しなければならない仕事がいつも山のように溜まっていて、どうしても追いつけないと感じることはないだろうか? Jeff Porten が、あなたの日々の生活を整理するために Mac を使うという視点から、Getting Things Done システムについて検討する。また今週号では、Adam が Mac Publishing の Jason Snell と共同で、複数の人たちが協力して著作の作業をする環境を作り出してもらえるよう Macintosh ソフトウェア開発者たちの気持ちを掻き立てるため、公式の提案依頼 (request for proposal, RFP) を提出する。その他の記事では、Apple がまたもや好調な四半期業績を発表して 4 億 7200 万ドルの純利益を報告し、MacNotables ポッドキャストでは Adam と Tonya がコンピュータを使った本の出版について語り、また私たちのバックエンドシステムに間もなく若干の変更が加えられることを発表する。
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Apple 利益 $472 Million を Q3-2006 で計上 -- Apple の好調は続いており 2006会計年度の第3四半期の利益は $472 million、売上げは $4.37 billion であったと発表した。これらの素晴らしい数字は、1,327,000 台の Macintosh コンピュータと (前四半期は 1.1 million で、前年同期比では 12% の増)、 8,111,000 台の iPod (前四半期の出荷数 8.5 million より微減だが、前年同期比では 32% 増) の売上げのお陰である。[JLC](カメ)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1046>
(日本語)Apple 社,1,300 人の解雇を発表する | Apple 社 7億ドルの損失 | 予測されたものよりも小さかった Apple 社の損失 | Apple の四半期決算 ... 黒字 ! | 前回の光は消え、今度は1 億ドルの赤字 | Apple 社が 7 億 800 万ドルの損失を計上 | Apple 社予想より少ない第三四半期損失を計上 | Apple 社第 4 四半期 161 百万ドルの損失計上 | Apple Store、12 時間で 50 万ドルの売り上げ | Jobs 氏 45 百万ドルの利益を報告 | Apple 社が 5,500 万ドルの第 2 四半期収益を発表 | Apple が 1 億 100 万ドルの利益を計上 | iMac が Apple に 1 億 600 万ドルの利益を呼ぶ | Apple が 1 億 5,200 万ドルの利益を記録 | Apple 社 1.35 億ドルの利益計上 | Apple 社 203 百万ドルの利益 | Apple 社が 1 億 8,300 万ドルの利益を計上 | Apple 社が、2 億 3300 万ドルの利益と株式の 2 分割を発表 | Apple 社は 2 億ドルの利益を計上、Circuit City に復活 | Apple 社 1 億 7,000 万ドルの利益を発表 | Apple、予測を下回る損失を報告 | PowerBook G4 Titanium により Apple は 4,300 万ドルの収益 | Apple 社 6千6百万ドルの利益を発表 | Apple 3800万ドル の利益計上 | Apple、$32 Million の利益を Q3 で計上 | Apple 第4四半期 $45 Million の損失計上 | Apple、$8 Million の損失計上 | Apple、Q2 で $14 Million の利益計上 | Apple が第三四半期に 1900 万ドルの利益をあげる | Apple が第 4 四半期に 4,400 万ドルの利益を計上 | Apple が第2四半期純利益 4,600万ドルの業績を発表 | Apple が 6,100万ドルの純利益を発表、G5 iMac を確認 | Apple が1億600万ドルの第4四半期利益を発表 | Apple が史上最高の四半期純利益を報告 | Apple の第3四半期売上が 35億ドルに膨張 | Apple、第4四半期の利益が4倍に | Apple、5億6,500万ドルの2006年度第1四半期純利益を報告 | Apple、4億1,000万ドルの2006年度第2四半期純利益を発表
<http://www.apple.com/pr/library/2006/jul/19results.html> (日本語)アップル、第3四半期の業績を発表
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08504>(日本語)Apple、4億1,000万ドルの2006年度第2四半期純利益を発表
TidBITS 舞台裏システムの模様替えが間近に -- 今のシステムは、我々の制作、編集、そして配信のツールとして長年使ってきたが、ここ一、二週間の間に、現在取り組んでいる新しいシステムに切り替える予定である。作業が一段落したらどんな事をやったのかなぜなのかについては説明するつもりだが、今はただ次号は - 全てがうまく行けばの話だが - この新しいシステムから送り出され、外観もちょっぴり変わるであろう事をお知らせしておきたい。そんなことにはならないと思うが、もし万が一不具合が起こっても、こちらに一報などと思わないで欲しい。と言うのも、テストをするアカウントについても目配りをしているし、それにお知らせしなければならない状況の変化やその中身の説明についても我々の ExtraBITS ウェブログに掲載するので。先週、ほんの少数の読者ではあるがいつもの号そのものが届く代わりに号がリリース済みという Web Crossing-生成のお知らせが届いてしまったことがあった時に、私が実際にやった事もこれなのである。ところでこの問題は、我々のユーザーアカウントデータベースの内部で解決できた。[ACE](カメ)
<http://www.tidbits.com/ExtraBITS/>
<http://www.tidbits.com/webx/.3c7d0148>
Adam と Tonya が MacNotables で本の出版について話す -- 先週の我々の MacNotables ポッドキャストでの Chuck Joiner との談義で面白いのがあった - それは印刷本を製本するとはいったいどの様なことなのかについてである。この様な議題に詳しくない人のために説明しておくと、コンピュータ本を作るには大雑把に言うと二つの方法がある。一般的には、著者は Word を使って記事を書き、スクリーンショットを取って、それを全て出版社に送って編集とレイアウトをやって貰う。これはこれでまあまあ単純明快な方法に思えるかもしれないが、我々は長いこと第二の方法を採ってきた。それは我々自身で出版社が完成本を仕上げるに必要なレイアウトから編集まで全部やるのである (索引作成の費用まで持つのである、通常我々はプロの索引作成者を雇う)。実際の製本までにはもっと色々な事が関係してくるように思うが、全ては事前のことで、事後に編集やレイアウトで出てくる間違いによって引き起こされる不愉快なびっくりごともないし、貰える版権代も高くなる。もしあなたの好みのコンピュータ本がどの様にして作られたのか知りたいと言う興味のある方は - これは外から見えるよりも結構複雑なものである - このポッドキャストを聞いて欲しい。[ACE](カメ)
<http://macnotables.com/archives/2006/662.html>
DealBITS 抽選: Image Tricks の勝者 -- 幸運な当選者は Paul Richards of gmail.com, Leonard R. Wines of winesland.net, Gary Wheeler of fairpoint.net, Ezra Nathan of blueyonder.co.uk, David Mackler of mac.com, and Joerg (面白いことに彼のユーザ名はドイツ語で ichwillgewinnen という[訳注:「俺は勝つぞ」と言う意味]) である。これらの人は先週の DealBITS 抽選で無作為に選ばれ、それぞれに $9.95 相当の BeLight Software の Image Tricks Pro が一本ずつ贈られる。参加して頂いた 510人の人にお礼を申し上げるとともに、この先の DealBITS 抽選も楽しみにして欲しい。[ACE](カメ)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08602>(日本語)DealBITS 抽選: BeLight Software の Image Tricks
<http://www.belightsoft.com/products/imagetricks/overview.php>
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
数か月前のことになるが、私は "求む: より良い書類協同編集システム" という記事で、私たち TidBITS スタッフがより良い書類協同編集システムをどれだけ切望しているか、お伝えした。それに対し、読者の皆さんから多くの提案が寄せられ、私たちの方でもより一層知恵をしぼり、さらには Mac Publishing の編集ディレクター Jason Snell とこの問題について議論した結果、結局たどり着いた結論はといえば、Macintosh 界は協同編集専用のプログラムを必要としているということだ。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08489> (日本語)求む: より良い書類協同編集システム
まず、前回の記事を簡単に振り返ろう。Near-Time の Flow が、私たちが必要とすることのほとんどすべてを実現していたのだが、このプログラムには問題もいくつかあり、そして同社は開発を中止してしまっていた。私は、Ecto や MarsEdit といったウェブログエディタを使って個人的なウェブログを作ることで、私たちの要求が満たされるかもしれないと考え、また Subversion バージョン管理システムを BBEdit と組み合わせて使うことについての長所と短所とを検討した。しかし、どれも満足のゆくものではなかった。Flow のような、開発者からのサポートがもはや得られないプログラムに頼るわけにはゆかないし、Ecto でウェブログという方法は融通がきかず、私たち全員が決められた操作を正確に実行しなければ、データを失う危険があった。Subversion と BBEdit の組み合わせは使いにくい(私たちの中でこれらについて最もよく知っている Matt から電話でトレーニングを受ける必要があった)にもかかわらず、私たちは結局この方法に舞い戻ることとなった。この方法では、たとえ誤りを犯したとしても、データを失うことはほとんど考えられなかったからだ。
そのほかの提案 -- そういうわけで、私たちの探索は続くこととなった。賢明にして博識な読者の皆さんからいくつか興味深い提案をいただいたが、その中には、3つのほぼ同等なオンライン・ワードプロセッサが含まれていた。37Signals の Writeboard、AdventNet の Zoho Writer、そして、ちょうど最近 Google が買収した Writely だ。これらのプログラムは役に立つし、かなり役に立つといってもよいが、ビジネス界の現実をいくつか考慮に入れ損ねている。第1に、これらは常にオンラインにアクセスできることを前提としている。どこでもインターネットにアクセスできるとしたらうれしいのだが、今日の現実では、バスや列車、飛行機で移動しているときにオフラインになることがしょっちゅうだし、ホテルの部屋や空港では接続するためにそれなりの料金がかかることは言うまでもない。第2に、これらはウェブブラウザ(少なくともいくつかのウェブブラウザ、Writely と Zoho Writer は Safari や OmniWeb で動かない)の中にワードプロセッサを埋め込むということについては目を見張る成果を挙げているが、本物の Macintosh 用ワードプロセッサと肩を並べるには到っていない。熊がダンスを踊るとしたら見ものだが、だからと言って『白鳥の湖』を期待できるわけではない。第3に、これらはホストされたサービスであるから、プログラムを使う人は誰でも、ホストのなすがままに翻弄される。私の執筆環境という極めて重要なものの管理を、私がほとんど何も知らない企業に委ねるとしたら、落ち着いて仕事ができない。使用時間の制限がないだろうか、機密事項を含む文書の保管ができるだろうか、勝手にアップグレードされる可能性はないだろうか、長期的に使い続けることができるだろうかと、心配になることばかりだ。私が自分自身のコンピュータで動かすことのできるものなら、これらの心配はすべて消えてなくなるか、あるいは少なくとも私個人の問題となる。
<http://writeboard.com/>
<http://www.zohowriter.com/>
<http://www.writely.com/>
もう1つ、多くの読者が提案していた興味深いものは、MediaWiki だ。これはもともと Wikipedia のために作られたフリーの wiki パッケージで、今ではいろいろなところで広く使われている。MediaWiki は、ほかの wiki と同様、ウェブページを簡単に編集できるが、ほかと違うところといえば、優れたバージョン比較機能を備えていることだ。それに加えて、Mozilla ウェブブラウザ用の機能拡張を使えば、wiki ページを編集するのに、非常に制約されたウェブブラウザ環境ではなく、Mac のエディタを使うことができる。Mac OS X に MediaWiki をインストールすることはおそらくできるだろうし、外部エディタ機能を試してみるのもよいと思うが、それでもやはり、インターネット接続を必要とするという欠点は残る。また、MediaWiki は、3つのオンライン・ワードプロセッサと同様、書類の比較を編集とまったく別の作業として扱うので、Microsoft Word でできるような、作業中の文書についての変更履歴を見るということができない。
<http://www.mediawiki.org/>
<http://en.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:Text_editor_support>
提案依頼 -- これらのツールは役に立つとはいえ、プロの著者や編集者の分散型集団が必要とするものを念頭において作られてはいない。もっとはっきり言えば、これらのツールは、他人と協同して文章を書いたり編集したりすることに日々没頭しているプロの著者や編集者 _によって_ 作られてはいない。これらのツールは、基本的な考え方は捉えているが、実装する際に鍵となる諸側面を完全に捉え損ねている。森を見ているが、木を見ていない。
Jason Snell と私は、そのことを頭において、ひざを突き合わせ、私たちが本当に探しているものを概説した RFP(提案依頼書)を作成した。これは、もちろん、仕様というほど詳細なものではないが、TidBITS や Mac Publishing といった組織が必要としている諸機能を大まかに記述したものだ。これは本当の RFP だ。つまり、私たちは本当に、Macintosh 開発者がこのアプリケーション(現在のコードネームは GroupEdit とした)の作成を提案してくれることを求めている。Dilbert に登場する顧客のように、私たちは磨き上げられたオープンソースの無料プログラムが好ましいともちろん考えているが、その一方で、アプリケーションが私たちの必要を満たすことのできるよう、設計やテストに協力をするつもりだし、このアプリケーションを作っていただくにあたって数千ドルぐらいは払ってもよいとすら考えている。もちろん、開発者がアプリケーションを販売したいと思えば、それは全くもって結構なことだし、そのようなプログラムができれば、(もちろん私たちの編集方針をゆがめることなく)少なくとも TidBITS と MacWorld で取り上げるに値するということは、間違いのないところだろう。私たちは、このアプリケーションは広く使われるだろうと信じるし、現実的なビジネスを生み出すだろうと信じる。あるいはこのプログラムは、素晴らしいインターフェースと優れたドキュメントを備えた、オープンソースプログラムの申し子となるかもしれない。
ここで RFP 全体を再び要約することはしないけれど、興味を持たれた方は、ぜひ QuickTopic Document Review で RFP をご覧いただきたい。そこでは、私たちの提案について、コメントをつけたり、様々な点を議論したりできる。もしあなたが熱心な開発者で、しっかりした Mac 用ソフトウェアを開発した実績をお持ちなら、私にご連絡をいただければ、Jason と私は喜んで、より詳しいお話をさせていただきたいと思う。
<http://www.quicktopic.com/37/D/bVHWhMLMj74?inline=1>
文: Jeff Porten <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
長年 TidBITS を読んでおられる方や、MacNotables を聴いておられる方ならばご存じだろうが、Adam は Tonya と彼が David Allen の個人用整理メソッド“Getting Things Done”をずっと実践してきていると語ったことがある。そんなものは初めて聞いたという方のために説明すると、Getting Things Done(よく GTD と略記される)は、単にそのきっかけとなった本の名前というだけでもなければ、単なる整理の方法というだけでもない。GTD は、もはや一つのカルトだ。少なくとも、それを実践している何千人ものオンラインの人々の声によれば、カルトであるように聞こえる。自尊心の強いカルトに共通の性格として、その目標は自分自身の根本的な生活原則を、さらには自分のものの考え方をも再構成することであり、自分自身がもっとハッピーになることを究極の目的としている。ただ、その過程で自分のお金をいくらか、価値ある製品の製造者に注ぎ込むというだけのことだ。私自身も、このカルトの参加者であることを幸せに思っている。
<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0142000280/tidbitselectro00/ref%3Dnosim/>
皆さんも、きっと既に何らかの意味で生産性のためのカルトに加わっておられるに違いない。ただ、そのカルトは本当にフル機能しているだろうか? あなたのメールボックスには、いったい何通の電子メールメッセージが溜まっていることか? あなたの今日の to-do リストは、全部片付いたか? GTD は、このようなコンピュータ中心の暮らしに非常によく適している。それに、このことも忘れてはならないだろう。GTD は、いったん仲間から離れた人でも再び戻って仲間に加わるのが簡単にできることを考慮して作られている、数少ないシステムの一つなのだ。
この記事では、私が自分のシステムを自分の Mac で組み上げて行く過程で学んだいくつかのポイントをご紹介したいのだが、その前にまず GTD の基本原則について簡単にまとめておこうと思う。実は、これは特定の技巧というよりも、むしろ手順に基づいている。一人一人のカルト信者が、それぞれ独自の事情に合わせて具体的な方法を組み上げて行くことになる。以下では私の場合の説明と、他にいくつかよくある事例を挙げてみることにしよう。一番最後のところにインターネット上にある GTD 関係のベストな参照リンクをまとめておくので、新しく仲間に加わってみたいとお思いの方もちゃんと皆と同じ情報が手に入れられるようになる。この記事と平行して、私のウェブサイトにいくつかの AppleScript スクリプトをポストしておくので、どうぞご利用頂きたい。これらのスクリプトは私自身のため何も考えなくてもよい自動化をもたらしてくれているものだが、どんな GTD システムにおいても元気に動くだろう。
GTD を簡潔に -- GTD の前提となるのは、私たちが皆それぞれの生活を「開いたループ」で埋め続けている、そして私たちは後日何かを成し遂げることでそのループを閉じることを自らに約束する、ということだ。そして問題は、私たちの頭脳が必ずしもこのようなタイプの作業に向くようには作られていないことだ。目の前の皿に入ったシリアルが乾いたままだという時になって初めてミルクがなかったと気付いたり、朝の 4 時にベッドの中で天井を見つめながらあの電子メールを送らなければならなかったと気付いたりする時、あなたはその瞬間にその問題を実際に解決できるわけではない。こうして次々と開いたループがあなたの中にいわば心理的なバックログとして溜まって行く。なぜならそれが発生した瞬間にはあなたにはそれを実行することができず、あなたにできるのはただ物事を心配することだけだからだ。
GTD メソッドには五つの段階がある。収集、処理、整理、評価、実行の五つだ。
収集とは、今述べたようないろいろの項目をそれぞれ特定の場所に記録しておく、というだけの意味だ。例えば先ほどの例で言えば台所の冷蔵庫には拭けば消せるマーカーペンを用意しておき、ベッドの脇には音声レコーダーを用意しておくといった具合だ。
処理とは、あなたが収集したすべての項目を見て、次に何を実行すべきか決めることだ。例えば「ミルクを買いに行く」という具合だ。
整理では、それらすべての行動を「前後関係」によって振り分け、よりスムーズにすべての仕事を完了できるようにする。ミルクを買いに行く時には一緒にパンも買えるだろうけれども、同時に電子メールを送るのは普通無理だろう。
評価では、整理されたリストを自分の頭脳に取り込み、それらの項目が必要になった時点で少なくとも必要なリストだけは保持しているようにしておく。
そして最後に、そのリストにある事柄を、最小の努力と最大の能率をもって達成が可能になる時点を待って、実際に実行する。
とっても単純だ、と思わないか? ただ注意が必要なのは、このアプローチにおいては決して、電子メールを送る方がミルクを買いに行くよりも重要だから優先度 B のリストに入れようとか、ガソリンスタンドに行くのは火曜日の予定に入れては行けないとか、そういうことは言っていないということだ。その代わり、この整理プロセスに特徴的な利点は、細かい雑多なことがらをすべて脳裏から消去して、重要なことがらのみに焦点をあてることができるようにする点だ。Allen はこのことを「水のごとき心」と形容している。
このシステムで決定的に重要なのは「次のアクション」という概念だ。つまり、何かを達成するという目的のためにすぐ次に物理的にどういうことをすべきか、ということだ。独自の方法をお持ちの他の方たちにも当てはまるよう、ひどく馬鹿げた例を挙げさせて頂くと、例えばあなたの解決すべき問題が「お腹がへったけれど冷蔵庫はからっぽだ」ということだったとしよう。普通の to-do システムならば、ここであなたに「昼ご飯を何にするか決める」と書くように勧めることだろう。けれども、実際にあなたがすべき次のアクションは「ズボンを履く」ということかもしれない。もちろんあなたの近所のレストランが私の近所よりずっと奔放な雰囲気なのならば話は別だが。それに私の場合、靴まで履いた時点で既にタイ料理とイタ飯のどっちにするかを決めてしまっているのが普通だ。いずれにしても、きちんと服を着終わった後の私の次のアクションは「どちらに歩いて行くのかを決める」ということで、これにはどのレストランに行くかということも、食べ終わった後の午後の予定も、どちらも強く関係している。
つまり、具体的、明示的な選択肢と、ぼんやりしたあいまいな選択肢とを区別することが大切だ。タイ料理のメニューを思い描いているだけなら、窓の外をぼんやり眺めて 15 分間過ごしてしまうかもしれないが、重要なのは、それだけではちっとも昼ご飯を食べるという目的に向かって進んだことにはならないという事実だ。次のアクションは常に具体的なものでなければならない。そしてさらに重要なのは、次のアクションという非常に小さくてすぐに実行できることがらが常にあるため、その一つのアクションが他の複数の to-do 項目にどのような影響を与えるのかを考えやすいことだ。「昼ご飯を食べる」というのは次のアクションとは言えない。なぜならそれはもっとさらに深く考えることを要するからだ。次のアクションとなるべきなのは、「郵便局の隣のレストランに行って、今日のスペシャルが何かを見る」ということだ。
リスト大好き -- 良い GTD システムの核心をなすのが、何重にも重なったリストだ。これらのリストは整理を受けて頻繁に再評価され、そこにある個々の項目がそれぞれ特定の「次のアクション」であって、通常の場合それぞれが何らかのより大きなプロジェクトに結び付いている。
Mac ユーザーにとって最初のつまずきの種となるのが、これらのリストをどこに保存しておくのかという問題だ。選択ということに関して私たち Mac ユーザーはあまりにも甘やかされているので、このオプションに私たちは目眩を感じてしまうかもしれない。テキストを受け付けるソフトウェアならばどんなものでも、リストを作るために使うことができる。ここで押さえておくべきなのは、GTD は紙と鉛筆を使ってすることも可能だし、同様に TextEdit 書類を賢明に使いこなしてでも可能だということだ。けれども、GTD 従事者の多くは、自分のリストを自動的に並べ替えては裏ごしもしてくれるソフトウェアが欲しいと思っている。だからこそ、私が自分のツールを選んできた経験上獲得してきた私の原則を、ここで紹介させて頂きたいのだ。その原則とは:
処理の高速さ: 私は、収集した項目を可能な限り高速で整理できるようなシステムを使いたい。
柔軟性: 私は時にはすべてを一個所で一覧したいと思うし、また別の時にはたくさんの物事をいくつかのファイルや異なった書類タイプを使って切り分けたいと思うこともある。
自動分類: 可能な限り、私は手で「ソフトウェア X をレビューする」などとタイプすることは避けて、その代わりにそのアプリケーションをどこかにドラッグするだけで、勝手にそれが必要な目印を作ってくれるような手軽さが欲しい。URL とか、書類、メディア、その他私が扱うようなあらゆるものでも同じことだ。
常時遍在: 収集がいつでもできるということに加えて、自分のリストにいつでもアクセスできるというようになって欲しい。私の場合、これは私の PDA と同期がとれるようになって欲しいということを意味する。人によっては、良いプリントアウトが印刷できるということを意味するかもしれない。
あなたの処理システムの核心となるのは、何らかの種類のマスターリストだ。あなたは百個以上もの異なったリストを持っているかもしれない(特に紙に書いたリストを主に使っているような場合にはそうなるだろう)が、そんな場合でもあなたには「すべてを支配する一つのリスト」が必要となる。例えば、私は毎日、朝一番に、私の Routine リストを評価することから始める。そこにある項目のほとんどは何も考えなくてもよいようなものばかりだが、それでも毎朝繰り返す必要のあるもので、私の頭蓋骨の内部にまだ十分なカフェインが染み込まれていない間にする仕事として特に適している。その後一日の間に私は何度もこのリストに戻って来て、できれば夜ベッドに入る時までにはリストを空にしたいものだと願うわけだ。
私の Routine リストはまた私のマスターリストでもある。私は「仕事をする」のが第一の人間なので、このやり方が自分に適していると思う。というわけで「Work リストに取り組む」という項目が毎日ここに現われる。それと同様に、私の Routine リストには私の作ったもっと別のリスト(例えばそれほど重要ではないような“geektime”プロジェクトなど)を指す項目もあれば、その他いろいろの雑多な用件(ボイスメールをチェック、など)を指す項目もある。
こうしてある程度の期間が過ぎれば、これはあなたにとって信頼の置けるシステムとなる。いったんあなたのいろいろな課題やプロジェクトなどをそれぞれ適切な場所に配置してしまえば、あなたの脳裏から緊張の重荷が取れる。なぜなら、あなたは無意識に、これでもう差し迫った課題やイベントをいちいち覚えていて自分をうるさく追い込むようなことをしなくてもよいと覚るからだ。あなたのラップトップ機からグローブコンパートメント内のメモに至るまで、どんなものでも GTD 収集あるいは評価リストとして使える。あなたがしなければならないのは、どこを見ればよいのかをあなたに指示してくれるマスターリストと、そこにある情報を整理できるための手段とを持ち合わせていることだけだ。
その真なるリストのためのソフトウェア -- このレビュー記事では、あなたの GTD システムをセットアップするという、決定的に重要な予備段階の説明については省略させて頂くことにしたい。その部分では、あなたの生活の中で既に膨大なカオスと化している物事をすべて集めて、それらを GTD の中へと組み入れる作業をしなければならない。あなたがもしもあなたの生活の一部分だけをモジュール化して取り出そうとするならば、GTD はうまく働かない。このシステムを働かせる力となる心理的な報酬は、GTD の外部には何も心配の種がないという条件の下にしか生まれないのだ。Allen はここのところを彼の本で詳しく説明しているので、皆さんにもそれをぜひ読んで頂き、「すべてを inbox の中に組み入れる」ということの意味を理解して頂きたい。そうすれば、あなたもその利点を最大限に利用して、すべてをあなたの Mac を使って処理することができるようになるだろうから。
この本をまだ読んでいないという方のために言っておくと、これらのリストを構築する方法を議論する際に覚えておくべき根本的に重要な点は、私たちが問題にしているのは処理・整理・評価の作業だということだ。収集の作業はあなたが既に別の場所でしている。時には他の人があなたのためにすることもある。あなたの電子メール、あなたのボイスメール、金曜日のミーティングであなたが書いたメモ、といった具合だ。同様に、あなたはこれらの段階にいる時には実際にそれらのことを実行しているわけではない。高速で処理のできるシステムを持っている限り、2,000 通の電子メールとデスクトップ上にある 400 個のファイルを処理することも可能となるだろうが、実際の実行が行なわれるのはそれよりも後のことだ。
私は今も Llamagraphics の Life Balance を使って私のマスターリストを管理している。このプログラムについては私が 2004 年に TidBITS でレビューした。このプログラムで言う「場所」の実装方法は、GTD の「前後関係」とよく似ている。これを使うことで、私は頭を使わなくてもよい Routine リストのみに毎朝自分自身を絞り込むことができる。Life Balance にはまた Palm コンポーネントも付属しているので、同期をかける度に私のマスターリストの中にあるものは何でも自動的に私の Palm 機へと転送される。
<http://www.llamagraphics.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07529> (日本語)Life Balance: バランスの悪い人にはバランスの良いソフトウェアを
OmniOutliner も同種のプログラムとして人気がある。これは Macintosh で使えるものとしてはベストのアウトライナーソフトウェアかもしれない。これが Life Balance よりも優れていることの一つは、その書類ウィンドウの上へドロップするだけでどんなファイルでも受け付けられる機能だ。多数のファイルをプロジェクト階層の中で整理したり注釈を付けたりするために、これ以上便利な方法があるだろうか。さらに OmniOutliner Pro を使えば、フリーウェアの Kinkless GTD テンプレートが使えるオプションまで加わる。Kinkless GTD は AppleScript スクリプトを集めたもので、Life Balance と同じようにあなたの課題を集めたアウトラインを分割して、それらをやるべきことの項目をフラットに並べたリストに変えてくれる。もしもあなたが既に OmniOutliner のファンなら、きっとあなたはこのシステムが気に入るだろう。私も、もしも既に Life Balance を使い慣れてさえいなければ、私自身こちらを使っていたかもしれない。ただ、これを使ってみた人の感想として、何となく Kinkless ソフトウェアが OmniOutliner に無理矢理取って付けたように(実際そうなのだが)感じられるので最高のユーザー体験をシームレスに実現しているというわけには行かない、という声も聞いたことがある。
<http://www.omnigroup.com/applications/omnioutliner/>
<http://kinkless.com/>
OmniOutliner も Life Balance も、どちらも大袈裟すぎてあなたの必要を上回るということもあるかもしれない。自分の GTD システムを何個かの単なるテキストファイルで管理している人たちも多いし、次のアクションをすべて集めて iCal の to-do リストで管理しているという人もいる。Mac OS X 10.4 の iCal カレンダーグループは、あなたの課題を内容によって分類整理するのに特に良い方法と言える。ただ、これらのシステムで一般的に当てはまる最大の欠陥は、繰り返し起こる課題項目を作るのに散々余計な手間を掛けなければならないことだ。Life Balance や Kinkless でならば「今はこれを済ませたが、明日また同じように知らせてくれ」と指令するのがずっと簡単にできる。そうは言っても、私も Life Balance に加えて iCal の to-do を使っている。この点については、この記事の第二部で触れることにしたい。
最後にもう一つ、あなたの Mac に頼るのをすっぱりとやめて、あなたのリストをすべてウェブベースで管理する方法を設定するということもできる。特にこれは複数個のコンピュータや情報機器を使っている人が好む方法だ。適切なウェブサービスを選んでおけば、あなたのリストをラップトップ機にも、仕事場のコンピュータにも、携帯電話にも PDA にも呼び出すことができる。ただ、この方法には明らかな欠点がある。インターネット接続が切れてしまう地下鉄の車内で 20 分間、いったいどうすればよいのか考えてみるとよい。37signals の Backpack サービスやその兄貴分の Basecamp を奨める人も多いが、人気ある別の選択肢としては Ruby on Rails アプリケーションの Tracks を使う方法(ただしこれにはちょいと Geek Fu 流のテクが必要だ)もある。また、個人用の wiki を実装してデータをハイパーリンクで相互接続できるようにしている人もいる。どんな wiki でもこの目的に使えるが、もしもスタンドアロンのシステムを作りたいならば、一番簡単な方法は VoodooPad アプリケーションを使うか、あるいは直接あなたのウェブブラウザの中に JavaScript を使った GTD 環境を組み込んでしまうという非常に賢いやり方の TiddlyWiki というものもある。もしも昔ながらの紙と鉛筆を使う方法の方があなたの好みならば、Douglas Johnston の作ったフリーウェアの D*I*Y ペーパーテンプレートと、それに Merlin Mann の“hipster PDA”を試してみられるとよい。
<http://www.backpackit.com/>
<http://www.basecamphq.com/>
<http://www.rousette.org.uk/projects/>
<http://www.flyingmeat.com/voodoopad/>
<http://shared.snapgrid.com/>
<http://www.diyplanner.com/>
<http://www.43folders.com/2004/09/03/introducing-the-hipster-pda/>
どの方法が一番あなたに適しているかは、私がお勧めすべきことではない。あなた自身の GTD システムを作るにあたって、ここのところの選択こそが最も個々人の判断に任されるべきものだからだ。これまで述べてきたオプションのいずれも、それぞれ無料で試用ができるオプションが提供されている(ものによってははじめからすべて無料のものもある)ので、どうぞご自分で一つ一つ試してみて頂きたい。私が皆さんに助言できることがあるとすれば、それは皆さんがご自分の頭脳の中に、あなたの生活の複雑度がどの程度かをあらわすモデルを既にお持ちのはずだということだ。あなたに一番適したシステムというのは、靴べらを使って足を靴に押し込んだり、肉たたきを使って肉をたたき伸ばしたりすること無しに、あなたの現在の生活モデルをそのまま受け取れるようなものを選ぶのがベストだということだ。ことわざにも言う通り「シンプルな限りシンプルに、でもシンプル過ぎずに」だ。
注意を払うべき危険が一つある。それは、私たちは往々にして、情報整理のためのソフトウェアを使いこなして遊ぶのに夢中になるあまり、本来の目的が実際に何かを実行することだという事実を忘れてしまいがちだということだ。Merlin Mann に言わせれば、「ファーストフードの料理人みたいに、君はサンドイッチを作ることだけに集中したまえ。注文票をきちんと積み上げるかどうかなんてどうでもよい。」手始めには、とりあえず十分動くようなシステムならばどれを選んでもよい。それから、あとで必要に応じてあなたのシステムを改良し(あるいは大幅な改訂を加えることもあるだろう)あなたがすべてを優先度に応じて並べ替えることのできる GTD プロジェクトへと変えて行くのがよい。そうすることで、あなたは注文票の美しい山を築いている間にサンドイッチが焦げてしまうという落とし穴に陥ることもなくなるだろう。これだけは個人的に保証してもよいが、私自身何十もの情報整理システムやソフトウェアパッケージを使ってみたことがあるし、読んだ本の数も八十に七を加えた冊数にのぼる。それに、文字通り何週間にもわたる時間を費やして FileMaker Pro のカスタムデータベースを書いてから、それらを全部捨て去ってしまったこともある。「生産性」を求めるあまり、私のようにこんなに無駄な時間を浪費するのは、絶対にやめた方がよい。
このシリーズ記事の第二部では、あなたの Mac 上に GTD システムを作り上げるための具体的方法について掘り下げたい。その際使うのは、あまり知られていないが実際は非常に効果的な整理ツール、その名は Finder だ。
[Jeff Porten は Washington, DC. 在住のインターネット・コンサルタントだ。彼の場合、七つの効果的習慣のうちたぶん三つぐらいは実行している。]
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文: TidBITS Staff <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
各話題の下の1つ目のリンクは従来型の TidBITS Talk インターフェイスを開く。2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバ上で同じ討論に繋がる。画面上の見栄えが異なるほか、こちらの方が高速のはずだ。
Intellitext の復活? -- ウェブサイトで IntelliTXT テクノロジーを使っているところがいくつか見られる。これはキーワードからリンクを作ってポップアップ広告やその他のコンテンツを表示できるようにするというものだ。この効果はどうやって作られているのだろうか。そして、これをオフにすることはできるのか? (メッセージ数 7)
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ニュースレターを Mac から発送する -- 家族や友人たちに定期的なニュースレターを送るのに phpList を使ってみた読者がいる。これはベストな方法なのだろうか? 別の手段もいくつか提案された。(メッセージ数 10)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3060>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/892/>
iPod と車をシンプルに統合 -- 自動車の中で iPod を聴くためのラジオアダプタを扱った先週の記事に対し、もっと他の製品や解決法を提案する声が多数集まった。(メッセージ数 15)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3061>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/891/>
Vista の必要条件公表さる -- Windows Vista の最新バージョンを Apple の Boot Camp や Parallels Desktop を使って Mac で走らせてみた体験を読者たちが報告する。(メッセージ数 3)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3062>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/893/>
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Tiger でのファイル共有、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther でのユーザとアカウント、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther のカスタマイズ、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther へのアップグレード、TidBITS 翻訳チーム訳
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, , 日本語版最終更新:2006年 7月 28日 金曜日, S. HOSOKAWA