今週号はオーディオ特集だ。ただし、二つの記事では全く違った側面からオーディオを取り上げる。まず、Adam がピア・ツー・ピアのファイル共有会社 Grokster と StreamCast Networks に対して下された最近の最高裁判決を検討する。次に、Andy Affleck が iTunes 4.9 の新しいポッドキャスティング機能を概観した記事で再び寄稿陣に加わってくれた。ニュースの部では QuicKeys X3 3.1 と Virtual PC 7.0.2 のリリースと、グレイスケールの iPod がなくなったことをお伝えし、私たちの Take Control 本の印刷版の最新刊、“Take Control of Tiger” についてお知らせする。
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QuicKeys X3 3.1 が Automator をサポートし ツールバーを追加 -- Startly Technologies が QuicKeys X3 version 3.1 をリリースし、Automator のワークフローの QuicKeys ショートカットへの取り込みを可能にし、10 個のショートカットを保持しておく半透明のツールバーを提供する SoftKeys を再び提供するようになった。小さな改良点としては、どのアプリケーションで使うかを素早く設定するための Open Items に付け加えられた新しいオプション。QuicKeys Editor でショートカットへより速いアクセスを提供する Action Palette。特定のドライブやネットワークボリュームのマウントやアンマウントをショートカット起動のきっかけにすることが付け加えられた。QuicKeys X3 の詳細については TidBITS-767 の"QuicKeys X3 岐路に立つ" を参照いただきたい。QuicKeys X3 3.1 は Mac OS X 10.3.9 以降で動作し、ダウンロードサイズは 14.1 MB だ。QuicKeys X3 のユーザーには無償で、それ以前のユーザーについてはバージョンによって $30 から $70 のアップデート料金がかかる。新規購入は $100 だ。 [ACE](笠原)
<http://www.quickeys.com/products/qkx.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07993>(日本語)QuicKeys X3 岐路に立つ
Virtual PC 7.0.2 が Tiger とのフル互換性を達成 -- Microsoft は、Mac OS X 10.4 Tiger との互換性を改善した無料のマイナーアップデート、Virtual PC 7.0.2 をリリースした。特筆すべきは、このアップデートが Virtual Switch、Zero Configuration Printing、Dock Start Menu と Tiger の間で起こった問題を改修していることだ。アップデートは 17 MB で、7.0 と 7.0.1 をアップデートする。Microsoft は今年の 9 月 30 日までに Virtual PC 7 を新規購入する際には $30 の払い戻しが受けられるというアナウンスも行った。 [ACE](笠原)
<http://www.microsoft.com/mac/downloads.aspx?pid=download&location=/mac/download/misc/vpc7_0_2.xml>
<http://www.microsoft.com/mac/products/virtualpc/rebate/rebate.html>
Apple がグレイスケールの iPod に別れを告げる -- Apple は、iTunes 4.9 のリリースに併せて、iPod と iPod photo の製品ラインを統合した。なくなったものは、現行の大半の iPod にあるモノクロスクリーン(これらがすべてカラーになった)だ。新しいラインナップは $300(日本では32,800円) の 20 GB iPod と $400(45,800円)の 60 GB iPod とになる。Apple は他に $330(36,800円)の 20 GB iPod U2 edition (黒のボディに新しいカラースクリーンを搭載している)も紹介している。同時に、1 GB iPod shuffle は $130(14,980円)に値下げされた。 [JLC](笠原)
[訳注:円表記はすべてApple Store Japan の税込み価格]
<http://www.apple.com/ipod/>(日本語)アップル - iPod
DealBITS 抽選: Audio Hijack Pro の当選者 -- 先週の DealBITS 抽選で 1,246 名の応募者の中から当選し、Rogue Amoeba Software の Audio Hijack Pro ($32 相当) を受け取ることになったのは、mac.com の David Scott、comcast.net の Mary Seiler、earthlink.net の Marian Petrides の3名だ。おめでとう! 残念ながら当選しなかった皆さんも、2005 年 7 月 11 日までの期間、注文時にクーポンコード TIDBITS2 を使えば Audio Hijack Pro が $5 割引になる。この割引はすべての TidBITS 読者の皆さんのために提供されている。[ACE](永田)
<http://www.rogueamoeba.com/audiohijackpro/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08149>(日本語)DealBITS 抽選: Rogue Amoeba の Audio Hijack Pro
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
2005 年 6 月 27 日、米連邦最高裁判所における MGM 対 Grokster の裁判で、裁判官の全員一致による判決が下った。この判決は、ピア・ツー・ピア (P2P) のファイル共有テクノロジーを擁護する人たちには手痛い打撃となり、巨大なメディア会社側の弁護士たちに文句無しに軍配を上げたものとなった。いや、はたして本当にそうだったのか?
裁判 -- この裁判は比較的単純なものだった。MGM ならびにその他 27 の巨大メディア会社たちが、P2P 会社の Grokster と StreamCast Networks(Morpheus プログラムのメーカー)および Sharman Networks(Kazaa ソフトウェアのメーカー)を相手に、無料の Grokster、Morpheus および Kazaa ソフトウェアの使用の結果起こった著作権侵害についての責任を問うべく訴訟を起こしたのだ。(以後この記事では簡単のために、これら三つをまとめて“Grokster”と呼ぶことにする - 実際、この訴訟の Sharman に関する部分は最高裁に持ち出されるよりも前の時点で訴訟に含まれなくなっていた。)この訴訟は二つの下級法廷で P2P 側の勝訴の判決が出ており、その上告審として最高裁で争われていた。
これら下級審での判決は、1984 年の有名な Sony 米国法人と Universal City Studios との間で争われた裁判に基づくものだった。これは、Betamax ビデオ録画機を著作権者の許可なく作品の著作権を侵害するために使うことができるという理由で Sony がその著作権侵害の責任を問われるべきかどうか、という問題を巡ってのものだった。その裁判では、Sony に責任を問うことはできないという判決が下った。Betamax 録画機が“デュアル・ユース”つまり著作権侵害の目的にも著作権侵害でない目的にもどちらにも使えるから、というのが理由だった。法廷で使われた用語に従えば、Betamax は「著作権侵害以外にも重要な目的をもって使える」ということだった。この Sony の裁判で最高裁は、Sony が Betamax について著作権侵害の目的にも使えると認識していたものの、タイムシフト(つまり番組を録画してあとで見ること)という重要な、しかも著作権侵害でない目的がある、と認定した。
<http://www.eff.org/legal/cases/sony_v_universal_decision.html>
Grokster と Morpheus が著作権侵害以外にも重要な目的をもって使えるという事実が今回も被告側の主張の核となり、二つの下級審では Sony 事件の判例を比較的文字通りに解釈することによりその主張を取り入れたのだった。けれども今回の最高裁の判決はこれら下級審の判断を退け、Grokster と StreamCast に著作権侵害についての責任を問うことができるとした。その理由として、著作権を伴う作品を許可なくダウンロードするために自社のソフトウェアが使えるという事実をこれらの会社が積極的に宣伝に使っていたことを挙げている。言い替えれば、重要なのは意図であって、これらの会社がその意図をもってユーザーたちに著作権侵害をさせるソフトウェアを作った、つまりこれらの会社がユーザーたちを著作権法違反へと導いた、と判断されたのだ。最高裁はこの判断の根拠としてこれらの会社の内部資料を採用し、例えば元の Napster サービスが閉鎖された際にそのユーザーたちを取り込むことを狙った広告を打ち出したこと、また広告目的で同社のソフトウェアの非合法な使用を誇示してみせる計画があったこと、などを挙げた。さらに顕著な事実はこれらの会社がどちらも広告ベースのビジネスモデルを採用していたことで、そのようなビジネスモデルにおける成功は第一にユーザーの数と総使用量とを増やすことにかかっており、実際これらの会社は自社のソフトウェアを使って著作権を伴う人気作品を提供できるということを宣伝して使用量の増大を狙ったのだった。この判決理由を十分に理解するという意味からも、興味のある方はぜひ判決の全文をお読みいただきたい:
<http://www.eff.org/IP/P2P/MGM_v_Grokster/04-480.pdf>
今回の判決によってこの裁判は下級審に差し戻されることになり、今後下級審においてこれらの P2P 会社が実際に著作権侵害に寄与した責任があるかどうかが審理されることとなる。自社のプログラムが著作権を伴う作品のダウンロードに頻繁に使われた(この訴訟で証拠として採用された MGM 社の調査によれば、全作品のうちの 75% から 90% がダウンロードされたという)という事実について Grokster と StreamCast が反論しなかったことを考えれば、両社のどちらも今後の差し戻し審を勝ち取ることは難しいように私には思える。侵害への誘導をしたという最高裁の判断を、何らかの方法で誤りだと証明できれば話は別だが。Sharman Networks 社は記者会見を開いて、同社が Kazaa ユーザーたちに対して著作権付きの作品をダウンロードすることを薦めたり援助したりしたことは決して無いと明言している。いずれにしても、今後の裁判の成り行きに注目したい。
<http://www.sharmannetworks.com/content/view/full/310>
隠れた文意 -- 最高裁にまでもつれ込んだ他の多くの裁判と同じく、この裁判でも本当に問題となるのはいくつかのパッとしない会社がどんな運命を辿るかということではない。もっと大きな問題は、憲法で定められ、その後ロビー活動の圧力により議会が繰り返し過剰に拡大されてきた著作権者の権利と、テクノロジーの革新に対して著作権の保護が及ぼす、背筋も凍るような効果との間の闘争だ。別の言葉で言えば、あるテクノロジーが著作権侵害のために使用される可能性がある場合、大きな犠牲を伴う裁判訴訟の危険を侵してまで、お金と時間をかけてそのテクノロジーを開発するだけの意味があるだろうか、ということだ。
もちろん表面上は、今回の判決はテクノロジー関係者にとって悪いニュースだ。けれども最高裁はあえて Sony 事件の判例を再解釈したり修正したりすることを避け、問題の状況をより明確化せずに済ませようとしている。判事の Ruth Bader Ginsburg は賛成意見の中で少しだけこの点に触れ、被告会社たちの作成した P2P ソフトウェアが著作権を伴った作品のダウンロードに広く使われていると断じ、それを理由として、たとえ著作権侵害以外にも重要な目的をもって使えるとしても、問題のテクノロジーが実際に広く侵害のために使用されている以上は Sony 事件の判例をそのまま当てはめることはできないと述べた。ただしこれには反対意見もあり、判事の Stephen Breyer は全体的な判決には賛成しつつも Ginsburg 判事には反対する意見を表明し、著作権侵害以外の使用に関しては今回の Grokster 事件も Sony 事件と全く同等であると述べた。彼はまた、Sony 事件で鍵となるのは「著作権侵害以外にも重要な目的をもって使うことが可能である」という表現であって、その「可能である」という表現は意図的に将来を見通しており、今後時間が経てばまた新たな著作権侵害以外目的の使用が登場する可能性も含めている、と指摘した。この点は非常に重要なことだ。なぜなら、この点こそがすべての議論の背景として強調されるべきことだからだ。イノベーションの自由が保護されるべきなのは、まだ実現されてはいない将来の可能性のためなのだから。彼はこう要約した:
「もちろん、Grokster 自身はこうした著作権侵害以外目的の使用を意図して開発したのでないかもしれない。けれども、Sony の基準が保護すべきなのは、今日の世界における Grokster たち(今日の状況のもとではいずれにしても彼らは責任を問われるべきだろう)なのではなくて、テクノロジーの発展という、もっと一般の価値であるべきだ。」
ここでもう一度、この話題に興味のある方にはぜひ判決の全文を読むことをお勧めしておきたい。省略した書き方で従来の判決に触れている数個所を除けば、この判決文は非常に読みやすくて、本当に魅力的な文章だと思う。
この先どうなるか -- 最高裁が Grokster には不利な判断をしつつも Sony の判例については支持する判断を下したことを私は嬉しく思っている。けれども、全体的な状況は依然として安心できるものとは言えない。一番大きな心配の種はコンテンツ・カルテル、つまり今日の社会の文化的作品を大量にかつ包括的にコントロールしている巨大メディア会社たちが、今回の勝訴をお墨付きのように受け取って、今後ますますいろいろな会社や個人を相手に著作権侵害を訴えてくるのではないか、ということだ。私たちが相手にしているのはとりわけ訴訟好きな業界なのだ。RIAA の会長である Cary Sherman によれば、彼の率いる団体は既におよそ 10,000 件の訴訟を個人に対して起こしており、和解金額は平均して1件あたり $3,000 になるという。(ついでながら書き添えておくと、いいや、この和解金のうち一銭たりとも、理論上害を受けた当事者たるアーティストの手元に届いたことはない。Cary Sherman 自身が私に語ったところによれば、RIAA はこれらの和解金のすべてを訴訟関係の費用に注ぎ込んでいるのだという。つまり、個々の裁判でそれだけ多くの費用を費やしているということだ。)
さて、垣根の反対側を見渡せば、多くのファイル共有プログラムのプロバイダたちが今後自分の製品を配付リストから削除していくだろうことは目に見えている。そして、そういう製品を配付し続けていく者たちは、今回の最高裁の判決に逆らうことのないように、自分の製品の宣伝方法や製品のターゲットの選択にさらに注意を払っていくことになるだろう。また、そういう製品のより多くが完全匿名の方向に向かうことも疑いないだろう。既存の P2P ネットワークを使って完全に合法的に新しいソフトウェアを配付することは可能だから、もしもその開発者が自分の作品の見返りにお金を稼ぐという気がないのならば、自分の名前を公表する理由は全く無くなってしまう。つまり、言葉を替えて言えば、ファイル共有の側とコンテンツ・カルテルの側との腕力競争が今後ますますエスカレートするに違いないということだ。
長い目で見れば、私は自発的支払いに基づいたライセンス・スキームという EFF の提案が良い解決策だと思う。このことについての詳細は下記のページをご覧いただきたい。要点だけを言えば、すべての個々人がそれぞれに少額のお金、例えば月額 $5 程度を、自発的に(あるいは ISP やその他の料金にバンドルして)支払うというシステムだ。ASCAP や BMI と大筋で似た非営利の透明代理徴集団体がそのお金を集め、その配分方法を決定し、アーティストたちに送金することになる。ASCAP や BMI はラジオや公開の場などで演奏される曲について集金や配付の働きをしている団体だが、私はそれらに「大筋で」似た、と言った。これらの団体には多数の批判が浴びせられていることは承知している。例えば自分の作品がオンエアされているのに一銭も受け取っていないアーティストがいるというのはよく聞く話だ。それでも、自発的にライセンス料金を集めるというのは、一方ではアーティストたちにかなりの収入を発生させることになり、他方では作品を聴いたり観たりする人々の側も、自分の好きなものを P2P ネットワークに居ながらにして好きなだけ享受できるという利点があると思う。
<http://www.eff.org/share/collective_lic_wp.php>
より一般的に言って、本来シンプルな、人間として基本的な行為である「共有」というものが、ゆっくりと、しかし確実に、何か悪者のような範疇に入れられつつあることに、私は一番の危機感を感じている。1980 年代に、これは“Me Generation”(自分第一主義)の潮流に乗って始まった。けれども私の見るところ、この 21 世紀は、四半期収益のみにしか興味のない巨大会社の手の中にあまりにも大きなパワーが集中し過ぎた状態から始まろうとしている。私たちが読むニュース、私たちが楽しむ娯楽、私たちが口にする食物、私たちが着る衣服、そういったものが、私たちの多くにとってはすべて特定の会社たちからのみ届くことになり、そういう会社たちにとっての私たちは、簡単に扱えて食い扶持のもとでしかないレミングにしか見えないのだ。インターネットは、私たちの多様性を育む最高の機会だ。海外からのニュースや、独立アーティストからの音楽やビデオ、膨大なグルメ情報へのアクセス、それに珍しい衣服を探し出すチャンスともなり得る。インターネットは、決して良きものと光とだけを体験できるユートピアとはならないだろう。そうではなくて、インターネットは、私たちの文化のすべてがセールス・マーケティング部門の人間たちからスプーンであてがわれるようになる事態を避けるための、最後の希望なのだ。文化というのは、本来、共有されるべきものだ。すべてを商業取引の手に譲り渡すことなく、私たち普通の人々が互いに寄り集まることが可能になるために、私たちは知恵を絞ってあらゆる可能性を探っていくべきではないだろうか。
私も必ずしもすべての点で彼らのやり方に同意しているわけではないが、私は Electronic Frontier Foundation (EFF) が現在、テクノロジーの革新を作り出す私たちの可能性を保護することに関しては最良の仕事をしていると思う。私は今までも、そしてこれからも、彼らをサポートし続けて行きたいし、ぜひ皆さんにも彼らをサポートしていただけたらと思う。
<http://secure.eff.org/saveinnovation>
文: Andy J. Williams Affleck <[email protected]>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
Apple は先週、ポッドキャストを検索し、登録し、管理する豊富な機能を追加した iTunes 4.9 をリリースした。ポッドキャストというのは、オーディオファイルをいくつか用意して、インターネットに接続した人は誰でもダウンロードして聞けるようにしたものだ( TidBITS-766 の "ポッドキャスティング: みんなのラジオ" 参照)。新しくポッドキャストのサポートが加わったことにより、iTunes は、以前なら iPodder や iPodderX、NetNewsWire など別のソフトウェアを必要とした機能を備えるようになった。Apple の iTunes 4.9 を使えば、ポッドキャストを検索したり、登録したり、聴取するためのプロセスはこれまでになく簡単になるが、分かりにくいところや足りないところも目立ち、iTunes の将来のバージョンで修正されるのを待っている。
<http://www.apple.com/itunes/podcasts.html>(日本語)アップル - iTunes - Podcastの管理
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07986>(日本語)ポッドキャスティング: みんなのラジオ
ポッドキャストの検索/登録/管理 -- iTunes 4.9 を起動すると、左のコラム(「ソース」ペイン)に新しく「ポッドキャスト」というアイテムが現れる。これが、あなたが登録したポッドキャストを管理するためのインターフェースとなる。iTunes Music Store をブラウズすれば、配信されているポッドキャストが新しいジャンルとして現れており、それを受信することができる。
画面の一番下にある「ポッドキャストディレクトリ」リンクをクリックすると、Apple のポッドキャストディレクトリを見ることができる。または、「ソース」ペインの「ミュージックストア」リンクをクリックして、Podcastsリンクを選択してブラウズすることもできる。販売されている楽曲と同じように、ポッドキャストが騒がしいページに陳列されている。ポッドキャストかポッドキャストのカテゴリを選択すれば、音楽を探して購入するのと同じ、おなじみの画面が現れる。ポッドキャストディレクトリは整理されておらず、活動休止状態のポッドキャストがいくつか含まれているかと思えば、現在活動中でかなり有名なポッドキャストのいくつかが含まれていない。うれしいことに、Apple のミュージックストアの中にあるメインの Podcasts ページから、新しいポッドキャストを推薦したり、ポッドキャストの削除を申請したりすることができる。Apple は、このような追加と削除の依頼に対してどのように対処するのか明らかにしていない。
<http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewGenre?genreId=26>
<https://phobos.apple.com/WebObjects/MZFinance.woa/wa/publishPodcast>
興味のあるポッドキャストが見つかったら、単純に Subscribe ボタン(曲の場合の Buy ボタンに代わるものだ)をクリックすれば、それを登録することができる。あなたの Podcasts ページにポッドキャストがリスト表示されて、最新のエピソードが自動的にダウンロードされる(詳しくは後述する)。
現在 iTunes Music Store にあるポッドキャストはすべて無料だが、いつまでもそうだと決めてかかる理由はない。Apple は、この配信形式を爆発的に広めた初期のポッドキャスティングを Podcasts スプラッシュページの一番下に表示される Indie カテゴリに格下げする一方で、公共ラジオを含む大規模なメディア各社から提供されているポッドキャストを取り上げる日のために準備をしているようだ。(もちろん、ポッドキャスターの中には、現在 Audible やApple などでラジオ番組が販売されているのと同じ仕方で、プレミアコンテンツを有料ポッドキャストとして提供できるような仕組みを歓迎する人がいるだろう。)
もちろん、Apple のリストがすべてではない。Apple のディレクトリにないポッドキャストを登録するには、まずはそのオーディオダウンロードを提供しているサイトで、ポッドキャストを含む配信リンクを見つけなければならない。そういうリンクはたいてい最後が .rss か .xml になっているが、それをコピーする。そうしたら iTunes 4.9 の「詳細設定」メニューから「ポッドキャストを登録」を選んで、リンクをペーストする。OK をクリックすると、リンクが正しければ、「ソース」メニューの「ポッドキャスト」リストにそのポッドキャストが現れる。
ポッドキャストの登録を解除するには、2段階の手順を踏む。最初に、リストからポッドキャストを選んで、iTunes ウインドウの右下にある「登録解除」ボタンをクリックする。これだけでは、そのポッドキャストの隣に「登録」ボタンが現れるだけで、登録しているものに混ざって登録していないポッドキャストもリストの中に残るし、すでにダウンロードしたエピソードもすべて残っている。ポッドキャストを(すべてのエピソードごと)リストから削除するには、ポッドキャスト名の上で Control-クリックをして、コンテクストメニューから「消去」を選ぶ必要がある。この2番目の手順を最初にすれば、登録の解除とポッドキャストファイルすべての削除を同時に行うことができる。
ポッドキャストの環境設定を設定する -- iTunes 4.9 の環境設定で、iTunes が新しいエピソードを確認する頻度、確認したときに複数のエピソードがあった場合どれをダウンロードするか、そしていくつのエピソードを保持しておくかを設定できる。
残念ながら、これらの設定はすべてのポッドキャストに共通で、ポッドキャスト専用またはポッドキャスト機能を含むほかのプログラムが提供しているようなきめ細かい設定はできない。たとえば NetNewsWire Pro 2.0 では、共通の環境設定に加えて、それぞれのフィードごとに自動ダウンロードの設定ができる(しかしダウンロードや保持するアイテムの数は設定できない)。
iTunes 環境設定の新しい項目では、どのポッドキャストを iPod と同期させるか(iPod shuffle では、Autofill がオーディオブックを無視するのと同じようにポッドキャストも無視してしまうので、ポッドキャストを手動でコピーしなければならない)、そして、同期する登録ポッドキャストの中で、すべてのエピソードを同期するのか、新規エピソードだけ、再生していないエピソードだけ、またはチェックしたエピソードだけを同期するのか選択することができる。iPod では、ポッドキャストは1つの Podcasts プレイリストにまとめられ、ほかのプレイリストには、iTunes を使って手動で加えない限り現れない。クリックホイールタイプの iPod では、トップレベルのメニューにPodcasts というアイテムが表示される。それより前の iPod ではポッドキャストは Podcasts プレイリストとして表示される。
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=300558>(日本語)アップル - サポート - TIL
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=301880>(日本語)アップル - サポート - TIL
ポッドキャストを管理する -- iTunes では、ポッドキャストは左の「ソース」リストの中の「ポッドキャスト」項目にまとめられる。実際、そこにしか表示されない。メインのライブラリにも、どのプレイリストにも現れない。通常のプレイリストに手動で加えることはできるが、スマートプレイリストでポッドキャストをスマートに聞くことはできない。これは Apple の大きな手落ちだ。
ポッドキャスト名の隣に青い点が表示されていたら、まだ聞いていないエピソードがあるということだ。ほかの iTunes に登録されている曲と同じように、現在聞いている、または聞いている途中だった番組名の隣には小さなスピーカのアイコンが表示される。
登録しているポッドキャストのリストで、それぞれの隣にある三角形をクリックして展開すると、現在そのポッドキャストの配信フィードにリストされているすべてのエピソードが表示される。通常は最新5つのエピソードだ。まだ取り込んでいない番組をダウンロードするには、「入手」ボタンをクリックする。
より古いエピソードを検索するには、そのポッドキャストのウェブサイトを訪れる必要があるが、これはちょっと面倒だ。最初に、ポッドキャスト名の後ろにある右向きの矢印を(iTunes 環境設定で表示を停止していないと仮定して)クリックする。もしもそのポッドキャストが iTunes Music Store になければ(つまりあなたが手動で登録したものなら)、そのポッドキャストのウェブサイトに直接飛べる。しかし、ポッドキャストがストアにあると、ストアの中のページに飛ぶので、そこでウェブサイトへのリンクを探すことになる。
歓迎すべき新機能としては、それぞれのエピソードの右端にある情報ボタン(丸の中に i があるもの)がある。これはそのエピソードのポッドキャスト情報を表示する。ポッドキャスト情報というのは、その番組の制作者がそれぞれのエピソードごとに提供している情報、技術的にいえばメタデータだ。これによって、エピソードをダウンロードする前に、それがどのようなエピソードなのかを知ることができる。(このメタデータは Spotlight で索引付けされるので、Mac OS X 10.4 Tiger が動いているシステムでは、アーカイブされたポッドキャストを検索するのが簡単になる。)
先ほど触れたように、TiVo と同じような iTunes 環境設定の項目、つまりすべてのエピソードを保持するのか、全ての未再生のエピソード、最新のエピソード、最新の 2、3、4、10 エピソードを保持するのかというのは、ポッドキャストごとに設定することができない。ポッドキャストの最新版だけを保存して、ハードディスクがポッドキャストの山でいっぱいにならないようにしたいと思う人もいるだろうし、その逆に、ある番組のファンで、聞いていないエピソードがたくさんたまってしまったとしてもすべてを聞きたいと思う人もいるだろう。私は、The Radio Adventures や Dr. Floyd のようなシリーズ物(私の5才の子供はこれらが大好きだ)では、すでに聞いたかどうかにかかわらずすべてのエピソードを保存しておきたいが、ニュース番組では最新のエピソードだけを保存したい。唯一の解決方法は、すべてを保持しておいて、古いエピソードを手動で削除することだが、これは控えめに言ってもうんざりする。
もう1つの手落ちとして、iTunes のポッドキャストファイルの管理方法にも改良の余地がある。私が iTunes であるエピソードを聞いて、そのファイルをハードドライブから消去したいと考えたら、そのエピソードを選択してDelete キーを押すか、Control-クリックして「消去」を選ぶかするほかない。そうするとそれがエピソードリストから取り除かれ、さらにファイルをハードドライブから消去することを選ぶこともできる。では、後になって、何らかの理由でそれをもう一度ダウンロードしたいと思ったらどうなるだろうか。エピソードのリストから消えてしまうと、「入手」ボタンが現れることもない。完全に消えてしまうのだ。ファイルを削除しながらその項目をリストに残す方法を、私は1つだけ見つけることができたのだが、それは、項目をControl-クリックして、コンテクストメニューから「曲ファイルを表示」を選び、それを手動でゴミ箱に移動することだ。そうしたとしても、その番組はまだ残っているかのようにリストされていて、ファイルがないということにiTunes が気づいた後でも「入手」ボタンは出てこない。
ポッドキャストを聞く -- iTunes でポッドキャストを聞くのは、音楽を聞くのと同じだ。ダブルクリックすれば(またはポッドキャストを選んで再生ボタンをクリックすれば)聞ける。あるエピソードを聞いていて途中で停止したとき、iTunes はあなたがどこで中断したのかを覚えているので、ファイルの形式にかかわらず、簡単にその場所に戻ることができる。これは便利で、歓迎すべき iTunes の新機能だ。
しかし iTunes 4.9 には大きなバグがあって、ポッドキャストを聞き始めた瞬間に、それが再生済みになってしまう。音楽の場合には聞き終わったときに再生済みになるのに。だから、iTune を未再生のポッドキャストだけを保持するように設定していて、ポッドキャストの最初の 10 秒間を聞いたところで中断して後で聞こうとしても、iTunes が(iTunes 環境設定で設定したスケジュールにしたがって)次にポッドキャストをアップデートしたときには、それは消滅してしまう。iPod との同期で、未再生のエピソードを同期するようにしていたときにも、このバグが影響する。Apple は、「再生中」というようなカテゴリを新しくつくって、どのポッドキャストを聞いている途中なのかが分かるようにするか、あるいはポッドキャストをほかの音楽と同じように扱って、終わりから数秒というところまで再生した時点でそのファイルを再生済みにするか、どちらかをするべきだ。個人的には、両方してくれたらよいと思う。ポッドキャストが最後の数秒になるまで(iPod のように本当の最後ではなく)再生済みにはならず、さらに聞き始めたけれどまだ聞き終わっていないポッドキャストがどれか分かるようになっているとよい。
Apple はみずからポッドキャストを始めた。New Music Tuesday Podcast だ。これには、1つのポッドキャストの中にブックマークをつけるという、面白い新機能が使われている。この Apple のポッドキャストはさまざまなアーティストを紹介するもので、ポッドキャストを再生すると、現在のアーティストに対応するアルバムアートが画面の左下に順番に表示される。さらに、メインのトラック欄の左に新しくブックマークメニューが現れ、そこにリストされているアーティストやセクションに即座にアクセスできる。Apple は、パワーユーザが自分の番組にこのようなリストを加えることができるように、Podcast Chapter Tool というコマンドラインツールのベータ版もリリースした。これをダウンロードするには、iTunes Music Store の Podcast ページで、Publish a Podcast をクリックし、Learn More about Podcasting on iTunes をクリックして、ページの一番下までスクロールする。
ポッドキャストはすべての iPod で聞けるが、第4世代の、クリックホイールがついた iPod では、先週リリースされたアップデートを適用することで、形式にかかわらずすべての iPod にブックマークを付ける機能や、センターボタンを2度クリックするとポッドキャスト情報が表示される機能、メインディスプレイで長いポッドキャスト名をスクロールする機能などのポッドキャストサポートが追加される。クリックホイール iPod のほとんどの新機能は、クリックホイール iPod がリリースされた数ヶ月後にその前の世代の iPod にも加えられたから、旧世代の iPod にも将来このような機能が加えられるということもありえる。
よいスタート、しかし先は長い -- Apple がポッドキャスティングに参入したというのは、主要な企業としては初めてのことだし、最初の一歩としてはなかなかよくやっている。そうはいっても、対処しなければならない重要な問題がいくつかある。私が思うに、パワーユーザの多くは、スマートプレイリストやよりよいファイル管理などを使い続けることができるように、現在のポッドキャスト管理方法を変えようとはしないだろう。しかし、大多数のユーザにとっては iTunes 4.9 の機能は十分で、ポッドキャストが主流となるのが加速されるだろう。
早くも伝えられたところでは、iTunes 4.9 がリリースされて以来、KCRW のような主要メディアサイトのポッドキャストリスナーが急増したということで、この機能の人気の度合いが分かる。The L.A. Times が伝えたところによると、KCRW の番組のダウンロード数は一日 3,500 から 100,000 に、そう、一日 100,000 に増加した。別の報道によると、iTunes ユーザは最初の2日間でのべ百万のポッドキャストを登録したという。
これほどの人気のせいで、このシステムにちょっとした欠陥があることも明らかになった。登録されたポッドキャストの少なくとも一部は、直接ダウンロードされるのではなく Apple のサーバからリダイレクトされているから、人気のある番組の中にはときどきアクセスできなくなるものもあるようだ。これが短期間で解決できる簡単な問題であることを願いたい。
iTunes 4.9 は無料で、ソフトウェア・アップデートから、または Apple のウェブサイトから、11.1 MB のダウンロードとして入手できる。
<http://www.apple.com/itunes/download/>(日本語)アップル - iLife - iTunes - ダウンロード
[Andy J. Williams Affleck は、米国連邦政府の事業を請け負っているプロジェクトマネージャーで、ウェブデザインにおける実用的なアクセシビリティの専門家でもある。彼は長いあいだ、個人がほかの人とコミュニケーションをとるのを可能にするあらゆるツールに魅了されてきた。それがたとえニュースレターであっても、また電子メール、ウェブログ、ポッドキャスティングであっても、そしてその後に続くものであっても。]
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
Take Control 電子ブックの最新の印刷コレクション版、“Take Control of Tiger”が、Peachpit Press の友人たちとの提携によって出版されることとなり、すぐに入手して頂けるようになった! 何百ページもの電子ブックを印刷する気になれずに Tiger のインストールを延ばしてこられた方、あるいはただ単純に Tiger についてのさまざまな事柄をプロの手でデザインされた四色刷りの本で読んでみたいと思われる方は、この 350 ページのコレクション版が Amazon からたった $19.79 という値段で出ているのでどうぞご購入頂きたい。“Take Control of Tiger”には私たちの Tiger 関係の四冊の電子ブックすべての最新バージョンが含まれており、この印刷版をご購入下さった方には対応する四冊の電子ブックの将来の無料アップデートもすべて入手して頂ける。(印刷版について詳しいことは、 TidBITS-747 の記事“Take Control が印刷へと発展”をご覧頂きたい。)
<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/032133017X/takecontroleb-20/ref=nosim/>
<http://www.takecontrolbooks.com/catalog.html#print_collections>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07820>(日本語)Take Control が印刷へと発展
文: TidBITS Staff <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
各話題の下の2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバでの討論に繋がる。こちらの方が高速のはずだ。
マルチ・プラットフォームのバックアップ -- いろいろのオペレーティングシステムの混じった環境でバックアップできるソフトウェアを探しているある読者が、その解決法が決して単純でないということに気付く。そこで TidBITS Talk コミュニティーが馳せ寄って、いろいろな方法を提案する。(メッセージ数 11)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2641>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/494/>
身に付ける GPS 機器 -- ジョギングに出かけて道に迷ったりすることは? あるいは、今日はどれだけ走ったかを知りたい? どちらにしても、このスレッドでいくつもの小型 GPS 機器が話題にのぼる。(メッセージ数 4)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2642>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/495/>
Mac 用の統計ソフトウェア -- 以前からのスレッドの続きだが、良い統計解析ソフトウェアとして新たな解決策が判明する。(メッセージ数 38)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2644>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/224/>
テレビを見る Monster -- iTV Link ケーブルでコンピュータをテレビに繋ぐという Adam の記事に関連して、ある読者が類似の製品を推薦する。(メッセージ数 2)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2645>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/497/>
非営利、非商用の出版物およびウェブサイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載またはウェブページにリンクすることが できます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありませ ん。書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017
, , 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA