先週は二つの業界が大きな変化を受けた。まず携帯電話各社が月額 $100 での無制限通話を提供し始め、それから高精細度ビデオの光ディスクフォーマットをめぐる長く高価な戦いの果てに Blu-ray が HD DVD を打ち破った。Glenn Fleishman がその二つの出来事を検討し、それらが Apple にどう関わってくるのかを論ずる。また今週号では暗号化されたデータが圧縮空気の力で暴露されるという新たに発見されたハードウェアの脆弱性について Glenn が報告し、Jeff Carlson は DRM のせいで彼の Apple TV ではレンタルした映画が観られないことを発見する。また Joe Kissell は iChat Theater でより良いビデオプレゼンテーションをするにはどうすればよいかを議論する。リリースのニュースとしては、SuperDuper 2.5、Airfoil 3.1、Xsan 2 (それに伴って Xserve RAID は製造中止となった)、MacBook and MacBook Pro 用のキーボードアップデート、2 GB の iPod shuffle (と 1 GB モデルの値下げ)、それから Brian Tanaka の新刊の電子ブック“Take Control of Permissions in Leopard”がある。
記事:
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文: Joe Kissell <[email protected]>
訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>
数ヶ月のベータテストを終えた熱烈な待望の中、Shirt Pocket Software はSuperDuper 2.5 をリリースし、この大人気のバックアッププログラムがようやく Mac OS X 10.5 Leopard との互換性を備えた。Leopard の下で起動可能な複製を作る方法は他にもあるが、SuperDuper はバックアップに関する私の個人的なお気に入りツールだ。そして、私はこれを再び使えるようになったことを大変喜んでいる。
バージョン 2.5 は、バグフィックスと小さな機能追加の詰め合わせとともに、重要かつ珍しい Time Machine のバックアップボリュームを複製するという機能を提供している。別の言い方をすると、Time Machine のドライブが一杯になったときには、既存のアーカイブを損なうことなくバックアップをもっと大きなドライブに移したいと思うだろう。SuperDuper はそれができるのだ。今まで、これを行うための私が知っていた唯一の方法はディスクユーティリティの復元機能を使うことだった。これだと、「復元先を消去」を選ぶ必要がありとても簡便な作業とはいえなかった。さらに付け加えるなら、SuperDuper は起動可能な複製と Time Machine アーカイブとで一つのボリュームを共有することを可能にしてくれた(実用上の理由から、私はまだ別々のパーテーションを使うほうがいいと思うが)。
他のバックアップユーティリティの管理の手助けのためにバックアップユーティリティを使うのはなんか変に思えるかもしれない。しかし、この新しい機能の最も重要な点は SuperDuper と Time Machine が同じように不可欠なバックアップを実行するということだ(しかも、実際に補完しあってだ)。
SuperDuper 2.5 は 2.8 MB のダウンロードだ。新規購入は $27.95 で前バージョンからのアップデートは無料だ。
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>
Apple はMacBook, MacBook Pro Keyboard Firmware Update 1.0 をリリースし、Mac がアイドル状態からの復帰後最初のキー入力を無視するという問題を解決した。同社はアップデートが他の不特定な問題にも対応したと述べている。このアップデートは Mac OS X 10.5.2 へのアップデートが適用されていることが必要で、2006 年末ごろ以降にリリースされた特定の MacBook と MacBook Pro だけに適用される。これはソフトウェアアップデート経由と単独の 876 KB ダウンロードとして利用可能だ。
アップデートはユーティリティフォルダ(アプリケーションフォルダの中にある)の中に "Built-in Keyboard Firmware Update" という名前のアプリケーションをインストールするのでダウンロードの際には注意が必要だ。これは自動的に起動するはずだが、そうならなかった場合はダブルクリックして起動し、説明に従ってあなたのラップトップのキーボードファームウェアをアップデートしなければならない。
これは、 MacBook と MacBook Pro にとって、Leopard リリース以降二回目のキーボードの修正になる。一回目は 2007 年 12 月の MacBook, MacBook Pro Software Update 1.1 で、キーボードがたまに一分かそれ以上の時間反応しなくなるという問題を修正した(2007-12-25 の "アップデートがラップトップのキーボードの無反応を改修" 参照)。はっきり言うと、これらは全て、Apple がユーザに対して、キーボードは信頼に足らず iPhone や iPod touch のようなデバイスにあるマルチタッチインターフェースに取って代わられるであろうと悟らせる巧妙な筋書きだろう。
残念なことに、最初のキー入力が無視される現象は MacBook や MacBook Pro と別のシステムでも数多く報告されている。ところが、この修正は対象外の Mac では何もしてくれないのだ。
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>
RAM の価格はどんどん下がっている。Apple は今度、その低下分の一部を iPod shuffle を買おうとしている人に、1 GB モデルを $79 から $49 に下げることで還元した。同時に、Apple は 2 GB iPod shuffle を $69 の価格付けで今月末に出荷するというリリースを発表した。この調子で価格が低下したら、数年以内には 1 GB iPod shuffle がシリアルのおまけになるだろう。
これと似たニュースや Apple のピンク iPod nano のアナウンス(2008-01-22 の "Apple ピンクの iPod nano の出荷を開始、Tonya ごめんなさい" 参照)では事実を述べること以上のことをするのは難しいので、 Apple のプレスリリースでの Apple 副社長 Greg Joswiak の言葉を振り返ってみよう。"たったの $49 だ。これで iPod shuffle はもっとも入手しやすい iPod になった。そして、新しい 2 GB モデルは、音楽好きな人がどこへでもより多くの楽曲をこれ以上小さくできない("Impossibly small")iPod shuffle に入れて持ち運べるようにするだろう"。
これはどういうことだろう。iPod shuffle が"これ以上小さくできない"だって?おいおい。"これ以上小さくできない"というと間違って吸い込んでしまうことを心配したり、Apple が製品の写真に拡大カメラを使わなければならなかったり、Apple がもっと小さな iPod をリリースすることを想像することができなくなることを表すんだよ。私が拡大解釈していることは痛々しいほどに明らかだろうか?私はそう考えた。
まじめな話、iPod shuffle の値下げと 2GB モデルについては Greg に感謝したい。しかし、私は今でも Apple が数年以内にもっと小さい iPod をリリースするほうに賭けてもいいと思っている。
文: Glenn Fleishman <[email protected]>
訳:上松慮生 <ryo.uematsu@gmail.com>
Rogue Amoeba は同社のネットワークオーディオストリーミングソフトである Airfoil を新しい Apple TV への音楽配信と Windows 環境でのリモートスピーカーをサポートするためアップデートした。同社は Airfoil 3.1 for Mac OS X と Windows (2000, XP, Vista) のための Airfoil 2.5 の両方を発表した。Windows 版は Airfoil Video Player を搭載せず、Griffin RadioShark をサポートしないので低いバージョンナンバーがつけられている。
Airfoil 3 の注目すべき追加点は Airfoil Speakers である。このソフトはネットワーク上のどのコンピュータにもインストールでき、インストール先のコンピュータのオーディオ外部出力を Airfoil を動かしているコンピュータで自動的に操作できるようにするものである。Mac OS X で動く Airfoil 3.1 と Windows で動く 2.5 では、Airfoil Speakers を Windows で動くコンピュータでも使えるようにし、さらに Airfoilが動いている Windows マシンで Mac OS X あるいは Windows 上のリモートスピーカーを操作できる。
Airfoil は Apple の AirTunes プロトコルを利用している AirPort Express base stations への配信もサポートしている。AirPort Express はアナログとデジタル光音声出力の両方に対応している。Airfoil 3についての詳細は "Airfoil 3、音楽ストリーミングを AirPort Express を超えて拡げる" 2008-01-10を見て欲しい。
Rogue Amoeba のソフトウェアエンジニアである Guy English はブログの記事で、Apple TV へのストリーミングにおいては、あなたの使っているコンピュータの画像(配信しているコンピュータのデスクトップの背景とアプリケーションのスクリーン・キャプチャ)を配信することによって少しばかりの遊び心を加えることに成功したと説明している。
Mac OS X のための Airfoil 3.1 は Mac OS X 10.5.2 の発表と共に導入された DVD プレーヤと同期した音声の問題と遅いコンピュータ上でのパフォーマンスを改善している。
Airfoil に対するこれらの改良は、Rogue Amoeba はポケットの中の iPhone(あるいは iPod touch)からAirPort Express に音楽を送れるような Airfoil を開発するだろうかと我々に考えさせる。そうなれば、iPhone は音楽の供給源とリモコンの両方の役割を担え、また着信時には音楽を自動的に一時停止させることができる。我々がわかるのは Rogue Amoeba が可能性を思案しているということである。
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>
もしあなたが Mac OS X の仕組みを覗いてみたいとか、或いは奇妙な問題のお陰でそうせざるを得なくなったことがあるとかであれば、我々の最新の電子本、Leopard のために新たに書き直された - "Take Control of Permissions in Leopard" を見て欲しい。著者は Unix の権威者でかつ Mac の熱狂ファンでもある Brian Tanaka で、この 87ページの電子本は、実際に役に立つノーハウとトラブルシューティングのヒント、それにちょうど適度な理論とを混ぜ合わせている。内容は、如何にしてあなたのファイルを自分用だけに保つか、サーバーへそしてサーバーからファイルを効率的にコピーするか、外付けディスクに対して Ignore Permissions を設定するか、そしてどうやっても死んでくれないファイルを削除するかという事に関連付けて許可について説明している。
もっと中身を掘り下げて勉強したい人向けには、この電子本は sticky bit、許可を設定する時の symbolic なやり方と absolute なやり方の比較、そしてビットマスクとどうやって付き合うかといった内容にまで踏み込んでいる。とりわけ Brian は Leopard で許可について何が新しくなったかに注目し、NetInfo データベースが消えてしまったこと、そしてアクセスコントロールリストの利用頻度が増えていることなどを取り上げている。たとえあなたが Terminal 上で Unix コマンドラインを使うのに慣れていなくとも心配には及ばない、Brian は、それについては極めて明快なやり方を提供しているし、その上 Finder の Get Info 及び Inspector ウィンドウから許可を管理する方法、そしてより強力なサードパーティのユーティリティについても触れている。
Brian の既刊の "Take Control of Permissions in Mac OS X" を既にお持ちの方は、75% 引きで "Take Control of Permissions in Leopard" にアップグレード出来る;この割引を利用するには今お持ちのコピーの中の Check for Updates ボタンをただクリックすればいい。
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
Apple がXsan のアップデートをリリースした。これは同社の共有 SAN (storage area network) ファイルシステムで、企業のような環境でいくつかの個々のサーバに繋がったストレージをグループにまとめて、一つの集合的なストレージプールとして扱えるようにする。Xsan 2 では設定と管理がより簡単になり、一台のワークステーションのユーザーたちが同時に複数個の Xsan ボリュームにアクセスできるようになり、Spotlight 検索もサポート、さらにサードパーティの RAID ストレージにも使えるようになった。(Xsan の前バージョンではサードパーティの RAID ストレージをサポートしていなかったが、Apple はその事実をあまり強調していなかった。)このソフトウェアは即時入手可能となっている。
Xsan は実際 Quantum の StorNext File System ソフトウェアに Apple ブランドを付け、Mac OS X に移植し、はるかに安い価格にしたバージョンだ。Xsan の価格は共有ファイルシステムに付随した Mac 一台ごとに $999 で、Quantum の価格は Windows、Linux、Unix 用の各バージョンで $1,750 から $3,000 というものだった。私の知る限り、Mac OS X Server でと同様、Apple はアップグレード値引きを提供していない。
Xsan 2 がサードパーティの RAID ストレージで働くという事実が特に重要なのは、Apple が Xserve RAID にタオルを投げ入れたからだ。Xserve RAID はひっそりと同社のウェブサイトから消え失せ、それを求める顧客は Promise VTrak E-Class RAID Subsystem に導かれるようになっている。既に Xserve RAID は次第に老いを見せつつあり、現代的な SATA や SAS システムでなく Ultra ATA ドライブに依存していたことや、アクティブでないコントローラとアクティブなフェイルオーバ・コントローラの問題(つまり、一つのコントローラが故障した場合に RAID のそちらの側へのアクセスを失うだけでなく、それを交換するために RAID 全体をダウンさせる必要があった)を抱えていた。それとは対照的に、この Promise VTrak E-Class RAID はフルにホットスワップ可能な SATA あるいは SAS ドライブと、デュアルのホットスワップ可能な RAID コントローラ(その一つずつが全 RAID を走らせることができる)を持ち、Xserve RAID より多くの RAID レベルをサポート、さらには Xserve RAID の 2Gb インターフェイスと違って 4Gb Fibre Channel インターフェイスも備えている。
MacEnterprise リストに寄せられたコメントを読むと、皆ほぼ一様に Promise RAID のスペックに満足しているようだった。ただ、一人の投稿には Promise 製の他の RAID モデルであまり芳しくない経験をしたと書かれていた。
Xserve RAID が消え去るということは、この製品が十分その有用性の生涯を生き抜いたということなのかもしれない。California 大学 Irvine 校の Andrew Laurence はこう語る:「Xserve RAID はその出現によって一つの新しいカテゴリーを生み出した。つまり、非常に安価な (ATA) ディスクを用いた頑健なストレージだ。その後時間が経過するに伴って、多くの他のベンダーたちが、まずは ATA、次いで SATA ディスクを用いてそこに参入してきたのだ。」
IT アナリストの John Welch もそれに賛成して、弱肉強食の RAID ビジネスのローエンド市場においては大きな収益を挙げる余地はなく、Apple が Xserve RAID を設計し直すことは可能ではあったものの「彼らはその努力に見合うだけの収益見通しを示すことができなかった」という。彼はこう続けた:「それに、Xsan と Final Cut Studio のハードウェア認証プログラムというアイデアも、これでずっと受け入れやすくなった。なぜなら、RAID ハードウェアメーカー各社はもはや競争相手ではなく、パートナーとなったからだ。今回の決断には、どこにも悪いところなどないように思える。」
Xserve RAID が切実にアップデートを必要としていたということには同意しつつ、ウェブホスティング会社 digital.forest の Chuck Goolsbee はこの製品を擁護する側についた。彼らの経験上、 Xserve RAID のストレージを 100 テラバイト以上オンラインで持っているにもかかわらず、Xserve RAID のどのコンポーネントもディスク自体以外はこれまで一度たりとも故障したのを見たことがなかったという。彼はこう述べた:「Xserve RAID がまたもやもう一つの Apple 製品の袋小路となるのを見るのは悲しい。彼らは文字通り発想から物事を変えたが、その利点を十分に引き出すことはついにできなかった。」
しかしながら、そういう状況のどの点をとっても、Apple が企業相手の市場から撤退し始めているという兆候はない。ことに、Xserve 自体が最近アップデートされているのだから。(2008-01-08 の記事“新しい Xserve も 8 コアに”参照。)そうではなくて、Apple はその努力を会社内の他の部門における進歩を活用できる方面、例えば Macintosh ハードウェアデザインのようなものに集中させつつあるように思える。
Andrew Laurence の言葉を借りて言えば、「Apple にとって、Xserve RAID の計算結果が『我々はもはやここにいる必要なし』と出たということだろう。」
文: Glenn Fleishman <[email protected]>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
市場での正面衝突が始まってから2年もたたないうちに、HD DVD を開発したToshiba が競争から撤退し、このフォーマットのさらなる開発を打ち切ることとなった。Sony が後押しする Blu-ray 高精細(HD)ディスク仕様の勝利だ。これは Sony にとってとりわけ甘美な勝利となったに違いない。同社は、20年以上前の VHS 対 Betamax の戦いにおいて、Betamax の方が技術的特長において優っていた点があったにもかかわらず、敗北した。
2つの HD フォーマットはどちらも、デジタル著作権管理(DRM)が利用可能で、映画やそのほかのビデオを、大容量のディスクから HD テレビへと、通常の DVD で可能な解像度よりもはるかに高い解像度で再生することを可能にする。どちらのフォーマットも最大 1080p、つまり 1920×1080 ピクセルの解像度をサポートしているが、ほとんどの映画はこのフォーマットでリリースされている。(すべての HD テレビが 1080p で表示するわけではない。1080i で表示するものもあって、その場合ピクセルの列が1列おきに描画される。多くは 720p で表示するが、これは通常 1280×720 ピクセルだ。)
Blu-ray と HD DVD のどちらも、読み取りと書き込みに青い光のレーザーを使用する。青色光は、標準的な CD や DVD で使用されている赤色光や赤外光に比べ波長が短いため、青色光レーザーは情報をずっと高い密度で読み取ったり書き込んだりできる。Blu-ray の方が HD DVD に比べ容量とスループットで上回っている点があるが、そのほかの点で両者を直接比較して Blu-ray が優れていることを示したテストは、私は見たことがない。
どちらのフォーマットも 2002 年にプロトタイプとして登場したが、プレーヤが市場に現れたのは 2006 年になってからで、HD DVD の方が早かった。HD プレーヤはゲーム機にも付属するようになった。Sony がすべての PlayStation 3 に Blu-ray プレーヤを搭載して出荷すれば、Microsoft は Xbox 360 用に安価な HD DVD アップグレードキットを提供した。Apple が大容量フォーマットに対する興味を示したことは、DVD Studio Pro が HD DVD の書き込みをサポートしていることを除けば、一度もない。同社は光学ディスクフォーマットについては動きが遅いことがある。Mac は、DVD を焼くためについぞ人気の出なかった DVD-RAM テクノロジに賭けたため、CD バーナーの市場に乗り遅れてしまった。フォーマット戦争が終わったことで、Apple がついに Mac Pro のBTO オプションで動きを見せるかもしれない。ラップトップには、Blu-ray ドライブは現在のところ大きすぎて電力も食いすぎる。
Warner Brothers は、2007 年の初め、HD DVD/Blu-ray ハイブリッドディスクのプロトタイプを発表し、このスタジオがフォーマットに関して両方の側につく可能性もあった。また、電子機器メーカーの LG は Blu-ray/HD DVD プレーヤを何機種か発売した。ただし、それらは PlayStation と HD DVD プレーヤを両方買うよりも高価だった。しかし、これらのハイブリッドやデュアルフォーマットの取り組みは、Sony とパートナー企業が HD DVD 陣営よりもはるかに多くの Blu-ray プレーヤを出荷したため、水泡に帰し、Blu-ray 側の映画スタジオがより多くのタイトルをリリースしたことで、決着が付いた。
Toshiba やそのほかの情報筋が伝えるところでは、HD DVD システムはすべての種類を合わせると全世界でおよそ 100 万台販売され、そのうちおよそ 30万台が Xbox 360 のアップグレード、およそ 30 万台が PC に使用されているドライブだ。それに対し、Sony は PlayStation 3 を市場に投入して以来、この Blu-ray ドライブ搭載ゲーム機を世界中で 1,050 万台出荷していると、BBC などの情報源が伝えている。さらに、少なくとも 100 万台から 150万台の Blu-ray プレーヤやデバイスが販売されたと見積もられている。
本当の市場の判断は、_メディア_ の消費者が購入するものによって下される。Sony は、顔が青ざめるまで Blu-ray プレーヤを売りまくってもよかったのだが、もしも消費者が Blu-ray フォーマットの映画を購入しなかったら、結果は今回とは違っていただろう。両フォーマットのディスクが販売されるようになってから 2007 年 11 月までに、地球上で 400 万以上の Blu-ray タイトルが販売されたと伝えられており、一方 HD DVD タイトルは 250 万以上だ。この違いは巨大なものには見えないが、この全世界の数字では、ヨーロッパと日本における Blu-ray のサポートと、最近数か月のプレーヤとディスクの販売における Blu-ray の高い伸び率が十分に反映されていない。
Blu-ray は、サポートするスタジオの数という点では遅れをとっていた時期もあるが、次第に大きなスタジオのほとんどを勝ち取るようになった。Universal は HD DVD 陣営にどっかりとどまり、Warner Brothers は両フォーマット用のディスクを開発していた。Paramount と DreamWorks は、2007 年8 月の時点では両方のフォーマットではなく HD DVD のみをサポートすると言っていた。(この取引においては、両スタジオに対しコストを補填し潜在的な収入低下を埋め合わせるために多額の金銭が動いたと伝えられている。)
2007 年の終わりに Warner Brothers が HD DVD のサポートを打ち切り、それによって Blu-ray が7大映画スタジオのうち5つを得たが、これがどうやらHD DVD に対する決定打となったようだ。続いて Netflix が Blu-ray のレンタルだけをサポートすると述べ、最後に Best Buy と Walmart が HD DVD の映画とハードウェアの販売を停止すると発表して、HD DVD の棺おけにふたが釘打たれた。本日、Toshiba の発表に引き続き、 Universal も、もちろん、Blu-ray に乗り換えると述べた。2008 年 2 月 24 日には、Microsoft が、 Xbox 360 用の HD DVD プレーヤの販売を停止すると確約した。
それぞれの規格は、操作性(Blu-ray は Java をサポートし、HD DVD はMicrosoft の規格を使用する)、セキュリティ、保存密度に関して、さまざまに異なった技術を採用している。Blu-ray は単層ディスクで 25 GB を保存することができ、2層では 50 GB だ。HD DVD は、単層と2層でそれぞれ 15 GBと 30 GB しか実現できない。Blu-ray は HD DVD よりも 50 パーセント以上高い実効再生速度でオーディオとビデオのデータをディスクから引き出すことができる(Blu-ray の 48 Mbps に対し、HD DVD は 30 Mbps)。ただし、どちらの再生速度も、1080p のフルコンテンツに必要なものよりもはるかに高い。
どちらのフォーマットでもディスクバーナーは入手可能だが、今や HD DVD の未来はないし、容量が少ないために、これまでも好まれたことがなかった。Philips は今月、PC システム用の人気モデルを新しいファームウェアで更新し、2層 Blu-ray ディスクに最大容量の 50 GB まで(ただしオーバーヘッドは除く)書き込めるようにした。Amazon はこのバーナーを 400 ドルで販売している。LaCie には Mac 対応の FireWire/USB 2.0 Blu-ray ドライブがあり(740 ドル)、これは2層 50 GB ディスクが扱え、Blu-ray に対応したToast 7.1.1 Platinum が付属している。Blu-ray サポートが組み込まれた Toast 8 Titanium を別途購入することも可能だ(80 ドルで 20 ドルの割引クーポンが付く)。単層の記録可能ディスクは1枚あたりおよそ 12 ドルから15 ドルで、2層の記録可能ディスクはおよそ 35 ドルだ。私が理解するところでは、デスクトップ書き込みソフトウェアでは Blu-ray ディスクをビデオやオーディオの再生用にマスタリングすることはできず、データ保存用としてしか使えない。
平均的な消費者にとっては、こういう話はなじみのないものかもしれない。フォーマット戦争で影響を受けるのはほとんどが新し物好きだし、さまざまな数字を見れば、彼らの大多数は Blu-ray を選んでいたようだから。
文: Glenn Fleishman <[email protected]>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>
先週 Verizon Wireless はこれまで利用頻度の高いユーザーから集めてきた高マージンの商売を止めて 月 $100 の音声通話使い放題プランへの移行を発表した。AT&T と T-Mobile も直ちにこの動きに追随した。Sprint Nextel は限定された市場で音声、データ、そしてメッセージの使い放題パッケージを月に $120 から $160 でテスト中である。この Verizon のプランの詳細を見ると、これには諸料金や回線費用は含まれておらず、地域や他の要素によって変わるが月に $4 から $35 程度が追加されるようである。
料金は動かすが、売上げは守る -- この料金体系の変更によって、最も熟れたプラムの幾つかは失うことになるかもしれないが売上げを増やせる顧客層を開拓できる可能性がある - いずれにせよ、これは長電話好きの顧客をより幸せにすることは間違いない。携帯電話のプランは常に度胸試しであった。月極め料金を低く抑えるために月極め時間(分)を低くしたプランを選ぶ人もいるが、超過分に対して最大で 45 セント/分もの超過料金を支払う羽目になることもある。他には前払い制を利用して固定料金無しで 15 から 25 セント/分のレートを持ったプランを選ぶ人いるが、月にたったの 400分使っただけで $100 も払うことになる。(勿論、数分しか使わない人達にとってはこれは圧倒的に安いので前払い制を選ぶ人は多い; Tom Schmidt の "プリペイド: みんなのための携帯電話プラン" 2007-07-23 を参照。)
これが私がなぜ AT&T の、そしてその前は Cingular の満足顧客の一人なのかの一つの理由である:彼らは大抵のプランに時間(分)の繰り越し制を導入していて、私の妻と一緒の中程度のプランに申し込んで以来時間超過したためしがない。月によって数百時間の時もあれば、1,000時間を越す月もある。
現在月に $60 から $80 払っていて、しかも毎月のように割当て時間を 100分以上も越すような人は、毎月請求書を見てびっくりさせられるようなこと無しに計画できる月極め $100 プランにアップグレードすることを選択するかもしれない。
携帯電話で生きているようなパワーユーザーは、時として月に $200 を越すような法外な基本料金を払っているが、それでも数千分という割当て時間を越してしまうこともある。この様な顧客にとっては相当の節約になり、その結果通信業者を変える気も少なくなるであろうし、入れ替えも減る、そしてその結果宣伝広告費や他の経費も減らせる事になる。
通信業者は音声や他のサービスに関して、この様な顧客からの儲けは絶対額としては減るだろうが、代わりにアップグレードパッケージを売り込んでこの失った売上げの一部をより上手に回収できるかも知れない。例えば、Verizon は $200 の長時間パッケージの顧客をビデオと無制限テキストを含んだ月 $140 のプランに移せるかも知れない;テキストメッセージングはメッセージ当りのコストは実際には無いに等しいので、この付加売上げはほぼ丸儲けに近いものとなる。
前に業界通の人から聞いたことがあるのだが、携帯の分当りのコストというのは回線借りの場合で大体 4 から 5 セントであり、自前の回線を持つ通信業者の場合はもっと低い経費 (それも殆どは固定経費) だと言う。週日のピーク時間を外れるとコストも低下する。しかし "使い放題" の通話プランの場合の平均月の使用分数は幾らなのかは定かでない - 地上の電話線電話をついに解約して月に数十時間の通話をワイヤレスに移すであろうか? - しかしネットワークを維持運営していくという大きな固定経費に対してトータルでみて更なる売上げをもたらすであろうとは言えるかもしれない。
通信業者毎のプランの中身 -- Verizon Wireless の使い放題プランにはテキストメッセージングもデータサービスも含まれていない。月に $20 を更に追加することでテキストメッセージング使い放題が含まれ、月 $40 を追加することでテキストメッセージング、ビデオサービス、電子メール、それに同社の GPS ナビサービスが使い放題となる。データは、一番高額のプランを除いてメガバイト当り $2 が課金され、データ転送はこの中に含まれる。ファミリープランもあるが、合計で 3本か 4本にならない限りさほどの割引にはならない。Verizon は変更手数料無しでの乗換え又は既存の契約の更新を受け入れている。
AT&T は その使い放題プランを 22-Feb-08 に売り出した。基本プランは月 $100 で、これに既存のメッセージング及びデータのプランを追加することも出来る。月 $5 の追加だと 200 のテキスト及びマルチメディアメッセージが含まれ、月 $35 で無制限のメッセージングと限られたゲートウェイ経由のネットワークへのアクセスが含まれる。AT&T もこのプランへの乗換えを手数料も契約延長も無しで認める。
iPhone の価格体系も他の AT&T プランに見合ったものなのだが、iPhone に関連したプランについては何も述べられていない。iPhone のための最も高価な個人向けプランは 6,000 分の月 $220 で、これには無制限の週末及び夜間通話が含まれているが、たった 200 のテキストメッセージング、それに無制限の EDGE データである。テキストメッセージング使い放題へのアップグレードは更に月 $20 の追加が必要である。
T-Mobile の使い放題サービスは 21-Feb-08 から開始され無制限のテキストと画像メッセージを含んでいる。同社はこのプランへの乗換えには新規の 2 年契約を要求しているが変更手数料はかからない。
Helio は、独自のハンドセットを使って Sprint のネットワークへのアクセスを再販する携帯事業者であるが、音声、データ、GPS サービス、それにメッセージング全て使い放題で月 $100 のプランを出している。これは従来の月 $145 から今月初めに値下げしたものである。
この一連の発表の中の変わり者である Sprint Nextel は、現在のプランを評価中であるとの慎重なコメントを発表したが、利用者減の動きが更に加速される可能性もある。同社は Sprint と Nextel のネットワークの統合の際の不手際でかなり悲惨な状況下にあるが、WiMax データネットワーキングという計算ずくの賭けに大金を投資してきている一方で、周波数帯域交換の一環として米国政府が緊急用周波数と Sprint Nextel ライセンスの統合を許したのだが、これを実現するため米国全土の公共安全機関のネットワークを再構築するという数十億ドルにのぼる約束に対しても大幅な遅れをきたしている。
文: Glenn Fleishman <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
背筋の寒くなるような話が 2008 年 2 月 21 日に判明した。実際に動作中のコンピュータに物理的にアクセスできた場合、最も手軽な方法では圧縮空気の缶を使ってそのコンピュータの背筋を寒くするだけで(駄洒落をお許しあれ)メジャーないくつかのオペレーティングシステムで使われるディスク暗号化ソフトウェア(Mac OS X の FileVault を含む)の暗号化が破られることがあるという 研究結果 を、Princeton 大学、Electronic Frontier Foundation (EFF)、その他の研究者たちが発表したのだ。 彼らの研究論文 (PDF) はこちらからダウンロードできる。
この研究者たちが発見したのは、コンピュータが活動中に走っているプログラムやデータなどを保持するために使われる dynamic random access memory (DRAM) チップが、電源が外された後もその内容をイメージの形で数秒から数分程度保持し続けるということだ。そこで比較的シンプルなテクニックを使ってこの DRAM を冷やせば、例えば最も手軽には圧縮空気のキャニスターを逆さにして噴射する(摂氏 -50 度程度に冷える)とか、あるいは液体窒素を使う(摂氏 -196 度)などすれば、そのデータがもっと長い時間保持できる。
長時間保たれるということは重大な意味を持つ。暗号化されたディスクイメージがアクティブな間は、そのマスター暗号化鍵がメモリの中に保存されている。従来は、そのような形で保存してもほとんど攻撃の余地はないと考えられてきた。もしもそのマシンがその目的のウイルスに冒されていれば鍵を抽出して持ち出されることもあるかもしれないが、それさえもしっかりとデザインされたソフトウェアならば可能性が疑わしいし、実際にそのようなウイルスが報告されたことは Mac OS X にも Windows Vista にもこれまでなかったからだ。
もしも悪い奴がマシンに物理的にアクセスできたら、当然そいつはディスクにアクセスできてその暗号化鍵もロードされているのではないかとお思いかもしれない。でも、たとえそのコンピュータがスリープ中とか、セキュリティをかけたスクリーンセイバを使っているとかで、しかも目覚めさせるためにはパスワードが必要であるように設定されていたとしても、この研究によればこれまで安全と思われてきたその状態のマシンでもそのままで鍵が抽出できてしまうというのだ。盗まれたコンピュータでも、あるいは安全にロックされた状態だと思われていたようなものも、今や攻撃の手にさらされ得るということだ。
この研究者たちの議論は、オペレーティングシステムと捜査的ツールが入った USB フラッシュドライブを使って RAM 中のメモリイメージを保ったままコンピュータを再起動する方法にまで及んでいる。そうやって起動されたシステムならば、暗号化鍵をスキャンして抽出することもできるだろう。あるいは、もしもその DRAM チップが十分に凍った状態ならば、それをそのままコンピュータから取り外して別のシステムにインストールしてもデータの喪失はほんの少し、あるいは全くないということも考えられる。
保存されたキーは一つのディスクのみの暗号化に使われているとは限らないし、また一つの目的だけに使われているとも限らない。一つのシステムの鍵が漏れればさらにトラブルの範囲が広がることもある。さらに重要なことだが、もしもこの「侵入」が巧みに実行されれば、被害者が侵入の事実に全く気付かないこともあり得る。マシンが分解されたままの状態で残されたような場合ならば別だが、そうでなければ被害者はちょっと席を外している間にコンピュータがクラッシュしてしまったのだと思ってしまうかもしれない。(きっと FBI は既にこの弱点に気付いていたのだろう。壁の電源に繋いだコンピュータに連続的に電源を供給し続けるために、壁のコンセントを取り外してそこの配線にクリップで UPS を取り付けるという方法を彼らは既に知っていたのだから。)
この問題を解決するのが、認証の2因子法における要件だ。つまり、暗号化鍵を持つことに加えてもう一つ別の情報を要求する、例えばハードウェアの暗号化機器などを持って、そこから生成されたコードが暗号化鍵と共に入力されないとアクセスが得られないようにすることだ。(例として RSA SecurID SID800 Token の写真を添えておく。)こうした機器は一般に個人が身に付けて持ち運ぶので、誘拐とか物理的脅迫などを伴わない限りセキュリティが守られることになる。(2因子法は今日いろいろなところで実際に見られる。私は PayPal のフォッブを持っていて、eBay と PayPal のログインはこれを使って確認するようにしている。これはビジネス向けのアカウントには無料で、個人向けアカウントで使う場合は送料・手数料込みで $5 する。)
一般的なユーザーにとってこれは何を意味するのか? 現実的には、あなたのディスク暗号化ソフトウェアは今までと変わらず安全だ。あなたが政府機関、または犯罪組織、James Bond の仇の悪漢たちに、いわんやもっと普通の悪人たちで、あなたのプライベートなデータを欲しがっていて、かつこのセキュリティ脆弱性を本当にに実行できるだけの技術力を持っているような者たちに、敵意を持ってモニターされる現実の可能性は低い。ただ、それを踏まえた上で、あなたのシステムのセキュリティを向上させるために今あなたにできることが一つある。それは、あなたのキーチェーンパスワードをログインパスワードとは別のものに設定しておくことだ。さきほどの研究者たちは、Mac OS X 10.4 Tiger および 10.5 Leopard ではメモリ中にログインパスワードのコピーが複数個保持されていることを発見した。多くの人たちはログインパスワードと同じものをキーチェーンにアクセスするためにも使っていて、しかもそれがしばしば FileVault 用やその他のセキュアなサービスのためのパスワードを保管するために使われている。Apple のキーチェーンについての情報、またキーチェーンとログインでパスワードを使い分けるやり方などについては、Joe Kissell の“Take Control of Passwords in Mac OS X”に詳しい。
ただ、この研究者たちは、セキュアな運営を保つ必要のある金融機関その他で使われているシステムの多くが不正なアクセスを防止するためにディスクの暗号化を使用していると指摘する。幸いにも、そうした機関の多くは2因子法による認証も要求するなど、各種の物理的メカニズムも採用することでコンピュータへのアクセスを防いでいる。コンピュータのケースをロックしているところもある。そのような対策をまだ施していないところは、ぜひとも何らかの予防措置を追加するべきだ。
今回の研究で最も気になる点は、この研究者グループが DRAM の動作方法やディスク暗号化鍵のセキュリティについて何の疑問も持たずにそれらを前提としていることだ。今やこうした疑問点が提示され答が出されたのだから、オペレーティングシステムやその他のセキュリティソフトウェアは、それぞれ自らに再検討を加えて強化を施し、このような寒々しい脆弱性をなくすか、少なくともその恐れを減らすようにするべきだろう。
文: Jeff Carlson <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
多くの Apple TV オーナーたちと同様、バージョン 2.0 ソフトウェア(Apple の言葉によれば“Take 2”)がこのメディアプレイヤーの既存のオーナーには無料のアップグレードになるというニュースを聞いて、私もとても興奮した。こうしてリフレッシュされた Apple TV で、私が真っ先に試したことの一つがムービーレンタルだった。欲しい映画を見つけて借りる手順は、シンプルで何の問題もなかった。すぐにその映画を観るつもりはなかったので、ちょっぴりのろいインターネット接続でダウンロードしたその映画を、私は一晩そのままにしておいた。
でも、いよいよ座って映画を観ようと思った時、Apple TV は私にそうさせてはくれなかった。私が機器を設定したやり方に問題があったのだ。説明しよう。私は HDTV(ハイビジョンテレビ)を持っていない。去年私が“The Apple TV Pocket Guide”を著述した時には、Sony が私に 40 インチ Bravia を一台貸してくれたが、もちろんそれは返さなければならなかった。それ以来、私の Apple TV はずっと Dell の FPW2005 20 インチ LCD ディスプレイ(私が自宅と職場で MacBook Pro を繋いでいるのと同じ機種)に接続されている。両者を繋ぐケーブルには片方の端(Apple TV の側)に HDMI プラグが、もう片方の端(Dell モニタの側)には DVI プラグが付いている。きらびやかな大スクリーンのテレビではないにしても、これまでこの設定で十分うまく働いていた。
けれども私が映画を観ようとした時は、Apple TV からエラーメッセージが出た:「このコンテンツは再生に HDCP が必要です。」 HDCP (High Bandwidth Digital Content Protection) というのはデジタル著作権管理 (DRM) の一形態で、その信号を正しくデコードできる互換なハードウェアがなければ(私の場合のような)DVI と HDMI の接続でビデオを再生することができない。(言い替えれば HDCP は、正当な顧客をイライラさせるだけの、クズ同然の DRM ということだ。)私は合法的にその映画をダウンロードしたのだが、どうやらモニタが古すぎるために HDCP を含んでおらず、そのため私の映画を上映することができないのだ。
でも、これはメディアやエレクトロニクスの会社があまりにも猪突猛進で顧客たちを踏みつけにしているという高飛車な批判記事ではない。(決してそんなつもりで書いているのではない。)そのエラーメッセージのすぐ下に、Apple TV のコンポーネント接続を使えば映画が観られるだろうという注意書きが付いていた。ビデオとオーディオをすべて1本のケーブルで送る HDMI を利用することはできないが、その代わりに3本のコンポーネントビデオケーブルと別途のオーディオケーブルとを Apple TV に繋げば解決するのだという。ところが残念ながら、私の Dell モニタは本来コンピュータのディスプレイ用のものなので、コンポーネント接続の端子は付いていなかった。
$25 程度で component-to-DVI アダプタをインターネットで購入することもできるのだが、同僚の Andrew Laurence(彼も同じディスプレイを持っている)が親切にもわざわざ調べてくれて、ある問題が判明した。この Dell モデルが採用しているのは DVI-D (デジタル) 接続だが、それらのアダプタを使うためには DVI-I (統合) または DVI-A (アナログ) タイプの接続が必要なのだ。これ以後の Dell モニタの多くは互換なのだが、私たちのモデルは互換でなかった。というわけでこのアイデアも駄目だった。
理想の世界ならば、メディア各社がこんなにもアホウで被害妄想狂であることもないだろうが(失礼、ちょっと舞い上がってしまった、深呼吸して落ち着こう)そういう世界でなら私も単純にその映画を私の MacBook Pro か iPhone に転送すれば済むだけのことだろう。でも現実は、Apple TV で直接借りた映画は Apple TV でしか観られない。もしも Mac を使って iTunes 経由で映画を借りれば、その映画は iPhone にでも iPod にでも、あるいは Apple TV にでも転送できる。結局私の映画は Apple TV の罠に捕えられたままで、この Apple TV を互換な機器に繋ぐ以外に観る方法はなかった。
$4 のレンタル料金はすっぱりとあきらめて研究のためのコストだと考えることもできたが、やはり $4 といえば、ダブルエスプレッソが2杯も飲める現実のお金だ。そこで、私は人が普通はしないことをした。Apple に苦情を言うことにしたのだ。かなりナビゲーションに苦労したが、最後には iTunes Store にコンタクトするフォームにたどり着いた。私は自分の窮状を訴えて、こんなことをしても大会社の電子メールブラックホールに吸い込まれるだけだろうな、と思いつつそのメッセージを送信した。
ところが 24 時間も経たないうちに、こんな返事が届いた。「レンタルされた映画が再生できなくてお気の毒です。今回のレンタル料金は、返金の手続きをとらせていただきます。ビジネス日で3日から5日以内に、$4.35 USD (税別) のクレジットがお手許に届きます。いったん iTunes Store をサインアウトしてからサインインしていただけば、クレジットをご確認いただけるでしょう。ただし、iTunes Store Terms of Sale に明示してあります通り、すべてのレンタルは最終的なものと定められていますので、今回の措置は一回限りの例外措置とお考えください。」
そういうわけで、あの映画は今改めて私の手許にやって来ているところだ。今回は iTunes 経由なので、あとで iPhone でも観られる。たぶん私は今後 iTunes ムービーレンタルを Apple TV で観ることはないだろうし、もしもあなたのテレビやディスプレイが HDCP やコンポーネントビデオ、あるいは適切な種類の DVI をサポートしていないのならば、あなたもそれを避けるようにした方がいい。
文: Joe Kissell
<[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
ここ二週間の間に、私は Mac ユーザグループでプレゼンテーションをする機会を二度与えられた。どちらの場合も、ミーティングの会場が私が簡単に旅行して行く訳には行かない場所にあったので、私は Apple の最新の素晴らしいテクノロジーを実地に使ってみることにした。私はビデオを通じて会場に登場し、私の Keynote プレゼンテーションを iChat Theater を使って遠隔上映する、というやり方だ。用語に馴染みのない方のために説明しておくと、これは Leopard 版の iChat に装備された機能で、ほとんどすべての種類のメディア、グラフィックス、ムービー、Keynote プレゼンテーション、さらには iPhoto スライドショウまで、別の人との間のビデオチャットの最中に走らせて共有できるというものだ。以前からぜひこの機能を使ってみたいと思っていたのだが、実際やってみるとこれが素晴らしく便利なものだと分かった。
どちらのプレゼンテーションもかなりうまくいったと思うが、ちょっとした問題点や不満などはいくつか経験した。まず、これは最近の Apple を見ているともう慣れっこになったとも言えるが、iChat Theater の使い方に関する説明書類はどうひいき目に見てもお粗末の一言で、問題点が起こればその度にウェブを検索したり、いろいろと試行錯誤したり、思い切って運試しをしてみたりしなければならなかった。私はまだすべてをマスターし切って iChat Theater を使いこなせるところまでは行っていないので、ここに詳細な how-to 記事を書くことはできない。その代わりに、観察し経験したことを通じて私が成功の可能性を向上させられると感じたいくつかのコツを、ここで披露させて頂きたいと思う。
まずは基本から -- iChat Theater はまず普通の、ありふれたビデオチャットで始まる。メディアの共有をしたい側の人(つまり「送り主」すなわち「ホスト」)は Leopard を走らせていなければならない。相手側の人は Tiger を走らせていてもよいが、Leopard 版の iChat の方がより良いオーディオおよびビデオの品質を出せるので、私は双方の側が Leopard を使うことを勧めたい。そこから進むべき最も単純な道は、先にビデオチャットを始めて、その後で共有すべきメディアを選ぶことだ。そのファイルは iChat のビデオウィンドウの中へドラッグしてもよいし、下の縁に現われる“Share with iChat Theater”領域にドロップしても、あるいは File > Share a File with iChat Theater を選んでから手動でそのファイルにナビゲートしてもよい。(iPhoto との共有の場合は、同じメニューにある別のコマンド、Share iPhoto with iChat Theater が使える。)いったんこうすれば、あなたのチャットのオーディオ部分はそのまま働き続け、ビデオについては二つのうちどちらか片方が起こる。一つは「並列モード」で、もう一つは「交換モード」だ。ここからがいよいよ面白いところだ。
こちら側とあちら側 -- 「並列モード」では、ライブのビデオ画像がウィンドウの左下の隅に小さく、ほんの少し角度の付いたボックス状に縮小されて、あなたが新たに共有したメディアがウィンドウの残り大部分を占める。(当然ながら、どちらの画像もそれぞれの下側に、もはや Apple のトレードマークとも言える反射効果が付く。)Apple がいつもデモやウェブページなどで採用しているのがこちらの方法で、たいていの人にはこちらの方が望ましい効果が得られるだろう。共有されたメディアと同時に、相手方の顔も常に見えているからだ。これとは対照的に、「交換モード」では双方側のカメラによるビデオフィードは完全に消え失せ、メディアのみがウィンドウ全体を占める。お互いに話したり聞いたりするのは問題ないが、相手側の映像を画面で見ることはできなくなる。
きっと皆さんはこの「並列モード」と「交換モード」をどうやって切り替えて使うのかと疑問にお思いのことだろう。その答は驚くべきものだ。実は、どちらのモードになるかをはっきりと知る方法はないのだ。並列モードの方は、明らかに交換モードに比べてより強い精力を双方側で要する。ここで私が「精力」と言ったのは、プロセッサのパワーとバンド幅の両方の意味だ。Apple は“Mac OS X 10.5: iChat のシステム条件”ウェブページの一番下のところにその詳細を表にして記している。そこに書いてあることによれば、基本的に送信者は最低限デュアル 1 GHz G4、すべての G5、または Intel プロセッサと、上り方向・下り方向とも 384 Kbps のバンド幅を必要とし、また Keynote スライドが iChat のサポートする最大解像度の 640x480 で見られるようにするためには上り方向で 900 Kbps が必要となる。受信者の方は、1 GHz G4、デュアル 800 MHz G4、すべての G5、または Intel プロセッサと、バンド幅としては上り・下りとも 128 Kbps でよい。送信者・受信者のいずれか一方の側でこれらの必要条件のどれかが一つでも欠ければ、交換モードに替わってしまう。
ただし問題は、それだけではないということだ。例えば、私がやってみた限りでは、私の 1 GHz PowerBook G4 を受信側にして並列モードにすることはどうやってもできなかった。Apple のウェブページには「多方向ビデオコンフェレンスに参加可能な Leopard 互換のすべての Mac で、並列表示が可能」と書いてあるが、私の PowerBook G4 の上では iChat の Connection Doctor ウィンドウで“Join Multiperson Video”の脇にちゃんと緑のチェックマークが輝いているにもかかわらず、並列モードはどうしてもこのマシンで働いてくれない。(Glenn Fleishman もデュアル 1.25 GHz Power Mac G4 で同様の問題を報告している。)他方、私の部屋の片隅に置いてある Intel ベースの Mac mini を受信側にすると並列モードが問題なく働くし、私の自宅よりかなりバンド幅の低いインターネット接続で繋がった地球の反対側にある MacBook を受信側にしてみたところ、やはり並列モードで働いた。だから、実際のシステム要件が Apple が言うものよりも高いことは間違いないと思うが、具体的なことは明らかでない。
バンド幅の面でも、Apple の仕様は実態にマッチしていないようだ。私は何度も自宅の MacBook Pro で上り方向のバンド幅を計測して 500 Kbps 台の中盤から 700 Kbps 台の中盤という結果を出しており、これは Apple が 640x480 のビデオや Keynote スライドに必要と言っている 900 Kbps には遠く及ばないが、それでもこの受信機は私の送ったフルの 640x480 ビデオをきちんと受け取っていたようだった。(iChat が相手側がどの解像度なのかを実際に知らせてくれればよいのにと思うのだが、それを確実に知る方法は私には分からない。私の _感じ_ では、あのビデオはその次のベストの選択肢である 320x240 よりはっきり高解像度であるように見えた。)その一方で受信側を 802.11g AirPort 接続から有線の Ethernet に切り替えたところ、私が一番最近に試したプレゼンテーションでオーディオがドロップアウトする問題が何度か現われた。(ただし AirPort 接続では十分なバンド幅が提供されていたはずで、それは上り方向のインターネット接続のものより大きかったと思う。)
つまり私が言いたいのは、並列モードが利用できるのを保証することはきわめて難しいということだ。双方側のコンピュータとそれぞれのインターネット接続がすべて Apple の仕様を満たすように見えても、保証される訳ではない。また、たとえ並列モードが働いていたとしても、あなたの画像やメディアが高解像度で届くかどうかは保証の限りではない。(あなたの顔の画像についてはどちらでもよいかもしれないが、解像度が低くてピクセル化が起こるせいであなたの Keynote スライド上の文字を向こう側の人たちが読めなかったとしたら、それは一大事に終わるかもしれない。)一番イライラさせられるのは、もしも期待するよりも低い解像度しか得られないことがあらかじめ分かっていたならば、あるいは聴衆が私の顔を見ることができないとあらかじめ分かっていれば、その場合はそれに応じて違った風にプレゼンテーションを準備しておくこともできるのに、ということだ。けれども現実は、どちらについても実際にどうなるかはその時になってみなければ分からない。そういう訳でショウ直前のテストが絶対に必要となる。できれば必要に応じて変更が施せるように十分時間を空けてテストをしておきたい。
ついでに言えば、もしも何らかの理由であなたが並列モードが使える環境であるにもかかわらず交換モードの方にしたいと思った場合、例えば向こう側の人たちに自分の顔を見られないように、ただメディアファイルだけに注意を集中してもらいたい場合、それもまた難しい注文だ。カメラをオフにしたり接続を外したり(それが可能であるマシンでの話だが)する以外、あなたに選択肢はない。もしもテクノロジーが並列モードをサポートしていたならば、否応無しに並列モードに切り替わるのだ。
遠隔プレゼンテーションの仕組み -- さて、プレゼンテーションそのものに話を戻そう。メディアファイルをウィンドウの中へドラッグして iChat Theater をスタートさせたら、実際には何が起こるのだろうか? ごくシンプルなメディアファイル、例えば JPEG や PDF などの場合は、その画像があなたの iChat ウィンドウに(当然ながら縮小されて)現われるだけでなく、同時に第二のフローティングウィンドウにも現われる。これは Quick Look のディスプレイに似ているが、もっと小さくてリサイズはできない。つまり、あなたが共有しているものが何であれ、その高解像度版という訳だ。もしもそれが数ページにわたる書類ならば、スクロールして読み進むことができる。あなたが Keynote プレゼンテーションをドラッグして持ち込んだ場合は、 Keynote 自体が起動する。(これには時間がかかることを覚悟しておくこと。できればあらかじめ Keynote を走らせておくとよい。)そして、Keynote の提供する小さなウィンドウの中であなたのプレゼンテーションが動き出す。そのウィンドウがアクティブな時は、キーボードを使ってあなたのスライドがコントロールできるし、またウィンドウの一番下にあるコントロールボタンをクリックすることもできる。言うまでもなく、ビデオウィンドウの邪魔にならない場所にこのウィンドウを置くのがよいし、プレゼンテーションで何かをしようと思うならばこのウィンドウを最前面にしておくべきだ。
iChat Theater で Share iPhoto を選べば、ウィンドウが現われてその中でどの iPhoto アルバムやウェブギャラリーでも選べるようになる。Share をクリックすれば、iPhoto が起動して他の人たちも iPhoto スライドショウが見られ、音楽やディゾルブ、Ken Burns エフェクト、その他 iPhoto で設定できるものはすべて付いてくる。(望み通りの効果を狙うためにあらかじめこうした設定を変更しておくには、まずあなたのアルバムを選び、iPhoto ウィンドウの一番下にある Slideshow ボタンをクリックして、Settings と Music のパネルであなたの好みに設定を調整してから Save Settings をクリックすればよい。)あなたの側では、iPhoto が小さなフローティングコントロールウィンドウを表示するのでそこでスライドショウの一時停止や早送り、巻き戻しなどができる。
あなたが選んだメディアがどんなものにしろそれが終わったら、その別途ウィンドウのクローズボタンをクリックしてもよいし、または iChat Theater で File > Stop Sharing を選んでもよい。すると、双方の側でビデオ再生がズームバックして iChat ウィンドウ全体を埋め尽くす。この中途の段階を経ずに直接一つのメディアからその次に移ることができないかと私は試してみたが、その結果は当てにならず、うまく行く時とうまく行かない時とがあった。Keynote プレゼンテーションを(ビデオのみに戻るか、何か他のものを見せるかするために)いったん止めて、その後もう一度同じプレゼンテーションに戻る必要がある場合には、先ほど中断したその同じスライドに戻ってくれるので便利だ。(ただしこれはそのスライドの最初に戻るのであって、必ずしも先ほどストップしたちょうどその場所に戻る訳ではない。)
あなたが遠く見える -- あなたが幸運にも並列モードを使っている場合は、あなたがプレゼンテーションを続けたりあなたが示しているファイルについて説明したりしている間もずっと向こう側にいる人たちを画面で見ていられる。けれどもそれは非常に小さいウィンドウの中だ。フルスクリーンモードでなく標準サイズの iChat ウィンドウでならば、なおさら本当に小さい画像になってしまう。大勢の人々のグループにプレゼンテーションをしているのなら、一人一人はずっと小さくなり、皆がプロジェクターの画像を見やすいようにと部屋の照明が暗くなっていたりすれば、もう本当に何も見えないかもしれない。(もちろん、向こう側の人たちはあなたの顔が見えるだろうが(あなたの顔が大スクリーン一杯になっていればの話だが)あなたの方は大してビジュアルなフィードバックを得ることができない。
フィードバックといえば、オーディオが問題になるかもしれない。双方の側が一人ずつならば、そして双方の側がヘッドセットを着用しているならば、その場合はエコーの問題を心配する必要もない。でも、たとえプレゼンターであるあなたがヘッドセットを着用していても、向こう側から1秒か2秒遅れであなた自身の声が聞こえてくる。あなたの声が彼らの側のスピーカーから出て、彼らのマイクに戻り、それがあなたのところまで帰ってくるのだ。私はこれが非常に邪魔だと思った。そこで私は相手側の人にマイクの音量を下げるように頼むか、あるいは自分の側でスピーカー音量を下げるかしなければならない。どちらにしても、私はプレゼンテーションの最中はほとんどオーディオのフィードバックを得ることができないことになる。人々が私のジョークに笑ってくれたか、いびきをかいているひとはいるか、あるいは質問をしたい人がいるのか、何も分からない訳だ。
こうして、目と耳の双方のフィードバックを奪われた形となって、iChat Theater でライブのプレゼンテーションをするという私の体験はかなり孤独な感じを伴うものとなった。結局私は一時間という時間を自分のコンピュータに向かって話しかけることに費やし、その間向こう側にいる人たちがそこから何かを得てくれることをただ心の中で願い続けたのだが、実際にどうだったのかは分からない。面と向かってするプレゼンテーションに慣れていて、聴衆からのリアルタイムのフィードバックやその場にいる一人一人とのアイコンタクトに大きく依存する習慣が付いている者にとって、今回の経験はひどく奇妙でまごつかされるものに感じられた。
さあみんなで一緒に嫌いましょう -- やってみたかったけれどもできなかったことの一つは、プレゼンテーションの最中に私のコンピュータ画面を共有させて、何かソフトウェアを実際に走らせているところを見せることだ。実際 Leopard 版の iChat はスクリーン共有をサポートしているので、何も問題ない。ただ Buddies > Share My Screen With _User Name_ を選ぶだけだ。そして、それは確かに動作することは動作するのだが、そこで打止めだ。相手側があなたのスクリーン共有に許可を与えれば、彼らのスクリーンがあなたの現在のスクリーンに映っているものの複製で埋め尽くされる。(彼ら自身のスクリーンが小さなフローティングウィンドウに表示される。)双方向のオーディオは引き続き期待通りに働く。しかし、問題はその後だ。例えば、プレゼンターである私が私のスクリーン共有を止めて普通のビデオに戻ろうと思ったとしよう。私は iChat メニューから End Screen Sharing を選ぶことはできるのだが、そうすると _全体の_ 接続が切れてしまう。同じように、向こう側の人がスクリーン共有を切れば、やはり全体の接続が消滅する。スクリーン共有を終えた後に再度初めから新たな接続を開始する以外に通常のビデオ交信や iChat Theater にスムーズに戻る方法があるのかもしれないが、私はまだどうやってそれができるのかを発見できていない。こうした手順の面倒さが積み重なっているため、遠隔プレゼンテーションの最中にライブのデモを含めることは実際問題として無理だと私は思っている。
iChat Theater のヒント -- iChat Theater を使いたい方には、特に人々のグループを相手に遠隔プレゼンテーションをしたい方には、以下に挙げたいくつかのヒントが、より良い体験ができるための助けとなるかもしれない。
iChat Theater に改善を望みたい箇所はたくさんあるが、それでも私が従来から持っていたもの(つまり誰かに向こう側で私の代わりにスライドショウを走らせてもらう方法)に比べればずっと素晴らしく、もう従来の方法に戻ることは考えられない。もちろん、可能でありさえすれば自分で当地に出向く方が望ましいのは変わらないが、十分なバンド幅と CPU パワーがあるなら、現時点では iChat Theater こそがそれに次ぐ良い方法と言えるだろう。
文: Jeff Carlson <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
AV Home の複雑度 -- ホームエンターテインメントのいろいろなコンポーネントをつなぎ合わせるのはどうしようもなく面倒だが、この状況は当面変わりそうにもない。(メッセージ数 2)
Mac 用のコンコーダンスソフトウェア -- 大サイズの PDF をソースに使ってコンコーダンスを作るプログラムを、読者たちがいくつか推薦する。(メッセージ数 6)
PDF フォームで印刷に問題が -- PDF は電子フォームに手軽に記入できるためのものだったはずだが、ある読者がそこで問題に遭遇する。(それを回避する方法もいくつか提案される。)(メッセージ数 5)
Eudora と Leopard は仲直りしたのか? -- Eudora は、Leopard 下でどの程度うまく働くか? このプログラムはもはや開発が続けられていないし、いくつかあるその後継ソフトウェアも、まだどれもきちんと登場していないのだから。(メッセージ数 12)
2 台のシネマ画面を持つ Dual 1 GHz G4 で電源投入 -- ある読者のところでは、このハードウェアの組み合わせで電源スイッチが見当たらない。どうやってスイッチを入れるのか? (メッセージ数 5)
スリープの問題 -- 少し古いマシンが Leopard 下ではスリープに入ることができない、と何人かの読者が報告する。(メッセージ数 3)
MacBook Pro は雄牛のように強靱! -- MacBook Pro をコンクリートの床に落としても、問題なく動き続けた。でも、ちゃんと長持ちするのだろうか? (メッセージ数 4)
Mail のスレッドが奇妙な挙動 -- Mail アプリケーションはどんな方法でメッセージをスレッド分けしているのか? 最後の手段となるデータは Subject 行のようだ。(メッセージ数 3)
iCal の代わりとなるものは? -- カレンダーやスケジュールを処理できるプログラムとしては、どんな選択肢があるか? iCal は驚くほど貧弱過ぎるツールだ、と感じる読者たちがいる。(メッセージ数 9)
AirTunes を無線専用で? -- AirPort Express をあなたのネットワークにある別のワイヤレスベースステーションに接続するには、こうすればよい。(メッセージ数 6)
Office 2008 での変更点 -- Word のあの悪名高く信頼性の低い Fast Save オプションは、ついに死んでなくなってしまったのか? (メッセージ数 2)
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