TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#634/17-Jun-02

デジタル写真やムービーを世界中の人に見てもらうために iDisk にアップしたところ、それを見に行った人たちが追い帰されてしまうという経験をお持ち?最近の MacMania Geek Cruise に引続いて、こんな事が最近の Adam に起ってしまった。これに触発されて、Apple が最近(しかもこっそりと)導入した iTools の帯域幅制限措置について調べてみた。そして、Mac OS X へのアップグレードガイドの Part 2 をお届けする。さらに、Internet Explorer 5.2 for Mac OS X と Kensington の MouseWorks for Mac OS X 2.0 のリリースについてお伝えする。

記事:

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MailBITS/17-Jun-02

Internet Explorer 5.2、Quartz テキストスムージングを追加 -- Microsoft は本日 Internet Explorer 5.2 for Mac OS X をリリースした(5.1.4 がそれ以前の Mac OS 用としては最新バージョンとなる)。Internet Explorer 5.2 の新機能は一つだけである - Mac OS X 10.1.5 ユーザーのための Quartz ベースの(アンチエイリアスによる)テキストスムージング対応である。テキストスムージングが気に入るかどうかは、モニタ、選択フォント、そしてご自身の目による;もし気に入らない場合は、Internet Explorer の Preferences ウィンドウの Interface Extras ペインで動作しないように設定できる。その他もう一つの変更があり、Internet Explorer はあなたのブラウザ・ホームページを以前にどの様に設定してあるかに関係なく MSN へと傍若無人にリセットしてしまう。それからインストーラも気に障る。それはインストールする前に走っているアプリケーションすべてを終了させてしまうのである。これは Mac OS X では普通不必要で明らかに尋常ではない類のものである。私の場合で言えば、結構沢山のユーティリティをログイン時に起動するよう設定しているので、一個ずつ探し出して個別に立ち上げていくよりも Mac を再起動する方が手間が省ける。最後に、このアップデートが従前のようにSoftware Update 経由でないというのが奇妙である。ひょっとしてこのリリースは、Apple の iChat の AOL Instant Messenger 対応の発表などと関連させてみると、Apple と Microsoft の乖離を意味しているのであろうか?そしてまた、これは Apple が iApps を補完する Web ブラウザをリリースする前兆なのであろうか?[ACE](カメ)

<http://www.microsoft.com/mac/products/ie/>
<http://www.microsoft.com/mac/DOWNLOAD/IE/ie52.asp>

MouseWorks for Mac OS X 2.0 リリースされる -- Kensington は同社のマウスやトラックボールを Mac OS X 下でコントロールするソフトウェアの最新版を公開した。MouseWorks for Mac OS X 2.0 で、これまでの独立したアプリケーションではなく preference ペインの一部となっておりかつアプリケーション毎に固有の設定を保持できる。いかなるボタンアクションに対してもキーストロークを割当てることができ、かつ Turbo Mouse Pro の DirectLaunch ボタンを、どんなMouseWorks アクションでも実行するようプログラムできる。このアップデートは無償であり 2 MB のダウンロードとなっている。[JLC](カメ)

<http://www.kensington.com/support/sup_1283.html#macosx>


iTools HomePage での帯域幅制限

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週号のアラスカへのクルーズの記事の中で、クルーズの船上に居ながらにして iPhoto で私の iTools HomePage サイトに作ったフォトアルバムに、いくつかのリンクを含めてみた。クルーズ中には、友人たちも家族も、問題なくこのフォトアルバムを楽しむことができた。だから、TidBITS の記事が出るやいなや問い合わせの電子メールが殺到し始めた時には、本当に驚いてしまった。問い合わせのメールは、申し合わせたように同じ苦情を言ってきた。帯域幅の制限を超えたとかの理由でこのサイトの写真にアクセスできなかったというのだ。この問題を掘り下げて考えてみる前に、問題の写真はすでに私のサーバーに置いてあることをお知らせしておきたい。(このエクスポート作業には iPhoto の BetterHTMLExport プラグインを使った。)クルーズの写真を見たいと思って下さる方は、どうぞこちらのサイトを使って頂きたい:

<http://www.tidbits.com/photos/alaska2002/index.html>
<http://www.droolingcat.com/software/betterhtmlexport/>

さて、問題の所在を調べてみて、TidBITS Talk に寄せられた情報も合わせると、どうやらこの帯域幅制限を実施しているのは Apple だったらしいということがわかった。それもまったく警告も無しに、この5月の中旬になって Apple は突然、帯域幅制限を始めたらしいのだ。これまでこのような制限に会わなかったことからも、この突然の制限というのが本当らしく思える。MacInTouch サイトではこの問題に関する読者からのメッセージをまとめて公表しているので、問題の全貌をつかむのに大いに助けになると思う。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1666>
<http://www.macintouch.com/homepagelimit.html>

冷たく厳しい数字 -- 実際にどれだけの制限が課されているのかは、しばらくの間まったくわからなかったが、そうこうするうちに Apple の討論フォーラムに投稿があって、少なくともいくつかの点については事情が判明した。その情報によると、1つの HomePage ウェブサイトが6時間以内の期間に 500 以上のヒットを受けると、Apple はそのサイトから転送できるデータ量をその6時間の間トータルでそのユーザーの iDisk 許容量のほぼ2倍までと制限する、ということらしい。私の状況に当てはめて具体的に考えてみよう。私が公表した写真はほぼ 50 枚で、これは私の iDisk の上でほぼ 5 MB の容量を占めている。たった 10 人の人が私の写真をすべて見るだけで、私の 500 ヒットの制限に達してしまう。仮に、Apple が疑わしきものは罰せずということでその時点で帯域幅の計算を開始したとしても、私に許されている 40 MB のデータ量(私の iDisk 許容量 20 MB の2倍)に達するには、写真が全部で 5 MB なので、たった 8 人の人で限界に達してしまう。つまり、総合計 18 人のビジターでお終い、その後は Apple が扉を閉じて入場お断り、ということになるのだ。考えてみれば、当初私の友人たちや家族たちが問題に出くわさなかったのは、私が写真を4つのセットに分けて公表したのが原因だったのかも知れない。もしも50 枚の写真をまとめて1ヵ所にしていたら、私が最初に知らせを送った 56 人の家族や親戚たちと 21 人の友人たちだけでも、充分このサイトをダウンさせるだけのトラフィックを発生させていたのかも知れない。

料金を Apple に払って追加の iDisk 許容量を買っていた人には制限は少し緩くなっていて、6時間以内に 500 までのヒットならば制限はその6時間内にiDisk 許容量のほぼ 14 倍まで、ということになっている。6時間以内にヒットが 500 を超えると、とたんに制限が iDisk 許容量の 2.5 倍までになる。例えば料金を払って 20 MB の追加 iDisk 許容量を買い、写真をいくつかポストしたとしよう。50 枚の写真を 10 人の人が見ただけで 500 ヒットの制限を超えるのだから、それ以後はデータ量が 100 MB(40 MB の 2.5 倍)までに制限されることになる。1人 5 MB として、それはつまり 25 人、最初の 10 人と合わせて総合計 35 人のビジターで終わり、ということになる。

<http://discussions.info.apple.com/WebX?14@181.nxOfaRJlcZf^3@.2cd7e1fe/6>

確かに無料サイトなんだけど... もちろん、iTools の使用をどのように圧迫しようと、その権限はすべて Apple の自由であることは言うまでもない。iTools アカウントの使用は無料であって、iTools ユーザーが消費しているディスク容量や帯域幅にかかる実際の経費はすべて Apple が負担しているのだ。誰も Apple の今回の行動がフェアでないなどとは非難していないし、また、そのような非難はすべきではない。

しかしながら、Apple がこの決定を下すことによってユーザーとの関係において大きな汚点を残した、ということには疑問の余地がないだろう。Apple はこの決定に関して一切公式発表をしていない(私たちからの説明の要求にも何も答えてくれない)し、この制限の内容について説明したパーマネントのウェブページも無い。サイトがアクセスできなくなる場合にユーザーへの警告が前もってなされることも無い。ビジターがアクセスしようとして拒否される際に代わりのページに現われるエラーメッセージも意味のよくわからない文章だ。これまで明晰で使いやすいインターフェイスを誇りとしてきた会社としては、これほどひどい堕落は信じられないと思う。何もロケット科学の話ではない。ただの一般常識に過ぎないのに!

このポリシーはさらに深く波及する意味合いを持っている。Apple は iToolsを Mac を買って使うことの特典として大きく宣伝しており、ユーザーに iToolsを使うことを積極的に勧めている。Mac OS X の Finder からは直接 iDisk をマウントでき、iPhoto からは写真を直接 HomePage フォトアルバムとして公表できる。Mac OS X や、Apple 製のアプリケーションと iTools とのこのような統合は、iTools 自体がこれらの製品の機能の一部として働いていることを意味しているのであって、今回のように帯域幅制限によって iTools に束縛を加えることは、即ちこれらの製品にも悪い影響を与えざるを得ないのだ。私がiPhoto を使って自分の写真を HomePage にアップロードするのはそれが自分のウェブサイトにアップロードするよりもずっと手軽だからであって、このアップロードの手軽さこそが旅行中には何よりも有難かったかったからだ。しかし、今回 HomePage を使って私の写真を見ることができるのがほんの少数の人々だけだということを知ったからには、私は今後決してこの機能は使わない。他のiPhoto ユーザーたちにも、もしもこの帯域幅制限にかかる可能性があると思うならばこの機能は使わないようにと、勧めるようにせざるを得ないだろう。

<http://www.apple.com/macosx/theater/itools.html>

iTools が重大な意味を持っているユーザー層の1つが、独立の Macintosh ソフトウェア開発者たちだ。彼らが Macintosh ソフトウェアを iTools で配布したいと思うのは、ただ単にそれが無料のウェブホストであるというだけではなくて、それが Macintosh の総合体験の一部だからなのだ。TidBITS 編集スタッフの一人である Matt Neuburg も、彼の書いたフリーウェアのユーティリティ、MemoryStick を Apple のサーバーに置きたいと思った動機を説明しつつ、見事にこう表現してくれている:

<http://homepage.mac.com/mattneub/FileSharing1.html>

「MemoryStick は無料で、Apple の無料のツールを使って書かれており、Mac OS X ユーザー用であって、Mac OS X の体験を改善するだけでなくその体感を深化させてくれる。その上、これは Mac OS X に統合された Apple の無料サイトから入手できる。すべてが我らコミュニティー精神に完璧に調和して、“すべてが Apple、いつも Apple”の言葉の通りだ。だからこそ、今回 Apple 自身がこの精神に逆らって Mac OS X ユーザーたちがダウンロードできないようにしているのが、残念でたまらない。」

今回の帯域幅制限によって、Macintosh ソフトウェアのホストとして iToolsを使うのは現実的でなくなった。開発者のサイトが現に制限にかかるかどうかは別にしても、サイトがいつダウンするかどうかまったくわからない、という不安定な状態はとうてい許容できるものではない。もちろん、iTools のメンバー規約書を注意深く読めば、iTools は個人的使用のみのためのものであると規定されているので、シェアウェアをポストするのはこの規定外のことになるだろう。シェアウェアをポストする最適の場所は Info-Mac Archive で、ここに投稿すれば自動的に世界各地に数多くある Info-Mac ミラーサイトにもファイルが置かれるので、製品紹介ページにそのリンクを入れておくだけで良い。

