TidBITS が 800 に達した! いやいや、別に犬の年令に換算している訳ではない。今週号で 800 号の大台に乗ったのだ。これを記念して、Adam は Macintosh 世界の未来を左右する三つのトレンドについて展望を述べる。また今週号のニュースとしては、Apple が Google AdWords の制限を緩めたように思われ、DD Poker Tournament 2.0 がリリース、それから NewsGator が NetNewsWire を買収した。最後にもう一つ、今週の DealBITS では BeLight Software の Swift Publisher が当たる!
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Apple が "Mac" 商標の使用に関する制限を緩める -- TidBITS-799の「Apple が Google AdWords を弾圧」 を読んだ Macintosh 開発者やコンサルタント、販売店の電子メールが即座に猛烈な勢いで私の元に飛び込んできた。多くの人々が Google AdWords Support との話し合い全てを転送してきた。そこでは、面白いほどに似通ったやり取りが行われていた。Google は先週、強く要求した人々に対して追加情報を提供し始めた。そして、Apple からの申し立てがあったこと、そしてそれが EU で行われる広告に関係しているということを認めた。Now Software の Randy Murray はこの禁止事項はスイスと東ヨーロッパ諸国で行われる広告に限定されていて、彼の広告の地理的な配布範囲からこれらの国々を除くようにしたら、広告は再び認められるようになったと述べた。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08272> (日本語)Apple が Google AdWords を弾圧
しかしながら、一番良いニュースは、Neon Software の Craig Isaacs と Kerry MacInnes によってもたらされた。彼らは、みんなが聞いたのと全く同じ無駄話を聞かされた後で、Google AdWords Support から、"今は、商標の所有者の申し出により 'Mac' という言葉のモニターを行っていません。" という言葉を引き出したのだった。これは面白い。私はすぐさま、以前に列記したApple 商標を一つずつ使って、新しい Google AdWords を作った。そして、それが本当であることを確認した。"Mac" と "Macintosh" という言葉はもう Google の警告の引き金になる商標ではなくなっていた。しかし、私がリストした他の Apple 商標(Apple、iPod、shuffle、Mac mini、iMac、iBook、PowerBook、Power Mac、iTunes、iTMS)は全て、未だに Google の警告を引き出す引き金となっている。とはいうものの、配布の地理的な制限を設定し、Google による回避を要求することでこの問題を回避することはできるだろう。私は、彼らがこの変更について公式に認めるよう、 Google PR と Apple PR に不満を述べたが、いつも通り、どちらも自ら説明を提供することはなかった。[ACE](笠原)
DD Tournament Poker 2.0p2 がリリースされた -- TidBITS-784の"ポーカーで腕試し: DD Tournament Poker" で Texas Hold 'Em をプレイできる Java ベースのポーカーゲーム DD Tournament Poker について書いた。そのとき、私は次バージョンが間もなくリリースされるだろうと予告した。そして、バージョン 2 が最近リリースされ、Donohoe Digital は 2.0p2 アップデートを利用可能にした。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08141>(日本語)ポーカーで腕試し: DD Tournament Poker
<http://www.ddpoker.com/>
新バージョンはオンラインプレイを追加し、DD Tournament Poker 2 を走らせている相手とプレイすることが出来るようになった(他のオンラインポーカーのサイトのように現金で決済する必要はない)。コンピュータプレイヤーのスキルは設定できるようになり、手の分析機能もいくつか追加された。ひとつ、後退したのはサウンド効果だ。バージョン 1 ではそれはなかなかのものだったが、バージョン 2 ではひどいものになった。例えば、シャッフルは腹がゴロゴロ鳴る音みたいだし、コールやレイズは1980年代中頃のDOSがパソコンにあったようなビープ音を奏でるしまつだ。ただ、幸いなことは、音を出さないようにするオプションがあることだ。その点を除けば、これは素晴らしいポーカーゲームのプログラムを改良する強力なアップグレードだ。DD Tournament Poker 2 は $30 で、バージョン 1 からのアップデートは $25 だ。これは 16 MB のダウンロードで、ライセンスナンバーを入れるまでは制限付のデモとして動作する。 [JLC](笠原)
DealBITS 抽選:ぬいぐるみの犬と Fetch 5.0 の当選者 -- 先週の DealBITS 抽選で、720 名の応募者の中から抽選で選ばれて Fetch のぬいぐるみと Fetch 5.0のライセンス ($25 相当) を受け取ることになったのは、cs. colorado.edu の Glenn Blauveltだ。おめでとう!残念ながら当選しなかった皆さんも、10 月 31 日までに、クーポンコード TIDBITS05 を使って Fetch アプリケーション内から注文すれば 20% 引きになる (Fetch アプリケーションのアプリケーションメニューから Purchase を実行)。この割引はすべての TidBITS 読者のために提供されている(ただし今回の抽選に応募して下さった方には 30% 割引の特別クーポンが送られている。)今後も DealBITS 抽選を、どうぞよろしく。[ACE](笠原)
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<http://www.tidbits.com/dealbits/fetch/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08270>(日本語)DealBITS 抽選: ぬいぐるみの犬と Fetch 5.0
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
私たちの多くにとってウェブの重要性はあまりにも大きいので、ともすると世界中の人たちが皆一日中ウェブブラウザを目の前にして座り続けているわけではないという事実を忘れがちになる。実際、私たちは息子の Tristan の学校で(保護者たちの小さな集まりで)働いてみて知ったのだが、電子メールのアカウントさえ持っていない人たちもたくさんいるし、持っている人も必ずしも定期的に電子メールをチェックしているとも限らないので、お知らせの通信やニュースレター、いろいろな案内などもやはり紙に印刷して配らなければならないのだ。そういう目的のために使うには、ワードプロセッサというのは往々にして使いづらいことが多いし、かと言って InDesign や QuarkXPress のような出版プログラムでは大袈裟すぎる。そこで、BeLight Software の Swift Publisher のようなプログラムが大きくクローズアップされてくる。これは、チラシを印刷したり、週刊のニュースレターを作ったり、綺麗なパンフレットをレイアウトしたり、といった日常の作業に向いたページレイアウトプログラム、ということだけを純粋に目指して作られている。さまざまなデザインやクリップアートの実例が付いているので誰でも気軽に使い始めることができるし、一方では高度な諸機能、例えばコラム間のテキストフローや調整可能なレイアウトガイド、テキストの折り返しや前面・後面のレイヤー関係などを使って基本レベルを超えた作業もできる。でも私が一番お気に入りの機能は、多数のオブジェクトを互いの相対関係で整列させることのできる smart guide 機能で、これで実際の座標位置の数字などを気にせずにデザインを目で見て位置決めできる。とにかく使って楽しいプログラムだ。
<http://www.belightsoft.com/swiftpublisher/>
今週の DealBITS 抽選では、Swift Publisher の電子版を3本、賞品にする。それぞれ定価 $34.95 相当の製品だ。幸運が足りずに当選から漏れた応募者には、もれなく Swift Publisher の割引価格の資格が贈られるので、手軽なページレイアウトプログラムが欲しいとお思いの方は、ぜひ奮って下記リンクの DealBITS ページで応募して頂きたい。寄せられた情報のすべては TidBITS の包括的プライバシー規約の下で扱われる。どうかご自分のスパムフィルターに注意されたい。当選したかどうかをお知らせする私のアドレスからのメールを、あなたに受け取って頂くのだから。また、もしもあなたが紹介して下さった方が当選すれば、紹介に対するお礼としてあなたの手にも同じ賞品が届くことになるのもお忘れなく。
<http://www.tidbits.com/dealbits/swift-publisher/>
<http://www.tidbits.com/about/privacy.html> (日本語)TidBITS プライバシー規約
[訳注: 応募期間は 11:59 PM PDT, 16-Oct-2005 まで、つまり日本時間で 10 月 17 日(月曜日)の午後 4 時頃までとなっています。]
文: Glenn Fleishman <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
Seattle に本社を置く Ranchero Software がそのメインの製品 NetNewsWire を NewsGator に売却し、Ranchero の創立者でありオーナー兼プログラマーでもある Brent Simmons はその買収主の会社に加わることになった。両社はそれぞれ別々のプラットフォームの上で、ともに主に RSS ニュースリーダーのソフトウェアを開発してきた会社だ。
<http://www.newsgator.com/news/archive.aspx?post=68>
<http://www.newsgator.com/NetNewsWire.aspx>
今回の買収の鍵となるのは「同期」ということらしい。Simmons はここ何ヵ月も、この同期という問題に苦しめられてきた。同期があれば、ユーザーはどのようにニュースフィードにアクセスしたかにかかわらずいつでも同じアクティブな購読のセットを利用し続けることができる。新しい RSS フィードがあれば追加され、既に読み終わったものはそれがどの機器で読んだものにせよきちんとアップデートされる。Ranchero は同期を可能にするためのサーバを稼動させていないが、NewsGator はそういうサーバを運営しており、同社のウェブサイト、Windows ソフトウェア、それにモバイル機器からの同期アクセスの開発を続けてきた。
正規にお金を払った NetNewsWire Pro のユーザーは NewsGator Online の Platinum Edition 版の権利(通常年額 $50)を 2 年間分得ることになるが、どうやら同期を扱うだけならば必ずしもそのサービスは必要ではないらしい。
<https://www.newsgator.com/consumer.aspx>
NewsGator はオンラインサービスとして発足し、その後 HTML ブラウジングをサポートしたハンドヘルド機や携帯電話のためにフォーマットされたウェブサイトを通じて、ハンドヘルド機などにも守備範囲を拡げてきた。Windows への足場を得るためには FeedDaemon を買収もした。こうして NetNewsWire は巧みにプラットフォームのサポートを拡大して行った。無料版の NetNewsWire Lite も引き続き開発されるし、無料の同期サービスも追加されることになる。
Simmons は引き続き Seattle にとどまる。Ranchero の他の製品、例えば MarsEdit などは今回の買収と無関係だ。それらのアプリケーションについては、Simmons と Ranchero で今後の予定を検討中だ。
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
今週号は、記念すべき TidBITS の週刊第 800 号だ。前にもこんな話をした覚えがあるが、これほど長い間にわたってずっと TidBITS を発行し、しかも基本的なアプローチの変更もあまり無しに続けてこられたというのは、ほとんど信じられないくらいだ。きっと、良いアイデアというものにエネルギーと深く根ざした頑固さを加え、言うまでもなくその上に何千何万という読者の皆さんがこの 15 年間支え続けて下さったからこそ、この奇跡のようなことが起こったのだと思う。けれどもこれら 800 の号が進むとともに、まわりの世界の方は大きく変わってきた。そこで、この大台に乗ったことを記念して、これからの 100 号の内容を疑いもなく左右すると思われる三つの大きな潮流について検討してみたいと思う。
この記事のアイデアが芽生えたのは 7 月の Macworld Boston の会場にいた時のことだった。この数年間でショウの規模がこんなにも小さくなってきたのを目の当たりにした私は、Apple が毎年三・四百万台もの Mac を売り上げているのに、iPod は 21,000,000 台も売れているのに、と考えざるを得なかった。Apple は以前にもまして顧客数を増やし続けているのに、「私たちみんな」との間の交流も、互いに共有するものも、さっぱりと無くなってしまったかのように見える。Macintosh ソフトウェア開発者や出版者、カンファレンス、ユーザーグループなどの中で、Apple と足並みを揃えて成長し続けているところなど、私の知る限りどこにもなくなってしまった。そういうものたちこそ、きっと皆が成長して欲しいと願っているもののはずなのに。いったいこれはどういうわけだろうか?
Mac は家庭電化製品だ -- Steve Jobs は一貫して Mac を家庭電化製品だと位置付けてきたが、彼は実際 25 年分時代を先取りしていたわけだ。現在では、Mac は以前にもましてコーヒーメーカーと共通するところが多くなってきている。けれども究極の家庭電化製品といえば iPod だろう。いろいろなものを iPod に繋ぐこともできるし、いろいろなものを iPod のまわりに組み合わせることもできる。(自動車に組み合わせることも増えている。)それでもソフトウェアの立場から言えば、iPod は基本的に閉じたシステムだ。(もちろん、Linux をインストールすることはできるだろうが、Apple が公式にそう言うことは考えられない。)これを「Mac の家庭電化製品化」と言うことにすると、実際これは使いやすさの究極目標に他ならず、それ自体は良いことであるに違いない。なぜなら、そのお陰でほとんど誰もが - PC ユーザーですらも - 特別の訓練を受けずとも Mac を基本的な用途のために使えるのだから。例えて言えば、Honda 車を運転できる人なら誰でも Toyota 車や Ford 車を運転できる、ということだ。
けれども、昔は複雑なシステムだったものを複雑さをすべて内部に隠してしまうことでフレンドリーな箱に変えてしまうという行為自体が、外的な複雑さをシンプルなものに変えるということをテーマにして育ってきた一つの業界全体に重大な結果を及ぼすことになる。技術的な書籍や雑誌の出版者たちは、コンピュータの使い方についてきちんとした基礎知識を持ってはいないのだけれどももっと使いやすい方法はあるはずだということは理解している、という読者層の人々に向けて複雑な話題をわかりやすく説明することを、その生業としてきた。けれども Mac が使いやすくなればなるほど、著者たちは適当な話題を見つけるのに苦労するようになってきた。読んで学びたい人たちの必要を満たすには、どんな話題が良いのだろうかと。そもそも、「食器洗い機の使い方」の本を買う人が何人いるだろうか?「洗濯機百科」という雑誌を定期購読してくれる人がいるのだろうか? 言うまでもなく、出版者たちが目指すべき話題はわかり切った内容であってはならないし、それでいてもっとたくさんのことをこなし、もっと速く仕事を進め、一味違った考え方を ("think different") したいという人たちの興味を引くものでなければならないのだ。
Mac の家庭電化製品化は、ソフトウェア開発者に大きな影響を与えた。Mac が依然として一般目的に使えるコンピュータという位置は保っているものの、新規の Mac ユーザーたち - ことに最も安価の Mac を購入する顧客層 - はそれ以上の製品を買うことなど念頭にない。洗濯機や掃除機に機能拡張の製品を買ったりする人がほとんどいないのと同じ理屈だ。何たること、Apple 社内でも少なくとも何人かの人は Mac を完全にクローズドな状態で、つまり iPod と似たような状態で出荷したいと思っているに違いないだろう。Mac をクローズドな状態にすればきっと使いやすさも増し、また、あのやっかいなサードパーティソフトウェアの存在そのものが引き起こす混乱を減らすことで、ユーザー側の使用体験に好感度も上がるだろう。もちろん Apple 以外で作られたソフトウェアによって起こったバグや使用上の不具合も問題になるのは言うまでもない。Mac のように見えるけれども Apple 製以外のソフトウェアは走らせられない、そういう新シリーズのマシン群が登場、というのも考えられないことではない。その一方で、家庭電化製品化のために苦境に立った開発者たちは、新しい戦略の一環として、パートナー関係を結んで新しい層の Mac ユーザーたちにアピールする道を探ったり、あるいはユーザーに学習の負担をかけることなしに Mac のコミュニケーションや娯楽の能力を拡げてゆく方法を考えたり、といった方向に向かって行くことになるだろう。企業向けのソフトウェアに焦点を絞るのも、良い方向の一つだ。というのも企業ユーザーならば汎用の目的でなく特定のやり方で動くソフトウェアを望む可能性が高いからだ。
ユーザーグループもまた、家庭電化製品化の影響を身をもって感じつつある。考えてみれば、食器洗い機のユーザーグループに参加したいと思う人がいるだろうか? ほとんどのユーザーグループではまさにこの理由で会員数の減少に直面している。(いやつまり Mac の家庭電化製品化の話だ。別に食器洗い機のことが言いたいのではない。)それに、新規の Mac ユーザーにもアピールしつつ、古株の会員たちの必要にも応えるというのは生易しいことではない。正直に言って、私はこれは今後ますます険しい道になると思う。なぜなら、今日ではたいていの人があたりまえのように思うようになってしまった Mac のような話題に、一つのグループの活動の焦点を絞り続けるのは難しいことだからだ。おそらくユーザーグループの探るべき道とは、Mac 関係の育児とか、Mac を使った合コンとか、あるいは Mac 関係のエクササイズ(Power Mac G5 をベンチプレスで持ち上げてみたら!)とか、そういった話題に手を拡げてみることなのかもしれない。
最後にもう一つ、家庭電化製品としての Mac について考えることがある。それは、一台の Mac を使い続けられる寿命というのはこれまでも結構長いものだったのだけれど、Mac が家庭電化製品と見られる傾向が強まるにつれて、またコンピュータがたいていの人の必要とする程度以上に大きな CPU パワーを持つようになるにつれて、その平均寿命が以前にもまして増加するだろうと思われることだ。これは Apple にとって良いことではない。なぜなら、人々が Mac を購入する頻度が減るということを意味するからだ。また、業界にいる他の人々にとっても良いことではない。なぜなら、人々が Mac を購入する時こそが、追加のソフトウェアやハードウェアを消費者に買ってもらえる最大の機会だからだ。私は、将来 Apple は Mac にも iPod 流のアプローチを考えてくるのではないかと思っている。つまり、基本的な機能を大きく変えることなく、フォームファクターやインダストリアル・デザインを変えることによって購買意欲をそそるという方向だ。実りの黄金色とアボカド色の組み合わせで台所にぴったり、といった具合だ。
箱の中で考える -- Safari や Mail、iChat、Spotlight、Dashboard、アドレスブック、iCal、ターミナルやそのほか、Mac OS X の中心的なプログラムによって、Apple は何年にもわたって、箱から出したばかりの Macintosh の性能を格段に高めてきた。また、iTunes、iMovie、iPhoto、iDVD、GarageBandからなる iLife スイートを新しい Mac すべてにバンドルすることによって、これ以上なく活動的な Mac ユーザですら永遠に退屈することがないほどのツールを、Apple は提供してきている。これは理にかなっている。というのも、Apple は、機能を増やし続ける Microsoft Windows に対抗しなければならないし、多くの PC にバンドルされているソフトウェアにも対抗しなければならないからだ。加えて、このような動きは消費者にとってもよいものだ。後になって、途方もなく多岐にわたる選択肢の中からソフトウェアを選択させられるよりは、Apple が認めたソフトウェアのバンドルを全部一度に購入することを、人々は好む。それに、バンドルしているソフトウェアについて、Appleはなかなかよくやっているということも見逃せない。最も強力だったり、最も融通がきいたりということはほとんどないが、ソフトウェアの標準を定めている。Bare Bones Software が TextWrangler を無料にして、テキストエディタに基準を設けたときに、同社の Rich Siegel が語った言葉を借りれば、「このアトラクションに乗るにはこれだけの身長が必要です」というわけだ。
Mac ソフトウェアの源としての Macintosh という箱がこのように占領されているということは、主に、せまくなり続けるニッチ(アパートは言うに及ばず)に潜り込んでいるサードパーティーの Macintosh 開発者に影響を与えている。Mac ソフトウェアを作っている大企業は、Adobe や Microsoft、Quarkを見れば分かるように、そのまま残っているが、中規模の開発者については、その数も大幅に減少したし、Mac 特異度も大幅に低下した。過去に聞いた名前の多く、例を挙げれば Connectix、Casady & Greene、CE Software などが、買収されたり、倒産したり、リファクタリングされたりした(CE Software の従業員グループから発展した Startly Technologies が CE の資産を買い取り、非公開企業にした)。その一方で、より小規模の、愉快な名前を持ったMacintosh 開発企業が、次々と新規に現れている。Circus Ponies Software、Rogue Amoeba Software、BeLight Software、the Omni Group やそのほか、数えきれないほどだ。
現実的な話をすれば、Mac 開発者にとっては、Mac 界における自らの位置について正しい認識を保つということが重要だろうと思う。すべては Apple の気まぐれしだいだから、もし製品が有名になりすぎれば、Apple がそのアイディアを着服するということが十分にありうる。Konfabulator や Watson といった製品は言うに及ばず、ウェブブラウジングや電子メールといった技術もそうだった。Mac 開発者にとって、新たに Macintosh を購入した人を顧客としてひきつけるのは、ますます難しくなるだろう。というのも、そういう人のほとんどは、Apple が提供するもの以上のことに興味も願望も持っておらず、Macintosh 関連の出版物を読んで新しい可能性に気づくということもあまりなさそうだからだ。新製品がうまくやってゆけそうな領域は、通信やエンターテイメントの分野で働くもので、Apple のプログラムとの競合を避けるか、Apple のプログラムの機能を大幅に向上させるか、Apple のプログラムでは物足りないと思うような人のニーズに合ったプロ用の機能を提供するかのいずれかだろう。
インターネットを身に付ける -- 分かり切ったことを述べるというのは、大概意味がない気がするが、こればかりは述べておく価値がある。インターネットはすべてを変えた。個人が出版者やソフトウェア開発者になることが可能になったし、同じ趣味や目的を持つ人のグループが、実際に顔を合わせることすらなしに、作られるようになった。インターネット以前のビジネスモデルは、ディスコミュージックや 80 年代ヘアースタイルと同じ運命をたどりつつあり、あなたの組織がそのようなビジネスモデルにいまだに依存しているのでない限り、この変化はよいことだ。それだけでなく、小規模な開発者や出版者が、インターネットを利用して小さい身なりを大きく見せ、相互に協力しあって、以前であればもっと大規模な組織が対象としていたソリューションを提供するということが、ますます増えるだろう。私たちの Take Control モデル全体は、この哲学に基づいて営まれている。私たちは、独立した著者や編者と協同して本を作り、eSellerate と協同して本を販売している。私たちにはインターネットのスキルがあるが、もしそれがなかったとしたら、ウェブサイト全体をアウトソースすることだってできるだろう。
Mac 関連製品を販売するすべての人にとって問題となるのは、ほとんどの Macユーザがインターネットアクセスのために毎月 20 ドルから 50 ドルを支払っており、そのため、以前であれば Macintosh のソフトウェアや本、周辺機器に費やされたかもしれない、あるいは TidBITS のような価値ある運動のために直接贈られたかもしれない金額が、年間 240 ドルから 600 ドルも少なくなっているということだ。このため、追加の製品を探して使うということに興味を持つ人ですら、無料またはより安価な選択肢に注意を払うだろうから、消費支出の金額に対して開発者が競争力を保つためには、製品の価格を安く抑えなければならない。価格が安くなれば、企業としては、ある大きさを越えて成長するのがますます難しくなる。
もう1つ重要な事実は、インターネットは今や、何でも屋たちの住み処となっているということだ。プログラマがよいアイディアを思いつくと、Mac ユーザだけが使えるようなものを作るのではなく、誰もが使えるようなウェブベースのアプリケーションやサービスを作る(そして Google か Yahoo に買い取られる)ことが多い。また、熱心なユーザは、ResEdit で遊んだりスタートアップスクリーンをいじったりしていたのが、今では、ウェブログを読んでGoogle Maps や Flickr をハックした最新サイトについて知ったり、ポッドキャストを聞いたり、ウェブ標準や著作権改革を伝道したりしている。こういう人たちは Mac を使っているだろうし、Mac がサポートされていないときにはやかましく騒ぎ立てるだろうが、Mac それ自体は、注目の的ではなく、新しく興味深いものへと導く水路に過ぎなくなってしまった。
インターネットによって最も傷ついた Mac コミュニティーの側面はといえば、もちろん、ユーザグループとカンファレンスだ。これらは、前インターネット時代には、今日ではインターネットによって提供されているものと本質的に同じもの、つまり情報と人のネットワーク作りを提供していたため、非常に大規模で活気があった。しかし、電子的コミュニケーションの方が快適だと感じる人や、仕事や家庭のために自由な時間があまりとれない人にとっては特に、毎月の集まりに車で通ったり、カンファレンスのために飛行機に乗ったりという考えは、非効率的でなじまないように感じられる。今日の交友はますます細分化され、孤立化している。このような傾向が続けば、私たちすべてが折りに触れ他人と直接触れ合う努力をしない限り、いつか後悔することになるだろうと私は思っている。これまで長いあいだ、ユーザグループは期待に答えてきたが、それを維持するのは大変な仕事で、先に述べたように、生き残って繁栄するためには進化しなければならないだろう。
11 時のニュースです。世界は変わりました -- 私がここで述べたことはどれも、特別議論の余地があるようなものではないと思うし、個々の事実はどちらかというと言わずもがなかもしれない。それでも、それらすべてをここに書き記しておきたかったのは、成人してからの人生のほとんどを Macintosh コミュニティーに参加することに費やしてきた私たちのような人にとって、私たちを取り巻く世界がすっかり変わってしまったということを了解するのは難しい場合があるからだ。より現実的に言えば、TidBITS の読者のうちかなりの人たちが、今でも Macintosh 産業で生計を立てているのだから、私たちすべてが向かっている先を見すえ、そこが私たちの行きたい場所になるように、そして、そこに到着するための準備を怠らないように気をつけることが、私たちにとって重要なのだ。
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
"Take Control of Your iPod: Beyond the Music" リリース -- もしあなたが iPod を持っていたり、あるいはもうすぐ買おうと思っているなら、iPod を思い切り満喫するのに、私たちの Take Control 電子ブックの最新刊、Steve Sande の "Take Control of Your iPod: Beyond the Music" が役立つだろう。この電子ブックは、初めて iPod をつないで音楽を転送するといった基本もカバーしているけれど、128 ページのほとんどは、それ以上の、高価な iPod を買った甲斐があったと思わせるようなクールな使い方に焦点をあてている。
Steve は、iPod の様々な使用法について、例えば iPod を読み出し専用の PDA として使ってカレンダーや連絡先を見るとか、デジタルカメラの写真を iPod に取り込むとか、iPod でコンピュータのバックアップをとるとか、夜はあなたを寝つかせ、朝はあなたを起こすように iPod を設定するとか、さらには iPod を緊急時の起動ドライブとして準備しておくなんてことまで、実体験に基づくアドバイスを書いている。ほかにも iPod の変わった使い方、例えば iPod でプレゼンをするとか、テキストベースの電子ブックを読んだり聞いたりするとか、授業や会議を録音するとか、iPod に Linux をインストールするとか、細大漏らさず紹介している。新品または中古の iPod を買いたいと思っている読者へのボーナスとして、詳細な付録で、現行 iPod 製品群を整理できたり、すべての iPod 製品群のリリースを時系列で一覧できたりする。
この電子ブックのリリースは数週間前に準備ができていたのだけれど、iTunes 5 や iPod nano の最新情報、さらには .Mac ユーザのために Backup 3 に関する最新情報を組み入れるため、少しリリースを遅らせた。iPod と iTunes は多くの Windows ユーザにも使われているので、この電子ブックにはクロスプラットフォームについての詳細な情報も含まれており、Windows を使っている友人や同僚にも役立つものになっている。
Take Control 電子ブックはどれもそうなのだが、"Take Control of Your iPod: Beyond the Music" のマイナーアップデートは無料で、Apple から絶え間なく流される iPod と iTunes についての発表に遅れずついてゆく。もし 10 月 12 日のスペシャルイベントで、Apple がまたもや新しい iPod を発表したとしても、電子ブックを最新の状態に保つため、無料アップデートをリリースすることをお約束しよう。
以下のリンクで、この電子ブックについてもっと詳しいことを読んだり、31 ページの抜粋を無料でダウンロードしたり、電子ブックを注文したりできる。
<http://www.takecontrolbooks.com/ipod-btm.html?14@@!pt=TRK-0025-TB800-TCNEWS>
"Take Control of Upgrading to Tiger" 1.0.2 にアップデート -- あなたはすでに Mac を Tiger にアップグレードした、と。いいでしょう。では、あなたのご家族の Mac はどうですか。仕事場の古い iMac はどうでしょう。ついに Tiger を購入した、技術に明るくない友達はいませんか。これからアップグレードを実行するなら、その前に、Joe Kissell のベストセラー "Take Control of Upgrading to Tiger" の最新版を忘れずに手に入れたほうがよい。これには、Tiger へのアップグレードに関する情報が 5 ページ分追加されている。素晴らしくもアップデートされているのは、ある種の PCI カードとの不適合に関する情報、Classic をサポートするために Mac OS 9 をインストールすることについての新事実、アップグレード中のスリープ設定についての警告、アップグレードした後にソフトウェア・アップデートを使うときの新しいお勧め、ソフトフェアの不適合と Apple の Media Exchange Program についての最新情報などだ。もちろん、以前 "Take Control of Upgrading to Tiger" を購入しているなら、電子ブック表紙の左下隅にある Check for Updates ボタンをクリックすれば、無料アップデートにアクセスできる。同様に、印刷版の "Take Control of Tiger" を購入したときは、Foreword の xvページに、無料アップデートのための URL があるので、それを入力すればよい。こんなことのできる本はそうそうないだろう! そして、もしあなたが電子ブックを持っておらず、Tiger にもアップグレードしていないなら、この本を 5 ドルで買えば、Small Dog Electronics で Tiger を買うときに 5 ドル割引を受けられるクーポンが付いているので、この電子ブックが実質的に無料になるということを思い出していただきたい。
<http://www.takecontrolbooks.com/tiger-upgrading.html?14@@!pt=TRK-0017-TB800-TCNEWS>
文: TidBITS Staff <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
各話題の下の1つ目のリンクは従来型の TidBITS Talk インターフェイスを開く。2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバ上で同じ討論に繋がる。画面上の見栄えが異なるほか、こちらの方が高速のはずだ。
PDF ベースの電子ブックを作る -- 印刷してもオンラインで読んでもうまく表示されるような PDF ファイルを作ろうとして苦心している読者がいたが、TidBITS Talk でいろいろの解決方法が示された。(メッセージ数 4)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2729>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/578/>
Mac OS X 用 CAD プログラム -- 建築用の図面を Mac で作るには、どんなプログラムがあるだろうか? プロ用から初級レベルまで、いろいろなプログラムが議論された。(メッセージ数 8)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2731>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/580/>
Apple が Google AdWords を弾圧 -- Google で“Mac”のような用語を使えない制限があるという Adam の記事に対して、読者たちが似たような体験談を寄せ、議論を交わす。(メッセージ数 10)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2732>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/581/>
Virtual PC 7.x はどのくらい深い? -- 最新版の Virtual PC は、Windows ベースの PC の代わりに使える程度に良くなったのか? (メッセージ数 4)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2734>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/583/>
Power Mac G5/1.8 は史上最もバグの多い Mac? -- Power Mac G5 1.8 GHz モデルは他の機種よりもトラブルに見舞われた話が多いように見受けられるが、実はこういう話はどんな角度から見て比べるかにもよるし、噂と現実との違いも絡んでくる。(メッセージ数 3)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2736>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/585/>
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Tiger でのファイル共有、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther でのユーザとアカウント、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther のカスタマイズ、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther へのアップグレード、TidBITS 翻訳チーム訳
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, , 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA