TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#627/22-Apr-02

もし Microsoft Office, Internet Explorer, あるいは Outlook Express をお使いなら、今週 Mark Anbinder がカバーしているセキュリティパッチが必要である。その他の重要なリリースには、Mac OS X 10.1.4 と Adobe Photoshop 7 がある。さらに今週は、Matt Neuburg が Suitcase 10 のレビューをし、Charles Wu が iMovie を使って - iPhoto を走らせられない Mac OS 9 のユーザーには吉報 - プロ級のスライドショーを作るやり方について寄稿してくれている。最後に、Apple は第2四半期の利益 $40 million を計上した!

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MailBITS/22-Apr-02

Mac OS X 10.1.4 リリース -- Apple は Mac OS X 10.1.4 をリリースした。これは 2.2 MB のアップデートで Mac OS X の Software Update 経由で入手可である。この新ソフトでは Fast 10 SCSI ドライブ対応と SmartDisk, EZQuest,それに LaCie から出されているディスク記憶装置への対応がつけ加えられている。ネットワーク機能に関しては、ダイアルアップ PPP 接続での応答性が向上し、Sherlock を使ったローカル及びリモートでのファイル検索機能が向上し、さらに 3Com製のルータを設置したネットワーク上で Apple Filing Protocol (AFP) サービスが使えるようになった。最後に、ネットワークセキュリティが向上した:BSD ベースの TCP/IP 接続で、ブロードキャストまたはマルチキャストの宛先 IP アドレスのチェックおよびブロックを行い、重大なセキュリティホールの可能性を排除している。このアップデートリリースに引続いて公開された AppleCare Knowledge Base ドキュメントは Software Update にあるアップデート情報よりはもうちょっと詳しいところまで入り込んでいる。[JLC](カメ)

<http://www.apple.com/macosx/>
<http://www.freebsd.org/cgi/query-pr.cgi?pr=35022>
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=106859>

Photoshop 7 ついに登場 -- Adobe は Photoshop 7 を Mac OS 9 およびMac OS X 用に出荷中であると発表した。出番に遅れてきたヒットチャート一位のバンドのようなもので、Photoshop 7 は Mac OS X 用ソフトウェアアップグレード中でも最も期待されてきたものといえるだろう。幸にして、これは単なる Mac OS X 対応だけに終っていない:新しい Healing Brush ツールで傷のついた写真を修復する作業は前のバージョンに較べれば格段に簡単になった;File Browser で画像を追っかけたりナビゲートしたりできる;新しいペイントツールでより改良されたブラシとペンストロークが使える;スペルチェッカーもついていてプロジェクトの中でどうしても出てしまうミススペル(例えば、ツアーのティーシャツにバンドの名前をスペルミスしてしまうとか)を見つけ出すのに役立つ。Photoshop 7 は $600 で、前バージョンからアップグレードするのであれば $150 である。システム要件は、Mac OS 9.1, 9.2.1, あるいは Mac OS X 10.1, 128 MB の RAM, そして最低 120 M B のハードディスクスペースが必要とされる;もちろん Photoshop であるから、これらのシステム要件の最小必要条件をあなたの予算と能力が許す限り最大化することが望まれる。[JLC](カメ)

<http://www.adobe.com/products/photoshop/>

Apple 第2四半期 $40 Million の利益計上 -- 疑いなしに iMacs が貢献している。Apple はその 2002年会計年度の第2四半期に $40 million の利益を計上した。これは部品不足のため出荷が遅れたフラットスクリーン iMac の影響を考慮したアナリスト達の予想をやや上回ったものとなった。Apple の売上は $1.5 billion で荒利率 27% であった;国際市場向けの売上は総売上の 45% を占めている。

<http://www.apple.com/pr/library/2002/apr/17earnings.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06682>

Apple は同期間中に 220,000 台の iMac を出荷し、Mac の総出荷台数を前年同期に較べて 8% 伸ばして 813,000 台とするのに貢献した。Apple はポータブルシステム(iPod のこと)の売上を切り出して発表はしていないが、それでも手持のキャッシュは $4.3 billion あり今年中にはさらに 20 の Apple ストアを開く計画であることを明らかにしている。[GD](カメ)


Microsoft が重要セキュリティパッチをリリース

文: Mark H. Anbinder <mha@tidbits.com>
訳: 倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>

Microsoft は Internet Explorer、 Outlook Express、 そして "Classic" Mac OS (Mac OS 8 と Mac OS 9) と Mac OS X 両方の Office アプリケーションに影響するふたつのセキュリティ上の弱点に対処するためのセキュリティパッチをリリースした。 Microsoft はこれらのプログラムのユーザ全員に対してこれらのパッチをダウンロードしてあてがう事を奨めている。

<http://www.microsoft.com/security/security_bulletins/ms02019_mac.asp>

弱点が見つかったソフトは以下のとおり:

最初の弱点では、 Web ページ、 HTML 電子メールメッセージ、 もしくは Office ドキュメント中で悪質な HTML コードがバッファオーバフローを悪用することができる。 理論的には、 攻撃者はこのバッファオーバフローを悪用して、 コンピュータ上のファイルを削除したり変更したり、 もしくは許可無しにソフトをインストールして走らせることができる。 (Mac OS X では攻撃者は現ユーザと同じ許可になるため、 害を及ぼせる範囲は限られる。 ) (Word ファイル、 Excel スプレッドシート、 もしくは PowerPoint プレゼンテーションなどの) Office ドキュメントの場合には、 悪質なドキュメントを開くと危険がある。 マイクロソフトが述べているが、 常識からしても見知らぬ人物から届いたファイルは絶対に開くべきではない。

第二の弱点は Mac OS 8 もしくは Mac OS 9 での Internet Explorer 5.1 にだけある。 攻撃者がスクリプトの名前と完全なパスが分かっている場合にだけ、 これを悪用してコンピュータ上の既存の AppleScript スクリプトを走らせることが可能になる。 (外からスクリプトをインストールすることは出来ない。 既にあるものだけだ。 ) もっとも一般的に“知られている”スクリプトは Speakable Items フォルダ中にある。 アプリケーションを終了したり、コンピュータを再起動したり、 ゴミ箱を空にしたりなどする。

Microsoft Office 2001 (263 K) 、 Office X (1.8 MB) 、 そして Outlook Express (新バージョン 5.0.4; 8.6 MB) のパッチと、 Mac OS 8 と OS 9 でのInternet Explorer (新バージョン 5.1.4; 5.4 MB) ユーザのパッチは Micro soft の Macintosh ダウンロードサイトから入手できる。 Mac OS X ユーザはMac OS X の System Preferences にある Software Update 機能を使用してInternet Explorer for Mac OS X にパッチをあてがう必要がある。 Officeや他のアプリケーションのパッチは、 Mac OS X ユーザは手作業であてがう必要がある。

<http://www.microsoft.com/mac/DOWNLOAD/OFFICE2001/URLSecurity.asp>
<http://www.microsoft.com/mac/DOWNLOAD/OFFICEX/CombUpd1003.asp>
<http://www.microsoft.com/mac/DOWNLOAD/OE/oe504.asp>
<http://www.microsoft.com/mac/DOWNLOAD/IE/ie51.asp>
<http://www.microsoft.com/mac/download/>

Microsoft によれば、 5.1 より前の Internet Explorer 、 5.0.1 より前のOutlook Express、 そしてOffice 98 より前の Office のサポートは終了しているため、 テストされて いない 。 そのため、 これらの弱点があるかどうかは不明である。

これらのセキュリティパッチは、 Microsoft アプリケーションのこれらのバージョンで今まで発見された弱点全てをもパッチする。

Microsoft はアメリカとカナダの住民には 866/727-2338 で無料のユーザサポートを提供している。 海外のユーザは、 これらのパッチのダウンロードとインストールに関しての無料サポートについては現地の子会社に問い合わせる必要がある。

<http://www.microsoft.com/worldwide/>


Suitcase 10 で旅してみる

文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

少し前の TidBITS で、私は Font Reserve についてレポートした。これは私が長年使ってきたフォント管理ユーティリティで、今回、いくつか不満な点はあるものの Mac OS X への移行を遂げたのだった。当然、それに続いてライバルのユーティリティのレポートもしなければならないだろう、というわけで私はここ2週間ほど Extensis 社の Suitcase 10 を使ってみた。これまでのところ、ほとんど全くと言っていいほど問題なく動作している。フォント管理ユーティリティとして必要だと私が思う機能はすべて備えているし、動作もシンプルで信頼性がある。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06751>(日本語)Font Reserve が Mac OS X に
<http://www.extensis.com/suitcase/>

お断りしておきたいのは、私の使用法ではフォントは比較的シンプルな使い方しかしていないということだ。私は数多くの、いろいろの種類のフォントを持ってはいるが、一般的に言って一時にそれほど多くのフォントを同時に使うことはない。同僚とフォントを共有しなければならないということもない。ただ、時折仕事上の都合で特定のフォントのセットを使わねばならないだけだ。私は、どんなフォントがあるのか、それぞれどんな字になるのか、どこにインストールされているのかを知り、そして、必要に応じて自由にフォントを使用状態にしたり不使用状態にしたり素早く切り替えることで開いたファイル数を少なく止めてフォントメニューを短くできるようにしたい、それもフォントのコンフリクトなどが起こらないように、という必要があるだけだ。

私が初めて Suitcase を使ったのはもう十年以上も前、System 6 の時代のことになる。当時の Suitcase は Steve Brecher の書いたユーティリティで Fifth Generation Systems からリリースされ、後日 Symantec の手によって販売されるようになった。その頃のユーザーたちは Suitcase を革命的ツールとして大歓迎した。なぜなら当時のシステム内蔵のフォント管理能力はごくお粗末なもので、その問題点や限界を Suitcase が見事に克服してくれたからだ。けれどもこういう歴史は、今日ではもはやノスタルジア以外の何者でもない。Suitcase 10 と当時の Suitcase とは、名前が共通という以外にはほとんど共通点が無いほどまでに変わってしまったからだ。動作の目的さえも変わった。Suitcase の当時には、スーツケースファイルといえばフォントだけとは限らなかった。(皆さんはサウンドスーツケースや FKEY、デスクアクセサリなどを覚えているだろうか?)フォントのフォーマットも変わったし、フォント管理の方法も大きく進化を遂げているのだ。

1つのウィンドウですべてが見える -- Mac OS X 上では、Suitcase は単なる1つのアプリケーションとして働き、ウィンドウも1つしか持っていない。このウィンドウは隠したり表示させたりできるが、Suitcase がその機能を果たすためにはアプリケーション自体が常時走っていなければならない。だから、おそらく Suitcase は Login item にしておくのがよいだろう。そうすれば、コンピュータを再起動したりログインしたりする時も自動的に起動される。Suitcase が使用状態にしているフォントは一時的なものと恒常的なものとに分かれる。後者は Suitcase が終了する際に自動的に記憶され、起動時に自動的に使用状態になる。Suitcase へのアクセスはドックを使うのがよい。すると、ウィンドウが開く。

Suitcase のウィンドウは Mac OS X でフォントを置ける5つの場所すべてのフォントを表示できる。それは System フォルダ、Library フォルダ、Networ k フォルダ、ユーザーの Library フォルダ、それに Classic システムフォルダの5ヵ所だ。これらのフォントをその場で管理する操作ができないのは仕方がないが、単なる表示だけでも役に立つ。いちいち5つのフォルダを開けてどこにどれがあるのかと調べる手間が要らないからだ。このウィンドウではあなたが特にウィンドウにドラッグして指定したフォントについてはそれを一覧して管理の操作ができる。扱えるフォントは .dfont、Windows の .ttf、TrueType フォント、それに PostScript フォントだ。Suitcase 内で指定されたフォントは実はエイリアスだ。Font Reserve とは違って、実際のフォントを保管する機能は無い。つまり、実際のフォントをどこに置くかを管理するのはあなたの手に任されているのだ。そこで、私が最初にしたことは私のフォントをすべて System フォルダ内に集めることだった。(もちろん、Classic システムフォルダに最小限必要なフォントは残しておいた。)フォントをすべて1ヵ所に集めることで、管理を Suitcase に一元化しようとしたのだ。

フォントスーツケースは名前で一覧することも、使用状態のフォントのみとかシステム以外のフォントのみなどの部分セットで手軽に一覧することもできる。また、自由にフォントセットを作ることもできる。こうして、たくさんのフォントをまとめて一斉に使用状態にしたり不使用状態にしたりできる。この操作が Suitcase のドックメニューでできるのは、とても便利なショートカットだ。

Classic の側では、Suitcase はいくつかの機能拡張ファイルと共有ライブラリファイルとから成っている。このうち最も重要なのは Suitcase Bridge で、これは Mac OS X の下で Suitcase によって使用状態にされたフォントを Class ic でも使用可能にする操作を受け持つ。(そのフォントが Classic で使うことのできるフォントである場合に限られるのは当然だが。)Mac OS X で Classic として動作している Mac OS 9 システムでマシンを再起動すると、Suitcase はそこでも動作する。Mac OS X でインストールした Suitcase パッケージの中に隠された Mac OS 9 用の Suitcase アプリケーションのエイリアスが、この M ac OS 9 システムのアップルメニューフォルダにちゃんと置かれているのには感心させられた。ファイル位置に関するゴタゴタを、エレガントに解決してくれているのだ。

その他の機能 -- 特定の書類に指定されたフォントを自動的に使用状態にする機能は、Mac OS X ネイティブのアプリケーションについては機能しない。それに対して、指定のアプリケーションを起動した時に自動的にフォントを使用状態にする機能は使える。“application set”と呼ばれる特別のフォントセットを作っておき、そこにそのアプリケーションでよく使うフォントを入れておけば、それがアプリケーション起動時に自動的に使用状態になる。ただ、こうして使用状態になったフォントはそのアプリケーションを終了してもそのまま使用状態が続く。放っておけばそのままコンピュータを再起動するまで続き、Mac OS X においてはこれはほとんどいつまでも、ということを意味するのだ。そこで、もしもフォントメニューをできるだけ短くしておきたいと思うなら、時々自分の手でこのようなフォントセットを不使用状態に直さなければならない。

Suitcase はフォントを使用状態にする度にフォントのコンフリクトをチェックして、問題があれば報告し、どう対処するかをユーザーに尋ねる。このように選択肢が与えられるのは重要なことだ。例えば、コンフリクトがあるとしてもどうしてもあるフォントを使用状態にしたいこともあるだろう。けれども、この問題について Suitcase の表示する説明はとても親切とは言えない。私があるフォントを使用状態にしようとした時、Suitcase が介入してきてシステムフォントとのコンフリクトがあると表示した。けれどもそれがどこにあるどのフォントとどのようにコンフリクトしているのかについては、何の説明も示されなかった。どうすれば私がそれを突き止めることができるのかの説明もなかった。でも、とにかくそのフォントを使用状態にすることはできた。Suitcase はコンフリクトの際にシステムフォントでさえも他のフォントで置き換えることができるからだ。それでも私の好みから言えばトラブルの内容を表示してくれる方が好ましいと思う。

フォントを一時的に Suitcase に読み込むことができるのは、良い機能だと思う。Suitcase を再起動するか、または“Remove Temporary Fonts”を選ぶかすれば、そういう一時的フォントは Suitcase のウィンドウから消える。ある1つの仕事にだけ使いたいフォントがあるような場合に便利だ。別の便利な機能としては、リストからフォントをいくつか選んで“Collect Fonts For Output ”を選べば、それらのフォントが1つのフォルダ内にコピーされるので、他のユーザーに送ったりするのに使える。

Suitcase ウィンドウのリストからフォントを1つクリックすれば、そのフォントを使ったサンプルが見られる。そのフォントについてのさらに詳細なことを調べたければ、付属のアプリケーション、FontBook を使う。これはもともと Matthias Kahlert が書いたもので、現在は Lemke Software(GraphicConverter の発売元)が扱っている。これもなかなか使いでのあるユーティリティで、さまざまのレイアウトと各種のキーボードを使ってフォントを表示してくれる。Suitcase 自身とは違い、FontBook は現在使用状態になっていないフォントを表示することはできない。また、Mac OS X に付属のユニコードによる各種のフォントの持つ非 ASCII 文字を表示できるようになるまでには、まだアップデートされていない。その目的には Font Checker を使うことになる。(ユニコードのサポートについては TidBITS-JP-624TidBITS-JP-625 の連続記事“チェリーを2バイト - ユニコードと Mac OS X”を参照。)このような方式には、1つ問題点がある。それは、Extensis が別の開発者の製品のバージョンに注意して歩調を合わせなければならないことだ。問題の例を挙げると、最近ダウンロードした Suitcase 10.1.2 のパッケージには古いバージョンの FontBookが含まれていた。Extensis からダウンロードするのをあきらめて新しいバージョンの FontBook を直接 Lemke Software からダウンロードすることはできるが、その場合には FontBook が未登録版になってしまう。

<http://www.lemkesoft.de/us_fontbookabout.html>
<http://www.wundermoosen.com/wmXFCHelp.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1217>(日本語)チェリーを2バイト - ユニコードと Mac OS X - その1
(日本語)チェリーを2バイト - ユニコードと Mac OS X - その2

マニュアルは良く書けているが、PDF のデザインはお粗末だ。(コンピュータ画面用に2段組のページを作る奴なんて信じられない。そんな奴のハードディスクには未来永劫やかましく唸り続ける呪いをかけてやりたいものだ。)また、記述の誤りも数多く見られる。例えば Suitcase がスクリプタブルだと書いてあるが、私の見たところ、実際にはそうではないようだ。

まとめ -- ユーザーによっては Suitcase がクラッシュしたという話も聞くが、少なくとも私はそういうことは経験していないので何とも言えない。私にとって Suitcase が不満な点の最大のものは、そのウィンドウが Font Reserve のようなデータベースの機能を持っていないことだ。例えば、クラスとかオーナーのような余分の属性を個別のフォントに与えて、それによって並べ直したりフィルター付けたり検索したり、といったことができない。その結果、ごく普通のサイズのフォントリストでさえ管理の手間は相当のものになる。また、どんなものか(例えばサンセリフのフォントだということ)は覚えているけれども名前が思い出せないフォントを見つけ出すことも、ほとんど不可能と言ってよいだろう。

この点を除けば、Font Reserve にあって Suitcase に不足している所は見当たらないと私は思う。Suitcase の方が優れている所もある。ただ、いくつかの機能はマニュアルを読まなければわからない。例えば、フォントの恒常的な使用状態と一時的な使用状態とを切り替えるには、リストの上で Option-クリックをしなければならない。助けになるようなボタンもメニュー項目も無くて、この機能は覚えていなければならない。私に言わせればこれはデザインが悪い。それ以外の点では Suitcase のインターフェイスは直観的でシンプルにできており、わかりやすい1つのウィンドウの中にうまく収められている。フォントファミリーやスーツケースの扱いもクリーンで隙がない。フォントのコンフリクトの処理も、先ほど述べた点を除けば親切と言える。そして、私の持っているフォントをすべて例外なしに扱ってくれる。

Suitcase 10 の価格は $100、Suitcase 3 からのアップグレードは $50 となっている。Mac OS X 10.1.1 またはそれ以上を要する。30 日間有効のデモ版(ダウンロードサイズは 15 MB)もある。


iMovie でスライドショウを作る

文: Charles Wu <ccwu@chisp.net>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple の傑作、iPhoto ソフトウェアを使えば、デジタル写真を収集して整理できるばかりでなく、ピクチャ移動時のブレンド効果やサウンドトラックまでも含んだスライドショウも簡単に作れる。けれども残念なことに、iPhoto は Mac OS X でしか動かないのだ。もちろん、Mac OS 9 でも iView MediaPro などスライドショウ機能を使えるものはあるが、今回私が報告したいのは、私の Macに元から付いていたプログラムでもなかなか洒落たスライドショウが作れるという事実、それが Apple の iMovie 2 だ。

<http://www.apple.com/iphoto/>
<http://www.iview-multimedia.com/products/mediapro/>
<http://www.apple.com/imovie/>

さて、iMovie には iPhoto のようなフル装備の画像管理ツールは無い。けれども、iMovie でも QuickTime スライドショウや DVD (iDVD または DVD Studio Pro があるなら)、さらには写真のコレクションをもとにビデオテープさえも作れるのだ。ワイプやディゾルブなどの本格的トランジション効果を入れたり、オーディオやテキストナレーションを追加したり、写真を引き立てるサウンドトラックを付けることもできる。iMovie は QuickTime ムービーを作ってそれをビデオに出力することができるので、あなたの冒険をナレーション付きの物語に仕上げてコンピュータを持たない友人にも送ることができる。

この記事は、iMovie 2 を使って本格的なスライドショウを作るためのステップ・バイ・ステップの入門編になっている。iMovie はもともとデジタルビデオをキャプチャして編集するために作られているのだが、静止画像を読み込んでそれをビデオクリップに変えることもでき、その結果を iMovie のコントロールを駆使して編集することができる。この機能を利用して、多数の静止画像からムービーを作り上げることが可能なのだ。

あなたがすでにデジタルカメラで撮った多数の写真(または、デジタルカメラが無いのならば写真をスキャンしたものなど)をあなたのハードディスク上の1つのフォルダの中に転送し終わったとして、そこから話を始めさせて頂きたい。もちろん、iMovie をお持ちであることも仮定させて頂く。これは 2000 年 7 月以降のすべての FireWire を装備した Mac に付属している。iMovie 2 のMac OS 9 版は $50 で Apple Store から購入することもできる。

<http://www.apple.com/imovie/macos9/>

ショウのはじめに -- ダイニングテーブルの上一面に写真をばらまいて見るのならば、でたらめにいろいろな写真を集めただけでも良いだろうが、おもしろいスライドショウを作りたいならば、ストーリーが必要だ。誕生日のパーティーや休暇旅行など、何か特別のイベントを基にした物語を、まず考えよう。ここでは話の都合上、あなたの子供の誕生日のパーティーであなたがたくさんの写真を撮りまくったとして、このパーティーのことを遠くに住むおじいちゃんとおばあちゃんに知らせてあげたい、ということにしよう。

iMovie を起動させると、新規のムービープロジェクトを作るように促される。何か意味のある名前を付けよう。例えば“3歳の誕生日”としよう。この段階ではプロジェクトの内容は空なので、File メニューの Import File コマンドを使って、あなたの写真の入っているフォルダを指定しよう。個々のファイルを別々に読み込むこともできるが、Command-A を押してフォルダ内のすべてのファイルを選択してやる方が簡単だ。Import ボタンを押して数分間待ってみよう。(待ち時間は読み込むファイルの数による。)すると iMovie の右側画面に読み込まれた画像がサムネイルクリップとして次々に表示される。この表示部分は Shelf と呼ばれる。この時点では、これらの写真はまだムービーに組み込まれてはいない。この Shelf は単なる貯蔵集積所に過ぎないのだ。

キャストを集める -- Shelf に並んだサムネイルを眺めながら、どの写真をどの順序でスライドショウに使おうか、と考えてみよう。デジタルビデオについては、最近ではビデオ機器があまりにも安価になったために、誰もが必要よりもはるかに多量の映像を撮ってしまうのが現状だ。ムービーに仕上がった時には撮った量の5分の1か6分の1になってしまう。これと全く同じことがスライドショウにも言える。ただ、ありがたいことにスライドショウではシーンの一部分を切り張りしたりする手間は要らない。ただ必要な写真をピックアップすればよいだけだ。

ムービーを作るには、選んだサムネイルを画面下部のバー部分にドラッグ&ドロップする。このバー部分は Clip Viewer と呼ばれる。ムービーは、ここに並んだ写真を左から右へと順に使うのだ。順序を変えたいなら、Clip Viewer の上でピクチャをドラッグ&ドロップで並べ替えればよい。

iMovie はデフォルトで各画像を5秒間すつ表示する。時間数はクリップの上部に数字で表示される。この表示時間を変更したいならば、そのクリップを選択してから Clip Viewer 上部の Time フィールドの値を変更すればよい。(iMovie はクリップの長さにタイムコード表示法を採用しているので、5秒間は“00:05:00”と表示される。これは順に、0 分、5 秒、0 フレーム、という意味だ。ビデオでは、1秒は 30 フレームから成っており、例えば“00:12:26 ”ならば 0 分 12 秒 26 フレーム、つまり 13 秒よりもほんの少し短い時間を示している。)

ここまでで、スライドショウの根幹はでき上がった。Monitor(メインウィンドウ)のコントロールを使って、スライドショウを最初から最後までプレイさせてみよう。また、Playhead(Monitor 画面のすぐ下にある小さな三角のコントロール)をドラッグすればムービー全体にわたって前後にスクロールできる。この時点では、たぶんまだ退屈なスライドショウしかできていないだろう。そこで、いくつかのステップを踏んでもっとクールなものに仕上げてゆこう。

タイトルを付ける -- まずはじめに、スライドショウのメインタイトルを付けよう。Shelf の下部にある Titles ボタンをクリックすると、Titles パネルが現われる。ここにはいろいろなタイトルのスタイルがリストされている。ここから1つ選んでクリックすると、パネル上部のプレビュー画面にタイトルのおおまかな実例が表示される。いろいろのスタイルをクリックして違いを眺めておこう。例えば Centered Multiple を選んだとしよう。このスタイルではテキストが何行かに分かれて表示され、連続的にフェードイン・フェードアウトの効果が付いている。タイトルリストの下にあるテキスト入力フィールドに、あなたのスライドショウの題名をタイプしよう。iMovie はこのタイトルスタイルでは一度に2行ずつのみテキストを表示する。これは、テキストが2行ずつのグループに分かれているためである。例えば2つ目の2行はこのイベントの日付とか、またはコメントその他好きな目的に使えばよい。「+」ボタンを押せば次の2行のテキストが入力できる。このタイトルはスライドショウ全体のものであって1つの画像だけのものではないのだから、Over Black と書かれたチェックボックスにチェックを入れておこう。入力したタイトルが気に入ったら、ドラッグ&ドロップを使ってこのタイトル名 (Centered Multiple) をスライドショウの冒頭部分に置こう。これで、スライドショウにプロフェッショナル並みの導入部分ができた。そのクリップのサムネイルの下に小さな黒いバーが登場して、赤いバーが伸びて行きつつタイトルクリップのレンダリング作業の進行を表示し始める。もちろん、この作業の進行中に他の画像への作業を始めてもよい。

Over Black にチェックを入れることだけを省いてまったく同じことを繰り返せば、個々のスライドにタイトルを付けることもできる。Clip Viewer で好きなクリップを1つ選んで、また別のタイトルスタイルを選んでみよう。それからタイトルをタイプして、フォント・フォントサイズ・カラー・継続時間などのオプションを Titles 画面のコントロールを使って設定する。そしてこのタイトルスタイルを、表示させたい画像のすぐ左の場所に置く。すると、iMovie はそのタイトルをそのクリップに上書きしてくれる。タイトルの継続時間をクリップの表示時間よりも長く指定すれば、そのタイトルは次のクリップまで続けて表示される。また、最後のクリップであった場合には自動的に新たなクリップがムービーの最後に追加される。

トランジションを付ける -- ここまでの作業で、たくさんのスライドが望みの順番で現われ、そのうちのいくつかにタイトルが付くようになった。けれども、個々のスライドはまだ次から次へと唐突に出現する状態のままだ。そこで、これをもう少し人目を引くようなものに変えてみよう。昔の Kodak のプロジェクターのスライドショウで一番人を感激させたのは、2つのプロジェクターを使って画像を交互に写し、次々に次の画像に溶け込むような効果を生ませたことだった。今のムービーでも、Overlap トランジションを使えば同様の効果が得られる。Shelf で Transitions ボタンを押せば、利用可能なトランジションの種類の一覧が表示される。そこで Overlap を選んでみよう。この効果の継続時間は Speed スライダーをドラッグして調整できる。プレビュー画面で確認して効果が気に入ったら、そのトランジションを効果を付けたい2つのスライドの間の部分にドラッグしよう。すると、iMovie は Clip Viewer にトランジションアイコンを表示して、トランジションのレンダリング作業を始める。

ナレーションを付ける -- この時点で無声映画に相当するものができた。そこで次にこれをトーキーに変えてみよう。Shelf の Audio ボタンをクリックすれば Audio パネルが現われる。録音を始める前に、Monitor 画面の Playhead をナレーションを開始すべき位置に動かしておく。内蔵マイク、またはあなたの Mac に接続された外部マイクを使い、Record Voice ボタンをクリックしてその画像についての話を録音してみよう。終わったら、Stop をクリックして止める。

iMovie があなたの声を録音している間は Timeline Viewer が現われて、いつクリップが始まり終わるかについてより詳細な情報を表示していたはずだ。録音した部分には、タイムラインのオーディオトラック部に小さなオレンジ色のバーが表示される。セグメントをクリックすればそのボイスクリップの継続時間がわかる。その画像の表示時間をナレーションの継続時間に合わせたいと思えば、その画像のクリップを選択してから Clip Viewer に戻り、Time フィールドを編集すればよい。以上の作業を、ナレーションを入れたいスライドすべてについて繰り返す。サウンド効果を追加することもできる。iMovie にはいろいろな楽しいサウンドも付いていて、Timeline Viewer または Clip Viewerにドラッグすれば使える。

サウンドトラックを付ける -- 最後のステップは、あなたのスライドショウに音楽を付けることだ。AIFF または MP3 のオーディオファイルを読み込むことができて、読み込んだ後は iMovie の2つ目のサウンドトラック領域に紫色のバーとして現われる。音楽を開始したい位置に Playhead を動かしておいてから File メニューの Import File コマンドを使い、音楽ファイルのあるフォルダを開いてクリップを読み込めばよい。音楽が長すぎた場合はサウンドクリップの右端にある三角をドラッグすれば短くなる。iPhoto とは違って、音楽クリップを好きな場所に追加することができるのだ。

さて、これで完成した! プロフェッショナル級のスライドショウが、あなたの手で作られたのだ。さあ、あとはこれを世界中の人に向けてリリースするだけだ。

ムービーを書き出し -- 出来上がったスライドショウを iMovie から取り出すにはどうすればよいのだろうか? もしもそれを電子メールで送ったりウェブにポストしたりしたいのであれば、目的に応じたサイズの QuickTime ムービーとして書き出すのがよい。もしも受け手がコンピューターを持っていない人ならば、ビデオテープか DVD で送るのがよいだろう。

File メニューから Export Movie を選んで、現われたダイアログの上部にあるポップアップメニューから QuickTime を選ぶ。iMovie には各種のサイズのムービー、例えばウェブムービー、電子メールムービー、CD-ROM ムービーなどへの書き出しに応じたよく使われるいくつかのセッティングが用意されている。高品質になればなるほどムービーの必要とするディスク容量は大きくなるので、マシンのパワーが充分でディスクの空き容量もあることを確認しておく必要がある。

ビデオテープを作りたい場合には、2つ方法がある。1つ目の方法はまず To Camera または For iDVD の書き出しオプションを使って QuickTime ムービーに書き出してからそれを普通のビデオ録画機にコピーする方法で、もう1つはコンピューターから直接録画する方法だ。最初の方法の方が品質は高くなる。なぜなら MiniDV テープまたは DVD から録画するのと同じだからだ。後の方法ではあなたの Mac がビデオ出力ポートを持っていて適切な RCA スタイルのケーブルで VCR 機と接続されていることが必要となる。iMovie のモニターでフルスクリーンをクリックしてから VCR 機の録画ボタンを押す。この2つの動作をうまく同期させるには何度か練習が必要かもしれない。

どちらの方法にしても、これであなたにもスライドショウが作れたわけで、それもビジネス用プレゼンテーション作成プログラムで作ったありふれたものよりもずっと良くできているだろう。しかも、その制作のために Mac OS X にアップデートする必要もなかったし、サードパーティーのソフトウェアを購入する必要もなかったのだ。そして、この制作のプロセスを通じて、きっとあなたもiMovie が使っておもしろいツールだということを、それもデジタルカムコーダーなど持っていなくても充分に使えるのだということを、きっと実感することができたのではないだろうか。

[Charles Wu は Mountain View, CA と Denver, CO を行き来しながら暮らしており、現在経済的には社会の余剰労力集団に属している。これからビジネススクールに行くか、それとも職業人に戻ろうか、と思案中だ。彼の前回の職業はTechnical Marketing manager で、その前にはソフトウェアエンジニアやプロダクトマネージャとしていろいろなテクノロジー関係の会社のビジネス部局で働いたこともある。けれども彼は依然として将来どんな大人になりたいのか決めかねており、いろいろなおもしろいアイデアをあたためているところだ。趣味として、Denver のレストランを紹介する Zig Zag Club という名のサイトも運営している。]

<http://www.zigzagclub.com/>
<http://homepage.mac.com/ccwu/>


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