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#1425: 新型 MacBook Pro、10 周年を迎えた App Store の影響力、スマート体重計 Eufy BodySense

今週の大ニュースは Apple が新型の MacBook Pro をリリースしたことだ。パフォーマンスを高速化し、RAM の上限を高くし、SSD のストレージ量を増やし、その他の改良もあって、Adam Engst が詳しくお伝えする。App Store が 10 周年を迎えた。Apple は自らを祝っているが、Adam がその良いところと悪いところを秤にかける。そう、秤といえば、今週は Josh Centers がスマート体重計 Eufy BodySense をレビューしつつ自らをじっと見つめる。今週注目すべき Mac 用アプリのリリースは、セキュリティアップデート 2018-004 (Sierra および El Capitan)、iTunes 12.8、Safari 11.1.2、Farrago 1.2、Keyboard Maestro 8.2.2、Luminar 2018 1.3、Bookends 13.1.1、BBEdit 12.1.5 だ。

Adam Engst  訳: 清水 史彦  

Apple、MacBook Pro を高速 CPU, RAM 上限拡大, True Tone Display, T2 チップで更新

教育向けの注文の季節にぎりぎり間に合うように、Apple は Touch Bar を備えた MacBook Pro の製品ラインアップを更新した。更新されたラインアップは、内部でさまざまな強化がなされている。すなわち、第 8 世代 Intel プロセッサ、より大容量となった RAM の上限、そして、より大容量の SSD だ。全機種が現行価格を維持しながら、これらは、このラップトップをさらに強力にしている。また、新たに歓迎すべきものはTrue Tone ディスプレイ、マイナーチェンジしたバタフライ・キーボード、そして、Apple T2 チップだ。

Photo of MacBook Pro models

Thunderbolt 3 ポートを 2 つしか持たず、Touch Bar の代わりにファンクション・キーを有する 13 インチの MacBook Pro は更新されていない。同様に、MacBook および MacBook Air の製品ラインアップも更新されていない。

CPU

13 インチ、および、15 インチの MacBook Pro のモデルの両者において、Apple は CPU コアを追加しようとしている。以前、13 インチの MacBook Proでは、3 種類の異なる速度の Intel Core i5 および i7 チップが提供され、そのどれもがデュアルコアであった。今では、13 インチのモデルは、2.3 GHzクアッドコア Intel Core i5 に始まり、そして、一つ飛び越えて 2.7 GHzクアッドコア Intel Core i7 も提供 (300 ドルの追加で) している。新しいチップは、より高速な Turbo Boost レートや、性能を強化した 128 MB のeDRAM (混載 DRAM) を特徴としてもいる。これは、従来の倍の容量だ。

同様に、15 インチの MacBook Pro の場合、Apple は、クアッドコアIntel Core i7 に代えて、9 MB の共有 L3 キャッシュを有し、2.2 GHzおよび 2.6 GHz で動作する基本となる 6-コア・モデルで置き換えた。最上位の 15 インチモデルは、今では 12 MB の共有 L3 キャッシュを有する2.9 GHz Intel Core i9 プロセッサを装備している。この i9 プロセッサは安くはない。2.2 GHz の i7 に対して、400 ドルのプレミアムとなる。

間違いなく、誰かがこれらの新型 MacBook Pro をまもなくベンチマークにかけるであろうが、Apple は、15 インチ・モデルについては最大 70%、13 インチ・モデルについては最大 100% の性能向上があると主張している。

RAM

MacBook Pro の製品ラインアップに関する共通の不満は、16 GB の RAM の上限に関してであった。この上限は、13 インチの MacBook Pro については依然として変わっていない。すなわち、デフォルトでは 8 GB で、200 ドルの追加の支払いで、構成を 16 GB に変えることができる。一方、新しい15 インチ・モデルは、依然として 16 GB で出荷されるが、今では、400 ドルの追加の支払いによって、32 GB まで拡張することができる。

さらに、新型の 13 インチ・モデルと旧型の 15 インチ・モデルは、2133 MHzの DDR3 RAM に頼っているが、新型の 15 インチ・モデルは、2400 MHz DDR4 RAM を使用する。DDR4 RAM は、伝えられるところによれば、より高速で、消費電力も少ない (興味深いことに、DDR4 メモリは、2015 年初頭から上市されている。なので、これが Mac の世界に現れるのに、かなり時間がかかったということだ)。

ストレージ

あなたがより高速な CPU や、より大容量の RAM のために、値段が 400 ドル上がることに少々身がすくんだのであれば、ストレージのオプションを見る際には、心の準備をしっかりしていただきたい。13 インチの MacBook Proは、以前は 1 TB の SSD が最上位のオプションであった。だが、今では、256 GB のデフォルトのストレージを、2 TB (1400 ドル) に増やすことができるし、あるいは、512 GB (200 ドル) もしくは 1 TB (600 ドル) にとどまってもよい。

15 インチ・モデルについては、最大容量は、今では 4 TB で、このためにはべらぼうな 3400 ドルを払うことになる。その他のオプションとして、512 GB (200 ドル)、1 TB (600 ドル)、そして、2 TB (1400 ドル) がある。

グラフィックス

13 インチの MacBook Pro は、引き続き統合型グラフィックスに頼っているが、Intel Iris Plus Graphics 650 から 655 に移行している。

15 インチ・モデル (節電の統合型グラフィックスと、より高速な単体グラフィックスを切り替えることができる) も、マイナー・アップグレードが行われている。15 インチ MacBook Pro のローエンドの構成は、Intel HD Graphics 630 から Intel UHD Graphics 630 へ、そして、2 GB のGDDR5 メモリが付いた Radeon Pro 555 から 4 GB の GDDR5 メモリが付いたRadeon Pro 555X へと移行している。

グラフィックスの性能をさらに上げるために、4 GB の GDDR5 メモリが付いたRadeon Pro 560X を選ぶこともできる。これは、ほんの 100 ドル値段が上がるだけだ。

キーボード、True Tone および Apple T2

TidBITS Talk における最初の疑問の一つは、物議を醸しているバタフライキーボードに関してであった。このキーボードは、Apple が 2016 年に導入し、頻繁な不具合に対処するため、既に一度見直しを行なっている。つい最近、Apple は、動かなくなったキーや、反応しないキーを無償で修理するサービス・プログラムを開始した ("Apple、バタフライスイッチキーボード用サービスプログラムを発表" 2018 年 6 月 25 日参照)。Appleは、バタフライキーボードがもっと静かになるように、再度、調整を行ったようだ。だが、このキーボードの感触が嫌いな人たちの不満に、この調整が対処するかどうかは不明である。

True Tone はそれほど物議を醸してはいない。最初に iPad Pro に導入され、2017 年の iPhone のモデルに加えられた。True Tone は、環境光に基づいて画面のホワイトバランスを調整する。その目的は、異なる照明条件下で画面を見ることをもっと快適にすることだ。色を正確に合わせようとするデザイナーにとって、これは問題かもしれないが、概して、私たちは不満を耳にしてはいない。

最後に、Apple T2 チップは、かなり興味深い。これは、従来機種のT1 チップの後継であり、iMac Pro でデビューした。そして、これは、Touch Bar、Apple Pay、その他のようなシステム機能を管理する内蔵された制御システムである。Ars Technica が iMac Pro のレビューで、これについて説明した。MacBook Pro の場合、これは、安全な起動という機能を手助けし、ファイルを迅速に暗号化し、そして、たぶん最も注目すべきこととして、キーを押さなくてもあなたが自分の Mac に話しかけられるようにHey Siri を有効化する。

他のスペック

Apple によるバッテリー持続時間の見積もりは 10 時間の使用であり、これは従来と同じだ。だがそうした事実にも関わらず、新型 13 インチ・モデルは58.0 Wh のバッテリーを装備しており、従来機種における 49.2 Wh のバッテリーから容量が増大している。同様に、15 インチ・モデルは、今では、83.6 Wh のバッテリーに頼っており、従来機種における 76.0 Whから容量が増大しているものの、やはり、バッテリー持続時間の見積もりは従来と同じだ。おそらく、性能向上は、消費電力の増大と引き換えということなのであろう。

また、更新された機種の全てにおいて新しいのは、Bluetooth 4.2 に加えて、Bluetooth 5.0 のサポートだ。これは、実のところ、みなさんが考える以上に有用かもしれない。と言うのは、Bluetooth 5.0 では、データ転送速度が2 倍になり、電波の到達範囲が 4 倍になり、そして、パケット・サイズが8 倍になるからだ。高速なデータ転送速度と、より大きなパケット・サイズは、スループットとトータル・パフォーマンスを改善するはずだ。私たちは、次世代の Apple Watch の機種において、より高速な同期のために、Bluetooth 5.0 が登場してほしいと願っている。だが、最も重要な違いは、電波の到達範囲かもしれない。Bluetooth 4.2 では、およそ 50 m という制限があるが、Bluetooth 5.0 では、最大 200 m まで動作するはずだ。これは、遮る物が無い時の距離なので、屋内では到達距離はずっと短くなるであろう。だが、このことは、Bluetooth 5.0 のデバイスが、ただ一部屋ではなく、家中で動作するであろうということを意味する。到達距離の増大は、データ転送速度を落とすことによって達成されている。

MacBook Pro の機種における他のスペックの多くは、従来と同様だ。すなわち、4 つの Thunderbolt 3 ポート、802.11ac Wi-Fi、720p のFaceTime カメラ、ステレオ・スピーカー、3 つのマイクロフォン、そして、3.5 mm のヘッドホン・ジャックだ。

価格と入手可能性

エントリー・レベルの 13 インチ MacBook Pro は 1799 ドルから、15 インチの機種は 2399 ドルから始まる。Apple は 15 インチの MacBook Pro については 2 機種を提供するが、実際に異なるのは、片や、2.2 GHz i7プロセッサを有し、これは、2.9 GHz i9 にのみアップグレードが可能であり、もう一方は、2.6 GHz i7 を有し、これは同じく 2.9 GHz i9 に交換可能という点だけだ。

あなたが大学生で Mac を買うつもりであれば、これら新型 MacBook Pro(あるいは iPad Pro) の一つを、Apple の 2018 Back to Schoolプロモーション期間中、無料の Beats ヘッドフォン付きで購入することができる。

13 インチと 15 インチのどちらの機種においても、シルバーとスペースグレイから選ぶことができる。そして、これらは、今、Apple のオンライン・ストア、Apple の小売店、そして、Apple 認定代理店で入手可能だ。

ほとんど常にそうであるように、こうした更新は全て歓迎すべきことだ。そして、あなたが MacBook Pro を買おうと思っていたのなら、今が好機だ。もし、過去 2 週間の間に、従来機種の一つを買ったのであれば、それを返却し、新機種を同じ価格で得ることができる。この 2 週間からちょっと外れている場合は、Apple Store の従業員に、あなたの事例を直接嘆願することが可能かもしれない。だからと言って、保証はないが。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

App Store 10 周年の影響力を考察する

iOS App Store が、10 周年を祝っている。Apple はそれを記念して、自らを称賛する記事を公表した。でもその語り口には、冒頭の一文を読んだだけでもカチンと来てしまう:

「Apple が 2008 年 7 月 10 日に 500 本のアプリケーションと共に App Store を登場させてから、それは文化的、社会的、経済的にも大きな現象を巻き起こし、人々の働きかた、遊びかた、出会いかた、旅の仕方など、様々な活動を大きく変えました。」

誤解しないで頂きたい。App Store が個々人にも開発者たちにも非常に大きなインパクトを及ぼしたことに疑問の余地はなく、実際この Apple の記事には数え切れないほどの証言が並んでいる。それにまた、Alan Oppenheimer が語るこんな話もある。彼は、AppleTalk の作成を手伝うところから始めて、その後インターネットサービスプロバイダを運営するようになり、それから開発の仕事に没頭して、その結果が Art Authority となって結実したという。

それにまた、数字を見るだけでも App Store は本当に物凄い。毎週、155 の国から 5 億人以上の人たちが App Store を訪れ、Apple によれば同社は過去十年間で総額 1 千億ドルを開発者たちに支払ったという。現在、2 千万人の Apple 開発者たちがいて、App Store には 2 百万以上のアプリがある。(他方、Statista によれば Google Play には 38 億のアプリがあるという。)

だから、確かに App Store は成功してきた。けれどもこれは単なる店舗であって、アプリを見つけにくいこと、開発者たちが支払う手数料が高いことなど、種々の問題点がある。それに、成功の大部分は純粋に iPhone や iPad の人気の高さによるものではないのか? (もちろん、iPhone の人気が App Store の後押しにどの程度よるものかと問うのは公平なことだろうが。) どんなハードウェアプラットフォームであっても、何億台ものデバイスを販売し、そこにソフトウェア開発キットがあれば、多数のアプリが生まれるのは必然だろう。

もう一つ、App Store の成功に不可欠であったのが、配布と販売に Apple が厳格な管理の力を及ぼしていることだ。iOS アプリを App Store 以外で販売したり、Apple のガイドラインに従わないアプリを配布したりするには Cydia によるしかなく、それには jailbreak したデバイスが必要となる。言うまでもなく jailbreak はセキュリティ脆弱性に依存して働くものなので、Apple はそれをできる限り困難なものにしようと努力している。結果として、iOS アプリについては App Store がほぼ完全な独占を達成している。ただし良い面を見れば、ユーザーのプライバシーやセキュリティを乱用するアプリが大体において存在しない市場が出来上がっているとも言えるのだが。

Apple は記事の中でさらに「2008 年以前、ソフトウェア産業は少数の巨大な企業によって支配されていました」とも主張する。当然ながら、2007 年までは iPhone というものが存在せず、この主張は Mac などのデスクトップコンピュータに対するものに違いないが、それでも事実とははっきり違っている。確かに Microsoft と Adobe は当時から (そして今でも) 巨大な存在であったけれども、小規模の開発者たちは当時からちゃんと大勢いて、その多くが革新的な Mac ソフトウェアを作り出し、私たち TidBITS でも彼らの作り出したものを長年伝え続けてきた。さらに言えば Apple 自身にとっても、脅威となる恐れのない小規模な会社から成る業界の方がはるかに好ましいはずだ。Apple は、Microsoft Office や Adobe Creative Cloud などのソフトウェアが iOS や macOS においても他のプラットフォームと同等に使いやすくなりそれらに支配されるようになる事態を望んでいない。

Apple の記事は、App Store が富への近道であるかのような言い方をする。もちろん実際にうまく行って大金を手に入れた小規模の開発者たちもいるけれども、App Store が払い出す資金の大部分は大規模な会社へ行く。Pokemon Go は 2017 年だけで 20 億ドルを生み出した。現状の情報を知るのは困難だが、2011 年に実施されたある調査によれば iOS ゲームによる収益額のメディアン (中央値) は $2400 だった。(つまり、この調査の対象となったゲームの半数が $2400 以上の収益をあげ、半数がそれ以下だったということだ。収益額の平均は、最上位のごく少数の会社によって歪められ、$86,000 以上であった。) 私が言いたいのは単に、Apple が宣伝する大きな金額に惑わされてはいけない、大多数の開発者たちが作った大多数のアプリは、大して収益をあげていないということだ。

ソフトウェアの配布と支払システムを提供することで App Store がソフトウェア出版の世界からある種の摩擦を取り除いてくれたことは事実だ。けれどももしその点がそれほど重要ならば、対となる Mac App Store、こちらは 2010 年にデビューしたのだが、Mac App Store も同じくらいに支配的な存在となっていたはずではなかろうか。けれども Apple の往々にして厳格過ぎる技術的要件 (とりわけサンドボックスに関係する要件) や、面倒な登録手続き、30% の手数料といったことのため、多くの Mac 開発者たちが Mac App Store を完全に避けるようになり、何人かの大物の開発者たちは製品を Mac App Store から撤収してしまった。Apple は macOS 10.14 Mojave で彼らを呼び戻せるようにといろいろ変更を加えようとしているようだが、それでも私の論点は変わらない。開発者たちに選択の余地があれば、彼らは必ずしも App Store を選ぶとは限らないのだ。

私が App Store に抱く不快感の一部は、Apple が許容するビジネスモデルのタイプが限られている点にある。確かに、Apple は 2009 年にアプリ内購入を追加し、2016 年にはあらゆる種類のアプリで購読制を認めるようになったが、Apple はこれまで一度たりとも真の意味での試用版も、クーポンを使った値引きも、有料アップグレードも、認めたことがない。いくつかの場合については開発者たちが回避策を見つけてきたけれども、結局のところ App Store は単なる「自由市場」に過ぎない。購読制が浸透することでこの点は変わるのかもしれないが、App Store の存在の大部分の点においては、Apple が強制する経済モデルの帰結として、開発者たちはアップグレードを出して既存のユーザーのために働くよりも、新しい顧客を追い求めることのみに力を注ぐようになる。

考えてみればさらにもっと困ったことだと思えるのが、App Store が目に見えて価格を押し下げつつあることだ。ソフトウェアの価格が下がるに伴って、知覚価値も低下し、今や基本的にゼロに近いところにある。App Store ではそもそもの初めからアプリを見つけにくいことが問題で、似たようなアプリが数多くあるカテゴリーの中で自分のアプリを目立たせる手段があまりにも少なかったため、開発者たちとしては大体において価格面で競争するしかなかった。今や、無料でないアプリは高価だと認識されるのが実情で、無料のアプリの多くは侵入的でプライバシー侵害の恐れも多い広告による収入に依存せざるを得ない。もちろん、これは大体においてウェブそのもののやり方に倣っているとも言える。ウェブではもう長い間広告が収入をあげるための主要なやり方であり、ユーザーたちの側が広告の追跡と個人化に対する不満をますます募らせているのが現状だ。

ここまで考えてくると、どのように批判をしてもそこには負け惜しみのように聞こえる恐れが付きまとう。App Store は人生の現実であり、競争相手がいない以上、実質的な変更は非常に少なく、あっても長い時間間隔を伴うのが自然だろう。でも私は、App Store が達成したことを称賛したり、あらゆる世界の中で最高のものを生み出すのが必然だったと考えたりする必要など、どこにもないと思う。たとえ App Store がなかったとしても、iOS のエコシステムは十分同じように進化したかもしれない。Mac の世界を見れば、Mac App Store の外でアプリを配布しても大して苦境に陥ることはなかったのだから。

結びに、私としては iPhone や iPad を、さらには iOS 全般を称賛することには全然と言ってもよいほど抵抗を感じない。そして、独立の開発者たちからも、また大企業の開発者たちからも、次々と届けられる便利で楽しいアプリの数々を称賛することにも吝かではない。でも、App Store の価値を称えるって、いったいどういうことだろう? まるで、ショッピングモールの素晴らしさを騒ぎ立てるようなものじゃないか。

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Josh Centers  訳:亀岡孝仁  

Eufy BodySense で体重管理を、安価で HealthKit 対応のスマート体重計

減量に関しては、誰もがそれぞれに異なった方法論を持っている様に見えるが、誰もが必要とするのは、進展具合を測る一貫性と、信頼性とを併せ持つ方法である。その一つは記録を取ることで、それにより時間とともに体重がどう変わるかが見られる。

私は昔、これを紙と鉛筆でやっていたが、デジタル体重計の登場でこれは自動化され、そして価格も手の届くものとなった。Wirecutter の体重計総合一位のものは $35 だが、彼らのスマート体重計一位となったのは Eufy BodySense Smart Scale で、$40 しかしない。

私がこの Eufy BodySense を使い始めて3ヶ月になるが、とても満足している。私は、他に校正済みの秤を持っていないので、その精度を保証することは出来ないが、もっと重要なのは測定値が一貫していることである。私の体重を数回続けて計っても、それが硬い平らな面に置かれていて、私の足をその上にしっかりと置いてある限り、それは毎回同じ読みを与える。

My feet on the BodySense

BodySense の電源は4個の標準の AAA 電池 (単4) で、これでここ3ヶ月間の毎日の使用には足りている。この体重計は 11 から 397 ポンド (5 から 180 kg) の体重を計測出来る。多くのスマート体重計と同様、上面はガラス製で、綺麗な時は見栄えもいいが、汚れが目立ち易い。

単体としては、BodySense は飾り気はないが、まずまずの体重計である。つま先の間に位置する表示には体重しか表示されない。しかし、付属する EufyLife iOS アプリ (Android バージョンもある) を使えば、BodySense は、体脂肪率、筋肉量、BMI、骨密度、等々を報告してくる。また、体重、体脂肪、そして筋肉量を時系列でグラフ表示もする。

The EufyLife app

これらの追加の計測値は、身体の電気インピーダンスを測ることで得られるので、体重計に乗る時には裸足でなければならない。これらの数値に一喜一憂しないように。何故ならば、この技術は特段正確なわけではないからである。私はこれらの計測値がインピーダンス体重計としては典型的なものだと思った。それらは凡その数字でしかない - 体内の水分量が結果を大きく左右する。勿論、これらの数字が有用でないなどと言う積りはないが、体脂肪率が1日前より 1% 増えたからと言って、自分を責めたりしないように。そうではなく、より長期的な傾向に注目すべきである。例えば、私の体脂肪率は4月にダイエットを始めた時には何時も 32% 前後であったが、今では 30% 前後であり、ある程度の前進をしていることが見て取れる。

この BodySense が独自のアプリに依存することの弱点は、BodySense を使って体重測定する時は何時でも、結果を確実に記録するために、iPhone 上の EufyLife アプリを開いておく必要があることである。最低でも、アプリは最近開いたことがある必要があるが、毎日計測するのであれば、これが問題になることは無いであろう。

私はこのアプリが背景でも働くことがあることを発見した。それは、私が体重計から降りたすぐ後に4才の息子が体重計に乗ったら、このアプリは彼の体重を認識したからである。幸いにして、このアプリは彼の体重は私のものとはかなり違っていることを認識するだけの知性は有しており、それを記録する前に確認を要求してきた。同じ iOS 機器上に、家族毎に異なるプロファイルを設定することは可能だが、それよりも家族がそれぞれに自分の機器上に自分のアカウントを設定する方が理にかなっていると思う。この方法の弱点の一つは、同期するのにより時間がかかることがありうることである。BodySense は Bluetooth 経由で同期するので、2台目と同期する前に1台目との接続を解除する必要がある。

残念なことに、EufyLife アプリはアカウントを必要とするのだが、私にはその理由が分からない。私は、予備の iPhone で自分のアカウントにログインしてみたが、私の情報は何も持ち越されていなかった。そこで EufyLife Web サイトにログインしようと試みたが、確認メールでクリックしなければならないと言われた。しかし、そんなメールは全く受け取れなかった。

それはもしかすると生体データが Eufy のサーバーにアップロードされていないためなのかもしれないが、確かめる術は何もない。Eufy の個人情報保護方針は総体的に無難に見えるが、もし自分の体重データが不快な方法で利用される可能性を心配するのであれば、体重計を接続すること自体を避けた方が良いと思う。個人的には、私はこの情報を余り気にしていない。と言うのも、私の外見から見当がつかない体重情報など余りないからである。

このアカウントに対する私の経験からして、BodySense のサービス側に関しては余り信頼は置けないと思わざるを得ない。だからこそ私が EufyLife アプリで一番気に入っているのは、Apple の HealthKit と同期する機能である。これで、あなたの生体情報が Health アプリに保存され、そして Cronometer の様な HealthKit 対応のアプリとも同期する。Cronometer はカロリーや炭水化物を追跡する私の好みのアプリである。Health アプリのグラフは同時により多くのデータ点を表示出来るので EufyLife のものより有用である。(腹立たしいことに、EufyLife のグラフではズームインしたりズームアウトしたり出来ない。) EufyLife アプリはまた Fitbit ととも、もしお使いであれば、同期出来る。

The graphs in the Eufy app vs the graphs in the Apple Health app.
EufyLife グラフ (左) は固定ビューであり、Health グラフ (右) はもっと動的で、より多くの情報を示す。

私は長いことスマート体重計には懐疑的であったが、今ではその価値は認める、少なくとも基本的な記録管理という観点からは。私は今でも、体脂肪率測定の様な人目を引くためだけの機能には少々懐疑的である。そして、個人的な好みを言えば、プライバシーの観点から、Internet 接続を一切必要としない体重計の方が良いと思う。しかし、値段を考えれば、Eufy BodySense は、データを別に管理する必要性をなくしてくれる極めて良い体重計と言える。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート

訳: Mark Nagata   

Security Update 2018-004 (Sierra and El Capitan)

セキュリティアップデート 2018-004 (Sierra および El Capitan)

Apple が macOS 10.12 Sierra 用10.11 El Capitan 用のセキュリティアップデート 2018-004 をリリースして、同社が 10.13.6 High Sierra で対処したセキュリティ脆弱性 (2018 年 7 月 9 日の記事“Apple、macOS 10.13.6, iOS 11.4.1, tvOS 11.4.1, watchOS 4.3.2 をリリース”参照) にパッチを施した。Sierra 用と El Capitan 用のセキュリティアップデートはいずれも、悪意のあるアプリケーションがサンドボックスを破って外部で実行される可能性のあったメモリ破損の脆弱性に対処し、Intel Core ベースのマイクロプロセッサにおける Lazy FP state restore 問題に関係したデータ漏洩の脆弱性 (Secplicity 記事に詳しい説明がある) に対処し、アプリケーションに上位の権限を与えてしまう可能性のあった別のメモリ破損の脆弱性を解消している。(無料、10.12.6 Sierra 用は 750 MB、10.11.6 El Capitan 用は 750 MB、リリースノート)

セキュリティアップデート 2018-004 (Sierra および El Capitan) の使用体験を話し合おう

iTunes 12.8

iTunes 12.8

Apple が iTunes 12.8 をリリースして、AirPlay 2 のマルチルームオーディオと HomePod ステレオペアへの対応を追加した。今回のアップデートでは AirPlay メニューから HomePod、Apple TV、その他の AirPlay 2 対応スピーカーをグループ分けして次に再生する項目を制御できるようになった。(無料、直接ダウンロードでも Software Update 経由でも 263 MB、リリースノート、macOS 10.10.5+)

iTunes 12.8 の使用体験を話し合おう

Safari 11.1.2

Safari 11.1.2

Apple が OS X 10.11.6 El Capitan 用と macOS 10.12.6 Sierra 用に Safari 11.1.2 をリリースして、数件の WebKit 関係の脆弱性に対処した。(10.13.6 High Sierra には既にこれが含まれている。2018 年 7 月 9 日の記事“Apple、macOS 10.13.6, iOS 11.4.1, tvOS 11.4.1, watchOS 4.3.2 をリリース”参照。) 今回のアップデートでは WebKit のメモリ処理を強化して悪意あるウェブコンテンツに任意のコードを実行されるのを予防し、アドレスバーを偽装される可能性があったユーザーインターフェイスの不一致の問題を解消している。Safari 11.1.2 は Software Update からのみ入手できる。(無料、リリースノート、macOS 10.11.6 および 10.12.6)

Safari 11.1.2 の使用体験を話し合おう

Farrago 1.2

Farrago 1.2

Rogue Amoeba が同社のサウンドボードアプリケーション Farrago のバージョン 1.2 をリリースした。今回のアップデートでは MIDI フル対応を追加し、外部 MIDI デバイスを使ったオーディオ再生もコントロールできるようにした。また、複数のタイルで設定を編集できるようにし、主音量をキーボードショートカットで制御できるようにし、Inspector 内の Sets に Notes 領域を追加し、Preferences ウィンドウにいくつか細かな VoiceOver の改善を加えている。(新規購入 $39、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、14.1 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

Farrago 1.2 の使用体験を話し合おう

Keyboard Maestro 8.2.2

Keyboard Maestro 8.2.2

Stairways Software の Peter Lewis が Keyboard Maestro 8.2.2 をリリースした。この自動化およびクリップボード用ユーティリティに少数の調整やバグ修正を加えた、メンテナンス・リリースだ。今回のアップデートでは macOS 10.14 Mojave のためにインライン・ポップアップメニューの表示を変更し、Insert Token by Name メニューに Characters セクションを追加し、Assistance Window の文言を "take some action that should trigger this macro" に改善し、エンジンの終了の際やウィンドウをキャプチャする際に起こることがあったクラッシュを解消している。(新規購入 $36、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、23.3 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

Keyboard Maestro 8.2.2 の使用体験を話し合おう

Luminar 2018 1.3

Luminar 2018 1.3

Skylum が写真エディタ Luminar 2018 (2017 年 3 月 29 日の記事“Luminar 一つだけで写真の編集を”参照) のバージョン 1.3 をリリースして、Raw Develop フィルターを拡張して Lens および Transform の効果の処理を改善し、Sharpening フィルターを更新して反応性と正確度を向上させた。今回のリリースではバッチ処理を拡張していくつかの新しいフォーマット (PDF や JPEG-2000 の新しいオプションも含む) に対応し、いくつかのサードパーティのプラグインへの対応を追加し、JPEG や JPEG-2000 の圧縮にはより正確な制御を提供するようになった。また、Canon (EOS 3000D、Rebel T100、4000D)、FujiFilm (X-H1、X-A20、X-A5、X-E3)、Olympus (E-PL9) の新型カメラへの対応も更新している。無料の試用版もある。(新規購入 $69、無料アップデート、リリースノート、macOS 1010+)

Luminar 2018 1.3 の使用体験を話し合おう

Bookends 13.1.1

Bookends 13.1.1

Sonny Software が Bookends 13.1.1 をリリースして、フォーマット付き表示の枠に引用と参考文献の双方のスタイルを表示する機能への対応を追加した。この文献参照管理ツールは今回から、その DOI、JSTOR stable URL、または arXiv ID が一致した場合に PDF を監視フォルダから自動的に読み込んで付随させるようになった。

Bookends 13.1.1 ではまた、静的グループから静的グループへドラッグ&ドロップで文献を移動できるようになり、BibTeX 変換表にさらなるアクセント付き文字を追加し、Amazon からの文献を自動補完してそれに付随した JPEG をダウンロードする際に起こることのあったクラッシュを解消し、Find in PDF のキーボードショートカットが働かなくなったバグを修正している。(新規購入 $59.99、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、49.1 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

Bookends 13.1.1 の使用体験を話し合おう

BBEdit 12.1.5

BBEdit 12.1.5

Bare Bones Software が BBEdit 12.1.5 をリリースした。バグ修正のための、メンテナンス・リリースだ。この古参のテキストエディタへの今回のアップデートでは、FTP サーバへの接続後に進行状況パネルが残ってしまった問題を解消し、BBEdit を終了した際にクリップボードに置かれたテキストがクリアされてしまったバグを修正し、Roman 以外のテキスト入力の最中に起こったさまざまの「無作法」を取り除き、プレリリース版の macOS 10.14 Mojave のダークモードで起こる見栄え上の不具合に対処し、text factory の Replace All オプションパネルでレイアウトの不具合があったのを正し、コーディングユーティリティ Kite への対応を削除している。(新規購入 $49.99、無料アップデート、13.1 MB、リリースノート、macOS 10.11.6+)

BBEdit 12.1.5 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Your Smart TV Could Be Tracking Everything You Watch

スマート TV があなたの視聴履歴をすべて追跡?

プライバシー関係の最新の発覚だが、New York Times の記事が、一部のスマートテレビ、それも Philips、Sharp、Sony、TCL などメジャーなブランドの製品が、Samba Interactive TV と呼ばれるサービスを使っている結果として今やあなたが視聴するすべてを追跡していると伝える。Samba TV ソフトウェアは、視聴者がこのサービスを有効にすることを強く推奨し、番組のお薦めやその他特別サービスを提供すると約束するが、それらのお薦めを実行するためにどのような情報を収集するかについて一切説明していない。あなたがテレビのスマート機能を使っていなくても、Samba TV ソフトウェアはテレビ画面に何が流れているかをスキャンすることによりあなたが何を視聴しているかを識別できる。Netflix の番組や、テレビゲームなども対象となる。Samba TV を有効にしている場合は、Samba Interactive TV サービスを無効にしておくのがよいかもしれない。あるいは、テレビをインターネット接続するのを止めて、その代わりに Apple TV を使うのも一つの方法だ。

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Adobe to Bring Full-Featured Photoshop to the iPad

Adobe、フル機能の Photoshop を iPad にも

Bloomberg の記事が、Adobe が同社の Photoshop ソフトウェアのフル機能バージョンが macOS と Windows に加えて iPad でも動作するように開発中だと伝える。Adobe は現在 iPad 用に Photoshop ExpressPhotoshop Mixなどのアプリを提供しているが、これらは Affinity Photo など他のフル機能の写真エディタの挑戦を受けつつある。Adobe の Creative Cloud 製品担当責任者の Scott Belsky は、ソフトウェアの巨人たる同社が Photoshop を iPad にももたらそうとしていることを認めたが、どの時期に登場するかについては明言を避けた。Bloomberg の記事は、Adobe が 2018 年 10 月の Adobe MAX カンファレンスにおいてこれをお披露目するのではないかと推測する。

もしもあなたが Photoshop を Mac でよく使っているなら、iPad でも使いたい気持ちになるだろうか? そして、もしそうなら、12.9 インチの iPad Pro には十分な大きさがあるだろうか? それとも Apple がもっと大画面の iPad を出すまで待ちたいと思われるだろうか? ご意見をコメントにどうぞ!

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Beware New Bitcoin Extortion Scam That Uses Stolen Passwords

盗難パスワードを利用する新たな Bitcoin 強奪詐欺に注意

Krebs on Security の記事で、Brian Krebs が新しい電子メール詐欺が出回っていると伝える。過去のさまざまの詐欺と同様に、今回の送信者もまた、あなたがポルノを見ているところをあなたのコンピュータのカメラで撮影した写真を持っていると主張し、Bitcoin で大金を支払わなければ画像を公表するぞと脅す。信憑性を増すための新しい一ひねりが加わっていて、この脅しのメッセージにはあなたの電子メールアドレスに結び付いたオンラインアカウントの古いパスワードが記載されている。Krebs の推測によれば、これらのパスワードは長い年月の間に起こった数多くのパスワード漏洩の情報から抽出されたものであろうとのことで、彼は今後この種の攻撃がさらにもっと巧妙になり、もっと説得力を増すのではないかと懸念する。現時点では、もしもこのようなメッセージを受け取っても、ただ単にメッセージは無視して、お持ちのすべてのオンラインアカウントで強力な、一つ一つ別々のパスワードを使っていることを確認しておけば十分だ。パスワードへのこの種の対応は、1Password や LastPass のようなパスワードマネージャを使っていれば簡単なことだ。

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