TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#895/10-Sep-07

今週号からすべてが新しくなった。少なくとも、感じだけはそうなっただろう。まず Apple のニュースとしては、CEO の Steve Jobs が新登場の iPod touch を含む新しい iPod 各機種をお披露目し、また iPhone を $200 値下げする(この発表より前に iPhone を定価で購入した百万人近くの顧客たちには $100 のストアクーポンを提供する)と発表した。でも私たちが一番心を踊らせている話題は、私たちのウェブサイト TidBITS.com のデザインが一新されたことだ。Adam が改良されたこのウェブサイトについて概観し、私たちがそのような方向性を打ち出した理由のいくつかを説明する。また今週号では、Apple と NBC が口論の末に NBC のテレビ番組を Apple が iTunes から削除するに至ったこと、Apple がヨーロッパにおける .Mac の速度低下について調査中であること、Ambrosia Software が iPhone に着メロを追加するツール iToner をリリースしたこと、Palm が「スマートフォンのお供」Foleo をリリース直前になって葬り去ったこと、それから iPhoto 7.0.2、MarsEdit 2.0、TextExpander と TypeIt4Me 用の TidBITS AutoCorrect Dictionary、また Take Control から iPhone に関する2冊の電子ブックのリリースについてもお伝えする。

記事:

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Apple、百万台目の iPhone を販売

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

誰かがゴールデンチケットを手に入れた。それは Steve Jobs かもしれない。Apple は百万台目の iPhone を販売したと発表した。この目標をたったの 74日で達成したことになる。


Apple、iPhone 早期購入者に 100 ドルの払い戻しを提供

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

Apple CEO Steve Jobs は先週、同社のウェブサイトに公開書簡を掲載し、すでに iPhone を購入した数十万の人々が iPhone の値下げに対して感じた不満にこたえた。詳細はまだ確定していないが、Apple は「Apple または AT&T から iPhone を購入した iPhone ユーザで、払い戻しその他のいかなる支払いも受けていない人すべてに、Apple 販売店またはオンライン Apple Store で任意の製品の購入に利用できる 100 ドルの商品券」を提供する予定だ。

確かに、商品券というのは 100 ドルの現金とは異なるが、これによってiPhone Bluetooth Headset (129 ドル)などの付属品がより魅力的になることはまちがいない。

Jobs は書簡の中で、iPhone の価格を 599 ドルから 399 ドルに引き下げた(8 GB モデルの場合。4 GB モデルは生産中止になった)決定について弁明した。曰く、「iPhone は画期的な製品であり、この年末商戦は私たちにとって『勝負する』機会だ。iPhone はこれまでのところ優位に立っており、それがさらに多くの人にとって購入しやすくなる。できるだけ多くのユーザをiPhone の『テント』に新しく迎えることは、Apple にとっても iPhone ユーザのすべてにとっても利益になる。私たちは、399 ドルという価格によって、年末商戦でこのことを達成できると確信している。」

払い戻しの詳細は今週中に発表される予定だ。書簡の言葉遣いからすると、払い戻しは 8 GB モデルと 4 GB モデルのどちらを購入した人にも適用されるよ うだが、はっきりとしたことはまだ分からない。


iPhoto 7.0.2 がバグをつぶす

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

Apple は iPhoto 7.0.2 をリリースした。iLife '08 に含まれ、しばしばApple によって iPhone '08 と呼ばれる iPhoto のバージョンに対するアップデートだ。ぶっきらぼうなリリースノートでは、.Mac ウェブギャラリーへの公開、サムネイルの再構築、ブックの編集に関する修正が主張されている。伝えられるところでは、iPhoto 7.0.2 はほかにも多数の小さなバグを修正している。8.8 MB のアップデートが、Software Update 経由またはスタンドアロンのダウンロードで入手できる。


iTunes Store、NBC のテレビ番組を失い、英国では拡張

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple から、iTunes Store が次シーズンの NBC テレビの番組を販売しないという発表があった。Apple によれば、Apple がエピソードあたりの卸売り価格として NBC に従来の2倍を超える金額を支払うことを拒絶したため、NBC Universal は Apple と契約更新しないことを決めたのだという。もしも Apple がこれを受け入れていれば、店頭での NBC テレビ番組のエピソードあたり単価は $1.99 から $4.99 に値上がりしていたことだろう。iTunes での売り上げ上位トップ 10 のテレビ番組のうち3つは NBC のもので、これは iTunes でのテレビ番組の売上の 30% を占めていた。

この損失が痛いことは疑いないが、Apple がテレビ番組の価格を上げることを拒否したのは驚くに当たらない。現在の iTunes Store での価格はエピソードあたりならば手ごろに見えるが、継続して見続ければすぐに積み重なって大きなものとなり、エピソードあたり単価が $4.99 に増えればそのコストもますます急速に増えるだろう。(ビデオ視聴のコストについて詳しくは、私の書いた包括的記事“ビデオ取得方法を比較: *TV が欲しい!” (2007-06-04) も参照のこと。)

Vivendi の Universal Music Group が月毎の契約を選ぼうとしている(2007-07-02 の記事“Universal、Apple との長期 iTunes 契約を拒絶”参照)こと、また最近になって Apple 以外のさまざまなオンライン音楽小売業者に DRM フリーの楽曲提供を始めていることを考え合わせると、NBC Universal による最新のこの平手打ちはエンターテインメント業界における Apple の新しい立場を暗示していると言えるだろう。メジャーなコンテンツプロバイダたちは明らかに Apple の iTunes Store がこれほどまでに成功するとは予期していなかったので、コンテンツプロバイダとして望むよりも多くのコントロール力を Apple に与えるようなライセンス条項にも同意していたのだろう。問題は、Apple が既に十分な市場牽引力を獲得していて、iTunes Store での売上を失うことが NBC Universal や Universal Music Group をして元の囲いに戻らせるだけの影響力を持てるかどうかということだ。コンテンツプロバイダが1つや2つ離脱したからといって Apple への逆風となる訳でもないし、現時点では、コンテンツプロバイダたちの間で(忘れないでいただきたいが、彼らは皆互いに競争し続けているのだ)Apple のポジションを脅かすだけの共通意見が形成されているとも思えない。

Apple が iTunes での NBC 番組提供を終了すると発表してから間もなく、NBC と Amazon.com から Amazon 自身のビデオコンテンツシステムAmazon Unbox にそれらの番組が登場することになる と発表があった。それに加えて、Amazon Unbox の顧客はいくつかの NBC の新番組の見本版をネットワークプレミアに先立ってダウンロードできるようになっている。

私の疑問はといえば、フランスの複合企業体 Vivendi が Universal Music Group を所有すると同時に NBC Universal の 20% をも所有している(残りの 80% は General Electric が所有する)という事実が、このことに何か関係しているだろうかということだ。

現在の合意条項は 2007 年 12 月に期限切れとなるが、Apple はシーズンの途中まで待つことを避けて、シーズンが始まる前に NBC の番組を引き揚げることを決めた。これはどちらに転ぶか分からない決断だった。もしも Apple が 12 月まで待ってから NBC の番組を引き揚げたとすれば、iTunes Store から番組をダウンロードするのに慣れた視聴者の多くが怒りの声を挙げただろうことは間違いない。けれども、その怒りの鉾先が、はたして NBC に向くのか Apple に向くのかは誰にも予想がつかない。Apple が今の段階で NBC に関する発表を行なったのは、Apple が 9 月 5 日の“The beat goes on”スペシャルイベントでリリースした新しい iPod を NBC が取り逃しつつあることを、あらかじめ印象づけておきたいという意図があったとも考えられる。(2007-09-07 の記事“Apple、iPod touch と Wi-Fi Music Store および新しい iPod を発表”を参照。)

プラス面を言えば、Apple は最近、ABC、Disney Channel、MTV、Nickelodeon、 それに Paramount Comedy のテレビ番組をエピソードあたり 1.89 ポンドで英国の iTunes Store で発売したと発表している。


ヨーロッパで奇妙な .Mac 速度低下

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週一人の TidBITS 読者からお便りがあって、ヨーロッパでの .Mac 購読者たちが異常に遅いダウンロード速度(最大でおよそ 768 Kbps 程度)に悩まされているという話を聞いたことがあるか、あるいは体験したことがあるか、と尋ねてきた。(詳しい情報は Apple の討論フォーラムで読める。)今回の問題はアメリカ合衆国にいる顧客には影響が無いようだが、その読者はこの事実をもとに Apple がきっと意図的にバンド幅を絞って調節しているに違いないと推測していた。TidBITS スタッフでこれを経験した者はいなかった(現在パリ在住の Joe Kissell も体験していなかった)ので、私はそのメッセージを Apple の PR 部門のコンタクトに転送して問い合わせてみた。

でも、私たち TidBITS が Cupertino への特別電話回線のようなものを持っている訳でないことはどうかご理解いただきたい。私たちとしてもそういうものがあったらなあと願ったことは何度もあったのだが。けれども、今回はちゃんと返事が届いた。Apple の代理人の言葉によれば、バンド幅を制限しているのは .Mac の顧客が割り当てられたデータ転送量の上限(現在は「フルメンバーおよびファミリーパックのマスターアカウントについては毎月 100 GB、ファミリーパックのサブアカウントでは毎月 25 GB」)を超えた場合のみだという。それ以外にバンド幅を制限する規定はなく、まして地理学的要素に基づいた制限などはない、ということだ。彼女はまた、Apple が現在この問題を調査中で、速度低下の原因が何かを突き止めるべく努めているところだとも述べた。


iToner で iPhone の着信音を手軽に

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Ambrosia Software が iToner 1.0.1 をリリースした。これは、MP3 または AAC のオーディオファイルを iPhone に追加してカスタム着信メロディとして使えるようにするシンプルなユーティリティだ。デフォルトで、iPhone には 25 個という限定されたセットの着信音(たいていの携帯電話に見られるビープ音やクリック音よりはいい音だということは認めるが)しか含まれておらず、AT&T から追加の着信音を購入することはまだできない。そのビジネスが携帯電話キャリア各社にとって驚くほど儲けの多いもの(例えば 2005 年ではおよそ 6 億ドル)であることが分かっているのにもかかわらずだ。この記事を書いている時点では、iTunes Store で楽曲自体の料金 $0.99 に追加してさらに $0.99 支払えば 30 秒の楽曲断片を提供してくれるという Apple の新しい 着信音サービスはまだ稼動していない。[訳者注: 9 月 11 日にこのサービスがスタートしたようです。]

(iTunes 7.4 のリリースによって iToner 1.0 の機能が動かなくなってしまったが、そのため先週末に iToner の 1.0.1 アップデートが出された。)

この iToner で注目すべきなのは、iPhone をハッキングするソフトウェアが一切不要だということだ。オーディオファイルを追加するには、単純にそれらのファイルを iToner の iPhone 風ウィンドウの中へドラッグしてから Sync ボタンを押せばよい。するとそのファイルが iPhone にコピーされ、Sounds 環境設定パネルに登場する。また、Advanced オプションを使えば個別のファイルの代わりに iTunes のプレイリストを同期することもできる。

itoner

私自身は着信音に一喜一憂したりしたことはなかった。何と言っても、ただのちっぽけなオーディオ断片だけのためにお金を費やすのは馬鹿げている気がしたし、それに他の携帯電話でのようにオーディオファイルを変換してから追加する手順が面倒に思えたからだ。ここの手順が易しくなったことで、私はもう一度見直してみることにした。私は人気のヒット曲を自分の携帯電話の着信音にしたい気などさらさらないが、コンタクト相手によってカスタム着信音を使い分けられるのはいいことだと思う。(例えば、妻からの電話と自分の親からの電話では違う音が鳴るという具合だ。)

私は iMovie '08 に付属するサウンドエフェクトからいくつかサウンド断片を選んでみた。これらは既に MP3 フォーマットだったからだ。iMovie '08 で、Music and Sound Effects ボタンをクリックし、iMovie '08 Sound Effects フォルダをクリックし、それから曲のファイルをダブルクリックして聴いてみる。タイトルを右クリック(または Control-クリック)して Reveal in Finder を選べばファイルが見えるので、それを iToner にドラッグすればよい。もう一つ、Apple から無料提供された良いリソースがある。iLife Sound Effects フォルダだ。(これも iMovie から使え、/Library/Audio/Apple Loops/Apple にある。)こちらは AIFF ファイルとして保存されているので、私は iTunes を使って欲しいファイルを AAC フォーマットに変換してから iToner にドラッグした。

iToner の価格は $15 でダウンロードサイズは 2.7 MB、Mac OS X 10.4.10 か それ以降を要する。30 日の試用期間は無料で使える。


MarsEdit 2.0 発進

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

Red Sweater Software は MarsEdit 2.0 をリリースした。これは 2007年2月に NewsGator Technologies からこのウェブログ出版ソフトウェアを買収して以来初めての主要なリリースとなる。MarsEdit は、元々 Ranchero Software の Brent Simmons によって開発されたのだが、NewsGator が Ranchero から NetNewsWire アプリケーションのために買収して以来どことなく元気を失っていた。Red Sweater の Daniel Jalkut が買収以来頑張ってきており、ユーザーインターフェースの改良、ポストするファイルや画像を追加するのをきわめて容易にし、自分の Flickr アカウントから自分のブログに写真をポストするために Flickr とのシームレスな統合を行い、HTML タグの入力を単純化するためのマークアップマクロを追加し、印刷サポート機能を作りこむ等々の改善を行った。MarsEdit 2.0 は、Blogger/Blogspot, Blosxom, Conversant, Drupal, LiveJournal, Manila, Movable Type, Radio Userland, TypePad, Vox, そして WordPress によって運用されているブログをサポートするが、これらの中には MarsEdit が必要とする API を完全にはサポートしていないものもあり、その場合は対話が制限されることになる。そのほかのブログサーバーでも、必要な MetaWeblog か Blogger コンパチの API を提供している所もあると思われる。

過去一年ほどの間、私はウェブログにポストするのに主として Ecto を使ってきている。このプログラムの新しいバージョンも現在作業が行われているというが、今時点では MarsEdit 2.0 は Ecto の性能に追いついた様に思われるし、更により簡単で優雅なインターフェースも提供している (私は Ecto にちょっとぎょっとさせられる時が結構ある)。

私が、MarsEdit と Ecto のどちらにも共通していて面白いと思ったのは、どちらも基本的にはワードプロセッサであるが、書くこと自体よりも書いたものをオンライン出版する側に重点を置いているということである。両方とも一般的に言えばエディタとしては強力であるが、長いブログを書く人は稀なので、本格的なワードプロセッサが持つ様な機能をあえて備える必要はない。

それはそうとして、私にはこれらのプログラムが進化していく二つの大事な方向があると思える。一つは、種々のマークアップ言語のサポートである。現在でもどちらも各種の言語、Markdown や Textile といった、をプレビューすることは出来るが、どちらも、例えば Markdown 言語で、書き下ろすことは許しておらず、まず HTML に変換してそれから目的地のブログにポストする必要がある。結果としてどうなるかと言えば、自分のブログサーバーが Markdown をサポートしていない場合は、自分でマニュアルに変換を行わない限りそこへの書き込みは行えない。これを MarsEdit に入れ込むのはそんなに難しいこととは思えない;そうすれば、テキストを HTML へ、或いは、から (既にポストされたものを編集するため) 即座に変換することも可能になり、ユーザーが Markdown だけで書くことも (我々が昔 TidBITS 記事を書いていたやり方) 可能になる。

二つ目は、私が "求む: より良い書類協同編集システム" (2006-04-03) の記事で書いた様に、MarsEdit の様なウェブログエディタを、小グループでのドキュメント共同制作を可能にする共有ウェブログと共に使うことも可能である。残念なことには、我々が身をもって体験したように、この作業はきわめてぎこちなく間違いが起こりやすい、というのも誰が何をいじっているのかわかる術がなく、そのためポストされたものを上書きしてしまうことも起こりがちだからである。解決策の一つは MarsEdit の将来バージョンが、Subversion の様な管理システムのクライアントとして働くことであろう。ここで Subversion は破壊的な不具合にならないようロックしたりバージョン管理を行ったりする。他のやり方としては、Red Sweater が MarsEdit のコピーがお互い同士で話が出来る方法を見つけ出すことである、そうすれば認定されたコピー同士が相手が何を編集しているのかを知ることが可能となる。

MarsEdit 2.0 は Mac OS X 10.4 かそれ以降を必要とする。値段は $29.95 だが、30日のお試し版 (4.1 MB ダウンロード) としても入手可能である。以前のバージョンからのアップグレードは $9.95 である;もし MarsEdit 1 を 01-Jul-07 以降に買った人には新バージョンは無償である。


DealBITS 値引き: Nisus Writer Pro が $10 引きに

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週の DealBITS 抽選で当選し、Nisus Software の Nisus Writer Pro($79 相当)を受け取ることになったのは、myrealbox.com の Gregor、yahoo.com の Nancy Gagliardi、mac.com の Jens Selvig の3名だ。おめでとう! また、lostinmontana.com の Robert Hayes にも、Jens を DealBITS に紹介して下さったお礼として同じものが贈られた。残念ながら当選しなかった皆さんも落胆することはない。Nisus Software はすべての TidBITS 読者の皆さんを対象に 2007 年 9 月 20 日までの期間、Nisus Writer Pro を $10 値引きの $69 で提供している。この値引きを受けるには注文の際にクーポンコード“tidbits”を使えばよい。今回応募された 1,464 人の皆さん、どうもありがとう。また今後の DealBITS 抽選もお楽しみに!

DealBITS 抽選: Name Munger が当たる

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

こんなに大変な仕事であるはずがない、と思えるような作業はいろいろあるが、たくさんのファイルの名前を変更する作業もその一つだ。もちろん、もしもあなたがコマンドラインの達人なら、そんな作業は grep を使って軽くこなせるかもしれない。でも、そうでない残りの私たちのために楽な作業へのチケットとなってくれるのが、Sonora Graphics から出ている Name Mungerのようなユーティリティだ。これを使えば、ファイル名の中でテキストの置換をしたり、接頭辞や接尾辞を追加したり、ファイル名の中で特定のテキストが1回以上現われているのを削除したり、ファイル名や拡張子で大文字・小文字を変換したり、順にファイルに番号付けしたりできる。たとえグラフィカルなインターフェイスがあっても、テキストのパターンで作業をする際にすべてを正しく処理し切るのは困難なことであることが多いが、この Name Munger では改名したい一連のファイルをあなたがそこにドラッグすると、あなたの現在の設定で変更の結果がどうなるか、ライブでプレビューが表示される。誰もが毎日使うユーティリティだなどと言うつもりはないが、価格もたったの $10(今回の応募者には割引がある)なので、きっとほんの数回使っただけで Name Munger はそれだけの価値があるだろう。

今週の DealBITS 抽選では、Name Munger 1.0 を4本、賞品にする。それぞれ定価 $10 相当の製品だ。幸運が足りずに当選から漏れた応募者にも Name Munger の割引価格になるので、ぜひ奮って DealBITS ページで応募して頂きたい。寄せられた情報のすべては TidBITS の包括的プライバシー規約の下で扱われる。どうかご自分のスパムフィルターや challenge-response システムに注意されたい。当選したかどうかをお知らせする私のアドレスからのメールを、あなたに受け取って頂くのだから。また、もしもあなたがこの抽選を紹介して下さった方が当選すれば、紹介に対するお礼としてあなたの手にも同じ賞品が届くことになるのもお忘れなく。

[訳注: 応募期間は 11:59 PM PDT, 16-Sep-2007 まで、つまり日本時間で 9 月 17 日(月曜日)の午後 4 時頃までとなっています。]


Fetch Softworks で MacBook や iPod nano が当たる

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Fetch Softworks 社のわが友人たちが、アメリカ合衆国内の学生、教師、その他学校関係者(在宅学習も含む)を対象に、新学期の作文コンテストを実施している。課題内容は、学校関係の目的でどんな風にファイル転送プログラム Fetch を使っているかについてだ。応募作文の長さは1段落から1ページ程度とのことだが、やはりしっかりと努力を注いだものを応募したい。なぜなら、Fetch 社は優勝賞品として新しい MacBook($1,499 相当)と副賞の現金 $750、準優勝の4名にはそれぞれ新しい 8 GB iPod nano と副賞の現金 $100(さらに以上5名それぞれに Fetch のマスコット犬のぬいぐるみも付く)という、豪華な賞品を提供しているからだ。Jim Matthews が私たちに語ったところによれば、審査員たちは最も「創造的、印象的かつ普通でない方法」で Fetch の利点を生かした応募者を審査するのだという。もちろん、そうは言っても、すべてを弱強五歩格で書いた詩や韻を踏んだ2行連句などで書けばボーナス点が付くに違いないことに私は賭けてもよい。このコンテストは 2007 年 9 月 10 日から 2007 年 9 月 21 日まで実施され、入賞者は 2007 年 10 月 2 日に発表される。当然ながら商品の購入の必要はない。ましてや Fetch は昔から 学校関係および慈善団体に対して無料で提供されてきたのだから。


Palm が Foleo を Kerbango する

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ブログ The Official Palm Blog の記事で、Palm 社 CEO の Ed Colligan は Palm が Foleo を葬り去ることになったと発表した。Foleo というのはスマートフォンのアクセサリで、見かけも挙動もラップトップ機のようだが、Palm の社員たちがあくまでラップトップ機では _ない_ と主張する、というものだった。予定ではこの Foleo が今月中に出荷されるはずだった。(Kerbango とは、元 Palm の親会社であった 3Com によってやはり発売直前に葬り去られたインターネットラジオ機器だ。)

Colligan の述べた理由は、Palm 社は現在その次世代ソフトウェアプラットフォームの開発をかなりの段階まで進めてきており、どうやらこの Foleo はそのプラットフォームを使わないから、というものだ。「考慮の結果、Palm 社にとって正しい道とは、ただ一つの首尾一貫したユーザーインターフェイスをこの新しいプラットフォームデザインを中心として提供することだと分かった」のだという。その新しいプラットフォームがどんなものかはまだ分からないが、この記事の語り口から察するにこれは何か自家製のものであって、あの ACCESS(元 PalmSource、Palm OS を開発しライセンス供与するために Palm がスピンアウトで作った会社)が何年もかけて Palm OS の後継として開発してきた次世代プラットフォームとは別のもののようだ。

Colligan はこう結んでいる。「新たに焦点を絞られた Palm のこの目標によって、私たちのコアマーケットであるスマートフォンの市場に、私たちがより人の心を惹き付けるソリューションをお届けすることができ、長い目で見れば、ただ一つの Palm 体験のまわりに私たち自身を位置付けることができるようになると信じています」と。私としてもそれを願いたい。だって、この Foleo ではただ Palm の不振を助長するだけだったから。


TidBITS AutoCorrect Dictionary が TextExpander と TypeIt4Me にも

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

おお、パブリックドメインの素晴らしさよ! 私たちのパブリックドメインの辞書ファイル TidBITS AutoCorrect Dictionary を Ergonis Software が Typinator 2.0 用のバージョンに作り替えてくれた(2007-08-27 の記事“TidBITS AutoCorrect Dictionary が Typinator を引き立たせる”参照)のに引き続き、SmileOnMyMac の Greg Scown が私に連絡してきて、これは本当にパブリックドメインなのか、 TextExpander 用に配付してもよいか、と尋ねてきた。私は実際その通りだと彼に答え、それから一週間も経たないうちに、SmileOnMyMac はこの辞書ファイルの TextExpander 版.を公開した。また、Riccardo Ettore の TypeIt4Me は TextExpander との間で互いに相手のファイルの読み込みができるので、TypeIt4Me ユーザーもこの TextExpander 版をダウンロードして使うことができる。(TypeIt4Me について詳しいことは、2006-08-07 の記事“TypeIt4Me がまた、再び、復活”を参照。)これを可能にしてくれた SmileOnMyMac の人たちに感謝したい。また、元々のワードリストの大部分を作ってくれた Micah Alpern にも感謝したい。


近代的な TidBITS ウェブサイトをデザイン

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

17 年前に私たちが TidBITS を始めた時から、インターネットは真に重大な意味でいろいろな変革を遂げてきた。それでも私たちの出版に対するアプローチの仕方はあまり大きく変わることもなく続いてきた。その大きな理由は私たちが文章を書くことに集中する必要に迫られていたからで、より大きな全体像を見ることをしてこなかったからだと思う。はっきりと言ってしまえば、出版に対する私たちの古びたアプローチ方法のせいで、新規に読者を得ることがますます難しくなってきていることは否めないだろう。そして、その必要性は、先日実施した読者アンケートでもくっきりと浮き彫りにされたものだった。

私たちに残された選択肢は単純だった。進化するか、それとも死に絶えるかだ。もちろんこれは誇張して言っているのだが、私たちの出版方法の多くが時代遅れであるのは明らかで、そのために私たちがスポンサーに魅力を感じさせることができず、その結果十分な収入が得られないで私たちが本当に書きたい種類の記事に没頭することもできない状況になってきているのだ。収入が減れば、私たちは生計をたてるために他のことに注意を集中させねばならず、そのために TidBITS が次第に先細りになって行くこともあるだろう。それに、私たちとしても、最新のテクノロジーについて記事を書いているのに昔と同じ方法で仕事を進めているという事実に心理的違和感を感じつつあったのも確かだ。自分が実行していないことを、口に出して言っても信用してもらえるだろうか?

だから、やっと今回皆さんに、私たちが何か月も前から(実際毎週の号を出したり、電子ブックを出版したり、他のいろいろなプロジェクトを進めたりする合間に)作業を続けてきた再デザインの巨大なプロジェクトから、覆いのシートを剥がしてその内容をご披露できることは、私にとって無上の喜びなのだ。皆さんが今すぐ 私たちのウェブサイトを訪れて下されば、このサイトが完全に違ったものとなっているのがお分かりだろう。この記事では、私たちがどんなことをしたのか、またいくつかの点についてはその理由と方法を、説明させて頂きたいが、その前に主要な変更点だけを箇条書きすれば次のようになる:

この再デザインに力を貸してくれたすべてのスタッフの面々に感謝したい。特に、自家製 Perl・MySQL のデータベースと、サイトの DHTML・AJAX コードすべての立案者たる Glenn Fleishman と、すべてのグラフィックスと CSS レイアウトを担ってくれた Jeff Carlson に感謝したい。Tonya と私は指揮監督とプロジェクト管理を担当し、チームのその他スタッフや数多くの友人たちが、至る所でフィードバックを提供してくれた。皆さん、ありがとう!

全体的な目標 -- たいていの人たちは TidBITS と言えば私たちが月曜日の夜ごとに電子メールで送り出している毎週の号と結び付けて考えているだろう。もう長年にわたって、この毎週の号というものが私たちの唯一の公的な顔となってきた。そして、私たちが初めてウェブサイトを作った時、それはただ単に各号が出版された後にその号をウェブブラウザを使って読めるようにしただけのものだった。けれども 1997 年に私たちはコンテストを実施して、ウェブベースの検索エンジンで TidBITS を検索してその結果を号レベルでなく記事レベルで返せるようなものを作ろうとした。(1997-03-03 の記事“TidBITS 杯争奪 Macintosh 検索ツール決定戦”参照。)それから数カ月後、私たちは最初の動的サイトをお披露目するに至った。そこには、フルテキスト検索、記事レベルの表示、そして週半ばにも更新される TidBITS Updates が実現された。(1997-10-06 の記事“400 号と可変 Web サイト”参照。)その後の年月の間に、TidBITS Updates は Breaking News へ、そして ExtraBITS ウェブログへと変貌を遂げた。けれどもそれだけの変更にもかかわらず、TidBITS の基本は変わらずに毎週の号という概念を基盤としたものであり続けた。

サイトの再デザインにおける私たちの主要な目標の一つは、号を中心としたこの出版モデルから、記事を中心としたモデルへと移行することだった。号でなく記事の観点から TidBITS を考えることによって、私たちはより素早く最新ニュースをカバーできるとともに、ただ単に号の出版の直後だけでなく週を通じて私たちのサイトに読者たちを惹き付けることができるようになる。(これまでずっと私たちのウェブトラフィックは、出版直後の火曜日に急上昇を示し、その後はずっと下がり続けた状態が次の火曜日まで続く、という挙動を示していた。号のフルテキストを電子メールで受け取ったり、または通知だけを受け取ったりした後で記事をオンラインで読みたいという読者が多かったのだ。)

また、私たちは号がいまだにサイトのコンテンツにおける単位として圧倒的な位置を占め続けていることに対して違和感を感じるようになってきていた。長年 TidBITS を読み続けてこられた人にはそんなことはないかもしれないが、私たちは紙に印刷した出版物でさえも今どきその号をそのままの形でオンラインに複製している例がほとんどないという事実を見れば、このやり方が新しい読者たちに何らかの混乱を招くことは間違いないだろうと考えている。もしもあなたが生まれて初めて私たちのサイトを訪れたとして、ある記事が掲載されたのが TidBITS の 894 号であるかどうかなど、あなたに何か意味があるだろうか? それはあり得ないし、きっとあなたはこれは何のことかと考え込んでしまうだろう。ウェブをデザインする上で非常に大切な経験則が、その話題を扱った Steve Krug の名著の書名に集約されている。「俺を考え込ませるな」だ。人々を考え込ませてしまうようなデザイン要素、例えば私たちのホームページでいろいろな記事を号の中に括って表示するようなことは、人々の気持ちを遠ざけてしまう可能性が高い。

もう一つの目標は、サイトにもっと近代的なルック&フィールを与えたいということだった。以前は、できるだけ多くの読者層に手の届くものでありたいという願いから、当時は洒落た新機能であった Cascading Style Sheets (CSS) をページのフォーマットに使ったり、さらには横 640 縦 480 ピクセルのディスプレイで読める広さよりも大きくブラウザのウィンドウを広げることを要求したりすることすら避けるように心掛けてきた。1997 年には、いや 2002 年であっても、この気遣いは意味のあることだったろう。でも、2007 年の今、私たちのウェブトラフィックの統計情報を見ても明らかなように、横 1024 縦 768 ピクセルのディスプレイで CSS フォーマットのページを見ることができない読者の数はほんのごく少数に限られている。(そういう人たちにとっては、どのみち他のいろいろなサイトもひどい見え方をするか使えないかすることが多いだろう。)

デザインの観点からは、従来の私たちのサイトは記事の文章を公開するという意味ではうまく機能していたものの、ロゴだけのために大きな縦方向のスペースを浪費し、また提示されていたナビゲーションリンクも、ユーザーがコンテンツを見つけ出すためよりむしろサイトの概略を表わすという性格の強いものだった。正直言って、私たち自身、心の底からこのサイトに飽き飽きしていた。なのに、私たちは毎日何度もここをじっくりと見る必要があるのだ。

ページのレイアウトをデザインし直すことは、同時に私たちのスポンサー各社の広告や、Take Control タイトルの宣伝、さらには(もしスペースに余裕があれば)Google AdSense からの広告などを表示するための追加の領域を組み込める機会が生まれたことをも意味していた。今日のウェブでは、ほとんどの出版者たちが広告によって収入を発生させている。もちろん私はこれまで常に他の収入源をも模索し続けてきたが、今のところ私たちの経験では TidBITS が必要とするだけの金額を安定して稼ぐことのできる道は広告しかない。願わくは、この新しくなったデザインのお陰でより多くの読者を惹き付けることができ、それがひいてはスポンサーの目から見て TidBITS をより魅力的なものとすることで、収入の向上が得られればと思う。

最後にもう一つ、私たちスタッフ同士の議論から生まれてきた目標がある。新しいサイトでは、個々のスタッフメンバーにもっと光が当たるようにしたいということだ。あまりにも多くの読者たちが、TidBITS はすべて私が書いているとまだ思い込んでいるらしい。スタッフとして加わっている個人個人がそれぞれに TidBITS 以外の多くのプロジェクトに手を染めている(Mark Anbinder でさえ、ちゃんと職業を持っているのだ)のだから、わがチームの編集者一人一人がそれぞれに熟達した専門家だという事実をきちんと認識してもらえるようにすることは、私たちの全体的なプロフィールを向上させる以外の何物でもないだろう。

サイト一巡り -- これからサイトを一通りご紹介するので、あちこち見て行きながらそのデザインがどのようにして私たちの目標に結び付くかを説明させて頂きたい。

各ページのヘッダには、3つの基本的部分がある。まず TidBITS ロゴ、そして私たちスタッフメンバーそれぞれの顔が並び、それから Take Control ロゴがある。この新しい TidBITS ロゴは、比較的少ない縦方向のスペースをとる一方で、背景に MacBook Pro(と、TidBITS の i の文字の点を表わす林檎 (Apple) の葉)をあしらい“Mac news for the rest of us”のスローガンを添えることで Apple に焦点を絞ったことを表わしている。私たちの顔写真は TidBITS が本物の人々の少数のグループによって作られていることを明確にするためのものだ。私たちは、決して巨大な会社の交替可能な従業員ではないのだ。また、これらの顔写真はそれぞれの新しいスタッフブログへの手早いリンクとなるとともに、そこに現われる文言に気を付けて見て頂ければちょっと楽しい工夫も施されていることがお分かりだろう。Take Control ロゴをヘッダ部分に組み込んだのは、TidBITS と Take Control の間の密接な関係を印象づけるためのものだ。

ページ左側にあるナビゲーションバーにはいろいろの工夫が織り込んである。私たちは、これをただ単に私たちのサイトの概略を表わすものとしてでなく、読者の立場からこれを使うことを考えてデザインしたつもりだ。その目的のために、まず初めに並ぶリンクは皆さんが TidBITS を定期的に受け取るための主な購読方法に関するものだ。(定期購読して頂くのは、皆さんがご自分でまた訪れて下さるのを待つよりもずっと良い方法だろう。) 電子メールによる購読方法は以前と変わっていない。(このリンクで、既存の購読者の皆さんは購読管理の手続きができる。)一方 RSS フィードには、新たに個々の記事ごとにすべてのテキストを付けるオプションが加わった。また、記事のオーディオ版が受け取れるポッドキャスト購読を新たに設けたので、これであなたは通勤中や、エクササイズの最中、仕事中など、お好きなことをしながら TidBITS を聴くこともできる。各号の編集の最終段階が済んでから私が自分で記事を読み上げて録音しているので、どうかプロフェッショナルによる読み聞かせは期待しないで頂きたい。

購読方法のリンクの後には4つのタブヘッダが並んでいる。順に、Sections (セクション)、Staff Blogs (スタッフブログ)、Issues (号バックナンバー)、About TidBITS (TidBITS 情報) の4つだ。どれかをクリックすれば、そのタブの内容であるリンクがその下に展開して表示される。その際、それまで開いていたタブヘッダは自動的に閉じるので、新たに表示させたタブのみに集中することができる。[訳者注: この翻訳原稿を書いている時点で、この4つのタブヘッダと並んでもう1つ、Forums という項目が見えています。これは、タブヘッダではなく単独のリンクで、クリックすると読者による討論フォーラム TidBITS Talk(の一覧ページ)が開きます。ただしこのあたりはまだ実験的で、また変更されるかもしれません。]

この新しい「セクション」タブで、私たちのサイトがぐっとアクセスし易くなると私たちは予測している。「セクション」タブを使うとページのメイン部分に登場する記事タイトルがフィルター分けされて、そのセクションに該当するもののみが表示されるようになる。最初の TidBITS Home セクションでは、すべての記事(ただし他のセクションにクロスポストされていないスタッフブログ記事は除く)が表示されるが、それ以外のもの、例えば iPod & iPhone セクションを選ぶと、iPod や iPhone に関係した記事だけが表示される。一つの記事が複数のセクションにまたがることもできる。例えば Apple の新しい機種の iPod を扱った記事は、iPod & iPhone セクション、Networking & Communications セクション (iPod touch の Wi-Fi 機能のため)、それに Entertainment News セクション (iTunes Store の統計情報のため) の3つに属するだろう。

「スタッフブログ」タブは新しく追加されたもので、私たちスタッフメンバーたちがそれぞれに興味深い、あるいは楽しいと感じたけれども、それを一つの記事にまとめるまでの気にはならない、あるいはその時間がない、そんな種類の情報を皆さんにお伝えするため、よりくだけた非公式な形で書き留めておこうというものだ。このブログの項目と一般の記事との間にそれほど厳密なはっきりとした区別はないので、私たちの記事基準に適合するようなブログ項目は他のセクションにクロスポストされることもある。

ページのコンテンツ領域に目を移すと、そこでは記事が、要約付きの見出しか、または記事の全文というどちらかの形で読める。皆さんからは、サイトに馴染みのない人にとってはページのヘッダ部分とタブラインの部分が決定的に重要だというフィードバックを多く頂いた。だからこそ、私たちはページの一番上近く、ヘッダ部分のすぐ下に、自分たち自身についての説明をより具体的に“Your source for indispensable Apple and Macintosh news, reviews, tips, and commentary. Thanks for joining us!”「必須の Apple と Macintosh 関係ニュース、レビュー、ヒント、論評など、あなたのための情報源です。訪れて下さってありがとう!」と書き加えることにした。また各セクションのコンテンツ領域の冒頭には、セクションのタイトル(例えば“Support & Problem Solving”「サポートと問題解決」)のすぐ下に、そのセクションの内容をより詳しく説明した文言を(例えば“Read on if you're not afraid to open the case, edit a plist, use the command line, or install a hack”「マシンの中を開いたり、plist ファイルを編集したり、コマンドラインを使ったり、ハックをインストールしたりするのが平気な人はどうぞお読み下さい」のように)書き加えることにした。

それぞれのセクションでは、一番上に「固定された」記事が来る。これは、私たちがそのセクションで現在最も重要だと思う記事だ。その後には、記事の見出しが時間順で、つまり最も新しい記事が一番上に来るように並ぶ。それぞれの見出しには短い要約の文章と、筆者の名前(名前をクリックすればその人が執筆した記事の一覧が出る)と日付、その記事について TidBITS Talk にコメントを投稿できるリンク、それと Recommend リンクが付く。この Recommend リンクは AJAX を使って読者の投票を集計・表示し、これを記事の人気度の判定に使うのだ。

読んだ記事が気に入れば、どうぞ Recommend をクリックして頂きたい。するとプラス記号の後の数字が1つ増え、表示されるテキストが“Thanks!”に変わる。私たちは Recommend がクリックされた回数をそのページの訪問回数で割り、他の要素も入れて計算することでそれぞれの記事の人気度を算出し、その結果を Most Popular Articles「最も人気ある記事」リストに表示する。

記事のタイトルかまたは Read More をクリックしてその記事を表示させれば、その記事の全文が含まれたページが開く。記事の一番上にはさきほどと同じメタデータ(著者、日付、コメント、Recommend)があり、またその記事にオーディオ版があれば Listen リンクも付く。そのこと以外、記事そのものについては以前とあまり変わっていない。ただ、これからは以前よりも頻繁に記事の中に適切なグラフィックスを盛り込むようにしたいと思っている。

記事の見出しや文章の領域の右側には灰色のボックスがあって、その中ではさまざまの見出しウィジェットが、私たちのデータベースから動的に生成されたコンテンツを表示する。例えば Most Popular Articles「最も人気ある記事」リストや、関連した記事のリスト、同じ号に載った他の記事のリスト(いずれも該当するものがある場合)などがここに含まれる。今後もっといろいろな見出しウィジェットも作ってみたい。この灰色のボックスには、最新の Take Control 電子ブックや、その他のことがらの宣伝を入れる余地もあるだろう。

私たちのサイトの検索機能は以前と変わっていない。でもそれは変わる必要のないことだ。変わったのはそのインターフェイスだけで、これは JavaScript と CSS を使ってあなたが何を見たいかを新しいページをロードすることなく選択できるようになっている。ナビゲーションバーの Sections タブヘッダ部分に、固定された検索フィールドがある。検索結果は、メインの表示部分に記事の見出しリストと同様の形でリストされる。注意して頂きたいのは、個々の見出しごとに Show Summary リンクが付いていることだ。これをクリックすると、その記事の要約が瞬時にその場に表示される。すべての見出しの要約を全部見たい場合は、一番上にある Show All Summaries をクリックすればよい。検索をさらに絞り込みたい場合は、Refine Search をクリックすればより高度な検索のフォームが表示される。(私たちの目標は検索をすべて AJAX フル対応にすることで、そうなれば新たな検索結果も新しいページをロードすることなく現われるようになる。これが実現できれば、サイトがもっときびきびとした印象になるだろう。)

同じように、あなたが /issue (号)あるいは /series (記事シリーズ)のリンクを使って一連の記事を表示させた場合も、今述べたようないろいろなリンクを使えば、その号あるいはそのシリーズに含まれる記事の全文を表示させたり隠したりできる。また、あなたが号を読んでいる場合には、ナビゲーションバーに現在表示されている号の直前と直後の号へのリンクが提供される。

言うまでもなく、まだまだ荒削りなところは残されていてこれから磨き上げなければならない。(例えば、Windows の Internet Explorer では表示上の問題がある。)それに、本質的でない機能でまだ実装されていないものもいくつかある。だから、あなたの期待通りに動かないところに遭遇されることもあるだろう。そういう場合には、まずは記事“Known Issues with Our Redesign”「再デザインにおける既知の問題点」(2007-09-07) を開いて、その記事の現在のバージョンを読んでから、追加のフィードバックを下さる場合には記事の上にある Comment リンクをクリックして頂きたい。よろしくお願いします!

どうやって実現したか -- Glenn が彼のブログ記事“Breakfast, Dinner, Launch: A New Design”(2007-09-07) で書いているように、この再デザインされたサイトは、Perl で書かれ、Apache の上で走る、完璧にカスタム制作のコードから成っている。私たちがこのコンテンツ管理システムに課した要求条件を満たすためには、すべてのコードを自分たちで書く以外に方法が無かった。そして、いったん Glenn がそれをひとまず成し遂げた(それはしばらく前のことだったが)その後は、再デザインにおけるいくつかの要素のため、このコンテンツ管理システムに新たなコンテンツ(例えば要約リストなど)や、さらなるパワーを追加することが求められているのだと分かってくるにつれて、私たちは引き続きこの努力を続けなければならないと思うに至った。

デザインそのものに関しては、私たちはまず自分たちがどんなことを望んでいるのかについてブレインストーミングの作業を開始しつつ、いろいろな異なった機能を小箱に振り分けてモジュール化し、それらをいろいろと配置しながらウェブページの草稿を練って行った。ただしその際は、毎回コードを書き換えることはせずに Photoshop や InDesign のようなプログラムに依存して手軽に項目を配置し直すようなこともあった。草稿を共有することには当初さまざまの困難があった。なぜなら私たちは静的なテキストと画像で作業をしていて、Jeff が個々のページを彼のサーバで表示させていたからだ。その後 Glenn が草稿のデザインをテンプレートに変換させて私たちのコンテンツ管理システムからダイナミックにコンテンツを読み込んで表示できるように書き直してからは、サイトのより完全なビジュアル化がもっと手軽にできるようになった。

Glenn は Perl で HTML::Template モジュールを使っていたので、私たちはその HTML テンプレートや、動的な AJAX 機能を提供する JavaScript のスクリプト、あるいは CSS スタイルなどから Perl コードを分離して扱うことができた。その結果、Jeff と Glenn は互いに常時同じファイルにアクセスする必要もなく、同じサイトでの同時作業が簡単にできるようになった。コンフリクトが起こったことも何度かはあったが、私が Panic の Coda を薦めてみたところ、彼らは二人ともプロジェクトの最中に知らないツールを試してみるのは無理だという返事だった。(Coda はリアルタイムの協同編集作業のためのもので、これがあれば少なくとも理論的には彼らが同じファイルを同時に編集しても構わないことになるはずだ。)それも無理からぬことだった。たくさんのことを同時にするのは大変な負担だし、いずれにしても彼らは二人とも十分に BBEdit に慣れ親しんでいるのだから。

もう一つ、今回非常に重要なアプリケーションとなったのは MacRabbit の CSSEdit だった。これを使えば、コードを一から書き始めなければならない場合でも CSS コードの作成がずっと速くクリーンにできる。CSSEdit は CSS デザインのためにアプリケーションなのだが、このプログラムはどこかが変になった際のデバッグ作業でも大いに助けになる。古き良き時代と同じに、私たちの新しいテンプレートはすべて手で書かれたものだったので、単純なタイプミスや、コンテナのネスト階層の不一致、またいくつかのブラウザでなぜか奇妙な挙動をするなどということも時々あった。もしも CSSEdit が無かったら、私たちは不正なスラッシュ文字を発見するだけのために何時間も空費する羽目になっていたかもしれない。

私たちはまだ公開されていないツールも一つ使っていた。このツールについて詳細をお話しすることはできないが、基本的にこれはウェブベースのプロジェクト管理システムであって、特に少人数のグループでの作業に向いたものだ。これを使って私たちは互いに作業を決めて割り当てたり、それぞれの作業について互いに意見を交換し合ったりした。このツールはまだリリース以前のものなので不満の溜まることもあったが、協同作業において作業リストを共有したり個々の作業について議論したりするのは、進捗状況を追跡してプロジェクト全体の勢いを保つために絶対に欠くことのできないものだった。

より良いプラットフォームへ -- 最後に、今回の再デザインにおいて重要な事実がある。それは、これによってさらに新しいツールやサービスをその上に組み込むことのできる、以前よりも遥かに優れたプラットフォームが私たちに与えられたということだ。私たちにはたくさんのアイデアがある。けれどもそれらを実現するためには、それらを内包するための適切な基盤構造とサイトのデザインが手に入る時が来るまで、私たちは待たなければならなかったのだ。

容易に想像して頂けるとは思うが、今回の再デザインを達成するまでに私たちは非常に密度の濃い仕事を続けてきたので、少し回復するための時間を必要としている。また、このサイトの公開を急ぐにあたっていくつか未完成の部分を意図的に塞がず糸を縫い合わせないままにしている個所もあるのでそこはきちんと始末しておかなければならない。それにもちろん、Mac OS X 10.5 Leopard にも対処する必要があるとなれば、そこにもかなりの労力を割かなければならなくなるだろう。でも、何か新しいクールなものができて皆さんに試してみて頂こうということになれば、必ず皆さんにお知らせするつもりなので、どうぞ期待して待っていて頂きたい。


Apple、iPod touch と Wi-Fi Music Store および新しい iPod を発表

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

最近の Apple は、数か月ごとにハードウェアやソフトウェアの新製品を発表するので、ついてゆくだけでも結構大変だ。2007 年 9 月 5 日のスペシャルイベントで Apple CEO Steve Jobs が発表したのは、現行の iPod すべての新しいバージョン、購入した一部の楽曲からオリジナルの着信音が作れる新しいバージョンの iTunes、タッチスクリーンと Wi-Fi 機能を備えた新しい iPod touch、そして Wi-Fi 接続を経由して iTunes Store から音楽を購入できるという iPod touch と iPhone の機能だ。

だがはじめに、数字をいくつか見てみよう。これは本当に大きな数で、それゆえ愉快な数だし、Apple の暗かった日々を覚えている人たちにとっては特にそうだ。現在までのところ、Apple は 6 億本以上の iTunes を配布した。iTunes はそれだけでもすばらしく機能するが、Apple の観点から見ると、これは主にオンライン iTunes Store へのインターフェースである。そのiTunes Store はというと、

Jobs はまた、満面の笑みを浮かべながら、2006 年に米国でリリースされた音楽すべてのうち 32 パーセントは CD としてリリースされずオンラインにだけ登場したと報告した。そのほとんどはまちがいなくインディペンデントのものだろうが、それでも、意味ありげな傾向だ。

Jobs は最後に、Apple はこれまでに 1.1 億台の iPod を販売したと報告した。言うまでもないことだが、販売グラフに毎年尖った山があるのは、年末の買い物シーズンのせいだ。今年のシーズンに活力を与えるべく、Apple はiPod shuffle を新色でアップデートし、iPod nano と新しい名前の iPod classic のデザインを変更し、iPod touch を発表した。

iPod touch -- Apple が iPhone を発表したあと、同じ機能で携帯電話部分がないものを人々が求め始めるのに、それほど時間はかからなかった(特に、2007-07-02 の "スタッフ円卓会議: iPhone を買うのは誰だ?" に Adam が寄せた部分を参照)。そして Apple はまさにそれを生み出した。iPod touchは、iPhone に非常によく似た筐体の音楽およびビデオプレーヤだ。画面サイズは同じ 3.5 インチ(88.5 mm)で、802.11b/g Wi-Fi が搭載され、iPhoneで使われているセルラー方式の EDGE データ規格は省略されている。8 mm(.31 インチ)というのは、iPhone より薄く、Jobs が言うにはフル充電で音楽を 22 時間、ビデオなら 5 時間再生できる。

iPod-touch-horizontal

iPod touch には iPhone と同じマルチタッチインターフェース(ページをはじいてめくったり、写真を指でつまんだり広げたりしてズームしたりする)が搭載されており、仮想キーボードも同じだ。また、本体が横向きになっているか縦向きになっているかを加速度計で感知して、それに応じて表示を切り替える機能もある。

Wi-Fi 接続機能によって Safari を使ってウェブにアクセスし、YouTube のビデオを見ることができる。奇妙なことに、Mail プログラムがないが、Safariでウェブメールサービスを使えるはずだ。しかし、iPod touch の Wi-Fi 機能の本当の売りは、新しい iTunes Wi-Fi Music Store(後述)に対応していることだ。

iPod touch は2つの構成で今月後半に発売される。8 GB モデルが 299 ドル、16 GB モデルが 399 ドルだ。

iPod touch と iPhone から Wi-Fi 経由で音楽を購入 -- Apple は同社の新しい直接購入オプションを注意深く iTunes Wi-Fi Music Store と銘打った。これは今月後半に iPod touch と iPhone のオプションとして登場する。Wi-Fi という部分が、iPhone で使われている低速な EDGE 接続では利用できないことを強調している。これはすぐに AT&T のネットワークを埋没させるだろう。また、ビデオをダウンロードすることはできない。音楽だけだ。ホットスポット業者の立場から言えば、1.5 Mbps から 8 Mbps のネットワークバックホールで数ギガバイトのダウンロードを許すのはよいことではない。(寄稿編集者 Glenn Fleishman がかつていくつかのホットスポット業者と話したところでは、彼らは携帯機器で音楽をダウンロードすることさえも快く思っていなかった。)

iPhone と Microsoft Zune のどちらも、内蔵 Wi-Fi を使って音楽をダウンロードする方法がないと批判されてきた。今回の追加によって、iPod touchが Zune に先んじることはまちがいない。Zune とそれに関連するストアが音楽を買ったり聴いたりするときの選択肢として考慮に値するものであったことがこれまでに一度でもあったとしての話だが。(Apple が iPod touch を発表する前日、Microsoft は 30 GB の Zune を 50 ドル値下げして 199 ドルとした。)

音楽ストアアプリケーションを使うと、楽曲を人気順、新着順、ニューリリースのおすすめ順に眺めたり、短いプレビューを聴いたり、題名で検索したり、Buy Now ボタンをクリックして購入したりできる。iTunes Store の音楽ライブラリすべてが利用可能だ。

この Wi-Fi ストアはまた、 Starbucks との新しい提携関係ともうまく統合されている。Starbucks の創業者にして会長の Howard Schultz がステージに上がり、iTunes を動かしている Mac または Windows コンピュータまたはiPhone や iPod touch が Starbucks 店内の特別に設定された T-Mobile HotSpot ネットワークの範囲内に入ったときに現れる 特別なボタン を見せびらかした。

このボタンは、現在店内で再生されている楽曲を購入するオプションを表示する。また、店内で再生されたもののうち最近の 10 曲を見ることもできる。Wi-Fi ネットワーク接続を使って、iTunes Wi-Fi Music Store をブラウズしてほかの楽曲を購入することもできるが、インターネットにアクセスするには、メインのネットワークに有料で参加するか、既存の T-Mobile HotSpot 登録を使うかしなければならない。この機能は、Mac や Windows で動いているiTunes でも iPhone でも利用できる。

Seattle と New York の 600 店の Starbucks で、2007 年 10 月 2 日からこのオプションが導入され、San Francisco の 350 店(2007 年 11 月)、Los Angeles の 500 店(2008 年 2 月)、Chicago の 300 店(2008 年 3 月)がそれに続く。そのほかの店舗は、現在のところ 5,800 店が Wi-Fi に接続されていないが、2009 年までには設備が整う。

(ただし、Starbucks の店舗で T-Mobile の有料ネットワークにログオンするのは、以前から相変わらず苦痛だ。ウェブページを開き、支払い情報か、アカウントを持っていればその情報を入力する必要がある。アカウントを持っていても、有料ネットワークに自動的に参加することはできない。)

Apple が言うには、iTunes Wi-Fi Music Store ボタンは、この機能が今月後半に有効になれば、iPod touch や iPhone を同期するだけで現れる。同様に、Starbucks オプションも、サービスが開始されれば iPod touch やiPhone、iTunes に現れる。

Starcbucks は単にインターネットで音楽購入を可能にするだけのように見えるが、これは始まりなのかもしれない。ここ数年来、多くの Wi-Fi サービスプロバイダが、コーヒーショップにせよ飛行機にせよ電車にせよ、ホットスポットにメディアサーバを組み込むという話をしてきている。そのようなメディアサーバがあれば、人気のある音楽やビデオを数テラバイト分、簡単に格納することができ、ローカルネットワークで購入して、802.11g なら 20 Mbpsを超えるローカルネットワークの速度で転送することができる。Starbucks とApple の今回の動きは、この方向に向かう第一歩かもしれないと思える。

着信メロディ -- 情報元によって見解の相違もあるようだが、着信メロディ、つまり携帯電話の着信音として再生される音楽の断片は、巨大なビジネスとなっているようで、世界全体で年間 50 億ドルにものぼる。ただし、その市場における米国のシェアは比較的小さく、6 億ドル程度だ。M:Metrics の調査によると、2005 年に、米国の携帯電話加入者のなかで、着メロをダウンロードしたことがあると答えた人はたったの 13 パーセントだった。

Apple はここに一枚かんで、市場を拡大することを願い、iTunes に新しく着メロ作成機能を組み込んだ(執筆時点では、この機能はまだ利用できない)。iTunes Store から購入した楽曲に 0.99 ドルを上積みすると(通常は合計1.98 ドルになる)、オリジナルの着メロを作成する権利を購入することができる。長さは 30 秒まで、フェードインとフェードアウトがついて、iPhoneで使用できる。iTunes に現れる小さなベルのアイコンが、どの曲で着メロを購入できるかを示している。500,000 曲が加えられているが、それからすると、Apple のグラフィックにある「A million songs. A million ringtones(100 万曲、100 万の着メロ)」というのは誇大広告気味ということになる。

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着メロが人気を得るということは、明らかに、文明が終焉に近づいていることを示している。そして、Apple は着メロを販売することで大もうけをすることだろう。しかしみなさん、あなたは同じ曲に2度支払いをするんですよ。(それに、私たちの中には、よい携帯電話というのは振動する携帯電話だけだと思っている人もいる。)まあ、いいでしょう、人前で着信したとき恥をかくために曲のクリップがどうしてもほしいというなら(いや、あなたは恥ずかしくなくても、私たちが恥ずかしくなる)、iTunes Store で着メロを購入するのは簡単で安価だ。さらに、着メロをたくさん作ってそれらを切り替えて使いたいというたぐいの人で、iPhone を持っている人には、Ambrosia Software から 15 ドルで出ている iToner がより経済的に意味を持つだろう(2007-08-31の "iToner で iPhone の着信音を手軽に" 参照)。

iPod shuffle -- もっとも変化の少なかった iPod が iPod shuffle だ。1 GB のストレージと 79 ドルの価格は変わっていないが、新しいアルミニウムカラーに変わった。シルバー、パープル、ティール、グリーンと、(PRODUCT)RED バージョンがある。(PRODUCT) RED バージョンが売れるごとに、利益の一部分が、アフリカのエイズと闘う Global Fund に寄付される(Apple は以前iPod nano でこれを行った。2006-10-16 の "新しい iPod nano が赤 (RED) に加わる" 参照)。

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iPod nano -- iPod shuffle は色が変わっただけだが、iPod nano はデザインし直され、短く、広く、薄くなった。厚みはたったの 6.5 mm だ。シルバー、ティール、グリーン、チャコールと (PRODUCT) RED がある。この新しい形状の目的は、大きくなった 320 × 240 ピクセルの画面のために必要なスペースを確保することだ。この画面は、Apple によれば以前より 65 パーセント明るくなり、そしてビデオが再生できる。iPod nano にはまた極小バージョンの Cover Flow が搭載され、楽曲をアルバムアートで選択することができる。iPod nano には2つのバージョンがあり、4 GB モデルが 149 ドル、8 GBモデルが 199 ドルだ。

iPod-nano

iPod classic -- これまで単に "iPod" と呼ばれていたメディアプレーヤは、新しく iPod classic となり、ほかの iPod 製品と同様に改善された。iPod classic はシルバーまたはブラックのアルミニウムをまとい、80 GB または 160 GB のデータを保存できる。Apple によれば、最大 40,000 曲、または最大 200 時間のビデオに相当する。(これは Jeff Carlson が持っているMacBook Pro のハードドライブと同じサイズだが、それでも Mark Anbinderのメディアコレクションが収まるほどには大きくない。)新しい iPod nanoと同様、iPod classic も改善された iPod インターフェースを新しく採用した。Cover Flow を使用することもできるようになり、クリックホイールでコンテンツをナビゲートする。iPod classic の価格は 80 GB モデルが 249 ドル、160 GB モデルが 349 ドルだ。

iPod-classic

iPhone は値下げ -- この日最後のサプライズは、Apple がローエンドの 4 GB モデル iPhone をなくして 8 GB モデルに集中すること、そしてそのモデルの価格を 200 ドル値下げして 399 ドルにすることを同社が発表したことだ。(4 GB iPhone の残っている在庫は 299 ドルで販売される。)最近Apple Store から iPhone を購入した人は、同社の価格保証制度を利用することができ、支払った価格と現在の販売価格との差額を返金してもらえる。この制度は、Apple ブランドのすべての製品について、購入日から 14 日間有効だ。領収書の原本が必要で、値下げから 14 日以内に返金を要求しなければならない。(AT&T Wireless store から iPhone を購入した場合は、Apple の販売価格保証の対象にならない。)

新しい iPod が次々お目見えしたにもかかわらず、イベントの後でもっとも話題になったのは、特に 2007 年 7 月 29 日に発売されて以来 iPhone に 600ドルを投じた人たちのあいだでは、iPhone の値下げだった。それに答えて、Steve Jobs は、Apple のウェブサイトに公開書簡を掲載し、先週の iPod イベントの前に iPhone を購入した人に 100 ドルの商品券を提供すると発表した(2007-09-07 の "Apple、iPhone 早期購入者に 100 ドルの払い戻しを提供" 参照)。


Take Control ニュース/10-Sep-07

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ここしばらく電子ブックの発表をしていないような気がするが、実は Tonya が当然受けるべきだった休暇を楽しんでいる間、私は家にこもって TidBITS 再デザインの仕事をするとともに、これから紹介する2冊の iPhone の本を仕上げる作業に取り組んでいた。iPhone へと私を誘う妖しい歌声の力に抗することは、ことに値下げの後では、だんだんと難しくなりつつある。でもやはり私は、自分が実際ほとんど携帯電話を使わないことを考えれば、あの毎月の料金を払う気になれない。幸運にも、あの新しい iPod touch こそは、iPhone の湖が次第に増水して大海になるよりも前に私がつま先を湖に浸けることのできる素晴らしい方法のように見える。もしもあなたも私のように iPhone に手を出そうかどうか迷っているなら、あるいは既に思い切って買ってしまったのなら、これら2冊の本を読めば知っているべきことがすべて分かるし、問題が持ち上がってもどうすれば解決できるか分かる。2冊同時に買えば 20% 割引になる!

"Macworld iPhone Superguide" で基本を越えよう -- Apple の iPhone は工業デザインと携帯電話機能の両面で新しい標準を作り出した。けれども実際にはこれは本格的なコンピュータにウェブブラウザと電子メールクライアント、それにネットワーク対応のソフトウェアを付けたものなのだ。この“Macworld iPhone Superguide”の中で、Macworld 社のテクノロジー専門家たちがすべてを解説する。まず最初のセットアップとアクティベーションでは手順を踏んであなたをガイドし、それから iPhone の電子メールとテキストメッセージについて説明したり、あなたが Safari やその他の iPhone 付属アプリケーションを使いこなせるように導いたりする。また、あなた自身のビデオや YouTube ビデオなどへのアクセスのしかたや、iPhone の iPod 機能を使うためのベストの方法、iPhone で写真の同期をとる方法なども書いてある。この電子ブックの終わりのところには、iPhone 用のアクセサリや、トラブルシューティングについて書いたセクションもある。価格は $12.95 だ。

"Take Control of Troubleshooting Your iPhone" -- 確かに iPhone はとってもクールだが、まだバージョン 1.0 の製品なので、重大な問題点に苦しめられるということは十分にあり得る。そこで、トラブルシューティングの導師であの MacFixIt サイトの創設者でもある Ted Landau の書いたこの必携の本“Take Control of Troubleshooting Your iPhone”で、アクティベーションの際に問題が起こったらどうするか、iPhone がフリーズするのを予防するための対策やそうなってしまった時の対処のしかた、iPhone をリセットしてデフォルトの設定に戻すためのベストの方法、その他いろいろのことが学べる。また、Ted は特に同期(シンク)の問題が起こった際にあなたがそれを解決できるように助けること、それから複数台のコンピュータの間で同期するためのお手伝いなどにもしっかりと注意を払っている。セキュリティを気にする人のためには、iPhone を Passcode Lock と SIM PIN で保護する方法の解説もある。あなたの iPhone でどんな風に問題が起こっても、Ted Landau が常に変わらぬ冷静さとフレンドリーな助言で、あなたがきっと解決法を見つけられるように助けてくれる。“Take Control of Troubleshooting Your iPhone”は現在草稿段階でのリリースで、価格は $10 だ。今すぐこれを購入すれば、この 71 ページの草稿を読んでコメントを送ることもできる。


TidBITS Talk/10-Sep-07 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

古い Cube に新しい仕事? -- Power Mac Cube を第一線の仕事から隠退させた後、このマシンを他のどんな目的に使えるか?(11 メッセージ)

ネットワークの奇妙な問題 -- ある読者の Firefox ではフォームの入力ができない。それをすると次々とネットワークエラーが起こる。原因は何だろうか? (7 メッセージ)

JavaScript がウェブから情報を暴露 -- ネットワークのサイドジャック攻撃を扱った Glenn Fleishman の記事に関連して、しばらく前に Verizon が被害を受けた JavaScript の弱点が話題になる。 (1 メッセージ)

開いた Gmail、その他サービスを Sidejack 攻撃がこじ開ける -- ホテルの共有インターネット接続のようなところでは、あなたのトラフィックが同じネットワークにいる他のユーザーたちの目に明るみになってしまうことがある。(3 メッセージ)

“Look”スパムについてお詫び -- ある設定の問題のため、何人かの購読者のところへスパムメッセージを送る結果になってしまった。Adam が何が起こったのかをお話しし、読者たちが改善への提案や似たような体験談などを寄せる。(7_メッセージ)

コスト削減 -- TidBITS Talk 読者たちが、中規模の非営利団体において情報とアクセスのコストを削減するための方法をいくつか提言する。 (5 メッセージ)

どの Windows を Intel Mac で使うか? -- Intel ベースの Mac がネイティブに(あるいは仮想化により)Microsoft Windows を走らせるようになった今、次に来る疑問はこうだ。どのバージョンの Windows が良いのか? 質問者にとって、Vista は変種が多過ぎ、新し過ぎ、高価過ぎる。(彼女は USB 接続で家庭用編機を動かしたいそうだ。これはすごい!) (9 メッセージ)

Eudora 8? Penelope? -- 次世代の Eudora は Thunderbird の上に構築されるが、初期ベータ版として最初の登場を果たした。読者たちがこのソフトウェアを使ってみた体験を寄せ、また現行の他の電子メールクライアントについても議論する。 (40 メッセージ)

.Mac 更新を安値で -- 箱売り版の .Mac 更新を Apple 経由で更新するより安く買えることもある。古い「バージョン」を買う(つまりアクティベーションキーだけを買う)という方法もある。 (6 メッセージ)

Apple、iPod touch と Wi-Fi Music Store および新しい iPod を発表 -- 先週の新製品発表と、iTunes ダウンロードが 6 億件を超えたという Apple の発表について、読者たちが反応を寄せる。(2 メッセージ)

iPod touch - デジタルカメラ転送 -- Apple の iPod Camera Connector はデジタルカメラから直接 iPod に写真を転送できる素敵なユーティリティだが、新しい iPod touch(や iPhone)では使えないようだ。 (2_メッセージ)

Mac で LogMeIn Free? -- このリモートアクセスユーティリティだが、Mac 用にもプレビュー版が出た。(4 メッセージ)

一匹狼 -- Eudora 8 ベータ版のリリースを見ながら、ソフトウェアの中にはたった一人の人の手によって始められた(時にはその後もずっと一人の手で開発が続けられる)ものもある、と読者たちが思い巡らす。また、古いコードをアップデートすることの難しさも話題になる。 (6_メッセージ)

TidBITS ウェブサイトがデザイン一新! -- 新しく改善された TidBITS ウェブサイトについて、読者の皆さんはどんな感想をお持ちだろうか?(14 メッセージ)

Mac ソフトウェアのシェアウェア開発情報センター -- プログラマーでない人がシェアウェアの開発を手助けできる、そんな場所を探している読者がいる。 (3_メッセージ)

iPhone AT&T 対 Verizon EVDO ネットワーク -- Verizon のデータネットワークは AT&T の EDGE と比較するとどうか? iPhone への接続の高速化は、近いうちに実現されるだろうか? (3-メッセージ)

iPhone 値下げ -- iPhone の $200 値下げの、本当の理由は何か? 推測をいくつか挙げよう。決めるのはあなただ! (11_メッセージ)

LightScribe ドライブ -- LightScribe ディスクの焼ける内蔵または外付けのドライブはどれが良いか、ある読者が意見を求めている。(2-メッセージ)

AppleWorks を iWork '08 で置き換え -- Microsoft Office を iWork '08 で置き換える話があった。ちょっと話は逸れるが、今はもう公式に死んでいる AppleWorks についてはどうだろうか。(1_メッセージ)


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2007年 9月 15日 土曜日, S. HOSOKAWA