TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#999/12-Oct-09

今週の記事の大部分はセルラー通信に関係した話題だ。まず Glenn Fleishman が、Vonage から出た iPhone と iPod touch 用の奇妙なアプリを紹介し、また T-Mobile Sidekick のユーザーが Microsoft のデータ破壊のため大災難に見舞われた話を伝える。Glenn はさらに AT&T が最近 IP 電話アプリをセルラーデータ通信経由で使うのを許すという方針転換をしたことがなぜ同社にとってビジネス上理に適ったことかを説明する。TidBITS 寄稿者の Kirk McElhearn も長いご無沙汰から戻ってくれて、間もなく登場する国際版の Amazon の Kindle 電子ブックリーダーについて詳しく分析する。それから、Mac についての記事を2つ、ゲストのライターたちが寄稿してくれた。Lewis Butler が Mac OS X に隠されたシングルアプリケーションモードについて解説し、Christian Voelker が古い Apple LaserWriter 630 Pro を Snow Leopard で働くようにできた体験を語る。今週注目すべきソフトウェアリリースとしては Epson Printer Drivers 2.1 for Mac OS X 10.6.1、iPhone OS 3.1.2、それに Nisus Writer Pro 1.3.1 がある。

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Vonage、国際通話用アプリをリリース

  文: Doug McLean <[email protected]>, Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

インターネット電話サービス Vonage が、 iPhone と iPod touch 用にモバイルアプリケーションをリリースした。これは、モダンな IP 電話 (VoIP) プログラムというよりも、むしろキャリアの国際通話料金を避けるために通話カードを利用する、そのための自動化された方法を提供するものと言える。Vonage は iPod touch と iPhone で通話を処理するために Wi-Fi を使い、iPhone ではセルラー接続を通じて通話することもできる。

通常の Vonage ハードウェアベースのインターネット電話サービスでは、すべての通話をブロードバンド接続経由で扱っており、着信用には一つかそれ以上の電話番号を割り当てることができ、世界中のどの電話番号にも電話をかけることができる。Vonage はまた、「ソフトフォン」つまり同様の機能を持ったコンピュータ上の VoIP クライアントも作っている。

今回無料で出た Vonage のモバイルアプリは、それよりもずっと機能が制限されている。着信はできない。既存の Vonage アカウントに接続することもできない。また、Vonage のネットワーク経由で国内通話をすることもできない。これはセルラー接続を持たない iPod touch でさえもそうだ。このアプリは現在のところ米国国内の iPhone 顧客のみが入手できる。同社はカナダと英国でもインターネット電話のビジネスを運営しているが、このアプリを両国でも使えるようにするかどうかは明らかにされていない。

これは、iPhone と iPod touch 用の Skype と比べればはっきりと対照的だ。こちらは現在のところ Wi-Fi 経由のみで動く。Skype のアプリは着信も受けられ、公衆交換電話網 (PSTN) 上にある世界中のどの番号にでも(国内通話も国際通話も)電話が可能で、さらに他の Skype ユーザーとも通話ができる。(2009-03-30 の記事“iPhone に Skype がやってくる”参照。)

この違いは Skype が Wi-Fi のみに依存することによるものと思われる。その一方で、Vonage は奇妙な方法ながらシームレスにセルラー音声接続でも働く。

けれども、これら Skype と Vonage Mobile 双方の制限事項は近いうちに消滅するかもしれない。AT&T が 2009 年 10 月 5 日に公式発表したところによれば、同社は iPhone による 3G データネットワークで VoIP 通話を許さないという方針を変更したという。(2009-10-09 の記事“モバイルブロードバンド VoIP は AT&T の賢明な判断”を参照。)しかしながら、この方針転換の結果どのようなことが起こるにしても、それはすべて将来の話だ。今日、Vonage のアプリは次のように動作する:

国内通話については iPod touch が全く使えない。これは奇妙なことだ。Apple がどのキャリアにも付随していない自社の製品に拘束をかけるとは思えないからだ。でも実際に使えない。(ちなみに、iPod touch ではマイクも必要だ。Apple の iPhone Stereo Headset でも、別の製品でも構わない。)

iPhone 上の国内通話は、Vonage アプリによって単純に iPhone 内蔵の通話システムにまわされる。Vonage が実際にその通話にタッチすることはない。けれども Apple は、Vonage がそのフロントエンドを使って通話のインターフェイスを提供することを、許容したわけだ。これは一見したところではネイティブな機能をアプリが複製することを許さないという Apple の原則に違反するように思えるのだが。

国際通話については、Vonage Mobile は利用可能な場合には Wi-Fi を使う。もちろん iPod touch ではそれが唯一の選択肢であり、iPhone では多くの場合利用可能だ。

しかしながら、もしも iPhone でセルラー接続のみしか利用できないならば、その場合 Vonage Mobile アプリは通常の通話を(ユーザーには見えない形で)その土地の Vonage アクセス番号に繋ぎ、その接続を利用して国際通話をかける。つまり、iPhone 加入者は普通の電話と同じ毎分の料金を負担することになる。場合によっては、加入者がローミング料金を課されることもあり得る。

国際通話は 60 カ国以上でサポートされている。相手国がどこであっても、 Vonage の毎分の通話料金が適用される。これはほとんどの標準キャリア料金よりずっと安い。通話に先立って Vonage Mobile アカウントにお金をあらかじめ入れておかなければならない。Vonage ではあなたがサービスを試してみられるように米国内のアカウントにあらかじめ $1 を入金している。また、残高があらかじめ設定された金額を下回った場合に自動的にクレジットカードから追加入金できるようアカウントを設定しておくこともできる。

この毎分料金は Vonage の固定電話代替サービスの料金とは大きく異なっている。固定電話代替サービスでは米国およびカナダへの通話と、さきほどと同じ 60 カ国については固定電話(モバイル番号は含まない)への通話が、時間計測なしに無料で標準的な毎月の料金の中に含まれる。Vonage によれば、今年中には同じ国々へのフラットレートの購読が利用できるようになるという。

けれども、既存の Vonage アカウントとの統合が一切ないというのは困ったことだ。同社は数百万人の加入者を持っており、彼らは少なくとも請求書を一つにまとめて通話履歴も一カ所で見たいだろうし、言うまでもなく料金が割引になればなおさら嬉しいだろう。Skype はユーザーが一つのアカウントを持っていると見なしていて、スマートフォン、コンピュータ、さらには何種類かある独立のハンドセット機のものも、すべてのアプリケーションを同じ一つのアカウントの通話サービスに結び付けている。

国内通話や通話の受信に制限が付くのは、Google Voice の悲運を繰り返すまいとする Vonage なりの努力なのかもしれない。Google Voice とは、Apple が承認のために無期限の検討中と言い、Google の側は Apple に App Store で却下されたと言っているプログラムで、現在 FCC が状況を調査中だ。(2009-08-03 の記事“Google Voice アプリの件で、FCC が質問”参照。)

Google Voice は無料の国内通話とボイスメールを提供し、インターネット電話とテキストメッセージング、留守番電話、通話転送を結び付けている。Android プラットフォーム上では、Google Voice をインストールすればこれが内蔵の通話システムに代わって働き、利用可能なすべてのデータネットワークを通話のルートとして利用する。

3G データネットワークで VoIP 通話を許すという AT&T の最近の決断は、Google Voice のリリースを意味するのかもしれないし、Skype と Vonage Mobile 双方に大きな改訂をもたらすのかもしれない。どんなことが起こるのかこれから見守って行きたいが、いずれにしても近い将来活発な競争が見られ、あなたの指が歩き回るための大いなる助けとなってくれることだろう。

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Sidekick ユーザーのクラウドデータ、吹き飛ばされる

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

T-Mobile と Microsoft は、とんでもない大しくじりをやらかした。非常に大規模な障害が起こって、Sidekick スマートフォンで個人的なコンタクト情報、カレンダー情報、その他のデータがおそらく永遠に失われてしまうという事態が発生したのだ。Sidekick は T-Mobile が販売しているスマートフォンで、Microsoft が買収した Danger 社によってデータ供給されている。私は一週間前に、この問題の初期の発生の様をこの目で目撃していた。

私たちはちょうど帰宅したところだった。妻の高校時代の同級生も一緒で、みんなで Wicked の舞台を観てきたのだ。妻の友人は T-Mobile Sidekick スマートフォンをチェックしていた。彼は、仕事にこのスマートフォンを使っているのだ。あれ? うまく行かない。

私たち電話機を充電したり、再起動させたり、ウェブ経由でログインしたりしてみたが、すべて失敗に終わった。じきに分かったのは、Sidekick のバックエンドサーバを運営する Danger 社(Microsoft が買収した会社だ)のサービスが、完全に機能停止の状態になっていることだった。

他の多くのスマートフォンとは異なり、Danger ベースの電話機はデータをクラウドに保存する。クラウドとは多くの場所に存在しているサーバであって、ユーザーはこれを管理せず、どこからでも常時サーバにアクセス可能だと考えられているものだ。このスマートフォンは必要に応じて情報を取り込んで電話機の中に一時的なコピーを _キャッシュ_ する。このコピーは恒久的に保存される記録とは意図されていない。また、BlackBerry、iPhone、Android その他のスマートフォンのようにデータをコンピュータに同期することも意図されておらず、ウェブサイトか電話機からデータにアクセスするようになっている。

感じとしては、Sidekick のデータは言わば IMAP サーバのようなところにあるわけだ。ローカルにコピーを持つことはできるが、あくまでもサーバがマスターなのだ。IMAP では、コンピュータや電話機が再起動してもコピーは当然あなたの期待通りにそのまま残る。けれども Danger の方法では、ローカルにキャッシュされたデータは再起動したりバッテリが切れたりすれば消去されてしまう。

私たちの友人は翌日にサービスが復旧したが、何日間も使えないままにされた Sidekick ユーザーもいたし、どうやら別の機能停止に見舞われたユーザーもいたらしい。(2009 年 10 月 6 日に停止したという報道があったが、私たちの友人がダウンに見舞われたのは 2009 年 10 月 3 日だった。)

さて、ここからが大事件 (kicker) だ。というより sidekicker と言うべきだろうか。 T-Mobile が 2009 年 10 月 10 日に発表したところによれば、まだあなたの Sidekick 機の中に残っているデータはよいが、そうでない個人データは、サーバの問題により永遠に失われたかもしれないという。

率直に言ってしまえば、2009 年のこの時代に(それは 1999 年でも同じことだが)サービスを提供するサーバにおいて、何かの問題がサーバに起こったからといって、単に顧客のライブのデータだけでなく(T-Mobile の発表を信じるならば)過去のデータもすべて一挙に消されてしまうなんて、そんなことがあり得るなんてこれっぽっちも想像できない。驚きと言うほかはない。

T-Mobile は、データをまだ Sidekick 機の中にキャッシュしている顧客に対し、Sidekick 機のバッテリを切らせたり、再起動したり、システム終了したりしないようにと呼びかけている。データ復旧の最後のチャンスが失われないようにということだ。

この事件の余波がどこまで広がるか、私には予想もつかない。T-Mobile は既に米国内の加入者数で第四位の地位を確保しているが、Sprint Nextel と同様、スマートフォンと合わせて提供すべき固定電話やブロードバンドのビジネスには手を出していない。

大規模な、前代未聞のデータ喪失を引き起こしたことは、たとえこれが完全に Danger のみの落ち度によるものであったとしても、高付加価値の顧客が大量に流出することを意味しかねない。顧客たちは、契約のキャンセル料を支払う義務は明らかになく、ひょっとしたら支払わないことを求めて訴訟を起こすかもしれない。

他のスマートフォンのプラットフォームにはこのような問題は起こらないのだろうか? もちろん、起こらない。これは一般的事実として言える。iPhone (と iPod touch) のユーザーで MobileMe 経由の同期をしている人は結果的にその人のデータがあちこちに保存されることになるので、どこかで同期の動作が故障して、それに加えて自動バックアップの誤作動した場合のみに、コンタクトやカレンダーの情報、電子メール、その他のデータが消されてしまうことになる。言い替えれば、私たちの知る限り、Apple が運営関係のミスをして多くの人数のユーザーの iPhone データを破壊してしまうような状況は想像し難い。

Android ユーザーは Google サービス経由で同期をする。だから、Android ユーザーが自分の Google アカウントを破棄したり自分ですべてのコンタクト情報やカレンダーイベントを消去したりしない限り、どこか他のところにコピーが残っている。Google の各種サービスは簡単にコンピュータに同期できるので、おそらく Address Book や iCal からも情報のコピーにアクセスできるだろう。(他のオペレーティングシステムでもそれぞれ対応するプログラムがある。)

BlackBerry ユーザーにはいくらかリスクがある。なぜなら、Research in Motion (RIM) は push 電子メールやその他の機能のために中央化されたサーバに依存しているからだ。けれども RIM は顧客のデータを保存するのにクラウドは使っておらず、また BlackBerry はアドレスブックや電子メール、その他のデータをローカルに保存している。さらにまた BlackBerry をコンピュータに同期させることもできるのでそこにもまたもう一つコピーができる。

これら三つのプラットフォームについては、あなたがすべてのところでデータを消し去らない限り、あるいは消去したり失われたりしてデータを同期させてすべての場所を空のセットに同期してしまわない限り(さらにローカルなハードドライブにもバックアップが取ってなかった場合に限り)依然としてすべてを(あるいは少なくともほとんどすべてを)復旧させることが可能だろう。

Windows Mobile や、Nokia ベースの Symbian プラットフォーム、それに Palm の webOS では、巨大な中央ストレージシステムのようなものは一切ない。だから、これら三つのプラットフォームに基づくスマートフォンはこのような問題に見舞われることはない。

一般的に言って、今回の Sidekick でデータ喪失が起こった大惨事は、どうやらクラウド志向の強いモバイルサービス会社のみの問題と思われる。だから、今回の話の教訓は、重要な情報をクラウドに保存するサービスで、ローカルなバックアップを作るオプションを、できれば自動化された方法で、提供していないものには気をつけなさい、ということではないだろうか。

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モバイルブロードバンド VoIP は AT&T の賢明な判断

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

AT&T は、他のスマートフォンではできるのになぜ iPhone では 3G 上で VoIP 通話をすることができないかの正確な理由を説明せよという FCC からの圧力の下に、従来の方針を転換した。Apple は今後 App Store のルールをアップデートし、開発者たちが VoIP 接続を Wi-Fi とは限らず利用可能なすべてのネットワーク上で動かせるようにすることになる。

この転換は AT&T にとって大きなことだ。AT&T としては、このことを決断する前に弁護士たちを集め、スプレッドシートや、顧客アンケートと格闘したに違いない。この転換は政府によってこの会社に強制されたものかもしれず、その他にも AT&T が避けたいと願ってきたルールや制限などもこれに伴っていたかもしれない。

これによって収益が減る可能性はあるが、それにもかかわらずこの変更は AT&T にとって良いことだと考えるべきだ。なぜだろうか? それは、3G ネットワークが平均以下のパフォーマンスしか示してこなかった同社が今後顧客の忠誠心を高めることのできる、これもまた一つの手段となるからだ。

私はこれまで全体的には AT&T のサービスに満足していた。けれども私は受信状態の悪い地域に住んではいないし、それほど頻繁に旅行するわけでもない。でも、最近の二回の旅行でオレゴン州やワシントン州の田舎やハイウェイ領域に行った際にも、AT&T のネットワークは 2.5G (EDGE) でも 3G でも全般的に満足できた。

実際、AT&T がシアトル地域で 850 MHz のベースステーションに転換したことで、私の iPhone の使用感は音声通話でもデータ通信でも際立って良くなった。ことに自宅の中にいる時にそれが強く感じられた。AT&T が 2008 年に第一世代ネットワークを廃止した結果可能になったこの 850 MHz が始まるより以前、AT&T は 1900 MHz のみに限られていた。より低い 850 MHz の周波数は同じパワーレベルでもより遠く到達し、建物や家屋の内部にもはるかにより良く届く。

今回セル接続での VoIP を許容するよう変更したことで、将来新たなバージョンの Skype、Vonage Mobile、その他のプログラムが登場し、その結果 iPhone ユーザーたちはより通話時間の短いセルラー購読プランに移行して、代わりに国内通話は VoIP アプリに依存するようになる、というシナリオが十分考えられる。(2009-10-06 の記事“Vonage、国際通話用アプリをリリース”参照。)

(私はここで米国以外の iPhone 加入者の問題をあえて無視している。米国以外ではキャリアによって多種多様の異なった方針や料金体系があるからだ。この記事に寄せられたコメントの一つによれば、例えばカナダの Rogers 社は全国一律のローミングを提供せず、国内の長距離通話料金を課金するという。Rogers はまた iPhone の使用を最も使用量の多いプランでさえ 5 GB までに制限していて、この点が AT&T の無制限スマートフォンサービスと異なっている。また、AT&T 接続の iPhone を米国の外で使用するという問題もある。AT&T には国際データローミングプランもあるが、ローミング時に正気とは思えないほど高額な通話料金を支払うよりはデータプランを通じて VoIP を使う方が結局安上がりになるかもしれない。)

けれども、現在の購読の傾向を見れば、今回の方針変更も見かけほど破壊的な出来事とは言えない。実際にどの程度の数の人々が AT&T のワイヤレス国際料金を払っているのか、私は全く知らない。おそらくは何十億ドルという金額が支払われているのだろう。それでも、毎分計算の通話コストは特別のプランなしにはあまりにも高額で、私の想像するところではたいていの人は通話カードやその他の方法を使いたくなるだろう。iPhone 上で Skype が提供している Wi-Fi 上の VoIP も、この範疇に含まれてきたわけだ。(AT&T には米国国外で通話やローミングできる通話プランもあるが、こうしたプランは最も安いものでさえやはり異常なほど高価だ。例えば AT&T では月額 $4.99 で、米国内からカナダやメキシコへ毎分 9 セントの料金で通話できるようになる。これに対して Skype や Vonage Mobile では毎分 2 セントだ。)

AT&T の最も単純な 450 分間通話込み国内通話プランで、既に通話分数の繰り越しや、たっぷりの夜間・週末通話分数(毎月 5,000 分)さらにはモバイルからモバイルへの無料通話などが含まれている。

新規の iPhone 顧客に対して、AT&T の最低料金は1回線で月額 $70、2回線のファミリープランで $110 だ。(細かく分ければ音声通話が $40、データが $30 で、テキストメッセージングは別料金、メッセージ単位の課金または月ぎめプランでその最低料金は $5 だ。複数回線プランは最低料金が音声 $40、追加回線に $10、データプラン2つで $60 となり、テキストメッセージングはその上に加算される。)

けれども AT&T の音声通話プランによる最大収入は月額 $100 で、この場合同社は無制限の音声通話サービスを提供する。同社にとって、おそらくここが最も大きな競争分野だろう。つまり、分数に制限のある $40 プランと無制限の $100 プランとの、その差 $60 が勝負なのだ。

しかしながら、ここで顧客の乗り換えや取り込み(そして再取り込み)のためのコストを決して無視してはならない。実は、それがセルラー業界においてはとてつもなく大きなものなのだ。広告や、新規の電話に対する補助金 (一台の iPhone に対して $200 以上にもなる)、会社のストアの費用あるいは独立店への委託金などとして、会社が費やす費用は顧客一人あたり何百ドルにも達する。以前、テスト用に購入していた機器を返却しに町の T-Mobile 店舗に立ち寄った際、もしも AT&T から T-Mobile に切り替えたなら現金とサービス合わせて $500 相当を提供しようと持ちかけられたことがある。

現在では日割り計算のキャンセル料金が AT&T やその他のキャリアでも適用されるようになってきた(AT&T の場合、$175 のキャンセル料金が契約期間中毎月 $5 ずつ減額される)ので、顧客たちは一年も経てば一つのキャリアに留まる金銭的動機をほとんど持たなくなってきた。

もしも AT&T が iPhone 顧客たちの留まる率をある程度上げることができたなら、同社にはセルラーデータネットワークで VoIP トラフィックを支えることにしたために生じた損失を上回るものが得られ、相当規模の利益を達成できることになるだろう。

また、Wi-Fi 上で VoIP アプリを使って通話していた時間は AT&T のセルラーネットワークにそれ以上負荷をかけず、VoIP 通話が 3G を通過する際も AT&T が音声通話で使うのと同程度のバンド幅しか消費しないことに注意しよう。Wi-Fi ベースと 3G ベースの VoIP 通話ではいずれも、普通のセルラー通話にあるようなさまざまの義務、例えば呼完了、請求書作成、料金調停、顧客サポートなどが発生することはない。

一言で言えば、AT&T は今回の方針変更によって相当の恩恵を実際に受けることがあり得る。だからこそ、長々と続く法的手段に訴えることをしなかったのかもしれない。

さらに、今回の変更は AT&T の次期サービス、LTE (第四世代つまり 4G のモバイルブロードバンド) の支持者層を築くためにも役立つ。このサービスにおいては音声通話のサービスはおそらく高バンド幅のデータ提供の内部に埋め込まれたサービスとなる可能性が高い。満足感に満たされた iPhone 3GS 顧客たちならば、そのまま満足した iPhone 4G 顧客になってくれるのではないか。

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Amazon が Kindle を米国以外に拡張

  文: Kirk McElhearn <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Amazon が Kindle 電子ブックリーダーをリリースした時、これが購入できるのは合衆国国内のみだった。Amazon が 3G ワイヤレス接続の契約をしたのが米国の電話会社とのみだったからだ。また、おそらく米国の電子ブックを他国で販売することに関係したライセンス関連の問題を解決できていなかったこともあったのだろう。

2009 年 10 月 19 日からは、国際版の Kindle 2 が $279(米国国内専用の Kindle 2 より $20 高い価格)に送料と関税(米国内から出荷される)を加えた価格で入手できるようになる。こうして、100 カ国の読者たちが、Kindle 上で英語の電子ブックやさまざまの雑誌や新聞などを表示させて読めるようになる。より大型の Kindle DX(こちらは PDF も表示できる)にはまだ国際版がないが、Amazon は 2010 年にそのような機器を出すことを約束している。

現時点では、これらの本や雑誌、新聞は米国の Amazon ストアから購入しなければならない。けれども事実これは改善だ。これまでは、Amazon の Kindle アプリを iPhone や iPod touch の上で使うためにさえ米国内のアカウントを持っていなければできなかった。これからは、米国の外にいるユーザーもそれらの機器を使って Kindle 電子ブックにアクセスできる。(ただし価格は国内からの場合よりも高くなる。)

国際的に利用可能 -- 今言ったように、すべての Kindle ブックは Amazon の国際ウェブストアでなく米国ベースの Amazon.com から購入しなければならない。Amazon UK の顧客でさえ、Kindle ブックは Amazon の U.S. ストアから買うことになる。ただし、同社は直接の UK 購入を近日中に提供できるようになると言っている。

Wired の Steven Levy が Amazon 最高責任者の Jeff Bezos から詳細を聞き出したところによれば 、出版者は「購入地域」に基づいて支払いを受けるという。米国外の出版者で特定の国または地域において権利を持っている者については、米国内の出版者でなくその者が印税を受ける。

このように複雑な権利の問題があるので、必ずしもすべての Kindle ブックが国際的に入手可能になるわけではない。多くの出版者が Amazon の条項に同意したが、同意しなかった者たちもいる。Amazon のウェブサイトには「著作権上の制限により、必ずしもいたる所で入手可能とはならない Kindle タイトルもあるので、表示されるのはあなたの国または地域において入手可能な Kindle タイトルのみ」と明記されている。Amazon は米国内で合計 350,000 冊の本があると謳っているが、他の国の読者たちは国にもよるが 160,000 から 290,000 程度のタイトルにしかアクセスできない。

特に、Amazon のフランスのストアではフランス語の本に関する将来の予定について何も言及されていない。推察するところ、Amazon は主要諸国で出版社たちと交渉中なのだろう。

カナダの人たちも、グローバルな Kindle 購入にはほど遠い立場に立たされている。トロントの新聞 The Globe and Mail が Amazon に理由の説明を求めたが、答は得られなかったという。

本の価格 -- 価格についてもいくつか言っておきたい。まず、米国では Kindle ブックが一般に $9.99 で売られている。国際販売では(少なくともヨーロッパの顧客には)この基準価格が $13.79 となる。

第二に、現在米国で Kindle ブックのベストセラーリストの上位に載っているタイトルの多くがフランスにいる私には入手できない。例えば Dan Brown の "The Lost Symbol" や Nicholas Sparks の "Last Song"、Steig Larsson の本、その他たくさんの本がこれに該当する。

つまり、ヨーロッパ人たちは $3.80 も高い価格を払った上に、人気の本の多くにアクセスできない。これは困ったことだ。

公平を期すために言えば、この価格には消費税 (VAT) が含まれている。(フランスでは、電子ブックの VAT は 19.6 パーセントというべらぼうなものだ。紙の本ではたった 5.5 パーセントだというのに。一方英国では、電子ブックが 15 パーセントで紙の本には追加料金がかからない。)その上、米国からの本の送料は高くなる。だから、$13.79 という価格はハードカバー本に送料を加えたものよりはまだかなり安い。

けれども、デジタル本を出荷すること自体にはほとんどお金はかからないはずなので、やはりこの価格は高過ぎると思う。いくつかペーパーバック本の価格を調べてみた(例えば Stephen King の "Dark Tower" シリーズをチェックした)が、ここにも同様のとんでもない値段がみられた。米国で $7.99 する本 ("Dark Tower VII") に、Amazon はヨーロッパでは $11.49 という値札を付けている。

確かに、今はアメリカドルがかなり弱いので、同じ本のペーパーバックが Amazon のフランスのストアではユーロにしてほぼ同額の値段で売られている。それでも、やはりこれは私なら二の足を踏む価格だ。それに、この $3.50 の違いが VAT で説明できないことだけは確かだ。現在の交換レートで、その $7.99 のペーパーバック本の VAT はたったの $0.44 にしかならない。

新聞や雑誌 -- 新聞の価格も、やはり驚くべきものだ。New York Times は米国では Kindle ユーザーに月額 $13.99 となっているが、ここヨーロッパでは $27.99 となる。実際はフランスで出版されている International Herald Tribune でさえここでは高い。米国では $9.99、ヨーロッパでは $19.99 だ。

二倍の値段をヨーロッパの顧客につける理由などないはずだ。結局のところ、インターネットの大きな利点の一つは距離に関係ないということではないか。私は新聞各社が生き残りのために努力しているのだと考えてみたが、Kindle が彼らにとってビッグチャンスなのだとしても、やはりこれでは彼らはチャンスをふいにしてしまうと思う。

雑誌に関しては、今のところ、ヨーロッパの顧客が入手できるものはたったの 34 個種類しかない。その上、新聞と同様、雑誌の多くがヨーロッパの Kindle 顧客が購入した場合倍近くの値段になる。Asimov の Science Fiction はヨーロッパでは毎号 $5.99 だが、これが米国ではたったの $2.99 だ。Atlantic Monthly は毎号 $2.49 で、これは米国では $1.25 だ。

国際ローミング料金 -- 最後にもう一つ不満がある。米国の Kindle ユーザーは多くの古典のタイトルを(パブリックドメインの本という形で)Amazon から無料で入手できる。これらの同じ本が、ここヨーロッパでは $2.30 で販売される。そう、売られるのだ。

興味深いことに、国際版の Kindle を使う場合、米国の顧客も米国外でローミングする際にはダウンロードごとに $1.99 を払わなければならない。新聞や雑誌、それにブログの購読でも、ローミングによるアクセスには毎週 $4.99 かかる。(外国によく旅行する米国ユーザーは、外国で Kindle コンテンツにアクセスを得るために国際版の Kindle を購入することができる。米国専用の Kindle では、米国の外にいて新しいコンテンツをダウンロードすることはできない。)ファイルを1つダウンロードするために $1.99 を払うというのはちょっと高いと思う。セルラーデータの料金というよりもテキストメッセージングの料金の方に近い。

インターネット上で見かけた臆測によれば、この「ローミング料金」というのは Amazon が AT&T の全世界データネットワークを使うために AT&T に支払っているものであって、その機器が動作している国における個々の携帯電話ネットワークを使うためのものではないのではないかという。(従来、Amazon は米国内で Sprint のみを使ってきたが、AT&T の広報担当者が Ars Technica に語ったところによれば国際版の Kindle は米国内で AT&T のネットワークも使うという。AT&T と Sprint は互いに非互換なセルラー規格を使っている。AT&T は GSM を使っていて、こちらの方が全世界的に優勢な規格だ。)

このローミング料金が、さきほど述べた本の価格の違いを説明しているのかもしれない。本の基準価格 $9.99 を考えて、そこに $1.99 のローミング料金とフランスの 19.6 パーセント VAT を加えれば $14.22 となり、大多数の本の $13.79 という価格をそれほど上回らない。それに、$1.99 にその 19.6 パーセントを加えれば $2.38 となり、ちょうどパブリックドメインのタイトルの価格と同じくらいになる。

確かにこのローミング料金で本の価格が高いことを説明できるかもしれないし、「無料の」本が米国の外でダウンロードすれば無料でなくなることも説明できるかもしれないが、国際的な Kindle 購入者がタイトル1冊ごとに隠れた配送料金を支払わなければならないというのはやはりおかしなことだと思う。結局のところ、Kindle ブックはコンピュータにダウンロードしてから USB でこの機器に転送してくることもできるのだ。だから、そのようなタイトルを入手するにはパブリックドメインの本を Kindle 互換なフォーマットで持っているサイトから手に入れるのがベストな方法だろう。Amazon としては、コンピュータへのダウンロードについてはもっと安い価格を提供し、ワイヤレスでのショッピングの場合のみフル価格を払わせるようにすべきではないだろうか。

電子ブックの未来 -- 電子ブックこそが本の未来だ(完全に取って代わることはないが、多くの人たちのために木を切って作った本に代わるものとなる)と私は確信しているし、Amazon がついに他の国々で使えるような Kindle をリリースするところまでこぎつけてくれたのは喜ばしいことだと思う。

私は iPod touch の上で Kindle アプリを使ってきて、その使用感にとても満足している。(私の実体験によるレビューさらなる考察をブログ記事でお読み頂きたい。)それでも、私は今回の国際版の Kindle を非常に魅力的だと思うし、思い切って買ってしまうかもしれない。

けれども、ちょっと気が進まないところもある。なぜなら、コンテンツの価格が高過ぎると思うし、それに Apple のタブレット機がもうじき出るのではないかという噂を聞くにつれ、そうなれば Kindle を長く使い続けることはなかろうとも思うからだ。結局のところ、もしも Apple のタブレット機が使うのが iPhone OS かそれに似たものだとしたら、Amazon の Kindle アプリが走るだろうし、そうなれば使用感は Kindle 機器自体よりも良いものになる可能性が高いと思える。あるいは、ひょっとしたら Apple が iTunes Store を使って独自の電子ブック配布システムを計画しているのかもしれない。楽しみに、成り行きを見守りたいと思う。

[Kirk McElhearn は本が大好きだ。彼はつい最近、お気に入りの作家Henry James についてのウェブサイトを新たに開いたばかりだ。]

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古い Apple プリンタを Snow Leopard で動かす

  文: Christian Voelker <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

あまり知られていない Snow Leopard での変更の一つが、古い AppleTalk ネットワーキングプロトコルの削除だ。Apple はこれをもう何年も前から非推奨としてきた。けれども、大多数のネットワーキング機器が他の分野での改善を重視するためにずっと以前から AppleTalk のサポートを止めてきたとしても、一つだけ、AppleTalk がずっと使い続けられてきた分野がある。プリンタだ。

もちろん、新しいプリンタは違う。けれども古いプリンタの多くは(1990 年代に主力として働いてきたものたちは)今でも元気に活躍し続けている。交換用のトナーカートリッジを見つけるのが難しくなりつつあるのは確かだし、カートリッジを買う必要に迫られれば今ではかなり高価になっているけれど、それでもプリンタがきちんと働いてくれて、必要を満たしてくれるのならば(特にあまり大量の印刷は必要ないならば)プリンタを廃棄するのを正当化するのは難しいものだ。

私が大切にしている LaserWriter Pro 630 も、まさにそういう状態だった。このプリンタを私は 1994 年からずっと使っている。ところが、Snow Leopard にアップグレードしたとたんに、印刷することができなくなった。それでも相当の努力を積み重ねた結果、私はこれをオンラインに戻すことに成功し、Snow Leopard で使うことができるようになった。他の古い Apple プリンタを持っている人たちが私と全く同じ方法を使うことはできないかもしれないが、私の基本的なやり方が他の人たちにも正しい方向に目を向けられるお手伝いとなれば嬉しい。

奇妙なことに、Apple は Snow Leopard が LaserWriter Pro 630 に印刷するために必要なソフトウェアを含んでいると断言している。けれども、プリンタと交信するために必要な AppleTalk サポートが除去されたことをどうやって回避するのかの方法は Apple から示されていない。

基本に戻る -- 私はまず、LaserWriter Pro 630 が何で構成されているかを考えることから始めた。含まれているのは Canon EX プリントエンジンと、ハードウェア PostScript Level 2 インタープリタ、それに、移送の手段として EtherTalk のみが使えるプリントサーバだ。(EtherTalk は Ethernet 上の AppleTalk であって、今回のシナリオの中で一番弱点の部分だ。)

この LaserWriter Pro 630 はグラフィカルなウェブブラウザよりも前の時代のものなので、ウェブによる設定や Internet Printing Protocol (IPP) などは明らかに選択肢に入っていなかった。また、移送レイヤーとしての TCP でさえ利用できる見込みはなかった。そこで、このプリンタの Ethernet ポートとかその背後にあるコミュニケーション機能とかは明らかに一切無視するしかなかった。でも、ならばいったいどうやって私の Mac が PostScript インタープリタやプリントエンジンにデータを通信することができるのだろうか?

これらの古いプリンタは Mac 以外のコンピュータとともに働かねばならなかったので(また、他のクロスプラットフォームのプリンタメーカーが使うハードウェアベースであることも多かったので)多くの場合他の種類のコミュニケーションポートも持っていた。この私のプリンタの場合には、Ethernet 以外に4つの可能性があった:

パラレル (並行) ポートは交わるのか? -- 私は手始めに、eBay で "parallel print server" を検索して、広く使われていたが現在は生産終了となっている D-Link DP-301+ を購入した。オンラインで説明を読むと良いもののように聞こえるが、この機種には注意が必要だ。このような小型のパラレルプリントサーバはすべてそうなのだが、重大なデザイン上の欠陥が一つある。外付けのリセットボタンが付いていないので、いったん設定を済ませれば(中古のユニットではたいてい設定をやり直さなくてはならない)内蔵のウェブインターフェイスを使わずにリセットすることができない。この機種の場合、機器の IP アドレスを知るのが難しいだけでなく、正しいパスワードがなければアクセスができなかった。残念なことに、売り主はパスワードを知らなかった。設定したのは彼の昔の友人だったからだ。そこで私は謹んでご返却申し上げた。

さらにいろいろ探し回ったあげく、私は新しい Netgear Mini Print Server PS101 パラレルプリントサーバを購入した。これもよくある機種で、D-Link ユニットよりさらに小型、その上私の好きな会社の製品だ。こちらの方が少し高価だったが、設定はこちらの方がやさしかった。もしもこの機器にパスワードが設定されていたならばリセットに必要な Windows ソフトウェアを走らせるために Windows マシン(あるいは VMware Fusion か Parallels Desktop でもいいかもしれない)が必要なところだったが、少なくとも選択肢があるのは事実だ。

この Netgear PS101 は DHCP 経由で IP アドレスを得ているので、LAN 上で Angry IP Scanner ユーティリティを使って機器のスキャンをすれば調べられる。(まず PS101 を繋ぐ前に一度スキャンしておき、繋いだあとにもう一度スキャンすれば、新しい機器がどれか分かる。)AirPort ベースステーションがあれば、AirPort Utility の DHCP Clients タブ (Advanced > Logs and Statistics > DHCP Clients) を使っても新しいクライアントが追加されたことをモニターできる。いったん PS101 が見つかれば、そのウェブインターフェイスにブラウザから接続できる。このウェブインターフェイスで設定できるものはあまりたくさんはない。とにかく、IP アドレスを見つけることが鍵だ。

さて、いったんこのプリントサーバの IP アドレスが分かれば、準備OKだ... と、私は思った。そこで私は Mac の Print & Fax 環境設定パネルを開き、新しいプリンタを追加する作業を始めようとした。でも、具体的に何を入力すればいいのだろうか? IP ボタンを選択するのはまあ明らかだったが、プロトコルはどれが正しいのか? デフォルトの LPD なのか? モダンな IPP か? プロプリエタリだが広くサポートされている Jetdirect か? Network Utility のポートスキャンを使って Netgear プリントサーバがポート 515 と 9100 を使っていることは分かり、手早く Google 検索をして 515 が LPD に、9100 が Jetdirect にそれぞれ使われていることは分かった。

そこで、これら両方のプロトコルにプリンタを追加してみたが、うまく行かなかった。どちらのプリンタ接続も Print & Fax 環境設定パネルに緑のランプが灯って表示されたが、LPD では1ページをプリントしてみたところ1分以上待たされてタイムアウトになってしまった。Jetdirect の方はもう少し有望そうで、たくさんのデタラメが印刷された。少なくとも、コミュニケーションが動作しているのは確かなようだ。

最初のうち、私は PostScript 3 コードが PostScript 2 プリンタに送られているのが問題なのではないかと思った。でも、結局それは問題ではなかった。私が見逃していたのは、このプリンタで設定すべき最後の一つの項目だった。パラレルポートと正しくコミュニケーションする方法をどうやって指定するかというところだ。これは、マニュアルを読むしかない。まるで、15 年前からずっと置いてあったマニュアルを初めて手にするかのように...

幸運にも、Apple は古い製品のマニュアルをオンラインで提供してくれている。私は LaserWriter Pro 630 のマニュアルを見つけてダウンロードしたが、これがすべての文字が Courier フォントで、スタイルもグラフィックスも一切なかった。つまらない美学にこだわる人間だと思われたくないので断わっておくが、問題は、私の必要としていた情報が Appendix C (page 60) の表の中にあって、この大量の等幅フォントの海をどうやって解釈するのか見極めるのに、ほとんど一時間もかかってしまったことだった。(行番号もなく、個々の設定項目が4行ずつを占めていて、それぞれの行が1つずつのコミュニケーション方法に対応しているので、私は個々の設定ごとに Parallel の行を調べて行かなければならなかった。)

LaserWriter Pro 630 の左後ろの一番上、他のコネクタの上側に、ごく小さなダイヤルがあって 10 個の設定を提供している。残念ながら、LaserWriter Utility アプリケーションは Mac OS X の下ではもはや提供されない。それさえあれば、プリンタの電源を入れた時に設定ページを印刷するように設定することができて、そのページに現在のコミュニケーション設定が表示されていたはずなのだが。

けれども、Appendix C の表を読み進めていくうちに、必要としていたヒントが見つかった。このダイヤルは初めは 0 に設定されていて、これが "Normal" 接続と "PostScript" Control Protocol Mode に対応しているのだった。私はこれらの値がパラレルポートではうまく行かないことを知っていた。設定 2, 4, 5, 6, 7 も同様に排除された。設定 1 と 3 は "Raw" 接続と "HP PCL 4" Control Protocol Mode を示し、設定 9 は "BSP" 接続と "PostScript" Control Protocol Mode を示していた。

私がこのプリンタにさせたいのは PostScript の解釈であって HP の PCL (Printer Command Language) ではなかったので、接続タイプ "BSP" というのが何を意味するのか全然分からなかったが私は設定 9 を選ぶことにした。その設定でテストページを印刷してみた。すると、動いた! 私の LaserWriter Pro 630 は、Snow Leopard の餌食となることなく、生けるこの世に生還したのだった!

さらに嬉しいことが起こった。私の FritzBox Wi-Fi ゲートウェイはネットワークの Wi-Fi 部分と Ethernet 部分の間で AppleTalk のルートを通してくれないので、これまで私は MacBook から印刷することが(MacBook にケーブルを差し込んで Ethernet ネットワークに繋がない限り)できなかった。ところが、今度の新しいセットアップは AppleTalk を使っていないので、これからは Ethernet ケーブルなしに、私の MacBook からワイヤレスで印刷できる。

他のプリンタではどうか -- LaserWriter Pro 630 をお持ちの方ならば私の方法でうまく行くことは確かだと思うが、他の古い Apple プリンタではパラレルポートが付いていなかったり、あるいはパラレルポートの接続モードを変える方法が全然違っていたりすることもあるだろう。

けれども、もしもあなたのプリンタにパラレルポートが付いていて、元のマニュアルを熟読して接続の設定が(LaserWriter Utility でなく)ハードウェアスイッチで切り替えられることが分かった場合には、Netgear PS101 プリントサーバを使ってみて頂きたい。また、他にもパラレルプリントサーバや、さらにはシリアルプリントサーバもたくさんあって、いくつかは Wi-Fi 付きのものもあるので、どれかうまく行くものがあるかもしれない。

Snow Leopard の下で理論的にはサポートされているはずの Apple プリンタをどうすれば使い続けられるのか、ぜひとも Apple にはもっとヒントを与えて欲しいものだと思う。Ethernet からパラレルあるいはシリアルに繋ぐプリントサーバの推奨と、接続タイプの Normal, Raw, BSP がそれぞれ何を意味するのかの説明があれば、大いに助けになるだろう。

けれども、彼らがそうしてくれない限り(「そうしてくれるまでは」とは言わないでおこう)私が LaserWriter Pro 630 を Snow Leopard 下で動くように試みたこの体験談が他の人たちのために参考となって、完璧に動作できる古いプリンタが今後も元気に活躍し続けるようになれば、と心から願っている。

[Christian Voelker はドイツのハンブルグにある広告会社でネットワーク管理者として働いており、専門は DuraSpace と DSpace に基づくアーカイブ保管の諸方法だ。彼が長年あたためてきたプロジェクトは、ハンブルグ市民のための地域の歴史アーカイブだ。]

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Mac OS X の隠れた単一アプリケーションモードを暴く

  文: Lewis Butler <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

遺跡の発掘から Mac OS X の暗い歴史へと戻って、私は一つの機能を掘り起こした。それは、一つか二つのものに昔よりずっと簡単に集中することが出来るようにすることで、あなたがアプリケーションと関わるやり方を変えてくれる可能性を持つ。

昔 1999年に、Steve Jobs が初めて Mac OS X で新しい Finder をお披露目した時、それは単一アプリケーションモードで走っていて、一つのアプリケーションから別なものへと切り替わる時最初のアプリケーションを最小化するのである (これは Genie 効果の最初のデモであった)。最初はこれがデフォルトの動きとして意図されていたのだが、あまりにも評判が悪く Apple は手早くデフォルトをスクリーン上に複数のアプリケーションを一度に表示するお馴染みのマルチアプリケーションモードに変更してしまった。

Mac OS X のマルチアプリケーションモードは Mac OS の以前のバージョンが動作するやり方から異なっていて、すべての開かれているウィンドウをそれがどのアプリケーションに属しているかに関係なく交互に配置していた。これは長年の Mac ユーザーの多くをイライラさせた機能の一つであった。

Mac OS X 10.6 Snow Leopard では、Apple は Dock に対して大幅な改良を施し、そこには Expose との統合の改善やウィンドウを見えない程に小さくする事などが含まれる。結果として、Dock をはじめてまじめに使おうとし始めた人達は、Dock にある一つのアイコンをクリックするとその全てのウィンドウは前面に出てくるのを経験している。勿論、このインターフェースの動きは Snow Leopard で新しくなったわけではないが、これは Apple がユーザーには一度に一つのアプリケーションに集中して欲しいという願望を諦めていない一例でもある。

単一アプリケーションモードは、当然ながら iPhone が動作するやり方であり、そして Mac 上では殆ど全ての Apple アプリケーションが - Mail, iTunes, そして iPhoto 等である - 単一ウィンドウに依存していて、それはきわめて容易に全画面を支配することになる。一つのアプリケーションが二つ目のウィンドウを必要とする時、例えばキーワードや iPhoto で編集するために、それは通常はパレットでありアプリケーションが前面にいない時は隠れてしまう。

しかしこれには先がある。昔から Mac OS X のおぞましい奥深くに潜んでいた小さなコマンドがあり、これは単一アプリケーションモードを呼び戻せる。(どうぞ試してみて下さい - 簡単に元に戻せます。)

defaults write com.apple.dock single-app -bool true

単一アプリケーションモードを生かすには、次の二番目のコマンドで Dock を再起動させなければならない。

killall Dock

その通り、Mac OS X のリリース前バージョンにあったオリジナルの単一アプリケーションモードはまだ存在しているのである。これは常々コンピュータの達人ではない人々のための簡単なオプションとして考えられていたものだが、パワーユーザーにとっても面白いオプションの一つであることが分かった。

ここで覚えておかなければならない一番大切なことは、単一アプリケーションモードは Dock としかつながっていないことである。これが何を意味するかといえば、Dock の中で一つのアプリケーションをクリックすると、直ちに他の全てのアプリケーションを隠してしまい、その中には Finder も含まれる。

しかしながら、他の方法でアプリケーションを切り替えると、見えている他のアプリケーションのウィンドウをクリックするとか、Command-Tab のアプリケーション切り替えとかで、Mac OS X の通常のマルチアプリケーションの方も戻って来て、隠れているものは何も無くなる。

この様にしてアプリケーション間で切替をする方法を混ぜ合わせることが出来る。Dock で Mail をクリック、それから Command-Tab を使って Safari に切り替える、そうするとスクリーン上には Mail と Safari が表示され、それ以外は何も無い。もし後で Safari を再び隠したいという時は、Mail の Dock アイコンをクリックする (或いは単純に Mail のウィンドウを Option クリックする)。

このことを少し考えてみて欲しい、そうすれば可能性が見えてくると思う。単一アプリケーションモードを生かすということは見えるアプリケーションのカスタムリストを手早くそして簡単に作れる事を意味し、しかもそのリストは動的である。別の言い方をすれば、Spaces を使ってやることの多くを実行できる、しかもスペース間での切替をしたりどのアプリケーションはどのスペースに表すかを決めたりすることも無しにである。

この単一アプリケーションモードの主たる利点は、先に述べたように Dock 上にある一つのアプリケーションをクリックするとそのアプリケーションのウィンドウ全てを前面に持ってくることである。だから、私が Dock 上にある Terminal のアイコンをクリックすると、他のアプリケーションは即座に消え去るだけでなく、私のローカルシェルのウィンドウ、私のメールサーバー上のリモートシェルのウィンドウ、そして私のプライマリ DNS サーバー上のリモートシェルをすべて見ることが出来る。これらのウィンドウはスクリーン上でまさに私のいて欲しい所に配置され、視野をうるさくする他のウィンドウも一切無い。しかし、もし私が同時に Web ページを参照したい場合は、私は単に Command-Tab を使って Safari を呼び出すだけである、そうするとそのウィンドウ _と_ Terminal のウィンドウを一つのスクリーン上で全部見られる。

Spaces を使った場合、私は全ての Web ブラウザウィンドウを一つのスペースに保持するが、これを実現するためには多くの行ったり来たりをしたり、或いはブラウザウィンドウを一時的に他のスペースに移したりしなければならない。単一アプリケーションモードを使う時は、私は前面に欲しいアプリケーションは見える様にしておきそしてその他の全ては見えない様に隠してしまう。

一番の欠点は単一アプリケーションモードは Expose とうまく連携しないことである。Expose を生かすと、見えているアプリケーション用のウィンドウしか表示しない。私の望みは最小化ウィンドウとして隠されたアプリケーションをも扱うことだが、残念ながらそうはうまくことが運ばないようである。

私のとってのもう一つの問題は全画面ビデオとの関係である。私が二つ目のモニター上で VLC か QuickTime Player で何かを見ていると、そのビデオは視野から隠れてしまう。驚くべきことではないだろうが、これは私の欲するものではなく、全画面ビデオは何が起ころうが全画面のまま残るべきだというのが私の考えである。もしあなたが、私の様に他の仕事しながらビデオを見るのが好きというのであれば、知っておくべきことである。

私が単一アプリケーションモードを使い始めて数日の間にまだ遭遇していない他の問題もあるかもしれないが、通常のマルチアプリケーションモードに戻るのは簡単である。この最初のコマンドを Terminal に貼り付けそして二番目のコマンドで Dock を再起動するだけである。

defaults delete com.apple.dock single-app
killall Dock

結局、ここ数日で気付いた主なことは、関係の無いアプリケーション全てを手早く隠して今必要なもの一つ或いは二つだけを表示することが出来る時の方が、私にとって一つのことに集中しやすいということである。私は Spaces の大ファンであるが、Spaces よりもこちらの方が私には適していると思う。

[Lewis Butler は長年の Unix システム管理者で、ポストマスターで、そして Mac マニアでもある。彼は多くのメーリングリストに "LuKreme" の名前でしばしば寄稿している。]

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TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、12-Oct-09

  文: Doug McLean <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple の Epson Printer Drivers 2.1 for Mac OS X 10.6.1 は、Snow Leopard 用に最新の Epson プリンタとスキャナソフトウェアを提供する。Snow Leopard のサポートするプリンタのフルリストは Apple のウェブサイトにある。このアップデートはソフトウェア・アップデートから、あるいは Apple のサポートダウンロードページから入手できる。(無料、288.8 MB)

Apple の iPhone OS 3.1.2 は iPhone および iPod touch 用のオペレーティングシステムソフトウェアのメンテナンスおよび安定性のためのアップデートだ。このアップデートではいくつかの問題点が修正された。主なものとしては、iPhone がスリープから復帰できなかった問題、セルラーネットワークのサービスが妨げられて iPhone を再起動するまで直らなかった問題、ビデオストリーミングで時々起こることのあったクラッシュのバグなどがある。このアップデートは iTunes 経由でのみ入手できる。(無料、306.2 MB)

Nisus Software の Nisus Writer Pro 1.3.1 は、次第にパワフルになるこのワードプロセッサの、互換性およびメンテナンス用のアップデートだ。この最新バージョンでは Snow Leopard との間の多数の互換性の問題点に対処が施された。主なものとしては書類ウィンドウがリサイズできなかった問題、.doc ファイルが読み込めなかった問題、スペルチェッカーのパフォーマンスが悪かった問題などがある。また、テキストを空のテキスト領域にドラッグ&ドロップした際の問題や、フランス語ローカライズ版で Page Setup ダイアログが引き起こしていたクラッシュのバグ、デフォルトの先頭タブ位置が変更できなかった問題、クロップあるいはリサイズを受けた画像を含むファイルが HTML として書き出された場合に画像が反転されてしまった問題なども修正された。変更点のフルリストは Nisus Software のウェブサイトにある。(新規購入 $79、アップデート無料、133 MB)

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12-Oct-09 号のおまけ話

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

新しいプロセッサがカメラの GPS サポート改善を約束 -- ジオタグ(画像に位置座標を添付すること)用にデジタルカメラに GPS を統合させる目標は、これまであまりうまく達成されてこなかった。カメラは一般に高速で信号を受信することに適しておらず、あらかじめコンパイルされた衛星の位置情報リストをアップデートするのにも向いていなかったからだ。チップメーカー CSR から新たに出たモジュールで、今後はより良い結果が提供されるかもしれない。(Glenn Fleishman, 2009-10-09)

The Best Camera が iPhone 写真を伝道 -- プロの写真家 Chase Jarvis が、最近新しい iPhone 用フォトアプリ、The Best Camera をリリースした。これで写真を撮って、効果を施し、共有サイトに写真をアップロードするまで、すべてが一挙にできる。(Doug McLean, 2009-10-09)

タグよ、君は 2D になった! -- ふさわしいソフトウェアを使えば、長方形や点が縦横に並んだマトリックス(QRコード)が URL やテキスト、あるいはアクションなどに変わる。TidBITS も提供する、2D バーコードの世界へようこそ! (Glenn Fleishman, 2009-10-08)

iiPod nano、ラジオのインターフェイスと機能で不満だらけ -- iPod nano の FM ラジオチューニングに対する Glenn の反感は、同僚たちには驚きをもって迎えられたようだ。ラジオストリームに埋め込まれたデータを活用しなかったため、Apple が提供するのはよくありがちなイライラの体験となる。もっと良いものにもできたはずだというのに。(Glenn Fleishman, 2009-10-12)

(妻の) iPhone を探す -- Tonya はこの夏 100 マイル (160 km) 自転車レースに向けてトレーニングを重ねていたが、Adam は Find My iPhone (iPhone を探す) 機能を使って彼女の位置をモニターしていた。これはプライバシーの侵害か? いや、家から遠く離れた場所で走っている彼女が心細く感じないようにするためにしていたのだ。(Adam C. Engst, 2009-10-12)


ExtraBITS、12-Oct-09 版

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Bruce Tognazzini が iPhone のホームスクリーンを見直す -- ヒューマンインターフェイスのデザイナー、Bruce Tognazzini が "Ask Tog" コラムで、多くの人たちが非常に多数のアプリを持つようになった状況に滑らかに対応できるようなものへと iPhone のホームスクリーンをデザインし直すにはどうすべきか、提案を述べる。彼のアイデアは良いものだが、興味深いのはアプリからスクロール情報を表示できるようなホームスクリーンのオプションを iPhone が持つべきだという提案だ。(リンク投稿 2009-10-09)

iPhone、スマートフォンの調査で最高点を獲得 -- 調査会社の J.D. Power and Associates がビジネスおよび個人双方のオーナーたちを対象に数多くの利用要因をウェイト化して評価した調査で、Apple が最高ランクを獲得した。1,000 点満点中個人用では 811 点、ビジネス用では 803 点という結果だった。驚きの結果だったのは、LG が BlackBerry の RIM を抜いて個人用で2位を占めたことだ。(776 点対 759 点だ。)アンケートに応えたスマートフォンユーザーは 3,200 人を超えたという。(リンク投稿 2009-10-08)

Steve Jobs プレゼンテーションの秘密 -- CIO.com が Carmine Gallo をインタビューした。“The Presentation Secrets of Steve Jobs: How to Be Insanely Great in Front of Any Audience”(Steve Jobs プレゼンテーションの秘密: どんな聴衆の前でもとてつもなく素晴らしくある方法) の著者だ。私たちはまだこの本を読んでいないが、インタビューの中にはより良いプレゼンテーションをするための素晴らしいヒントや、なぜ Apple のプレゼンテーションがうまく行くのかを理解するためのポイントが数多くちりばめられている。(リンク投稿 2009-10-08)

セル業界、充電用 USB とオーディオ用 3.5mm ジャックを支持 -- 米国セル業界の団体 CTIA が、ハンドセット上の充電・同期用ポートとオーディオポートの規格化を公式に支持すると発表した。ハンドセットメーカー各社は今後、データ転送と充電のためには micro-A または micro-AB の USB フォーマット(AB は micro-A と micro-B のプラグを受け付ける)を、そしてヘッドセット、イヤーバッド、マイク用には 3.5mm オーディオジャックを使用するよう要請される。これは、さる 2009 年 7 月に世界中のキャリアの大多数と数多くのメジャーなハンドセットメーカー各社を代表する業界団体である GSMA が共通の USB ジャックの使用に向けて努力すると誓ったことに応えるものである。(リンク投稿 2009-10-06)

Apple、環境政策をめぐり米国商工会議所を離脱 -- New York Times の Green Inc. ブログによれば、温室効果ガス削減をめざした米国環境保護庁の努力に対して米国商工会議所が反対の意見を表明したことを受けて Apple が同会議所を離脱したという。同会議所の意向に異議を唱えているのは Apple だけではない。三つの大規模事業も最近同様に離脱しており、また Nike も同じ理由で会議所の理事を辞任している。(リンク投稿 2009-10-06)

ソフトウェアは販売されたかライセンスされたか? 法廷は販売と判断 -- 非常に興味深い判決があった。Autodesk の高価な CAD ソフトウェアの正当なライセンスを再販売していた男の行為が、米国において中古の書籍や音楽の販売を許す権利消尽の原則の下に合法であるという判断だ。判決では、Autodesk はそのソフトウェアをライセンスしていると述べているものの、そのライセンスは事実上販売として取り扱われているので、このソフトウェアを再販売することは可能であるとされた。多くのソフトウェアメーカーは販売を制限または禁止しているが、これが今後は成り立たなくなる可能性がある。Autodesk はこの判決を不服として上訴する予定だ。(リンク投稿 2009-10-05)


TidBITS Talk/12-Oct-09 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iPhone 用録音アプリ -- 音声を録音する iPhone アプリで、録音したファ イルを彼の秘書が簡単に開いて書き起こすことができる、良いものはないかと 探している読者がいる。(メッセージ数 9)

Snow Leopard 下で FTP の問題 -- Snow Leopard の下で FTP サーバを設定しようとして困難に遭遇している人は他にいませんか? (メッセージ数 3)

Snow Leopard にますますつのる苛立ち -- これらの Snow Leopard の問題はハードディスクが悪いことに起因しているのだろうか? 読者たちが意見を交換する。(メッセージ数 3)

iZard -- いったいなぜ高いお金を出して iPhone ホルダーを買う必要があるのか? 紙で作ることも、おもちゃのトカゲで代用することもできるのに。(メッセージ数 6)

Retrospect に代わるもの? -- フォルダの同期をしたいだけの読者たちには、Retrospect は大げさ過ぎる。他の選択肢の提案がいろいろと寄せられる。(メッセージ数 16)

AT&T の国際ローミング料金 -- 外国に旅行する予定があって、あなたの携帯電話プランの音声とデータそれぞれのローミング料金を検討したことがないなら、ぜひこのスレッドを一読しておくべきだ。(メッセージ数 13)

ソフトウェアを見つける -- Apple はあまり知られていなかった Macintosh Products Guide を廃止してしまった。Apple Downloads ページは、これの代わりになるだろうか? (メッセージ数 3)

iPhone が故障 -- 旅行中に iPhone が死んでしまった。ひょっとしたら、ハードリセットが蘇生の鍵になるかもしれない。(メッセージ数 4)


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