TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#680/12-May-03

かさばるノートパソコン抜きの、高速でモバイルなインターネットアクセスをお探しですか? Geoff Bronner が Palm 社の最新の Wi-Fi 対応 Tungsten Cハンドヘルドについてお伝えする。また、この2週間を iTunes Music Storeの徘徊に費やした方へ、Adam がよりスムースに利用するためのいくつかのヒントについてお送りする。さらに今週は、新しい eMac、一部の USB ハブに関連するクラッシュの問題を解決した Mac OS X 10.2.6 アップデート、そして私たちの challenge-response 方式のスパム対策システムに対するスタンスについてお伝えする。

記事:

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MailBITS/12-May-03

Mac OS X 10.2.6 で USB 関連のカーネルパニックを解決 -- TidBITS Talkでも議論された通り、Mac OS X 10.2.5 は特定の USB ハブにまつわるトラブルをかかえており、カーネルパニックがますます一般に起こるようになってきた。Apple は先週、Mac OS X 10.2.6 のリリースによって、多くの人々をこれらのクラッシュから解放する策を提供した。最も注目すべき変更は USBのバグの修正だが、その他の変更として PostScript OpenType フォントの印刷の互換性向上、Maya の特定機能への修正、MacSoft 社の Unreal Tournament 2003 の互換性向上、英語がデフォルト言語の場合にアジア圏の言語スクリプトが現れない問題の修正、そしてアドレスブックの Sony Ericsson製携帯電話 T610 へのサポートを含む。ソフトウェアアップデート経由で6.1MBのダウンロード容量で、単独のインストーラは Mac OS X 10.2.5 からのアップデート(6MB)と、それ以前の Mac OS X 10.2 のいずれかのバージョンからのアップデート(86MB)が利用可能である。[ACE](Pablo)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1909>
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=25448>
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=70173>
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=70174>

Apple、eMac ラインナップを更新 -- 先週、Apple Computer 社は、新しいオールインワンの eMac コンピュータをアナウンスした。以前のモデル同様、新型の eMac は(他の Mac に使用されている LCD フラットパネルではなく)17インチの CRT を搭載し、最高 1280 x 960 ピクセルまでの解像度に対応するが、今回 eMac には新たに 800 MHz と 1 GHz の G4 プロセッサ、ATI Radeon 7500 グラフィックプロセッサ、AirPort Extreme(日本では AirMac Extreme)への対応とオプションの SuperDrive が用意されている。$800の基本モデルのeMac には 800 MHz G4 プロセッサ、CD-ROM ドライブ、40 GB のハードディスクと、128 MB の RAM が搭載される。$1000の eMac は 1 GHz の G4 プロセッサ、32倍速 DVD-ROM/CD-RW コンボドライブ、60 GB のハードディスクが、$1,300 の最上位モデル eMac には 1 GHz の G4 プロセッサ、4倍速 SuperDrive、256 MBの RAM と 80 GB のハードディスクが搭載される。全てのモデルに、2つのFireWire ポートと5つの USB ポート(本体に3つ、キーボードに2つ)、マイクまたはその他のオーディオ機器のためのオーディオ入力ポート、10/100Base-Tイーサネットと V.92 対応 56 Kbps モデムが付属する。CD-ROM ドライブモデルとコンボドライブモデルはまだ Mac OS 9 からの起動がサポートされているにもかかわらず、SuperDrive 装備の eMac は Mac OS X からの起動のみとなる。この新機種は Mac OS X 10.2 Jaguar とともに出荷され、通常の小売販売チャンネルと米国およびカナダの教育関係者向けの両方で利用可能である。[GD](Pablo)

<http://www.apple.com/emac/>
<http://www.apple.com/education/store/>


Challenge-Response システムに対する TidBITS の方針

文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

最近、challenge-response と呼ばれるアンチ・スパム技術が次第に使われだしてきている。簡単に言うと、challenge-response は受け取ったすべてのメールについて、それぞれのメールの送信者をあなたの電子メールアドレスブックの内容(または何らかの方法で生成されたリスト、例えばあなたが保存しているメールから送信者をすべて抽出したもの、等)と照合する。もしも到着したメールの送信者が既にあなたのアドレスブックに登録されているならば、そのメールは普通通りに扱われる。けれども、登録されていないアドレスからのメールについては(たとえそれが全く初めての人からのメールであっても、またはあなたの知人が単に新しいアドレスを使い始めただけだったとしても)この challenge-response システムから送信者に返信の電子メールが自動的に送られ、その送信者がリンクをクリックするか、メールに返信するか、あるいはその他何らかの方法で、その元のメッセージの送信者が本物の人間であるということを証明するように要求する。いったんこの認証が済めば、そのメッセージも、その送信者から今後届くすべてのメールも、すべて普通通りに届けられるのだ。

Challenge-Response の問題点 -- Challenge-response システムは確かに有効度の高い方法だろう。なぜなら、たいていの人々はほぼ決まった人たちからメールを受け取っているのだし、またこの方法で送信者に課せられる負担は比較的低いものだろうから。けれども、このようなシステムには、やはりいくつかの重大な問題点が伴っている。

さらなるチャレンジ -- もちろん、このような問題点を緩和させるための技術的解決法は確かに存在している。(例えば、送信者からの確認を得られなかったけれども正当なメールであるようなものをユーザーが自分でチェックできるための「隔離」領域を設けたり、メーリングリストからのメールを特別扱いしたり、等がある。)けれども、いろいろに異なったシステムが次々といろいろな会社から(例えば SpamArrest や Mailblocks 等)発表されている今日の状況では、どんな機能がどのシステムで使えるのか、送信者に要求される確認方法はどんなものになるのか、等を予想することは不可能に近いだろう。

<http://www.spamarrest.com/>
<http://www.mailblocks.com/>

Challenge-response のテクノロジーは、EarthLink 社がその5百万人もの顧客のためにそのようなシステムを稼働させようと計画していることもあり、今やまさに急速に拡がりを見せつつあるように見える。現在、EarthLink はアメリカ国内で3番目に大きい ISP であって、その会員の中には 2,000 人以上の TidBITS 購読者が含まれている。(この数字は AOL に次ぐ2番目であり、Mac.com を使う購読者の人数よりもずっと多い。)

<http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A22390-2003May6.html>
<http://www.earthlink.net/spamblocker/>

私たちからのお願い -- スパムという害毒を抑えようと努力している人々や ISP たちの働きを、私たちはいつも応援したいと思っている(この記事を皆さんが読んでいる頃には、私が 2003 年中に受け取ったスパムの総数はきっと 21,000 通を超えていることだろう)けれども、電子メールのシステム全般に対してスパムが起こすよりもさらに大きな害悪を及ぼしかねないアプローチ、例えばメッセージ内容のグローバルなフィルタリング、などについては私たちは過去にも声を挙げて反対してきた。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1221>
(日本語)メールのフィルタリング: 皆のアプリがダメになる
(日本語)メールフィルターの実状を暴く

私たちにとっては、challenge-response システムからの脅威は、メッセージ内容のグローバルフィルタリングほどには大きなものにならないだろうと思える。けれども、それでも私たちにとっての問題点であることには違いない。私たちは毎週、すべてのバージョンと各国語翻訳版とを含めておよそ 50,000 人にも達する数の人々にメールを送っている。毎週毎週何百もの確認要求メールに対応するようなことは到底私たちの力の及ぶところではない。そんな作業をこなしつつ、すべてをこれまで通り続けていけるようなスタッフ人員は揃っていないのだ。この点は、何も私たちだけのことではないだろう。インターネット上のたいていのメーリングリストでは、大なり小なり同様の問題に直面しているに違いない。

というわけで、どうぞ皆さん、この記事を、challenge-response システムを使おうかと思っているすべての人に向かって注意を喚起するためのものと考えて頂きたい。そのような皆さん、どうか、インターネット上の善良な市民としての良心にかけて、まずはメーリングリストの配布アドレスをあなたのアドレスブックに登録することで、今あなたが立つインターネットの場所の周囲にいる他の人たちにイライラのさざ波を引き起こさないための予防措置としておいて頂きたい。

締めくくりとしてもう一言だけ。私たちは、メーリングリストの投稿への返信として発生した確認要求メールには応えることができません。つまり、もしもあなたが challenge-response を使っていて TidBITS を受信できなくなったのなら、あなたがご自分でその原因を見つけ出す以外に方法はありません。また、もしもあなたが私たちに個人的なメールを送って下さったとして、私たちが出した返事に対してあなたから確認要求メールが届いても、(その時に私たちがどれほど忙しいかによって)私たちがそれに反応できるかできないかはわかりません。

要約すれば、スパムの問題に対処するためにどんな方法をあなたがとるかは、あなたの必要に応じてあなた自身が決めるべき事柄なのだけれども、あなたが他の人に送った確認要求メールに対してその人があなたにメールを返信することを可能にできるかできないかは、その人の責任なのではなく、すべてあなたの責任なのだ、ということを忘れないで頂きたい、ということだ。


iTunes Music Store 使用のヒント

文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>

iTunes Music Store のおかげで、私はすでにこれまでよりも多くの楽曲を購入するようになっている。空いた時間のほとんどすべてを iTunes の前で費やすようになったおかげで、曲を聴いたり購入したりするのをもっと楽にするためのいろいろなヒントが自然と身に付いてきた。iTunes Music Store 自体についてのもっと詳しい情報は、先週と先々週の記事、“iTunes Music Store がデビュー”と“Apple、デジタル音楽の新しい顔となる”を参照されたい。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07163>(日本語)iTunes Music Store がデビュー
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07175>(日本語)Apple、デジタル音楽の新しい顔となる

ナビゲーションは一目瞭然とは言えない -- iTunes で Music Store を開いている間も、実はナビゲーション用のショートカットが隠さず表示されているのだが、これに気が付かない方も多いかも知れない。検索結果のアーティスト名やアルバム名それぞれの脇に丸で囲まれた矢印があるが、これをクリックすればそのアーティストのすべてのアルバム、あるいはそのアルバムの内容が見られる。また表示されているテキストのほとんど、つまりアルバム名、曲名、アーティスト名などはすべて実際のリンクで、ウェブブラウザでと同様に働く。ただし、その上にマウスカーソルを持ってきた間のみしか下線表示されないが。そしてもちろん、ウェブブラウザでと同様に「戻る」「進む」の矢印や「ホーム」ボタンを使って、またジャンル・アーティスト・アルバムによる「足跡」を示した中間通過地点をクリックして、ナビゲーションすることもできる。

二重購入を避けるには -- あなたも実際に使ってみれば経験されるかも知れないが、iTunes Music Store で検索している最中には、自分がどの曲を既に購入済みかをなかなかすべては覚えていられないものだ。ミュージックストアプレイリストやメインのライブラリプレイリストを別ウィンドウに開いて見比べながら、ということはできない。でも、iTunes のスマートプレイリスト機能を使えばこの難点が回避できる。ファイルメニューから新規スマートプレイリストを選び、最初のポップアップメニューからは“時間が”を、2番目のポップアップメニューから“より大きい項目”を選び、テキストフィールドの内容は“0:00”のままにし、“ライブアップデート”はチェックしておく。こうすれば、iTunes は演奏時間がゼロ秒より長い曲をすべてプレイリストに追加して、プレイリストを新しい曲が追加される度にアップデートしてくれる。さて、あなたが既に持っているものと iTunes Music Store の検索結果とを比較したい場合には、あなたは新規のスマートプレイリストをダブルクリックしてそれを別ウィンドウに開き、そのウィンドウと iTunes のメインウィンドウに開いている iTunes Music Store との間で行き来して比較すればよいのだ。最後にもう1つヒントを: あなたの“All Music”プレイリストの名前には、その冒頭に Option-Space 文字を付けておけば、ソート順で他の Smart Playlist よりも前に並べられる。

複数個のプレビューを演奏する -- iTunes Music Store ではどの曲も 30 秒間のクリップをプレビューできるが、これは自分がその曲のタイトルを正しく覚えていたかどうかを確認するためにはとても役立つ機能だ。けれども、聴いたことのない曲をどんな感じか聴いてみるためにはちょっと使いにくい。一つには、プレビューの演奏がとても面倒なことがある。個々の曲をそれぞれにダブルクリック(またはクリックしてからスペースバー)しなければならないし、iTunes は Music Store に居る間は“全曲リピートする”をオンにしてくれない。けれども、幸いなことに曲と曲とを移動する iTunes のナビゲーション用ショートカットが曲の演奏中は動作するので、プレビューの演奏中に右矢印キーを押せば次のプレビューへ、左矢印キーを押せば前のプレビューへと移動できる。

別の方法としては、Sal Soghoian の書いてくれたサンプルの AppleScript(下記のリンク)が使える。このスクリプトで、表示されているクリップが順々に演奏される。残念なことにこのスクリプトを使うには Apple の GUI Scripting ソフトウェアが必要になる。どうやら、iTunes 内で iTunes Music Store をスクリプト化するのはサポートされていないらしいからだ。仮にサポートされていたとしてもそのスクリプトは非常にやっかいなものになるだろう。このスクリプトは手動で走らせなければならない。演奏の途中で中止するには手動でスクリプトをキャンセルする必要があるし、~/Library/iTunes/Scripts にスクリプトを置いて iTunes のメニューバーのスクリプトメニューから選んで使おうとしてもうまく動作しない。どうぞ、志ある方はこのスクリプトを改良して頂きたい。

<http://www.tidbits.com/resources/680/iTMS-Clip-Player.sit>
<http://www.apple.com/applescript/GUI/>

カートを利用 -- Apple の 1-Click ショッピングは確かに手軽さが嬉しいのだが、その反面、便利すぎてちょっと不安になることもある。たいていのアーティストは同じ曲にいくつものバージョンを出していることもあるし、曲を購入する前に本当にこれが自分の欲しいものなのかを確かめたいという気持ちが働くものだ。それに、1つ1つの曲ごとに購入するよりも、買いたい曲をたくさんマークしておき、最後にまとめて購入する方が安心感があるというものだろう。そこで、iTunes の環境設定ダイアログの Store タブを開けば、ここで 1-Click での購入方法からショッピングカートによる購入方法へと切り替えられるようになっている。ショッピングカートなら、購入する前に買い物リストをチェックする時間の余裕がある。それまでの“Buy Now”ボタンが“Add Now”ボタンに変わり、これをクリックすればその項目があなたのショッピングカートに加えられる。“ショッピングカート”プレイリストをクリックすれば、現在のショッピングカートの内容が一覧できる。いよいよ購入するという時になれば、iTunes ウィンドウの右下端にある“Buy Now”ボタンを押せばショッピングカートの内容全体が購入できる。

モデムを使って購入 -- もしあなたが低速モデムだけでインターネット接続しているとしたらどうだろう? 遅いのは仕方がないが、それでも iTunes Music Store は利用できる。購入する各楽曲はおよそ 3〜5MB なので、そのデータ量をダウンロードするのには少し時間を要するだろう。30秒のプレビューをダウンロードするのにさえ時間が掛かるが iTunes の 環境設定ダイアログにある“ストア”タブで“ダウンロード後に曲を再生する”をチェックしておくと、それらの音楽を聴くのが楽になる。また、購入にショッピングカートを使うアプローチも役に立つ、ダウンロードしたい沢山の曲をクエリに入れ、それからベッドに入っている間にダウンロードすればよいのだ。AirMac カード付きのラップトップを持っているなら、最も良いアプローチは、あなたのショッピングカートに楽曲を追加しておいて、それから無線ネットワークで高速インターネット接続出来る場所(例えば Apple Store の店舗)に行き、Shopping Cart playlist に切り替えて Buy Now をクリックすれば、準備しておいた全てがダウンロードされる。ラップトップを持っていなくても、どこか高速のインターネット接続で Mac を使うことができるなら、何時でもiTunesウインドウの右上にある Account ボタンをクリックして、あなたのApple IDでサインインして楽曲を購入し、ファイルを CD や DVD にコピーして家に持ち帰り、あなたの Mac にそれらをロードすることができる。

ショッピングカートを使わないやり方 -- ショッピングカートはとても重宝なのだが、どうも私にはうまく働いてくれないようだ。他の人達も同様な問題を抱えていて、明らかに何も悪いことはしていないのに、請求情報が誤っているか不完全なことについて不満をこぼしている。この回避策は 1-Click 購入に戻ることだ。この方法で購入した場合、同様な問題は報告されていない。

楽曲をダウンロードできない -- もしあなたが楽曲を購入しようとしてダウンロードに失敗したなら、ディスクユーティリティの First Aid タブにある“ディスクのアクセス権を修復”を試してみる価値がある。修復の後、ユーザのあなたは iTunes Music フォルダに書き込み許可でログインしていることを確認しよう。 厳密に言うと、この iTunes Music フォルダは、iTunes が新しい音楽をしまっておくのに使うフォルダだ(iTunes 環境設定ダイアログで“詳細”タブをチェックして確認)。あなたはこの iTunes Music フォルダを別のフォルダに変更して、その中にファイルが追加されるようにすることも出来る。もしうまくいかないようなら、iTunes のヘルプメニューからミュージックストアカスタマサービス を選び、該当するリンクから、iTunes Music Store Customer Serviceと連絡できることを知っておくとよいだろう。

素早い停止/再生 -- iTunes Music Store やコレクションから音楽を聴きながら仕事をしていて、私にとって大きな問題のひとつは、電話が掛かってきたり、静けさを必要とする何かの理由で、急に音を止めなければならないことだ。私は長年の間、Griffin の PowerMate や、QuicKeys を使った簡単なAppleScript スクリプトを含め、様々な技術を使ってきた。しかしベストのアプローチは Michael Kamprath の Keyboard Maestro マクロユーティリティだろう。これには特別な iTunes Control アクションが含まれ iTunes が最前面アプリケーションではないときでも、キーボードから様々な方法で iTunes をコントロールできる。私は単に Control-Escapeキーを、Toggle Play/Pauseアクションに割り当てて、左手でこの2つのキーを素早く叩き音楽をスタート/ストップさせている。無料の Keyboard Maestro Lite は機能が限られているが、誰でも Mac OS X 環境でこの目的のために使用できる。

<http://www.keyboardmaestro.com/>

AppleScript によるアプローチで、別のユーティリティからスクリプトにアクセスを試みたい方には、そのスクリプトも極めて簡単だ。

tell application "iTunes"
   if player state is not playing then
      play
   else
      pause
   end if
end tell

バックアップを採る -- 私が先週の記事で指摘したとおり、Apple のデジタル権利管理による障害の大部分は本質的にスピード低下だ。それらはあなたがしたいことを何も阻止しない。けれどもそれらはスピードを遅くするだろう。また、トラブルに遭遇するとしたらそのひとつは、あなたが購入した音楽を再生できるよう認証された3台の Mac のどれかを紛失したときだ (たとえオリジナル AAC ファイルを外部にバックアップとして持っていたとしても)。その解決法には次の何れかがある。認証されたコンピュータの数を2台までに制限する(他のコンピュータから何時でも再認証できる)。あるいは、購入した楽曲を MP3 か保護なし AAC に変換して、どんなコンピュータや該当オーディオ機器でも再生できるようにする、これをするには、オーディオ CDを焼いて(物理的なバックアップにもなる)、その CD の内容を再び iTunesに読み込むだけだ。あるいは、Audio Hijack のような、アナログに変換してスピーカーに送られる前のデジタルサウンドストリームを取り込むツールを使う方法だ。これらの楽曲をバックアップ目的で一括変換するツールが登場したとしても私は驚かないだろう。おそらくこの作業は AppleScript スクリプトを使ってさえ出来るだろう。

もっと他にも? -- iTunes Music Store を利用するうまいやり方についてもっと多くのチップスが有るだろう。もしあなたが何か良いやり方を見つけたら、それらを TidBITS Talk <[email protected]> に報告してほしい。

PayBITS :Adam の iTunes Music Store 使用のヒントはあなたの役に立ちましたか?彼の音楽コレクションがさらに充実できるよう、寸志を送りましょう!
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PayBITS の説明 <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>


Tungsten C:真のワイヤレス Palm

文: Geoffrey V. Bronner <[email protected]>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>

TidBITS-597 で Palm のいくつかの機種に Wi-Fi を追加する Xircom の Palm Wireless Ethernet Module (Intel が Xircom を買収して以来名前が変わって Xircom Wireless LAN Module for Palm Handhelds となった) を使うことについて書いた。私は今でもこのモジュールを Palm m515 につけて使っているが、それは特別な時だけで毎日使っているわけではない。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06563>(日本語)ワイヤレスPalm、もうひとつの接続方法
<http://www.intel.com/network/connectivity/products/xirpwe1130.htm>

使う頻度が落ちたのには三つの理由がある。第一に、Xircom モジュール付属の DHCP クライアントがバグっぽく、かつこれまでの一年半の間に解決を見ていない。第二に、m515 はこのモジュールをあたかもモデムのように扱うので、速度はあまり出ずタイムアウトを経験することも多い、それも高速の 802.11b ワイヤレスネットワークを使っているときですら。第三に、私の好みは m515 を Palm のハードケースに入れて持ち歩くことなので、このモジュールを使う時はケースを取り外さなければならない。

つまり、Xircom を使うことで機能的には満たされたが、目新しさが薄れてしまうと使い勝手が悪く、結局けっこう手のかかるおもちゃであることに気付いたのである。しかしながら、事態は変わってきた。二週間前、802.11b ネットワーク機能を組み込んだ Palm の新しい Tungsten C をテストしデモをしてみないかとの誘いを受けたのである。

<http://www.palm.com/products/handhelds/tungsten-c/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07166>

この製品のネットワーク性能を調べる前に、Tungsten C について知っておいた方がいい事をいくつかあげておきたい。

デモ機は Palm の発表の日に届いたのだが、デモをする予定の技術ショーケースは翌日に迫っており、いじくり回してみるのに数時間あるのみであった。数分いじってみてわかった事は:Tungsten C こそは私が m515 と Xircom モジュールの組み合わせとして求めていたものである。兎に角ちゃんと働く。

私がテストした Tungsten C はリリース前のユニットで解説書なしであったが、それも必要でなかった。Tungsten C 上で Wi-Fi Setup アプリケーションを走らせるとまずワイヤレスネットワークを探し始める。それが我々の Dartmouth College のキャンパスネットワークを探せないと(SSID は隠されている)、マニュアルでセットアップするため簡単な数ステップの設定へと導いてくれる。この設定プロセスは、XircomPWE 設定プログラムよりずっと簡単だと感じた。

フィールドテスト -- 一旦ワイヤレスネットワークの設定を入れれば接続の状態は Palm Prefs アプリケーションか Graffiti Command ストロークからチェックできる。受信能力は Xircom モジュールに比べれば勝っているがフルサイズのノートコンピュータ程強力ではない。Tungsten C は最も間近のアクセスポイントを間違いなく選択するし、アクセスポイントを跨ったアクティブローミングも、同じネットワークのサブネット内に留まっている限りではよく機能した。長いダウンロードの最中にあまり速く動き回ると接続が切れてしまうこともあったが、これは私のラップトップの場合でも同じ事である。昔の Xircom アダプタに比べれば、ネットワークへの接続は素早く、もはや模擬モデムネゴシエーションのオーバーヘッドに悩まされることもない。接続に関するいかなる問題も Tungsten C の電源を一旦切って再投入するという数秒のことで解決できる。

私のテストを通して、Tungsten C の 1500 mAh Li-Ion バッテリの寿命は大変いい成績であった。二時間半のデモの間殆んど連続して使ったが充電量の三分の一以下の消費でしかなかった。週末私の家での入れたり切ったりの使い方でも問題はなかった。ワイヤレスの接続を使うと言う事は、想像される通りバッテリを早く放電させるが、それでもそんなにあっという間と言う感じではない。

動作させてみる -- Tungsten C の読み込み専用メモリー (つまり Palm をリセットして初期状態にしても消えないということだ) には、基本的なアプリケーションが一式含まれている。VersaMail 2.5、PalmSource Web Browser 2.0、DataViz Documents To Go Professional 5.1、そして PPTP (Point to Point Tunneling Protocol) VPN クライアントだ。Adobe Acrobat Reader やAvantGo、AOL for Palm、Printboy などの製品はインストール CD から、あるいはダウンロードしてインストールする (IPSec VPN クライアントはベータ版である)。

私のメインマシンは Power Mac G4 (QuickSilver) であるが、Macintosh では使用できない Network HotSync などの機能をテストできるよう、Tungsten Cを Windows XP と Outlook 2002 がインストールされている IBM ThinkPad T23でセットアップした。Tungsten C の Network HotSync は、親コンピュータとPalm が同じ LAN 上にあるとき、特に素晴らしいと思った。速度は、シリアルのクレードルと同程度で、 USB クレードルと比べてもそれほど遅くない。キャンパス内のネットワークを移動している時の信頼性は 100 % とは言えなかったが、原因を調べるための十分な時間は取れなかった。

しかし、Mac ユーザにも朗報がある。例えば、まだ Mac コンジットが存在しない、ベータ版の AvantGo がインストールしてあれば、最新の状態にしておくためにワイヤレス同期機能を使うことができる。私は、この方法で Vindigo 2.0(Mac をサポートしている) をアップデートしたが、ワイヤレス同期でこれを直接アップデートするのは、とても便利で驚くほど高速だった。自宅の DSL 接続経由で、都市 3 つ分をアップデートするのに一分とかからなかったのだ。Mac OS X 10.2.5 がインストールされている PowerBook G4 でもざっと Tungsten C を使ってみたが、基本となる Palm Desktop 4 のソフトウエアや USB HotSyncには何の問題も無かった。

PalmSource Web Browser 2.0 は良く出来ている。画像は新ディスプレイのおかげですばらしく鮮明で、ウェブサイトをこの小さな画面用に変換する作業を見事にやってのける。唯一の不満は、新規ウインドウを開くリンクが動作しないことだけだ。これはポップアップウインドウを排除するのに役立つが、リンクを開くこともできるように、選択可能とすべきだろう。

前回の記事で述べたように、重要なアプリケーションは本来のキラーアプリである電子メールである。VersaMail 2.5 は私が今使っている MultiMail SE に比べ、非常に改善されている点が多い。そのうち必要となるであろう SSL 経由での IMAP をサポートし、色使いもうまい。高速な接続スピードにより、電子メールプログラムの反応速度がさらに向上している。ダウンロードされるのを長時間待っている必要は無い。このため、Microsoft の Word あるいは Excelファイルをダウンロードし、それを Documents To Go で閲覧することは、ファイルが本当に大きくなければ充分実用に耐える (しかし、Microsoft Office Xで作成されたものなど、いくつかのファイルは正常に開けなかったり、Acrobat Reader で PDF を開くこともできなかったりした)。この機器はたった数日間だけの借り物であったが、仕事中あるいは自宅で絶えず電子メールを読み書きしていた。自分の PowerBook に入っている Eudora の代わりになるわけではないが、それを不要だと思ったときに置いていくことが、以前より簡単にできるようになった。

<http://www.palm.com/software/versamail25/>

期待すること -- Tungsten C は、多数のワイヤレスアクセスポイントがある会社やキャンパスでのモバイルユーザに最適である。そのような場所にいなくても、Wi-Fi のホットポイントは日々増えてきており、Palm は Wayport のようなところからアクセスできる有料サービスに申し込むことを、喜んで推奨することだろう (残念ながら、 T-Mobile のウェブサイトによると、同社のホットスポットは専用ブラウザが必要なため Palm をサポートしていないとのことだが、テストすることはできなかった)。

<http://www.wayport.com/>
<http://www.t-mobile.com/>

Tungsten C には、ワイヤレスフォンでもある Tungsten W と同じ ハンドフリーのマイク付きヘッドフォンが付属する。パンフレットには、これはオーディオの再生と音声の録音のためだと書いてあるが、まださらなる可能性が秘められているようだ。 Voice Over IP (VOIP) ソリューションなのではないかとの噂も、聞こえ始めてきている。VOIP が業務用に展開されたあかつきには、もしかするとこれを電話として使うことができるようになるかもしれない。

<http://www.palm.com/products/handhelds/tungsten-w/>

デモ機は、このレビューを書き終えた日に返却されたのだが、実はすでに自分用に一つ注文してしまっている。これが、私が贈ることのできる最大の賛辞だ。私は、これを Mac OS X と Now Up-to-Date 4 が動作している Mac と設定して使うつもりである。

[Geoff Bronner は、Dartmouth 大学 にある Tuck ビジネススクールのウェブマスターで、DVD をこよなく愛し、また NFL フットボールのヨーロッパ戦も実際に観戦している。]


TidBITS Talk/12-May-03 のホットな話題

文: TidBITS Staff <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

TidBITS Talk での主な話題を簡潔にリストするにはどの方法が好ましいかをお尋ねした先週のアンケートには 220 通ほどの投票しか集まらなかったが、それでもこれからどうすべきかの見通しを立てる手がかりには充分なったと思う。投票の結果は、92% がこのリストを良いと思うというもので、ほぼ半数が中間程度の簡潔さのリストへの投票だった。そこで、当面はその方法を採用して行くことにしよう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=81>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07174>(日本語)TidBITS アンケート: TidBITS Talk をもっと公開

iTunes 4 の新機能 -- iTunes の機能の変更点についての議論、新設の共有機能をファイヤーウォールを通して利用する際や、iTunes がファイルを命名したり新しい曲を保存するための Compilations フォルダを作ったりするやり方をコントロールする際のヒントなど。(メッセージ数 13)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1931>

iTunes Music Store での値段 -- 結局、iTunes Music Store で買うトラックやアルバムの値段は高いのか、それとも安いのか? その評価は見方にもよるだろうし、何の値段を比べるかにも、物価上昇率にも(本当に!)よるだろう。(メッセージ数 18)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1932>

新 iPod の機能 -- 旅行中には新 iPod と共に何を持って行けばよいか、また新設のノート機能を使いこなすコツ、などのアイデア。(メッセージ数 4)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1933>

AAC のサウンド品質 -- AAC フォーマットでエンコードされた音楽の音質について、相対する立場からの熱情のこもったやり取り。どうやら、その人がどのようにして音楽を聞くか、またどんな種類の音楽が好みかによって、判断が大きく異なってくるようだ。(メッセージ数 9)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1934>

協同の音楽フィルター -- 協力して音楽をフィルター付けし、あなたが iTunes でどの曲を共有したかのデータに基いてアーティストを推薦しようというサービスに関するヒント。(メッセージ数 2)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1935>

iTunes Music Store をどんな風に使ったか -- iTunes Music Store の使い方は人それぞれ、ということを示す興味深い投稿。(メッセージ数 4)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1936>

iTunes 4 で音楽を共有 -- 人々が iTunes を使って音楽を共有しても RIAA が問題にしないのはなぜか、についての憶測はいろいろあったが、結局それはこの共有機能が同時に5人までのユーザーしか使えないよう制限されているのが理由だ、ということに落ち着いた。(メッセージ数 6)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1937>


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