今週はニュースが盛り沢山だ。Apple は再度 WWDC のスケジュールを変更した。TidBITS 発行人 Adam Engst は Cornell 大学の特別研究員資格を得た。新製品には、Handeze の耐熱手袋、iChat 用の賢いアンチフレーミング・プラグイン、Keynote 互換の Canon PowerShot デジカメ、iPodPowerMate と、お子様サイズ Segway。Adam は Xserve 用のアドオン製品についても検証し、Tonya は Word 5.1 についての歓迎すべきニュースを伝える。そして我々はMacintosh オーナーならみんなその声を知っているあの人にインタビューした。
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Cornell 大学 Computing and Information Science
我々の研究 <http://www.cis.cornell.edu/infoscience/>.
Cornell 大学図書館、稀覯本と自筆原稿のコレクション
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Apple が再度 WWDC のスケジュールを変更 -- これで2回も世界中の人の胆をつぶしたことになる。Apple は今日、来たるべき Worldwide Developer Conference のスケジュールを再び変更して、東海岸での Macworld Expo をキャンセルしてその代わりとして新たに開催されることとなった Create conference と合流し、2003 年 7 月 14 日から 2003 年 7 月 18 日までの期間、ニューヨーク市の同じ会場において開催する、と発表した。Apple 社の Worldwide Developer Relations 担当副社長 Ron Okamoto 氏によれば「我々は MacHack の主催者とも協議し、またニューヨーク市での Create conference における会場の空き状況についての先日の発表をも勘案した結果、今回の決断が Apple にとっても Macintosh デベロッパーのコミュニティーにとっても、共に最良のものと判断した」と述べた。前回の変更、つまり 6 月のサンフランシスコへと WWDC の開催を変更した時と同じく、Apple の勝手に引き回されて飛行機やホテルの予約を変更せざるを得なかった人々に対し、それをまたもやもう一度やりくりして変更できるようにと、Apple Developer Connection ではできるだけの便宜を図ることを約束している。
<http://developer.apple.com/wwdc/>
<http://www.macworldexpo.com/>
総合的に見れば、今回の変更はかなり良い評価を与えられるものと言える。なぜなら、Macworld Expo でさえもニューヨーク市の Javits コンベンションセンターの巨大な洞窟を思わせるホールを一杯にすることができなかったのだから、いわんやこの新開催の Create がそれを上回る観衆を動員できるとはとても思えないからだ。つまり、会場にはたくさんの未使用の部屋が出る、ということだ。それならば、おそらく Apple はごく安い料金で会場を使用できるようにと交渉が可能だろう。確かにニューヨークでの開催は安くはないが、2つのカンフェレンスを1つにまとめるならば、WWDC と Create 双方に出展する各社にとって実際かなりの費用が節約できることを意味するだろう。そればかりでなく、今回の決定は Create カンフェレンスの会場で皆があきらめかけていた Steve Jobs のキーノートが聞けることをも意味しており、Macworld Expo には必ず何かがあるはずと、皆がこれまでずっと期待してきた新製品の発表なども、引き続き楽しみにできるのだから。[ACE](永田)
アルミ製 PowerBook G4 用の新しいHandeze Glove -- 私は長い間Handeze グローブを他人に薦めてきた。少なくともこれは手の反復性ストレス障害を軽減してくれる効果がある( TidBITS-199_ の“Handeze Gloves”参照)。この指なし手袋は特別な種類の Lycra 合成繊維で作られ、私の手を温かく敏捷にして、僅かな圧迫が血行を促してくれるようだ。Handeze グローブ製造元の RH Sales は、本年 Macworld で発表されたアルミ製 PowerBook G4などの新型の熱いラップトップ用に特別にデザインされた第二世代の製品を開発した。この 25 ドルの Asbesteze グローブは、Lycra と耐熱繊維を組み合わせて作られており、アルミ製の PowerBook に置いたとき掌と手首が熱くなり過ぎて (炎症が悪化する) のを防ぐ。Macworld 誌は最近 PowerBook が華氏104 度 (40 ℃) に達すると報告しているが、Asbesteze グローブの内部に取り付けた温度センサーは快適な華氏91度 (33℃) を示しており、この温度は正常な人肌の温度だ。RH Sales の語るところによると、彼らは今 PowerBook の裏側で火傷しないよう膝を保護するための、冗談で彼らが “Asbestass”と呼んでいる予後治療製品の開発を進めている。痛ましい (そして他人に言えない)鼠径部の損傷をラップトップから受けたスウェーデン人の科学者の例もあるし、これはヒット商品になるだろう。[GF](細川)
<http://www.handeze.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=02372>
<http://hypertextbook.com/facts/2001/AbantyFarzana.shtml>
<http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/2503291.stm>
iPodPowerMate 公開 -- よくデザインされたコンピュータ付属品販売の好調を受けて、Griffin Technologies は今日 iPodPowerMate ( iPodのために特に作られたハードウェア・マルチメディア・コントローラー)を発表した。(TidBITS#653 の「PowerMate のパワーを解き放つ」を参照)それは自社オリジナルの PowerMateと同じ滑らかなクロム仕上でありながら、iPodを強調するのにより適切な小さいサイズの製品となっている。そして、2つの丸いコントローラーで音楽をコントロールすることができる。「iPodについて、Appleのデザインは素敵だと思うが、スクロールホイールはダイナミックではない。」と Griffin の Andrew Green は語った。「 iPodでrockin' musicを聞くなら、“大きな光るノブ”を是非使ってみて欲しい!」
<http://griffintechnology.com/products/ipodpowermate/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06974>
iPodPowerMate は適当な平面に置いて、FireWireケーブルでiPodと接続して使用する。PowerMate との決定的な違いは、iPodPowerMate に付属する独創的な取り付けキットで、これにより iPodPowerMate を直接 iPod のスクロールホイールに取り付ける。風変わりな追加点は、赤・白・青・緑そして琥珀色の5つの異なる色を点灯する内蔵のLEDを使っている点である。PowerMateは、マックのボリューム・レベルに基づいて点滅したり、一定の割合で振動するのだが、iPodPowerMateはFireWireインターフェースのおかげで、iTunes visualizerのように、音楽のビートにのってダイナミックに振動し、カラフルに色を変化させる。あなたのiPodをパワーアップして、明かりを消しパーティーを始めよう![JLC](湯本)
“トウガラシ”iChat プラグインがリリース -- シェアウエア作者であるSusan Valencia 氏は、Eudora がインストールされている (標準の電子メールプログラムである必要は無い) iChat ユーザー用に、Eudora の有名なMoodWatch 機能 (メッセージがどのくらい感情的かを監視する) をシミュレートしたプラグインをリリースした。この iChat 内部で動作する ChiliChat 1.0により、テキスト入力エリアの上に表示されるトウガラシアイコンの数でそのインスタントメッセージがどの位攻撃的かを知ることができる。この無料のプラグインは 23K のダウンロードで、現在は iChat でしか動作しない。もし要望がたくさんあれば、Valencia 氏は他の Mac 用インスタントメッセージ用ChiliChat も開発すると言っている。[JLC] (佐藤)
<http://www.susanvalencia.com/chilichat/>
<http://www.tidbits.com/resources/674/chilichat.jpg>
Canon PowerShot Keynote S250 -- 本当に発表されるまではここだけの話だが、 TidBITS-669_ 「PowerShot でプレゼンテーション」で Keynote のスライドを私の Canon PowerShot S100 (日本国内での名称は“IXY DIGITAL”) カメラに移して普通のテレビに表示するやり方について書いた後で、Canon が PowerShot 小型カメラファミリーの新モデル発売を計画していることを伝え聞いたのは面白いことだ。これは、次回リリースの Apple Keynote プレゼンテーションプログラムとの直接統合をウリにしている。このカメラを RCA プラグで接続してテレビやプロジェクターにスライドを再生するには、さほど変更の必要はないのだが、実際のところ主要な違いは、このカメラを presentation モードにすると、ひとつの絵から次の絵への切替えに Keynote で開発されたトランジションを利用できることだ。また、このカメラは presentation モード時、自動的にパワーダウンしない(省電力のため LCD ディスプレイは OFF になる)。Keynote 1.1 と iSync 1.1 を必要とするが、Apple は本日これらを発表するもようである。[ACE](細川)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07095>(日本語)PowerShot でプレゼンテーション
<http://powershot.com/powershot2/press_022703.html>
<http://www.apple.com/keynote/>
<http://www.apple.com/isync/>
TidBITS 発行人が特別研究員に -- Cornell 大学は本日、TidBITS 発行人の Adam C. Engst に対し、同大学の学際情報科学プログラムに関するフェローシップを授給することを決定した。Engst 氏の目指すもの、また長年にわたる TidBITS での業績や、PayBITS に代表されるような革新的な試みを裏打ちするものは、電子出版というものの過去および未来を探究し、個人ならびに組織による出版がいかに多様なやり方で実現し得るかを見通すことにある。彼は特別研究員として数々の講義を担当し、また大学院生や学部の高年次の学生たちとも協力して大学内の至るところでさまざまた形による電子出版の実践を創り出していくことになる。Engst 氏は「電子出版というものには、これが正しい、というような1つの決まった形などは無い。ある場合には、モデレータ付きのメーリングリストに、ウェブアーカイブあるいは共有 wiki を組み合わせたものが理想的になるし、またある場合には、個々の時間的経過を浮き彫りにできるという点でアーカイブ付きのウェブログが理想的、ということもあり得る。私は、Cornell 大学図書館の稀覯本・自筆原稿コレクション施設とも協力して、これらのやり方を実験してみたいと思う。このコレクションには、長年にわたる膨大な学生のスクラップブックが蓄えられているのだから。」と語った。
<http://www.cis.cornell.edu/infoscience/>
<http://rmc.library.cornell.edu/>
この動きは、またもや Cornell 大学と Harvard 大学との間のライバル関係のあらわれの1つだ、と一般には受け取られている。ごく最近、Harvard 大学はソフトウェア開発者の Dave Winer に、Berkman インターネット・社会学センターのフェローシップを授給した。CNET の Paul Festa とのインタビューで Winer 氏は、このフェローシップの目的を「Harvard の学生および教員に対して、ウェブに毎日文書をポストできる技術を教えること」と述べている。Cornell 大学研究管理事務副部長の Charlie Fay 氏は、「これこそ、大学相互間のあるべき姿というものだろう。ついこの間は、ECAC アイスホッケーリーグでうちが Harvard を延長戦の末破って優勝したじゃないか。それに今度は、この Adam Engst という、電子出版の限界を打ち破る活動を誰よりも押し進めてきた人物、それも 14 年にもわたってだよ。そういう人物を見つけてきたというわけだ。それに、この人は Cornell の卒業生でもあるのだ。1980 年代の終わりごろ、彼はまだ Cornell の学生ながら、もうそういう活動を始めていたのさ。彼の卒業論文はハイパーテキストによる小説についてで、彼は古典文学を専攻しながら Cornell のカレッジスカラープログラムでハイパーテキストの小説を手がけていたようだ。」と語ってくれた。[GD](永田)
<http://news.com.com/2008-1082-985714.html>
<http://www.ecachockey.org/Page_for_Men/championship/Cornell_Wins_ECAC_Championship_with_3-2_Overtime_Victory_over_Harvard>
お子様用 Segway 発表 -- 大々的に紹介されたにも関わらず、Segway Human Transporter (HT) は市場ではそこそこの成功しか収めていない。何人かのアナリストによれば問題の一部はその分類付けの難しさに原因がある。これは通勤に乗っていくべきか週末に乗るべきか、それとも郵便配達人や他の業種向けなのだろうか?多くの人達が一台欲しいと思っているようだが、何の為に必要かを答えられる人達は少ない。しかし、発明家 Dean Kamen がそのような疑問に答えを出した。Segway の広報担当者が次のように説明している。“大人は伝統的な交通手段に馴れてしまっており、個人的な移動手段の概念を完全には掴んでいません。だが、子供達はこれで大喜びしており、親の方も子供の送り迎えから解放されて喜んでいます。”
<http://www.segway.com/>
<http://www.segway.com/aboutus/press_releases/pr_040103.html>
本日、同社は Segway Kids Interactive Transporter (KIT)、通称“Segwee”を発表した。子供のサイズに合わせて縮小された (しかし成長に併せて調整可能な) Segwee は二つのゴツゴツしたタイヤと、同様のジャイロを使用した移動機構を備えている。意外なのは Segwee が大人用に比べて速度が速い点だ。Segway 広報担当者によれば“子供達は倒れることへの恐れが少ないだけでなく、高速での制御能力は大人より高いのです。”彼女によれば、Segwee は子供のバランス、器用さ、そして反射能力を向上させる可能性もある。しかし同時にこれらを裏付けるデータがないことも認めている。部品の値段が低いおかげで Segwee は Segway HT に比べてかなり低い価格に設定されている。$4950 に対して $995 だけだ。その低い値段と、教育予算削減でスクールバス路線が減りつつある子供達の需要から、売れ行きの悪い Segway HT に比べて、2004 年始めの発売開始から発売台数が優るだろうと見られている。[JLC] (倉石)
<http://www.wired.com/wired/archive/11.03/segway.html>
<http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/detail/-/B00007EPJ6/tidbitselectro00>
文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>
もしあなたが、我々のサーバが置いてある digital.forest のような本格的なデータセンターを見たことがあるなら、すべてのデータセンターには2つの特徴があることを知っているだろう。
まず騒々しい。ひとつの部屋に数百のコンピュータが稼働して騒音を出しているだけでなく、もっと耳障りなのはこれらのコンピュータを充分に冷却するため、沢山の空調ユニットが必要なことだ。ジェットエンジンのそばに居るほどではないが、ネットワーク管理者はたいてい別の部屋に避難して働くのはもっともだ。
*もうひとつはクリーンなことだ。データセンターはハードドライブ製造工場の塵ひとつ無いクリーンルームほどではないが、埃の蓄積はハードウェア障害を引き起こす。そのためクリーンに保つための多大な配慮がなされている。これらの空調ユニットには2つの役割がある。空気中に浮遊するいかなる塵埃も取り除くことと、室内の温度を下げることだ。
データセンターが騒音で一杯という事実こそ、実はラックマウントの中にあるXserve サーバの強力なファンが放つ音を Apple がそれほど心配していない理由の一つなのだ。Xserve はもともとあふれている騒音をちょっと大きくするだけのことだ。Xserve の最新版はやや静かになったと聞いているが、それでもたぶんあなたのオフィスよりもうるさいだろう。Xserve をオーディオやビデオに使っている人々はそれでも Xserve を防音ラックに納めることを望むだろう。
しかしながら、MacHEPA というある小さな新興企業のおかげで、 Xserve はただファイルやウェブページをサービスする以上のものになった。MacHEPA の特許申請中 HEPA (High Efficiency Particulate Air) フィルターをひとつかふたつ Xserve の未使用ドライブベイに差し込むと Xserve は空気から埃を実際に除去する。この空気はコンピュータに吸引され前面から背面に通り抜けるラックエンクロージャに必要な冷却アプローチだ。(MacHEPA はまた Power Mac G4 (Mirrored Drive Door) 用のドライブベイに差し込むバージョン、およびその過剰な騒音のファンから俗に“ウィンドトンネル”と呼ばれるマシン用も開発中だ。)
<http://www.machepa.com/>
<http://developer.apple.com/techpubs/hardware/Developer_Notes/Servers/Xserve/1Introduction/Features_of_the_Enclosure.html#TPXREF104>
MacHEPA フィルターの価格はひとつ 50 ドルで、交換用フィルターカートリッジ付きはさらに 25ドル高いだけだ。ひとつのフィルターカートリッジで少なくとも1年間は持つが、実際の寿命は環境の汚染度による。壁を削って工事したり、多量の埃を空気中に撒き散らせば、フィルターをもっと頻繁に交換しなければならないだろう。本当にクールなことは、MacHEPA が Apple の内部モニタリングソフトウェアと連動しており、フィルターの交換が必要になったらXserve の外側にあるライトが点滅する。そして Apple の Server Monitorリモートマネジメントアプリケーションの Blowers タブに警告が表示される。
<http://www.apple.com/xserve/management.html>
MacHEPA フィルターは、他社のサーバでごったがえすデータセンターの中ではそれほど差別化できないかもしれないが、Xserve で標準化された会社では、空気清浄用の高価な空調機器を使用する代わりに MacHEPA を取り付けて、所有にかかる総費用を削減することができる。クールではないか。Xserve の強力なファンは、通常の動作環境で Xserve を作動上限の 95華氏 (35℃) 以下に保つ能力がある。(極端な状況では、マシンが損傷する前に、Xserve の内部温度モニタリングでマシンをシャットダウンする) たいがいの場合、データセンターで、ある程度の空調があればそれほどの空調を必要としないかもしれない。むろんこれは地域の気候による。私はこれを蒸し暑いフロリダやオーストラリアの暑い地域で試してみようとは思わない。実際のところ、これらの地域では人が快適に過ごすため、ある程度の空調が行われている。
MacHEPA フィルターのさらなる利点は、室内空気と職業性喘息に関する OSHA (Occupational Safety & Health Administration) の作業環境安全指針に適合していることだ。
<http://www.osha.gov/SLTC/indoorairquality/>
<http://www.osha.gov/SLTC/occupationalasthma/>
digital.forest の技術運用担当副社長の Chuck Goolsbee によれば、digital.forest は、Xserve に MacHEPA フィルターを装備した、Xserve のみのデータセンターを検討中とのことだ。維持コストの面で個々のデータセンターは通常よりも安くなるだろう。digital.forest は、 Xserve/MacHEPA を組み合わせて使用する顧客により低廉なホスティングを提供することで、コストダウンを計画している。それに加えて、Server Monitor リモートマネジメントアプリケーションを使って、数千マイルの彼方からあなたのサーバがどれだけ汚れているかを見るのはなんとクールなことだろう。MacHEPA は我々が次のサーバを Xserve に決めているもうひとつの理由だ。
文: Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>
私は最近 TidBITS にあまり寄稿していないが、その理由の一つは、Microsoftの非常に有名な Word 5.1a を Carbon 化したバージョンで、そのほとんどの機能およびオリジナルとまったく変わらない外見・操作感を持つ、OS X 版Microsoft Word 5.1 の来るべきリリースに関して、Microsoft の Macintosh Business Unit (MacBU) にいる古い友人を支援していて忙しいことである。少数のベータテスター (全員以前の Macintosh Word Support Group メンバーである) が、Carbon 化の過程で生ずるバグを発見したり、厄介な Word 5.1 の古い問題に対するプログラミングをどのようにすればいいかなど、日夜を問わず努力している。
<http://www.microsoft.com/mac/word51X/>
Mac OS X 版 Word 5.1 の目標は、できるだけオリジナルを変更せずに Mac OS X で動作する、クリーンで Carbon 化されたバージョンを作成することである。Microsoft は、歯を食いしばり髪の毛をかきむしったあげく、今あるバグを残らず取り尽くす望みは無い、と宣言して、新バージョンからリンク機能を取り除くことを決定した。これはつまり、発行と引用、そして OLE (Object Linking and Embedding) 機能が付属しないということを意味している。Equation Editor と Microsoft Graph はミニモジュールとしてプログラム本体に組み入れられたため OLE を必要としなくなったが、Microsoft Graph はアップデートされなかったため若干動作が不良である。Mac OS X 版 Word 5.1 は、標準でオリジナルのインターフェースとアピアランスを再現しているが、初期設定ダイアログで Aqua スタイルのインターフェースをオンにするオプションを提供している。
このバージョンをどれだけオリジナルに忠実に再現するか、内部で大激論を戦わせた結果、Microsoft は Word 5.1 でもまだ残っていた設計上の誤りも訂正することにした。つまり、テーブルは改頁をまたいで印刷できたり、フットノート領域の番号を消すことでそのフットノートを消去できたり、また回転したテキストがより滑らかに印刷されるようになるということである。変更点はすべて付属の ReadMe ファイルに書いてある。
私はかつて Macintosh Word Support Group のメンバーだったが、ベータテストにはあまり参加していない。その代わり、私は 1993 年に書いた自著「The Word Book for Macintosh Users」(今回は Microsoft のプレス用として) を改定していた。Microsoft はすでに最終盤のゴールデンマスターをリリースしており、OS X 版 Word 5.1 は 5 月前半にもオンラインで 50 ドルにて発売されるだろう。付属するドキュメントはバルーンヘルプだけであるが、5 月後半には「The Word Book」の新版が書店に並ぶ予定で、価格は同じままソフトウエアがバンドルされることになるだろう。
<http://www.tidbits.com/tonya/twb.html>
Mac OS X 版 Word 5.1 は MacBU の素晴らしい仕事の賜物であり、古い Wordユーザーの多くが、オプション機能だらけの最近のバージョンから、古き良き時代の皆が精通していて Windows に毒されていないこのソフトウエアに乗り換 えてくれること期待している。
文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>
ある種の声はとても独特なので、その声が誰であるのかすぐ言い当てることができる。ショーン・コネリー、ジェームズ・アール・ジョーンズ、ブルーノ・カービーの声はすぐわかる。同様に独特だけれど、芸能スターほどには知られていない声もある。最近の旅行中に、私はテネシーのメンフィス空港で PowerBook を使っていたら、とても聴き慣れた男の声 (低音の間違えようもない) を聴いたので、勇気を奮い起こし PowerBook を携えて、その男 (ジーンズと黒ブレザーで50年代の服装) に近づき訊ねた「もしかして、あなたはFred さん?」ちょっと当惑したような笑いが顔をよぎったが、なぜ私が彼を知っているのかすぐに理解して、彼は答えた「そう...私がその Fred だよ」
Fred の声は世界中のあらゆる所で Macintosh ユーザに語りかける。何年も昔に Fred Cooper は Mac の中から最初の言葉をしゃべった。Steve Jobs が初代 Macintosh をキャンバスバッグから取り出して見せた後で、そのMacintosh は喋った “Hello. I am Macintosh. It sure is great to get out of that bag.”以下は、私と Fred の会話を書き記したものだ。オリジナルの録音は下記リンクの 2 行目をクリックすると聴くことができる。
<http://www.deanza.edu/35anniversary/historysec9.html>
<http://www.tidbits.com/resources/674/fred.mp3>
TidBITS: 最初に Macintosh チームに参加したのは、どのようないきさつからですか?
Fred: ほんとうに偶然だったんだな。ある日電話が掛かって来たんだけど、相手の言っていることが全然分からなかったんだ。でそれがバングラデシュから掛かって来たのに気付いたんだ。次に、ある人から別の電話が掛かってきて、どんな電話か問い合わせがあったんだ。その人は ウォズ、 Steve Wozniak だったよ。彼は俺の声をとても気に入ってくれて、彼の仲間を助けてくれないかと頼んできたんだ。
TidBITS: それはどんな仲間だったんですか?
Fred: 初代 Macintosh チームのメンバー達さ。Steve Jobs はコンピュータをお披露目するときに何か喋らしたかったんだけれど、彼らは信頼性のあるスピーチシンセサイザーを手に入れるのが間に合わなかったんだ。そこで俺が Apple で彼らと会って、バッグから取り出すときの台詞を録音したのさ。
TidBITS: そこで彼らは、あなたの声を基にして音声合成をしたのですね?
Fred: それが違うんだ。みんなが聴いたのは俺の声なんだ!録音の質を少し落したんだと思うけれどね。Steve がバッグを持ちあげたとき、テープの音が実際ふらついただろう。後になって、彼らはスピーチシンセサイザーのコードにあった問題を解決し、俺の声を使って今の Mac の Fred ボイスの基にしたのさ。
TidBITS: ご自身の声を聴くのは変な気持ちではありませんか? あなたがTiBook をお持ちなのに気付きましたが。
Fred: 俺は自分の声を聴かないよ。俺は Victoria ボイスが好きだね。俺は自分のコンピュータをいつも女だと思ってるからね。俺は一度 Victoria と会ったことがあるのさ...とても素敵な奇麗な人だった。
TidBITS: そのころ、あなたの声がこんなに有名になるとは考えてみたことがありますか? あなたの声は他にも聴くことがあります。Radiohead の歌った“Fitter, Happier”それからもちろん Stephen Hawking のコンピュータ合成音声。
Fred: Radiohead のは運が良かった。俺が録音に立ち合ったのは、半時間ぐらいかな、そのときは良いとは思わなかったよ。しかしメロディと合わせると、ほんとに歌になるんだなこれが。Hawking 博士の場合は、博士の音声合成システムの基になったことを自慢したいね。博士の話すのを聴いても、アイデアがとても独創的なので自分の声だとはちっとも思ったことがないよ。ところが俺のかみさんは、俺がときどき時間と空間について語っている人だと考えるのがとても好きだね。
TidBITS: おや、あなたの飛行機の搭乗時間が来たようです。TidBITS のインタビューに時間をさいていただいてとても感謝します。
Fred: こちらこそ。よい記事になるといいね。
[ 訳注: お楽しみいただけましたか? 念のため申し添えますが、この号、 TidBITS#674/01-Apr-03 の _すべての_ 記事は、あくまでもエイプリルフー ルの日のみ、4月1日の、一日限りの内容となっておりますので、あしから ず! ]
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, , 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA