TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#983/22-Jun-09

驚くほどのことでもないが、今週号は iPhone の話題でほぼ埋め尽くされている。まずは iPhone OS 3.0 と iPhone 3GS がリリースされたこと、AT&T がアップグレード価格を改良・明確化したこと、それから iPhone 3GS の当初の売れ行き状況についてのニュースがある。Glenn Fleishman は新機能の Find My iPhone (「iPhoneを探す」) がどのように働くかについて掘り下げて分析し、Adam は喜び一杯に iPhone 3GS の正式名称が変更されたことを報告する。さて、Mac の側の話題としては、Jeff Carlson が USB 経由でディスプレイを追加するための ViBook モニタアダプタをレビューし、Sharon Zardetto 著の電子ブック“Take Control of Safari 4”が新刊となり、DealBITS 抽選では SmileOnMyMac の DiscLabel が賞品となる。それから、ちょっと趣の異なった話題として、セキュリティ専門家の有名人たちがずらりと連名で Google に書簡を送り、Google のサービスにおけるセキュリティを改善するようにと書いたことについて Glenn の報告がある。今週の TidBITS 監視リストでは、Apple の Bluetooth Firmware Update 2.0、Sync'Em 1.30、DiscLabel 6.0.1、それに Safari 4.0.1 を紹介する。

記事:

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iPhone 3GS と iPhone OS 3.0 今や入手可

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple はそのモバイルコンピューティングの製品群を先週オーバーホールして、17-Jun-09 には iPhone OS 3.0 ソフトウェアを出し、そして二日後の 19-Jun-09 には iPhone 3GS をリリースした。

この iPhone 3GS のリリースでは、昨年の時の様な長い行列は出来なかった。昨年は何時間も列の中に立って待つ人が出た。(私は女房のための iPhone 3G を買うために 8 時間も Apple Store University Village で費やした;"iPhone 3G: シアトルでの行列にて" 2008-07-13 参照。) 今年は前もって先行注文をする事が可能で 19日に配達される様にか Apple Store で引き取るかの選択が出来た;iPhone 3G の購入者は Apple Store か AT&T の販売店に自ら出向いてアクティベーションする必要があった。

供給の方も十分な様で、オンラインの Apple Store でも 2-4 の業務日で出荷できるとしている。

本日、Apple は売り出し開始の週末に 1 百万台の iPhone 3GS を売ったと発表したが、これは新型モデルが発売されたのは 8ヶ国だけと言う事を考慮すれば極めて印象深い出来事である;iPhone 3G も最初の週末に 1 百万台を売ったが、その時は 24ヶ国でのデビューであった。Apple はまた同じ期間に iPhone OS 3.0 ソフトウェアのダウンロードも 6 百万コピーに達したと報告している。

iPhone OS 3.0 -- iPhone OS 3.0 Software Update は全ての現存する iPhone モデルの所有者に対して無料のアップデートである。全ての iPod touch モデルの所有者はこのアップデートを $9.95 で購入できる (有料化は Apple が iPod の売上げを計上しているやり方だと必要となる)。何が新しくなったのかについての詳細は "Apple、iPhone 3.0 ソフトウェアをプレビュー" (2009-03-17) 及び "iPhone OS 3.0、6 月 17 日に発売" (2009-06-08) を参照されたい。

このアップデートを入手するには、あなたの iPhone 或いは iPod touch をコンピュータにつないで iTunes を起動、そして同期とバックアップがなされるのを待つ。次に、サイドバーにあるその機器の名前をクリックしそれから Check for Update ボタンをクリックする。iTunes はソフトウェアをダウンロードし (おおよそ 230 MB だがあなたがアップデートしようとしている機器のモデルにも依存する) それからそのアップデートを適用する。このダウンロードとインストールには結構時間がかかるので、一時間かそこらで電話を使うことが分かっていればその場合は始めない方が良い。

アクティベーションの問題、再発 -- 昨年の iPhone 3G や iPhone OS 2.0 の導入の時ほどひどくは無かったが、今回の発売も Apple の資源に負担となったのは間違いない。

昨年の 7月に iPhone 3G と iPhone OS 2.0 ソフトウェアが同じ日にリリースされた時、Apple のサーバーにアクティベーションのリクエストの波が殺到し発売日はめちゃめちゃなものになってしまい、結局アクティベート出来ないままの機器を持たされることになった人も多い。このトラフィックの集中は Apple の .Mac サービスを置き換えた MobileMe の導入とも重なってしまったせいでもある。("MobileMe、よろめきながらも、ついに立ち上がる" 2008-07-12; そして "MobileMe 罪を認める: Apple の謝罪と Tiger の状況説明" 2008-07-16 を参照。)

今年のリリースはそれよりはずっと良かったが、それでもアクティベーションに関わる問題は新たな iPhone 所有者にもアップグレードする人にもつきまとった。 AppleInsider に報じられたレポートによると、お客の中には iTunes の中でそのアクティベーションは最悪 48 時間かかることもあると警告された。私の新しい iPhone 3GS (白, 32 GB) は、購入した金曜日には凡そ 3時間の間携帯電話のアクセスが出来なかった;私のオリジナルの iPhone もこの時間はオフラインのままであった。

Ars Technica によれば Apple は $30 の iTunes Store クレジットをこのアクティベーションの遅れを被った人達に与えると言う。このクレジットを誰が受けられるのかは未だ明らかではないが - 多少待たされるのは仕方ないのだろうとは思うが - このオファーを掲載した電子メールメッセージは Apple から今日出されるはずだと言う。


AT&T、iPhone のアップグレード資格を改善し、明確にする

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Minori Goto <minorig@gmail.com>

iPhone 3GS のリリースに伴い、既存のユーザが最低アップグレード価格の資格を持てるか決定する規制の、最も複雑なもの幾つかを AT&T が変更し明確にした。多くの既存の iPhone 3G ユーザが、今では新規加入の顧客と同様に、$199 (16 GB 機種) か $299 (32 GB 機種)で、新 iPhone 3GS を購入することができる。2009 年 6 月 17 日以前には、既存のユーザは これらの値段に$200 加算しなくてはならないと言われていたのだ。

TidBITS 編集者、Rich Mogull は先週の記事「AT&T に電話して、ベストな価格でアップグレード」の中で、これらの規制の記述とその適用の分析をした。その記事を要約すればこうだ。AT&T によると、奨励価格で購入された電話を持ち、二年契約下にある加入者のほとんどは、契約してから 12 ヶ月から 18 ヶ月経った段階で、最低価格のアップグレードの資格を持てるようになる。

最も最近の変更では、2009 年 7 月、 8 月、 9 月 に新規加入価格の資格を持てる iPhone 3Gのユーザには、2009 年 6 月 18 日より最低アップグレード価格が提供されるとのことだ。ユーザがこの資格を持つかどうかの情報も、そのユーザのアカウントで、この日に AT&T によってアップデートされる。

プレスリリースの発表の中で、Rich やその他の人たちがすでに推測していたことを AT&T は公表した。料金をより多く支払うほど、AT&T はより早く、奨励価格でまた新しい端末を提供してくれる。プレスリリースで AT&T が言うには、電話線一本につき、月額 $99 以上支払った人たちは、二年契約に加入して 12 ヶ月から 18 ヶ月経った段階で、最低価格アップグレードの資格を持つとのことだ。

この変更でも、Rich が探求したシナリオの幾つかは未だに不可解なままだが、AT&T にすでに多額の月額料金を払っている iPhone 3G の初期購入者にとっては、歓迎すべきものだ。そのような顧客はこう感じていたのだ。AT&T が Apple に支払う金額と、顧客がAT&T に端末代として支払った金額の差を、すでに AT&T が取り戻したのでないかと。さらに、この電話会社は最も忠誠な顧客の二年契約更新を失うだけでなく、彼らの信用をも失いつつあると。


iPhone 3GS、最初の週末だけで販売数百万台を突破

  文: Doug McLean <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple は iPhone 3GS の販売ユニット数が発売開始後3日間で 100 万台を超えたことを発表した。興味深いことに、これは 2008 年 7 月 11 日にリリースされた iPhone 3G が同じ 100 万台に達したのとちょうど同じ日数だ。当時 iPhone 3G は 24 カ国で発売されたが、今回の iPhone 3GS はたった8カ国での発売だった。これに対し、初代の iPhone には信じられないくらいの期待感の高まりがあり、Apple リテール店から溢れ出た長い行列の光景は忘れられないものとなったけれど、販売数が 100 万台に達するには 74 日間もかかった。

これらの数字を比較するのは興味深いが、ここにはさまざまの要因を考慮に加えなければならない。特に 100 万台に達するのに要した日数については大きな要因がある。iPhone 3G の 8 GB と 16 GB 各モデルの助成金付きの価格は iPhone 3GS の 16 GB と 32 GB 各モデルのものと同じ、$199 と $299 であった。ところが初代の iPhone の 4 GB と 8 GB 各モデルは(助成金なしで)それぞれ $499 と $599 もした。価格がほぼ倍で、その上第一世代製品として疑念や慎重論も伴っていたことを考えれば、初代の iPhone が 100 万台を売るまでに 74 日も待たなければならなかったのは容易に理解できる。

また、初代の iPhone がデビューして以来、Apple がより多くのリテール店を開いてきたことも考えるべきだろうし、より幅広く一般の人たちが iPhone 現象に、さらにはスマートフォンを持つという考え方自体に馴染んできたこともあるだろう。この年月の間にマーケティングの努力がなされ、好意的なレビューや受賞などがあったことも、iPhone 3G や 3GS が 100 万台に達するまでに要した日数が大幅に短縮された要素と言えるだろう。

けれども、iPhone 3G と iPhone 3GS の販売数統計がほとんど同じだったように見えることはどう考えればよいのだろうか? 期待感を下げる方に働く要因はいくつかある。例えば経済状況が良くないこと(巨大銀行の破綻があって経済危機の最も深刻な様相と言われ始めたのは 2008 年 7 月に iPhone 3G がリリースされた後のことだ)もある。その上、少なくとも米国においては、AT&T が iPhone 3GS のアップグレード価格でしくじりをしたことも、アップグレードを先延ばしにする人たちを生む原因となったに違いない。(2009-06-15 の記事“AT&T に電話して、ベストな価格でアップグレード”と、2009-06-17 の記事“AT&T、iPhone のアップグレード資格を改善し、明確にする”参照。)その後 AT&T は当初の理不尽なアップグレードポリシーを変更して忠実な顧客たちにより親切なものに変えたが、この問題に対する当初の報道が最初の週末の売り上げに悪影響を与えたことは間違いない。

逆の側から見れば、iPhone 3GS が先代の売り上げを超えられたはずの要因もあった。一年分多くのマーケティングと報道があったのだし、価格が同じで仕様が多くの点で改良されているのだから。また、今回のモデルはオンラインの予約注文を受け付けていたことも利点といえる。予約注文をした人は、現物が出荷可能になり次第無料で配達されるのを待つか、または発売日当日に Apple Store の店頭で受け取るかのいずれかを選べた。先代の iPhone 3G では対面での販売が必須で、最初に走らせる際にアクティベーションが必要だった。

どの世代での 100 万台達成が最も大きな偉業と言えるかは、判断の難しい問題だ。まあ、Apple としては、考えれば考えるほど楽しい問題かもしれない。一方、最初の週末に気前よく買い物をしたのがどんな層の人たちなのかの統計情報はわからないだろうが、今年の場合は間違いなく大勢のオーナーたちが初代の iPhone から世代のジャンプを果たし、加えて iPhone 3G からアップグレードする人たちが適度な人数と、さらには目を丸くした新来者たちも何人か含まれていたに違いない。


セキュリティ専門家、Google に全セッションのセキュア化を勧告

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Google がセキュリティの面で槍玉に挙げられた。2009 年 6 月 16 日に Google CEO の Eric Schmidt にあてて送られた書簡が、ウェブアプリケーションでセキュア接続をデフォルトの方法とするようにと同社に強く迫った。この書簡に署名した 38 名の中には、多数の著名なセキュリティ専門家、研究者、提唱者たちが名を連ねており、そこには Ronald Rivest (RSA の R は彼の名前だ)、Bruce Schneier、Jon Callas、Eugene Spafford、Peter G. Neumann、William Cheswick、Steven Bellovin といった面々も加わっている。

二年前に、Google がセキュアでない接続を使っているという事実が、サイドジャッキング (sidejacking) の発見に伴ってクローズアップされた。これは、セキュアでないセッションでユーザーを識別するために Google が使っている認証用クッキーを横取りして、サイドジャッカーのコントロールの下でブラウザに挿入するというテクニックだ。サイドジャッキングは、オープンな Wi-Fi ホットスポットや信用できない Ethernet ネットワークなどで、トラフィックが混交し傍受可能なところならばどこででも実行できる。(2007-08-27 の記事“開いた Gmail、その他サービスを Sidejack 攻撃がこじ開ける”参照。)

Google はサイドジャッキングを妨げるためにある程度の方策は採った。Gmail の認証クッキーにセキュアなフラグでマーク付けして、たとえ https が使われていなかったとしても暗号化なしには送信されないように工夫した。Google はまた Gmail 用の接続に (SSL/TLS セキュアな) https を常に要求するというオプションも追加した。(2008-07-28 の記事“Google Gmail がセキュアなセッションのオプションを追加”参照。)研究者たちは他のサービス、Google Docs や Google Calendar などもやはり https をサポートしていると書いているが、それらのアプリケーションでそのレベルのセキュリティをデフォルトとして設定する方法はない。

Google に送られた書簡には、Docs や Calendar から Google 認証クッキーを取得すれば Gmail へのアクセスが得られてしまうと書かれているが、Google セキュリティチームの一員である Alma Whitten はブログ記事で 、そのようなクッキーが傍受されることはあり得ないだろうと述べている。

セキュリティ専門家たちは、すべてのウェブベースのサービスについて https セッションをデフォルトにすべきだと強調している。この書簡では、この欠陥が広く行き渡った問題であり、とりわけ Microsoft Hotmail、Yahoo Mail、Facebook、MySpace などではそのサービス自体がセキュアなオプションを提供していないことにより問題がさらに悪化していることも認めている。どうやら、セキュリティ専門家たちが Google を最初の相手に選んだのは、Google が既にセキュア接続をオプションとしてサポートしているからであろうと思われる。もしも Google を説得して切り替えさせることができたならば、その後でこれら他の会社にターゲットを移そうというのだろう。

彼らはさらに、Google アプリは非同期的に動作するようにデザインされているので、つまりタスクをサーバで待ち行列に入れて実行し、それからブラウザをページのリロードなしにアップデートしているので、暗号化に伴ってユーザ側あるいはサーバ側で発生する計算量の負担増による待ち時間は、そのアプリケーションの使用体験を悪くするほどの違いを生まないだろうとも論じている。

Whitten のブログ記事で見る限り、Google 側の反応は、すべてを https に移行させた世界においてパフォーマンスが大きく悪化するのが具体的にどのようなコンピュータ構成や、ネットワークで、あるいは世界のどの地域で発生し得るのかについてまだ十分な情報が得られていないことを Google は引き続き憂慮しているというものだ。Whitten はまた、https のみのセッションというオプションを積極的に要求したことのない少数の Gmail ユーザーたちのグループいくつかで、そのオプションに移行させる実験を Google が計画中であるとも述べた。


"Take Control of Safari 4"、基本レベルを超えたブラウジングを手引き

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

リリースしたての“Take Control of Safari 4”は、長年の Mac ライター Sharon Zardetto による新刊書だ。Apple の Safari ウェブブラウザについて詳しい解説書が欲しいという要望は以前からたくさんあったので、Safari 4 のベータ版が出たのを機会に Sharon はこのプログラムを隅から隅まで綿密に調べ上げて、一目見ただけでは分からない機能をいくつか学んでもっとこのプログラムの力を引き出したいと思っている人たちのために、その動作のしかたを正確に文書化してくれた。扱われている話題のほんのいくつかを挙げれば、ブックマークをどのように整理すればブックマークバーが高度に便利なものになるのか学びたいと思っていてついそのままになっていたあなた、タブを効率的に使いこなすためのキーボードショートカットを覚える気にならなかったあなた、それからいつも RSS フィードを読んでみたいと思いつつも結局どうすればできるのか分からずじまいだったあなた、この 92 ページの本はまさにあなたのためのものだ。PDF 版 ($10) と印刷版 ($19.99) 双方のフォーマットがある。

この“Take Control of Safari 4”で、Top Sites や、ブックマークや履歴のページコンテンツ検索などの新機能についても学べるし、さらには次のような疑問に対する答も得られる:

言うまでもなく、もしもあなたが Safari やその他のウェブブラウザに十分精通していると自認しているなら、この本から学べることはたぶんそれほど多くないだろう。でも、そんなあなたでも、とりあえずこの本を買って、まずはざっと読み通して新しいヒントやコツを頭に入れてから、その後はこの本を友人か親戚であなたを仰天させるようなウェブブラウズのテクニックを持ち合わせている人たちに渡してあげてはいかがだろうか。(そう、毎回すべての URL を丸ごと全部手でタイプしているあなたの親友や、リンクを Command-クリックする便利さを理解していないあなたの家族のような人たちのことだ。)


DealBITS 抽選: DiscLabel 6 が当たる

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac ユーザーグループのミーティング用の賞品にするために Take Control Library CD を作る時にはいつも(正直言って、私が何かを CD に焼くのは、この状況がほとんど唯一の理由だ)Dymo DiscPainter を使ってラベル付けすることにしているが、その際には SmileOnMyMac の DiscLabel を組み合わせてラベルを作っている。(2008-12-01 の記事“Dymo DiscPainter でディスクをお洒落に印刷”参照。)ディスクのラベルを作るプログラムは他にもあるし、私もいくつか持っているが、CD のラベルを作るとなれば DiscLabel が群を抜いている。

最近リリースされた DiscLabel 6 で、ラベルの作成が一段と楽になった。新しいデザインを作るためのインターフェイスが効率化されたことと、オブジェクトや画像、テキストの属性を編集する作業が簡素化できるインスペクタが装備されたお陰だ。画像の読み込みも改良され、読み込んだ画像をすべてのラベルや包装のためのデザイン要素へ同時に追加できるようになった。また、新設されたモンタージュツールで、複数の写真からモンタージュが作成できるようになった。SmileOnMyMac ではさらにプロのデザインしたテンプレートセットを 80 個追加して、その中にテキストを書き込むだけで、または iTunes、iPhoto、iDVD、Finder、あるいは Toast からトラックリストを読み込むだけでラベルが作れるようにした。

応募者にはもれなく (応募者のみに!) DiscLabel 6 の割引価格の資格が贈られるので、ぜひ奮って DealBITS ページで応募して頂きたい。寄せられた情報のすべては TidBITS の包括的プライバシー規約の下で扱われる。また、もしもあなたがこの抽選を紹介して下さった方が当選すれば、紹介に対するお礼としてあなたの手にも同じ賞品が届くことになるのもお忘れなく。

[訳注: 応募期間は 11:59 PM PDT, 28-Jun-2009 まで、つまり日本時間で 6 月 29 日(月曜日)の午後 4 時頃までとなっています。]


iPhone 3GS の憎むべき空間が消えた

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Minori Goto <minorig@gmail.com>

執拗で、変に几帳面な頑固者だと私を呼んでくれてもいいが、「iPhone 3G S」から私を呼び出すのだけはやめてほしい。なぜなら、Apple は新 iPhone の名前の後ろに付く S の前のスペースを取り除いて、「iPhone 3GS」と静かに変え始めたのだ。

2009 年 6 月 8 日の記事、「新 iPhone 3GS、パワーと機能アップだけじゃない」でも述べたのだが、「形式的に言うと、これは『iPhone 3G S』と S の前にスペースがある。しかし、私たちのように、これらの製品の事を始終書いている者にとっては、限界というものがある。散文を書いてる上で、孤立した S などあってはたまらないのだ。」見るからにぎこちないだけでなく、孤立した S は単語の末にある S に比べ、複数形や所有形にするのがより困難なのだ。

(Mac OS X にもこれと同じ問題があるはずだ、と Twitter である人物が指摘した。しかしこれは、私の警鐘を鳴らすものではない。というのも、X はどちらかと言えば稀な文字であり、ここでは「ten」と発音されているからだ。そして、さらにこの名前全部が十分短いので、一つのかたまりとして読めるからだ。)

その後、私たちの記事がよその出版物に比べ間違って見えるのではないかというスタッフの懸念に私は屈し、先週はずっと、「iPhone 3G S」のぎこちない組み合わせをなるべく避けながら、なんとか私たちは書いてきた。しかし、iPhone 3GS の好調な発売時売り上げのプレスリリースで、私の 3GS の組み合わせを Apple が使用し始めただけでなく、スペースの入った、ピンとこない名前を避けるために、同社が遡及的に iPhone 3GS の発表のプレスリリースを編集したのを今朝見て、私は大喜びだった。その後数時間、Apple のメインの PR ページにある、最初のプレスリリースの見出しリンクでは、これまでの名前がまだ使われていたが、今現在はその見出しでさえも修正されている。

Apple がそのウェブサイト全体において、この名前の変更を一貫させるにはまだ時間がかかるであろう。例えば、とても役立つ KnowledgeBase ページはどの iPhone OS 3.0 の機能が、どの iPhone 機種で利用できるかを指摘しているのだが、ここでは、まだ古い名前が使われている。それは仕方がない。私としては、この先数年間、規則的に iPhone 3GS について書いていくであろう私たちに、Apple がどう指導するのかということに、主として興味があったのだ。それに、あの空間が無くなったおかげで、 Ted Landau による「Take Control of Your iPhone」の次回版はもっと短くなるし、 orphan と呼ばれる、ぎこちなく孤立した行や単語を生ずる問題も起りにくい。(訳注:orphan とは、帰属する段落や節は次のぺージにあるのに、一つだけ前のページの一番下の行に残される、孤立した単語や文、あるいはその一部のことです。日本語では、専門的に「孤立行」と言われているものです。)

また、Apple が iPhone 3GS のグラフィックス商標を変えるとは思えない。これには、S が違うフォントスタイルで表示され、四角の中にある。iPhone 3GS の本体上で唯一識別できる文字は単に iPhone となっているということも留意しておこう。私は、これには満足している。

iPhone-3G-boxS


紛失した iPhone や iPod touch を iPhone OS 3.0 で探す

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ちっくしょう - 俺の iPhone はどこへ行った? 俺の iPod touch は? 俺の鍵束は? ああ、良かった、鍵束はちゃんと手の中にあった。でも、iPhone と iPod touch はどこにあるのかさっぱりわからない。あ痛っ! おっと、バーベルがこんなところにあったぞ。とにかく、俺の Mac を見つけなきゃ。少なくとも Mac の場所ならわかってる。こいつで、まずは MobileMe を開くんだ。

さて、と。me.com へ行って、ユーザ名とパスワードを入れて、上のところの Account アイコンをクリックして、もう一回パスワードを入れる (いったいなぜそんなことしなくちゃならないのか、まったく)、それから、Find My iPhone (iPhoneを探す) をクリック、と。ああ、あった! 地図によれば、だ... こいつは、俺の家ん中にあるぞ... Display a Message をクリックしてみようか、それより、サウンドも鳴らせるぞ。

見つかった。ソファのクッションの下だ。よくあることさ。

場所の対応付けを MobileMe で -- Find My iPhone (iPhoneを探す) 機能は、iPhone でも iPod touch でも動作する、Apple が iPhone OS 3.0 に追加した素敵な機能だ。動作には MobileMe アカウント (年額 $99 から) を必要とするが、それ以外のコストはかからない。このサービスは、どこかに置き忘れたり、あるいは盗まれたりした電話機のために設けられたものだ。機器上にメッセージを表示したり、あるいはすべてのデータを消去したりもできる。

iPhone にはロケーションサービスが内蔵されているので、iPhone がその現在位置を送信することはいつでもできる。初代の iPhone では Wi-Fi とセルラー基地局によるロケーション情報の組み合わせを使う。iPhone 3G と 3GS ではそれに加えて GPS も使う。(2008-01-15 の記事“iPhone と iPod touch、おのれを知る”参照。)iPod touch の場合はロケーション情報の探知とアップデート双方のために Wi-Fi ネットワークに接続することが必要だ。iPhone が必要な少量のデータを送信するには、Wi-Fi ネットワークまたはセルラーデータネットワークへの接続が必要だ。

Find My iPhone (iPhoneを探す) 機能を有効にするには、iPhone または iPod touch の Settings アプリケーションを使う。これは、あなたの MobileMe アカウントの下で Mail, Contacts, Calendars セクションの中に隠されている。必要ないと思えばカレンダーやコンタクト情報の同期はしなくてもよい。それらのオプションはオフのままにしておけるからだ。一番下のところに、Find My iPhone/iPod touch 項目があるので、そのスイッチを On にスライドさせればよい。

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オプションを有効にしてから、ブラウザを使って MobileMe にログインする。この記事の初めのところで私自身のへまだらけの手順を説明した通りだ。この MobileMe の Account タブには、発足以来次々といろいろなオプションが加えられてきているが、Find My iPhone はその中でも最新のものだ。(どうも首尾一貫していないのだが、Apple は場所によって iPhone と iPod touch を区別せずにこの機能をただ Find My iPhone と呼んでいるが、場所によってはそれぞれの機器のタイプを明示した名前で呼んでいることもある。)

この Find My iPhone ページには個々の機器ごとに一つずつの項目が表示される。私は iPhone を一台と iPod touch を一台持っていて、いずれも探すように設定してあり、スクロールすれば両方が見られる。まずこのページを開くと、最後に探知された場所が表示され、それとともにその機器が最後にチェックインした日付と時刻も示される。それから、MobileMe は(私の推測が正しければ)その電話機にあてて push メッセージを送信してデータをアップデートしようとする。最適なロケーション情報を得たと MobileMe が確信すれば、その後で Update Location ボタンが現われる。

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その機器がオンラインにある限り(そのことは緑色の点と“Online”というテキストで示される)メッセージを送る、警告音を鳴らす、あるいはその両方、という選択肢が利用できる。あなたがその機器に送ったメッセージはすべて、同時にあなたの MobileMe メールアカウントへも送られる。

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Display a Message ダイアログの中にある Play a Sound for 2 Minutes オプションを使えば、あなたの iPhone あるいは iPod touch は(音による通知をすべてオフにしたモードになっている場合でさえも)警告音を鳴らす。これは、盗人を驚かすという意味でも、また車の中や家の中に落として見つからない場合にも、なかなか便利な機能だ。

初代の iPhone を持っている妻にこの Find My iPhone 機能を説明すると、彼女はちょっとゾッとしたという第一印象だった。これって、浮気している夫婦や、ストーカーが悪用することになるんじゃないの、と言い出した。なぜなら(夫婦にしろ恋人にしろ、別れた相手にしろ)あなたの MobileMe アカウントにアクセスできる人なら誰でも、あなたの現在位置にライブでアクセスできるからだ。

それは、確かに考えておくべき問題だ。現在あるいは過去におけるその相手との人間関係はどうあれ、あなたの MobileMe アカウントのパスワードを知っているのがあなただけでなかった場合には問題となる。ただ、MobileMe のファミリーパック (年額 $149) では複数のアカウントを別々のパスワードと別々の機能で切り分けるようになっているので、これが実際に問題を起こすことはないはずだ。

あなたの電話機をなくしたら -- 最近ラップトップ機の盗難という問題に興味を惹かれている(私の友人 David Blatner の記事“ラップトップ盗難からの教訓”(2009-03-24) 参照)私は、回収ソフトウェアのメーカー各社がどうやって iPhone ソフトウェアにおける「一度に走るプログラムは一つずつ」という制限を乗り越えるのだろうかという点に関心を持っていた。

Apple は、この問題を回避するためにシステムレベルでこのような機能を作り、それを独自のサービスに組み込むことにした。ラップトップ回収ソフトウェアの価格はメーカーによって安いものでは $40 の一度払いから、高いものでは年額 $40 から $60 するものもある。今回の Find My iPhone が加わったことによって、MobileMe は私にとって少なからず実用性を増し、よりお買い得になったと言える。

Find My iPhone はただ単に盗難の可能性に備えるためだけに作られたのではない。けれども、Remote Wipe (遠隔消去) 機能は間違いなく盗難対策のためのものだ。MobileMe で Remote Wipe ボタンをクリックすれば、その機器が出荷時の初期設定に戻り、iPhone あるいは iPod touch に保存されていたあなたの個人データや、ファイル、アプリケーションがすべて消去される。

このような発見機能が実際に電話機が盗まれた場合にどのように使われるのかは、興味深い問題だ。なぜなら、通常警察は数千ドル以下程度の価値のものが盗まれた場合、たとえ容疑者の写真とその人物の居場所とをあなたが提供したとしても、必ずしも動き出してくれると限らないからだ。けれども、ライブの地図まであるとなれば、ひょっとしてあなたにもチャンスはあるかもしれない。(Find My iPhone 機能のお陰で一人のギークが iPhone に再会できたという初めての 心温まる物語が、The Intermittent Kevin ブログ記事で読める。)

ラップトップ機やスマートフォン用の回収ソフトウェアメーカー GadgetTrak 社代表の Ken Westin は、Apple がこの機能を追加してくれたこと、中でも遠隔データ消去オプションについて嬉しく思っていると述べた。彼はこれを「ぜひとも必要だったサービス」と形容した。けれども彼は、地図上の位置をピンで示すだけでなくもっとずっと多くのことができるはずだとも述べている。

Westin の会社では、 iPhone 用の GadgetTrak を無料で配布している。走らせればほとんど Safari ウィンドウのように見えるが、これはあなたが電話機を使っていない間ずっと走らせておくことが必要だ。GadgetTrak にそれ以上のことができないのは、そのために常時走り続けるモニタープログラムが必要となってしまうからだ。

Westin によれば、スマートフォン盗難についての彼の経験では、多くの場合盗人はできる限り早く SIM カードを取り外してしまうという。SIM カードは、世界中の GSM ネットワークで使われている認証モジュールだ。確かに iPhone や iPod touch は Wi-Fi ネットワークに接続して場所を報告することができるが、頭の良い盗人ならばそれを防ぐことができるかもしれないし、Find My iPhone のスイッチをオフにしてしまうかもしれない。

彼はさらに、MobileMe のアカウントと Find My iPhone のサービスとを対応付けるのは諸刃の剣だとも指摘した。もしもあなたの電話機を遠隔消去してしまわないならば、その電話機に MobileMe から提供されているものはすべて、あなたのカレンダーやアドレスブック、さらには電子メールの送受信も含めて、盗人が何でもアクセスできてしまう。(パスコードを設定しておけば、あなたのデータを安全に保てる可能性は大きく改善されることだろう。)そこで電話機を遠隔消去すれば、あなたの安全は守られるが、その一方であなたの電話機の位置を突き止める手段も消滅してしまう。

Westin はまた、たとえ地図が手元にあったとしても、Apple は警察に行ったあなたの助けになるものを何も提供していないとも付け加えた。GadgetTrak やその他のラップトップ回収ソフトウェアの開発者たちが提供しているのは、まさにそういう機能なのだ。

これを基盤にまだまだ伸びる -- Apple は、紛失したり盗まれたりした機器のために、確かに基本となるものをここに提供した。けれども、同社は通常、自社が提供するものに欠けている部分はサードパーティーが埋めてくれるのを待つ、というやり方に依存している。

現時点ではその方向での実現は不可能だが、何千万台という機器が出回っている以上、また iPhone と iPod touch の双方ともが高い再販価値を持つ以上、Apple は結局いくらかの開発者たちを衣の内側に招き入れざるを得ないのではないかと思える。

少なくとも、私は現在自分の機器がどこにあるのかわかっている。ただ、眼鏡が、どこかへ行ってしまったのだが...


3つのスクリーンを ViBook で実現

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

数年前、私はついに同僚からの圧力に負けて(具体的に言えば Adam Engst と Geoff Duncan からの圧力だ)私のラップトップ機に接続する第2ディスプレイを購入した。私は当初懐疑的な気持ちだったが、スクリーンの面積が劇的に増加することによって仕事の生産性に大きな違いが生まれた。(複数モニタについてのシリーズ記事参照。また、ちょっとやり方を変えて2台のラップトップ機で同じことを実現した Jeff Porten の方法も 2007-02-05 の記事“自分だけの 23 インチ MacBook を作ろう”で読める。)

(日本語) 複数モニタで楽しさ 2 倍|さらに複数モニタについて|モニタのシールドと予備知識|複数モニタについて最後の一言

さて、仕事部屋で働く時の私は、20 インチの Dell ディスプレイをメインモニタとして使い、MacBook Pro の内蔵 15 インチスクリーンの方を第2モニタとしている。たいてい私は iChat、Tweetie、それに Skype をラップトップ機のスクリーンに置いていて、それ以外にもスクリーン共有、アクティビティモニタ、その他時々見る必要のあるアプリケーションなどをここで開いている。Dell ディスプレイの方はもっとアクティブに使うアプリケーション、例えばウェブブラウザやワードプロセッサ、電子メール、その他を扱うために使っている。

それでも、やはりいつの間にかたくさんのウィンドウが重なり合うことになる。この環境にさらに第3のディスプレイが加わって、もっとスクリーンが広がることになれば、より素晴らしいのではないか? 私は既に 20 インチ Dell をもう一台 (以前古い Power Mac に繋いでいたもの) 持っていたが、私のメインのコンピュータはたった1つしかビデオ出力ポートを持たないラップトップ機で、複数枚のグラフィックカードを備えられるタワー型マシンではなかった。

でも、ポートが足りないという厄介な問題があるだけで諦める必要はなかった。Village Tronic 社が、複数モニタの利点をしっかり後押ししてくれる。同社から $499 で出ている ViDock Gfxは、基本的には外付けの PCI Express グラフィックカードであって、ExpressCard/34 カードを経由して MacBook Pro に接続するようになっている。(いろいろな ExpressCard/34 機器を概観した私の Macworld 記事でも ViDock Gfx に触れたことがある。)確かにこれは、それをサポートする世代の機種の MacBook Pro を持っていて、やかましい音を立てるファンが Mac に繋がっていても気にしないという人にならば、良い解決法となるだろうが、MacBook、MacBook Air、iMac、あるいは Mac mini を持っている人には何の役にも立たない。

そこでその代わりに、私は Village Tronic のViBook をテストしてみた。これは $129 の小さな機器で、片側の端に DVI ポートを持ち、USB でコンピュータに差し込むようになっている。最大で 1680×1050 ピクセルのワイドスクリーン、あるいはアスペクト比 4:3 の従来型ディスプレイならば 1600×1200 の解像度をサポートしている。個々のモニタに一つずつの ViBook を使うことにより、最大で4台の外付けディスプレイを接続できる。(もちろん、あなたの Mac に何個の USBポートが空いているかによって USB ハブが必要になることもある。)Windows 下では、最大 6 つの ViBook とモニタを接続できる。

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この ViBook には、VGA ディスプレイに繋ぎたい場合のための DVI-to-VGA ケーブル、DVI で繋ぐための DVI アダプタ、それから ViBook をモニタの背面に取り付けられるようにマウント用のブラケットも付属している。

あとは、付属のビデオドライバをインストールすれば、ViBook が使えるようになる。(ViBook ドライバソフトウェアは、Mac OS X 10.4.11、または Mac OS X 10.5.5 かそれ以降が、Intel ベースの Mac で走っていることを必要とする。)

USB ケーブルを私の MacBook Pro に差し込むと、Mac OS X がこのモニタを認識するようになり、使い始めることができた。コンピュータを再起動する必要もなかった。私がしなければならなかった作業といえば、Displays 環境設定パネルに行って、3つのスクリーンの並び方の設定を決めることくらいだった。あっという間に、ほぼ 2 百万ピクセル分くらいの新しい敷地が使えるようになった。

つっかえるし、限界もある -- こうやって余分のピクセル数が手に入ることが、実際に利点となるのかどうかは、あなたがそれをどのように使うつもりなのかに依存する。

ドライバソフトウェア(この記事の執筆時点での最新はバージョン 1.1)に同梱された Read Me ファイルは、2つの重大な問題点に触れている:

これらの限界事項の結果として、どのアプリケーションを ViBook スクリーンで使わないようにすべきか、あなたは忘れずに覚えていなければならない。

Read Me ファイルにはまた、既知の問題点が二十個ほども挙げられている。その多くは、ViBook ディスプレイを Mac のメインディスプレイとして使った場合の問題に帰着できるものだ。

(余談だが、Village Tronic がこれほど詳細なレベルに至るまでリリースノートに書いてくれたことに対し、私は拍手を贈りたい。しかしながら、最も重要な2つの問題、3D 加速機能とカラーキャリブレーションについて、ドライバソフトウェアに付属して配布される Read Me ファイルにしか記していないのは感心しない。例えば ViBook ウェブサイトの Tech Specs ページのようなところにそのことをはっきりと開示すれば、それらの点でこのソフトウェアに限界のあることが明らかに示されるだろう。そうでないと、この製品を購入してソフトウェアをインストールした後になるまで気付かないだろう。気付くためには、購入に先立ってソフトウェアをダウンロードし、その中にあるリリースノートをよく読むしかないが、そこまでする人はあまりいないだろう。)

そうした問題点は別にしても、ViBook によって有効となったディスプレイには全般的なスクリーン描画のパフォーマンスが劣るという問題が付きまとう。例えば、Finder のウィンドウを動かす時、ViBook がスクリーンを再描画する度にウィンドウの動きがつっかえたような感じになる。まるで、低いフレームレートで動作しているかのように見える。また、QuickTime Player や iTunes でビデオを再生させても、同様に遅れた感じになる。30 秒も経てば、オーディオとビデオの同期がだんだんずれてくる。(だから、ViBook ディスプレイを映画やテレビ番組を観るための専用スクリーンにすることも論外となる。)また、高速アクションのゲームのようなものも、まともに動くとは思えない。

ViBook の利点 -- これらの欠点はあっても、それでも私はこの ViBook がたくさんのものをもたらしてくれると思う。さきほど述べたように、その便利さの度合いは、あなたがこの第3(あるいは第4、第5、...)ディスプレイをどのように使うつもりなのかに依存する。あなたが単に広い範囲でより多くのデータを一覧したいだけならば、この ViBook は結構うまく働くだろう。例えば、私がウェブのデザイン作業をする場合、メインのディスプレイの上で BBEdit を使ってコードを書いたり Photoshop CS4 を使って画像を処理したりしつつ、ViBook ディスプレイの上ではサイトの反復状況を(カラーを度外視して)プレビューしたり、CSSEdit でスタイルシートの実験をしたり、といった使い方が非常にうまく行った。

また、この追加のスクリーンではスクリーン共有を使って遠隔コンピュータをモニタしたり、iTunes をメインのディスプレイから脇にどけたり、あるいはいくつかの OmniOutliner 書類を開きっぱなしにしておいて、さまざまのアプリケーションに属するウィンドウが何重にも重なった中をかきわけて探すことなしにいつでもメモが見直せるようにしたり、という風な使い方もしている。

思うに、幅広い種類の情報に手早くアクセスする必要のある状況、例えば株式市場のデータをリアルタイムで知りたいような場合に、一つのマシンにいくつものモニタを繋ぐことの利点が際立つだろう。私の構成では、テストできたのはたった一つの追加モニタだけだった(使える ViBook が一つしかなかった)が、それでもおおぜいの人たちで混雑した部屋から外の中庭へ出たような気分を味わうことができた。何層にも重なって隠れたウィンドウで作業することに長年慣れ切った身にとって、それらを広げて見られるのはとても新鮮だ。

ViBook を使うことは、Mac Pro のハードウェアグラフィックカードに第2、第3のモニタをモニタを接続するのと同じだろうか? いや、それは違う。今年の初めごろ、Adam は2台の 24 インチモニタを同じ 1900×1200 の解像度(これは ViBook がサポートするものより多い)で動かして、Quartz 加速の付いたアプリケーションや、再描画の遅れ、カラーのずれなどを全く気にせず使えるようにという、それだけの理由で実際に Mac Pro を一台購入した。けれども、あなたがどれだけのことを期待するかによって、ViBook であっても、Mac Pro で得られるレベルの(それにはそれに見合ったお金を払う必要がある)パフォーマンスは必要としないプログラムのために、余裕を持って作業できるスクリーン面積を提供することは十分可能なのだ。


TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、22-Jun-09

  文: Doug McLean <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple の Bluetooth ファームウェア・アップデート 2.0 にはごく短いリリースノートが付いていて「バグが修正され、Apple Wireless Mighty Mouse と Apple Wireless Keyboard との互換性が向上」するとだけ書いてある。また、Apple はこのアップデートが Bluetooth 対応の Broadcom チップセットを搭載するすべての Macintosh システムにインストールされるべきだとも言っている。あなたの Mac の Bluetooth チップセットのメーカーを知るには、システムプロファイラを走らせて、サイドバーのハードウェア項目の一つ Bluetooth をクリックし、製造元と書いてある行を見ればよい。このアップデートはソフトウェア・アップデートから、または Apple のサポートダウンロードページからも入手できる。(無料、1.78 MB)

Derman Enterprises の Sync'Em 1.30 は、マルチプラットフォームの同期ユーティリティに対するアップデートだ。主な変更点としては、インターフェイスを単純化したセットアップ・アシスタントの新設、Sync'Em Engine が動作に失敗した際にこれを再起動できるようにしたこと、壊れた SQLite データベースファイルの処理の改善、それに Google が受け付けないほど大き過ぎるコンタクトノートも処理できる機能、などがある。また、いくつかの問題点も解消された。例えば、Exchange がある種の iCal アラーム条件を受け付けられなくなっていたバグや、Exchange EWS ID を失った場合に Sync'Em が正常な状態に戻れなくなっていたバグなどが解決された。

SmileOnMyMac の DiscLabel 6.0.1 は、この CD および DVD 用のラベルデザインソフトウェアのメジャーアップグレードの後に続くバグ修正アップデートだ。DiscLabel 6.0 での変更点には 80 個の新しいテンプレートセット、再デザインされたインターフェイス、画像読み込みパレットの改良、インスペクタパレットの新設、ユーザーがモンタージュ写真を作ってそれをデザイン要素として追加できるモンタージュツールの新設、ランダムデザイン生成ツールの拡張、Sparkle による自動ソフトウェアアップデートのサポートなどがある。(新規購入 $35.95、アップデート無料、12.7 MB)

Apple の Safari 4.0.1 は、最近メジャーなアップデートのあったブラウザのメンテナンス・アップデートだ。「Safari 4.0 が iPhoto '09 の機能の一部、「撮影地」機能や Facebook への出版機能などで起こしていた非互換性に対処」している。このアップデートはソフトウェア・アップデートから、または Safari ダウンロードページからも入手できる。(無料、43.5 MB)


ExtraBITS、22-Jun-09 版

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Minori Goto <minorig@gmail.com>

John Gruber、WSJ の肝臓移植記事の情報源について考える -- 2009 年 6 月 19 日の遅い時間に、Wall Street Journal は Steve Jobs が肝臓移植手術を受けたという驚くべき記事を出版した。しかし、さらに驚くべきことは、このニュースの情報源には全く言及していないことだ。Daring Fireball の John Gruber はニュースグループの投稿をフォローし、この話の糸をたどったところ、情報源はおそらく、Apple の取締役会の中の一人ではないかと言う。(リンク投稿 2009-06-22)

iPhone 3.0 におけるホットスポット新機能 -- 新しい iPhone 3.0 ソフトウェアには繰り返して入力されるホットスポットのログインに対処するよりうまい方法が含まれている。これは、ユーザが入力したゲートウェイログインページの情報を取り込み、自動的にネットワークに再接続する。この新方法はまた、既存する Wi-Fi 接続マネージャに幾つかのバグを導入してしまった。Glenn Fleishman が Macworld でこの新機能のすべてを説明する。(リンク投稿 2009-06-18)

WWDC での App Store Session の質疑応答を Apple が中止 -- Marco Arment は WWDC での Apple の不意な見下げる様な態度を報告している。App Store でのアプリ配布についての最後の開発者セッション後の通常の質疑応答を、Apple はなんの予告も説明も無しに中止してしまった。この質疑応答はセッションでは言及されなかった内容以外の話題に触れられる開発者たちにとっては大切な機会である。質問する余地も与えない Apple の態度からは、もう一つの質問が生まれてくる。iPhone 開発者の言うべき何を Apple は恐れているのだろう?(リンク投稿 2009-06-16)

Tech Night Owl Live で Adam が WWDC を更に振り返る -- WWDC についての報道が読み足らないというのなら、Tech Night Owl Live で Adam が最近出演したポッドキャストを聞き逃さないでいただきたい。ここでは、Adam がGene Steinberg とともに、Apple の WWDC での発表すべてについて論じている。(リンク投稿 2009-06-16)


TidBITS Talk/22-Jun-09 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Click to Flash と YouTube -- Click to Flash は YouTube ビデオで自動的に H.264 QuickTime 版を表示することができる。これと同じことのできる他のユーティリティもある。(メッセージ数 5)

iPhone でランニング用ソフトウェア -- Nike+ ソフトウェア・ハードウェアのサポートを内蔵しているのは iPod や iPhone のどの機種か、読者たちが議論する。(メッセージ数 8)

iPod touch にアップグレード -- iPhone がアップデートされたので、読者たちは iPod touch が次にどんな風になって登場するのか推測する。Wi-Fi ホットスポットでインターネットアクセスを得ることについても議論が盛り上がる。(メッセージ数 24)

iPhone 写真の芸術 -- iPhone 内蔵のカメラが、TidBITS Talk による検査の対象となる。(メッセージ数 8)

デュアル G5 で RAM のアップグレードができない -- Power Mac G5 で何度も RAM アップグレードの失敗を繰り返したあげく、この機種には耐久性の問題があるのではないかという話になる。(メッセージ数 9)

Java アップデート -- セキュリティ脆弱性を修正するために最近出された Java アップデートをインストールしようとして問題が起こったことを読者たちが報告する。(メッセージ数 9)

AT&T に電話して、ベストな価格でアップグレード_ -- $99 の iPhone 3G という価格は、現在持っているセルラーサービスのコストを勘定に入れると、少し誤解を招くおそれがある。(メッセージ数 7)

ウェブブラウザでアドレスフィールドを賢く解析 -- Adam は Firefox のスマート提案機能が気に入っている。アドレスフィールドに部分的にタイプしたものをもとにしてフィールドを埋めてくれるのだ。ただし、LaunchBar を使えば他のブラウザでも同じ機能の一部は実現できる。(メッセージ数 2)

新しい iPhone/iPod touch OS で気の付いたこと -- 読者たちが、iPhone OS 3.0 ソフトウェアの第一印象を語り合い始める。(メッセージ数 4)

iPod touch から iPhone にアップグレード -- 自分のデータを iPod touch から iPhone へと持ち込むためのベストな方法は何か? 単純に新しい機器に接続すればよいだけなのか? (メッセージ数 1)

AirPort Express の質問 -- USB ハブを繋げば、一台の AirPort Express から複数台のプリンタにアクセスできるか? (メッセージ数 2)

Safari 4 に切り替え: プラグインは? -- Safari 4 に切り替えてから、ある読者は今まで使っていた数多くの Firefox プラグインの機能を再現できるユーティリティはないかと探している。(メッセージ数 4)


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©Copyright 2009 TidBITS: 再使用は Creative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2009年 6月 29日 月曜日, S. HOSOKAWA