今週号の目玉は、完璧主義者がデジタル写真を磨き上げるために使えるいろいろなツールやテクニックについて深く掘り下げた Charles Maurer の記事だ。一方 Glenn Fleishman は Seattle 上空から電波に乗せて声を挙げる... 機上で Boeing Internet サービス経由の接続と、iChat AV を使っているのだ。ニュースの部では、StuffIt Deluxe 9.0、Tinderbox 2.3、Keyboard Maestro 2.0 と The Missing Sync 4.0.1 のリリース、それから新しいスポンサー2社と、PowerBook G4 White Spot Repair Program についてお知らせする。
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Allume が StuffIt Deluxe と StuffIt Standard 9.0を出荷 -- Allumeは彼らの歴史の長い圧縮・解凍ユーティリティをアップグレードした。性能を向上させ(特にデュアルプロセッサーの Mac で)、インターフェースと使い心地を改善した。DropStuff とフリーの StuffIt Expander を含む StuffIt Standard と StuffIt Deluxe 9.0 は共に、StuffIt、 Zip、 .tar 形式の書庫作成への統一したインターフェースを提供する改良版 DropStuff を含んでいる。さらに、 DropStuff は新規書庫ファイルを CD/DVD や FTP サーバーに直接作ることができるようになった。これにより、書庫を作ったうえでディスクに焼いたりサーバーにアップロードする必要がなくなった。書庫がCDかDVDのディスク一枚に入りきらない場合、 DropStuff はその場で自動的に分割してくれる。もう一方の解凍側の機能追加として、 StuffIt Expander は解凍したファイルを元の場所に保管することがより簡単になった。 StuffIt Deluxe 9.0 には、いろんな場所、ネットワーク・ドライブ、 CD/DVD 、FTP サーバー、 iDisk 上にあるいろんなファイルを圧縮する手助けとなるArchiveAssistant tool の強化も含まれる。さらなる改良点は、自動化ユーティリティーの StuffIt Express で、他のユーザーへの自動圧縮用ドロップ・ボックスが提供できるようになった。さらに、圧縮・解凍は Magic Menu経由で行われ、 StuffIt コンテクストメニューはマルチ・スレッド化されたので、それらを実行しているときでも Finder を使い続けることが可能になった。 StuffIt Standard は50ドルで (StuffIt Expanderは引き続きフリーで、6.3メガのデモ版の一部としてダウンロードできる)、以前のどのバージョンからでも20ドルでアップグレードできる。 StuffIt Deluxe は80ドル、前バージョンの StuffIt Standard か StuffIt Deluxe からのアップグレードは30ドルだ。どちらも Mac OS X 10.3 以降が必要。[ACE](笠原)
<http://www.stuffit.com/mac/deluxe/>
<http://www.stuffit.com/mac/standard/>(日本語)act2 ● StuffIt Official Site
Eastgate が Tinderbox 2.3 に火をつける -- Eastgate Systems は、ノートやその他の情報を保存するためのプログラムのフリーアップデート版Tinderbox 2.3 をリリースした (TidBITS-651の "Tinderbox でハートに火を点けて" 参照)。このバージョンはテキストとマップの表示を改良し、スペルチェックを高速化した。そして、新しいクエリとアクションによってエージェント機能を補強した。 Tinderbox 2.3 は新規購入で70ドル。4.5メガのダウンロードだ。 [JLC](笠原)
<http://www.eastgate.com/Tinderbox/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06959> (日本語)Tinderbox でハートに火を点けて
Keyboard Maestro 2.0 がマクロを搭載 -- Michael Kamprath 氏のユーティリティ Keyboard Maestro は、Stairways Software 社を新しい拠り所とし、今回そのバージョン 2.0 がリリースされた。このバージョンは、ホットキー、アプリケーションのアクション、指定時刻、あるいは Griffin Technology の PowerMate により起動される自動実行マクロが作れた元のプログラムを、一から書き直している。さらに、新バージョンでは、ボタンクリック、スクロールホイール、ウィンドウ操作、名前つきの複数クリップボード、アプリケーションごとの Macro Group へのマクロの保存が可能になっている。 Keyboard Maestro 2.0 は、シングルユーザーライセンスで20ドル、5ユーザー、20 ユーザー、100 ユーザーというライセンスがあり、695ドルの範囲に収まる。4.4メガの無償試用版が利用可能。 Mac OS X 10.2 以降が要求される。[JLC](笠原)
<http://www.keyboardmaestro.com/main/>
<http://www.keyboardmaestro.com/documentation/2/whatsnew>
<http://www.griffintechnology.com/products/powermate/>
<http://www.keyboardmaestro.com/documentation/2/purchase.html>
The Missing Sync 4.0.1 が CLIE のバグに対応 -- Mark/Space, Inc.は The Missing Sync for Palm OS の重要なアップデートをリリースした。これは、 Palm OS ハンドヘルドを Mac とシンクロするためのユーティリティだ( TidBITS-743の "Missing Sync 4.0 が Palm のギャップを埋める" 参照)。バージョン 4.0.1 はソニーの CLIE ユーザーが経験した、メモリースティックをデスクトップにマウントしようとすると Mac OS X がカーネルパニックを起こしてしまうという問題を解決してくれる。さらに、 FMSync とVindigo コンジットのサポート、キーチェーンのサポート等々を追加している。アップデートは、 4.0 登録ユーザーには無料で、 11.6 メガのダウンロードだ。 [JLC](笠原)
<http://www.markspace.com/missingsync_palmos.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07784> (日本語)Missing Sync 4.0 が Palm のギャップを埋める
PowerBook G4 ホワイトスポット修理プログラムのお知らせ -- あなたが初期の 15 インチ・アルミニウム PowerBook G4 の持ち主なら、白い斑点がディスプレイにできるというありがたなくないサプライズに出会ったかもしれない。これまで、Apple はケースバイケースに修理対応を行ってきた。私のPowerBook は一度問題が発生し修理は成功裏に終わった。しかし、何回もApple にPowerBook を送り返さなければならなかった人がいることも知っている。今回、 Apple は白い斑点に関する修理プログラムを発足させた。プログラムでは、シリアルナンバーが V7334xxxxxx から V7345xxxxxx まで、QT331xxxxxx から QT339xxxxxx までのアルミニウム 15 インチ PowerBook G4(1 GHz か 1.25 GHz プロセッサ搭載) 、チタニウム 15 インチ PowerBook G4(867 MHz か 1 GHz プロセッサ搭載)が対象となる。液晶パネルの交換は世界中で提供される。 [JLC](笠原)
<http://www.apple.com/support/powerbook/displayprogram/> (日本語)Apple - 15 インチ PowerBook G4 ディスプレイリペアエクステンションプログラム - FAQ
Malta 島での iPhoto ワークショップはキャンセル -- 残念ながら、私たちは、11月の第二週に予定されていた、 Malta 島での iPhoto ワークショップを Techie Tours が中止したことをお伝えしなければならない。このイベントには多くの関心が寄せられたにもかかわらず、実際に申し込んだ人の数が少なすぎたので、Techie Tours としては財政的に実行不可能と判断したのだ。アメリカ大統領選という特別なタイミングが原因で、みんなが申し込みをためらったのかもしれない。私は、将来、世界の政治・経済の情勢が改善し、Techie Tours が再度イベントを実行できるようになることを願っている。Macintosh トレーニングとエキゾチックな休暇との融和はよいコンセプトだと今でも思っている。 [ACE](笠原)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07705>(日本語)11 月に地中海でお会いしましょう
文: Glenn Fleishman <[email protected]>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>
私は先週 Puget Sound (Seattle の面している湾)のあたりを飛ぶ機会に恵まれた、それもブロードバンドの接続付で。実は Connexion by Boeing のテスト機へ報道陣を招待するフライトに他の人たちと一緒に招待されたのである。この飛行機にはBoeing の高速インフライトブロードバンドサービスが備え付けられている。このサービスは今のところ限られた数の Lufthansa のジェットでしか提供されていないが、今年の後半から来年にかけてアジアとヨーロッパの航空会社が殆どだが順次搭載を開始するという。[訳注:All Nippon Airways, China Airlines, Japan Airlines, Scandinavian Airlines そしてSingapore Airlines]
<http://www.connexionbyboeing.com/>
Connexion by Boeing は衛星送受信機を用いており、オンボード電子機器で制御される機体の頂点に取り付けられたジンバルの上に取り付けられている。この接続で得られるバンド幅は下りが 5 から 20 Mbps で上りが最大 1 Mbps 迄となっている。このテストフライトでは、下り 1 Mbps と上り 128 Kbps が与えられた。
このフライトは信じられない程ゴージャスであった:Washington 州は空から見ても素晴らしかった。Mt. Rainier (タコマ富士) も本当に手で触れられそうな程近く、横に 2,500 フィート、高さで 3,000 フィート離れていただけだった (Mt. Adams も同じような近さまで飛んだ)。
機中での眺めも同じ様に良かった。前に Lufthansa のフライトでこのサービスを使った事のある Apple の Eric Zelenka に倣って (TidBITS-736 の"iChat AVを使って機上でWi-Fi交信" 参照)、私は iChat AV と iSight を使ってビデオを父の所に送り出し (彼の iSight は接続されていなかった)、Adam Engst とは双方向のビデオで (彼のオーディオはどうにもならなかった)、そして Jeff Carlson とはオーディオとビデオでやり取りが出来た (私の方からは彼の声がようやく聞き取れる程度で、彼の方は大きな飛行機のノイズのデジタル版といったものが聞こえた; 我々が思うにはこのノイズは iChatの圧縮技術によるものだと思う。これは元々人間の話し声用に作られたもので大きな背景雑音は考慮されていない)。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07730> (日本語)iChat AVを使って機上でWi-Fi交信
<http://www.apple.com/ichat/>(日本語)アップル - iChat AV
<http://www.apple.com/isight/>(日本語)アップル - iSight
私は更に voice-over-IP 通話のテストにも参加できたが、機内のノイズはあまりにも大きすぎた;Connexion の人達が試験のために持ち込んだ Wi-Fi 電話に付いていたノイズキャンセルヘッドセットも試してみたらこれは驚くほど明瞭で遅れも少なかった:多くの点で携帯電話より優れていた。そして興味深いことには、このイズキャンセルヘッドセットを使うと自然と小声で話すようになってしまうのである。どうもこれはマイクからの入力の一部がヘッドフォンの方に戻されてしまうためらしい:私はいつもより大きい声で話していたと思っていたのが、隣の人は殆ど聞こえなかったと話してくれた。
Connexion の狙いは、機内で長時間過ごさなければいけないビジネスマンが失った時間を取り戻せるようにというものである。料金はフライト時間とどれぐらいの時間使うかによるが $10 から $35 の間である。このテストフライトで強烈に感じたのは、飛行中のブロードバンドインターネットアクセスは説得力のあるテクノロジーの使い方だということであった。
文: Charles Maurer
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
私が写真を撮るのには、2つのモードがある。片っ端から狙っては撮るモードと、完璧主義者モードだ。この第1のモードでは、私はポケットサイズの全自動カメラを使う。写真の処理はすべてカメラにお任せで、私は出来上がった写真をすべて私のハードディスクに放り込むだけ、自分で手をかけることがあるとすれば時々起こる赤目を修正することぐらいだ。一方、完璧主義者モードでの私は、前世の自分に立ち返って、再びプロの写真家に戻るのだ。
今年になって、私の完璧主義者モードはデジタル写真に移行し、私のコンピュータがそれまでの暗室に取って代わった。この移行を確実なものとするために、私は Mac で使えるあらゆる写真編集用ソフトウェアを精密に調べ上げた。この記事では、完璧主義者としての私が写真を仕上げるために最も適していると判断した製品のいくつかについてまとめてみたい。
読者の中には写真の側面が元の動機である人も、コンピュータの側面が元の動機の人もおられることだろう。どちらの側の専門用語も、すべての人に馴染みがあるとは限らないので、この記事ではしばしばごく基本的なことの説明に戻らなければならないこともある。けれども私がこの記事で意図したのは、基本とは遥かにかけ離れた上級用のアプローチや各種製品について指摘することだ。
生の真実 -- カメラの中のデジタルセンサーが生成する生データのファイルは、使い物になる画像へとそれが変換されるまでに膨大な量の処理を必要とする。この処理作業はカメラの中で行なうこともあるし、コンピュータで行なうこともある。コンピュータで作業する方がより多くのコントロールが利くし、作業の途中であなたの気が変わった場合にも対処の機会がある。
この、生データファイルを画像に変換する作業は、決して単純なものではない。さまざまな種類のアルゴリズムが可能なので、さまざまなプログラムがあり、それぞれにさまざまな結果が出る。カメラに付属のコンバータを使ったり、Adobe Photoshop を使ったり、またあなたの手元にある他のものを使ってみたりして、どの結果が一番あなたの気に入るか比べてみるとよい。一つ注意すべきことがある。Photoshop では、それに他にもいくつか同じことをするアプリケーションがあるかもしれないが、異なったカラーチャンネルによる画像を少しずつ異なった程度に拡張することで、色ずれの問題の原因の一つである倍率色収差の現象を補正できるようになっている。この機能は確かに便利だが、あまりこれに頼ってはいけない。たいていの場合、色ずれは他の原因でも起こるからだ。
生データファイルは、TIFF または JPEG に変換できる。TIFF (Tagged Image File Format) には情報がフルに含まれるが、ファイルは巨大になる。JPEG (Joint Photographic Experts Group) には圧縮がかかるが、画質が落ちる。生データファイルをまず TIFF に変換して、その TIFF を編集用に保存しておき、配布すべき必要に応じてその都度 JPEG に変換するのが賢明な方法だろう。
生データファイルを変換する時、おそらく 8-bit カラーにするか 16-bit カラーにするかの選択肢が与えられるだろう。たいていは 8-bit で充分だろうが、撮影の際に光量が不足していたり露出が充分でなかったりした場合には、それを修正するためにごく近接したトーンを鋤き分ける必要があるかもしれない。その際に充分な数のステップが無いと、滑らかなはずのトーンの変化が不連続の階段状に分離してしまうおそれがある。けれども、16-bit ファイルにすればファイルのサイズが2倍になって処理作業もずっと時間がかかることも忘れてはならない。私は、通常は 8-bit カラーを使い、8-bit では充分でないと思われるような稀なケースにのみ、再変換の必要が出る危険を冒すことにしている。
生データファイル用コンバータの多くは、写真をシャープにする機能を提供している。実際のところ、たいていのものはデフォルトで写真をシャープにする設定になっている。けれども、処理作業のこの初期の段階では、決して写真をシャープにしてはいけない。この種のシャープ化の処理は「アンシャープマスク」と呼ばれ、画像を縁の部分で歪めてしまう。すると、これがその後の操作に悪影響を与えることになる。それだけでなく、実際に必要な修正の量は最終的な画像のサイズと目的によって違ってくる。だからこそ、画像をシャープにする作業は一番最後に施すべきものなのだ。
Noise Ninja -- デジタルセンサーは常にある程度のランダムノイズを拾うものだ。通常これは画像全体に比べて無視できる程度のものだが、長い露光の場合や増幅度が高い(つまり“フィルム感度”(ISO 感度)が高い)場合には問題となってくることがある。また、通常の場合でも滑らかな領域などについてノイズが気になることもある。もちろん、特定のセンサーが特定の増幅度において発生させるノイズを数学的に特徴付けて、それを画像から引き算することは可能だ。この引き算は他のどの修正作業よりも先んじて行なわなければならない。けれども、処理のこの段階では、ノイズのみを除去して画像の細部を除去してしまわないことが重要だ。もっと後の段階で、画像の細部が最大限に引き出された後では、そのうちいくらかを除去して余分なノイズを掃除するのが賢明な処理と言えるのだが、それは後になってのことだ。今の段階では、すべての細部を保っておかなければならない。
私が実際に使ってみたノイズ除去パッケージはあまり多くない。それはなぜかと言えば、いろいろな比較検討記事を読む度に、いつも決まったものが Mac と Windows 双方で一位の評価を得ているからだ。それが、PictureCode の Noise Ninja だ。(価格は、必要な出力が 8-bit か 16-bit かに応じて $30 か $70 となっている。)Noise Ninja は画像とノイズの区別という点において非常に優れた能力を示している。私の経験では、私の Sigma SD-10 を使って ISO 100 で撮った画像で、Noise Ninja のデフォルト設定(ただしシャープ化はオフにしてある)を使えば目に見えるノイズがすべて取り除かれ、それでいて画像の細部が影響を受けたことは一度もなかった。Noise Ninja を私は完璧に信頼できると思うので、私はそろそろ画像をすべてバッチ作業で自動的に Noise Ninja を通すようにしようかと考えている。ただしこれは ISO 100 で撮った写真のみについてだ。感度が高くなればなるほど、ノイズも多くなり、画像の細部とノイズとの区別が困難になってくる。ノイズが多くなれば、それだけ Noise Ninja を使うことが重要になってくるのだが、私としてはそういうものについては手で走らせてより良くコントロールしたいと思っている。
FocusMagic -- さて、ノイズが除去できたら、次は写真の中のぼやけた部分に魔法の杖を振るう番だ。レンズの焦点が合っていなかった場合や、被写界深度が浅すぎた場合、あるいは対象物かカメラがぶれてしまった場合に、この魔法の杖がぼやけた画像を直してくれるかもしれない。この杖の名前は、Acclaim Software から $45 で出ている FocusMagic だ。もちろんいつも完璧な結果が出るわけではないが、8 インチ×10 インチの引き伸ばしでは驚くべき改善が見られることもある。
FocusMagic は確かに画像をシャープにするわけだが、これは通常のシャープ化ルーチンとは全く違った方法で作用する。通常のシャープ化ルーチンは、シャープな境界部分でコントラストを高める。それに対して FocusMagic は、ぼやけた部分からシャープな境界を作り出す。注意しなければならないのは、FocusMagic を使うのは他のどの光学的修正よりも先にしなければならないということだ。焦点がずれたことによるぼやけを修正するには、FocusMagic は Fixer Labs から $60 で出ている FocusFixer と同等かそれ以上の結果を出し、使い勝手も少し勝っている。動いてしまったことによるぶれの修正については、私は FocusMagic に匹敵するものは他に無いと思っている。
<http://www.fixerlabs.com/pages/fixer.html>
残念なことにスタンドアロン版の FocusMagic は Windows 用しかなく、Mac 用としては Photoshop プラグインのみが作られており、使用には Photoshop を必要とする。GraphicConverter の中では動作しない。
より良い眺めを得る -- さて、その次にすべきなのは、写真の中の基本的ないくつかの光学的問題点を補正することだ。必要なことを挙げると:
生データファイル用コンバータで既に処理しているのでなければ、倍率色収差によって起こる色ずれを補正する。
たる型、あるいは糸巻き型の歪曲収差によって曲がってしまった線を真直ぐに直す。ここでたる型というのは直線に凸なカーブを現われてしまった場合で、糸巻き型というのは直線に凹みのカーブが現われてしまった場合だ。デジタル画像においてはほとんどの歪みが除去可能で、例えば魚眼レンズの写真のようなものでも直線が補正できるぐらいだが、実際にレンズで撮った写真においては、歪みがそれほど単純でなくて対称性もない場合、いくらか波打った状態が残ることもある。
カメラの構え方が斜めだった場合は、画像を必要に応じて回転させる。
遠近法を修正することで、建物がこちらに倒れてくるような印象を与えないようにする。この修正は水平方向にもできる。どちらの修正も、風景をより自然に見せてくれる。
角に向かって光が減衰して行くような効果が広角レンズによって引き起こされていれば修正する。
広角レンズの縁近くで倍率がずれるのを補正する。
これらの修正のために、私は The Imaging Factory から出ている4つのプラグインを使っている。Debarrelizer、Perspective、Squeeze、Vignette の4つだ。(価格はそれぞれ $40、ただし Squeeze は $20 だ。)これらはどれも使いやすく、組み合わせて使えば、私がこれまでに試したことのある同種のどんなツールよりも多岐にわたるコントロールと高度な機能を提供してくれる。ただし、ただ一つだけ欠陥がある。糸巻き型の歪みだけは補正をしてくれないのだ。(今の文脈に関しては)残念なことに、私の持っているレンズの中には糸巻き型の歪みを引き起こすものは無いので、それを修正してくれる製品は私の必要範囲外と言える。Kekus Digital から $40 で出ている LensFix プラグインが、歪みや色収差に対しては少なくとも理論上は他のどんな製品よりも精密な補正を提供できると言う。ただ、私のレンズに関して言えば両者の結果にそれほど差は無く、LensFix の方が使いづらいだけだと私は思った。
<http://www.theimagingfactory.com/>
<http://www.kekus.com/plugin/>
Asiva -- これまでのところは、すべての操作は単純で機械的だ。次に、色調を調整し、色のバランスを整える必要があるので、芸術的な判断の出番になる。普通は Photoshop に備わっている調整機能を使うが、それよりも使いやすく、繊細で、強力なものを見つけた。70ドルの Asiva Shift+Gain である。この製品は、市場に出回る他のどんな製品とも根本的に異なっていて、もっとも役に立つ。
<http://www.asiva.com/products/plugins/ShiftGainTrial.php>
写真を編集するときはいつも、まず最初に、変更したいピクセルを選択する必要がある。これには、しばしば、込み入ったマスクや慎重なマウス操作が必要になる。このような操作を Photoshop で行うのは、単純な場合ですら、簡単にはほど遠い。一方、Shift+Gain は、あなたが自分自身の目で見るのと同じような仕方で、変更したい被写体を「見て」識別する。
あなたが顔や葉っぱや小枝や髪の毛を見ているときは、明るさや色がある範囲に収まっている領域を見ているわけだ。この範囲は、隣接する部分と区別できるはずだ。そうでなければ、被写体を見ることはできない。被写体が、その隣の部分と異なっているのであれば、コンピュータはそれを自動的に見つけて、変更することができる。
信じられないかもしれないが、Asivo の人たちは、このアイディアで米国の特許を取得している。Shift+Gain はこの特許を実用化したものの一つだ。Shift+Gain を使えば、写真の中の様々な領域について、輪郭を定めることができ、その中に含まれるすべてのピクセルについて、明るさや色が任意の範囲にあるものを見つけて変更するように指示することができる。もしあなたが変更したい被写体がまだら模様で、輪郭を定めるのが難しい場合には、被写体の周りの色を選択し、選択されなかったピクセルについて変更すればよい。
コンピュータは色を赤・緑・青から作り、ほとんどのプログラムは色を赤・緑・青の混合物としてあつかうけれど、人間が色をこのような仕方で理解するのは簡単ではない。我々にとっては、色を、虹の中のある場所を占めるもので、濃かったり薄かったりし、黒っぽかったり白っぽかったりするものと考える方が易しい。これらの要素はそれぞれ、色相、彩度、明度と呼ばれる。
Asivo Shift+Gain では、色をこのような仕方で考えることができる。横軸にそれぞれ色相、彩度、明度を持ち、縦軸が量であるようなグラフが3つ用意されていて、それぞれのグラフでカーブの形を変えると、Shift+Gain がそのカーブに当てはまるような色を選んでくれる。それにはほとんど時間がかからない。写真全体を対象とすることもできるし、マーキーや投げ縄で選択した部分だけを対象にすることもできる。さらに、選択範囲の色相、彩度、明度、赤、緑、青、およびそれら6つの任意の組み合わせについて、変更を加えることができる。変更はカーブで指定した量に比例して行われる(Shift・ずらす)。それに加えて、彩度や明度を上げた部分ををさらに上げることもできる(Gain・加える)。
このことを抽象的に理解するのは難しいし、この製品を使うと、はじめはとまどうだろう。しかし、この製品によって、高度な変換をささいなことのように行うことができる。熟練した画家は、対象に立体感を与えるのに、光と影(明暗法)と色を使う。キャンバスの上では、明暗法と色とはどちらも限られているので、コントラストを高めて、情景をよりよく描くには、画家はハイライトと影に色をつけて、明暗法と色とを組み合わせる。写真では、色調と色の範囲はもっと制限されているので、両者を組み合わせることがさらに重要になるが、これは通常難しい。Shift+Gain はこれを簡単にしてくれる。
下記にリンクしたサンプル画像を見てほしい。これは、私が休暇中に全自動カメラで撮影したスナップ写真と、それを Shift+Gain で変換したものだ。この変換を Photoshop で行おうとしたら、高度な技術がなければできないが、Shift+Gain を使えば簡単なことだ。ハイライトは問題がないが、影が暗すぎるので、黒より少し上に位置する色調のすべてを明るくしてみた。そうしたら影のかかった葉が明るくなりすぎたので、彩度カーブをいろいろいじって修正した。そのためには、暗い色調のうち彩度の低い部分だけを明るくすればよかった。これで影はよくなったが、中間調はまだ暗すぎるので、中間調のすべてを明るくした。この段階で色調は問題なくなったが、まだ平板に見える。中間調にもっと彩度の高いコントラスト、つまり明るい色が必要だ。そこで、彩度を上げて(ずらして)みた。それだけでは不十分だったので、彩度を加えて、彩度を上げた色の彩度をさらに高め、同時に彩度を下げた色の彩度をさらに低くした。これは方向性としてはあっていたが、色によって適用する量を変える必要があったし、彩度を高めた青については、彩度を上げるのではなく下げる必要があった。
<http://www.tidbits.com/resources/748/desertspring.jpg>
Asiva は、Shift+Gain と同じ視覚的領域選択法を備えたプラグインを他に3つ作っている。Correct+Apply Color(50ドル)は、ある色相を別の色相と置き換えたり、デジタル・メーキャップとしてある色相をかぶせたりするが、どちらの場合でも彩度と明度は元のままに保たれる。Sharpen+Soften(70ドル)は、選択された被写体をシャープにしたりソフトにしたりする。(注: Sharpen を使ってすべてをシャープ化しないように。今はその時期ではない。)Selection(40ドル)は、Photoshop の中で選択範囲を作り、Photoshopの他のツールで使えるようにする。これら4つのプラグインはどれも優れた製品で、使うのに便利だし、機敏に動く。200ドルのバンドルには4つすべてが含まれている。Asivo はまた、つい最近、50ドルのプラグイン JPEG Deblocker をリリースした。これは、Shift+Gain を JPEG ファイルに使えるようにするもので、TIFF ファイルがないときのためのものだが、私はまだこれを試していない。
<http://www.asiva.com/products/plugins/plugins.php>
残念ながら、これらのプラグインは Photoshop を必要とする。Asiva はスタンドアロンのアプリケーション Asiva Photo を作っており、これは4つのプラグインの機能をすべてこなすが、私はこれを推奨できない。ユーザインターフェイスは融通がきかず、使いにくいし、私の 800-MHz Titanium PowerBook G4 では動作が遅く、マウスをクリックするたびに、10 秒から 30 秒のあいだ、親指を回し続けなければならなかった。
いよいよ Photoshop -- ようやく Asiva の迂回路を抜けて、Photoshopを使う準備が整った。ここでは、拡大とシャープ化を除いて、あなたのやりたいことを何でもやってよい。私の場合は、通常いくらかの小さい汚れをレタッチして消す必要があるが、それ以上のことはほとんどない。ゴミが多い場合は、Polaroid から出ている無料の製品 Polaroid Dust & Scratch Removalを試してみてもよいだろう。これには、スタンドアロンのプログラムとPhotoshop プラグインの両方がある。
PhotoZoom で最後の仕上げ -- 写真の切り抜きをしたければ、この段階でするとよい。切り抜いた写真は別名で保存しておく。拡大をしたい場合は、Shortcut から 50 ドルで出ている PhotoZoom か、130 ドルで出ているPhotoZoom Pro を使って、印刷物の大きさとプリンタの解像度に最適なピクセル数に拡大した新しいファイルを作る。デフォルトでは、どちらの製品も写真をシャープ化してくれる。ここでついに、シャープ化をするときが来たわけだ。デフォルトの設定は、大抵の場合に適切であるが、ときどきは PhotoZoom Pro が提供する細かい調整をしたくなることがある。これらの製品は、Mac 用の他の拡大プログラムに比べて、非常に優れている。PhotoZoom Pro 1.0.95には少々バグがあるが、拡大を見事にやってのけてくれるので、この製品を購入したことを後悔したことはない。最後に、拡大した結果ノイズが目立つようになったら、拡大したファイルを Noise Ninja で開いて、最適化する。
<http://www.trulyphotomagic.com/>
昇華型プリンタやいくつかのインクジェットプリンタでは、PhotoZoom で処理したファイルのピクセルが、プリンタヘッドが印刷する一つ一つのピクセルと正確に一致するようにできる。私の Olympus 製昇華型プリンタでは、この方法を使うと、より小さいファイルをプリンタに送ってソフトウェアに拡大してもらうのに比べて、格段にシャープな写真が印刷される。残念ながら、ほとんどのインクジェットプリンタは、解像度が固定されていないので、プリンタのソフトウェアは、どんなファイルが送られてきても、ごまかしをする必要がある。プリンタのスペックに、解像度が 300 dpi かその程度と書いてあれば、そのプリンタの解像度はおそらくその数字に固定されている。もしスペックに何千 dpi と書いてあれば、その数字は、実際に得られる解像度とは関係がない。このような場合、プリンタの解像度は、おそらく不定で可変なのだ。
このことを説明しよう。1,440 dpi で印刷するプリンタがあるとする。それぞれの色のインクは一つ一つの点として紙に置かれ、点と点が重なることはない。ある色を作り出すために必要なインクからそれぞれ一つずつ点が置かれるから、その点の数が、その色の最小の領域、すなわちピクセルを作るために必要な点の数ということになる。色が変わるとそれに必要なインクの数も変わるということになれば、ピクセルあたりの点の数は、色によって異なることになる。それに加えて、点は固定されたパターンで置かれるのではなく、確率論的にちりばめられる場合が多い。
もしあなたが、自分のプリンタのシャープさに満足できないなら、異なる解像度のいくつかのファイルでテストをして、どれかのファイルが他のファイルよりきれいに印刷されるということがあるかどうか調べてみるといいだろう。もしそういうファイルがあれば、すべてのファイルをその解像度にしてから印刷するようにすれば、よい結果が得られる可能性が高い。このテストに使えるファイルを作ったので、下記のリンクから Zip アーカイブをダウンロードしてほしい。これらのファイルには、1ピクセル、2ピクセル、3ピクセルの縞模様が描いてあって、ファイル名が解像度を示している。これを Photoshopか GraphicConverter で印刷する。プレビューはパターンのサイズを紙の大きさに合わせて変えてしまうので、適さない。それぞれの印刷結果について、パターンがどれだけ滑らかに印刷されているかを見る。もし特定の解像度が他のものよりきれいに印刷されていたら、あなたの写真の解像度がその解像度になるように、拡大縮小をすればよい。ただし、問題はあなたの写真がきれいかどうかであり、テストがきれいかどうかではないということは忘れないでほしい。このテストをすると、どんなプリンタでもひどいものに感じられる可能性がある。あなたが自分のプリンタのシャープさに満足しているなら、この特殊な不正確さについての調査をする意味はない。知らぬが仏である。
<http://www.tidbits.com/resources/748/PrinterSharpnessTest.zip>
一方、色を印刷するということについては、知らぬが仏ではすまされない。色の多くの側面について、システムのほころびを知ることは役に立つ。どういうときに正確を期す必要があり、どういうときに正確を期すことが意味がないのかを知ることができるからだ。そこで、私は、次の記事で、色と ColorSyncについての神秘と不条理を紹介しようと思う。いくつかの単純だが大切なことをお知らせし、あなたの知らない複雑さと苦痛に満ちた世界について説明しよう。
PayBITS: 完璧な写真を目指す Charles の助言が役に立ったのならば、どうぞあなたから「国境なき医師団」に寄付をお願いします、というのが彼の願いです:
<http://www.doctorswithoutborders-usa.org/donate/>(国境なき医師団日本)
PayBITS の説明: <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>
文: TidBITS Staff <[email protected]>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>
各話題の下の2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバにある討論につながる。こちらの方がずっと高速のはずである。
クリックボード履歴アプリケーション -- 読者から一度に一つ以上のクリップボードデータを保持できそしてそのコンテンツに関して様々な操作の出来るいくつかのユーティリティが紹介されている。(メッセージ数 4)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2318>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/180>
Macintosh 版バージョン管理システム -- Mac にもいくつかのバージョン管理システムがある。例えば Perforce で、これは BBEdit にもサポートされている。(メッセージ数 3)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2321>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/183>
ワイヤレス iPod -- Apple はだいぶ前に全ての Mac をワイヤレスにした;それでは iPod からケーブルがなくなるのはどれぐらい先のことであろうか?(メッセージ数 6)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2322>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/184>
Address Book 自動補完のデータは? Apple の Address Book にはかなり強引な自動補完機能が備わっているが、それを変更したいと思った時これらのデータがどこに保存されているのかわからない。(メッセージ数 4)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2323>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/185>
Apple Remote Desktop 続き -- Adam の Apple Remote Desktop 2.0 についてのレビューに端を発して更なるコメントや他のリモートコントロールアプリケーションとの比較が寄せられている。(メッセージ数 8)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2324>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/186>
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, , 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA