もっと能力のあるウェブブラウザが欲しいと思わないか? そういう人にはリリースされたばかりの OmniWeb 5.0 を Adam のレビュー記事で知って頂きたい。ここにはパワーユーザー向けの機能が満載だ。Adam はまた、近所の公共図書館で近日公開予定のワイヤレスネットワークをテストしつつ学んだ教訓をお伝えする。さらに、Aladdin Systems がなぜ名前を Allume Systems と変えたのかについても語る。ニュースの部では、Apple が Motion を出荷し、BeLight 社の宛先ラベル・封筒印刷用ソフトウェア、Mail Factory の DealBITS 抽選をお知らせする。
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Apple が Motion を出荷、Production Suite を導入 -- 4 月に発表したのを受けて、Apple は今回 Motion の出荷を始めた。これは同社の新しいモーショングラフィックス制作用アプリケーションだ。(TidBITS-727 の記事“Apple がプロ・ビデオ界の注目を NAB する”を参照。)この $300 のプログラムを使えば、ビデオの上に人目を引く効果を入れたり、タイトルを付けたりできる。優位を占めている Adobe の After Effects を補完できる機能だ。ビデオ関係の関連したニュースとして、Apple はこの Motion が Production Suite と呼ばれる包括的な統合パッケージの一部となることを発表した。このパッケージは Final Cut Pro HD、Motion、DVD Studio Pro (先週バージョン 3.0.1 にアップデートされた)、それに Soundtrack を含んでいる。このパッケージの価格は $1,300 で、どのバージョンの Final Cut Pro のオーナーでもパッケージ全体に $700 でアップグレードできる。もう一つ注目すべきなのは Apple が Pro Application Support 2.1 をリリースしたことで、これは Final Cut Pro、Cinema Tools、Compressor、LiveType、Soundtrack、それに DVD Studio Pro のオーナーのためのアップデートだ。今回のアップデートでは信頼性の向上とインターフェイスの問題点に改良が加えられ、今後のアップデートのためには今回のアップデートを済ませておくことが必須となる。このアップデートは無料で、2.6 MB のダウンロードだ。[JLC](永田)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07647> (日本語)Apple がプロ・ビデオ界の注目を NAB する
<http://www.apple.com/motion/>(日本語)アップル - Motion
<http://www.adobe.com/products/aftereffects/> (日本語)Adobe After Effects
<http://www.apple.com/productionsuite/>(日本語)アップル - Production Suite
<http://www.apple.com/support/downloads/proapplicationsupport.html>(日本語)アップル - サポート - ダウンロード - プロアプリケーションサポート 2.1
TidBITS オランダ語翻訳版のニュース -- 我々のサービスは順次 Web Crossing に移行しつつあるが、先週我々は TidBITS のオランダ語翻訳についても Web Crossing ベースのリストに移行させた。Sander Lam、Elmar Dueren、Hans van Helvert をはじめとする、ボランティアのオランダ語版翻訳チームの方々の多大な協力のお陰で、スムーズな移行ができた。オランダ語版のウェブページも近日中に移行させる予定で、他の言語への翻訳版についても、今後順次リストとページ双方の移行を進めて行きたいと思っている。オランダ語版翻訳チームでは、TidBITS の翻訳を手伝って下さる新しいボランティアの人を募集中だ。どんな人がチームにいるのか、チームに加わるにはどうすればよいのか、といった詳しいことについては、ぜひ下記のページをお読み頂きたい。[ACE](永田)
<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/nl/>
<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/nl/tidbits-nl/over-vertalen.html>
DealBITS 抽選: DLexpo VIP パスの当選者 -- 先週の DealBITS で当選したのは、uci.edu の Andrew Laurence (先週号で EyeHome のレビュー記事を書いてくれたことへの、運命的な報いが与えられたのだろうか)、sandrew.org の Andrew Cohen、pacbell.net の Kerry Millerick、acm.org の Martin Cohen、それに mac.com の Pat Dengler の5人で、それぞれ先週末の DLexpo への VIP パスが贈られた。それ以外の応募者すべてには、$100 以上にも相当する割引コードが贈られた。応募して下さった 60 名の方々に、お礼を申し上げたい。今後の DealBITS 抽選にもどうぞご注目あれ! [ACE](永田)
<http://www.dlexpo.com/>
<http://www.tidbits.com/dealbits/dlexpo.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07765>(日本語)DealBITS 抽選:DLexpoのフリーパス
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>
私は小包を送るのが嫌いだ。郵便局までわざわざ出向かなければいけないのに加えて適当な包装材料を探し回る手間、それに宛先ラベルがある。私は手書きするよりも宛先ラベルを印刷する方を好む (というのも私の手書き文字はお粗末だし、そして電子メールから住所を書き写すというのも馬鹿げているとも感じる)。そうかといって、たった一枚のラベルを印刷するのに Now Contact を立ち上げて新しいレコードを作る (今回限りで将来何かを送る見込みなどない人という場合も結構ある) というのもおおごと過ぎるように感じる。
BeLight Software の Mail Factory に入れるのが良い。BeLight はウクライナの小さな会社で名刺を作成する優雅な小アプリケーション Business Card Composer に関与した会社であることを覚えておられると思うが、Mail Factory も間違いなく同じ流れをくんでいる。ラベルの入力から印刷まで素早く出来る。入力はデータを手入力するか或いは Apple の Address Book, Microsoft Entourage, Eudora, 或いは Now Contact につないで元データを得る。各種のラベルに合う膨大な数の既製のラベルフォーマットが付いており、通常のプリンタでも Dymo ラベルプリンタのどちらでも使え、そして途中まで使ったラベルのシートにも印刷できる。内蔵のクリップアートを使って独自のラベルをデザインすることも出来る。Mail Factory は封筒のデザインと印刷も出来るし、配達を早めてくれる POSTNET バーコードを挿入することも出来るうえ、50を超える国の郵便基準に合ったアドレス形式にすることが出来る (私は海外に郵便を出す時いつもアメリカ式の宛先を使って本当に届くのであろうか心配 であった)。
<http://www.belightsoft.com/mailfactory/>
今週の DealBITS 抽選では、この $29.95 相当の Mail Factory の電子版が 5本当たる。不運にもはずれとなった人でも Mail Factory の割引券が貰えるので、このプログラムに興味があるという人は下記のリンクから応募するのを忘れないように。集められた情報全ては我々の包括的なプライバシー方針で保護されます。しかしながら皆さんのスパムフィルタには注意を払われた方がいいです。もしあなたが当選した場合私のアドレスからのメールを受け取れるようになっている必要があるので。
<http://www.tidbits.com/dealbits/belight2.html>
<http://www.tidbits.com/about/privacy.html>(日本語)TidBITS プライバシー規約
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>
スコアカード無しに選手たちの消息を常に掴んでいるのは難しいが、Macintosh 業界の定番となっている会社の詳細には私は興味がある。1988年に設立された最も古い Macintosh ソフトウェア業者の一つである Aladdin Systems はこれまでも変化に富んだ会社経歴を経てきているが、最近も更なる変化が見られた。例えば、1999年には非上場の Aladdin は休眠状態の上場会社と逆統合して同社の株式が公開取引所で取引されるようにした。ところが今年の初めに Aladdin Systems は、TurboCAD, TurboProject, そして HiJaak グラフィックツールの様なソフトウェアで知られる PC ソフトウェアディベロッパーである IMSI に買収された。Aladdin は IMSI の 100% 保有の子会社ではあるが、その名前も維持した別会社として存在した;買収に伴う $8 million の資金注入以外は殆ど何も変わらなかった。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05633>(日本語)Aladdin Systems が株式公開
<http://www.allume.com/company/pressroom/releases/aladdin/012104-IMSI_Acquisition.html>
<http://www.imsisoft.com/>
ところが 7月になって、Aladdin Systems はその名前を Allume Systems に変更すると発表した。これは Aladdin の名前の長い歴史を思うとちょっと変であるように見える。問題は登録商標に関する訴訟に関係していることが分かった。この訴訟は Aladdin Knowledge Systems という会社によって起こされたのである。私はこの会社がハードウェアコピー防止ドングルを宣伝しているのを目にしたことがあるが、思うにその広告対象は極度に高価な垂直市場ソフトウェアを作っている会社なのであろう (少なくとも私はそう思いたい: 通常のソフトウェアを対象としたコピー防止ドングルなど鳥肌が立つ)。Aladdin Knowledge Systems は 1985年にまで遡ることが出来るが、Aladdin Systems に対して初めて登録商標訴訟を起こしたのは 2003年の11月になってからである。思うに、これは Aladdin Systems が SpamCatcher を出した事に基づいているようである。SpamCatcher は Windows スパムフィルタであり、Aladdin Knowledge Systems が出している eSafe サービスと通常は同じ範疇にあると見られる。
Aladdin Systems はこの訴訟で争ってきており勝算はあると見ていた。というのも Aladdin Knowledge Systems はその登録商標を保護する手立てをずっと取ってきていなかったからである。しかしながら、この訴訟費用は急速に膨れ上がって、親会社の IMSI が介入してきたのである。彼らは弁護士にこれ以上の金を注ぎ込むのに興味はなかった。そこで和解がなされ、Aladdin Systems はその名を Allume Systems へと変更した。aladdinsys.com のドメインは数年間は allume.com ドメインへのリダイレクトが行われるという。皮肉なことだが、Allume はアラジンのランプで大文字の A がクロスバーになっている Aladdin Systems のロゴは保持することとなった。
<http://www.allume.com/company/pressroom/releases/aladdin/072604allume.html>
ここでなぜこんな話をしたかというのは、主として Allume Systems という会社が急に現れてこれまで Aladdin のものとして馴染んでいた StuffIt Deluxe や Spring Cleaning, そしてその他のソフトウェアを売り始めたのかを説明したかったためである。Aladdin はこれまで Macintosh 社会サポートの一環として TidBITS のスポンサーを数え切れないほど多くしてくれて来た。そして今週号より Allume が我々のスポンサーの仲間に加わってくれたことをお伝えできるのはとても嬉しい。
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
数日前のこと、私と Tonya、ライター兼編集者の Mark Anbinder、それにいつも技術上のことで相談に乗ってくれている友人の Keith Kubarek(コンテンツ管理システムの選定で助言をしてくれるコンサルタント)と Oliver Habicht(Cornell 大学図書館の IT ディレクター)が連れ立って Tompkins County Public Library(Tompkins 郡公共図書館)(TCPL) に出かけ、この図書館で新たに導入しようとしているワイヤレスネットワークのテストをしてきた。これはまだ公共の利用には開放されていないが、このネットワークを設置した Sherpa Technologies 社の Michael Salm は、正式にスタートする前に、館員のトレーニングや公示物の作成、PR 活動などを始めるに先だって、何人かの人たちにこれをガンガン叩いてテストしてもらいたいと考えたのだ。
<http://www.tcpl.org/>
<http://www.sherpatech.com/>
Michael は、無指向性のアンテナを備えた Cisco Aironet アクセスポイントを設置して図書館内の公共用の領域のほとんどすべてをカバーできるようにしていた。(この図書館は、私が小さい頃からずっと Woolworth デパートだった建物をきれいに改装したもので、公共用の領域の大部分は1階のオープンスペースになっている。下記のリンクでどうぞ写真をご覧頂きたい。)当初私は自分たちがテストをしてもあまり役に立つフィードバックはできないだろうとちょっと疑問に思っていた。考えてみれば、ワイヤレスネットワークについての私の経験といえば、アクセスポイントにプラグインしていくつかオプションを設定するだけで即座にすべてが動き出す、というだけのものだったからだ。実際、Tonya と Tristan と私が図書館に足を踏み入れてから(Tristan はずっとお絵描きをしたり海軍の歴史を書いた分厚い本の中の挿絵に見入ったりして、かなりいい子にしていた)私が自分の PowerBook を取り出して開くと、即座にダイアログが現われて、この図書館のネットワークを私の信用できるネットワークのリストに追加すべきかどうか尋ねてきた。ちょこちょことクリックするだけで、早くも Cornell の天気予報ウェブページが開いた。見ると、午後 8 時まで強い雷雨に警戒が必要という予報が出ていた。(今年の夏はこういう天気が多い。)私は連れの皆にこのページを見せ、「この部屋での仕事はお終いにしよう」と宣言し、次に行こうと身振りしてみせた。
<http://www.tcpl.org/photogallery2.html>
けれども、その後引き続いて試した実際のテストは、非常に有益なものとなった。この図書館では以前から、利用者が自分のラップトップ機を Ethernet ジャックに繋いでインターネットにアクセスできるようになっていた。Michael は、このアクセスにウェブと電子メールのアクセスのみが許されるよう、その他を締め出す措置を採っていた。これは十分妥当なことだ。何しろここは公共図書館なのだし、場合によっては多数の人々が同じパイプを共有してインターネットに繋がることになるのだから、帯域幅を大きく占有するような使用法や、債務責任を発生しかねない使用(特にピアツーピアのファイル共有など)を制限するのは、賢明な方策と言える。ここで、Michael が私たちにテストを依頼する気になったことが、早くもその実を結び始めた。FTP が使えず、Cornell への電子メールもできず、その他 Cornell での認証を要する各種サービスも、どれも皆ファイヤウォールを通り抜けられないことが分かったのだ。Michael が早速それらのポートを開いてくれたので、Keith は FTP を使って彼のウェブサイトに変更を加えることができ、Mark は彼の Cornell での電子メールをチェックできるようになった。(その後 Mark は Cornell の電子メールをウェブ経由でチェックできるようにもなったが、Cornell 特有の各種サービスについては Michael が今も作業中だ。)
ついでに言い添えると、当初ワイヤレスネットワークを設置するための議論が進んでいた時、図書館の側からこのワイヤレスネットワークがセキュリティーのリスクやその他の債務責任を発生させるのではないかという懸念があり、それを防止するためにも何らかの方法でアクセスの限定や利用時間の制限などをかけるべきではないかという意見が出ていた。けれどもその後図書館に既存の有線ネットワークとこのワイヤレスネットワークとは基本的に同じであることが明らかとなり、従来から利用者が自分のラップトップ機を Ethernet ジャックに繋いでできていることと事実上何ら変わらないと分かってきた。このネットワークの公共用の部分は図書館のイントラネットとは分離されており、両方ともファイヤウォールに守られていて、たいていの悪用は防止できるし疑わしい活動もログを残せる。図書館というものは、学習と、情報の共有を奨励するのが目的の組織であるのだから、ユーザ名やその他の厳格な方法を要求しないような、ある程度オープンな形でのネットワークになったことは、とても喜ばしいことだと思う。
その次に、私たちは図書館の建物の一番遠い隅へと歩き回って、信号の強度をテストすることにした。これは今でも理由が分からないのだが、Keith の Titanium PowerBook G4 は私の 12 インチ PowerBook G4 に比べてずっと高い数値になった。MacStumbler で測った信号の強度は、Keith のマシンでは 70 から 90、一方私のマシンでは 30 から 60 という値だった。反面、彼のマシンではノイズレベルも高く (55)、私のマシンではノイズレベルはほとんど常時 0 と出ていた。たぶん、この違いは私の PowerBook が AirPort Extreme (802.11g) を使用していて Keith のマシンが AirPort (802.11b) を使用していることと関係があるのかもしれないと思う。Tonya の白い iBook も AirPort を使用しているが、こちらは Keith の Titanium PowerBook G4 よりもさらに高い信号強度を報告する(これは驚くにはあたらない。この iBook は電波の到達度に関してはかなり優秀なのだ。)一方、やはりノイズレベルは 55 と出た。少し古いバージョンの iStumbler も試してみたが、結果の数字はやはり同様のもので、これはやはり AirPort ドライバが原因なのだろうと私は思っている。
<http://www.macstumbler.com/>
<http://www.istumbler.com/>
おもしろいことに、この信号強度テストの最中、私たちはここ以外に二つ、別のワイヤレスネットワークを発見した。一つはクローズドのもので、この図書館の事務所部分にオフィスを置いている別の組織が使っていると分かっていたものだった。そしてもう一つは“UBWireless”というもので、その名前以外は結局何も分からずじまいだった。最近ではこのようなワイヤレスネットワークの重複が珍しいことではなく、チャンネルの干渉が起こらないように注意することがいつも要求される。UBWireless というのが何かは分からなかったが、それは channel 1 を使っており、Cisco のアクセスポイントは(おそらく UBWireless ネットワークが登場したよりも以前から)自動的に channel 3 を選択していたので、いくらかの干渉が起こる可能性があった。幸いにも、チャンネルの変更は簡単にできたので、そういう干渉を予防することができた。
Cisco アクセスポイントへの接続度が良好であることが分かったので、次に私たちは仕事負荷のテストに取りかかった。私たちは全員合わせても6個か7個の機器しか持ち合わせていなかったが、これで十分ネットワークに負荷をかけて、ストレス状態でのネットワークの挙動を見ることができるだろうということになった。何人かは Apple の QuickTime ムービー予告編を観始めた。(シーッ! 図書館だから音量を下げて!)私は、Interarchy で私たちの Xserve から巨大なファイルをダウンロードし始めた。このサーバからは通常私の家の 1 Mbps のロングレンジ・ワイヤレス接続で毎秒 80K 以上でそのファイルが落とせる。今回のダウンロードはゆっくりと始まった。全般的に言って、インターネットへの接続は期待したほど活発な感じではなかった。もっと詳しいデータを取ろうと Sustainable Softworks の IPNetMonitor X の Link Rate ツールを使おうとしたけれど、このツールは信号回帰時間を測るために ICMP ping を使っていて、これがファイヤウォールを通り抜けることができなかった。
<http://www.sustworks.com/site/prod_ipmx_overview.html>
Interarchy 7 にもネットワークをモニターするツールがあるのを思い出したのはその時だった。そこで私は Interarchy 7 の Network Status ウィンドウを開いて、そこに時間経過に伴う内向き・外向きのトラフィック状況が表示されるのを観察した。それによると、転送速度は毎秒たったの 20K から 30K ほどで、時折毎秒 192K に跳ね上がったかと思うと毎秒 10K 以下に落ち込むこともあった。この図書館には 2 Mbps のワイヤレス・インターネット接続があることを考えると、いくらそれが図書館内のすべての公共用インターネット端末や他のテスターたちと共有されているといっても、ちょっとこれでは遅すぎると思う。
私たちはテストを中止し、たった一人がダウンロードしているだけでも問題が再現することを確かめて、これは私たちがしていることとは別のところに原因があると結論づけた。それから私は自分の PowerBook を有線ネットワークに繋いでからもう一度試してみた。有線の接続でも、同じ結果だった。ということは、この問題はワイヤレスネットワークとは全く無関係のところにあって、インターネットへの 2 Mbps 接続そのものにあるということだ。言うまでもなく Michael はこの結果に当惑したが、それはまた改めて調べてみるべき作業になる。とにかく、館内ワイヤレスネットワークそのものは良好に動作していることが分かった。この時点で、私たちの仕事は完了し、皆はそれぞれラップトップ機を片付けて夕食に出かけた。
この話の教訓は、独立のテストというものは何時でも重要だということだ。別の人にテストしてもらうことで、システムの思いもかけなかった部分で、予想もしなかったような問題点が浮かび上がることもあるのだから。
by Adam C. Engst <[email protected]>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>
訳: 古川敬章 <tac@mac.com>
Safari は、数年前に Apple からリリースされた時、そのスピード、すっきりしたデザイン、そしてエレガントなインターフェースにより広く支持された。Internet Explorer が持つ強力な機能がいくつか欠けていたが、全体的に見てSafari は昔も今も優秀なウェブブラウザだ。しかし、Apple は Safari のリリース以降見えない所でいくつも改善を行ってきたと言っても、インターフェースは比較的変化が少なく、そこに Omni Group 社が OmniWeb でブラウザ戦争に参入する余地があった。私は OmniWeb 5.0 を数ヶ月テストしてきたが、いまだに特定の目的には Safari を使っているものの、すっかり OmniWeb のパワーユーザー向け機能の虜となってしまった。OmniWeb 5.0 は、Safari が Web ページ表示に使うのと同じ Apple のローレベルフレームワークである WebCore を使うようになったため、速度と表示機能は Safari と同等である。そこで、ここでは OmniWeb が Safari やほかのウェブブラウザとどこが違うのかを説明したい。ただし、Camino を時々使ったことがある以外は、現行バージョンのMozilla、Firefox、Opera、iCab などはそれほど使ってはいないことをお断りしておく。
<http://www.omnigroup.com/applications/omniweb/>
ウインドウ、そしてタブ、それにワークスペース! 新しいウインドウをごちゃごちゃ開くことなくウェブページをいくつも開いたり切り替えたりできるため、この数年ブラウザでタブを使ったインターフェース形式が人気となってきた。しかし、通常は画面上部のノートのようなタブを使うのに対し、OmniWebは代わりにウインドウの右あるいは左側全体を占めるドロワーエリアにサムネールを作成する。もっと小さい名前だけのビューに変更もできるが、サムネールのほうがずっと良い。アイコンのようにページの内容をそのまま反映しているので、名前を読んで解釈する必要がないからだ。OmniWeb のサムネールは操作も簡単である。ダブルクリックして新しいウインドウで開いたり、名前の隣にある小さな×をクリックして表示せずに閉じたり、Control- クリックしてReload Tab あるいは Reload All Tabs コマンドなどをポップアップメニューに表示するようなこともできる。サムネールはリスト中にドラッグして並べ替えたり、Option- ドラッグでコピーしたり、新しいウインドウへドラッグあるいは Option- ドラッグすることも可能だ。ドロワーのサイズによりサムネールの大きさが決まり、ドロワーに入りきらない場合は隠れているサムネールが表示できるようスクロールバーが表示される。もちろん、キーボードショートカットを使ってタブを作成したり切り替えたりすることも可能だ。
Omni 社はさらに、ワークスペースというコンセプトを追加した。私は最初これに戸惑ったが、今ではお気に入りだ。ワークスペースというのは、ウェブページに対する、場合によっては複数のタブが含まれているいくつかの OmniWeb ウインドウの集まりで、ユーザーが指定した時点での、あるいはページの変更、タブの追加・削除、ウインドウの開閉といった状態を継続的に記憶している。つまり、ワークスペースを読み込むということは、ウインドウのサイズと場所に加えてセーブしたときの状態がすべてのタブとページの内容と共に表示されるということになる。例えば、私は Moderate TidBITS Talk というワークスペースを持っているが、これはフルスクリーンウインドウ (通常使うサイズよりかなり大きい) で Web Crossing のモデレーション用ページと TidBITS のウェブページ (ここから記事の URL をコピーする) を読み込むようになっている。さらに Macworld の記事をリサーチするときにもワークスペースを使う。訪問する必要があるサイト毎にタブを作成し、ウインドウを閉じるときにOmniWeb が状態を記憶するようにしている。このようにすれば、目的のページを探して読み込まなくても簡単に戻って調べ物ができる。さらに、ワークスペースは単体のファイルとしてセーブできるので、それを編集者に送れば URL をコピー&ペーストしなくても簡単に URL や価格、その他の情報を確認できるのだ。
だが、ワークスペースの驚くべき本当の価値は他にある。もしブラウザがクラッシュしたり (ベータ版の初期には良くある事だ) 何かの理由でブラウザを終了した場合 (例えば Apple のセキュリティアップデートをインストールするなどして)、次回 OmniWeb を起動したときデフォルトのワークスペースが適切に設定されていれば以前表示していたタブやウインドウが自動的にすべて読み込まれるのだ。私は Safari で終了時に 20 ものタブを失ったことが何度かある。履歴の中からそれらを拾い出すのはほとんど不可能だ。すばらしいこの機能は、一方で若干の短所もある。URL 内にデータではなく状態コードを含んでいるウェブアプリケーションのいくつかは、クラッシュの後でページを再読み込みすると空のデータを再度送信してしまう。これは OmniWeb のせいではない。URL を読み込むことがどのような処理になるか知る方法はないのだから。(クラッシュといえば、OmniWeb がクラッシュするときはいつも Omni Group にメールで送れるようクラッシュログを作成する。私は、落ちるときには明確な方法でレポートを開発元に送ることができるアプリケーションがいつでも好きだ。)
ブックマークと URL -- ほとんどのウェブブラウザのブックマーク機能には本当にイライラさせられている。ブックマークに登録すべきかどうかで悩みたくないし、登録する場合でも、どこにすればいいのか考えるのはごめんだ。OmniWeb 5.0 のブックマーク機能で気に入っている点は、基本機能はもちろんすべて含まれているが事実上それらを無視できることだ。何故かというと、OmniWeb は好きなだけ履歴を完全に保持することができ、訪れたページのコンテンツをすべてインデックス化した上、ウェブページの内容、タイトル、URL、あるいはユーザーが作成したメモの検索が可能だからだ。もう、どのようにしてサイトを探しだしたかを記憶したり、最近訪れたサイトを探すために Googleの検索結果を細かくチェックする必要は無くなった。この機能を別のウェブブラウザで実現するには丁度アップデートされた St. Clair Software 社のHistoryHound が必要だ。実際、OmniWeb の履歴機能で唯一気に入らない点は、例えば Web Crossing のメールのログのような面白くなくてかつ定期的にリフレッシュするページを見なければいけないことだ (HistoryHound は、そのようなページをスキャンやインデックス化から外せることにより、OmniWeb より抜きんでている)。
<http://www.stclairsoft.com/HistoryHound/>
しかし、いくら OmniWeb の履歴が気に入っているといってもそれを開いて検索するなどということはさほどしない。実はする必要がないのだ。理由はと言うと、OmniWeb には Internet Explorer のように優れた URL 自動補完機能がついているからである。アドレスバーに数文字入力するだけで、OmniWeb は URLやタイトルにその文字が含まれている訪れたページすべてのリストを表示する。例えば、オランダ語 (Dutch) 翻訳メーリングリストの管理を行う Web Crossingのページを訪れたいと思ったら、アドレスバーにただ“Dutch”と入力してリストの中から選ぶだけなのだ。ただ一つ不満を述べさせてもらうと、項目のリストの幅はアドレスバーと同じしかないため、時々似たようなページの違いを探し出すのが困難になってしまう。もしこれが煩わしいなら、アドレスバーを別のロケーションバーにすればページの横幅まで広げることができる。
OmniWeb を際立たせているブックマークのそれ以外の機能に、.Mac や WebDAVサーバーを使ってほかの Mac とブックマークを同期する機能や、同一ネットワーク上のほかの OmniWeb ユーザーと使えるブックマーク共有機能 (もちろんあなたがどのブックマークを共有するか決める)、そして Safari のようにお気に入りバー内のフォルダを Command- クリックするとその中のブックマークがすべて開く便利なショートカットがある。OmniWeb のブックマークはさらに固定ではない。ブックマークをチェックして更新されたかどうか調べ、Dock アイコンのバッジで更新サイトを知らせ、アクセスできなかったサイト一覧を表示してくれる。もしブックマークが新しいページへ転送されるように変更されたなら、OmniWeb はブックマーク内のアドレスも更新してくれる。RSS フィードのためニュースフィード用ブックマークも作成してくれる。これらも自動更新されるし、ブックマークウインドウで RSS エントリー情報は見られると言っても、ウェブページを読み込んだほうが簡単だ。最後に、ブックマークウインドウでコレクション中のページに含まれているすべてのリンクを表示するため、ツールバーの「リンクを見る」ボタンを使うこともできる。これは多くのリンクを含んだページに素早く対処するための方法だ。
その他のお楽しみ -- OmniWebには他にも沢山のありがたい機能がある。クリップボードに(他からコピーしてきた)URLが入っているときは、単にOmniWebの「本文に」ペーストすると新しいタブでページが読み込まれる。これは些細なことに見えるが、コマンド-Lを押したりアドレス欄をクリックしたりするのを省略できる。私はいつも使っている機能だ。
個々のサイトごとに設定を作ることができ、少なくともいくつかの設定は自動的に記憶される。例えば、文字の小さすぎるサイトで文字サイズを大きくすると、それから先OmniWebはそのサイトのみを、大きいサイズのテキストで表示する。サイトごとに設定できる項目には他にも画像の読み込み、広告ブロッキング、文字エンコーディングなどがある。
Web掲示板に対する批判の一つに、あの小さなテキストフィールドにタイプするのが嫌だというのがある。OmniWebはTEXTAREAフィールドをどれでもMacintoshの全テキスト機能が使える(システムワイドのスペルチェックも)ウィンドウに展開できる。またそれに関連して、OmniWebでは他のブラウザと同じようにどんなWebページでもソースを見ることが出来るが、適切なアップロード権限があれば、ページを編集することさえできる。アップロードができようができまいが、OmniWebは編集後のページレイアウトがどのように見えるか再表示してくれる。
今では定番のGoogle検索フィールドはもちろんツールバーにあるが、ドロップダウンメニューによってVersionTrackerやInternet Movie Databaseなど他のサイトを検索することもできる。独自に検索サイトを追加することまでできるので、今私はOmniWebのアドレス欄に"tb searchterm"とタイプするだけでTidBITSを検索できる。OmniWebはまた現在のページでテキストや正規表現を検索でき、OmniWebのテキスト入力ウィンドウを使っている時には、見つかったテキストの置換もできる。しゃれたテクニックを一つ紹介しよう。任意のページにいるとき、リンク名の頭数文字をタイプすることでそのリンクテキストに直接ジャンプし、リターンキーでそのリンクをたどることができる。
OmniWeb 5.0では他の全てのブラウザで私のいらいらの種だった、ダウンロードウィンドウがついに改良されている。ユーザが指定した期間ダウンロードしたものを全て表示するが、もっと重要なのは、ダウンロードする時に自動的にダウンロードウィンドウを開き、ダウンロード中のものがないとき自動的に閉じるようにできる点だ。これは反応のよさとユーザの作業環境への配慮に関して今まで見た中で一番良い。他のブラウザではいつも私はダウンロードウィンドウをどけるために閉じている。
他のいくつかのブラウザと同じように、OmniWebでも名前や住所などの固定したデータを入力するための自動入力機能、入力中のフィールドの内容によって候補を表示するオートコンプリート機能がある。これらの機能は完璧に動くものの、私は可能な時はいつでも自動的に、毎回リストから選ぶ必要なしにフィールドの内容を補完するSafariのアプローチの方が好きだ。Safariの動作はOmniWebよりもわずかに間違いを起こしやすいのに対して、OmniWebの動作は安全だがSafariほど便利ではなく、私は使うのを避けることが多い。
Webからデータを保存するのにいくつも面白い方法が用意されている。Save Linkedメニューでは、現在のページからリンクされた画像や、現在のページからリンクされたHTML書類を保存できる。
舞台裏で何が起きているか知りたい人のために、OmniWebにはNetwork Activityウィンドウがあり、その瞬間に何が起きているかが表示される。Error Logウィンドウでは全てのエラーが表示される。JavaScriptコンソールウィンドウはあまり良く分からない。
試していない機能には、スピーチによるナビゲーション、広告ブロッキング、AppleScriptサポート(スクリプトが入るScriptメニューが用意されている)、など他にもありそうだ。OmniWeb 5.0の好きな点の一つは、「この機能があったらいいのに」とたえず思う代わりに、私が今もその機能の使い方を学習中だということだ。一ヶ月間のテスト使用してOmniWebベータのメーリングリストへ参加したが、今このレビューを書いている最中にも新しいことを覚えている。一つにはオンラインヘルプとPDFをやっとよく見たおかげで、正しい方向に導かれて今まで詳しく調べなかった沢山の機能が見つかった。
OmniWebの購入 -- OmniWebの他のWebブラウザと共通していないこととして、最後に値札がある。OmniWebは新規購入で30ドル(アカデミック版は20ドル)、4.5からのアップグレードは10ドル(アカデミック版7ドル)だ。ユーモラスな邪魔である初期ページを変えることができない以外は何も機能制限はない。Webをよく使うならば、OmniWebは30ドルの価値があって余る。おそらくもっと重要なことに、単に綺麗なページを表示する基本機能を大きく超えて、Webブラウザの価値基準を上昇させた点で、支援に値する。
<http://www.omnigroup.com/applications/omniweb/download/>
文: TidBITS Staff <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
各話題の下の2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバに繋がる。こちらの方がずっと高速であり、この Web Crossing インターフェイスは私たちの目指すものに少しずつ近付きつつある。従来の TidBITS Talk アーカイブも、HTML フォーマットのメッセージがより良く表示されるようアップデートした。
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/>
<http://www.tidbits.com/search/talk.html>
Mac アプリにスパイウェア -- Real Networks のソフトウェアに関する議論は、RealPlayer におけるトラッキングのオプションについて、それらがいわゆる「スパイウェア」に属するのかどうかという議論に発展した。(メッセージ数 2)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2290>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/154>
Route 66 で道から外れる -- Jonathan Jackel が Route 66 をレビューした記事に触発され、読者たちが地図ソフトウェアの使用体験談や不満などを寄せ合う。(メッセージ数 5)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2289>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/153>
Mac デザイン“番外編” -- G5-ベースの iMac の登場を待ちながら、議論はウェブで見かけた奇抜なデザイン、Mac に触発された空想上のアートにも向かう。(メッセージ数 2)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2288>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/152>
Elgato の EyeHome についてコメント -- Andrew Laurence がホームメディア機器の EyeHome をレビューした記事に応えて、読者たちが画像の解像度について議論し、また EyeHome を TiVo の Home Media Option と比較する。(メッセージ数 2)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2286>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/150>
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, , 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA