TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#707/24-Nov-03

ハードディスクが壊れた時、何を使うべきか? ディスクの達人、David Shayer が詳細なテストで DiskWarrior、Norton Utilities、Drive 10、DiskGuardian、それにディスクユーティリティを比較する。どれが勝ったと思う? Take Control 電子本の無料アップデートと購入法の変更について、Adam から最新のお知らせがある。ニュースの部では、Apple が 20 インチの iMac と高速化した Power Mac G5 をリリースし、新しいセキュリティーアップデートを発表、Creo がファイル転送の問題を解消するための Tokens をリリース、そしてアメリカ合衆国で Thanksgiving の休暇の週のため来週は TidBITS が休刊となることをお知らせする。また来月にお会いしましょう!

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MailBITS/24-Nov-03

次号は 2003 年 12 月 08 日 -- 来週は平常の出版スケジュールをお休みとさせて頂き、我々一同アメリカ合衆国の Thanksgiving のホリデーの伝統に従い家族や友人と共にゆったりとした時間を過ごさせて頂く。Thanksgiving 当日とその前後の何日かは除き、たいていの日には TidBITS Talk の管理は平常通り続けるつもりだ。また、この時間の余裕を利用して毎年恒例の年末ギフト特集号の準備もしたい。次号の TidBITS は 2003 年 12 月 08 日の発行となる。ホリデーの食卓を囲もうという皆さん、どうぞ良い休日を! [ACE](永田)

2003 年末ギフト提案のお願い -- ハロウィーンが過ぎたと思ったらもう次の日にはクリスマスセールの広告が溢れ出すのにうんざりしていらっしゃるかもしれないが、今年もまた、年に一回消費者たちが自信を取り戻す買い物三昧の時期がやって来た。わが TidBITS では、その意味するところは伝統の年末ギフト提案特集号、読者から寄せられた最高の年末ギフトのアイデアを集めた特別号で、これは 12 月の第2週に発行される。そこで、皆さんが友人や家族にどんなギフトを贈ってあげようと考えているか、あるいは自分ならどんなギフトを貰いたいか、そういうアイデアをお聞かせ願いたい。例年と同様、アイデアは TidBITS Talk で募集しているので、 <[email protected]> あてにお送り頂きたい。それぞれのカテゴリー分類に従って既にスレッドを立ててあるので、TidBITS Talk ウェブアーカイブでそれぞれ対応するメッセージの下のところにある“Respond (via email)”リンクを使って下さればよい。(この号の末尾にある TidBITS Talk のホットな話題の記事の中には直接リンクがある。)いつもと同様、1つのメッセージには1つだけの製品またはアイデアの提案を書いて、それを推す理由を説明し、URL やその他必要な連絡情報も忘れずに添えて頂きたい。また、推薦するのは他者の製品に限ること、できるだけ過去記事に登場しなかった事柄に集中するように努めて頂きたいことも言い添えておく。どうぞよろしくお願いします! [ACE](永田)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=active>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbiss=560>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbiss=609>(日本語)2001 年末ギフト提案
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbiss=659>(日本語)2002 年末ギフト提案

Apple が 20インチ iMac を発表 -- ちょうどクリスマス商戦にあわせて Apple は新型のフラットパネル iMac をリリースした。これは 20インチの LCD スクリーンを搭載しその解像度は1,680×1,050ピクセルである。このスクリーンはこれより小さいモデルよりより明るく、更に高いコントラストが得られる。その他の機能に関しては、この 20インチ iMac は 17インチ iMac と同じで 1.25 GHz PowerPC G4 プロセッサ, 256 MB の RAM, 80 GB ハードドライブ, SuperDrive と各種通常のポート全てが付いている。17インチ iMac から大きく違うのはその重量で、この 20インチ iMac の重量は 40.1 ポンド (18.2 kg) で、22.8 ポンド (10.4 kg) の 17インチ iMac より 17.3 ポンド (7.8 kg) 重くなっている。この新型 20インチ iMac は $2,200 の標準在庫仕様と、通常の build-to-order オプションの両方とも直ちに入手可となっている。15インチ iMac の値段は $1,300 で変わらす、17インチ iMac も $1,800 のままである。[ACE](カメ)

<http://www.apple.com/imac/>(日本語)新しい 20 インチ iMac の登場です
<http://www.apple.com/imac/graphics.html>(日本語)輝きのディスプレイで驚きのエフェクトをどうぞ

Apple、1.8 GHz デュアルプロセッサ G5 をリリース -- Apple は同社のプロ及びハイエンドの Macintosh ユーザー向けの 64ビットミニタワーコンピュータ Power Mac G5 の新モデルをリリースした。新モデルはデュアル 1.8 GHz PowerPC G5 プロセッサ(個々に 900 MHz のフロントサイドバスを持つ)を搭載し、価格は $2,500 からとなっている。この新型は Apple の G5 ラインナップのちょうど中間に位置し、シングル 1.8 GHz プロセッサ搭載の $2,400 モデルを置き換える形となっている;その他の Power Mac G5 仕様は全く変わっていないが、当然いま出荷されるのは Mac OS X 10.3 Panther 付きである。(Power Mac G5 アーキテクチャについての従来モデルからの変更点の詳細についてはTidBITS-685 の "Apple、64 ビット Power Mac G5 を発表" を参照。) 一方で、Apple は 1.6 GHz シングルプロセッサシステムの最小構成価格を $200 下げて $1,800 からとした。この新型デュアルプロセッサモデルは、Mac OS X のマルチプロセッサ機能を活用した、とりわけビデオやメディア制作といった演算処理集約型の分野での活躍が期待される。[GD](カメ)

<http://www.apple.com/powermac/>(日本語)Power Mac G5 磨きをかけたパワー
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07241>(日本語)Apple、64 ビット Power Mac G5 を発表

Security Update 2003-11-19 は Panther, Jaguar 向け -- Apple は先週一対のセキュリティアップデートを Software Update 経由でリリースした。これは Mac OS X 10.2.8 Jaguar と Mac OS X 10.3.1 Panther の両者を同じセキュリティレベルに持ち上げるものである。Security Update 2003-11-19 は OpenSSL のセキュリティを改善しプリントライブラリを利用するサードパーティアプリケーションに関する潜在問題を解決している。Jaguar で走っている Mac に関しては、このセキュリティアップデートで、Mail, QuickTime for Java, Personal File Sharing に関する問題についての対策もしており、更に Mac OS X 10.3 Panther の初期リリース含まれた脆弱性 (TidBITS-704 の "Security Update 2003-10-28 リリースされる" 参照) のいくつかについての修正がなされている。Jaguar のためのアップデートは 4.6 MB ダウンロードであり、Panther 用は 1.3 MB ダウンロードである。[JLC](カメ)

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=120278>(日本語)Security Update 2003-11-19 for Panther に関する情報とソフトウェアのダウンロード
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=120277>(日本語)Security Update 2003-11-19 for Mac OS X 10.2.8 に関する情報とソフトウェアのダウンロード
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07418>(日本語)Security Update 2003-10-28 リリースされる

Creo から Tokens を使った易しいファイル共有法 -- メールを使ったファイル共有で苛立たしい経験をしたことはありませんか?メールは、我々が予見してきたように、日に日に頼りにならなくなってきている。これはスパムで過負荷となったサーバと不正確なフィルタのせいであり、そして、ファイル共有の話をすれば、エンコードフォーマットの問題、添付ファイルのサイズ制限がある。メールベースのワークグループを管理するプログラム Six Degrees のメーカーである Creo は、Tokens と呼ばれる新しい方法を提案している。これは Mac と Windows の両方で働く。複数の人宛に巨大な Keynote ファイルをメールに添付して送るのではなく、数キロバイトの "トークン" を生成する $50 の Tokens Creator を使うのである。このトークンは、あなたのハードディスク上にある Keynote ファイルの圧縮暗号化版へと導いてくれる。あなたの送ったトークンを受け取った人は、そのトークンをダブルクリックして無償の Token Redeemer 上で開く。そうする事であなたのコンピュータからプレゼンテーションが引き出されるのである。ファイルが引き出されるためにはあなたのコンピュータは常にオンでインターネットに接続されていなければならない;もしあなたと相手の間にその他の障害物(ファイヤウォールのような)がある様な場合は、Token Redeemer は自動的に Creo の Tokens リレーサービス経由でそのファイルを引き出す (月に 5 GB までの転送を許す)。両側での簡単なインストールさえ完了すればその後の設定は何もいらないし、ユーザー名とパスワードの心配も要らない。Creo は $600 の Tokens Server も提供している。これには Tokens Creator の 10 ライセンスとそれら全てに対するサーバー業務が含まれる。Tokens は何と言ってもいまだ 1.0 製品であるが、大変興味深いものでありファイル転送の簡易化に重要な役割を果たすようになるかもしれない。[ACE](カメ)

<http://www.creo.com/tokens/>


さらなる Take Control アップデート

文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

愚かだった。私たちは、最初の出版作業が済んで、Panther 出荷の2週間後に Joe Kissell の“Take Control of Upgrading to Panther”のバージョン 1.1 アップデートをリリースすることができてから、これで忙しさも一段落、と思っていた。けれども現実はそう甘くはなかった。その後も忙しさは増すばかりで、Take Control の電子本が Apple の eNews や数々のユーザーグループのニュースレターなどで紹介されるに従い、ますます多くの人が Take Control について知るにつれて、注文が次々と届き続けた。

“Take Control of Customizing Panther”をアップデート -- 一番大きなお知らせは、Matt Neuburg の本、“Take Control of Customizing Panther”のバージョン 1.1 アップデートをリリースしたことだ。この出来上がりには満足している。大きな変更や追加も取り入れ、まさにこれこそ Take Control シリーズの進化のあるべき姿だ、と言える。最初のバージョンの2倍以上の長さ、内容のページ数が最初の 22 ページから 47 ページに増え、Panther をあなたの思い通りにカスタマイズするために実行すべき作業の、より具体的な説明を提供できるようにと文章の内容を精選している。

<http://www.tidbits.com/takecontrol/panther/customizing.html>(日本語)Take Control Ebooks あなたの知りたいことがすぐわかる

新たに加えられたセクションとしては、Panther のカスタマイズのために私たちが好んで使っているサードパーティのユーティリティの説明、どうすれば Service をうまく使いこなせるかの解説、インターネットヘルパーのアプリケーションを設定する3つの方法、そして Safari と Terminal に施すちょっとした改良がある。また、Mac OS X にあまり馴染みがないという読者も多いことに鑑み、システム環境設定や Finder 環境設定を使って施すことのできる基本的なカスタマイズをリストした長いセクションも追加した。

Joe の本のアップデートを出版した後で届いたフィードバックに従い、この Matt の本のアップデートでは、“Changes in Version 1.1”セクションに内部リンクを追加し、あなたが素早く変更箇所へジャンプできるようにした。また、アップデートでの変更箇所だけを印刷したい人のために、どのページは基本的に変わりないのかを示した説明も加えた。ただ、今回 Matt はかなりの追加と変更をしているので、大部分のページが変わっている。印刷についてヒントを1つ:「印刷」ダイアログで Copies & Pages ポップアップメニューから Layout を選び、Pages Per Sheet ポップアップメニューから 2 を、Border ポップアップメニューから Single Hairline を選ぶとよい。大きなフォントを使っているので縮小印刷しても出来上がりは美しく、1枚の紙に2ページを印刷するのがぴったりしている。

早く注文して下さった方々は大切に扱いたいし、また可能な限り最高のユーザー体験を提供したいというのが私たちの目標でもあるので、バージョン 1.0 を購入して下さった方々の大多数には個別に電子メールをお送りして、バージョン 1.1 を無料で入手できる方法をお知らせした。

なぜ「大多数」なのかというと、eSellerate での注文(下記の説明を参照)の際に“Send me information about product updates and offers”というチェックボックスが示されている。この eSellerate のチェックボックスの文面を私たちが変更することは今のところ無理なので、チェックを外して注文された方に対しては、電子メールでの通知を望んでおられないということで無料アップデートのお知らせも送らない方が良いと判断したのだ。というわけで、これに該当される方は、どうぞ <[email protected]> あてにメールをお送りいただきたい。その方には、アップデートの入手方法をお知らせし、リストにも追加させていただきたく思う。

また、電子メールアドレスを変更したり、ISP が馬鹿げたスパムフィルターを適用しているなどの理由で電子メール通知を受け取れなかった方も、メールを送っていただければ同様に対処させていただく。とは言っても、このような配布関係の問題は私たちに必要以上の雑用を増やすだけとも言えるので、どうか皆さん、注文の際にはメール受領に関して信頼できるアドレスを示していただけるよう、できるだけの配慮をお願いしたいと思う。

注文方法の変更 -- 現在は、注文を受けるのに eSellerate のサービスを試している。当初使っていた Kagi のサービスに特に不満はなかったのだが、自前の取引口座を通すことで費やされる時間とエネルギーはあまりにも大きく、現時点ではその分を編集作業に向けられるようにすべきだと判断した。全般的に見て、今のところ eSellerate は順調に機能しているようで、その最大の利点、つまりあなたが注文後電子メールのレシートの到着を待つ必要がなく、一番最後の注文画面そのものから直接ダウンロードできる、というところも見逃せない点だ。

eSellerate は現在ダウンロードのホストにもなってくれているので、以前思いもかけず問題となった StuffIt Expander へのパスワード入力の困難を引き起こしていた暗号化アーカイブを私たちが扱う必要もなくなった。PDF は依然として圧縮ファイルで提供している。これは、多くのウェブブラウザが PDF ファイルを後日利用できる形でダウンロードせずに直接ウィンドウで表示してしまうからだ。職場の Windows マシンでダウンロードしてそこから印刷したい人の便宜のために、StuffIt Deluxe を使って Zip アーカイブにしてある。これは、最近のバージョンの StuffIt Expander ならば展開できるはずだ。Panther で Safari を使ってダウンロードした人は、StuffIt Expander を起動する必要もなく自動的に Zip アーカイブが展開されているのに気が付くはずだ。

新刊の電子本も近日発売 -- これまでのところは既刊の2冊に努力の大部分を注いできたが、現在さらに2冊の新しい本も準備中だ。Glenn Fleishman 著の“Take Control of Sharing Files in Panther”と、Kirk McElhearn 著の“Take Control of Users & Accounts in Panther”の2冊で、詳しい説明は Take Control ホームページにある。その後も、現在はまだアウトラインの段階ながらさらにいくつかの新しい本も控えているので、今後もご注目あれ!

<http://www.tidbits.com/takecontrol/>(日本語)Take Control Ebooks あなたの知りたいことがすぐわかる


ディスク修復牧場の決闘

文: David Shayer <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>

避け得ないものはいろいろある。死の訪れや、税金、そして、ディスクのクラッシュもだ。いつの日か、あなたは大切なファイルを開こうとして、開くのはただ血も凍るようなエラーメッセージだけ、という目にあうことだろう。あるいは、フォルダが丸ごと消えてしまったということも起こるかもしれない。もっと運が悪ければ、何らかのディスクの不具合によってあなたの Mac が起動さえしなくなるかもしれない。

でも幸いなことに、あなたはちゃんとご自分の大切なデータの完全なバックアップを保存しているので、なくなってしまったデータもバックアップから復旧させることができる。そうすれば、すべてが元どおり、あなたは仕事に戻れるわけだ。何? 今なんて言いました? 一番最後にあなたがバックアップしたのはレーガンが大統領の時代だったって??

ことわざにも、百の治療より一の予防と言う。ならば、最も有効なディスク修復プログラムとは、信頼できるバックアップ・ユーティリティ以外の何者でもないのは明らかだろう。私が愛用しているのは Dantz の Retrospect だ。でも、あなたがどんなバックアップ・プログラムを使うにせよ、必ずそれを定期的に走らせておくことが肝要だ。そうすれば、あなたのハードディスクが遥か彼方の天空の世界に飛び去ってしまったとしても、いつもあなたの手元には新しいバックアップが控えていてくれることになるわけだ。(良いバックアップ戦略の立て方について詳しいことは、TidBITS のシリーズ記事“今日のバックアップはお済ですか?”を参照。)

<http://www.dantz.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1041>
(日本語)
今日のバックアップはお済ですか? 第一部
今日のバックアップはお済ですか? 第二部
今日のバックアップはお済ですか? 第三部
BackJack でインターネットバックアップ
今日のバックアップはお済ですか? 第四部
インターネットバックアップ戦略
Ecrix 社製 VXA-1 テープドライブ:高速・大容量バックアップ
FireWire ハードディスクでバックアップ
Retrospect 5.0 で Mac OS X のバックアップが可能に
ユーティリティハードディスクを設定する
ディスク復旧能力の向上した Retrospect 5.1 登場
FireVue でバックアップ"

それでも、私たちの多くは、苦労してダイエットやエクササイズに励むよりも魔法の錠剤を飲むだけで痩せられる方に心を奪われてしまうものだ。ディスクが壊れた時も、たとえバックアップがきちんと取ってあったとしても、わざわざバックアップから復旧するより、壊れたディスクをディスクユーティリティで修復する方を好むのは無理もないことだ。バックアップからの全復旧には何時間もかかるが、良いディスクユーティリティならばディスクの些細な不具合をほんの数分で修復してしまうことも多いのだから。

Macintosh の世界で名の通ったディスク修復プログラムのいくつかで、最近アップグレードが発表されている。今回この記事では、私は Norton Disk Doctor tool (Symantec の Norton Utilities 8.0 ($100) の一部)、Alsoft の DiskWarrior 3.0 ($80)、Micromat の Drive 10 1.1.4 ($70)、SubRosaSoft の DiskGuardian 2.2 ($70)、それに Apple のディスクユーティリティ(無料) を比較してみたいと思う。これらのプログラムはそれぞれに異なったさまざまの機能を備えているが、今回私は Mac OS X 下でのディスク修復機能のみに焦点を絞って考えたい。私は、Prosoft Engineering の Data Rescue X は扱わないことにした。これは、壊れたディスク上のファイルを別のディスクに再現させるためのものであって、壊れたディスク自体を修理するものではないからだ。

<http://www.symantec.com/nu/nu_mac/>
<http://www.alsoft.com/DiskWarrior/>
<http://www.micromat.com/drive_10/drive_10_introduction.html>
<http://www.subrosasoft.com/>
<http://www.prosoftengineering.com/products/data_rescue.php>

ユーザーインターフェイスの違いとか、ディスク修復プログラムの中の補助的機能とかは、二次的なものとして比較の対象から外すことにした。なぜなら、緊急時にあなたの脳裏にあることは一つ、大切なデータが戻ってくるかどうかということだけだからだ。というわけで、問題の核心に注意を集中させることにしよう。つまり、あなたが出会う可能性の高いディスクエラーとはどんなものか、そして、不幸にもあなたのディスクが壊れてしまった場合に、どのプログラムがあなたを危機から救ってくれるのか、ということを考えてみよう。

私の経験では、人々が出会うディスクの問題の多くは大きく分けて3つの種類に分類できる。ハードウェアの故障、不良セクタ、それにディレクトリの損傷だ。Mac OS X では現在の起動ディスクを修復できないという事実に鑑み、最初に各プログラムの使い方の第一歩を簡単に紹介してから、次に3種のうち最悪の問題、つまりハードウェアの故障について検討する。その後で、ソフトのエラーについても吟味し、各ディスク修復プログラムの能力の比較へと進みたい。

ブーツの戦利品 -- ディスク修復プログラムが起動ディスクを安全にチェックすることができないのが、Mac OS X の欠点の一つだ。それにもかかわらず、また Apple の公式発表でも起動ディスクのチェックはサポートしないとされているにもかかわらず、Norton Disk Doctor と DiskGuardian はどちらも起動ディスクのチェックができる。ただし、それはしないようにという警告はなされているのだが。私も Mac OS X で起動ディスクにかかわり合うのは危険なことだと思うし、皆さんにもぜひこれは避けていただきたいと思う。

幸運なことに、これには簡単な解決法がある。Mac の起動時に Command-S を押し続ければ、「シングルユーザーモード」での再起動になる。このシングルユーザーモードでは Mac OS X がコマンドライン版となり、ウィンドウもマウスポインタも現われない。そこで“fsck -y”とタイプすれば、ブートディスクがチェック(そして必要ならば修復も)される。その後、“reboot”とタイプすれば(もちろんどちらのコマンドも引用符無しでタイプすること)Mac が再起動する。ディスクユーティリティと fsck は同じエンジンによって動作するので、シングルユーザーモードで fsck を走らせるのは実際ディスクユーティリティを走らせるのと完全に等価だ。

たった2つのコマンドであってもコマンドラインなんか使うのは嫌だ、という人には、もう一つ別の方法もある。Mac OS X Installer CD を使ってあなたの Mac をブートすれば、そこからディスクユーティリティが使えるのだ。インストーラの最初の画面で、Installer メニューから“Open Disk Utility”を選べばよい。

他のディスク修復プログラムではどうだろうか? DiskGuardian 以外のすべて(現在のところは - DiskGuardian も新バージョンが近日登場予定とのことだ)には、ブート可能な CD が付いている。その CD を挿入して、Mac の電源を入れ、C キーを押し続ければ、コンピュータは強制的にその CD でブートする。ハードディスクがあまりにもひどく壊れてしまってコンピュータが起動できないような場合には、ブート可能な CD が絶対的に必要なものとなる。

死んだぜ、Jim -- さて、実際にどんな問題が起こり得るのか、という話に移ろう。ハードウェアの故障はドライブのコントローラボード上の電子回路が焼け切れたことからも起こるし、またヘッドやアームなどで次第に機械的問題が悪化することによっても起こる。時には、潤滑用のグリスに問題があってディスクが回転しなくなったり読み取りアームが動かなくなったりすることもあり、これは“sticktion”の問題と呼ばれる。

こうした問題の原因はディスクを落としたり、部品に欠陥があったり、静電気や、あるいは全くの経年疲労によることもある。普通はこのような場合ディスクはデスクトップに登場すらしなくなる。ディスクユーティリティに関して言えば、Drive 10 は“Unit Ready”でハードウェアエラーを探知できる。その実体は、その言葉の通り Drive 10 がディスクに“Are you ready?”(準備はできたか?)と問いかけて、そのドライブが“No”と答えるわけだ。このテストは、あなたが既にハードウェアエラーを疑っているような場合にそれを確認するために使うのが理想的だ。

死んでしまったドライブに、あなたの生死にかかわるようなデータが取り残されていないことを願いたい。どんなソフトウェアも、ハードウェアの故障で止まってしまったディスクを修理することはできないのだから。そういうデータをどうしても取り戻したいという場合は、唯一つ残された選択肢はデータ回復サービスの会社、例えば DriveSavers のようなところに依頼することだ。この DriveSavers 社のサービスは私の見たところプロフェッショナルで高い技術を持ち、そして値段も高い。(TidBITS-495に載った Jeff Carlson の記事、“DriveSavers 救助隊”も参照。)

<http://www.drivesavers.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05530>(日本語)DriveSavers 救助隊

保証期間の延長 -- あなたのドライブにハードウェアの故障が発生したばかりなら、きっとあなたは今、保証書を確認しながら必死でレシートを探し回っていることだろう。もしもあなたのコンピュータや外部ハードドライブの製造元保証が期限切れだったとしても、まだあきらめてはいけない。ハードドライブの多くには、たとえそれがコンピュータに内蔵されたものであっても、OEM (original equipment manufacturer) 保証というものがあって、もっと長い保証期間をカバーしているのだ。OEM とは、つまりそのドライブ自体を製造した会社のことだ。もしもあなたがコンピュータのケースを開けてドライブ機構を取り出す気があるのならば、この保証を利用できる可能性がある。

具体的にはこういうわけだ。あなたはそのコンピュータを Apple 社から、あるいはその外部ディスクを VST 社から、それぞれ買ったのかもしれないが、そういう会社がドライブ機構そのものを製造しているわけではない。あなたのドライブを実際に製造したのは、おそらく IBM、Seagate、Maxtor、HP、Western Digital といったようなハードドライブ製造会社だろう。このような会社は自社製品のドライブに独自の保証をしていることが多く、たいていの場合その保証期間はあなたの Mac や外部ハードドライブの保証期間よりも長い。ドライブ機構の保証期間は2年間とか、時には5年間という長いものもある。さらに良いことには、もしもあなたがレシートをなくしてしまったとしても、その製造元でドライブのシリアル番号をチェックして保証期間内かどうかの確認をしてくれることもあり得る。

HP 社も IBM 社も、どちらも私の死んだドライブを交換してくれたことがある。いずれの場合もレシートはなく、シリアル番号のチェックだけで保証をしてくれた。もっと良いことには、IBM では当時もう 14 GB ドライブを製造していなかったので、私の死んだユニットを 20 GB のユニットと交換してくれたのだ。

SMART 機能 -- 新しいハードドライブの中には SMART と呼ばれる機能を装備しているものがある。これは Self-Monitoring, Analysis, and Reporting Technology の略だ。もともと IBM で開発された機能で、SMART 対応のドライブはドライブの温度、スピンアップの時間、ヘッドがトラックに留まる忠実度などの各種変数を常時監視しつつ自己診断を行なっている。このような物理的パラメータが許容範囲を超えるのを探知することにより、SMART 機能はある種のドライブ故障を発生以前にあらかじめ予知することができ、あなたがデータをバックアップして新しいドライブを買いに行くための余裕を作ってくれる。

残念ながら、ほとんどのハードドライブはあなたに災厄が迫っていることを自分から告げることはできない。あなたが、何かプログラムを使ってそのドライブの SMART 統計値を聞き出してやらなければならないのだ。DiskWarrior と DiskGuardian は、どちらも定期的にドライブをチェックして、トラブルが発見されれば警告してくれる。

あなたのドライブに製造上の欠陥があって、それがゆっくりと症状を悪化させていくような場合に、SMART 機能はその機能を最もよく発揮する。あなたがデータを新しいディスクに移すための時間を提供してくれるからだ。けれども、時として現われる不良セクタやディレクトリの損傷のような問題、ましてや突発的なハードウェアの故障に対しては、SMART は何の役にも立たない。私自身は、ハードウェアの故障が差し迫っているようなドライブを持っていないので、DiskWarrior や DiskGuardian の SMART 機能はテストできなかった。

芳ばしくないセクタ -- さて、純粋のハードウェア的問題から、今度は物理的(ハードウェア)と論理的(ソフトウェア)のどちらでもあり得るような種類の問題に話を移そう。ディスクは、セクタに分割される。個々のセクタは通常 512 バイトのデータを保持する。不良セクタを引き起こすには、2種類の問題がある。ハードのエラーとソフトのエラーだ。

ハードのエラーというのはディスクの表面への物理的損傷によって起こる。ディスクを落としてしまったり、あるいは製造上の欠陥があったり、というのが最も多い原因だ。このようなハードのエラーを修理することはできないが、悪いセクタを「割愛」することによってエラーを「修正」することができる。ディスクは、少数ながら予備のセクタを用意しているので、ハードのエラーが起こった時には、ドライブのコントローラが悪いセクタを対象から外して、予備のセクタをその代わりとして使うようにするのだ。

この割愛は実際どのように行なわれるのだろうか? SCSI ハードディスクの場合は“reassign”という SCSI コマンドが提供されていて、これが悪いセクタを置き換える。ロー・レベルの再フォーマットも、やはり悪いセクタを置き換えてくれる。SCSI 以前の時代のディスクでは、悪いセクタを直すにはロー・レベルの再フォーマットしか方法がなかった。

現代のディスク、例えば内蔵 ATA、FireWire や USB ドライブなどの多くでは、ハードエラーを起こしたセクタはその次にセクタに書き込みが起こった時に自動的に割愛が行なわれる。これは確かに便利だが、その悪いセクタに保存されていたデータについては、プログラムが正確に読み取れなかったとすれば、それが問題を引き起こしてセクタの置き換えがうまく行かないこともある。Apple のディスクユーティリティでディスクを消去する時は、“Zero all data”オプションをオンにしている場合に悪いセクタが割愛される。

ソフトのエラーについてはどうだろうか? 個々のセクタには、512 バイトの保存されたデータに加えて、別途に数バイトのエラー修正コード (ECC) が存在している。セクタに書き込みが起こった時、ドライブのコントローラは ECC を計算して書き込む。後日ファイルシステムがこのセクタを読み出す時、ECC がチェックされてデータが壊れていないか確認される。もし ECC がデータとマッチしていなければ、これがソフトのエラーということになる。ディスクの表面には問題がないのだが、そのセクタ上のデータは壊れてしまっているのだ。

ソフトのエラーが起こる原因は、書き込み中にディスクが震動させられたり、あるいは書き込み中に電源が落ちたり、といったことだ。いずれの場合も、セクタへの書き込みが中途半端な状態で放置されてしまう。また、ハードディスクの近くに大きな磁石(例えば電気モーターに付いているようなもの)を置いた場合もデータに悪影響がある。ハードのエラーと同様、現代のディスクの多くはソフトのエラーも次にセクタに書き込みがあった時に自動的に修理する。

不良セクタの検出 -- Norton Disk Doctor、DiskGuardian、それに Drive 10 は、「不良メディアチェック (defective media check)」あるいは「表面検査 (surface scan)」と呼んでいるテストで不良セクタを検出できると謳っている (DiskWarrior やディスクユーティリティでは不可能だ)。ディスク上にソフト的に障害を作成する特別なツールを使い、それぞれのプログラムを試してみた。

Norton Disk Doctor は、不良セクタを発見・修復できるとなっているが、この不良メディアチェックではテストディスク上の障害を発見することはできず、何も問題が無いと報告した。

DiskGuardian は不良セクタを発見したが、全部のチェックを終えるのに数時間もかかった。残念ながら、その不良セクタがどのファイルで使われているが分からないため、どのファイルが損傷しているか、つまりどのファイルをバックアップから戻せば良いのか知る方法が無かった。DiskGuardian には不良セクタを修復する機能は無い。

DiskGuardian と同様、Drive 10 も不良セクタを発見したが、どのファイルが損傷しているかを特定することは出来なかった。紛らわしいことに、損傷に関する Drive 10 のレポートでは不良セクタを修復できると書いてあったが、そのようなコマンドは見つけられなかった。Micromat 社の技術サポートは、このレポートが間違っていることを認めた。つまり、Drive 10 は不良セクタを発見しても修復できないということだ。不良セクタにゼロを書き込むだけで修復できたのに、Drive 10 にとっては残念なことである。

ディスクユーティリティは不良セクタを探し出すことはできないが、ディスクが最近のモデルなら、ディスクを消去するとき「全テータを“0”にする」オプションを選べば、不良セクタを修復できる。

すべての製品について、不良セクタの取り扱いに関しては最低点をつけなければならない。2 つの製品は不良セクタを検出できたものの、どのファイルに不良セクタが含まれているかを知らせてくれるものは一つもなく、バックアップからどのファイルを戻せば良いのか判断することが不可能だった。ディスクユーティリティだけが不良セクタを修復できたが、これは全ディスクを消去する代償としてである。

住所録を消し去る -- 今まで、純粋なハードウエアの障害、そして不良セクタを見てきたが、これらはハードのエラーかソフト的なエラーであり、用意したディスク修復ユーティリティはあまり役に立っていない。次は、純粋にソフト的なエラーで起こる障害を見てみることにしよう。この種の障害では、ディスク上のファイルやフォルダがどこに存在しているかを記録しているディレクトリでの問題が代表的であろう。この場合、ドライブの機械的な部分やディスクの表面は何も悪くない。ただ単に、ディスク上でデータの格納場所を知るためのディレクトリ情報が混乱してしまっただけである。もしデータの場所が突き止められさえすれば、多くの場合データが失われることはない。

余談だが、重要なデータを扱う場合、ディスクをミラーリングしたり RAID アレイを使ったりすることがある。これらは、メインディスクを一バイト残らず忠実にバックアップディスクに複製するのに使う。もしメインディスクにハードウエア障害や不良セクタが発生しても、バックアップディスクがあれば問題を回避できるというわけだ。しかしながら、この方式はディレクトリの損傷に対しては全く無防備であることを指摘しておきたい。何故かというと、RAID は全てのデータをバックアップディスクに書き込むが、データが正しいかどうかは検証していないため、メインとバックアップディスクの両方に損傷したデータが書き込まれてしまうからである。私のことを野菜を食べなさいと口を酸っぱく言っている母親のように思うだろうが、何度も言うように真の防御は定期的なバックアップなのだ。

ディレクトリが損傷する最も一般的な原因はクラッシュによるものだ。ファイルが作成中あるいは保存中にコンピュータがクラッシュすると、変更の一部しかディスク上に書き込まれないことになり、このディレクトリの情報は矛盾してしまう。Mac OS X は Mac OS 9 と比べてクラッシュすることは遥かに少ないが、ディレクトリがおかしくなってしまうようなクラッシュは起こり得るし、実際に起きることだろう。Mac OS 9 と Mac OS X どちらも、クラッシュの後は起動ディスクの検証と修復を自動で行なうが、これによりディスクが損傷する確率を劇的に下げている。

Mac OS X 10.3 Panther でさらにディレクトリの損傷を減らすと期待されている新機能が、ジャーナルファイルシステムだ。これはディスクユーティリティで設定できるが、Panther をインストールしたディスクでは普通オンになっている。ジャーナルファイルシステムの仕組みはこうだ。ファイルシステムがディレクトリを変更する前に、「これからこのディレクトリをこのように変更する」とディスクに注記を残しておく。その後、ファイルシステムが変更を行い、終了後この注記を消去する。もし、このプロセスが完全に終了していない場所をシステム起動時にファイルシステムがディスク上で見つけた場合、これはなにかまずいことが起こったと判断して、ディレクトリを以前の状態に戻す。最後に行なった変更は失われてしまうが、ディレクトリは損傷から免れることができる。

ディレクトリが損傷する他の原因には、不正なデータをディスクに書き込むおかしなプログラム、ディスクに書き込まれるのを待っているキャッシュデータを上書きしてしまう動作不良のプログラム、そしてファイルシステム自体に存在するバグが挙げられる。最初の 2 つが Mac OS X で起こる可能性は、それぞれファイルのアクセス権とメモリ保護機能のおかげで、Mac OS 9 に比べて極めて低い。ファイルシステムに不具合がある場合は非常に稀だが、過去に時々起こったことがある。

ディレクトリの損傷はいつも簡単に分かるとは限らない。ディスクが損傷していても外見上は正常動作しているようにみえるかもしれないが、使い続けていると些細な問題が重大な障害へと被害が大きくなる可能性がある。ほとんどのディレクトリ障害は、早期に発見できれば簡単に直せるが、後になればなるほど不可能ではないにしても修復するのは難しくなる。クラッシュの後起動ディスクの検証と修復を自動的に行うことが重要なのはこうした理由であり、Mac OS 9 の「一般設定」コントロールパネルで「ディスクの検証」オプションをオンにしておくことが非常に重要な理由でもある (Mac OS X ではこのディスク検証オプションは変更できない)。

これらのディスク修復ユーティリティが異なるタイプのディレクトリ障害に対してどのように対処するかをテストするため、HFS+ ディスクイメージを作成し、そこに各種ファイルやフォルダをコピーした後、ローレベルディスクエディタを使って様々なディレクトリデータ構造を破壊した。そしてこの損傷したディスクイメージを複製し、各ユーティリティ毎にそれを修復させてみた。つまり、それぞれのユーティリティは、まったく同一の障害を持つ同一のディスクイメージを対象に修復したということだ。

エラーは語る -- まず最初に、アロケーションファイルとしても知られているボリュームビットマップ内の比較的シンプルな障害から始めることにした。ボリュームビットマップは、ディスク上のどのブロックがファイルによって使用中か、そしてどれが未使用かを記録している。5 つのユーティリティ全てが、損傷したボリュームビットマップを簡単に修復した。

次に、ディスクの使用量・空き容量やカタログとアロケーションファイルの場所などディスクの重要な情報が記録されている、ボリュームヘッダを壊してみた。ボリュームヘッダは HFS+ パーティションの先頭に格納されている。私はボリュームヘッダのシグネチャーを消去した。これにより、ファイルシステムはボリュームヘッダが損傷していると推測し、そのディスクの使用を拒絶することになる。幸運にもファイルシステムはボリュームヘッダのバックアップをディスクの終端に持っており、これは想像通り代替ボリュームヘッダと呼ばれている。5 つのユーティリティ全てがディスクの修復に成功したが、Drive 10と DiskGuardian は損傷したディスクの名称を発見することが出来なかった。

カタログの大惨事 -- カタログ b- ツリーは、ディスク上のすべてのファイルとフォルダの情報を格納している。これは、ディレクトリのきわめて重要な部分であり、行ったテストの多くがこの点に焦点を合わせている。このカタログはノードに分けられ、そして各ノードはレコードに分けられている。ほとんどのレコードはディスク上のファイルやフォルダを記録しているが、ファイルシステムがファイルやフォルダを調べるために内部で使用するスレッドやインデックスに使われているものもいくつかある。

カタログ内で最初のノードをヘッダノードと呼んでおり、他のキーノードへのポインタとなっている。このヘッダノードを消去してみた。Norton Disk Doctor、DiskWarrior、そして Drive 10 は正常にヘッダノードを再構築した。ディスクユーティリティと DiskGuardian は修復に失敗している。Drive 10 は今回も損傷したディスクの名称を得ることが出来なかった。

ヘッダノードは、どのノードが使用中でどのノードが空いているかを記録しているマップを持っている。このマップを壊してみたが、ユーティリティーにとっては大したことではなかったらしく、すべてのユーティリティがヘッダノードマップの修復に成功した。

カタログ内のノードはお互いにリンクしており、これは接続形態を正確に表している。水平リンクは同じレベルのノードを接続し下方向リンクは異なるレベルをリンクする。ファイルシステムは、ファイルやフォルダを参照するのにこれらのリンクを必要とする。今回はこのリンクを壊してみた。カタログヘッダノードを消去したときと同様、Norton Disk Doctor、DiskWarrior、それにDrive 10 はリンクを修復できたが、ディスクユーティリティと DiskGuardianはリンクを元に戻すことは出来なかった。

ファイルとフォルダのレコードはカタログ内でアルファベット順に並んでいる。このレコードの順番を無作為な順番に並べ替えてみた。すべてのユーティリティーがアルファベット順に並べ直すことが出来た。

特定の文字、例えばコロンはファイルやフォルダの名前に使用することを許されない。通常は、オペレーティングシステムがファイルの保存やフォルダ作成時に使用できない文字が入力できないようにしているが、特殊な状況下では起きる可能性が無いとは言えない。そこで、カタログ内のフォルダレコードに直接コロンを挿入し、フォルダの名称をコロン付きのものに変更した。このテストでは面白い結果が得られた。ディスクユーティリティと DiskGuardian は、何も問題が無いと判断した。Drive 10 は不正な文字を発見したがそれを修復しなかった。Norton Disk Doctor と DiskWarrior はどちらもコロンを使用可能な文字に置き換えることにより正常に修復した。

カタログがさらに損傷 -- それぞれのカタログノードは、そのノードのレコードを指し示すマップで終わっている。私は、いくつかあるノードの一つに対するマップに損傷を与えた。これは深刻に聞こえるかもしれないが、それぞれのレコードの大きさを計算しながら次のレコードを見つけていき、最終的に目的のレコードを探しだすことは可能だ。ディスクユーティリティと Norton Disk Doctor は何か問題があることは発見したが、修復することは出来なかった。Drive 10 と DiskGuardian はどちらも障害を発見し修復したが、その処理においてそれぞれ 5 個と 6 個ファイルが失われた。少しでも修復できたほうが完全に失敗することよりいつも良いとは限らない。なぜなら、ディスクの修復が完全にできたと信じてしまい、後で (もしかするとずっと後で) いくつかのファイルが失われていたことに気が付くかもしないからだ。DiskWarriorは、カタログノードマップを適切に修復した。

次に、スレッドレコードを未知のタイプのレコードに変更した。これは、2 つの問題を生ずる。ファイルシステムが依存するスレッドレコードが無く、不正なタイプのレコードが提示されるということだ。ディスクユーティリティとDiskGuardian は損傷を検出したが直すことは出来なかった。DiskWarrior は障害を復旧したが、ある一つのファイルにあるデータをいくつか失った。Drive 10 と Norton Disk Doctor だけが、損傷を適切に修復することが出来た。

注目して欲しいのは、DiskWarrior は問題がありそうなファイルをすべて「救出された項目」という名前のフォルダへ移動するということだ。私が行なったテストでは、ほとんどのファイルが結局正常であった。この方式は、どのファイルが損傷しているかすぐに分かるという利点を持つ。しかし、「救出された項目」フォルダにファイルが沢山ある場合、それらをチェックして片付けるという作業は退屈かもしれない。Norton Disk Doctor は、オプションによりフォルダ内にある損傷したファイルのエイリアスを作成することができるが、こちらの機能の方がさらに便利である。しかし、私のテストではこれは動作しなかった。Norton Disk Doctor はまた、レポートの中で損傷したファイルの名前のリストを表示する。

ファイルレコードで一番大事なことは、ディスク上におけるファイルのデータの場所である。ディレクトリの損傷の中で最悪のものは、2 つのファイルが同時にディスクの物理的に同じ位置に存在しようとしたときに発生する。この問題は、ユーティリティにより「エクステントのオーバーラッピング」あるいは「クロスリンクしているファイル」などと呼ばれている。運が良ければ、片方のファイルがもう片方のデータを完全に上書きし、これにより片方のファイルから見れば正常だがもう片方のデータが完全に無くなってしまう。最悪のケースでは、お互いが交互にデータを書き込んでしまって、どちらのファイルも損傷し復旧できなくなってしまう。私は 2 つのファイルをクロスリンクし、ボリュームヘッダとボリュームビットマップと一緒にファイルのカタログレコードを破壊した。ディスクユーティリティと DiskGuardian は、カタログレコード、ボリュームヘッダ、そしてボリュームビットマップを復旧したが、実際のところ 2 つのファイルを分離することはしなかった。これに対し、Drive 10、DiskWarrior、そして Norton Disk Doctor は損傷を修復しファイルを 2 つに分けた。上書きされたファイルのデータは復旧できなかったが、これはこれらの修復プログラムが失敗したためではないことを理解することが重要である。片方のファイルがもう片方により上書きされたなら、不幸にしてこのファイルがまた元に戻る可能性はゼロだ。

断片化されたデータ -- 数カ月前、私は一般的に何故ディスクの最適化を行う価値が無いのかを説明した記事を TidBITS に書いた (TidBITS-686の“ディスクの最適化は時間の無駄”を参照)。断片化していることはまったく正常で問題ないが、極度の断片化は追加のディレクトリ構造を必要とし、これが壊れて修復する必要が出てくるかもしれない。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07254>※日本語ディスクの最適化は時間の無駄

別の特殊なツールを使い、カタログ b- ツリー内のファイルレコードが全ての断片を把握しきれないほど細切れにファイルを断片化した。これにより、ファイルシステムは、全ての断片を記録できるようエクステントカタログ b- ツリー内で新しいレコードを作成する。このエクステントカタログ b- ツリーはカタログ b- ツリーと同等だが、非常に細かく断片化したファイルを記録するためだけに存在する。もう一度言うが、深刻な断片化は本質的に問題とはならない。正確には、ディスクが不安定な状態だったと言えよう。そこで 2 つのエクステントレコードに被害を与え、ファイルシステムが 2 つあるファイルのすべての部分を見つけられないようにした。ここで、損傷を与えるのはファイル毎にそれぞれ別々の方法で行った。ディスクユーティリティ、DiskGuardian、そしてDrive 10 はすべて損傷したエクステントレコードを検出したが、損傷を修復することは出来なかった。DiskWarrior と Norton Disk Doctor の結果はそれよりも良く、障害を復旧したがあるファイルの中のデータを一部失った。与えられた損傷の種類を考慮すれば、予想通りといったところだろう。

HFS+ ボリュームは、実は昔のシンプルな HFS ボリュームである「ラッパー」により取り囲まれている。このラッパーの理由には歴史がある。Apple は Mac OS 8.1 で初めて HFS+ を公表した。もし、HFS+ フォーマットのディスクを Mac OS 8.0 あるいはそれ以前が動作している Mac、つまり古い HFS しか理解できないマシンに接続した場合、古いシステムにより HFS+ ディスクが損傷していると判断され初期化されるのを防ぐ役割を持つのがラッパーだ。次のテストでは、このラッパーのカタログ b- ツリーのヘッダノードにダメージを与えた。ディスクユーティリティと DiskGuardian は、何も問題が無いと報告した。Drive 10 と DiskWarrior ラッパーの損傷を検出したが修復しなかった。Norton Disk Doctor は問題を見極め正常に修復した

ディスクには複数のパーティションを作成することができるが、これはディスクの先頭にあるパーティションマップに記述されている。ディスクイメージはパーティションマップを含まないため、このテストには外付け FireWire ハードディスクを使用した。これのパーティションマップを、ディスクドライバのパーティションが HFS パーティションとオーバーラップするように壊した。今回用意したディスク修復ユーティリティの中で、Norton Disk Doctor だけがパーティションマップをチェックできるものだった。実際にこの障害を見つけられたのはこれだけであったが、オーバーラップしているパーティションマップを修復することが出来ないことも同時に判明した。幸いにもパーティションマップが損傷することは極めて稀であり、それが他のユーティリティでこの問題をチェックできない理由なのだろうと思う。

大団円 -- 最後に、Macintosh ハードディスクで見たことのある最悪の障害を再現することに決めた。まず上記のひどく断片化したディスクから始まり、カタログとエクステント b- ツリーの様々な場所を壊したり上書きした。いくつかのノードではノードヘッダ (ヘッダノードと誤解しないように) を破壊し、他にもデータレコードを壊したりレコードオフセットマップを消去したりした。いくつかのファイルに至ってはディスクエディタにより引き起こされたこれら 3 種類の障害すべてを受けたものまであった。 DiskWarrior だけがこのディスクを使用できる状態に戻せたが、35 個のファイルが失われたり部分的に損傷していた。失われたり損傷したファイルが 35 個あるといっても、それは DiskWarrior の責ではない。重要な情報がどれだけ破壊されていたかを考慮すれば、これ以上の結果は望めなかったろう。他のユーティリティでは、ディスクを何とか修復することはできなかった。

そして勝者は... -- 私の行った 15 のテストのうち、DiskWarrior は 12個修復に成功し、Norton Disk Doctor は 11 個、Drive 10 は 9 個、DiskGuardian は 5 個、そしてディスクユーティリティは 4 個修復できた。「修復」には、復旧が完全ではないが充分使える程度のものも含んでいる。

では、私のプロの意見として、ディスクの調子が悪くなり始めたらどうすれば良いのだろう? まず最初に、無料である Apple のディスクユーティリティを試して欲しい。限られた種類の問題しか修復できないが、ディスクユーティリティが問題を発見した場合それは常に正しく、その問題を間違いなく解決できることが分かっている場合だけ修復を試みる。他のユーティリティが本当に時々しか起きないとはいえ誤って問題を悪化させてしまうようなことをディスクユーティリティがしてしまったというのは見たことが無い。

ディスクユーティリティが成功しなければ、DiskWarrior を損傷したディレクトリと対峙させるのが良い。これは総合評価の勝者であり、世間の評判も高い。DiskWarrior は実際に修復を開始する前に修復後のディスクをプレビューさせてくれる。これにより、DiskWarrior が永続的な修復を行う前に損傷したファイルやフォルダが実際に修復されているかどうかを確認できる。

もし DiskWarrior が失敗したなら、Norton Disk Doctor を試そう。なぜなら、これは DiskWarrior には直せない問題をいくつか修復できるからである。それでもダメなら、鶏を生け贄に捧げるしかない。これは冗談だが、もしディスクユーティリティ、DiskWarrior、そして Norton Disk Doctor の組み合わせでディスクを修復できなければ、データをバックアップから戻すか、それが不可能なら DriveSavers の有料復旧サービスを試す価値があるかどうか決めるしかない。

私はまだ、あなたが持つべき一番大切なデータ保護ユーティリティはバックアッププログラムだと思っている。しかし、良く出来たディスク修復プログラムは、小さな損傷を素早く修復することにより困難から救ってくれ、ハードディスクを再初期化してバックアップから復元する時間のかかる作業を行わずにすむことだろう。

[David Shayer は Norton Utilities for Macintosh 3.0、4.0、そして 5.0 の上級エンジニアだった。それ以前は MacUser Editor's Choice Award (審査員特別賞) を受けた Public Utilities と低レベルディスクエディタのSeditに携わっていた]

PayBITS: David の詳細かつ専門的なテストでどのディスクユーティリティを信頼すべきかが分かったら、PayBITS で彼の努力に報いてみて下さい。
<http://www.amazon.com/paypage/P12NE4WQ7K8ODD>
PayBITS の説明 <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>


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