FireWire の Webcam を Mac OS X でドライブしたい?Adam が本題を取上げる。主として IOXperts からの FireWire WebCam Driver に焦点を当て、更に市場にでているビデオカメラソフトウェアについても眺めてみる。更にギアを変えて、easyDNS を使った DNS 情報の管理についても取上げている。これは自分のドメインを持ちたいと思っている人なら誰にでも使えるものである。今週のアップデートでは、Palm m515 と m130 のハンドヘルド機、Mac OS X の Java 対応、WebSTAR 5.1, Synchronize Pro X, そして PowerMate 1.0 ドライバについてふれている。
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第三回 Best of Mac Web Survey で TidBITS に投票を! 3月5日(火)を初日に Low End Mac Web サイトは恒例の年に二回の Macintosh に関するニュース、情報 Web サイトの人気投票を開始する。どの出版物もその読者に対して自分に投票するようお願いできるが(そして大抵はそうしている)、このアンケートは特定の一つだけではなく回答者が知っているすべてのサイトについて投票するようお願いしている。投票の数と幅を跳躍的に増やすねらいである。それで、我々からもお願いなのだが、ほんの少しの時間を割いて投票に参加して TidBITS の PR のために貢献して欲しい(リストはアルファベット順なので、到達するには最後に到達するまでスクロールダウンしなければならない)。他のお気に入りの Mac サイトについても投票を忘れないように。[ACE](カメ)
<http://lowendmac.com/botmw/020305.html>
Palm、カラーの m515、m130 ハンドヘルドを発売 -- Palm社はハンドヘルド機のラインアップに二つのカラーモデルを追加した。$400 の Palm m515 は m505 と大きさとケースデザインを共有しているが、ずっと明るいアクティブマトリックスの透過反射型カラースクリーンを搭載している。m515 は内蔵メモリとして 16MB を採用した初めての Palm ハンドヘルド機でもある。同社の他のすべての現行機と同様、この機種も Secure Digital/MultiMedia カードスロット一個とデータの同期やキーボードやモデム等の周辺機を付加できる Palm の USB ユニバーサルコネクタを持っている。本日同時に発表されたのは $280 の Palm m130 で、8MB のメモリとパッシブマトリックスの透過反射型カラースクリーンを曲線的な m105 のフォームファクタに取りこんでいる。これらの新モデルは現在発売中である。[JLC](カメ)
<http://www.palm.com/products/palmm515/>
<http://www.palm.com/products/palmm130/>
Apple、Mac OS X Java をアップデート -- 我々の Mac OS X における Java の記事の熱がまだ熱いうちに、Apple は Java 1.3.1 Update 1 をリリースした。これは Mac OS X の Software Update 経由で 21.1MB のダウンロードとして入手できる。Apple はすべての人がこのアップデートをダウンロードしインストールするよう勧めている。理由は、全体的な安定度と対応性が改善されることと、加えてテキストの操作性、マウスの動き(とりわけ複雑なアプリケーション内でドラッグするとき)、複数ページの印刷、等々である。大量のバグ修正もされている。フルの(そしてよりテクニカル)リリースノートもディベロッパ向けに出されている。[ACE](カメ)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06730>
日本語<Mac OS X: 異種のプログラムが同居−その 3>
<http://developer.apple.com/techpubs/java/ReleaseNotes/java131update1/NewFeatures/>
FastCGI, URLリダイレクトを加えた 4D WebSTAR 5.1 -- 4D社は先週の WebSTAR 5.1 のリリースで Mac OS X に内蔵されている Apache Web サーバを使っていこうとの考えを更に一歩前進させた。WebSTAR 5.1 の新機能の中でも最も目に付くのは統合された 4D WebSTAR Rewrite プラグイン(WebSTAR の従前のバージョンでの Pardeikes Welcome Plugin をベースにしたもの)である。我々もこの Welcome は大変重宝しており、仮想ホスティング、URL リクエストを即座にリダイレクトする、URL を透明性を保って書換える(あの醜い Lasso URL と我々の固定の GetBITS URL を置換える)等々のことをやらせているので、WebSTAR 5.1 へのこの追加は言葉を失うほど嬉しい(やったー!)。バグ修正と性能、互換性、そして使い勝手の向上に加えて、WebSTAR 5.1 のその他の新機能としては、FastCGI gateway インターフェースへの対応、ブラウザ設定をベースとした自動言語選択、更に速くなった新 WebSTAR Admin クライアント、新 WebObjects アダプタ、そして性能向上した検索サマリが含まれている。46MB のアップデートは登録ユーザーには無料となっている。[ACE](カメ)
<http://www.webstar.com/products/webstar.html>
<http://welcome.pardeike.net/>
<http://www.webstar.com/51/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06593>
日本語<WebSTAR V の Mac OS X 版が出荷>
光沢の PowerMate、ソフトウェアにも磨きがかかる -- Griffin Technology は、前二回の Macworld Expo で大変な評判となったピカピカの金属ノブである PowerMate(TidBITS-612 の“Macworld Expo San Francisco 2002 で見つけた珠玉たち”を参照)のドライバソフトウェアをアップデートした。この 1.0 driver for Mac OS X(1.3MB ダウンロード)は AppleScript 対応とバグ修正を含んでいる;Mac OS 9 driver(こちらも 1.0 で 830K ダウンロード)の方はキーボードの違いを認識しバグ修正がなされている。[JLC](カメ)
<http://www.griffintechnology.com/audio/pwrmate.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06687>
日本語<Macworld Expo San Francisco 2002 で見つけた珠玉たち>
Synchronize Pro X リリースされる -- Qdea は同社の同期・バックアップユーティリティの Mac OS X ネイティブとなる Synchronize Pro X 1.0 を現在提供中である( TidBITS-482 の“TidBITS 御用達ツール:Synchronize”を参照)。その名前が示す通り、Synchronize Pro X は対となるファイルを較べて同じになるようアップデートする。その他、一つのボリュームからもう一つボリュームへのコピー、それに自分の起動ディスクをコピーして起動可能な Mac OS X システムを作ることも出来る。更に、無人でのバックアップもでき、ローカル及びネットワーク上のボリュームに対して、あるいはインターネット(Apple の iDisk サービスを含む)経由でも出来る。Synchronize Pro X のデモ版(1.6MB のダウンロード)は 10MB 以下のデータを含むフォルダに対してだけ機能する;より高度の機能は 1MB 以下のデータを含むフォルダに対してだけ適用できる。$100 を支払い登録することでこれらの制限は解除される(basic Synchronize プログラムのユーザーに対しては $70)。もし過去二年間に Synchronize Pro を購入していれば、この新版は無償となる。[JLC](カメ)
<http://www.qdea.com/pages/pages-sprox/sprox1.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05403>
日本語<TidBITS 御用達ツール:Synchronize>
文:Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳:倉石 毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>
訳:溝畑 考史 <mizo-tid@grf-design.com>
私が 1989年にコーネル大学から卒業した時の大きな心配事の一つはインターネットへのアクセスを失わないことだった。それ以降、TidBITS、私の本のシリーズ Internet Starter Kit、そして直接に、など色々な方法で、インターネットを理解して他の人達に説明することに仕事時間のかなりの部分を費やしてきた。振り返ってみると、これらの作業がどんどん楽になってきていることに驚かされる。
インターネットサーバを走らせることに関して使いやすさを説明するのは難しいところもある。確かに LetterRip Pro を使ってメールリストを設定することは数分で出来るし、4D Portal などのソフトを使えばポータルサイトを作るのも出来る。だが、新しくメーリングリストを主催してくれるプロバイダを探している友人に、代わりに LetterRip Pro を使用することを勧めたところ、やんわりと断られた。サーバ維持や関連した管理作業の責任を負いたくないからだ。自分もこれらの作業を何年も他人に任せていたことを考えると、これに反論するのは難しい。
<http://www.letterrip.com/>
<http://www.my4dportal.com/>
DNS の詳細 -- 多くの人達は ISP に domain name service (DNS) 管理作業を任せる。だが、ここ六ヶ月ほど私はこの作業を自分でやっている。インターネットブームの最中に皆が欲しがったドメイン名に払われた何百万ドルの話の中で DNS について聞いた事があるかもしれない。だが、DNS の目的は、www.tidbits.com などの人間に判読可能な名前を、216.168.61.154 といったインターネット上のコンピュータを表わす数値のインターネットアドレスに変換することだ。インターネット上の存在を確立し、自分の自由になるメールアドレスを可能とするためにドメイン名を必要とするようになったら DNS を気にし出すだろう。自分のサーバを走らせるようになったら、インターネットから自分のサーバに接続できるようにするためにもドメイン名が必須になる。
背景についてもう一言述べよう。今までは、ISP へドメイン名を申請して、有料で登録と管理を代行してもらっていた。これらの登録と管理という作業は実は別々のものだ。長い間、登録を受け付ける所は数少なく、もっとも一般的な .com を扱う会社は、今は Verisign の子会社である Network Solutions 一社だけだった。今では状況が変わり、多くの会社が有料でドメイン名の登録を受け付けるようになった。誰がドメイン名を登録しようと、それを管理する者も必要になる。これには複数の DNS サーバを走らせることや、バックアップサーバの用意などが含まれる。 ISP に任せるのが一番簡単だが、最適とは限らない。もし ISP を変更したかったら、他の事項に加え、ドメインの管理をも移動しなくてはならないからだ。管理の移動には登録元での設定の変更も必要なため、これは何段階もの手順となる。しかも、間違いの代償は高い。電子メールとウェブからのアクセスを全て失ってしまうからだ。
DNS をもっと楽に -- 今でも一番大きい登録会社である Network Solutions で DNS 変更をするには、カフカ的といっても良いほどの、時間がかかり不愉快で間違いが起こりやすい、古典的な電子メールを使った手順となる。もし変更がうまく行かないと(私達の知り合いに頻繁に起きているが)、Network Solutions のサポートに電話をしなくてはならない。これは運転免許事務所の態度の悪い公務員と話をするのとおなじくらい不愉快な電話になる。実際にはもっとひどい。問題が直されてからウェブやメールがドメインに届くようになるまで何時間や何日もかかることがあるからだ。今まで私達が経験した接続不能状態のいくつかは Network Solutions での問題のために起こされた(もしくはさらに悪化した)ものだった。
数年前、同じように Network Solutions に愛想を尽かした何人かが、この問題を解決するために easyDNS を設立した。easyDNS はカナダのドメイン(.ca)の登録作業が出来る。さらに、別の登録会社と協力して一般的な最上層ドメインの登録を扱い、またどこで登録されたものであろうと、どんなドメインでも権限を移動して管理を任せることが出来る。
easyDNS の優れているところは DNS の管理で、私が彼らのサービスに夢中な理由もそこにある。私は何年も tidbits.com を所有していて、Northwest Nexus に管理を任せていた。そのため、新しいマシンを設置するときやサーバを新しい IP アドレスに動かす時(tidbits.com は四つの異なったネットワーク上にあったため、頻繁だったが)には、Northwest Nexus のネットワーク管理者と話す必要があった。Winstar Communications に買収されるまでは親切で友好的だったが、それでも必要な相手に話せないことがあったり、タイプミスが紛れ込んだりと、問題が絶えなかった。全体として、私達は自分らが無力に感じていた。
easyDNS が TidBITS のスポンサーになりたいと申し出てきた時に、私は会社の人々を知っている状況で彼らのサービスを試す良い機会と飛びついた。 tidbits.com の登録を OpenSRS (easyDNS が使用している登録会社)に移し、管理を対応が鈍い Winstar から easyDNS へと移すのは単純なことではない。そのため、何か問題が起こったら easyDNS の誰かに話を出来ると分かっていることは頼もしいことだった。有り難いことに、手順は簡単で全く問題なく済んだ。状況によっては easyDNS は自動的にドメイン記録を自動的にインポートすることが出来るのだが、Winstar のサーバの設定のために出来なかった(ドメイン記録に多くの項目がある場合には ISP はゾーンファイルをエキスポートしてくれるかもしれない)。幸運なことに、複数のマシンにマップしている 10 の名前をタイプしなおすのは難しくなかった。
それ以降、IP 番号にマップする名前を変更することが何度かあった。今までは電話を必要とする心配の種の作業だったが、easyDNS の安全なウェブサイトにログインしてフォームに変更を加えるだけになった。特にありがたかったのは、各々の変更後 easyDNS が確認ページで変更が外の世界に伝播するまでの時間を表示してくれる点だった。easyDNS を使用する前には DNS 変更に伴う心配の種の一つは変更が効力を発するまでの時間がわからない点だった。今は、どれくらい時間がかかるか easyDNS が正確に教えてくれる。もし近いうちに変更を加えると分かっている場合には、大事な time-to-live (TTL) 設定を下げて変更がすぐに伝播するように出来る。
また、ドメインの管理と支払い担当者の連絡先がある whois 情報を更新する必要もあった。OpenSRS で登録されたドメインに関しては easyDNS を経由して簡単に出来る。Network Solutions では電子メールアドレス変更のような簡単な作業でさえ複雑な手順を必要としたが、easyDNS のフォームを使って私達の情報を更新するのははるかに簡単だった。
その他の easyDNS サービス -- easyDNS はその他たくさんの DNS関連サービスを提供する。それらのサービスの完全パッケージは、ドメイン付きで提供される DNS-Plus で、毎年 $55 かかる。その他のパッケージは小振りな機能セットと小さいコストで提供されていて、毎年 $20 から。機能は以下の通りである。
E-Mail 回送機能。特定のアドレスに対して100個までと、あなたのドメイン内の不特定アドレスに対してならいくらでも、E-Mail を回送することができる。例えば、あなたのドメインが example.com であったとしたら、joe@example.com にやって来たメールを jschmo6553624@earthlink.net へ回送することが出来る。ランダムに沢山送りつけられてくる spam 向きでもあるのだが、不特定アドレスに対する回送もきっと役立つだろう。またあなたのドメイン下の全てのアドレスに対してメールを送る "mail-to-all" アドレスを設定することもできる。それはサーバーが落ちている時間を知らせる時などに役立つだろう。
MX(Mail eXchange)レコードとバックアップメールサーバの管理。MX レコードはあなたのドメインに対してやって来るメールを扱うサーバーを定義するものである。我々のケースでは、Eudora Internet Mail Server が king.tidbits.com で稼働しており、我々のメールトラフィックを処理している。しかし king.tidbits.com がアクセス不可になったときのために、一時的にメールを預かるバックアップメールサーバーを定義することが出来る。easyDNS はバックアップメールサーバーも提供している。
特定の URL に Web のトラフィックを回送。この機能を使うと、例えば、全ての人に www.example.com へ訪れて下さいと伝えられるようになる。そして Web ページのどの階層を見ていても、そのアドレスを指し示めすというものなのだ。付加オプションの "Stealth forwarding" はフレームを使って、Web ブラウザのアドレスフィールドにあなたのドメインだけが表示されるようにすることもできる。もしインターネット上にまだあなたの Web サイトが無い場合は、easyDNS が "coming soon" ページを表示することも可能だ。
round-robin DNS サポート。特に高いトラフィックを複数の(内容の同じ)サーバーを横断的に振り分けるのには、easyDNS の round-robin DNS 機能が使える。ある人のブラウザがあなたのドメインを IP アドレスに変換(正引き)しようとした時、easyDNS はサーバーの名前に合わせて、指定した異なる IP アドレスの間で振り分ける。
IP アドレスが変わりうるコンピュータの為の dynamic DNS。多くのケーブル業者や DSL プロバイダは静的 IP アドレスを提供していない。したがって、あなたの Mac の IP ネームと現時の IP アドレスと一致させるためには、easyDNS の追加プラグインによって、 James Sentman の 無料 Dynamic DNS クライアントを使い DNS の設定を更新する必要がある。ただ、この Dynamic DNS は動的 IP ネームを振りたい Mac がゲートウェイやファイアウォールの内側にある場合には問題があるようだ。easyDNS 社ではそんなはずはないと言ってはいるが。その他にも、easyDNS を使える JavaScriptベースの dynamic DNS クライアントもあるが、私の推測だが、そっちはおそらく更新するためにページを開いたままにしておかなければいけないのではないだろうか?
<http://www.sentman.com/dyndns/>
<http://jsc.randomnation.com/>
ほじくる仕事 -- easyDNS の何が好きかといえば、ドメインネームサーバーソフトとセカンダリーネームサーバーを稼働させるという管理作業を任せていながら、私が私自身の DNS 情報をコントロール出来るからだ。Men&Mice 社の QuickDNS を使っても出来るが、私の友達が、彼自身の手で LetterRip Pro サーバーを稼働させたくなかったように、私も私のドメインネームに関する全ての責任を負いたくはなかった。
<http://www.menandmice.com/2000/2200_quick_dns.html>
私の DNS の設定に関する、未だにある不満のほとんどは easyDNS とは関係なく、DNS の専門用語と厳格さに関することだ。例えば、"start of authority" 設定(SOA レコード)は、どれくらいの頻度、 DNS 設定が違った状況で更新されるかと言う点に関係するのだし、MX レコードの MX が "Mail eXchanger" を意味すると知らなければすぐに混乱するだろう。幸運なことに、チュートリアルとしても、情報を得るページ(クエスチョンマークをクリック)としても easyDNS は大体よい助けになる。round-robin DNS について、FAQ のページで説明されているだけ、というのが唯一の例外だ。くわえて、技術サポートに質問してもいつでも、迅速に返答を受け取れる。私はまだ電話したことがないが、ビジネスアワー内なら何時でも可能なのだ。
他に easyDNS に似たサービスを提供している会社はあるか?YES、もちろんいくつもある。Network Solutions のシステムの扱いにくさを見れば、DNS がわかりやすいフロントエンドを必要としていることはあまりにも明白なのだから。にもかかわらず、TidBITS の中で、我々が初めて easyDNS を扱ったとき、人々は TidBITS Talk ですぐさまその会社を推薦する話を始めたし、そのことは私をより満足させた。もし DNS 運営について助けを、あるいは e-mail や Web URL のリダイレクトを必要としているのならば、easyDNS で間違いない。そして私も当分の間が easyDNS を使い続けるのも間違いない。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1426>
文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
iMac が初めて世に出た時、Volkswagen の Beetle の新型車を連想した人は少なくなかっただろう。どちらもハイ・プロファイル、ハイ・デザインの新製品であり、Beetle のペイントの雰囲気も 1999年の San Francisco Macworld Expo でデビューを果たした iMac に似ていたからだ。けれども、最近になって Apple と Volkswagen の新たな類似点が判明した。Volkswagen の有名な広告コピー、“Drivers Wanted”(ドライバー求む)が、Mac OS X の現状にぴったりと当てはまるのだ。
オペレーティングシステムが成功するかどうかは、そのシステムでどれだけ広範な種類のドライバが利用可能かということに密接に関連している。もちろん、これは当然のことだろう。ドライバというのは、そのオペレーティングシステムが個々の周辺機器と相互作用するために必要なソフトウェアだからだ。ここで言う周辺機器には、プリンタ、外部ハードディスク、スキャナ、あるいは最近“Webcam”という呼び名で人気が高まっている廉価版のビデオカメラ、なども含まれる。一般的に言って、ドライバはどこから入手するかによって3種類に分類できる。第1に、最も一般的にユーザーに使われているような種類の機器については、多くの場合 Apple がユニバーサルなドライバを書いていて、Mac OS と共に配布している。このような機器の製造元では、自社の機器が Apple のユニバーサルドライバで動作することを確認してから出荷することになる。第2に、あまり一般的とは言えない機器については、それぞれの製造元が自社の製品用のドライバを書くことになる。この場合、ユーザーがそれらの専用のドライバをインストールしなければその機器は正しく動作しないわけだ。
第3の入手方法は、独立のソフトウェア開発者から入手する場合だ。時には、一人のプログラマーが現存のドライバに嫌気がさして、または必要なドライバがどこにも存在していないという場合もあるが、自分で独自のドライバを書いてみようという気になることがある。こうして書かれたドライバはたいていシェアウェアとして配布される。その良い例が Alessandro Levi Montalcini の書いた USB Overdrive マウスドライバだ。これは現在 Mac OS X 用のものはベータ版となっている。そして、周辺機器の製造元各社は、自社独自のドライバを開発する労力を節約するためにこうしたシェアウェアのドライバをライセンス契約によって使用することがある。このようなやり方で現存のドライバをライセンス使用する主な理由は、ドライバの開発というものがいわゆる職人芸、Alessandro Levi Montalcini のようなごく少数の天才プログラマーでなければマスターできないような高度な技を必要とするものだからだ。その証拠に、インクジェットプリンタのドライバのあのお粗末な状況はいつまで経っても改善されないではないか。
<http://www.usboverdrive.com/>
空から見下ろす眼 -- もう何年も前になるが、Connectix が QuickCam を売り出した。これはテニスボールくらいの大きさのビデオカメラで、Mac のシリアルポートに繋げて使うものだった。画像の解像度は低くて白黒のみだったが、それでもこのカメラは驚くべき革新的製品だった。なにしろ高価なカムコーダを買わなくても手軽に Mac でビデオが楽しめるのだから。その後年月を経てこのような小型ビデオカメラの市場は発展し、カラー画像とか、新しい USB や FireWire などの接続方法とかが採用されてきたが、小さくて価格も安く解像度は低い、という基本的性格は保たれてきた。低価格のおかげで、さまざまの用途に使われたいへん重宝がられている。例えばセキュリティー監視カメラとかビデオ会議、QuickTime ムービーの録画、そして“Webcam”という名前の由来の通り、連続画像やストリーミングビデオなどをウェブサイトにアップロードするためにも使われている。
でも、Mac OS X では、まだ使えなかった。
Apple は、Mac OS X についてはより重要性の高いドライバ、例えばプリンタとか、外部ハードディスク、デジタルスチルカメラなどのドライバを作るのに手一杯で、Webcam 用のドライバにまで手が回らなかった。一方 Webcam の製造元各社では、Mac OS X の市場がまだそれほど大きいものではないという理由で、現時点で Mac OS X 用のドライバを開発する費用を投資するまでには踏み切れないでいた。となれば、残る入手法は独立のソフトウェア開発者しかない。今回の場合は唯一人、IOXperts という名前の小さな会社が救いの手を差し伸べてくれた。皆さんはおそらく IOXperts という名前は聞いたことがないだろうが、そのプログラマーたち、Steve Sisak と Dave Koziol は非常に有名な Mac ソフトウェア開発者たちだ。それに、もし皆さんが Mac OS 9 で USB または FireWire の Webcam を使ったことがあるなら、そのカメラの製造元のためにドライバを書いたのは彼ら二人である可能性が高い。
Mac OS X 用のドライバの開発に資金を出すことを製造元各社に断わられたあげく、IOXperts はとにかく独自にドライバを書いて、現存の FireWire 用 Webcam のほとんどと互換になるようにしようと決意した。彼らが FireWire カメラを選んだのは、その世界ではハードウェアレベルの標準化が比較的進んでいるからで、また FireWire が USB と比べて Mac OS 9 と Mac OS X との間の差が小さいことも理由だった。それでも、そのドライバを書き上げるのはたやすいことでなく、Apple の Mac OS X FireWire コードのバグを調べ上げる作業までもが必要だったが、結局彼らはその困難な作業をやり遂げることができた。開発の最後の数ヵ月間には、サポート対象の FireWire Webcam を持つ人々に IOXperts の FireWire WebCam Driver をダウンロードしてもらい、Mac OS 9 の後使えなくなっていたそれぞれの Webcam を Mac OS X で実際に復活させてもらうこともできた。これは素晴しい。
<http://www.ioxperts.com/dcam.html>
ドライバーライセンス -- IOXperts としては何とかしてこの開発にかかった費用を獲得する方法を見つけなければならなかった。カメラの製造元がドライバのライセンス契約をしてくれる日をいつまでも待っているわけには行かない。そこで彼らは、直接消費者に向かうことを決めた。一般的に言って、ドライバのソフトウェアをシェアウェアとして売るのはなかなか難しい。なぜなら、ドライバというものはユーザーの目には見えない所で働くためのものであり、見えない所で働くソフトウェアがユーザーに支払い督促メッセージを表示するというのはなかなかうまく行かないからだ。
IOXperts はうまい解決法を思いついた。ユーザーは誰でも、無料で彼らのドライバをダウンロードしてインストールし、それぞれの FireWire Webcam で使うことができる... ただし 30分間だけだ。カメラのケーブルを差し込んだ時、ダイアログが表示されて使用制限時間が説明され、$20 のシェアウェア料金を支払うように促される。けれどもそのダイアログをいったん閉じれば、30 分の間はまったく何の妨げもなしにカメラが使える。制限時間が過ぎれば別のダイアログが現われて再びメッセージを表示するが、もしもカメラを使い続けたいならば単にカメラのケーブルを抜いてから差し直せばまた 30分間使えるわけだ。つまり、試してみるためには理想的な経験ができる。ユーザーに払いたい気を起こさせるのに充分の督促がなされているけれども、ドライバがうまく働くのをユーザーのフィーリングに訴えかけることを妨げるほどの制限は無いからだ。
そのダイアログにある“Buy”ボタンを押せば、eSellerate システムを使ったシンプルな購買手続きプロセスをたどることができる。私もやってみたが、何の問題もなくうまく行った。いったんドライバの料金を支払えば、同じカメラをいくらでも好きな数の Mac で使える。その Mac にドライバをインストールする前にあらかじめそのカメラを接続しておき、それから表示に従ってシリアル番号を入力すればよいだけだ。このドライバはその特定のカメラに対して登録される。つまり、もしもあなたが複数のカメラを持っているのならば、ドライバはそれぞれのカメラに対して別々に購入しなければならないのだ。
IOXperts はまた、Mac OS 8 や Mac OS 9 を使っている人々のためのドライバも作っている。カメラの購入時に Macintosh 用のドライバが付いていなかった場合にも、これでカメラが使えるようになるわけだ。この Mac OS 8/9 用バージョンは Mac OS X 用バージョンと同じシリアル番号を使っているので、一度支払いを済ませれば同じカメラを双方のオペレーティングシステムで使うことができる。
<http://www.ioxperts.com/dcam_os89.html>
カメラとの互換性 -- 複数のカメラの話が出たが、この FireWire WebCam Driver は本当に数多くの種類のカメラをサポートしている。有名なところでは iREZ、Orange Micro、FireWire Direct、Unibrain なども含まれる。どの機種をサポートしているかの完全なリストについては、IOXperts のウェブサイトにある compatibility list を確かめることができる。私は Unibrain の $120 の機種、Fire-i digital webcam でテストしてみた。これはおよそ 2.25 インチ(6cm)四方の大きさで、背面に良く出来たバネ式のクリップが付いており、そのクリップを回転させたりカメラの背面から引き出したり格納したりすることもできるようになっている。
<http://www.ioxperts.com/devices.html>
<http://www.unibrain.com/products/ieee-1394/fire-i_camera2.htm>
この Fire-i カメラには両側に1つずつ、合計2個の FireWire ポートが付いており、どちら側でも都合の良い方にケーブルを差し込むことができる。また他の FireWire 機器とデイジーチェインすることも可能だ。(ただし、複数個のカメラを同時にサポートできる Macintosh 用ソフトウェアはまだ無い。)また、外部電源用のジャックもあり、バス電源を必要とするような多数の FireWire 機器を使う場合や FireWire PC カードを使う場合に便利だ。(FireWire の電源は PC カードの規格よりも大きな電力を必要とする。)Windows で使う場合にはこの外部電源ジャックはなおさら重要だ。たいていの Windows ラップトップ機は FireWire バスに電源を供給しないらしいからだ。例えば Sony の i.LINK ポートは電源を供給しないし、PCI カードにもしないものが多い。(話はそれるが、FireWire の電源管理はうまくできている。個々の機器ごとに使用電力が指定されており、機器がバスに電源を供給する場合にはこの数字が負の値になることもある。)
この Fire-i カメラの解像度は 640×480 で、毎秒 30 フレームを撮影する。私はそれほどいろいろの種類の Webcam を試したことがあるわけではないが、この Fire-i はなかなか良く出来ている気がする。そして、この IOXperts FireWire WebCam Driver のおかげで、このカメラは Mac OS X でも使える。彼らのドライバが無ければこれは不可能だったのだ。(ただし、Unibrain は近日中にも Mac 用の FireWire WebCam Driver をバンドルしたバージョンをリリースする予定とのことだ。)
ソフトウェアの選択肢は? これまで書いてきたことについて、触れなかった重要な問題が1つある。もちろん FireWire の Webcam は必要だ。それから IOXperts の FireWire WebCam Driver も必要だ。でもそれだけでは、単に Mac OS X の動作する Mac にカメラで撮った映像がいちおう表示できるというだけに過ぎない。映像をきちんと見たり操作したりするには、やはりそれなりのアプリケーションが必要になってくる。現在のところ、Mac OS X で FireWire の Webcam と共に使えるプログラムはそれほど数多くはないが、IOXperts ではいくつかのものをリストしており、そのうちで私がテストしてみたものはどれもきちんと動作した。
<http://www.ioxperts.com/apps.html>
BTV 5.4 と BTV Pro 5.4 (Ben Software): $20 の BTV はシンプルなビデオ用アプリケーションで、ビデオや静止画像を Webcam から取り込んだり表示したりできる。(それ以外のさまざまなビデオソース、例えば TV カードなどでも使える。)$40 の BTV Pro の方は、それと同じ機能に加えて多数の追加機能がある。例えばモーション検知、時間経過キャプチャ、静止画像からノイズや高速移動オブジェクトを除外できるフレーム平均化機能、ムービーの再生や編集などがある。どちらもシェアウェアで、Mac OS X では Carbon 版を使う必要がある。
<http://www.bensoftware.com/btv.html>
<http://www.bensoftware.com/btvpro.html>
CoolCam X 2.1 (Evological): この $20 のシェアウェアプログラムは、周期的に静止画像をキャプチャしてそれらを FTP によってアップロードするという正統的な Webcam 用機能を備えている。また、画像をハードディスクに保存したり、こま落ち QuickTime ムービーを作ることもできる。モーション検知機能もあり、テキストキャプション、ピクチャーバッジ、時計などを任意のフォント・サイズ・スタイル・カラーで挿入することもできる。
<http://www.evological.com/coolcam.html>
Video Funhouse 1.1 (Evological、Chaotic Software): $25 のシェアウェアでありながら、Video Funhouse は顔やその他のオブジェクトを、捻ったり膨らませたり挟み潰したり押し広げたり、想像し得る限り(あるいは想像したくないようなものまで)ありとあらゆる形に変形させることができる。けれどもVideo Funhouse の一番スゴい点は、こういう変形を静止画像の中ではなくてビデオ映像の中でやってのけてしまうことだ。Video Funhouse にはその他にもさまざまの効果を施す機能があり、いつでも好きな時点でスナップショットを撮ることもできる。
<http://www.evological.com/videofunhouse.html>
iSpQ VideoChat 5.0.4 (nanoCom Corporation): この $40 の iSpQ では、インターネット上で他の iSpQ VideoChat ユーザーとの間で標準のチャットをすることができる。ただのチャットと違うのは、相手へのメッセージをタイプしている最中に相手の人をライブで見ることができるということだ。Mac OS 9、Mac OS X、Windows いずれにも、互いに互換な iSpQ VideoChat のバージョンがある。数時間以上続けて使用するとビデオの送信ができなくなるという、FireWire WebCam Driver との間の互換性の問題が知られているが、簡単に回避できるのだから問題ないだろう。21日間有効の試用版もある。
<http://www.ispq.com/ISPQ_moreinfo.html>
VideoScript 2.2 (VideoScript, Inc.): これは無料のツールで、要はビデオをスクリプト化できる。映画の台詞という意味のスクリプト(脚本)ではない。ビデオ画像やカメラの解析・操作を自動化するためのスクリプト(プログラム)の話だ。モーションを検知してログを取るスクリプトを書いたり、ムービーを生成したり、画像の拡張をしたり、その他いろいろのことができる。(作者が例示している用例としては顕微鏡画像で細胞の数を数えるのに VideoScript を使う、というものがある。この作業は世界一頭脳を疲れさせる作業なのだそうだ。)ライセンス(単一プロジェクトのみのための 21日間有効のライセンスは $30、無制限のライセンスは $400)を購入すればプロフェッショナル版も使え、これには AppleScript との統合などの追加機能がある。Mac OS X 用の VideoScript は依然としてベータ版である。
<http://www.videoscript.com/intro_vs.html>
詳しいレビューはどこ? -- この記事を書き始めた時、私はもともと IOXperts の FireWire WebCam Driver のレビューを書くつもりだった。でもわかるかな? ドライバのレビューを書くのって、とっても難しいんだ。特に何の問題もなく動く場合には。何も書くことが無いんだ。カメラのケーブルを繋いで、ビデオアプリケーションを起動、そうしたら、予期した通りにビデオ画像が画面に現われる。それだけなんだから。IOXperts のウェブサイトには FAQ が載っていて、遭遇する可能性のあるいくつかの問題点が挙げられている。(私は遭遇しなかったが。)また、IOXperts ではメーリングリストも運用していて、ユーザーがこのドライバについて議論できるようになっている。会社の規模の小ささを考えれば、ユーザーたちが直接テクニカルサポートを要求してくる事態を避けたい、というのはきっと最重要課題だろう。そこで彼らは、テクニカルサポートの負担を最小限にするために最も賢明な解決策を取った。すなわち、テクニカルサポートの必要もないほどに上質のソフトウェアを作り上げたのだ。言葉を変えて言えば、もしもあなたが Mac OS X で FireWire の Webcam を使おうというのなら、IOXperts に 20 ドルを送るだけですべてが解決する、ということだ。
あまり一般的でないハードウェアがお好きなら、とにかく IOXperts に注目しておくことをお勧めする。彼らは現在 802.11 ワイヤレスネットワーク用のユニバーサルドライバ(これはネットワーク熟達者の Amanda Walker が著者で、ベータ版としてリリースされたばかりだ)とか Philips の USB Webcam 用のドライバとかを準備中だ。もしも興味があるなら彼らのベータメーリングリストに加入してみると良い。また、何らかのハードウェアに Mac 用のドライバが無くて困っているような場合は、そのハードウェアの製造元に対して、IOXperts に頼むように言ってみると良い。それが実現したら、皆が幸せになれるではないか!
<http://www.ioxperts.com/contact.html>
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, , 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA