TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#940/11-Aug-08

二週間の休暇を終えて、Adam はまだ遅れを取り戻す作業に躍起になっているが、まずは大物を二つ、彼の to-do リストから消すことに成功する。一つは GPS カーナビゲーションの Garmin 255W のレビュー記事を書くこと、そしてもう一つは、旅行中に 10 GB もの写真をどうやってバックアップしたかについて書くことだ。彼はまた App Store で最も人気の iPhone アプリケーション 100 個を眺め、純粋な娯楽用でなく実際に使い道のありそうなものがどれくらいあるか調べてみる。それから、最新の MobileMe 機能停止について報告し、たまたま Google の Gmail でも機能停止があったことを考え合わせる。Glenn Fleishman は、Sky Dayton が EarthLink の役員を辞任することになったというニュースを聞き、Dayton がインターネットに、Wi-Fi ホットスポットに、また携帯電話業界に残してきた足跡について考える。今週の TidBITS 監視リストでは、iPhone 2.0.1 ソフトウェア(Apple のリリースノートには「バグ修正」とあり短さの記録を更新した)と、Nisus Writer Express 3.1 について簡潔にお知らせする。

記事:

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MobileMe Mail と Gmail が同時にダウン

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

2008 年 8 月 11 日に、数時間にわたって、MobileMe Mail と Google の Gmail の双方が多くのユーザーにとってアクセスできない状態になった。ただし、伝えられるところによれば Gmail の方は IMAP 経由でスタンドアロンの電子メールクライアントを使って電子メールを得ている人には問題なくアクセスできたという。MobileMe の機能停止については、ステータスページで問題の存在を認めることもなされず、数時間経ってからアクセスは復旧した。もしも Apple がステータスページを提供することを真剣に考えているのならば、少なくともこれを迅速にアップデートする努力をすべきではないだろうか。(2008-07-26 の記事“MobileMe ステータスページは更新を約束、しかし口調は平板”参照。)騒ぎが静まった後に、Apple よりもましな説明を Google が提供してくれるかどうか、楽しみに待ちたい。

MobileMe-down
Gmail-down

それ以外の MobileMe と Google のサービスは私の知る限り影響を受けなかったが、あの .Mac から MobileMe への移行当初の問題点について Apple が修正を完了したと発表した後になっても、依然としてまだ MobileMe が機能停止に見舞われるというのは困ったことだ。Steve Jobs は 社内あての電子メールメッセージで MobileMe の初期問題に関する分析を伝えたが、その結論は基本的に Glenn Fleishman が記事“Apple、MobileMe メールの復旧が完了と発表”(2008-07-30) に書いたものと同じだった。

私は Gmail の機能停止だけを別途に追跡したことがあるわけではないが、大体においては頻繁に問題が起こるという不満の声を聞いたことがない。どんな電子メールサービスでも絶対的な保証というのはあり得ない(何しろ私のサーバでも数少ない私のローカルユーザーからアクセスできなくなることが時々あるのだから)が、欠くことのできないサービスとして電子メールに大きく依存している人たちは、トラブルが起きた場合に備えて代替用のアカウントを用意しておくのが賢明だろう。


娯楽を超える iPhone アップス

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

私は、会合の前や、通勤や行列に並んでいる間に、つぶす時間が多少あるという様な人間で無いので、心底 iPhone 革命にまでは到達していないし、そして実際の所、私の iPod touch を使うための時間を意識的につくろうとしたことも無い。あの 2.0 ソフトウェアのリリースがあるまでは、私の Mac がやれる以上の事を iPod touch は出来なかったのでこれはしょうがないことであった。それが今や App Store からソフトウェアをダウンロード出来るので、iPod touch も少しは役に立ちそうと言うものである。

しかしながら、有料そして無料のアプリケーションのトップリストを眺めながら、私は最近ちょっと面白いことに気付いた:殆ど全部がゲームか何かしら娯楽に関係したものだと言うことである。トップ 100 の有料アップスのリストを眺めて見ると、iPhone の機能改善や日常生活を楽にしてくれることに役立ちそうなものはおおよそ 36 ある。しかし、この数字も額面通りには受け取らない方がいいかもしれない、と言うのも、このリストには、少なくともボイスレコーダーが 4つ、変換ユーティリティが 3つ、内蔵の加速度計を使った傾斜測定プログラムが 3つ、パスワード管理が 2つ、カロリー計算が 2つ、そして現在位置情報を利用する近隣のレストランや他のサービスを探す手助けをするアップ幾つかが含まれているからである。目に付く役に立ちそうなものも幾つかあるので挙げてみると:

無料の方を見てみると、トップ 100 アップスのうち何らかの形で役に立ちそうなのは 28 しかない、そして再度言うが、似た様なものになりがちで、Web ベースのニュースに広告を載せたアップが幾つかあり、スクリーンを一色の明るい色に輝かせる懐中電灯アップが 2つ、そして現在地を基にしたサービス探索が幾つかある。その中でも際立つものは:

どうか誤解しないで欲しいのだが - 私は何も iPhone でゲームを、いやそれがパズルであれ何であれ、やることに反対しているわけではないし、私自身もこれらのことは全てたまにではあるがやる。しかし、我々の多くにとっては、自由になる時間は極めて限られている (そして iPhone もそれなりに高価である) ので、iPhone アップスは余暇時間をつぶすのではなく作り出すのに役立つべきである。


旅の途中で写真のバックアップをとる

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

我々の最近の Wales と England への旅では沢山の写真を撮った、私が撮ったものだけではなく、Tristan が撮ったものもある。彼はもう 9 才で本物のデジカメを使うには十分な年である。彼は結構良い写真を撮っていたし (この記事の最後の所までスクロールして行くと、お城での我々のスナップショットがある!)、それに私は私の使っている Canon PowerShot SD870 IS を彼と共有する気は無かったので、今回の旅のために彼にはもうちょっと安い PowerShot SD850 IS を買ってやった。この機種選定には十分に我々の意思が入っている、と言うのも両方のカメラ共、同じ USB ケーブル、SD カード、予備電池、そして充電器を使うので、旅支度を楽にしてくれるし重量も軽減できるからである。その上、Tristan は Canon のインターフェースにも慣れているし、手ブレ防止機能は彼には大いに役立つ。結果は大成功で、彼はウェールズの城を休むことも無く駆け回りながら、写真を撮りそして目の前のものについて我々に話をしてくれた。彼が撮った写真はおおよそ 1000 枚近くにまでなったが、これは我々が彼に悪い写真は間引きするように言った後の数字でもある、私もこの 10日間の旅の間にほぼ同じ枚数の写真を撮った。

これは 10 GB に近いデータ量である。私は、写真をどれぐらい撮るか事前にはわかっていなかったが、きっと沢山撮るだろうことは分かっていた。可能性のある問題を考えていく過程で、私は写真を守るために個々の写真に対して少なくとも二つのコピーを持とうと心に決めた、それも物理的に同じ場所にある機会が最も少ない二つの違うデバイス上にである。

最初に考えたのはインターネットバックアップであるが、少し考えた末の結論として - 結果的にも正しかったのだが - 毎日 Wi-Fi 接続を探すのは現実的には無理があるだろうと判断した。現にインターネットアクセスがあった時でも、何百メガバイトもの写真をアップロードする時間は必ずしも持てなかった。(通常アップロードのスループットはダウンロードのものよりずっと落ちることはご存知だと思う。) 勿論、定常的に高速のインターネットアクセスを見つけることが出来、毎日それと格闘する時間も間違いなくあると言うのであれば、 Flickr や或いはあなたの自由になるサーバーへアップロードすると言うは悪い考えではない。

それで次は写真を iPod に保存することを考えたのだが、我々の iPod にはどれも空きスペースは通常あまり無く、勿論旅のために一台中身を消しておくというのは有りであるが、その上カメラから iPod へ写真を移すと言うのもそう簡単ではなさそうなことが分かってきた。Apple の iPod Camera Connector はたった $29 ではあるが、話によると、それは遅く、バッテリを貪り食い、生フォーマットはサポートせず、それに対応する iPod のモデルも限られているという。(Belkin から前には iPod に写真を保存する製品が二つ出されていたのだが、今はもうどちらも出されていないようである。) どのみち、私は私の MacBook を携帯する積りだったので、写真を MacBook へではなく iPod にコピーする利点も無さそうに見えた。もしあなたがラップトップを持たず、対応する iPod を持って旅をするのであれば、このオプションも悪くないかもしれない。

私が本当に欲しいもので見つけられなかったものは、非常に小さなデバイスで一つの SD カードのクローンを他のカードに作るものである。SD カードは非常に小さくそしてそれ程高価でもないので、使用中のカードのバックアップを別に作り、カメラに入っているものとは別の場所に保管するのは極めて容易であろう。この様なデバイスはあるのかも知れないが、私が探したフラッシュカードを大量に複製するサービスの中では何処にも見当たらなかった。

そこで結局、旅にラップトップを持っていくのであれば、私がやった単純な方法を読者の皆さんも真似できるだろう。毎晩、Tristan と私は、カメラの上で明らかに駄目なものやダブっている写真を間引きし、その上で私がそれぞれのカメラを MacBook につないで、個別の iPhoto ライブラリに写真をダウンロードする作業をした。(Option キーを押しながら iPhoto を起動すれば、新たなライブラリを作成したり、別のライブラリに切り替えられる。) 私は、iPhoto '08 を使っていて、選択インポートの機能があり既にインポートした写真は隠すことが出来るので、インポートした後で写真を消去することはしなかった。私は、両方のカメラに 4 GB SD カードを選んであり、更に私用には 4 GB カードをもう一枚、Tristan 用には 2 GB カードを用意していた。私の方は、大きなムービーのお陰もあって、旅の 7 日目にして最初のカードを一杯にしてしまったが、Tristan の方は最後まで一杯になることは無かった。

結果は、毎晩写真を iPhoto にバックアップすることで、全部の写真のコピーを一つ MacBook 上に持つことになり、こちらは日中は車の中かホテルの部屋に置き、もう一つは我々のカメラの中で、出かける時も何時も我々の身の回りにあった。私の最初の 4 GB カードが一杯になった時、私はそれを Tonya に預けて彼女の財布の中に入れて貰い、これは四六時中彼女が身に着けていた。

たとえ MacBook が車の中から或いはホテルの部屋から盗まれたとしても、これで写真を失うことはないし、そして我々のカメラの一つでも或いは両方が盗まれたり、或いは壊れたとしても、失うものはその日に撮った写真だけに限られる。このやり方を取ったお陰で、毎晩費やさなければいけなかったのはほんの数分間だけであり、これは休暇中の身にとっては非常にありがたいもので、ボーナスとして、数日おきに写真を数枚 iPhoto のメール機能を使って家族に送ることも出来た。

今回の旅で撮った写真を数枚 (Tristan が最初の三枚を撮り、私が四枚目を撮った):

Adam と Tonya、Castell Coch の前で

Adam-and-Tonya-at-Castell-Coch

Tonya、中世の都市 Conwy の城壁の前で

Tonya-at-Conwy

Adam、Rhuddlan の城址にて (ついでにこれを基にした我々の仲間 Jeff Porten の Photoshop リフの方も楽しんで欲しい)

Adam-at-Rhuddlan

Tristan、Conwy の城壁の出入り口で

Tristan-at-Conwy


Sky Dayton が EarthLink から退陣

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たち TidBITS は、ずっと以前から Sky Dayton と知り合いだった。彼は、ダイヤルアップのインターネットアクセスを大衆に提供することで成長を遂げた最も初期の会社の一つ、EarthLink の創設者だ。EarthLink の公式発表によれば、この会社を始めてから 14 年経ち、Sky は現在彼に残っている取締役会のメンバーとしての役割を辞任することになったという。

私たちはこれを機会に、Sky の、そして EarthLink の歴史について、概観してみたいと思う。Sky は、平均的な人々とインターネットとを結び付けるために極めて重要であった多くの出来事に関与し、中でも三つの異なった大変革のただ中にいた。その三つとは、ダイヤルアップ、Wi-Fi ホットスポット、それに携帯電話ネットワークだ。

ディスクを SLIP させる -- Sky が EarthLink 社を創設してから一年後のこと、TidBITS 出版者の Adam Engst は、分厚くて重い著書“The Internet Starter Kit for Macintosh”を出版した。(1993-09-27 の記事、題名もまさに“The Internet Starter Kit for Macintosh”を参照。)この本はインターネットの使い方のガイドブックとして最初のものの一つで、間違いなく最も売れたものの一つだった。

1994 年に出したこの本の第二版で、Adam は本の付録として 1.4 MB フロッピーディスクを付けて、そこにたくさんの Mac 用ソフトウェアをてんこ盛りした。名前を列挙するだけでも懐かしさに胸の痛む思いがするが、Anarchie、MacTCP、InterSLIP、MacPPP、TurboGopher、その他数々が満載だった。(1994-10-24 の記事“Internet Starter Kit for Macintosh, Second Edition”参照。)その発表記事の中で、EarthLink Network (創設当時の会社名) が、同社のネットワークに Mac を繋ぐ設定をするインストーラを入れたこの本のカスタマイズ版を買い取った会社として紹介されている。

後になって、1996-03-25 の記事“EarthLink Network が TidBITS のスポンサーに”の中で、Adam は彼自身が Sky の EarthLink 創設にいくらかの影響を与えていたことを明かしている。彼と Sky は、インターネットにアクセスするための統合プログラムを作るソフトウェア会社を創設することについて、じっくり話し合ったのだ。当時、それを目指していた会社はいくつかあった。America Online、CompuServe、Prodigy、その他の会社が、それぞれの塀で囲まれた庭のために統合ソフトウェアを持っていた。また、ニューヨーク市におけるダイヤルアップのプロバイダで、科学ライターの James Gleick がパートナーの技術者と共に創設した The Pipeline のようなところもあった。

Sky はソフトウェア会社を作ることをやめて、その代わりに EarthLink を創設する道を選んだ。それ以来、彼が創設したそれぞれ独特の三つの会社には、すべて同じパターンが受け継がれた。EarthLink で、彼は当時の潮流、つまり電話会社の中に実際に場所を確保してそこに大量のモデムをインストールし、そのひっきりなしに故障を起こす制御し難い基盤構造を保守管理する狂気に立ち向かう、というやり方を拒否した。その代わりに彼は、クレジットカード認証やその他のデータ処理を扱えるように構築された既存のネットワークの上に容量を賃借する方法を選んだ。

結局、それが賢い手段だった。年月が過ぎ、いくつかのローカルな大規模 ISP を除いて、すべてのダイヤルアップ会社はそれぞれに数少ない全国的ネットワークのうち一つを選んでそこに容量を賃借するか、あるいはそのようなプロバイダの一部分を買収するか、いずれかの道を選ぶようになった。後者の代表例が Microsoft による UUNET の部分買収だ。(UUNET は 1990 年に初めての消費市場向けインターネットプロバイダとなった。その後これは MFS に買収され、それがまた Worldcom に買収され、それが MCI と合併して MCI Worldcom となり、CompuServe と AOL のネットワーク部門を買収し、不正行為と管理の不始末により破綻してから、MCI と改名され、その後 Verizon に売却された。)

アグリゲートせよ、ビルドするな -- 2000 年になって、Sky は密かに資金を集めて、EarthLink とは独立な形で Boingo Wireless を創設した。これはさまざまの異種のホットスポット・ネットワークを集約(アグリゲート)して、シームレスな、統一アカウント、統一料金で使えるサービスを提供しようという会社だ。Boingo は当初、サービスを付加したソフトウェア会社という性格が強かった。この会社としては、Wi-Fi ホットスポットにログインするためのおびただしい種類の方法を処理できるアプリケーションを書かねばならなかったからだ。

私が Boingo について書いた最初の記事は 2001 年 12 月に彼らが秘密のベールを捨てて姿を現わした時のことで、私が始めたばかりだったサイト Wi-Fi Networking News(その後 802.11b Networking News と呼ばれるようになった)に“Public Space Wi-Fi's Transforming Event”という題で掲載された。Boingo 発足当時は米国内の 750 のホットスポットが対象だった。現在では米国内で契約している場所が 6 万、全世界で 10 万に達し、米国内のみ、および全世界、それぞれの定額料金プランで運営している。

Boingo はホットスポットの定額料金という概念を初めて導入し、24 時間均一料金のネットワークパスにも初期のうちに参加し、ホットスポットのアグリゲータとしてはあらゆる規模のものの中で私の知る限り史上初めてであったと思う。より大規模のホットスポット・ネットワークを構築しようというそれ以前の試みはすべて、ローミングに焦点を当てていた。つまり、一つのネットワークがユーザーたちに、そのホームネットワークに入る際と同じ認証情報を使って他のネットワークへのログインを許す(通常米国内では追加料金なしで)というものであった。アグリゲートは、それとは本質的に違っている。ネットワークの到達範囲を拡げるための取り決めをする仕事の負担はすべてアグリゲータの会社が引き受け、ユーザーが実行するログインはごく単純な動作の中にパッケージされたままにするのだ。

2006 年になって、Sky は新しいベンチャー企業の社長となった。Helio だ。この会社はハンドセットやセル・アクセスは販売するがそれ自身でネットワークを所有してはおらず、いわゆる仮想移動体サービス事業者 (mobile virtual network operator, MVNO) というものだ。Boingo や Wi-Fi アグリゲータのような MVNO は、他のネットワークへのアクセスを自社の顧客たちに再販する。Sky は、まだ iPhone も BlackBerry Pearl も登場していない時代の面白みに欠ける製品群に対抗するため、韓国製の先進的なハンドセット機を米国に導入しようとした。

Helio は SK Telecom と EarthLink の合弁事業であり、両社が種子資本のそれぞれ 50% を出資した。そのため、Helio を指揮するにあたって利害の衝突を避けるため、Sky は EarthLink における会長職を去らねばならなかった。単なる EarthLink の重役ならば、Helio が議案になった時にだけ席を外せばよい。ただし彼は Boingo の会長職はそのまま続け、今でもその職にいる。

EarthLink と Helio の提携関係も、大都市規模の Wi-Fi ネットワークを築こうという努力も(この後者については私が Wi-Fi Networking News サイトで何度も、多くの人々に言わせれば執拗に、記事にしてきたが)残念ながらいずれも今では無に帰してしまった。都市部門は 2005 年にスタートしたものの、2007 年になって支援が断たれる(2008 年 8 月までに段階的に撤収する)ことになった。政治的な問題、技術的な問題に加えて、タイミングの問題が重なったためだ。Helio は最近 Virgin Mobile に売却された。ここは EarthLink がその出資額を大幅に切り下げて以来、米国最大の MVNO となっている。

EarthLink は現在その事業にトラブルを抱えている。ダイヤルアップの収益は今もまだ同社の稼ぎ頭だが、減少傾向を見せている。同社は DSL やケーブルに移行しようと努力しているが、こちらは裁判所の決定や監督官庁の意向、それに独立の会社が「最後の一マイル」つまり電話会社の回線と人々の家のケーブル接続との間に非差別的なアクセスを得ることを禁じる法律によって、障害に突き当たっている。(EarthLink のアクセスはさまざまだが、DSL は通常、いろいろな電子通信会社がそれぞれの顧客に提供している割引料金よりは高い価格で卸売されていることが多い。)

手ごろな卸売価格を支払って EarthLink 版のインターネットサービスを DSL やケーブルを通じて販売することが不可能となれば、ユーザーたちがダイヤルアップから一つ先に進もうとする時に、あるいは新規の顧客を獲得しようとする時に、EarthLink が顧客たちを引き留められる魅力は減ってしまう。だから、携帯電話サービスや都市規模 Wi-Fi に移行しようという同社の努力は重大な賭けであったのだが、いずれも点火するまでには至らなかった。

とても残念なことだ。でも、EarthLink の最近の歴史を見ると、これこそ Ma Bell (ベルお母さん、米国最大の電話会社 AT&T のこと) や大手のケーブル会社たちが実際に競争を容認していたならばという理想に対しての鎮魂の意味を持っていることが分かる。裁判官も、監督当局者も、議員たちも、皆が揃って口先だけは公平な活動の場について語りつつ、その一方ではわだちを掘ったり石をそこらに投げ捨てたりしているだけなのだから。

上へリンクし、外へ退出 -- Adam と私は長年にわたって何度も Sky と話をしたり文章をやり取りしたりしてきた。私たちは二人とも、折に触れて直接彼と会ったこともある。彼の人柄はカリスマ性を発揮し、技術にも深く精通し、マーケティングの面でも非常に鋭いところがある。彼の次の一手がどちらを向くことになるのかは全く分からないが、過去の実績を何らかの兆候と捉えるならば、その一手はきっと何か賢い、魅力に溢れたものであって、しかも掘削機を動かして電線を張り巡らす他の会社に、何らかの意味で依存したものとなるに違いない。


Garmin nuvi 255W、ナビゲーションに焦点を絞る

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私はいろいろなカーナビゲーション GPS ユニットのレビュー記事を書いてきたが(シリーズ記事“Find Yourself with GPS”参照)多くのものをレビュ−するに従って、機能さえ数多ければよいという幻想にメーカー各社が屈服していることが明らかになってきた。カラー液晶スクリーンとスピーカーを備えた機器を持っているからといって、必ずしもそこに写真のスライドショウと MP3 プレイヤーの機能を詰め込まなければならないということにはならない。また同様に、GPS はすべてごく小さなコンピュータであるが、だからといってユーザーがほとんどすべてのオプションをカスタマイズできるようにすることは必ずしも常に望ましいわけではない。おたくたちは喜ぶかもしれないが、それ以外の多くの人たちは混乱してしまってデフォルトの設定を変える気にならなくなるかもしれない。

(日本語)迷いの予感? GPS 概論  | GPSy で木立の中のドライブを | GPSy 3.0 新機能を披露 | インターネットで体を動かそう: みんなで宝探しを! | 宇宙からの指示:GPS カーナビ | NYC のカオスに秩序を: Garmin StreetPilot c330 | Garmin Forerunner GPS と走る | Magellan RoadMate 700 でドライブに出る | Magellan RoadMate 760 GPS、おもむろに口を開く | Garmin StreetPilot 2720、カーナビの好感度を上げる | Magellan RoadMate 3000T/6000T 下り坂に向かう | 2006 年末ギフト提案: Macintosh 指向の人向け | TomTom Go 720 GPS を乗せて、いざ鞍の上へ

私が一番最近にテストしたユニットは Garmin 製で $349.95 の nuvi 255W だ。これは同社の製品一覧の中では最も低価格に近いあたりに位置しているが、カーナビゲーション機器としてうまく働くために必要な機能のみを提供するという点では極上の仕事を成し遂げている。機能のチェックリストの中で本質的でない項目の多くを省いて、低価格と使いやすさを優先させている。その結果このユニットは、私がこれまでに使ってきたユニットたちの中で十分上位にランク付けしてよいと思う。

Garmin-nuvi-255W

シンプルなハードウェア -- 255W のエレガントさはそのハードウェアにもはっきり見て取れる。もっとも、ケースに物理的なボタンがたくさん付いているのが当たり前だった数年前と違って、今はよりシンプルなデザインが一般的になってきているのではあるが。ケースの右上に、たった一つスライダが付いていて、ユニットの電源をオン・オフするのに使う。賢いことに、左にスライドさせるとユニットをオンまたはオフに切り替え、反対に右側にカチッと押し込んでおくとオフの状態でロックする。(あるいはオンの場合には、スクリーンをロックする。)このスライダは私の期待する通りに正確に働いた。その点、私を常に苛立たせた TomTom Go 720 の電源スイッチとは大きく違っていた。(2008-05-27 の記事“TomTom Go 720 GPS を乗せて、いざ鞍の上へ”参照。)

左端にある SD カードスロットで、別途に地図を追加する方法が提供される。(Garmin が私に送ってくれたユニットには北アメリカの地図があらかじめ組み込まれていたほか、ヨーロッパの地図を含んだ SD カードも付いていた。実際私のテストは主に英国で行なったものだった。)もしもその SD カードに JPEG 画像が含まれていれば、255W はそれらを画像ビューワのアプリケーションで表示できる。ただし何メガピクセルもの画像では表示がのろのろしたものになる。理論的には起動時にどんな画像でも表示させるようにできるが、ある 2.7 MB の写真で試してみたところ完全にどうにもならなくなった。

それ以外にケース上にあるのは USB ジャック一つだけで、これを使って 255W を自動車のソケット充電器に繋いだり、コンピュータに繋いだり(これで充電も可能)もできる。私の MacBook に繋いでみると、普通の外付けディスクと同じようにマウントされたし、28K の JPEG 画像を適切なフォルダにコピーしてそれを起動時に表示する画像として設定することもできた。USB で接続している際には、Garmin からダウンロードできる WebUpdater ソフトウェア を使ってアップデートをインストールしたり、おそらくは新しい地図をインストールしたりもできるのだろう。ただ、私のユニットではすべての地図が最新のものであったが。私は、これを使って私のユニットのファームウェアをアップデートすることができた。WebUpdater は使いやすかったが、TomTom Home ソフトウェアと同じく、WebUpdater もまた、アップデートが終わった際にユニットをイジェクト(取り出し)しなさいというメッセージを出さず、その代わりに単にコンピュータから接続を外しなさいとだけ言ってきた。このメッセージはもっと明確に述べるべきだ。

Garmin-WebUpdater

物理的なコントロールがこれほど少ないので、あなたは何にでも 255W のカラータッチスクリーンを使うことになる。これは 4.3 インチ、ワイドスクリーンのディスプレイで、480×272 ピクセルを表示し、明るい日光の下でもかなり見やすい。他のユニットではそうはいかないものもある。タッチスクリーンもかなり反応が良かったが、私が普通にタイプする速度は 255W のオーディオ・フィードバックが追いつける速度よりも速く、当然ながらこれにはかなりイライラさせられた。

255W にはリチウムイオン電池が内蔵されている。Garmin はバッテリ寿命を「最大 4 時間」と発表しているが、私が実際に使ってみたところではおよそ 3 時間しか保たなかった。これは TomTom Go 720 での結果とほぼ同じだ。これならばたいていの用途には十分だが、255W は他の多くの GPS 機種に比べて厚みが薄いので、歩く時にもポケットやハンドバッグに入れて持ち運びやすく、私たちも何度かウェールズのあちこちで車を駐車して町を歩き回る際にそうやって使った。

また、Garmin は自動車用のハードウェアについてもうまくこなしている。255W をカチリと嵌め込むマウントや、吸盤にボールジョイントの付いたマウントも別売で入手できる。この吸盤は私がいくつかの違う種類の車でフロントガラスのどこに付けても問題なかったし、調整も可能で取り付けも安定していた。車を離れる時には簡単に 255W をマウントから取り外すことができる。一つだけ改善の余地があるとすれば(当然ながら製造上の複雑度も増すだろうが)電源ジャックをマウント自体に組み込んで、マウントを電源に繋いだままの状態でいつでも 255W を取り外せるようになればよいのにと思う。その代わりに、私は車を離れる度に電源ケーブルをプラグから抜き、車に戻る度にまた差し込み直さなければならなかった。ちょっと煩わしいことだったが、255W のバッテリ電源がその日の旅程の残りで十分に保つと分かっている場合にはこの煩わしさがたいてい避けられた。

焦点を絞ったインターフェイス -- けれども、255W が TomTom Go 720 に比べてはっきりと秀でていたのは、その焦点の絞られたインターフェイスだった。TomTom のインターフェイスには数え切れないほどたくさんのスクリーンやコントロールやオプションがあり、ナビゲーションも一方通行だ。それとは対照的に、この 255W は主なスクリーンが五つしかない。メインスクリーンと、地図、それから Where To?、Tools、Settings だ。

メインスクリーンには Where To? と View Map の大きなボタンと、より使用頻度の低い Tools と Volume の小さなボタンがある。(Volume ボタンを押せば音量調整ができるのは予想通りだ。)メインスクリーンにはまた、GPS 信号強度を示すグラフと、バッテリレベル、それに現在時刻が表示される。(現在時刻の上を押すと Time 設定スクリーンに素早くアクセスできる。)ナビゲーションの最中には、メインスクリーンに便利な Stop と Detour のボタンも出る。このインターフェイスで迷うことはまずない。なぜなら、Garmin は常に Back ボタンと上・下の矢印を提供してくれるので、複数のアクションでスクリーンを移動するのも楽にできるからだ。

Tools ボタンで、いくつかの Settings スクリーンや、さまざまのユーティリティ、例えば世界時計や、電卓、画像ビューワなどにアクセスできるが、ありがたいことに MP3 プレイヤーは無い。実際便利だったのは単位の変換ユーティリティで、私たちはこれを使ってリットルを米国ガロンに換算して、英国ではいかに信じられないほど燃料の価格が高いかを実感した。(ディーゼル燃料が米国ガロンあたりおよそ $10 もする。)けれども一番便利だったユーティリティは Where Am I? で、これはスクリーン上にあなたの現在位置、直近の住所と一番近い交差点を表示し、さらに三つのボタンを使ってそれぞれ一番近い病院、警察署、ガソリンスタンドを見つけることができる。私たちはガソリンスタンドを探すために何度かこれを利用したが、いずれもうまく見つかった。また、現在位置をお気に入りとして保存することもできるので、訪れた場所から一時的な目的地を設定するのが簡単にできる。

Settings スクリーンは予想した通りの働きをする。Garmin は、たいていの人が望むであろう設定項目へのアクセスを、行き過ぎることなくうまく提供する。設定画面はたったの七つで、それぞれシステム、ナビゲーション、表示、時刻、言語、地図、セキュリティについてのものだ。注目すべき設定項目としては、自動車・自転車・歩行者モードの切り替え (これは主に到着予想時刻の違いに関係した切り替えのようだが、モードを切り替えると提供される道順が変わることもあり、そのアルゴリズムは奇妙なもので私には見極められなかった)、QWERTY または ABCDE のキーボードレイアウト切り替え、それにさまざまの言語の(英語だけでも American、British、または Australian のアクセントによる音声が八つも選べる)切り替えがある。英国では、私たちは当然ながら British Serena 音声を選び、すっかりこれが気に入ったので帰宅してからも使い続けている。Garmin が TomTom の提供する幅広い選択肢にひけを取らないのは、あなたの自動車用に七つのアイコンから選べること、 さらに多くの種類を Garmin のウェブサイトからダウンロードできる点だ。また、どんな種類の道路を避けるか(未舗装路、ハイウェイ、有料道路、カープール用車線、その他)も選べる。ただし、ウェールズ地方のいわゆる「道路」なるものは、舗装はしてあっても、あまりにも狭くてその定義に意義を唱えざるを得ない、そんな道でも堂々と経路に使われた。最初の晩に泊まったホテルのマットレスでさえ、このあたりの道路の幅と肩を並べられたんじゃないだろうか。

ナビゲーション -- 255W の Where To? スクリーンは、十個の異なったナビゲーション開始の方法を提供する。ナビゲーションはホームロケーションへも、特定の住所へも、いろいろな観光地へも、最近見つけた場所や、お気に入りの場所や、交差点や、追加データや、都市や、緯度・経度の座標へも、あるいは地図上でグラフィカルにブラウズしてもできる。あなたがまだ目的の都市に着いていない時には、Near ボタンを使えば GPS がどこで住所や観光地の検索を開始するかを変更でき、あなたが Where To? スクリーンに留まっている限りその地点が記憶される。いったんそのスクリーンを離れれば、あなたの現在の位置にリセットされる。

この種の機器によく見られることだがこの 255W も例外でなく、目的地を見つけるやり方は明晰なことも愚鈍なこともあり多岐にわたった。その理由は簡単で、内蔵のデータが必ずしもいつも完備していなかったり、他の情報源と食い違ったりしていることがあるからだ。時には住所が私たちの予期した都市ではなく近くにある別の都市のものであることもあったし、私たちがイングランドの Salisbury 市を苦労して探しまわったあげくやっと見つけることができたのは、255W が(正しく)ウェールズとイングランドを英国の中にある別々の国家だと認識していると気付いた後のことだった。同様に、付属の観光地データベースも、ぴったり正鵠を射ることもあれば全く使い物にならないこともあった。それに、ウェールズの城はそれ自体住所を持っていないこともあるので、城によってちょっと見つけにくいこともあった。(あとで分かったことだが、これらの城はほとんどすべてが Castle Street にある。なかなか面白い。)英国では、255W は単に住所だけからでなく、郵便番号でも検索できる。この郵便番号は米国の ZIP コードよりも _ずっと_ 細かい分類だ。

いったんある場所へのナビゲーションが開始されると、255W は地図画面を表示し、これは 3D と 2D で切り替えることができる。でも私は前方が常にスクリーンの上方に向けられている 3D 画面の方がずっと好きだ。地図を見ることに十分慣れている人たちならば、北が上になっている 2D 表示の方が好みかもしれない。

この地図画面は比較的すっきりしている。上の方にあるバー部分には道順案内と次に曲がる交差点の名前が表示され、表示をズームさせるためのプラスとマイナスのボタンと、下の方の小さなコントローラ部分にはあなたの現在の速度とメニューボタン、それに到着予定時刻が表示される。上の方のバーを押すと道順上の交差点の一覧リストが表示され、このスクリーンからはルート全体の鳥瞰地図も見られる。コントローラ上の現在速度を押すとトリップコンピュータが表示され、平均速度、移動時間、その他の詳細情報が出る。メニューボタンを押せばメインスクリーンに戻るが、到着予定時刻を押しても何も起こらない。到着予定時刻と目的地までの予定所要時間の表示が切り替わるようになれば便利なのにと思う。

地図上のそれ以外のどこを押しても、2D モードの地図のドラッグ可能表示が得られるので、そのあたり一帯の全般的な感覚が分かる。地図上の一点を押すとカーソルがその地点に動き、その後で Go ボタンを押せば、あなたの目的地を切り替えたり新しい場所を経由地点として追加したりできる。これらはすべて、非常に便利でとても直観的だ。(また、Where To? スクリーンもいつでも使えて場所を見つけたりそれを経由地点として加えたりでき、そうして追加された経由地は道順の計算の際に考慮に入れられる。)

私がこれまでに見たことのある GPS ユニットの中でもユニークな機能だと思ったのは、左側にある小さなアイコンにあなたが現在運転している道路の制限速度が表示されることで、これであなたの速度が制限を超えていないかどうかがすぐに分かる。私たちが米国内でテストした結果ではおおむね正確で、ほんの時々町中や裏道で制限速度が下げられているのが反映されていなかったことがあった。(おそらくこの情報はデータベースに入っているので、これは実際データ上の誤りなのだろうと思う。)けれども英国においては、"dual carriageway" (中央分離帯のある幹線道路) で時速 70 マイル、"single carriageway" (二車線道路) で時速 60 マイル、市街地で時速 30 マイルという原則を知っているだけだった。これは残念なことだ。なぜなら英国では速度制限標識は制限速度がこれら三つの原則から逸脱していない限りめったに見られないからだ。面白かったのは、私はしばらくの間、英国が今でもキロメートルでなくマイルを制限速度の表示に使っていることに気付かず、さっさと 255W をキロメートル表示に切り替えてしまったのだが、制限速度アイコンが3桁の時速 110 キロを表示するには余白が足りなかったことだ。Garmin はファームウェアアップデートを出してこのバグを修正した。

この 255W は非常にうまく働いて、私たちがよく知っている地域でちょっとどうかと思われるような道順を示すこともなかったし、明らかに間違った道案内をすることもなかったが、それでも完璧とは言えなかった。一番気になったのは、曲がるべき交差点に来た時に Magellan ユニットが鳴らしてくれるようなポーンという音が、このユニットでは鳴らないことだ。必要なその一瞬に十分注意を払っていないと、交差点を知らずに通り過ぎてしまうことがある。ことに、この 255W は私たちがテストしたすべての音声ベースの GPS ユニットの中で一番口数の少ないもののようなのでなおさらだ。例えば紛らわしい交差点で直進するように警告したり、フリーウェイの出口を通り過ぎてしまったような場合でも、ことさらに甲高い声で叫び出すこともない。全体としてこれは良いことではあったが、時にはもうちょっと、私たちが正しく運転できていると応援してくれてもいいのに、と感じることはあった。

極上のパッケージ -- Garmin nuvi 255W は、この世にありとあらゆる機能やカスタマイズのオプションをすべて提供しているわけではないが、私に言わせればそれが長所でもある。私はそのインターフェイスで迷うこともなかったし、後になって重要な設定を見落としていたと気付くこともなかった。運転中にも、動作は高速で滑らかだった。実際のナビゲーションそのものも私が使ったことのある他のどんなユニットにも劣ることはなく、交差点で曲がる指示や道路の名前を読み上げる際の音声もしっかりしている。(もちろん、何が正しい発音なのかは誰にも分からない。ただ、ウェールズでは、いくつかの道路名や町の名前の発音を 255W の流儀に従うことで私たちは十分満足だった。私たちにも可能な範囲で最大限に正しくウェールズの言葉を発音しているように聞こえたからだ。ウェールズ語の発音法の一端を紹介すると、d は "d" と読み、dd は "th" と読む。f は "v" で、ff は "f" だ。そして w は子音になることも母音になることもあり、母音になる場合には "uhh" または "ooo" と発音する。一度これでクイズを作ってみたいものだ。)

私がいつも GPS にあって欲しいと思う第一のものは、地域のサポートを得た観光地データベースだ。私が使った GPS 機器はすべて、例えば近くにあるレストランを探すような場合にうまく働いてくれるが、私がこうしたユニットに望むのはもっと詳しい情報、例えばユーザーによるレビューなどだ。そういう情報があれば、違った飲食店をきちんと区別することができるだろう。同じように、観光地に対するコメントを書き込めるようになればよいと思う。例えば、ある博物館の入館料がどれほど高いかが分かれば、そこに到着してから驚くことがなくなるだろう。この種の情報は今ではウェブでさんざん入手できるのだから、旅行中に GPS 機の中にそういうことが備わっていないのはとても残念なことだ。

実際、私はもう一つだけ細かな注文がある。長い旅行の最中、ガソリンが必要になれば、GPS で一番近いガソリンスタンドを探すことができる。255W の場合、それぞれの大まかな方向を指した矢印と、どれだけ遠いかの情報まで添えてリストされる。けれども、私が知りたいのはそれだけではない。私が主に知りたいのは、寄り道しても旅行の全体としての所要時間に一番影響の少ないガソリンスタンドはどこかということなのだ。だから、たとえあるガソリンスタンドが近い場所にあっても、もしもそれが方向違いの場所ならば、私が選びたいのはそこよりも、もう少し進めば近くなる場所にあるガソリンスタンドだ。そちらの方が、必要な回り道が少なくて済むだろうから。

でも、そうしたマイナーな不満や要望を脇に置くとすれば、この Garmin nuvi 255W は立派に働いてくれたし、定価が $349.95 であることを考えれば、もっとずっと高価で長い機能リストを誇るユニットよりもこちらの方がお薦めだ。今ではさらに安くなった nuvi 260W (Amazon からの購入でおよそ $250) と比べるのもよいかもしれない 。私が思うにこちらは少し古い機種で、255W の Where Am I? 機能と、QWERTY と ABCDE のキーボードレイアウトを切り替えられる機能(この機種がどちらのレイアウトを使うのか私は知らない)とが欠けているらしい。また、衛星の電波を捉えるのに時間が長くかかるかもしれない。


TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、11-Aug-08

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>


TidBITS Talk/11-Aug-08 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

加速度計の奇妙な挙動 -- iPhone を持つ向きが間違っているというメッセージは、どうやらゲームの開発者が追加したものであって、iPhone のオペレーティングシステムによるものではないようだ。(メッセージ数 2)

印刷ダイアログから PDF をメールする -- 印刷ダイアログの Mail PDF コマンドが Apple Mail でなく Entourage を使うようにするための方法を読者たちが発見する。(メッセージ数 5)

バックアップを自動消滅させる? -- ある読者のバックアップ用ハードディスクが未フォーマット状態になってしまったが、たぶんデータはまだそのまま残っていて、一時的に手が届かない状態になっているだけのはずだ。(メッセージ数 3)

Google Maps 歩行道案内を追加 -- いくつか他にも地図ユーティリティで歩くためやその他の道案内(例えば公共交通機関など)を備えているものがある。(メッセージ数 2)

フィッシング詐欺への対策 -- Consumer Reports の記事に Safari をウェブブラウズに使わないようにという提言が載ったのを見て、読者たちが Mac ユーザーにとってフィッシング詐欺がどの程度の脅威であるのかと議論する。(メッセージ数 6)


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