一つの時代が終わった。最終回を迎えた ADHOC/MacHack カンファレンスの模様を、Adam がレポートする。Jeff Carlson はちょっと現実から逃避して良き大義に目を向け、Star Wars Battlefront をレビューする。また今週号では、刷新された iBook と Mac mini シリーズを Geoff Duncan が概観し、ニュースの部では HP による iPod 取扱いの終了、iPhoto 5.0.4、それに Dejal Software の Simon 2.0 についてお伝えする。
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HP、iPod の取扱いを終了 -- iPod shuffle をラインナップに加えてまだ一ヶ月というのに、Hewlett-Packard は 2005年9月末をもって Apple の iPod 音楽プレーヤーの再販を止める予定だと報じられている。Apple と HP の間の再販提携は 2004年1月に華やかに打ち上げられた。そして当時としては、これは音楽プレーヤー市場で完全にアイコン的な存在にまで立場を確立できていなかった Apple にとっても、新たに販売とマーケッティングのチャネルを持つことは良い方向のように見えた。しかし現実は必ずしもそうは行かなかった:HP はどうも iPod を売ることでたいした稼ぎは出来なかったようだし、それに HP バージョンは常に Apple 自身の新商品の導入から一歩遅れを取っていて安売りバージョンとして売られざるを得なかった。iPod 大ブレイクに占める HP の分け前は、iPod の全出荷量の 5% 以下にしかならなかったと報じられている。そして HP 自身はもっと大きな問題に直面している:最終利益を更に $2 billion 改善するため総従業員数の約 10% を削減するというのである。[GD](カメ)
<http://www.apple.com/pr/library/2004/jan/08hp.html>(日本語)米国報道発表資料抄訳:HPとアップルが提携、デジタルミュージックプレーヤーとiTunesをHPのお客様に提供
iPhoto 5.0.4 写真の向きを正常に -- Apple は iPhoto 5.0.4 をリリースした。これはマイナーアップデートで "カメラが自動的に縦横を判断して回転させた写真をブラウズすることに関する問題" を修正している。正直に言って、私はこの問題に直面したことがないが (カメラによって自動回転された写真が縦横逆に表示された時に編集する事に関する問題らしい)、5.0.3 から 5.0.4 までの速さを見ると、この問題が多くの人を悩ませていたのであろうことがうかがえる。このアップデートはおおよそ 40 MB で Software Update 経由か、或いは単独のものとしてダウンロード出来る。[ACE](カメ)
<http://www.apple.com/support/downloads/iphoto504update.html>(日本語)アップル - サポート - ダウンロード - iPhoto 5.0.4 Update
Simon 2 曰く:サーバーを監視せよ -- Dejal Software は同社のサーバー監視ユーティリティに対するメジャーアップデートとなる Simon 2 をリリースした。Simon は、離れた所にあるインターネットサービスに対して繰り返しチェックを行い、もしテストに失敗するとその報告を上げてくるし、更にサービスが回復してオンラインに復帰した時も報告してくる。Simon は又 Web ページの変更も監視できる。新機能で最も重要なのは Port サービスで、これにより殆どいかなる種類のサーバーでも監視できるようになる;前には出来なかった POP, IMAP, SMTP, AFP, DHCP といったサーバーも監視できるのは大きい。Simon からの問題通知はいろいろな形で行える、メール経由 (そこから携帯へのテキストメッセージも起動できる)、アプリケーションを起動する (こうすることで Simon の動きを更に拡大できる)、音を鳴らす、或いは予め設定してあるテキストを読ませる。Simon 2 は更にフレキシブルなインターフェースを持っているので、多くのテストや複数の警報をより効果的に設定したりメンテしたりし易くなる。Simon 2 の値段は $30 (Basic License: 試験数 7), $60 (Standard License: 試験数 20), 或いは $200 (Enterprise: 試験数無制限) である。これは 3.4 MB のダウンロードとなっている。[ACE](カメ)
文: Geoff Duncan <[email protected]>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>
Apple Computer は先週 Macintosh 製品群のうち、手頃な価格帯の二つのモデルについてのマイナーアップグレードを発表した。携帯型の iBook については速度向上がなされ、Mac mini については(ようやくの事)標準装備の RAM を倍増した。
<http://www.apple.com/ibook/>(日本語)アップル - iBook G4
<http://www.apple.com/macmini/>(日本語)アップル - Mac mini
iBook に関する改良はプロセッサ速度にとどまらず - 12インチモデルでは 1.33 GHz、そして 14インチモデルは 1.42 GHz で走る PowerPC G4 に - 高性能の ATI Mobility Radeon グラフィックコントローラ、内蔵 AirPort Extreme と Bluetooth のワイヤレス、そしてもともと PowerBook G4 で採用されたスクロールトラックパッドと緊急モーションセンサーも付いた。値段の方は 12インチ iBook with 512 MB RAM が $1,000 で 40 GB ハードドライブと 512 MB の RAM が付く;14インチモデルの方は $1,300 からである。各種の build-to-order オプションが iBook に対してあり、更に大容量のハードディスク、更に大きい RAM (通常我々としては RAM は Apple 以外の安売り店からの購入をお勧めしている)、そして 14インチモデルに対しては、スロットローディング方式の SuperDrive が選べる。iBook には、これまでと同じく 10/100Base-T Ethernet の他、二つの USB 2.0 ポートと一つの FireWire 400 ポートが装備されている;iBook には Mac OS X 10.4 Tiger が付いており更に Apple の iLife '05 アプリケーションスイートがプリインストールされている。
Apple はまた Mac mini 製品群全てについて標準装備の RAM を増量し、$500 から始まる現行価格据え置きのまま 512 MB の RAM が標準となった。Mac mini の上位機種二種 - $600 と $700 - には AirPort Extreme と Bluetooth ワイヤレス通信機能が標準装備となり、そして最も飾り立てられた Mac mini にはスロットローディングの SuperDrive が付く。Mac mini にも Tiger と iLife '05 がプリインストールされている。
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
20 年の歴史を経て、ADHOC カンファレンスが、これは以前は MacHack という名で知られていたものだが、ついに今年でその幕を閉じることになった。参加者の数が、今年も去年と同程度の 100 名ほどだったが、やはりカンファレンスを続けて行けるだけの数とはとうてい言えなくなってきたからだ。主催者の Expotech はここ2年続けてショウの採算がトントンという状態だったのだから。滞在費持ちで小規模のカンファレンスを開催する会社がますます増え、また大規模な博覧会の開催者たちも以前では考えられなかったような小規模のカンファレンスにも手を出すようになってきたことを鑑み、Expotech の Carol Lynn もこの際会社をたたんで次の仕事に進む方が賢明だと考えたのだ。
正直に言えば、これは大きな打撃だった。ADHOC/MacHack は私たちの多くの生活の中に組み込まれた行事だったし、長年続いたこれまでの MacHack の会場では、数え切れないほどの第一線の Macintosh プログラマーたちが互いに腕を磨き、またその場を重要なコンタクトの機会として利用してきたのだった。MacHax Group の Best Hack Contest で優勝することは最高の名誉だったし、このコンテストの出展作品をきっかけとして生まれて後日売り物のソフトウェアとして成功を収めたものや、ここで生まれた試験的アイデアで後日 Mac OS 自体の中に取り込まれたものもあった。(Lisa Lippincott の UnFinder が発表された時の、会場全体のスタンディング・オべ−ジョンや、皆が口々に叫んだ“Useful!”の掛け声を、私は今でもまざまざと思い出す。Macintosh がデビューしてから幾年月、これでやっと Finder に Undo(取り消し)コマンドが実現される、というハックだった。)このように ADHOC/MacHack は他には替え難い存在であって、このショウに参加した人たちは皆、その独特の側面のいろいろを、例えば数々のハックや、真夜中のキーノート、睡眠不足、ホテルのロビーにいつもたむろしている Mac オタクたちの打ち解けた雰囲気、いつでも食べられる軽食、毎夜のピザ・パーティーにアイスクリーム・パーティー、最終日の映画、等々がもう見られないのを淋しく思うことだろう。こうしたアイデアのどれかを引き継いでくれる他のカンファレンスがあってもいいのにとは思うが、私はまだそういうものにお目にかかったことがない。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05470>(日本語)The Mac Hack Contest 1999
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1199>(日本語)MacHack '98 | MacHax Best Hack Contest 2000 受賞作品 | MacHax Hack Contest 2001 | MacHack の 2002 年度ベスト・ハック・コンテスト | MacHack の 2003 年度ベスト・ハック・コンテスト | ADHOC 2004: 古いもの、新しいもの、成功の伝統は続く
ああ、でも、もう終わってしまったことを悔やんでも仕方がない。だから、今こそ、今年のイベントでどんなことがユニークだったか、例年にもまして楽しかったのはどんなことだったかを語りつつ、記念すべき ADHOC の終焉を、心に刻もうではないか。
Dearborn 市内ツアー -- 去年の記事で ADHOC について書いた時、私は何げなく、いつも参加していたある人物が今回は ADHOC に参加せずに Seattle での別のカンファレンスの方に行ってしまったのは「みすぼらしい Dearborn」のせいだ、などと書いてしまった。この町をちょっと馬鹿にしたこの私のコメントを、二人の TidBITS 読者たちがそれぞれ別々に Dearborn 市商工会議所所長の Sharlan Douglas に伝えてくれたため、この所長は個人的に私を連れて Dearborn 市内のツアーをして市に対する私の意見を変えてみせようと申し出てくれた。というわけで、金曜日の昼食後、私は Sharlan に会った。彼女はきゃしゃな体のエネルギッシュな女性で、Dearborn 市内の興味深い場所をいくつか、車を運転して私を連れ回してくれた。この機会を一緒に楽しもうと、私は Scott Knaster と Lisa Lippincott を誘って行った。私たちがホテルのロビーで Sharlan と会った時、インターネットで偶然出会った何人かの人たちに町を案内するのだと言っても上司はどうしても信じてくれなかったと彼女は言っていた。もちろん私たちの側も、こんなツアーに行くのだという話をする度に、Dearborn におもしろい場所があるなんて信じられない、と誰もに言われたものだ。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07752>(日本語)ADHOC 2004: 古いもの、新しいもの、成功の伝統は続く
嬉しいことに、このツアーはとても楽しいものだった。Sharlan は私たちを連れていろいろな所をまわり、この地域の歴史についての知識を私たちに注ぎ込んでくれた。すべては Henry Ford に関係しているようだった。うっそうとした木に囲まれた Fair Lane の彼の邸宅は Dearborn 市内にあり、彼の家族が経営していた農場は、今では私たちの泊まったホテルの向かい側にある Ford デザイン開発研究所になっている。Henry Ford は実際 Dearborn 市のかなりの部分を建設した人物で、Ford 労働者用のかわいらしいレンガ作りの家並みで現在は歴史的保存区域となっている地域も、これに含まれている。一言で言えば「王様になるって素晴らしい」ということだ。Sharlan はまた、Dearborn のダウンタウンにある二つの地域にも連れて行ってくれた。その一つはとても活気のあるアラブ系のコミュニティーで、ここで彼女は全国でも最高のアイスクリームの店として定評のあるベーカリー、Shatila でアイスクリームをご馳走してくれた。一番気になった問題は、ごく狭いダウンタウンの地域を除いて、Dearborn では歩いて移動するなんてことはほとんど不可能だということだった。もちろん、この地域では自動車というものがすべての背景にあることを考えればこれは当然のことかもしれないが。私たちには時間がなくて、お薦めの Henry Ford Museum やそこに付属の Greenfield Village、あるいは Arab American National Museum などを見ることはできなかったし、やはり私には Dearborn を全国でも最高水準の観光目的地として数え挙げることはできないが、それでも Sharlan の案内してくれたツアーは、私の「みすぼらしい」という表現が当てはまらないことを、充分に私に納得させてくれた。あの表現は、取り下げます!
<http://www.dearbornchamber.org/>
<http://www.hfmgv.org/>
<http://www.theaanm.org/>
ふむ、よく考えると、ミシガン州 Dearborn 市をちょっと馬鹿にした表現を書いただけで、個人的ツアーという恩恵を受けることができたわけだ。これからは、もう少し頭を働かせてものを書くべきじゃないか? つまるところ、そうそう、Dearborn といえば、それと同類の、一年中カンファレンスの類いをしている町が、他にもあるじゃないか。例えばあの退屈な Austin とか、何だか甘ったるいだけの New Orleans とかね。いや、これは冗談ですよ!
Google! -- 最初の夜の講演者は Jordan Hubbard、彼は FreeBSD プロジェクトの共同創設者の一人で、Macintosh OS X の Darwin コアに関する Apple の責任者でもあるのだが、彼に続いて講演した人たちの中に Apple 社員はあとたった一人、元 Mac OS 9 の技術責任者であった Keith Stattenfield しかいなかった。このカンファレンスは Macintosh の世界から歩み出したのだが、今回はそれよりも Google からの参加者の方が多かったことが、すべてを語っていると言えるだろう。Scott Knaster、Jorg Brown、それに Maf Vosburgh の三人だ。(最終日には採用担当者も一人これに加わった。)彼らは三人ともずっと昔から Mac と共にいた人たちだが、他のあまりにも多くの Silicon Valley のエンジニアたちと同様、彼らもまた伝統的なソフトウェア会社を見限って、天界高く飛翔する Google に移った。Google には彼らを優しく迎える文化があり、勤務時間の 20% は何でも好きなことをしてよい自由がエンジニアに与えられるという会社の方針があって、非公式のモットーといえば“Don't be evil”なのだから。
Google は今回 ADHOC のメインスポンサーの一つだった。この会社の名前は会場で誰の口にも必ずのぼったものだ。Google Map の解像度を上げるために Google は専用の人工衛星を一機買い取るべきだという冗談が行き交っていたし、Google で働くのはどんな感じかという話題のセッションが一つではなく二つもあったし、近郊にあるミシガン州 Ann Arbor に Google が新しいオフィスを開くという噂も流れていた。ADHOC Showcase にも、Google にまつわるハックがいくつも登場していたし、優勝した作品もその部類に属していた。
要するに、Google は今現在、とてもホットだ。その一方で、この会社が間違いをするということもあり得る。もちろん Google の中に目に見えるもの以上のことが潜んでいるのは間違いない。それでも、彼らが強いユーモアのセンスを示し続け、物事を普通とは違った仕方で進めようとする気持ちをはっきりと出してみせたことで、この大会社の表向きの見掛けの裏に、ちゃんと個々人が控えているのだという感覚が、私たちにはっきりと伝わったのは確かだ。
[ちょっと横道にそれるがこんな話がある。この記事を私が Detroit 空港で書いていた時、私は中年の女性が Segway に乗って近くを通り過ぎるのを目撃した。私が流行に乗り遅れているのかもしれないが、私は Segway が実際に使われているのを見るのはこれが初めてだった。わぁ、すごい、と私は思った。でも、後日 Ithaca の Farmer's Market で Tonya と買物をしていた時に、私がこの話をしていると、ちょうどその傍に電動スクーターに乗った女性がいて、これを聞きつけたかと思うと、その女性は私たちをつかまえて延々と喋り続けた。Segway なんて、値段が高過ぎるだけで、使いにくいったらありゃしない、電動スクーターの方がずうっといいわよ、と。]
ADHOC Showcase のハックたち -- ここ数年はコンテストへの参加者数が急激に減っている(MacHax の Best Hack Contest が深夜から次の日に日が高く昇るまで続いたことがあるのを私は覚えている)ものの、今年の ADHOC Showcase にもたくさんの斬新なハックが集まった。目立ったものを挙げれば、Andrew Turner の DashSaver は Dashboard を表示するスクリーンセイバー・モジュールで、Shawn Platkus の HoverDash は Dashboard のウィジェットを「抽出」して普通のウィンドウに表示するもの、David Steinbrunner の Jobs for Everyone は Apple の Jobs ウェブページで Apple 社の求人に応募する作業を自動化してくれる冗談のコマンドライン・ツール、という具合だ。
さて、ここで今年最も多くの得票を集めたトップ5を紹介してみよう:
5 位: Avi Drissman の Improbability 101 はユーモアたっぷりにプレゼンテーションされたハックで、Finder のソート・アルゴリズムを Mac OS 9 流(10 が 1 で始まるため 2 よりも前に並べられる)のものから、より正確な Mac OS X 流のアプローチへ、そしてさらにもっと進んだバージョン、つまり言葉で書き表わした数字も勘定に入れるもの(例えば 1、two、three、4、17、two-hundred thirty-seven、という順序になる)へと変えて行く、というものだった。
4 位: Keith Stattenfield の Don't Panic は、カーネルパニックのスクリーンを別の画像で置き換えるというものだ。Keith はいくつかの可能性を示してみせた。中には、人とネジの絵の間に R の文字があるというのもあった(意味はご自由にご想像頂きたい)が、結局彼が落ち着いたのは、Douglas Adams の名著“The Hitchhiker's Guide to the Galaxy”のロゴの絵に、とってもフレンドリーな文字で大きく“Don't Panic”と書かれているものだった。
3 位: bTop は Mac mini ベースの車輪付きロボットで、ショウに先立って Perfectly Scientific の George Storm が組み立てたものだったが、このプロジェクトの中でハックの部分は、iSight カメラを bTop のデジタル習得ボードと組み合わせることで、初歩的ながらロボット・ナビゲーションのビジュアル・プロセッシングを実現していたことだ。つまり、飾らない言葉で言い直せば、このロボットは Lisa Lippincott と Andrew Turner の書いたコードを利用して、緑色を見ると車輪を回すのだった。George Storm はこれをデモするために、自分の足に緑色のガムテープをぐるぐるに巻き付けた状態で歩いて登場し、その緑色に引き寄せられたロボットが彼の後を恐る恐るついて来る、という演出をしてみせた。
<http://www.perfsci.com/hardware.htm>
2 位: Adam Goldstein の CubeDetach は、ファーストユーザスイッチにちょっと手を入れて、動作中のユーザーの間で切り替える時の現行の回転立方体効果をもっと豊かにしようというものだ。CubeDetach がロードされていると、それぞれの面がそれぞれのユーザーのデスクトップを表示している立方体に対して、各ユーザーに対応した数字キーを押すか、あるいはマウスで立方体を回すかして、自由にその立方体を回転させてユーザーを選ぶことができる。いったんユーザーが決まれば、その後でキーを押せばログイン画面が現われてそのユーザーのパスワードが入力できる。
1 位: Geoff Adams と Allon Stern の GoogleFlash が 1 位の栄誉を獲得した。いろいろな色に光る LED の付いた Google ピンに、巧みなプレゼンテーションといくつかのカスタムソフトウェアを組み合わせたものだった。Geoff と Allon はこの Google ピンに Bluetooth インターフェイスを作り上げたと主張し、プレゼンテーションの初めにこのピンと掛け合い漫才を繰り広げた。実際は、この Bluetooth うんぬんはすべて大嘘で、彼らは一台の携帯電話に“Google ピン”という名前を付けて、実際はこれに bTop デジタル習得ボードの一つを使って USB 経由でインターフェイスさせていたのだ。それから、彼らは一見 Safari のように見えるもの(実際はカスタムブラウザだった)を使っていくつか Google 検索を実行してみせた。検索の度に、そのウェブページ上の Google ロゴが特定の文字のまわりでそれぞれの色で光を放ち、それと同時に Geoff が身に付けた Google ピンも、全く同じパターンで同じ色の光を放つのだった。優勝の賞品として、Geoff と Allon は記念の名前を彫り込んだ“コード・インジェクター”- これはケミカルライトから緑色に光る液体を吸い上げた、大きな料理用の注射器だった - を贈られた。
最後に残る思い出 -- ADHOC/MacHack は、出席した人すべてに忘れられない思い出を残すというタイプのイベントであって、今回のショウでも、私の心にはくっきりとした思いが少なからず刻まれた。
嬉しい思い出といえば、Scott Knaster と Andy Ihnatko が Showcase の進行を担当して、賞の授与なども、私の大好きなスタイルでちゃんと伝統を守って進めてくれたことだ。彼らのユーモア、暖かい気持ちのあらわれ、そして膨大な量のポップカルチャー風ファン・フィルム、そういうものたちすべてが、私たち皆を夜が更けるまで飽きさせることなく楽しませてくれた。Andy はまた第二夜のキーノートで急な空きが出た分の代役を務めて講演もしてくれ、その講演の始まるほんの数時間前にハードディスクが壊れる問題が発生したにもかかわらず、何時間にもわたる大盛り上がりの楽しいキーノートにしてくれた。
その一方で、今年のグループ映画だった“Stealth”は、私がこのカンファレンスで過去数年間に見た映画の中で最低のものだった。そう、私は普段それほどたくさんの映画を見るわけではないが、たぶんこれは私がこれまでに見た映画全部のうちでも最低だったかもしれない。これはもう、骨は砕け、心は寒さに萎み、魂は吸われて空っぽ、というくらいに最悪だ。あまりに酷い映画だったので、見終わってぼうっとしている間に、私たちがちょっとでも明るい話題をと考えて思い付いたことといえばクレジット画面に映るフォントフェースが素敵だということぐらいだったのだから。この映画を見るのに私たちが費やした 121 分という時間が無駄ではなかった気がしたのはただ一回だけ、観衆が大声でやじを飛ばした個所だけだった。その名場面とは、この映画の航空機が(まあ、確かに、見栄えだけは格好良かったが)我々の疑念をものともせずにタジキスタンから北朝鮮へ、シベリアからアラスカへとほとんど瞬間的に移って飛び続ける例の飛行シーンの一つ、ちょうどその航空機がグーンと目の前を横切るのに合わせて、誰かが映写幕に向かって投げたバルサ製のグライダーがタイミング良く並んで飛んだ時だけだった。
<http://www.sonypictures.com/movies/stealth/>
<http://rogerebert.suntimes.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20050727/REVIEWS/50713001>
さて、4 フィート長さの木製の棒をホテルに隠しておくという、五年前から私が続けてきたジョークも、ついに今年で終わりを迎えた。ホテルのロビーにある偽の木の根元に隠しておいたのだが、どうやらこの一年の間に誰かに発見されてしまったようだ。ホテルのスタッフが見つけたのではないらしい。なぜなら、ADHOC の主催者たちがカンファレンス前の準備ミーティングでスタッフたちにこのことを話したところ、彼らは皆とても興奮して、ぜひ私の隠し場所を見つけてやろうと張り切っていたということだったから。私が隠し場所から棒を取り出してみせることはできなかったが、ジョークそのものは生き残った。Andy と Scott が、棒がなくなったのを彼らはあらかじめ知っていたのだが、この話の一部始終を授賞パーティーの席で発表した上、私に特別賞として新しい棒をくれたのだった。おっと、いやいや、それは新しい棒 (stake) ではなかった。実は、その代わりに、通りの向かいにある Chili's レストランから貰ってきた残り物のステーキ (steak) だった! この傑作の駄洒落は聴衆の大笑いを誘ったし、私としても棒 (stake) が隠されていたほどの長い間、ステーキ (steak) が放置されないことを祈るだけだ。
そして、一番最後に、私は授賞パーティーの終わりの時のことを決して忘れないだろう。皆が口々に、他の人すべてに対して信じられないほど素敵な言葉を掛け合った。それはただ単に人々の優しさというだけのことではなくて、これほどまで多くの、知的で興味深い Macintosh ユーザーたちや開発者たちと共に、互いに個人的かつプロフェッショナルなやり方で繋がり合うことのできる機会が失われてしまうと考えただけで、涙が流れるほどに心を揺り動かされた人が一人ならずいたということなのだ。他のトレードショウにもそれぞれに良いところも悪いところもあるだろう。でも、ここに出席した人たちにとって、ADHOC/MacHack には本物の意味があった。これがなくなってしまったのは本当に残念だし、この集まりをこれほどの状態にまで育て上げてくれたすべての人たちのことを、私はずっと忘れずにいたい。
文: Jeff Carlson <[email protected]>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
7歳のときのことだが、私は家族の車の後部座席に座って、雲のない夜空を見上げながら、ミレニアム・ファルコンが星から星へ飛んでいるのを想像していた。Star Wars の映画第1作を見た帰り道だったのだ。この映画は、それ以前に見たどの映画にも増して、私の想像力をかき立てた。
このシリーズの映画には、1983 年の「ジェダイの帰還」からこのかた、失望させられっぱなしだが、George Lucas が作り上げた世界は活況を呈している。私も子供のころは、何年にもわたって Star Wars のアクションフィギュアを集め、デス・スター(リビングルームにあったガラス天板のコーヒーテーブル)や氷の惑星ホス(両親が使っていたフェイクファーのラグマット、当時は冷たかったはずだ)での冒険を自演したりして、遊んでいた。しかし、今でもはっきり覚えているが、遊びに夢中だったある日、突然アクションフィギュアがそれほど楽しくなくなって、それから間もなく、プラスチックの人形と宇宙船はしまいこまれてしまった。
今や 21 世紀となり、コンピュータゲームによって、想像力をかき立てるだけでなく、Star Wars ユニバースで実際の役割を演じることができるようになった。LucasArts が製作し Aspyr が Mac に移植したゲーム Star Wars Battlefront では、Star Wars に登場するさまざまなキャラクターになりきり、一人称の視点から映画と同じ場所での戦闘に加わることができる。
<http://www.aspyr.com/games.php/mac/swbf/>
Star Wars Battlefront の舞台は Star Wars 映画全編にわたっており、4つの異なる組織に属することができる。つまり、エピソード 4 から 6 まで(最初に公開された映画三部作)から反乱同盟軍と銀河帝国、そして新三部作のエピソード 1 から 3 までから共和国クローン軍と分離主義軍バトル・ドロイドだ。それぞれの組織の中で、どのタイプの兵士になるかを選ぶことができる。歩兵、偵察・狙撃部隊、ロケット弾を抱えた重火器部隊、そしてパイロットなどだ。各種類には特別なタイプもあって、帝国軍とクローン軍にはトルーパーの航空部隊、反乱軍にはウーキー、そしてバトル・ドロイドには地面を転がる殺人ドロイディカといった具合だ。
<http://www.starwars.com/databank/species/wookiee/>
<http://www.starwars.com/databank/droid/droideka/>
これらのキャラクターは、10 の惑星の 12 の環境に住んでおり、その惑星の多くは、ホス、エンドア、ジオノーシスなど、映画の中で戦場となった星だ。また、多くの惑星で、AT-AT(「帝国の逆襲」に登場した歩く恐竜のような巨大な船)や X ウィング(「Star Wars」で反乱軍がデス・スターを攻撃するのに使用した宇宙船)、ジェダイ・スターファイターといった乗り物も登場する。TIE ファイターのコクピットに座ってみたいと思ったことがあるなら、今がそのチャンスだ。
ほかの「戦場」タイプのゲーム、たとえば Battlefield 1942 や Call of Duty でもそうだが、あなたは、視界に入るものすべてを1人で吹き飛ばす超人的な兵士になるのではなく、軍隊の一員となる。つまり、ある特定の目標に向かう大規模な兵士集団の1人となる。主な目的は相手を殲滅することだが、そうするためには、戦闘指令所を攻め落とし、敵に対して戦術上優位に立つ必要がある。いつくかのマップでは、それ以外の目的、たとえばシールド発生装置を破壊するといった目的が加えられている。
<http://www.aspyr.com/games.php/mac/bf1942/>
<http://www.aspyr.com/games.php/mac/cod/>
しっかり狙え -- Star Wars Battlefront のシングルプレーヤモードには、2つの軍事作戦がある。これは、2組の映画3部作を時系列でたどるものだ。しかし、それぞれの戦いでどちらの側になるのかは選べない。これは、すべての種類のキャラクターを味わってほしいという意図だろうと思うが、あるマップでドロイド軍のために戦ってから、次のマップでドロイドを吹き飛ばすというのには、少し混乱させられる。
なりたい種類を選んで1つのマップでプレイしたければ、Instant Action がとるべき選択肢となる。戦場とキャラクターの種類を選ぶことができ、友軍の働きに満足できず腹を立てたなら、途中で反対側に移ることもできる。
このゲームにはもう1つ、Galactic Conquest という選択肢がある。ここでは、シナリオ(帝国の誕生を演ずる Dark Side Rising など)を選び、銀河のすべての惑星を攻撃して支配下に置かなければならない。1つの戦闘に勝利すると、次の戦闘を選ぶことができ、うまくいけば惑星を占領できる。多くの惑星を占領地にするにつれ、惑星からのボーナスを享受できる。ボーナスには、即戦力となる増援軍から、ライトセイバーで敵に切りつけながら走り回るルーク・スカイウォーカーやメイス・ウィンドゥなど「ジェダイヒーロー」が助けてくれるというものまである。
ビジュアル面からいうと、Star Wars Battlefront は期待通りだ。私の 1.25 GHz PowerBook G4 でも完璧に動くし、高速のデュアル 2.3 GHz Power Mac G5 では壮麗だ。G5 では、影をつけるという高度な設定ができ、これは、曲がり角の向こうにいるストームトルーパーにこっそり近づいたり、AT-AT の中からスノースピーダーの位置を特定したりするのに役立つ。
しかし、私にとって、このゲームのとびきり上等の要素は音だ。Star Wars ユニバースの音響デザインは、才能豊かな Ben Burtt によって作られたものだが、一貫してほかの映画とは一線を画しており、これがすべてゲームに再現されている。レーザーブラストは銃とキャラクターの種類によって異なり、それぞれの宇宙船がそれぞれのエンジン音をうならせ、AT-AT はザクザクと力強く雪を踏みしめる。この音響体験にいっそう磨きをかけるのは John Williams の音楽だ。私の意見では、このゲームにのめり込むのは、グラフィックや操作性よりも、音響がすばらしいせいだ。
<http://www.starwars.com/bio/benburtt.html>
<http://www.starwars.com/bio/johnwilliams.html>
Star Wars Battlefront にはマルチプレーヤ機能もあり、LAN 経由または GameRanger サービスを使ったインターネットで交戦できる。しかし、このゲームが発売されてからまだ間もないので、テストをしようにも、マルチプレーヤゲームはわずかしかなかった。それなので、この機能については、うまく動くようだという以上のコメントはできない。マルチプレーヤでは1つのマップだけしかプレイすることができず、Galactic Conquest や軍事作戦は選べない。
謝罪は受け入れた、ニーダ艦長 -- Star Wars Battlefront にも欠点がないわけではないが、致命的な欠陥というよりはわずらわしいというものだ。たとえば、Instant Action モードで戦闘が終わったとき、次の戦闘がロードされて始まるのを待たないと、メインメニューに戻ることができない。マップを1つしかロードしていない場合、メニューに戻るときにはそのマップをもう一度ロードしなければならない。これは無意味で、いらいらさせられる。戦闘の終わりにボタンを1つ表示して、それを押せばメインメニューに戻るようにすれば、簡単に解決できるだろう。
飛行するのは難しい。しばしば、超音速の宇宙船で、せまい戦闘領域の中を操縦するので、戦場から離れないようにするために何度も旋回し続けることになる。ホスは例外で、ここは十分に大きいから、反乱軍のスノースピーダーが、AT-AT を倒すという重要な役割を果たすときに、動き回るのに十分な空間がある。
困ったことに、友軍兵士はときどきへんてこな行動をとる。私がスノースピーダーの後部銃座にいて、コンピュータが操作するパイロットが同じところをぐるぐる回ったり、断崖に突っ込んだりするのを、うろたえながら見つめていたことが何度かあった。集団で戦闘しているとき、周りの兵士がそれぞれの位置に着こうとして、プレーヤを押しのけてしまうので、敵に向かうのが難しくなる。
そうそう、それから、あのイーウォックだ。この小さなテディーベア風の生き物がキーキーギャーギャーわめくのは、映画「ジェダイの帰還」ではうっとうしかったが、このゲームではもっとひどい。というのも、ミッションを達成するには、エンドアのマップで費やす時間が長いからだ。小さな毛むくじゃらの邪魔者を吹き飛ばしても増援部隊の兵力が低下しないということを知って、ちょっとした喜びを感じる人もいるかもしれない。
今や我こそがマスターだ -- しかし、これらのいらいらも、私をゲームから遠ざけるほどではない。旧三部作で育った世代には、Star Wars の世界に飛び込んで、大きなスクリーンで繰り広げられた戦闘を再現できるというのは、とてもわくわくする。さらに、このゲームには映画よりもよい点が少なくとも1つある。Star Wars Battlefront をプレイすると、新三部作の中でも最高の部分を、長ったらしい会話なしに楽しむことができるのだ。クローン兵士が立ち止まって「ナブーの湖のほとりでしたように私を抱きしめてくれ」と言ったりなどという部分を見なくてもすむ。
Star Wars Battlefront は 50 ドルで、すでに発売されている。Mac OS X 10.3.6 以降が走る 1 GHz PowerPC G4 か G5 ベースの Mac と、最低でも 256 MB の RAM(512 MB が推奨されている)が必要だ。ビデオ性能としては ATI Radeon 8500 以降か Nvidia GeForce4 MX 以降、および64 MB 以上のビデオメモリが要求される。最後に、このプログラムは DVD で提供されているので、DVD が読めるドライブが必要だ。
文: TidBITS Staff <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
各話題の下の2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバでの討論に繋がる。こちらの方が高速のはずだ。
iPod バッグ -- ハンドバッグや、その他のいろいろなバッグに iPod を組み込むようにデザインされたものが目立つようになってきた。でも、それらのデザインにはそれぞれに、長所と短所がある。(メッセージ数 2)
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AirTunes はオーディオ愛好家にも大丈夫? -- AirPort Express にワイヤレスで音楽をストリームするための Apple のシステム、AirTunes だが、そのオーディオの音質はどの程度なのだろうか? 結論は、AirTunes ソフトウェアについてどうこう言うよりも、AirPort Express の光学出力の品質を問題にする方がずっと重要だろうということらしい。(メッセージ数 14)
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コンピュータをどこでリサイクルするか -- 電子廃棄物 (e-waste) に関する Dawn D'Angelillo の記事から、古いマシンをどこへ持って行けば適切にリサイクルしてもらえるのか、という議論が始まった。(メッセージ数 4)
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音楽コレクションのデータベース -- 誰もが自分の音楽ライブラリをデジタル化しているわけではない。だから、たくさん溜まった CD や LP、8-トラック・テープなどを(まあ、三つ目のを持っている人は少ないだろうが)管理・整頓する必要が出てくる。このような音楽コレクションをうまくねじ伏せるためのプログラムについて、読者たちからいくつかの提案がある。(メッセージ数 4)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2660>
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, , 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA