TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#806/21-Nov-05

Adam は音声案内ナビゲーション GPS 機器の探究の続きとして、今週は Magellan RoadMate 760 をレビューする。また、Steve Sande の投稿記事がユーモアたっぷりに iPod の音楽以外の用法を紹介し、彼の新刊電子ブック“Take Control of Your iPod: Beyond the Music”についても触れる。ニュースの部では、SpamSieve 2.4 のリリース、待ちに待った Power Mac G5 1.8 GHz モデル用のファームウェアアップデート、それに“Take Control of Switching to the Mac”についてお伝えする。来週は感謝祭休暇のため休刊となるが、年末のホリデーギフト特集号のためにギフトのアイデアをどうぞお寄せ頂きたい!

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MailBITS/21-Nov-05

次号は 05-Dec-05 -- この一ヶ月はとても大変であった。Jeff Carlson は鎖骨の骨折からようやく回復しつつあるというのに4週間の South Africa の旅にこっそり旅立ってしまったし、Geoff の膝は彼の低音アンプとの戦いに負けてガクガクだし、Tonya は原因不明の呼吸障害の原因を確かめようといろいろテストを受けているが原因はわからない、そして沢山の Take Control 本もリリースを前に行列している。という事でやらなければならないことが山ほどある年末のホリデーシーズンを前に Thanksgiving を祝っての友人や家族と一緒する短い休みが待ち遠しかった。05-Dec-05 の次号を楽しみに![ACE](カメ)

あなたの Holiday 2005 ギフトアイディア募集 -- クリスマスの飾り付けが Halloween の前に現れる店も見かけられたが、我々の恒例の読者からのおすすめアイディアで満載のギフト特集の準備を始める時がついにやってきた。出版予定は12月の第二週なので、今年の欲しいものリストに何を載せたか、自分の好きな人のために何をプレゼントしようと思っているのか知らせて欲しい。いつものように、TidBITS Talk でアイディアを集めているので、<[email protected]>宛か TidBITS Talk Web フォーラムにあなたのおすすめを投稿して欲しい。HTML でなく plain text フォーマットであることをお忘れなく。カテゴリ別のスレッドもすでに設定した。一つのメッセージには一つの商品かアイディアだけに限ること、推薦する理由、URL かその他のコンタクト情報をつけて、そして自分の製品を推薦するのは控えて欲しい。もし可能であれば、これまでのギフト特集に載っていないものを推薦して欲しい;繰り返しのおすすめはこの号からはずすことも考えている。これまでに読者がどんなものを推薦してきたかについては、下記の3号の記事を見直して記憶を新たにして欲しい。よろしくお願いします![ACE](カメ)

<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/>
<> (日本語)2002 年末ギフト提案
<>(日本語)2003 年末ギフト提案
<>(日本語)2004 年末ギフト提案

SpamSieve 2.4 リリースされる -- Michael Tsai が彼の人気の高い強力なスパム検出ユーティリティ SpamSieve をバージョン 2.4 にアップデートした (フルレビューは TidBITS-667 の "TidBITS ご用達ツール: SpamSieve" を参照)。アップデートの中身は、Bayesian メール分析エンジンの精度を高める改善、フィッシングの検出、スパムスコアに応じて Apple Mail の中で違うメールボックスに入れる機能、新しい Habeas ヘッダーへの対応、そして多くのその他のマイナーチェンジである。SpamSieve 2.4 は新しく購入する場合は $25 だが ("Take Control of What's New in Entourage 2004" か、もうすぐアップデートされる "Take Control of Spam with Apple Mail" の中にあるクーポンで $5 引きとなる)、登録ユーザーに対してはこのアップデートは無料である。3.1 MB のダウンロードとなる。[ACE](カメ)

<http://c-command.com/spamsieve/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07076>(日本語)TidBITS ご用達ツール: SpamSieve
<http://c-command.com/blog/2005/11/16/spamsieve-24>

ファームウェアアップデートで Power Mac G5 1.8 GHz フリーズ問題解決 -- 先週、読者の一人がメールをよこして、彼の単一プロセッサ Power Mac G5 1.8 GHz で起こっているフリーズ問題について更に詳しい話を我々が掴んでいるか問い合わせてきた。そしてほとんど同時に、Apple はこの機種の種々のフリーズ問題への対処を約束したファームウェアアップデートをリリースした。お陰で、我々からは彼に対して、この問題の調査を進め、Apple にコンタクトを取った、その結果 Apple はやりかけのこと全てを止めてこのファームウェアアップデートを我々のためにリリースしてくれた、との返事を書くことが出来た。たまには、まったくの偶然であっても自分の手柄にすべき時があるというものである!Mac OS X 10.3.9 と 10.4.3 に対する別のアップデートも出されている;約 1 MB の大きさである。[ACE](カメ)

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=302212>(日本語)アップル - サポート - TIL(Power Mac G5 (Late 2004) 1.8GHz モデルが不規則に応答しなくなる)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2736>

DealBITS 抽選: Sunatori.com Pen の当選者 -- 先週の DealBITS 抽選で 694 名の有効応募の中から当選し、HyperInfo Canada の Sunatori.com Pen($20 相当)を受け取ることになったのは、rockingham.k12.va.us の Gloria White と mac.com の Stefan Keydel の2名だ。おめでとう! 残念ながら当選しなかった皆さんも、2005 年 12 月 25 日までの期間、下記のリンクで注文すれば Sunatori.com Pen が 50% 割引になる。この割引は TidBITS 読者の皆さんすべてに提供されている。また今後の DealBITS 抽選もお楽しみに! [ACE] (永田)

<http://hyperinfo.ca/Sunatori.com/TidBITS.html>
<http://www.tidbits.com/dealbits/hyperinfo/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08323>(日本語)DealBITS 抽選: Sunatori.com Pen


iPod ユーザのための集団療法

文: Steven Sande <[email protected]
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

こんにちは。Steve S といいます。iPod で困っている問題があるのですが。

セラピーグループ:「こんにちは、Steve さん!」

セラピスト:「Steve さん、問題があることを自分で認めたということは、解決への第一歩を踏み出したのですよ。グループの皆さんに、あなたの問題を簡単に話してもらえませんか。」

そうですね、iPod を肌身離さず持っていてはいけないということは分かっているのですが、あまりに手軽に使えるので、気が付くと何にでも iPod を使っているのです! 例えば昨日の夜のことですが、妻とレストランに行って、外のテーブルに座ると、それがぐらぐらしていたんですね。それで、私は iPod nano をくさび代わりにテーブルの足の下にはさんで、揺れなくしました。そういえば、David Pogue さんも同じことをしたことがありましたよね。でも、これで私の iPod 使用法が1つ増えてしまったのです。

セラピスト:「Steve さん、iPod は単なる MP3 プレイヤーではないのですか?どうしてほかのことに使うなんてことを言うのです? 音楽を演奏するだけで、満足できないのですか?」

そう、それこそが問題なのです。iPod は単なる MP3 プレイヤーではないのです。MP3 プレイヤーとしても優れてますけどね。でも、ちょっとだけ手と頭を使えば、それこそ何にでも使えてしまうんです! Palm や Pocket PC なんて要らないですよね? iPod はカレンダーにもなるし、アドレス帳にもなるし、本を読んだり、電子メールを読むこともできるし、それから・・・

セラピスト:「分かりました、Steve さん、落ち着いてください。始めから順を追って、あなたの iPod「問題」について皆さんに話してください。・・・深呼吸して、吸って・・・吐いて・・・吸って・・・吐いて・・・その調子です。」

始まりは 2002 年のことです。短いあいだでしたが、このときだけは Mac を使えず、意に反して PC を使わなければならなかった。でも、それは関係ないですね。とにかく、第2世代の iPod がちょうど発売されたところで、それはWindows にも対応していたのです。私は音楽が大好きなので、これを買えば、旅行に行くのに CD を持っていくこともないし、いいだろうと思ったのです。届いてすぐに箱から出して、充電しました。すると、説明書に、iPod にOutlook の連絡先を移せるとかいうことが書いてあったのです。私はその通りにして、そしてとても気に入りました。

セラピスト:「それは全く問題ないと思いますが。つまり、iPod にアドレスをいくつか保存したところで、おかしいことはないですよね。それでどうなりました?」

そのうちに、私はいつの間にか iPod のカレンダー機能も使い始めたのです。それから、Mac がどうしても欲しいと思って、PowerBook を買いました。それで、iPod も PowerBook で使えるように再フォーマットしました。そのときです。私は、「ディスクとして使用する」というオプションがあることに気が付きました。PowerBook の大量のファイルを iPod に保存して、バックアップすることもできるということが分かったのです! そのときは、私には Mac が1台しかありませんでしたから、起動できなくなるようなことがあったら困ると思いました。それで私は、PowerBook のシステムファイルが壊れたときのために、iPod に Panther をインストールして、起動できるようにしたのです。

セラピスト:「それもたいした問題ではないですね。続けてください。」

iPod にファイルを移すのが簡単だということが分かったことが、私の iPodの、つまり問題の、始まりでした。最初は、ただファイルをバックアップして、iPod を起動ディスクとして使うだけでした。次に、Project Gutenbergからテキストの電子ブックをとってきて、iPod で読むようになりました。iPod photo が発売されると、これで私の望みがかなうと思いました。つまり、写真をすべて iPod に保存して、それをスライドショーで見ることができるのです! 出張のときには、PowerBook を家に残して、iPod photo でプレゼンをすることだってできました。

セラピスト:「しかし、道順を調べたりゲームをしたりするのに、ラップトップがあったらいいとは思わなかったのですか?」

いいえ。出張に行く前に、たくさんある目的地を全部確認して、ホテルからの道順を調べました。その情報を全部 iPod に移したので、それを見ればいいのです。それに、iPod にはゲームもついています。数は多くないですが、でもiPodLinux をインストールしたので、もっとたくさんのゲームをインストールして遊ぶことができました。Minesweeper、Othello、TuxChess、それに Doom!

<http://ipodlinux.org/Applications>

セラピスト:「あなたは iPod に Linux を入れたのですね? なぜですか?」

可能だから、でしょうか? いや、そうすれば、iPod でもっとたくさんのことができるようになるからです。実際、私は、iPod をウェブサーバとして使えるようになればよいと思っているのです。

セラピスト:「ふーむ。これは根深い問題のように思えてきました。ウィーンの仲間に連絡をとってみましょう・・・」

iPod nano の世界時計によれば、ウィーンは今、午前 1:30 ごろです。いきなりモーニングコールを受けては、その人もいい顔をしないでしょう。結局のところ、彼は iPod のスリープタイマーを使って寝たのでしょうから。もちろん、どうしても電話をしたいのなら、私は iPod nano のストップウォッチを使って、長距離電話会社に馬鹿げた金額を払うなんてことにならないよう、時間を計ってあげます。でも、ウィーン時間の明日の朝、彼が iPod に起こされるまで待って、それから電話をした方がいいのではないでしょうか。

セラピスト:「Steve さん、あなたの iPod 問題は手に負えなくなってきましたね。私がアドバイスした通り、日記をつけていますか。そうすれば、この問題でどんな影響が出ているのか分かるのですが。」

日記をつけているばかりではありません。TidBITS の友達が、私の考えを"TakeControl of Your iPod: Beyond the Music" という電子ブックにして出版してくれたのです。これを読めば、私が iPod でしたいと思っていることを、どうすればできるのかが分かります。初版は 128 ページで、詳しい情報と詳細なスクリーンショットがあって、たったの 10 ドルでした。それから、ビデオ対応 iPod などをカバーする 22 ページを追加して、1.1 アップデートをリリースしたところです。

<http://www.takecontrolbooks.com/ipod-btm.html?14@@!pt=TRK-0025-TB806-TCNEWS>

セラピスト:「それはやりすぎというものですよ! それではかえってためになりません。あなたの、たちの悪い iPod 中毒をまねる方法を教えるだなんて。グループの皆さんからも意見があると思いますよ! 皆さん? どうですか? どうしました???」

皆さんあなたのことを聞いていないようですね、先生! 私が、電子ブックをオーディオブックに変換する方法を教えたので、みんなそれを聞いているのですよ。あの白くて細いケーブルが見えませんか? 先生? 大丈夫ですか? 先生?


Magellan RoadMate 760 GPS、おもむろに口を開く

文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

音声案内ナビゲーション付きの GPS 機器について書いた以前の記事で、私はそこで私がレビューした RoadMate 700 のアップグレードとなる RoadMate 760 が Magellan から出て、新たに二つの機能が加わるはずだと書いた。一つは SayWhere という text-to-speech(テキスト読み上げ)機能で、次に曲がるべき道路の名前を言葉で読み上げてくれるようになる。もう一つは SmartDetour で、これは道路の渋滞やその他の障害に対して自動的に迂回路を選択してくれる。今回私はこの RoadMate 760 を実際のドライブでナビゲーションに使ってみることができたので、SayWhere が本当に役に立つテクノロジーだと自信を持ってお勧めできる。ただし、現時点ではちょっと問題点もある、という条件付きだが。もう一つの SmartDetour については後で少し触れるが、こちらはあまりにも自動的なので、試してみて感想を述べるというまでのことはできなかった。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08203>(日本語)Magellan RoadMate 700 でドライブに出る
<http://www.magellangps.com/en/products/product.asp?PRODID=1091>

さあ、自分で口を開きなさい -- こうした GPS 機器における音声案内ナビゲーション機能の一番の呼び物は、それを使えばあなたが視線を本来あるべき場所、つまり道路に向けたままで、その状態で道案内を受けることができるという点だ。私たちが初めて実際に試した音声ナビ機器は Nextel サービス付きの Motorola i58sr 携帯電話だったが、これはその点素晴らしい働きをしてくれた。ごく小さなグレイスケールのスクリーンしかなかったから、これは良いことだった。ところが、それに比べてずっと見やすいスクリーンを備えた Garmin c330 と Magellan RoadMate 700 は、残念ながら音声の面ではずっと劣っていた。なぜなら、これらの機器では音声案内が曲がる方向と距離のみに限られていたからだ。「2マイル先で右に曲がります」としか言ってくれない。今回の RoadMate 760 でも、Magellan はまだ(私の記憶する限り)かつての Motorola 携帯電話のレベルに達してはいないが、少なくとも良い方向に向かっていることは確かだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08111>(日本語)宇宙からの指示:GPS カーナビ
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08121>(日本語)NYC のカオスに秩序を: Garmin StreetPilot c330

この SayWhere テクノロジーは実際 text-to-speech(テキスト読み上げ)機能なのだが、かなりうまく動作するとはいうものの、やはり私がこれまでに経験したことのあるどんな text-to-speech の実装にも付きまとっていたのと同じ、発音における限界を感じさせてしまう。例えば、私たちの家の近所にある道路に“Genung”というのがあって、これは後ろの音節“nung”にアクセントを置いて“ge-NUNG”と言うのが正しいのだが、SayWhere はこれを最初の音節にアクセントを置いて“GE-nung”と発音してしまう。他所から来た人が土地の名前を間違って発音する(私たちはニューヨーク州北部にもワシントン州西部にも住んだことがあるが、どちらの地方にもネイティブアメリカンの言葉から由来した舌を噛みそうな地名がたくさんある)のが耳につくのと同じように、SayWhere が間違った発音をするのもとても耳障りだ。私は毎度毎度思わず言い返して訂正している自分に気が付いて苦笑したものだ。また、一つの道路に複数の名前がある場合、それらをいちいち全部読み下すのもうるさい感じだ。例えば、Ellis Hollow Road は County Route 110 とも呼ばれているのかもしれないが、実際この辺では誰もそんな言い方はしないし、その道路沿いに住んでいる人のうちで County Route 110 なんて名前を聞いたことがある人の数もほんの一握りに過ぎないのではないかと私は真剣に思う。だから、RoadMate 760 が次に曲がる道路の名前を“Ellis Hollow Road, County Route 110”と長々と話す度に、私は思わず反射的に文句を呟いてしまうのだ。でもまあ、こういうことは文句のための文句、ただのあら探しとも言えるだろう。そもそも、私は通い慣れた道を運転する時には GPS 機器のお世話になろうとは思わないし、慣れない道ならば、発音や名前が正しいかどうかなんて気にしないだろうから。

全体的に見て、SayWhere は道路の名前をかなりうまく発音できていると思うし、私がどこで曲がるかを迷ってしまったことはまだない。奇妙なことに、すべての道案内に対して高品質の男性または女性の声が選べるようになっているのだが、SayWhere はその女性の声に、何となく鼻にかかった、ニューヨーク市近郊のどこかの地域の話し方を思わせる喋り方のものを使っている。私にはこれがどの地域なのかを特定することはできなかったが。私の好みでは、前の RoadMate 700 で使われていた女性の声の方が良かったと思う。結局、私はこの 760 では男性の声の方に切り替えてしまった。少し違った二種類の女性の声を聞くのを避けた、という訳だ。少しだけトーンの違った同じ色を並べるとひどくぶつかり合ってしまうのと同じ理由だ。それに、非常に違った二種類の声が聞けるというのも、この RoadMate 760 の中にニュース番組のチームがいるような感覚でいい感じだ。男性のニュースキャスターが行先を私に指示してくれ、女性のコメンテーターが彼の指示の後に道路の名前を言い添えてくれる、という具合だ。

それでも、私は RoadMate の今後のバージョンでは行先案内にも道路名にも同じ音声を使って、それらを一つの文章の中に自然に統合してくれるようになるのが良いと思う。現在は一つの音声で「2マイル先で右に曲がります」と言ってから別の音声で「Mitchell Street」と言っているが、その代わりに「2マイル先で Mitchell Street を右に曲がります」と言うようになれば、ずっとエレガントだろう。

SayWhere が単純にダウンしてしまう状況が一つだけあった。何らかの理由でルートから外れた場合、音声案内は「ルートを再計算しています」と言ってから、しばらくしてその結果「4マイル先で左に曲がります」と言うのだが、他の場合ならばここで女性の SayWhere 音声が曲がるべき道路の名前を言ってくれるのに、SayWhere はこの場合だけは再計算後の新しい道路名を発声せず黙ったままだ。思うに、これはバグというよりもデザイン上の必要からのものなのだろう。きっと、道筋の再計算に CPU パワーを要するために、RoadMate 760 にはもう次の道路名を発音できるだけの余裕がないのだろう。でも、これはとても残念なことだ。最初に道筋の再計算をした時こそ、次に曲がるべき道路の名前を私が一番知りたい時なのだから。

SmartDetour -- 私が RoadMate 760 のレビュー用ユニットを受け取ったのは、ある大きな旅行の直前だったので、付属の説明書をじっくり読む時間がなかった。SayWhere に関してはそれでも何の問題もなかった。単にオプションで適切な設定を選び、機能をオンにするだけで、道路の名前が読み上げてもらえるようになった。けれども SmartDetour の方は、デフォルトのオプションは適切なもののように見えたけれど、どうすればこの機能が呼び出せるのかはさっぱり分からなかった。その後説明書をじっくり読んでみて、初めて私は SmartDetour が自動的に新たな道順を提示してくるのが、ユーザーの指定しただけの時間を時速 15 マイル(時速 24 km)以下の速度で走り続けた時だということが分かった。また、迂回路がどれだけ長くなってよいのかもユーザーが指定できる。これは迂回した方が時間が掛かってしまうのを防げるので便利だ。私が RoadMate 760 を使って旅した時には全く交通渋滞に引っ掛からなかったし、そもそも Ithaca 近辺では(ラッシュアワーならぬ「ラッシュの数分間」を除いて)交通渋滞なんてめったに起こらない。(もちろん私はその数分間を原則として避けている。)だから、私は SmartDetour が自動的にあらわれるのを見たことさえない。興味深いことに、RoadMate 760 のウェブページにはドライブ中に Enter キーを押せば手動で SmartDetour が呼び出せると書いてあるが、このことは付属のマニュアルにも、この機器内蔵のチュートリアルにも全く触れられていない。もしも私が大都会の渋滞道路で運転していたとしたら、きっとこの SmartDetour が非常に助けになったのだろうとは想像できる。

Mac フレンドリーとはいかない -- RoadMate 700 をレビューしていた時、私は Garmin c330 と同じくこれも地図情報のアップデートが PC からしかできず、Mac ユーザーはどうにもできないのだということを書くのを忘れていた。一方では、これは残念なことだ。今どきこの Java の時代に、クロス・プラットフォームのアプリケーションを書いて地図情報を USB 接続でアップデートできるようにするのは難しくも何ともないのだから、Magellan も Garmin も、必要以上にマーケットを制限して Mac 使いの顧客を悩ませているだけだと言わざるを得ない。それとは対照的に、三番目の大手の GPS 機器メーカーである TomTom は、現に Macintosh ソフトウェアを提供して同社の TomTom Go シリーズの機器と通信ができるようにしている。ただ、この会社は今のところ私に TomTom Go 300 のレビュー用ユニットを送ってくれていないので、私はまだこれを使ってみてはいない。

<http://www.tomtom.com/products/product.php?ID=76>

中でも特に多くの Mac ユーザーを悩ませそうなのが、RoadMate 760 が名所情報 (points of interest, POI) を Windows 専用の POI Manager ソフトウェアでしか受け付けないという点だ。インターネットではいろいろな POI 情報が利用できる。例えば Pocket GPS World Safety Camera Database(これは英国向けだが)は速度違反探知レーダーの設置場所をリストしている。私はこの機能を試してみてはいないが、これは Magellan、Garmin、TomTom 各社ともに上級機種の GPS モデルすべてで一般的に提供している機能のようだ。

そうは言っても、私は Magellan や Garmin がちゃんとしていないことにそれほど腹を立てている訳ではない。きっと、もっと Mac と統合できて役に立つ機器だったら、ことさらもっと腹の立つこともあったかもしれない。こうした音声案内 GPS ユニットというものは、特に私がレビューしてきたような地図情報があらかじめプリロードされている機種は、基本的に独立の機器だと言っても差し支えないと思う。たとえ内蔵の地図情報をアップデートするのに PC が必要だ(あるいは望ましい)としても、それはせいぜい 18 ヵ月に一度程度のことだ。もっと低価格の GPS モデルで定期的に地図情報をロード・アンロードしなければならないようなものならば、確かに Mac ユーザーにとってずっと煩わしいものになるだろう。ただ、Magellan と Garmin のどちらのソフトウェアとも Virtual PC で使えるようにできるという報告は見たことがあるし、Magellan RoadMate 500 で使われている SD メモリカードが Mac に接続した USB メディアリーダー経由できちんとマウントできて地図情報のコピーもできたという報告もある。

目的地に到着しました (いや、そうとも言えない) -- この Magellan RoadMate 760 は究極の音声案内 GPS ナビ機器なのだろうか? 答はノーだ。ただ、今回の SayWhere テクノロジーの追加によって、これが私の理想の機器に近づいたのは確かだ。前回の記事で私が RoadMate 700 について書いたことは、ほとんどすべてそのまま RoadMate 760 にも当てはまる。フォームファクターや、コントロール法の重複、バッテリが無いこと、衛星信号のロックが遅いこと、時々道案内を間違えること(少なくとも間違えた後はきちんと正しい行き先に導き直してくれたが)などの不満もそのまま当てはまる。どこで購入するかにもよるが、価格は $800 と $900 の間くらいだ。

RoadMate 760 がまだ私の理想の GPS ナビとは言えない本当の理由は、Magellan と Garmin の両社とも、驚くようなテンポでまだまだ新しいモデルを出し続けていることだ。Magellan はちょっと小型の RoadMate 800 を販売している。これは MP3 ファイルの再生や写真の表示ができる。(最大保存容量は 4.5 GB だ。)また、充電可能なバッテリも内蔵している。(だから車の外に持ち出して写真を見たり音楽を聞いたりできる。)3D マップ表示機能も付いて、価格はおよそ $1,000 だ。

<http://www.magellangps.com/en/products/product.asp?PRODID=1118>

Garmin も負けずに続々とニューモデルを打ち出している。超小型の Nuvi は、音声案内ナビゲーション GPS 機器として使えるだけでなく、MP3 ファイルや Audible.com のオーディオブックも再生でき、JPEG 写真も表示し、世界時計、通貨換算、長さの変換、電卓などのユーティリティまで提供している。価格も $1,000 なので、これは価格・機能の両面で Magellan RoadMate 800 の対抗機種と言えるだろう。StreetPilot i5 は Nuvi とほぼ同じ大きさだが、価格はたったの $500 ほどで、その代わりに AA(単三)電池、小さくて低品質のスクリーン、MP3 サポートなどの追加機能なし、などのところで節約がなされている。ハイエンドの方($1,300 前後)では StreetPilot 2730 が近日発売予定で、音声案内ナビゲーション機能のフルセットを備え、道路名や名所情報すべての text-to-speech 読み上げ機能があるほか、XM ラジオのサポートにより XM NavTraffic 道路情報や XM WX 天気情報、また通常の XM ラジオ放送の受信もできる。これらすべての音声は内蔵の FM 送信機経由で、またはステレオヘッドフォン / ライン出力用 3.5 mm プラグ経由で、車載スピーカーに繋いで聞くこともできる。

<http://www.garmin.com/products/nuvi/>
<http://www.garmin.com/products/spi5/>
<http://www.garmin.com/products/sp2730/>

という訳で、まだまだ仕事は残っている。さて、次の私の旅行は、どこへ行くのだったかな?


Take Control ニュース/21-Nov-05

文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

"Take Control of Switching to the Mac" リリース -- 友人や親戚がWindows で難儀しているのを見て、Mac を使えば苦労はないのにと思うことほど、もどかしいことはない。しかし、いくら Apple のハードウェアが素晴らしく、Mac OS X が使いやすいといっても、同等のアプリケーションを探したり、マシン間でデータを移行したり、ユーザインターフェースの違いを学んだりといったことを考えれば、Mac に乗り換えるというのは、やはり手ごわいことだ。だからこそ、Scott Knaster の “Take Control of Switching to the Mac” をここにご案内することができて、とてもうれしく思う。これは、Macにスイッチしようとする人や、他人のスイッチを手伝う方法を知りたいと思う人すべてにとって、優れた情報源となる。(PDF ファイルを購入して友人にプレゼントしてもかまわないかとお考えなら、もちろん、一向にかまわない。プレゼントの方法が、たまたま電子メールで送ったり CD-R にコピーしたりするというだけで、紙の本をプレゼントするのとまったく同じだ。)

Scott は、順を追ってスイッチャーを導いている。スイッチを決心してから、Mac の正しいモデルを選び、Mac を設定し、一般的な Windows プログラムに替わる適切な Macintosh アプリケーションを選び、そして、書類、電子メール、アドレスブック、ウェブのブックマークなどのデータを Mac に移す。さらに、Windows しか知らない人の視点から、Mac の使用法の基礎についても解説している。ユーザインターフェースの違いに始まり、Finder の効率的な使用法、Spotlight を使った検索、アプリケーションとウインドウの扱い、ネットワークリソースへの接続、ソフトウェアアップデートのダウンロードなどを説明する。5つの重要な Macintosh の機能と、5つの役に立つヒントがまとめられていて、新しい Mac をより実践的に使いこなす助けになるだろう。また、この電子ブックには、Windows ユーザと書類を共有したり、ときどきWindows アプリケーションを使ったりする必要がある人に役立つ情報も加えられている。実践的であることを特徴としてきた Take Control タイトルの伝統に従い、Scott は、問題が起こったときのための主なトラブルシューティングや、Windows ユーザが Macintosh 用語を学ぶのに役立つ用語集も加えている。

Scott がこの本を書いてくれて、本当によかったと思う。彼は、Macintosh に関して申し分のない実績を持っている。Mac プログラミングについての最初期の本を書いているし、Apple に5年間勤め、最近も Mac OS X や iTunes、iPod についての様々な本を書いている。編集の Caroline Rose もまた飛び抜けた経歴の持ち主で、Apple の Inside Macintosh では筆頭の著者および編者を務め、ついで NeXT では編集長、さらに Apple の開発者向け技術雑誌develop の編集長も務めた。しかし、それにもましてこの電子ブックにとって大切なことは、Scott も Caroline も、Windows 界での経験も豊富だということだ。Caroline はここ8年間フリーランスの編集者をしているし、Scott はMicrosoft に5年勤めている。簡単に言えば、Scott は、Mac について優れた文章を書きながら、しかも Windows ユーザであるということがどういうことであるかを理解している、数少ない人の1人だということだ。

下記リンクで、Scott の電子ブックについて詳細を読み、21 ページの無料サンプルをダウンロードし、注文することもできる。

<http://www.takecontrolbooks.com/switching.html?14@@!pt=TRK-0024-TB806-TCNEWS>


TidBITS Talk/21-Nov-05 のホットな話題

文: TidBITS Staff <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

各話題の下の1つ目のリンクは従来型の TidBITS Talk インターフェイスを開く。2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバ上で同じ討論に繋がる。画面上の見栄えが異なるほか、こちらの方が高速のはずだ。

DRM でイライラ -- Apple の FairPlay DRM でイライラしたという先週号の Adam の記事を受けて、DRM について、またこれが合法な活動をいかに妨げているかという議論が巻き起こった。(メッセージ数 5)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2782>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/629/>

ドライブの最大サイズ -- 旧型の Mac の中には特定のサイズ以下のハードドライブしか受け付けないものがある。これは何故か? (メッセージ数 6)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2778>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/625/>

デジタルテレビは日進月歩 -- “Take Control of Digital TV”のリリース後、またまた新しい有望なディスプレイ・テクノロジーが登場した、というニュースが読者から届く。(メッセージ数 1)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2781>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/628/>

旧型 Mac 用の Apple USB モデムは? -- 新しい Apple USB モデムは旧型の Mac でも使えるか? (メッセージ数 3)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2780>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/627/>

電源が使える航空会社 -- 長時間のフライト中に電源が切れることほど嫌なものはない。では、どの航空会社ならば機内で電源が使えるだろうか? (メッセージ数 1)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2779>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/626/>


tb_badge_trans-jp2 _ Take Control Take Control 電子ブック日本語版好評発売中
Tiger でのファイル共有、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther でのユーザとアカウント、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther のカスタマイズ、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther へのアップグレード、TidBITS 翻訳チーム訳

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