュータプログラミングの基本的な問題を解決するための試みとして Sun Microsystems が開発した。一番の目的は異なる機種のためにコードを書く困難を軽減することだった。これらの環境のあいだでソフトを移植する必要を減らすため、Sun は Java アプリケーションを走らせるための Java Virtual Machine(JVM)と呼ばれる抽象動作環境 - 実質的には仮想オペレーティングシステム - を設計した。JVM とプログラムが通信する方法を統一して、機種それぞれの違いを JVM の内部に隠すことにより、Sun は、どのような機種でも JVM を搭載していれば Java プログラムを移植の必要なく走ることを期待した。これにより複数のバージョンが必要でなくなる。

残念ながら、そこまで単純には進まなかった。異なる機種での JVM の違いや、機種独自のインターフェースを提供したいとの考えなどを考えると、本当に機種に依存しない Java アプリケーションを作るのは、ある程度の移植を必要とする難しい作業だ。そうは言っても、目的とする機種で Java を使用するのは多機種での開発の時間節約になる。また、近代的なプログラミング言語であるため、Sun が Java で置き換えようとしている C や C++ 言語に較べ、多くの改善点を含んでいる。

<http://java.sun.com/docs/books/tutorial/getStarted/intro/definition.html>

アプレット、サーブレット、そしてアプリケーション -- 当初、Java はアプレットと呼ばれる、ウェブブラウザ内で走る小さなプログラムで人気があった。これらのプログラムは最小限のインターフェースしかなく、また機種にネイティブである必要がなかったからだ。誰しも、Java アプレットに出くわしたことがあるだろう。多くの場合、あまり良い結果ではなく、時にはブラウザがクラッシュしてしまう。これは JVM の質、そして仮想マシンの違いがいかに重要な役割を果たすかという良い証拠だ。しかし、Adam が TidBITS-617 での“面白い概念を数個”の記事で挙げた Secret Lives of Numbers の可視化などのように、全く問題なく作動する Java アプレットも多数ある。コントロールのいくつかを除いては Macintosh プログラムには見えないため、Mac ユーザの理想からすると使いやすくはない。だが、機種やウェブブラウザに関係なく、複雑なインタラクティブな体験を提供してはくれる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06720>
日本語面白い概念を数個

その後は、サーブレットと呼ばれる、独特のインターフェースなどの必要無しにウェブサイトにカスタム化や知能を付加する小さなウェブの裏方アプリケーションに Java が良く使われるようになった。独自のウェブサービスを開発する必要があるものの、特定のウェブサーバに縛られたくない会社にとっては非常に魅力的だった。例えば、Tomcat Java 環境用に書かれた Java サーブレットは内蔵の Tomcat Web サーバと、もしくは Apache Web と連動して、もしくは、(Mac OS X を含めた)様々な機種の商用サーブレット環境内で、作動できる。この事実に基づき、またサーバのプラットフォームとしての Mac OS X の信用度を上げんとして、Apple は Tomcat を Mac OS X でインストールする手順を提供しており、Mac OS X Server では既に搭載している。

<http://jakarta.apache.org/tomcat/>
<http://developer.apple.com/internet/macosx/tomcat1.html>
<http://www.eweek.com/article/0,3658,s%253D708%2526a%253D20204,00.asp>
<http://www.javaworld.com/javaworld/jw-01-2002/jw-0118-macworld.html>

アプレットやサーブレット用に Java が人気あるからと言って、一人前のアプリケーションに使えないということはない。多くの場合、Java プログラムは .jar や .zip 拡張子が付いたひとつのファイルとして配布されるが、Mac OS X 用にユーザ経験の改善はさらに進んでいる。例えば、LimeWire は Gnutella 音楽共有ネットワーク用に Java で書かれたクライアントだ。LimeWire は機種特定のインストーラとアプリケーションシェルを使用しており、単に標準的なアイコンがついた .jar ファイルをダブルクリックするのに較べて、見た目に良いユーザ経験を可能にする。一度走り出すと、LimeWire は Aqua ルックの Mac OS X プログラムと見た目には同じだ。本当のメニューバーの欠如とメニュー項目のショートカット文字の下線で Java だということが分かるが、それでも LimeWire は使い易い。Java の使用されることが多いネットワークユーティリティの分野ではなく、もっと見慣れたアプリケーションの種類としては、Java ベースのテキストエディタの jEdit を見てみよう。れっきとしたメニューバーを備えているが、メニュー項目のショートカット文字の下線や、メニュー用の正しいフォントを使用していない点、Mac OS X の標準的な Open と Save ダイアログを避けている点などの問題点はある。多機種に対応するインターフェースへの違うアプローチとしてはそれを無視することかもしれない。シミュレーション作成用の Stagecast では、ウィンドウやメニューはプログラムの主ウィンドウ内に描かれ、そのインターフェースウィジェットは独自で見慣れないものだ。

<http://www.limewire.com/>
<http://www.jedit.org/>
<http://www.stagecast.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05437>
日本語Stagecast ワールドへようこそ

Mac OS X 専用のダウンロードでなくても Mac OS X で _どのような_ Java アプリケーションでも走らせることが出来るのかという疑問が時々出される。この答えは試すしかない。ダウンロードし、.jar や .zip 拡張子がついたファイルを探し、ダブルクリックしてみる。うまく働く可能性は Mac OS 9 よりも高い。Mac では Java が使えないという一般的な偏見を捨てるべきだろう。

モカでいこう -- 冒頭で述べたように、Java はプログラミング言語と動作環境の双方である。ここまでは、完全に Java Virtual Machine 内で走る Java アプリケーションについて述べてきた。だが、Java 言語を使用して Mac OS X のための完全な Cocoa アプリケーションを作成することも可能だ。Cocoa Java という美味しそうな名前がついたこのシナリオでは、プログラマーは既成の Cocoa インターフェースウイジェットを使用し、Cocoa プログラミングインターフェースを通じて Cocoa アプリケーションと通信する。だが、プログラマーはコード全てに、もしくは一部に Objective-C ではなく Java を使用する。これは好みでなのかもしれないが、多くの場合は広く使われている Java の方を良く知っているからだろう。Java コードは他の場合同様、Java Virtual Machine 内で走る。だがそのインターフェースは二つの世界の橋渡しをする Java Bridge と名づけられた翻訳機能を使用して、内蔵された Cocoa の枠組みから来る。その結果は他の Cocoa アプリケーションと全く同じような外見のアプリケーションだ。もっとも、JVM を通すことにより、起動が遅くなり、普通の Cocoa アプリケーションより多くのメモリを使用する。Tiran Behrouz の Calculator+ を例にとってみよう。インターフェースからはプログラマが Objective-C ではなく Java を使ったことは分からないだろう。

<http://tiran.netfirms.com/>

クリームと砂糖 -- Java を使用すると基盤となる機種への依存が減るため、Windows 以外のオペレーティングシステムへ開発者を引き寄せたい他プラットフォーム会社には特に魅力的だ。これは同時に Java が Microsoft Windows の圧倒的優位を脅かす脅威でもあることを意味する。なぜなら Java プログラムは、Win32 や Visual Basic プログラムとは異なり、他の機種へ移植可能だからだ。その結果(複雑な状況をあえて簡略化した言い方だが)、Microsoft は Java のサポートを取り下げ、C#(“C シャープ”と発音される)という派生言語を使用するよう、ディベロッパに勧めている。C# は一応オープンな言語なのだが、Microsoft の Windows オペレーティングシステムと .NET プラットフォームのために設計されている。

<http://www.javaworld.com/javaworld/jw-11-2000/jw-1122-csharp1.html>

Mac OS の古いバージョンでの Macintosh Runtime for Java(MRJ)では Apple の Java に対するサポートはあまり良くなかった。だが Mac OS X では Java Virtual Machine をかなり改善し、もっと完全で最新の Java のサポートを提供するようになった。Mac OS X のしっかりした Java の基盤にもかかわらず、Apple は当初は Classic のサポートと Carbon と Cocoa の使用を勧めることに重点を置いていた。最近になって、Apple は Mac OS X の土台となる Unix 層をも気を配るようになってきた。Mac OS X の Tomcat Java サーブレット環境へも気を配るようになっていることからも、Java が Apple の優先順位で上昇中であることを意味するのかもしれない。どちらにせよ、日々 Java ディベロッパが Mac OS X を発見して、Apple の Java に対するサポートに良い反応を示している。

溢れんばかりの富 -- 皮肉と言わざるを得ない。Mac OS X は既存の Mac OS 9 アプリケーションを走らせるための Classic 環境、Mac OS X へ大きなコードを移植しているディベロッパのための Carbon、そして一から始める人のために Cocoa を提供している。さらに Mac OS X の Unix という土台と、堅固な Java Virtual Machine があり、数多くの Unix と Java アプリケーションの仲間入りを可能にする。Mac OS X によって、Macintosh は閉鎖され孤立したアーキテクチャから、他のどのオペレーティングシステムよりはるかに多くのプログラミング環境をサポートするようになった。誰がこの状況を想像できただろうか?


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA