TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#965/16-Feb-09

あなたは休暇に出かける時、ラップトップ機を家に置いて行くことができたら、と思ったことはないか? Oliver Habicht が、コンパクトな Photo Safe II をレビューする。ポータブルなコンピュータがなくても、あなたのカメラから写真やビデオをここに保存しておけばよい。また今週号では、Rich Mogull が Apple の最近の重要なセキュリティアップデートで何が変わったのかを検討し、Adam がデータ喪失に繋がりかねない Finder の問題点を浮き彫りにし、また米国内で無料の POP3 Hotmail アクセスが始まったことを伝える。Glenn は新しいウェブベースの共同作業用テキストエディタ EtherPad について語り、Joe Kissell は個人の MobileMe iDisk を複数の人で共有できるという、導入が遅れに遅れていた機能を検証する。さて、皆さんは 13 日の金曜日に何をしていた? Adam は、今後 13 日の金曜日(この 3 月にもある)を国際「バックアップを確かめよう」デーと定めると宣言する。電子ブックのニュースとしては、Ted Landau の“Take Control of Your iPhone, Second Edition”がリリースされ、Macworld Superguide の新刊も二冊ある。今週の TidBITS 監視リストで紹介するのは、Simon 2.5、PasswordWallet 4.4.4、VMware Fusion 2.0.2、Chax 2.2、それに Nisus Writer Express 3.2 だ。

記事:

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Apple 広範囲なセキュリティアップデートをリリース

  文: Rich Mogull <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は 2009年最初の全般的な Mac OS X セキュリティアップデートをリリースした。これは攻撃者があなたの Mac を乗っ取ろうとするのを許す可能性を持つ一連の重大な脆弱性に対するパッチである。Security Update 2009-001 は Mac OS X クライアントとサーバーの両方が対象で、全てのユーザーが直ちにシステムをアップデートするよう勧告されている。変更の全リストは Apple のサポートサイトの公式のセキュリティノートで見ることが出来る。Apple はまた Java for Mac OS X に対する別のアップデートと、Safari for Windows に対する独立のアップデートをリリースしている。

Safari RSS 修正 -- パッチされた脆弱性の中で最も目に付くものは (必ずしも最も重要であるとは限らない) Safari が RSS フィードに対するリンクを如何に扱うかに関わるもので、これは攻撃者があなたのシステム上で任意コードを走らせられる欠陥である。この脆弱性の性格について最初に発表したのはプログラマー Brian Mastenbrook で、彼のブログに詳細を明らかにすることなく載せた (私の記事 "Safari RSS の脆弱性からあなたを護る" 2009-01-14 参照)。Mastenbrook はユーザーが自己防御するのを助けるための最初の回避策も提供したが、効果が薄いことが判明し、その後もっと複雑な回避策を載せた。これも結果的には殆どのユーザーが実行するには難しく、そして時折システム問題にまで発展することがあった。

Mastenbrook は現在彼のブログ上に更なる情報を載せ、Apple がパッチをリリースする前に、彼は何故彼の回避策をリリースしたのかを説明している。Mastenbrook の言によれば、彼はこの欠陥の状況を公にする半年前に Apple に通知したのだが、Apple がこの欠陥をパッチする様子が見られず、この脆弱性は他の誰かが容易に見つけ出し悪用できるとの懸念から公にしたのだと言う。この欠陥の素性は複雑ではないように見えるし、そして彼からの僅かな情報と回避策のリリースでも Safari ユーザーに対するリスクは低減されたと思える。

この Safari 修正は Mac OS X ユーザーに対する Security Update 2009-001 に含まれており、Safari on Windows ユーザーに対しては別個のダウンロードとして出されている。

その他の修正 -- Security Update 2009-001 では他の幾つかのセキュリティ問題もパッチしていて、これには攻撃者があなたのシステム上でいかなるコードでも走らせ、或いは彼らの権利を管理者ユーザーにまで拡大する (Mac OS X の重要なセキュリティ機能を回避する) のを可能にするいくつかの問題が含まれている。これらの脆弱性の中には、あなたが悪意を持つ Web サイトを訪れると Web 経由で遠隔的に実行可能となるものがある。

このアップデートには Mac OS X Server ユーザーに対する大事な修正も含まれている。一つの脆弱性の例は、Mac OS X がメールの中からウィルスをフィルターするのに使われる ClamAV パッケージに含まれており、遠隔の攻撃者がサーバー上で任意コードを実行するのを可能とする (これは "あなたのサーバーを乗っ取る" に対するセキュリティ用語でもある)。

多くの Apple セキュリティアップデートと同様、これらの修正は一連の Apple ソフトウェアそして Mac OS X に含まれるオープンソースツール、例えば ClamAV、ファイル共有サーバー、そしてプログラム言語にも適用される。

アップデートの入手方法 -- 三つの独立したアップデートがある:一つは Mac OS X 用、もう一つは Java for Mac OS X 用、そして三つ目が Safari 3.2 for Windows 用である。

Security Update 2009-001 は Software Update 経由又は Mac OS X 10.4.11 と Mac OS X 10.5.6 のクライアント及びサーバーに対する個別ダウンロードとして出されている。個別のダウンロードには、Mac OS X Server 10.4.11 Universal (213 MB), Mac OS X Server 10.4.11 PowerPC (141.76 MB), PowerPC (141.76 MB), Mac OS X 10.4.11 PowerPC (74 MB) 及び Intel (164.23 MB), そして Mac OS X 10.5.6 (43.4 MB) がある。

Java アップデートの方は Software Update 経由か、或いは Java for Mac OS X 10.4, リリース 8 (1.6 MB) そして Java for Mac OS X 10.5 アップデート 3 (3 MB) 用ダウンロードとして入手できる。

Safari 3.2.2 for Windows は直接のダウンロードとして出されている。


Apple、iDisk 共有機能を MobileMe に追加

  文: Joe Kissell <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple は、同社の MobileMe News ブログにおいて、新しい iDisk 機能を発表した。この機能は 2008 年 7 月の MobileMe リリースに先立ってデモ実演され、その後取り下げられたままになっていた。今回、あなたは自分の iDisk 上にあるどのファイルでも手軽に他の人と共有できるようになった。電子メールまたはウェブ経由のこの共有は、ほんの数回クリックするだけで可能となる。私は、電子ブック“Take Control of MobileMe”の 80 ページでこの機能がないことに不満を述べたが、今回ついにこれが実現されたのは嬉しいことだ。

この機能がどうして興味深いかを説明するために Apple が挙げている実例は、あなたが大きなファイルを電子メールで送る必要があるという状況におけるものだ。数メガバイト以上のファイルを誰かに送りたい場合、あなたの電子メールプロバイダと受取人のプロバイダの双方がそれだけ大きな添付ファイルを受け入れられるかどうか、あらかじめ調べておかなければならない。そして、仮にそれができたたとしても、電子メールプログラムによっては大きなファイルで動作が止まってしまうものがあることを心配しなければならないかもしれない。(MobileMe は電子メールの添付ファイルを最大 20 MB までに制限しており、他の ISP の中には 5 MB を超えるものがうまく届かないところもある。)この問題を回避するために MobileMe でする旧来の方法は、そのファイルをあなたの iDisk の Public フォルダに置いてから、そこへアクセスする方法を受取人に電子メールで知らせる、というものだった。これは Mac ユーザーにさえもかなりの手順を必要とするもので、Windows ではさらにもう少し複雑なことになった。(もちろん、MobileMe を使わずにこれを達成できる他の方法はずっと以前からあった。例えば、無料の Pando サービスとか、それに似たいくつかの他のものを使う方法だ。)

今回の新しい共有機能では、旧来の方法に代わり次のような手順になる。まず、共有したいファイルをあなたの iDisk 上のどこでも好きな所に置く。あなたの Public フォルダの中でなくてもよい。次に、www.me.com におけるあなたのアカウントにログインしてから、iDisk アイコンをクリックしてあなたの iDisk 上のすべてのファイルをウェブブラウザに表示させる。そこであなたが共有したいファイルを選択して、新設された Share File (ファイルを共有...) ボタンをクリックする。すると MobileMe はそのファイル専用の、あなた個人の URL でそのファイルを指すものを生成してダイアログに表示する。同じダイアログで、一つまたは複数の電子メールアドレスと、他の人たちにその URL を送る際に添えるべきメッセージとが入力できる。また、一定期間後(デフォルトでは 30 日間)にその URL が期限切れになるように設定することも、必要ならばパスワードを加えることもできる。Share (共有する) をクリックすれば、その新しい URL でファイルが入手できるようになる。(後からそのファイルの有効期間やパスワード設定を変更することも可能だ。)ウェブベースのチュートリアルもあって全体の手順を手引きしてくれるが、すべては一目瞭然で説明を要しないと言ってよいだろう。

iDisk-Sharing

もしも、この共有の手順の中であなたが電子メールによる告知を選択したならば、受取人たちに届く電子メールメッセージにはそのファイルの名前、アイコンとファイルサイズが表示され、大きくてフレンドリーな Download (ダウンロード) ボタンもあって、それを押せばそのユーザーのデフォルトのウェブブラウザにそのファイルがダウンロードされる。

大勢の解説者たちがコメントしている通り(人によって皮肉の程度はさまざまだが) Dropbox が既にこれと全く同じ機能を提供していて、Dropbox の方法の方がもっと手軽だ。(2009-02-03 の記事“Dropbox:ある共同編集者の夢”参照。)また、SugarSync も同様だ。(2008-08-30 の記事“SugarSync、オンラインの同期に甘味付け”参照。)だから、今回の Apple の発表は、ある意味で彼らがまたもやオンラインサービスの提供の面で立ち遅れており、ずっと以前から他の面で MobileMe をはるかに凌いできた競争相手たちに遅ればせながら(そして部分的ながら)追いつきつつある、といういつものパターン通りだとも言える。

私の見解は何かって? 私は、Apple がようやく以前の約束を果たしてくれたので嬉しく思っているし、このことが同社が MobileMe の拡張と強化に向けて真剣に取り組んでいることのあらわれだと願いたい。既に MobileMe を使っている人たちにとって、特に、いくつも新しいサービスと契約したり新しいソフトウェアをインストールしたりするのが嫌だと思っている人たちにとって、今回の新機能はとてつもなく大きい。この新機能のお陰で、よくある作業がより手軽に、より信頼性の高い、厄介ごとのより少ないものとなる。これよりさらにもっと手軽になることは可能だろうか? もちろんだ。(特に、私はこの共有が Finder から直接に、ウェブブラウザでいちいち自分のアカウントにログインする手間をかけずにできるようになって欲しい。また、単に個々のファイルだけでなく、一つのフォルダ全体をもこの方法で共有できるようになってくれたらと思う。)けれども、何より確かなのは私が今後この機能を頻繁に使うだろうということだ。実際、私が Take Control 電子ブックの原稿を担当編集者に送るには、きっとこれが基本の方法となるだろう。


国際「バックアップを確かめよう」デー

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は迷信深いたちではないが、レースに出場する際にはいつも特定のジャージとショートパンツを身に付けたいと思うことだけは白状しよう。でも、昔から不幸と結び付けて言われる 13日の金曜日を不吉だと思う人たちが多くいるのは事実だ。

そこで、迷信に打ち勝つとともに、私たちが懸命に働いて作り出すたくさんの作品を傷つけようと常に作用し続けているエントロピーの力にも対抗するため、私はある提案をしたい。

無秩序へ向かおうとするエントロピーの力に対抗する最良の防御は、しっかりしたバックアップ戦略だ。ずっと以前にバックアップソフトウェアのメーカー Dantz Development が出していた広告の文句にある通り“To go forward, you must back up”(一歩前進は、一歩後退から) だ。

でも、私たちを含め過去にバックアップのお世話にならざるを得なかった経験を持つ者ならば誰もが知っている通り、バックアップを作るという作業自体は方程式全体のほんの小さな最初の一歩に過ぎない。本当に重要なのは、バックアップからの _復元_ ができるかどうかだ。

独立開業の精神科医をしている私の友人たちが、一度このことで深刻な問題に陥ったことがある。彼らの帳簿係は、仕事をしながら常に忘れることなくすべての明細書や伝票の類いの記録についてバックアップを作っていたのだが、彼女のハードディスクが壊れるという事態が起こるまで、バックアップからの復旧を実際に試したことは一度もなかった。苦心して作り上げてきたバックアップからさあ復旧しようという時になって、それが動作しないということを発見した彼女は愕然となった。結局何カ月分ものデータが失われ、帳簿係の彼女にとっても私の友人たちにとっても非常に重大な問題となった。

だから、私はここにつつましく提案したい。今後は、13 日の金曜日にあたる日を、国際「バックアップを確かめよう」デーと定めようではないか。(国連がこれを正式のものとして認定してくれればありがたいし、もしも誰かが先ほどリンクした Wikipedia ページにこのことを書き加えて下されば、間違いなくこれを広めるのに役立つだろう。)2009 年内では、2 月、3 月と 11 月に 13 日の金曜日が巡ってくる。それ以外の日にこの記事を読まれたあなたは、どうか今すぐあなたのバックアップを検証してみた上で、次の 13 日の金曜日に備えてこの運動を推進して頂きたい。

ほんの数分間を割くだけで済むことなので、まずはいくつか決定的に重要なファイルを選んで、それがあなたのバックアップからうまく復元できるかどうか試してみよう。もしもブート可能ディスクがあなたのバックアップ戦略に含まれているならば、それで本当に起動できるかどうか確かめておこう。(今すぐ復元できるような良いバックアップをお持ちでない方には、私たちの電子ブックの中でも最も人気あるもの二つ、Joe Kissell の“Take Control of Mac OS X Backups ”と “Take Control of Easy Backups in Leopard”をお薦めしておこう。)

それだけのことだ。特に仮装をしたりする必要もなければ、決まった挨拶言葉もない。特別のご馳走も作らなくてよい。バックアップの確認が成功したことをお祝いしたいとおっしゃる方は、それはもちろん、お好きな飲み物で記念の乾杯をなさるのも結構なことだろう。

でも、これだけはぜひして頂きたい。あなたの友人たち、親戚たち、同僚たちに、この国際「バックアップを確かめよう」デーのことを広めて頂きたいのだ。なぜなら、データ喪失が起こるのは「もしも」ではなく「いつ」起こるかという問題なのだから。そして、きちんと復旧の可能な良いバックアップがあれば、不意にデータが失われてもあなたを守ってくれる。それがどんなに小さなものでも、あるいはどれだけ大規模なものであっても。


無料の Hotmail POP3 アクセスが米国内でも利用可に

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Tech Night Owl Live ホストの Gene Steinberg に教えてもらって知ったのだが、Hotmail (公式には Windows Live Hotmail として知られている) が無料の POP3 アクセスの提供を始めている。何だかとても二十世紀風の話に聞こえるかもしれないが、何億万と存在する Hotmail 購読者たちにとっては、これは実際ありがたいことだ。Hotmail に送られたメッセージを、デスクトップの電子メールクライアント、例えば Apple Mail、Microsoft Entourage、Mailsmith、PowerMail、あるいは Eudora といったもので読むのに便利だからだ。さらに興味深いことに、Hotmail への POP3 アクセスであなたの複数の Webmail アカウントを組み合わせることができる(例えば Gmail に POP 経由で Hotmail からの電子メールを取り込ませることもできる)し、またあなたの iPhone あるいは Blackberry に本来付いているメールクライアントを使って Hotmail にアクセスすることもできる。

最近になるまで、POP3 アクセスは有料の Hotmail Plus 購読者のみに限られていた。けれども 2009 年 1 月 14 日に、Microsoft は段階的に無料 POP3 アクセスを広げることを、英国、カナダ、オーストラリア、フランス、日本、スペイン、ドイツ、イタリア、オランダの Hotmail ユーザーを対象に発表した。米国やその他の国での POP3 アクセスのサポートはその時点では将来実現すると約束されていたが、具体的な日程は発表されなかった。

Gene が気付いたのは、彼の米国ベースの Hotmail アカウントで POP3 アクセスが使えるということだった。それを聞いて私も Hotmail アカウントにサインアップして試してみたところ、私のところでも問題なく使えた。まだ全国的には使えないのかもしれないが、単に Microsoft がまだ発表に踏み切っていないだけだという気もする。もしもあなたのアカウントで POP3 アクセスがまだ使えないなら、一時的にあなたの国名の登録を変えるだけで Hotmail がごまかされて使えるようになると言う人もいる。

注意点が二つある。Microsoft のウェブサービスが信じられないほど多量の攻撃を受けていることは間違いない事実だとは思うが、それにしても Hotmail アカウントのサインアップの際に要求される CAPTCHA は、私がかつて見た中でも一番読みにくいものだ。この文字だろうかと推測を繰り返し、やっと正しい文字を当てるまでに、私には数回のトライが必要だった。それから、私が Apple Mail の設定で Hotmail からのメールを取り込むようにした際、そのアカウントにたった二通だけあったメッセージが二通ともスパムと判定された。一通は Hotmail からの「ようこそ」メッセージで、もう一通は私が自分自身にあてて出した簡単なテストメッセージだったのだが。Hotmail 経由で届くタイプのメールについて Apple Mail が学習するまでの間、あなたのスパムフィルターによく注意を払っておくことをお勧めする。

あなたの電子メールクライアントで Hotmail への POP3 アクセスを設定するのは基本的には簡単だが、設定の入力の際には注意が必要だ。私の場合、自分のユーザ名として完全な Windows Live 電子メールアドレスを入力しなければならないのだということに気付くまで、接続がうまく行かなかった。設定を詳しく説明すると次のようになる:

TidBITS 購読者リストの中で Hotmail はそれほど上位ではなく、上位には MobileMe (7,000 以上の mac.com アドレスと、たった 150 ほどの me.com アドレス)、Gmail (2,700 以上)、AOL (2,200 以上)、EarthLink (2,100 以上)、Yahoo (1,800)、Comcast (1,700)、Road Runner (1,000) が並んでいるが、それでも Hotmail 購読者数は 800 以上ある。

そうそう、質問が出る前に言っておくが、私は IMAP アクセスを設定して自分の imap.live.com アカウントに向けてみたが、これはうまく行かなかった。


Take Control of Your iPhone, Second Edition で重要な助言を

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たちが新刊の電子ブックを前回リリースしたのはだいぶ前のことになるが、間違いなく私たちは一生懸命に仕事を続けてきたし、今回新たな新刊書、Ted Landau の“Take Control of Your iPhone, Second Edition”の発表ができるのを嬉しく思う。この本の内容は最新の iPhone 2.2.1 ソフトウェアリリースに対応済みだ。Ted はマシンのように疲れ知らずの著者で、183 ページにわたる大部(加えてオンライン情報源へのリンクもある)を書き上げて、そこに iPhone についての最も役に立つ情報をたっぷりと集めてくれた。特に焦点となったのはあなたがいかにしてより効率的に作業できるか、トラブルを避けられるか、既存の問題をどう修正するかという点だ。この本の通常定価は $15 だが、発売記念の期間限定価格としてこのリンクを使えば $10 で購入できる。(このリンクを使ってページを開き、Buy Ebook ボタンをクリックすれば、次に開くショッピングカートの第1ページに値引き後の料金が表示される。)

Ted は「マーフィーの法則」の立場をとる。すなわち、うまく行かなくなる可能性のあるものは、きっといつかうまく行かなくなると考えるのだ。それを念頭に、Ted はあなたの iPhone が自分の現在位置が世界のどの場所にあるかをどのようにして知るのか、どうやってインターネットとセルラーデータネットワークに接続するのか、そしてそれがどうやってあなたの Mac と通信できるのかを説明する。iTunes 同期と MobileMe 経由の同期について、あなたのアプリケーションをどうやって管理するかについて、それからあなたの Mac との間でファイルを共有するいろいろの方法について、あなたはいくつかの重要な詳細情報を知ることになる。この電子ブックの助けがあれば、iPhone のバッテリ寿命を最大限に生かしつつ Bluetooth ヘッドセットに接続できるだろうし、もっと素早くより正確にタイプできるコツもつかめるだろう。メインの内蔵 iPhone アプリケーションたちの価値を最大限に引き出せるための助言もたっぷりあるので、iPod、Phone、Mail、Maps、Safari などの使い方が変わるだろう。それだけではない。問題解決のためのセクションも充実しているので、あなたがネットワークの問題を解決したり、同期の衝突を解消したり、クラッシュを避けたり、必要となれば不調に陥った iPhone をバックアップから復旧させたりする際にも助けになるだろう。

この電子ブックは Macintosh の観点から iPhone を扱っているが、大部分の情報はあなたが iPhone を Windows PC に接続させた場合にも役に立つ。また、この電子ブックは iPod touch も扱っている。本のタイトルを考える際にどうすれば“iPod touch”も織り込めるのか、うまいアイデアを思い付けなかっただけのことだ。

第二版の“Take Control of Your iPhone”のプレビュー版をお持ちの方は、表紙にある Check for Updates ボタンをクリックして頂ければ無料アップデートにアクセスできる。この電子ブックの第一版をお持ちの方は、やはり Check for Updates ボタンを使って頂ければアップグレードが 50 パーセント割引になる。これらに該当する方々には、電子メールをお送りして詳細情報をお伝えしてあるはずだ。


Mac セキュリティ、モバイル・コンピューティングに新刊書二冊

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たち自身の Take Control 著者たちの仕事についていくだけでも大変なことなのに、Macworld にいる私たちの友人たちも Superguide 本を作り続けている。そういうわけで、私たちは 2008 年末ギリギリまでやっと追いついたところだ。私たちのカタログに、今回 Macworld の最新刊二冊が加わった。特に興味深いのが“Macworld Mac Security Superguide”で、実用的なアドバイスを満載して、あなたがオンラインでプライバシーを保ち、あなたの大切なデータを保護し、あなたの Mac を悪意あるソフトウェアからも侵入者からも安全に保てるように助言してくれるからだ。また、この電子ブックにはあなたの家庭内ワイヤレスネットワークをロックダウンする方法、ファイヤウォールの設定方法、さらには公共の場所でコンピューティングをする際にあなたのデータをセキュアにする方法なども載っている。$9.99

もう一冊は、自宅のデスクチェアをお払い箱にして初めてコーヒーショップを仕事場にしようとしている人、初めてラップトップ機を大学に持って行こうという人、あるいはひっきりなしに旅行しなければならない仕事に転職したばかりの人に最適の本だ。“Macworld Mobile Mac Superguide”はあなたの目的のために最適のラップトップ機を選び、あなたが行った先でインターネット接続を探し、あなたの自宅の Mac との間でファイルを共有し、旅行中にもあなたのデータをバックアップし、助けを求めるべき人がいない場所でよく起こる問題点にも対処できるように手助けをする。$9.99

これら二冊の電子ブックの著者リストを眺めると、TidBITS や Take Control を執筆しているお馴染みの面々がここにも数多く並んでいる。そう、これは小規模な業界だ。そして、私たちは最高の人たちと仕事をしているのだ。


Finder の一貫性の無さがデータ喪失を引き起こす

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>

コンサルタントの Scott Rose は、Mac OS X 10.5 Leopard に、潜在的に危険な問題点があることを解明した。このバグは作成中の文書のランチャーとして Dock または Apple メニューの「最近使った項目」サブメニューを使用している人々がデータを喪失する可能性がある。この問題を再現するステップでは、注意深いユーザーならバグにやられることはないようだが、Scott のクライアントがそうであったように、誰かが誤ってそのような状況に陥るのは充分にありえることだ。

問題点 -- あなたは、頻繁に使う文書に素早くアクセスするため、その文書を Dock にドラッグしたとしよう、一旦 Dock に入れると、あなたはその文書を開くのには、もっぱらその Dock エイリアスを使うだろう。または、あなたが Apple メニューの「最近使った項目」サブメニューか、アプリケーションの「最近開いた書類」サブメニューを使って作成途中の文書にアクセスしたとしよう。そして、なにか訳があって(おそらく誤って)これらの重要なファイルをゴミ箱に移動したとしよう。

通常の場合、ゴミ箱に入れたファイルをダブルクリックすると、Finder はそれを開くことを拒絶し、まずそのファイルをゴミ箱から取り出すよう警告する。この警告は、まったくもっともだ。作業中にゴミ箱を空にしてファイルを失ってしまうのは、いかにもあっけなくやってしまいそうなことなのだから。

Finder-Trash-warning

ところが、ゴミ箱に入れた文書を Dock や、「最近使った項目」サブメニューまたはアプリケーションの「最近開いた書類」サブメニューから開こうとすると、アプリケーションによっては、その文書を開いて、変更を加えて、変更を保存することができるが、その間なんらの警告も無い。そこで、もしあなたがゴミ箱を空にすると、そのデータは失われ、あなたに残される頼みの綱は、ひとしきり悪態をついて正気を取り戻すことだけだ。(たしかに、これは間違いなく“ユーザーの誤操作”に分類される事柄かもしれない。しかし、ユーザーがゴミ箱にあるファイルをダブルクリックするのを Apple が防ごうとするなら、少なくとも Apple にできることは、ゴミ箱にあるファイルを開く他のやり方も同様に一貫性を保つようにすべきだ。)

私の使用しているアプリケーションを幾つか、簡単にチェックしてみたところ、ゴミ箱にあるファイルを編集できるプログラムには、Microsoft Word 2004(2008 は非該当)、Microsoft Excel 2008、BBEdit 9.1.1 などがあった。また Scott Rose が、この問題を確認したと教えてくれたものには、FileMaker Pro (どのバージョンでも)、Quicken 2007、Final Draft 7 がある。

その正反対の側では、Apple 自前の TextEdit、Preview、Pages '09、Numbers '09 では、そのファイルはゴミ箱の中に在るので、ファイルを別の場所に保存しなさい、と警告する。Microsoft Word 2008 では、文書をゴミ箱から出して移動するか「別名で保存」しなさい、と明白なダイアログを提示する。Adobe Photoshop CS3 では、ファイルを開いて変更を加えることはできるが、保存しようとすると、何の説明も無しに「別名で保存」が強制実行される。Adobe InDesign CS3 は最初にテストしたとき、それはクラッシュし、次にその文書を開こうとした途端、警告も説明もなしに文書が閉じる。

Word-2008-save-warning

所与のプログラムがこの状況にどのように対処するか判定するには、実際にテストする必要があるだろう。もしあなたが、作成中の文書のランチャーに Dock や「最近使った項目」または「最近開いた書類」を利用するつもりなら、それに使用するアプリケーションをチェックしておくべきだ。私はまだ Mac OS X 10.4 Tiger でゴミ箱に入れた文書を開くテストはしていないが、Tiger でも同様に問題があると推測している。

問題をさらに悪化させているのは、Leopard の Time Machine では、ファイルを一旦ゴミ箱に入れると、もうそのファイルをバックアップしなくなるという事実だ。ゴミ箱に移動する前にファイルはバックアップされているかもしれない、しかし、ゴミ箱を空にしてしまったとき、タイムマシンで直近のバックアップに復元してみたところ、それらはかなり酷い期限切れになっているのだ。

誰に責任があるのか? -- 私がテストしたさまざまな結果から、目下のところアプリケーション開発者たちにその責任があるのは明らかだ。彼等は開いたファイルがゴミ箱に置かれていることを知らせ、ユーザーが適切に対処できるよう指示すべきなのだ。Apple 自前のプログラムでは明らかにそうしている。そして私は、開発者達が、ファイルを開くときや保存するとき、とりわけ開くときに、これらのチェックを実施するようなアプリケーションを作ることを強くお勧めする。

しかし、もっと一般的に言えば、そしてこれこそ私が、Apple が Mac OS X を修正して、このデータ喪失の可能性を取り除くべきだと考えている理由なのだが、全く同じ状況に対して Finder と Dock が異なった挙動をし、Finder 自体が一貫性のない挙動を持っていることが問題なのだ。つまり、ゴミ箱の中にあるファイルをダブルクリックすると、Finder はそれを開く前に別の場所に移動するようあなたに強制する。また、もしあなたが、文書をサイドバーやツールバーに置いて、そのファイルをゴミ箱に移動し、次にそれを開こうとすると、Finder の場合は適切に警告する。しかし、ゴミ箱に移動したファイルを Dock 内をクリックしたり「最近使った項目」サブメニューから選択しても... ちゃんと開く。(この場合、これが悪いのだ。)

一貫性と安全性のどちらのためにも、Dock や「最近使った項目」サブメニューや「最近開いた書類」サブメニューは、ゴミ箱に保存されたどのファイルも開くことを拒絶するべきだ。そして、理想的には、Finder は、単にエラーダイアログを提示するよりむしろ、問題のファイルをゴミ箱からユーザーのデスクトップに移動することを買って出るべきだ。そのほうが親切だろう。

このバグ修正は、ゴミ箱にあるファイルを開く問題を解決することになるだろうが、それに加えて、私は、Time Machine がゴミ箱の内容も他と同じように、パックアップするべきだと考えている。ファイルを作成してゴミ箱に入れるのを Time Machine の稼働する1時間の時間枠の中でやってしまうのはありがちなことで、ゴミ箱に入れた間 Time Machine はそのファイルを見失っている。

私は、Apple にこの問題点を報告した。運が良ければ Snow Leopard で、それは解決されるだろう。

[読者の Matt Strange にアドバイスを有り難う。彼は「最近使った項目」や「最近開いた書類」についても調査するよう勧めてくれた。これらの結果を基に Dock のみに偏っていた記事を書き直した。問題点は Mac OS X の他の領域にも明らかに存在していた。 -Adam]


Photo Safe II で旅行中のバックアップも心配要らず

  文: Oliver Habicht <[email protected]>
  訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>

最近、私の家族は三週間の海外休暇を取ったが、その間、私のコンピュータは家に残してきた(おい、これは家族みんなの休暇だぞ!)。そこで私には、旅行で撮影したすべての写真やビデオを保存する便利な方法が必要だった。Adam は数ヶ月前にこの話題についての記事を書いている("旅の途中で写真のバックアップをとる"2008-08-11 と "旅の途中で写真のバックアップをとる(続編)" 2008-08-12 参照)。これらの記事が掲載された後で、彼は評価用に Digital Foci Photo Safe II を提供されていたので、それを私に渡して実地使用テストをするよう依頼した。

Photo Safe II は、軽量の(272 グラム)ポータブル写真保存デバイスとメモリカードリーダーで、これは願ってもない旅の道連れであることが判明した。それを使って、私は旅の途上でのすべての写真やビデオをバックアップすることができた。私達のカメラのメモリカードから2〜3日毎にそれらをコピーするだけだった。私達と一緒に旅行した親戚が撮ってくれた写真も全てバックアップしたが、まだ充分保存スペースに余裕が残った。そして、私はその方法でデータを追加することはしなかったが、通常の USB 外付けハードディスクとして使うこともできる。(デバイスから Mac にデータを移動するのはこの方法だ。)

Photo-Safe-II

Photo Safe II は、ほぼ誰にでも使えるバックアップを提供している。この使い易さは、さまざまな機能と、優れたクイックスタートガイド(分かり易く書かれた手順、有用な図版、先取りした多くの想定問答集)に助けられているおかげだ。おそらくその最も重要な特長は、あなたがデバイスをコンピュータに接続したときにだけ、写真を削除できることだ。これにより、あなたが誤ってボタンを押して全旅程の写真を消滅させるリスクを効果的に排除している。

さらに、このリスクを減らしているのは、Photo Safe II には2つのボタンしかないという事実だ。ひとつのボタンは、それを押し下げると電源をオン/オフする。または、押して放すと、コピーか削除かの事前選択を切り替える。もうひとつのボタンでは、メモリカードにある(すべての)ファイルをデバイスにコピーするか、またはメモリカードにある(すべての)ファイルを削除する。この削除の操作ではボタンを3秒間押したままにする要件によって幾分かの安全対策がはかられている。再度繰り返すが、Photo Safe II に一旦読み込まれた写真は、デバイスのコントロールのみを使って削除することはできないようになっている。

ことを少しだけ複雑にしているのは、この2つのボタンが、若干の他のコンテクスト依存機能を提供していることだ。これらの機能には、コピーした後で、空き領域を再計算して情報(コピーするファイルの数とターゲットフォルダ番号)を表示する。前者が明確に表示されるので、あとどれだけ空き領域が残っているか簡単に知ることができる。そうは言っても、Photo Safe II をどのように使っているかにもよるが、実際には残量を頻繁にチェックしなくてもよいことが多いだろう。80 GB(現在は廃止)のモデルでは、数千枚の写真や短いビデオをコピーした後でさえ、旅の終わりの時点でまだ 56 GB の空き領域が残っていた。もちろん、あなたがこれを外付けハードディスクとしても使うつもりなら、より容量の大きいモデルが必要になるかもしれない。

あなたが Photo Safe II に、メモリカードからコピーするたびに、そのカード全体のコピーを丸ごと作成して、データをまったく新たに、トップレベルで、連番付けディレクトリで、カードタイプの接頭辞を付けて、記録することを理解することが重要だ。また、コピー操作ではカードの全てをコピーしており、写真やビデオだけでなく、全てのディレクトリ構造も含まれていることを理解することも重要だ。

もしあなたがメモリカードを一枚だけ持っていて、そのカードからファイルを削除しないで旅行中のバックアップを続けたとしよう、最後のファイルコピーには、あなたのカードの全内容が含まれている。だから、それより古いコピーはすべて無視すればよい。

ところが、もしあなたが同じカードタイプの複数のメモリカードからコピーする場合は、デバイス上で連番付けられたフォルダの内容を比較して、正しいデータが得られていることを確認する必要がある(それらは全て類似のフォルダ名になるためだ)。デバイスのハードドライブ上に予めパーティションを作成して、同じカードタイプの別のカードからコピーするデータを別々に保存することもどうやら可能なようだが、しかし私はそれを試さなかった。

ともあれ、私は様々なコンパクトデジカメや一眼レフカメラで Photo Safe II をうまく使うことができた、それらのカメラでは以下のメモリカードを利用している:SD(ノーマルと HC)、Sony Memory Stick Pro MagicGate(高速タイプ)、xD、コンパクトフラッシュ。Photo Safe II にはまた、CF Type I(Sandisk Extreme III, IV を含む)、MMC、SD/HC、miniSD、MS、MS PRO、MS Duo、MS PRO Duo、xD など、他の様々なカードタイプのスロットもある。

旅の間、私は Photo Safe II を Windows Vista が走っている PC(もちろん他人様のもの)に接続し、外部ハードドライブとして立派に機能させた。実際、この機会を利用してすべての我々のカードコピーのフルコピーを作成して、みんなの写真やビデオからさらにもう一度バックアップを作成した!

Photo Safe II では、MS/SD/MMC/xD メモリカードからのデータを コンパクトフラッシュカードにコピーすることもできる。これにより、もう一つのレベルのバックアップを作成してリスク回避ができる。それからたぶん、フルに記録したコンパクトフラッシュカードを家に郵送しても良いし、あるいは、カメラに入れたオリジナルのメモリカードの写真を消去するときのただの気安めにしてもよい。

Photo Safe II は、内蔵の充電式バッテリー、付属の AC アダプタ(100〜250 V の電源コンセントに対応した壁コンセント用の小型軽量アダプタ)、または USB 端子から電源供給できる。さらに、AC アダプタと USB はどちらも内蔵のバッテリーを充電するのにも使えるが、なぜか大抵のカメラにはこの内蔵電池の充電機能が欠けている(本当に頭に来るわ)。パッケージに含まれているのは、異形の分岐 USB ケーブルだ。一方の端は Photo Safe II に接続するための mini-USB コネクタであり、他方はどちらも通常の USB コネクタで、データをコンピュータに転送するのに利用できる。そして、2つめの USB コネクタはもっと大きなパワーをデバイスに給電でき、おそらく充電をスピードアップできる。これは独創的だ!

Photo Safe II を探索する長旅の機会を持った後、私はほんの僅かな細かい欠点を発見した: デバイスを私の Mac に接続したとき、私は、挿入したメモリカード内のデータを見ることができず、デバイスのハードドライブ自体のデータのみを見ることができた。しかし説明書によれば、これはメモリカードリーダーとして機能するはずなのだ。

また、AC 電源のとき、メモリカードを認識させることができなかった。AC 電源を抜いて、バッテリーで電源をオンにし、メモリカードを挿入すると、それは認識された。それからもう一度 AC 電源を差し込むだけで、その後はうまくいった。

最後に、おそらくこれはただの異常なのだろうが、あるときに、バッテリーを使用していてこのデバイスの電源インジケータが単一の点滅バーになり、バッテリー充電量低下を示していた。私は電源をオフにして、再度オンにすると、かなり長い時間フル充電を示していた。

これらの軽微な癖や逸脱にもかかわらず、私は、旅行中をバックアップする心配要らずの便利な道具として Photo Safe II を強くお勧めする。Photo Safe II は現時点で 160 GB($149)と 250 GB($199)のモデルがあり、 Digital Foci のウェブサイトから購入することができる。

[Oliver B. Habicht は Cornell University 図書館の IT 管理者だ。彼は今も USB から充電できるコンパクトデジタルカメラを捜している。]


EtherPad はウェブへの同時書き込みをもたらす

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>

私は自分ひとりで書くのとほぼ同じぐらい、他の人と一緒に記事を書くのが好きだ。SubEthaEditは長い間我々の主要ツールとして TidBITS で著者と編集者のあいだの同時共同作業に使ってきた。このプログラムで我々はお互いがタイプするのを見ながら、同じ仮想文書を書いたり編集できた。我々が変更を加えたものをチェックしている(時々 iChat のバックチャネルを介して)その間ずっと、我々は素早く多くのテキストを作成したり、お互いの作品を編集したりできる。

同時書き込みは、Steve Martin「L. A. ストーリー 恋が降る街」に出てくる十字路交差点カークラッシュを著作の世界に持ち込んだもののように思えるかも知れないが、そうではなくて、我々がより速く書けて(特に、締切間際のイベント実況記事)編集をスピードアップできるようにするものだと思っている。

EtherPad は SubEthaEdit の芝生の上を踏襲している。このソフトウェアは、現在一般利用が可能になっており、無料の、ホストされたウェブアプリケーションで、多くの SubEthaEdit 主要機能を持っていながら、SubEthaEdit デスクトップアプリケーションの持つ多くの制約から解放されている。(EtherPad は当初パブリックベータ版の形態でリリースされたが、ユーザーが殺到したため個人会員使用に移行し、09 年 2 月 3 日より全ての来訪者に開放された。)

さて、両者を見較べてみよう。

リアルタイムでの比較と対比 -- SubEthaEdit(Coding Monkeys 社製 30日間試用、登録は 29 ユーロまたは 38 米ドル)では、文書のホスト役として一人のライターが必要で、他のライターはインターネット接続または Bonjour を利用したローカルエリアネットワークに接続して利用する。一旦その文書が告知されロック解除されると、所定の読み/書き権限を持つ他のライターには自動的に固有のカラーが指定され、編集を同時に開始できる。テキストは執筆者別に色分けされ、文字がタイプされたり削除されると全ての参加者が開いている文書コピー上に表示される。(削除は表示されず保留されない。しかしあなた自身の編集は Undo を使って元に戻すことができる。)

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EtherPad( AppJet 社 製、無料)は上記の多くの制約から解放されているのだが、その最初のリリースは、SubEthaEdit のもつ成熟さには遠く及ばない仕上がりだった。しかし、公平に見れば: SubEthaEdit は何年も掛けて開発し続けてきたものであり、EtherPad は SubEthaEdit が 2003 年、何か学生プログラミングプロジェクトの作品に近いものとして最初に登場したころ(誰もが分かる理由で、当時 Hydra と呼ばれた)とちょうど印象が似ている。

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EtherPad は、主要なブラウザをサポートしているものならばどのプラットフォームにも編集環境を開放している: Internet Explorer(バージョン 6 かそれ以降)、Safari(3 かそれ以降)、Firefox(2 かそれ以降)が使用できる。他のブラウザでも使用できる場合がある。その意味するところは、iPhoneユーザーが(うんざりしながら)参加できるし、また Windows に難渋している我々の友人たちも、独自ブレンドの GNU/Linux を楽しんでいる友人たちも、皆が参加できることだ。

このサービスは、ウェブアプリケーションとしてホストされているので、EtherPad では一人のユーザーが公に到達可能な IP アドレスを持つ必要はない。このことに我々は何度も悩まされており、我々は時折 Mac OS X Server システム上で SubEthaEdit 文書を開いてすべての参加者に提供することが必要だった。各参加者の編集を識別するカラーコードなどのような多くの機能は、SubEthaEdit ユーザーにとってもお馴染みのものだろう。

EtherPad は保存バージョンからの復元を可能にするリビジョン保存を提供しており、これは SubEthaEdit に見あたらないものだ。EtherPad はまた、現在の文書と各リビジョンを AppJet のサーバー上に集中保存している。どちらのソフトウェアも(我々が長年待ち望んでいる)自動保存機能を持っていないが。しかし EtherPad のバージョンを保存する機能は、SubEthaEdit の以前に保存したバージョンを上書き保存する単純な Save コマンドに勝っている。(あなたはサードパーティプログラムを使用して、自動保存オプションとバージョン追跡を SubEthaEdit に追加できる。しかし SubEthaEdit の著者のひとりである Martin Ott が Subversion バージョン管理システムの Mac OS X インストーラをまとめていることを特に考慮すれば、これはコア機能の一部であるべきだろう。)

集中型の保存は、すべての参加者が、文書の現在の状態または以前のリビジョンに常にアクセスできることを意味する。SubEthaEdit では、ホスト以外のユーザーは任意の時点でコピーを保存できるが、彼等が保存して、誰かの編集が始まる前にホストが直ちにその文書を閉じない限り、それがその文書の最終バージョンであることを確信できない。

SubEthaEdit は、一つには、エクストリーム・プログラミングとして設計されている。これには2人のプログラマーが同じコードを同じ時に作業するペアリングプログラマーの原則が含まれている。いくつかの研究によれば、複数の人によるプログラムの方が、エラーが減少し、より可読なコードをより少ない行数で作成できるため、実際には効率が改善できる。

そのため、SubEthaEdit にはポピュラーなプログラミング言語用に、構文コーディングオプションの長いリストが含まれており、そこでコード要素は視認性と名前の綴り間違いを避けるため色付けされている。括弧と中括弧が正しく対応し入れ子になっていることを確保するのに役立つ機能もまた SubEthaEdit にある。(ほぼすべての非協同作業 SubEthaEdit 機能 は BBEdit にもある。)

この最初の EtherPad リリースには JavaScript 構文コーディングのみが登場したが、これは開発者が誰かを考えれば奇妙なことではない。EtherPad を書いた人々は AppJet を開発した。AppJet は JavaScript 駆動のウェブアプリケーションエンジンで、彼等は EtherPad を動かすためにこれを大幅に改訂しなければならなかった。

EtherPad は、文書の中に参加者どうしのチャットを持ち込むこともでき、みんなで編集しているライブスペースと併行して、時系列のアーカイブされたディスカッションを提供する。書いているものについての、文書自体に属さない議論がしばしば舞台裏でなされ、これがとてもうまく機能している。

競争が共同制作を改善 -- 私は EtherPad の開発がもっと進むことと Coding Monkeys 社からのレスポンス、の両方に強く期待している。私は長年の間、もう少し使い易いツールが欲しいと待ち望んできた。特に保存や公開 IP を必要としない、技術に弱い友人や仲間向けのものだ。そして Windows ユーザーは、完全にのけものにされていた。

競争はイノベーションを引き起こすのに役立つかもしれないが、EtherPad ではきっと、もっと自由なコミュニケーションができるようになるだろう。我々が歴史から知っているのは、より多くのコミュニケーションは、より深い相互理解かまたは完全な決裂のいずれかをもたらす。願わくば前者であらんことを。


TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、16-Feb-09

  文: Doug McLean <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Dejal Systems の Simon 2.5 は、このインターネット監視ツールの大きなアップデートだ。主要な変更点としては Simon からの通知をあなたの携帯電話にテキストメッセージとして送ることのできる SMS 通知プラグインがある。このアップデートではまた、ローカルなハードディスクの健全性を監視するための SMART Status および Drive Status サービスも追加された。さらに、アップデート後に新しいデフォルトサービスや通知ツールに対して一つも手で修正を加えなかった場合に再起動後それらが消えてしまっていた問題など、いくつか細かなバグも修正された。変更点の完全なリストは Dejal のウェブサイトにある。($29.95 から $195 まで、アップデート無料、11.7 MB)

Selznick Scientific Software の PasswordWallet 4.4.4 は、長年来のパスワード保護ユーティリティのマイナーなアップデートだ。このアップデートでは「新規ユーザーに対して iPhone 同期を単純化し、日本語翻訳版を追加し、使い勝手の問題点に対処している。」同社は iPhone 用にも Password Wallet 4.4.5 をリリースし、こちらは見栄え上、あるいは使い勝手の改良を数多く加えている。($20、アップデート無料、5.0 MB)

VMware の VMware Fusion 2.0.2 は人気の Windows 仮想化ソフトウェアのメンテナンス・アップデートだ。このバージョンの新機能としては、Parallels Desktop 4.0 および Parallels Server for Mac の双方から Windows 仮想マシンを読み込める機能、暗号化されていない .dmg ファイルを CD/DVD ディスクイメージとしてマウントできる機能、ホストオペレーティングシステムとしての Mac OS X 10.5.6 のサポート、ゲストオペレーティングシステムとしての Ubuntu 8.10 のサポートなどがある。($79.99、アップデート無料、286 MB)

Kent Sutherland の Chax 2.2 は、iChat 用強化・拡張ユーティリティのマイナーなアップデートだ。変更点の主なものとしては、ユーザーが自分のカメラから取り込んだ写真をインライン画像として送れる Send Camera Snapshot 機能の新設、チャットタブをマルチタッチ動作で切り替える機能のサポート、AV チャットの終了時に確認するオプションの追加、Message History 表示オプションの改善などがある。その他細かなバグ修正もいくつかある。(無料、1.3 MB)

Nisus Software の Nisus Writer Express 3.2 は、このスリム化されたワードプロセッサの最新版だ。今回のアップデートではバックアップのオプションが追加され、書類プロパティが編集可能になり、新規書類用のデフォルトのファイルフォーマットが選べるようになった。また、ユーザーが他のアプリケーションで選択した内容から Nisus Writer 書類を作れる「サービス」メニュー項目も新設された。数多くのバグも修正されており、それらすべて、さらにはその他の細かな変更点や機能なども含め、 詳しいリリースノートが出されている。(新規購入 $45、アップグレード無料、59 MB)


ExtraBITS、16-Feb-09 版

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Microsoft のリテール店が Apple と違う 10 個の特徴 -- PC World がこの皮肉たっぷりの記事で、Microsoft の予定しているリテール店が Apple のリテール店とどう違うか、10 個の点をカウントダウンする。私たちが気に入ったのはこれだ:「店の名前は“Microsoft Live Retail Store with PC Services for Digital Lifestyle Enthusiasts”となる。」(リンク投稿 2009-02-13)

Jeff Carlson、Macworld で iMovie '09 を語る -- Jeff Carlson が今週の Macworld Podcast で Chris Breen と対談し、iMovie '09 について好きなところと嫌いなところを語る。これはアップグレードする価値があるか、それともこれの代わりに Final Cut Express に乗り換えるべきかについても述べる。(リンク投稿 2009-02-11)

John Siracusa、電子ブックの過去・現在・未来を語る -- John Siracusa が Ars Technica で、電子ブックをめぐって長い記事を書いた。電子ブックが主流のレベルになかなか入れない状況を嘆くとともに、見過ごされることの多い点だが電子ブックと電子ブックリーダーをきちんと区別しなければならないと論ずる。(リンク投稿 2009-02-11)


TidBITS Talk/16-Feb-09 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Steve Wozniak -- TiVo のスイッチを入れよう! Apple 共同創立者の Steve Wozniak が“Dancing with the Stars”に出場するぞ! (メッセージ数 3)

ファイル共有 -- 複数の人で共有できるけれど、編集できるのは一人だけ、というファイルを作りたい読者がいる。Google Docs ならそれができるか? (メッセージ数 4)

iPhone/iPod touch で見られる電子本が更に広がる -- もしも Amazon が iPhone 用の電子ブックを販売したとしたら、その流通経路は Apple の開発者ガイドラインに抵触するのだろうか? (メッセージ数 4)

iPhone 用 Google Sync -- Google がコンタクトやカレンダーを iPhone に同期できる機能を発表したが、そうすることで何か利点があるのだろうか? (メッセージ数 1)

DDock のバグがデータ喪失を引き起こす -- Mac OS X 10.5 Leopard の Dock にあるこのバグの深刻度について、誰かがその犠牲になる可能性の程度について、読者たちが議論する。(メッセージ数 10)

Phoenix Lander が火星から tweet -- 火星への着陸に成功した Phoenix Lander(いや、もっと正確に言えば NASA にいる誰かでそう自称している人)が、その活動期間中 Twitter を使って定期的に最新情報を送り出していた。(メッセージ数 7)

AppleScript でマウスクリック? -- AppleScript を使ってマウスのクリックを作り出すことも可能だが、その方法は単純ではない。問題は、何のためにそんなことをするのか、ということだ。(メッセージ数 11)

起動可能バージョンの OS X を複数個? -- テスト目的で、ある読者が複数個のバージョンの Mac OS X を手元に置いておくためのベストの方法を探している。ハードドライブを別パーティションに分けるべきか? それとも仮想化か? (メッセージ数 5)

24 インチ iMac がグレイ一色 -- 新品の iMac がグレイ一色のスクリーンしか表示しなくなった原因は、外付けハードドライブに問題があるのか、それとも RAM が悪いのかもしれない。(メッセージ数 5)

Dropbox:ある共同編集者の夢_ -- Apple は Dropbox を買収して MobileMe に組み入れるべきか? その機能は Apple が提供しているものよりも高度に見える。(メッセージ数 3)

iDisk に代わるもの -- 重要なデータをオンラインでバックアップするために、他にどのような選択肢があるか? (メッセージ数 13)

Apple、iDisk 共有機能を MobileMe に追加_ -- Apple の最新の iDisk 機能は Dropbox と比較したくなるが、残念なことに共有はファイルに限られ、フォルダを共有することはできない。(メッセージ数 2)

Gmail の ツールバーに「移動」と「ラベル」メニューを追加 -- あなたの ISP が「無能なサルばっかり」かどうか知りたいなら、こんな話はいかが? (メッセージ数 2)

Mac と AVCHD ファイル -- AVCHD フォーマットで撮影する HD ビデオカメラについて情報を欲しがっている読者がいる。それを Mac で編集するにはどうするか? (メッセージ数 4)


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2009年 6月 21日 日曜日, S. HOSOKAWA