<http://itools.mac.com/1/membership_terms.html>
<http://www.info-mac.org/how/submit.html>

iTools はこれまで Apple と Macintosh テクノロジーを宣伝する最高の媒体として機能してきたのだが、今回の帯域幅制限によってすべてが否定的な印象で置き換えられようとしている。以前には、Windows ユーザーをつかまえてはiPhoto と HomePage を使ってフォトアルバムをウェブにポストするのがどんなに易しいかを自慢するのが楽しみだったし、Windows ユーザーにそのようなウェブページの写真を見てもらうだけでも Mac の優位性を説明できたものだった。けれども今後は、それをしようとすると「帯域幅超過」の意味不明メッセージのページしか開かないかもしれない、と思っただけで、HomePage の利用は恥ずかしい以外の何物でもない。

最後に言い添えておきたい。今後も HomePage を使い続けようという人たちは、ごく簡単な方法で“denial of service”アタックが実行できることを忘れないで欲しい。ほんの数ページのフォトアルバムでも、数回繰り返しロードすれば、すぐに帯域幅制限に達してしまうのだから。自動的にこのアタックを繰り返して非常に多数の HomePage サイトを一度に帯域幅超過に陥らせてしまうようなロボットを設定することさえも、おそらく難しくはないだろう。

解決のためのアイデアをいくつか -- この問題を避けるために Apple がどうすればよいのか、私にはいくつかアイデアがある。いずれも、帯域幅をより良く管理するか、または何らかの方法で現金を得て負担の支払いに充てるかのどちらかの方法だ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06595>(日本語)インターネットのトラフィックに手を入れる
<http://www.packeteer.com/products/packetshaper/>

<http://www.apple.com/switch/>

人気のありすぎるサイトのために問題が引き起こされることのないような形でApple が HomePage サイトを続けて行けるための方法は、他にもたくさんあり得るだろう。iTools がオペレーティングシステムやアプリケーションたちと統合されていることが疑いもなく有用であり、同時にステータスを高める役割も果たしていることを考えれば、Apple は是が非でも必死になってこの問題に取り組んで、Macintosh ユーザーたちがこれまでのように実質的に iTools を使い続けることができるように、そして帯域幅の使用が増えたからといっていきなりサイトがダウンさせられるような心配がないように、してもらわなければならないと思う。


Mac OS X 移行の落し穴を避けよう Part 2

文:Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳:倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>

Mac OS X は Macintosh の未来かもしれないが、多くの人にとっては現在の一部とは言えない。 Mac OS X があらかじめインストールされたコンピュータを買ったのでなければ、Mac OS 9 からの移行はソフトをインストールして仕事を再開するだけといった簡単なものではない。 先週の記事Mac OS X 移行の落し穴を避けよう Part 1では Mac OS X へアップグレードするべきかの判断において考慮すべき点を挙げ、どのように準備するべきかを述べた。 今週は移行を出来る限り楽にするための手順について述べたい。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06848>

ハードドライブの準備 -- Mac OS X のインストールを開始する前にハードディスクについて考える必要がある。 多くの人達は Mac OS X のインストールが失敗した時の回復を楽にするためにハードディスクを Mac OS 9 と Mac OS X 用の二つのボリュームに分割することを勧めている。 人によってはさらに分割する人もいる。 個人的な判断だが、私から言わせてもらえば、分割は不要だし、結果としては面倒の元にすらなり得ると思う。

HFS+ でフォーマットされた 10 GB のハードドライブを内蔵した Power Mac G4 を購入するまでは私はいつもハードドライブを三つに分割していた。 一つはオペレーティングシステムに、一つはアプリケーション、そして一つは書類用だ。 初めて 30 MB のハードドライブを購入したときから今に至るまで、HFS のブロックサイズの短点を避けるためとバックアップの必要性を減らすためだ。 しかしそれは同時に、Finder と Open ダイアログの複雑さを増加させ、Desktop を狭くし、バックアップ戦略を難しくした。 一つのパーティションに切り替えるまであまり気にならなかったが、いざ切り替えたらはるかに使い易くなった。

それに、Apple が新しい Mac に Mac OS X を搭載して発送する際には、パーティションは一つだけだ。 私にとって、これは Apple が一つのパーティションをデフォルトと考えており、このアプローチに対応したテストを重点的に行ったことを意味する。 簡単に言えば、もしハードドライブを Mac OS 9 と Mac OS X ボリュームに分割したいのであれば構わないが、それはおまけと考えても良い。 もしそうするのなら、バックアップ戦略には細心の注意を払って、全てのパーティション上の必要なデータを保存するよう気をつけるべきだ。 また、外付けの大容量のハードドライブがあれば、ディスクを再フォーマットして分割している間にデータを全部入れられるし、複数のパーティションを設定するのも楽だ (これは二次バックアップとなるから心配の種も減る) 。

インストール前に Mac OS X インストーラがディスクをチェックしてくれる。 それでもディスクのコラプションをクリアしたことを確認するためにも Disk First Aid を (もしくはあるのなら Alsoft の DiskWarrior を) 手動で走らせることを勧める。 また、Mac OS X の何万というファイルが順番に配置されるよう、ディスクを最適化するのも良いだろう。 PlusOptimizer や Tech Tool Pro などのツールを使用しても良いし、データをバックアップし、ディスクを再フォーマットし、バックアップから全てを復元する。 どの手法を使うにせよ、いざという場合に備えてハードディスク全体の完全なバックアップをとるべきだ。 いつもの繰り返しとは分かっているが、オペレーティングシステムの大掛かりなアップグレードの場合は特に大事になる。

<http://www.alsoft.com/DiskWarrior/>
<http://www.alsoft.com/PlusOptimizer/>
<http://www.micromat.com/>

もし私みたいに Mac OS X へのアップグレード前に Mac に新しいハードディスクを抛りこむというのであれば、最適化が不要なきれいなディスクという利点がある。 なぜならバックアップからの復元や、別のディスクを別のディスクへ再生するのはディスクの最適化につながるからだ。 さらに良いことに、この方法を使用すると自動的にバックアップが出来る。 必要となれば古いドライブを入れなおせば良い。

順番にインストール -- いよいよインストールだ。 運が良ければ、Mac OS X 10.1 CD-ROM が手許にあるだろう。 私はそこまで幸運ではなかった。 10.1 アップグレードの CD-ROM はあったものの、それは既存の 10.0 インストールしかアップデートできない。 私は何時間もかけて 10.0 をインストールし、それをまともに使えるところまで Software Update に更新させ、10.1 アップグレードをインストールし、また Software Update に任せた。 途中の 10.0 のステップを飛ばせたかもしれない。 だが正直なところ、Mac OS X の中がどのように働くかよく知らないため、危険を犯すのは避けた。 読者も同じく用心することを勧める。 Apple が Mac OS X への更新は定められた順番にあてがわなければいけないと言っているのなら、ちゃんと分かっていてそう言っている理由があるのだと信用することにしよう。 インストール手順を開始する前に Apple の Knowledge Base の次の二つの記事を読むべきだ。

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=106718>
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=106692>

もしインターネットへのコネクションが遅いモデム越しである場合は、Software Update がこれら全てのアップデートをダウンロードするには数日間かかってしまうだろう。 先週、この記事の頭で述べてように、都合の良いときに必要なアップデートを手動でダウンロードしておいて、自分であてがったほうが良いアプローチだろう。 この場合大事なのは順番を間違えないことだ。 それぞれのアップデートが間違いを防いでくれるほど賢いかどうか、私は知らない。 以下の Knowledge Base の記事が必要なインストーラの一覧とそれらのインストールするべき順番について述べている。

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=106713>

主要な Mac OS X インストーラと Software Update を使用すると、BSD サブシステムやディベロッパのツールを始め、追加プリンタドライバや AirMac ハードや iPod 用の Apple のドライバをインストールするオプションが提供される。 小さすぎるハードディスクに Mac OS X を詰めこもうとしているのでなければ、これらの追加部分をインストールすることを勧める (理解できない言語用の言語キットを飛ばすのは問題ないだろうが) 。 全部終わってからこれらをインストールできるのかどうか、はっきりしていないからだ。 ディスク容量は安いものだし、Apple のインストーラが何をしているのか勝手な推測をするには Mac OS X はまだややこし過ぎるからだ。

完了すれば、標準的な Mac OS X インストールとなる。 ちょっと探検して実験してみると良い。 だが、設定を終えたら使い勝手が変わってくる事は覚えておきたい。

アプリケーションとユーティリティのインストール -- 次はダウンロードしておいた Mac OS X 専用のアプリケーションやユーティリティのインストールだ。 iView MediaPro などのように既にカーボン化されたアプリケーションでなければ、Applications (Mac OS 9) フォルダから Applications フォルダへプログラムをドラッグすることは勧められない。 新旧の混乱を避けるためにも Mac OS X 用のアプリケーションは時間をかけて徐々に増やしていくべきだ。 もし Mac OS 9 へ戻る必要があれば、 Mac OS 9 用のアプリケーションはあるべき場所にそのまま残っている方が良いだろう。

Mac OS X 用プログラムは Applications フォルダ内へインストールすることを勧める。 Applications フォルダ内になければ全く作動しないプログラムもあるからだ。 例えば、Retrospect Client フォルダを Applications フォルダから移動すると、Retrospect Client は自ら作動不可能になる (このバグは Dantz も認識しており直す予定だ) 。 言い直せば、階層を自分なりに作り直すのは今は手加減するべきだということだ。 時間が経てば、大きな問題ではなくなるだろう。 だがそれまではアプリケーションをどこにでも移動して良いとはっきり述べてなければ Applications フォルダに置いておくべきだろう。 (これは Applications フォルダ内のデフォルトの Utilities フォルダも含む。 )

インストール段階においては管理者パスワードを何回も入力するのに辟易するかもしれない (悪質なハッカーを非常に心配しているのでなければ短くタイプしやすいものにしておく良い理由だ) 。 残念だが、これを避ける方法はない。 その代償としては、Mac OS 9 とは異なり、インストール後にいちいち Mac を再起動しなくて良いことと、インストーラを走らせている時にどの機能拡張が含まれていたかを心配しなくて良くなったことがある。

一旦ユーティリティをインストールしたら期待通りに作動するように設定を行おう。 私にとって一番大事な手順は Kensington Turbo Mouse の予備のボタンの作動の為に MouseWorks を正しく設定することと、 QuicKeys X を設定してファンクションキーを使ってアプリケーションを切り替えたり、頻繁に活用するテキストショートカットを登録することだった。 これを行うまでは Mac OS X はぎこちなく馴染み難いものに感じられるだろう。 しかし使い慣れたインターフェースを復活させると全然違ってくる。

<http://www.kensington.com/support/sup_1170.html>
<http://www.cesoft.com/products/qkx.html>

また、Finder の Preferences ウィンドウから選択できるオプションにも慣れておくべきだ (Finder のアプリケーションメニューから開く) 。 Mac OS 9 からやってきた人達にとってはウィンドウ使用に関するオプションが一番大事かもしれない。 フォルダが新しいウィンドウで開くようにしたいと思うだろう。 フリーウェアの ASM ユーティリティを使用すれば Mac OS 9 のように、アプリケーションのウィンドウをどれでもクリックすればそのアプリケーションのウィンドウ全てが連動するようになる。

<http://asm.vercruesse.de/>

書類を移動 -- ここまでの手順はどれも元に戻せないものはなかった (もっとも、使いたいと思わなければ Mac OS X をハードディスクから取り除くのは不可能と言って良いほどややこしい。 手動での削除が効かないから、再フォーマットし、バックアップから復元するのが一番確実だろう) 。 しかし、書類の配置に関しては二つの選択肢がある。 全てを Mac OS X ユーザフォルダに移動して Documents フォルダや Apple がデフォルトで提供する最高層のフォルダに分配するか、もしくはそれぞれのフォルダ中にエイリアスを作って Mac OS 9 と Mac OS X 双方から同じようにアクセスできるようにするかだ。 例えば、Mac OS 9 で起動しても電子メールを読めるように、私は Eudora Folder を Mac OS X の Documents フォルダに移動し、ハードディスクの最高層にある Mac OS 9 Documents フォルダ中にそれへのエイリアスを作った。 最初の数日以降 Mac OS 9 で使用する必要はなかったが、その間にメールを紛失する心配する必要がなかったのは気が楽だった。 もっと一般的に考えれば、互いに Documents フォルダのエイリアスを作れば良い。 (Mac OS 9 の隠れた Desktop Folder をe Mac OS X Desktop へリンクする簡単な方法は見つけられなかったが。 ) 心配ならば、Mac OS X があると予想している場所にオリジナルを置いておき、Mac OS 9 が期待している場所にはエイリアスを置くのが良いだろう。 Mac OS X の方がうるさくて、文句を言う可能性が高い。

ファイル整理方法を細かく定義している人にとっては Apple が提供するデフォルトのフォルダは既に使いづらいものになっているだろう。 無視しても良いが、削除してはいけない。 Apple や他の会社はそれらが存在することを前提にしている。 例えば iPhoto の場合はその iPhoto Library を Pictures フォルダに収納する。 だが新しい最高層のフォルダを作るのは自由だ。

使用して再評価 -- ここまで来たら、インストールと設定はほぼ完了しており、出来る限り普通に Mac を使用し始める時期だ。 もちろん、Finder のコラムビューや Dock など明らかに異なるところもあり、これらが気に入るかどうかの判断もある。 使えないと簡単に諦めるべきではない。 違うからと言って悪いとは限らない。 私はいつも新しいユーティリティをテストするので、Mac OS X の新しいアプローチも、新しいユーティリティを一つインストールしたと思って対応した。 行ビューなどは使っても良いと感じたが、Dock をランチャーとして使用するのは時間の無駄との結論に達した。

Mac OS X に慣れるまで、数日はかけよう。 その間、何が気に入らなくて、何がよく分からなくて、何が障害になるかなど、メモをとっておこう。 Mac OS 9 からやり方を変えたからという一般的な Mac OS X に対する不満をよく耳にするが、問題の細部について尋ねると簡単に解決や説明ができるようなものばかりだ。 例えば、私の父はアップグレードするまで Mac OS 9 Desktop に色々な物を保存していた。 しかし Mac OS X では Desktop (Mac OS 9) エイリアスからしかアクセスできないということに気がつかなかったため、彼はファイルが紛失してしまったと怒っていた。 問題が何であるか私が理解出来たところで、私達は古い Mac OS 9 Desktop から該当するフォルダか Mac OS X Desktop へ全部移動してこれを解決した。

現実的には、この使用と再評価の過程は Mac OS X の使用に慣れる間、続くだろう。 ほぼ同じようなアプリケーションを使用しているからといって Mac OS X を Mac OS 9 と同じくらい使いこなせるようになるとは思わないほうが良いだろう。 ある程度時間がかかると思うべきだ。 私も Mac OS X の登場以来、iBook で使ってきて、過去数ヶ月は休みなく Power Mac G4 で使用しているが、時々壁にぶち当たることがある。 そうなると、私は止まり、あちこちをつついてみて、友人に質問し、解決策を考える必要がある。 今のところ、大事なもので完全につかえてしまったものはない。 だが、Mac OS X のウィンドウを開く理論 (と呼べるかどうかも怪しいが) は、常に私の苛立ちの元になっている。 例えば、バックグランドのアプリケーションに属するウィンドウが一番前面にあるアプリケーションの上に現れるべき理由はないだろう。

私の観点からだけだが、この過程の利点もある。 例えば、ユーザを完全に削除する方法、Sites フォルダ中のファイルが Web Sharing でアクセスできない理由、Mac OS X がデフォルトのフォルダをどう使用するかなど、明らかでないものを解明するたびに、それについて記事を書きたくなるのだ。 これらのヒント集の記事を今後数ヶ月以内に発行する予定だ。 もし他のヒント記事の提案やリクエストがあるのならば、TidBITS Talk へ送ってくれれば考えてみよう。


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA