TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1287/31-Aug-2015

お役立ち記事特集の TidBITS 今週号はよくある三つの問題に取り組む。まず第一に、ソーシャルネットワークで勝手に再生されるビデオに不快な思いをしている人のために、Josh Centers が自動再生を無効にする方法を助言する。第二に、新しい Mac への移行の際に Time Machine のバックアップを使ってデータを移そうと思っている人のために、Michael Cohen が最近自らが新しい iMac へ移行した体験に基づいて多くの出会いがちな落とし穴に陥らないためのやり方を説明する。第三に、Wi-Fi ネットワークが途切れたりスループットが非常に遅かったりして困っている人のために、Glenn Fleishman が二つの Mac 用ユーティリティで Wi-Fi レンジやパフォーマンスを最適化する方法を解説する。最後に、懐古気分の Josh が、FunBITS 記事で Pac-Man 256 をレビューする。今週注目すべきソフトウェアリリースは、VMware Fusion 8.0 と Fusion 8.0 Pro、それに PopChar X 7.2 だ。

記事:

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ソーシャルメディアで動画の自動再生をオフにする

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

あなたは、Facebook か Twitter で、フィードをスクロールしている。他の人たちが何を言っているかを見てみようという訳だ。すると突然、動画が勝手に再生を始める。たいていの場合、それらの動画には気を散らされるし、うるさいと思うこともあるだろう。けれども私たちが最近特に気になっているのは、それらの動画の中に陰惨なもの、例えば殺人などが描き出されていることがあるところだ。自分の見るものは自分でコントロールしたいと思う人のために、動画の自動再生を無効に設定する方法を、少なくとも Facebook と Twitter について説明しておきたい。

Google+ にはそのような設定がないようだが、私の経験上 Google+ で動画が自動再生されるのを見た覚えはない。他方、Instagram や Vine の愛好家の人たちにとっては、どうやら思い通りにはならないようだ。

Facebook -- Facebook のデスクトップウェブサイトで、右上隅にある矢印アイコンをクリックし、現われたメニューで Settings をクリックする。その Settings 画面で、左側のサイドバーから Videos を選び、Auto-Play Videos を Off に設定する。

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これ以後 Facebook ウェブサイトで動画を再生するには、ビデオの中央にある再生ボタンをクリックする必要がある。

しかしながら、Facebook iOS アプリはそれでも引き続きフィードの中で動画を自動再生するだろう。それを無効にするには、右下隅の More をタップし、下へスクロールし、Settings をタップして、Account Settings をタップする。Videos and Photos をタップし、Auto-Play をタップし、Smart Auto-Play を無効にしてから、Never Play Videos Automatically を選択する。

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Twitter -- ありがたいことに、ほとんどの Twitter クライアントは動画の自動再生をしない。けれども、 Twitter 自身のウェブサイト と iOS アプリはする。いずれも、次のようにすれば自動再生を無効にできる。

Twitter のウェブサイトでは、右上にあるあなたのアバターをクリックして、Settings を選ぶ。Account のところで Video Autoplay のチェックを外して、Save Changes をクリックする。(たぶん確認のためにパスワードを入力しなければならないだろう。)さきほどと同様、これ以後は動画を再生したければ個々に手で再生ボタンをクリックしなければならない。

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Facebook と同様、Twitter の iOS アプリも、Twitter ウェブサイトで自動再生を無効に設定しても引き続き動画の自動再生をする。そこで、この iOS アプリでツールバーの Me をタップし、歯車アイコンをタップし、Settings をタップする。そして Video Autoplay をタップしてから、Never Play Videos Automatically をタップする。

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Instagram と Vine -- 残念ながら、Instagram は 動画の自動再生を無効にするオプションを 2013 年に削除してしまった。ただ、不快な動画を投稿するユーザーをブロックすることはできる。それには、その人物のプロフィールを開き、「...」ボタンをタップして、Block User をタップする。

同様に、Vine も、ここはほとんど自動再生の動画のみに基づいていることもあって、自動再生を無効にするオプションを提供していない。Vine で動画の自動再生を見たくないと思うのなら、最良の解決策はこのサービスを使わないことだろう。

ありがたいことに、ウェブブラウザのメーカー各社もこの問題に気付き始めている。Google Chrome の開発チームは、アクティブなタブにない動画を再生しないようにする機能を開発中だ。これが第一歩となって、その機能が実現すること、他のウェブブラウザにも広がって行くことを、ぜひとも期待したい。

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新しい Mac への移行、実体験

  文: Michael E. Cohen: [email protected], @lymond
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

全ては今月初旬の柔らかだが、極めて甲高い断続的な音が、私の mid-2011 iMac の右上方から聞こえてきたことから始まる。そして、数日前の夜、10 回程のクリックが聞こえ、そして私の Mac は落ちてしまった。私は、それを通常のセーフブートからも (起動チャイム時に Shift を押下する)、或いはリカバリブートからも (Command-R を押下する) 再起動出来なかった。インターネットリカバリブート (Command-Option-R を押下する) は働いたが、そこに含まれていた Disk Utility アプリは、厳しい現実を告げてきた:私の Mac の内部ドライブは見つからないと。

近くの Apple Store Genius Bar へ足を運んだら、その Mac のドライブの幕は下りてしまっており、今や、元ドライブと化していることが確認された。もっとも、その Apple Genius は新しいドライブをインストールすることは可能で、一週間ほどかかると話してくれたが、私は来年には新しい iMac を買おうと思っていたいので、この際それを数ヶ月前倒しする決心をした (それに、この古い iMac には何時でも外部ドライブをつけてテスト機として使うことが出来る)。と言うわけで、私は古い iMac を再度包み直し、クレジットカードを取り出し、そして数分後には、古い iMac と新しい iMac 5K Retina ディスプレイモデルの両方を手にして Apple Store を出た。Time Machine はそれがなすべきことを本当にやってくれるだろうかと案じながら、家までドライブして帰った。それは “掛け値なしに働く” のであろうか?

その答えは "多かれ少なかれ” である;私はバックアップしてあった全てのファイルを復元できたし、設定の殆ども戻ったが、その過程で遭遇した問題は、大小はあるが、少なからずあった。

私の Mac のコンテンツを新しい Mac に Time Machine から復元するという経験は、同じことをしなければならなかった他の人たちのものとは似通ったものであったろうとの思いは強い。私は以下の話を、その様な経験を (まだ) したことのない人達に捧げる:私が遭遇したことは、皆さんがこれから先に出会うことへの準備の手助けとなるであろう。

Time Capsule 移行 -- 私の Time Machine バックアップは、私の机の上にある 2 TB Time Capsule の中にある。私は捨てられない型の人間なので、Ethernet ケーブルもジャンクコネクタの引き出しに入っている:移行を始める前に、私はそれで新しい iMac と Time Capsule の間をつないだ。勿論、Time Capsule の Wi-Fi 接続を使うことも可能であったが、そのやり方でバックアップの復元をするのはかなりの時間を要する - 前回 Wi-Fi 経由で移行をした時には、週末全部を要した。幸運を願いながら、この新しい iMac を初めて起動した。それは土曜日の夜 7:20 PM であった。

立ち上がるとすぐに、私の新しい iMac は Time Capsule を認識し、Time Machine バックアップからそれを設定する機会を与えてくれた。私はそのオプションを選択し、そしてレースはスタートした… レースが進むにつれて、それはマラソンであり、短距離ではないことがはっきりしてきた。

最初の障害物はダイアログの表現であり、Mac はバックアップを転送する “準備中" と言っていた:そこには進行バーもなく、その上、何分たってもそれが実際に進行している兆しは全く見えてこなかった。私がもっと若くて、せっかちだった頃であれば、強制的に再起動し、最初からやり直していただろうと思うが、その夜私は、諦める前にあと一時間待とうと自分自身に言い聞かせた。そうしたら “たったの" 30 分もしないうちに、この “準備中” のダイアログは、進行バーを伴ったものに置き換わり、しかも残り時間の見込みまで表示されていた! それは、残り 6 時間と言っていた - この見込み時間は、すぐに 8 時間になり、それから 7 に、4 に、そして 3.5 にと落ちていったが、落ち着いた時には 5 時間となっていた。ファイルと設定は転送され始め、私はその場を離れた。

私が一時間後に見に行ったら、完了までの見込み時間は今や 36 時間となっていた! 見つめていたら、それは 40 になり、最高では 72 時間にまで達した。私はパニックしないよう自分に言い聞かせ、その場を離れた。イライラのつのる数分間を経て、再度見てみるために戻ったところ、嬉しいことに移行の残り時間は再び 5 時間以下になっていた。

実際、私の Time Capsule から iMac へ Ethernet 経由でのデータ移行には、およそ 300 GB のデータが関与しており、6 時間をちょっと切る時間を要した;最初の見込みに近い!

この話の教訓:忍耐は美徳である。進行バーは名うての嘘つきなので、進行が途中で止まってしまったのではないかと心配になっても、急いで電源を落としたりしないように。そして、大きく間違っている可能性のある途中の見込み時間にもがっかりしたりしないように。

デスクトップに戻る -- データ移行が完了し、私の iMac は新しい Mac の通常の質問の幾つかを尋ねてきて (時間帯を選び、言語を選択)、再起動し、私の移行したユーザーアカウントの一つにログインするよう頼んできた (全てが転送されているように見えた)。もうすでに真夜中を回った時間だったが、私の古い馴染みのデスクトップが本当に私の主たるユーザーアカウントに戻っているのかどうかを確かめずに寝る気にはならなかった (私は Mission Control を使っており、行き来するデスクトップを 7 つ持っている)。それらはあった。

しかし、私はそれらの間を慣れ親しんだ指のフリックで動き回ることが出来なかった。何故ならば、この新しい iMac には Magic Mouse が付いてきており、私のトラックパッドは認識されなかったからである;トラックパッドのための Bluetooth 設定は移行されていなかったので、トラックパッドを新しいマシンとペアにする作業は手動で行わなければならなかった。驚くには当たらない:トラックパッド自身はこの新しい iMac とは別の機器に既にペア付けされていることを知っているからで、System Preferences の Bluetooth ペーンの助けを借りてすぐにこの二つが会話するように出来た。

もっとも、私がそこまで行き着くまでには、私の iCloud パスワードに対する立て続けの要求に対応しなければならなかった。それを要求するダイアログが次から次と続いた、4 つか 5 つ立て続けに。この騒ぎの後に、警告が私のアプリがアプリ固有のパスワードを要していると告げてきて、そしてそれらを作成する手助けをすると言ってきた。でもその警告はどのアプリがこれらのパスワードを要しているかは言っていなかったが、そこには Messages アイコンが付いているのに気付いた。

光は段々と見えてきた:数ヶ月前、私は私の Apple ID に対して二段階認証を有効にしており、それが FaceTime と Messages の両方で使われるアプリ固有のパスワードを作成するよう要求していた (なぜ Apple 自身のアプリの中にこれを別の質問とする必要があるものがあるのか)。思い当たったのは、立て続けの iCloud パスワード要求は、実際にはアプリ固有の FaceTime/Messages パスワードに対する 極めて まずい表現の要求だったのではないかということであった。幸いにも、私はそのアプリ固有のパスワードを 1Passwordの中に保存しており、私の iPad 上の 1Password アプリで取り出せる状況であった。従って、私はその警告をキャンセルし、次の iCloud パスワード要求で、この FaceTime/Messages アプリ固有のパスワードを入れてみた。それでこの騒動は収まった。

その時点でもう 1 AM に近かったが、私は寝る前に私のメールはこの移行を生き延びたことを確かめたかった。私が Mail を開いた時、Mail は私の全ての保存したメッセージを処理しなければならいと告げるダイアログが現れた。それらは数十万通もあり、おそらく更にもう 1 時間ぐらいかかると思われた。私はここは Mail に任せ、ベッドに向かうこととした。数時間の浅い眠りの後、私は新しい iMac に戻り、そして実際に私のメール全部がそこにあることを確認した。更に、Mail は、昨年私の古い Mac の底深くで行方不明になり送られることもなかったメッセージもいくつか見つけた;私が寝ている間に、Mail はそれらを私に代わって送出したので、受け手の人はきっと混乱したであろう。

幸いにも、この移行で私のメールアカウント全てが保存された - 一つのアカウントの設定がズタズタになったように見えたが、後になって、その問題は実際にはメールサーバーで起こっていたことが判明した:その設定そのものは変っていなかった。

次に私は、私の Photos library もまた新しいマシンへの跳躍を無事に済ませているかを見たいと思った。しかしながら、Photos を立ち上げるために Dock へ行ったら、Photos アイコンがあるべき場所には大きな疑問符があったのだ! 私の新しい iMac 上の Yosemite のバージョンは、Photos がリリースされる前のバージョンであることが原因であることがわかった。Time Machine は、私の古い Mac のシステムを私の残りのデータとともにバックアップしていたが、移行では私の新しい iMac 上にインストールされているバージョンのオペレーティングシステムやその他の Apple アプリも置換しなかった。今度は Yosemite をアップグレードするため Mac App Store へ向かう番であった。OS X 10.10.5 へのアップグレードが完了した時点で、Photos は私の Dock 上に戻り、そして私の Photos ライブラリは再度アクセス可能となった - そして何も壊れていなかった。

最後に、私の Time Machine がこれまでのバックアップを新しいマシンにも "適用" したいかを聞いてくるプロンプトが来た。そこには、もしそちらを選択したら、私の古い Mac でそれを再び使うことはできなくなるという警告が付いていた。私はそうすることを選んだ。つまり、私は Time Machine をファイルをクラッシュ前からでもそれ以降からでも復元するために継ぎ目なしに使うことが出来るということである:Time Machine から言えば、私の新しい Mac も、私の古い Mac も同じ Mac だということである。

この話の教訓:想定外に備えよ。Time Machine バックアップから新しい Mac へ移行する時、設定のためにやらねばならないこと、そしてインストールすべきアップデートもまだ沢山残っている。更に、Migration Assistant はあなたの設定全てを転送していると 言う かもしれないが、全てを転送するわけではない。もしあなたの Mac のサービスやアカウントのためのパスワードを必要な時に手が届く所にまだ保存していないのであれば、やるべきである。しかも、今すぐに。

問題色々 -- 私の新しい iMac が設定された後でさえ、私が解決せねばならない問題がいくつか残った。

そのうちの一つが、サードパーティソフトウェアライセンスの問題である。移行を無事通り抜けたものもあるが、Smile の PDFpen や TextExpander, そして私のコピーの Microsoft Office 2011 のように、生き残れなかったものもある。Smile は、購入したライセンスキーを取り戻すことを許す 検索サービスを提供しているが、Microsoft Office キーに関しては、電話をする必要が生じるかもしれない。幸運にも、私は私の Office キーを 1Password にしまいこんであった。残念ながら、Smile の検索サービスは私の場合働かなかった、と言うのも私のキーは私が "Take Control of PDFpen 7" と "Take Control of TextExpander" を書いている時に Smile から直接受け取ったからである。しかし、Smile の良き友人たちは私のことを知っているので、メール一本でこれは解決出来た。(注記:皆さんの疑問にお答えすると、ええ、Smile ライセンスキーは今では私の 1Password アーカイブにしっかり入っています。)

私にはもう一つの TextExpander 問題があった:私のスニペット全てが無いのである! 分かったことは、私はそれらを Dropbox にしまっていて、私の Dropbox 設定は何らかの理由で転送されなかったので、それらは TextExpander にはアクセス出来なくなっていたのである。一度私の Dropbox アカウントを新しい iMac に対して再認可した後は、TextExpander をその設定に対して再リンク出来、そして私のスニペットは戻った。

しかし、もう一つの Dropbox 問題があった:私の Dropbox 通知設定はどれも移行を通らなかった。そこで、私の新しい Mac に Dropbox を使うよう許可した。その後は誰かが私の共有 Dropbox フォルダの一つにあるものを変更するたびに通知を受け取るようになった (そして、一人の Take Control 著者/編集者として、私は沢山の Dropbox フォルダを仲間と共有している)。System Preferences の Notifications ペーンへの短時間の訪問で、これは解決出来た。

次は iTunes の番で、私がそれを開いた時、私は私のメディアの一部は私の Mac が私の iTunes アカウントに対して認証されていないためアクセス出来ないと警告された (ありがとう、DRM!)。更に、私にはもうこれ以上の認証権が残されていなかった:幸いにして、Apple は、年に一度だけ、ある特定の iTunes アカウントに対して認証された全てのコンピュータを解除することを許す。私は私の古い Mac を解除することができないので (覚えていますよね、ハードドライブが無い)、私は私のアカウントを使っている全てのコンピュータを解除し、そして私の新しいものを認証した。私のメディアは再度アクセス可能となった。

私はまた奇妙な Mail 問題にも遭遇した。何らかの理由で、私のメール全てが転送されたにも拘らず、私のスマートメールボックスはどれも働かないように見えたし、私が新たに作成したものもそのようであった。分かったことは、犯人は Spotlight だということ:確かに Mail は移行した私のメール全てを処理したが、なんらかの理由で、スマートメールボックスが依存している Spotlight がそのメールをインデックスしていなかったのである。これに対する解は簡単であった:私が Spotlight に私の新しい iMac のハードドライブを再インデックスするよう強制した後、スマートメールボックスは正常に働き始めた。(このプロセスは数時間かかることもあるが、ハードドライブを再インデックスするのは簡単である:Spotlight 設定の Privacy ビューで、あなたのハードドライブをそのインデックスをワイプするに加え、数秒待ち、それからそのドライブを取り出す。)

最後に、私は Wi-Fi 上で iPhone を使って Mac から電話をかけることが出来ないのを発見した。iPhone Cellular Calls 設定を有効にする度に (これは FaceTime の設定にある)、それは直ちに自分自身を不能にしてしまい、私の Mac と iPhone は同じ iCloud アカウントを使わなければいけないという警告を発してきた。イライラが募るが、それらはもうすでにそうなっている! これを直すのは、結果的には簡単なことが分かった:私の Mac を iCloud アカウントからログオフし、それから再度ログインするのである。それ以降は、iPhone Cellular Calls 設定は動作するようになった。

この話の教訓:結果は最後の最後まで分からない。あなたの Mac を成功裏に移行出来ても、微調整や見直しが必要なことが、その先数日間に、いや数週間に亘って出てくるものと思った方が良い。

終わりに -- ハードドライブを、或いは Mac をすら、思いもかけずに失う経験をしたことのない幸運な人は殆どいない。これらのことは不可避的に起こる。しかし、少なくとも一つのしっかりした更新されているバックアップを持ち、そしてソフトウェアライセンスとサービスパスワードの全てをきちんと管理していれば、通常、災害も時間を要する不都合に過ぎないものに変えることができる。

バックアップ戦略を立てるのは難しいことではないし (Joe Kissell の "Backing Up Your Mac: A Joe On Tech Guide” を読まれたし)、そして新しいログインとライセンスを記録するのは面倒かもしれないが、一つずつにはほんの数秒しかかからない。これらのことをやっておけば、万が一前は自分の Mac だったものの煙立ち上るクレーターの中に立っている自分を発見したとしても、もう一度這い上がることができる、しかも、自分の最も掛け替えのないもの - 何年にも亘って集めてきた写真、書類、メール、そしてメディア - は無事だという確信を持って。

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WiFi Explorer と NetSpot で Wi-Fi 到達範囲の問題を解決

  文: Glenn Fleishman: [email protected], @glennf
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

長年にわたって Wi-Fi について記事を書き、何百もの機器をテストしてきた私は、自分の家庭内ネットワークを分析するための、価格が手頃で便利に使えるツールをいつも探し続けている。過去には、いくつもの会社が私に スペクトラム分析器を貸し出してくれた。さまさまな周波数帯であらゆる電波信号を調べることができるものだ。けれども、確かに IT のプロフェッショナルならばそういうツールを便利に使えるだろうが、家庭ユーザーや小規模の企業にとってそういうツールは大げさ過ぎるし、そもそも価格が高過ぎる。

だからこそ、$15 の WiFi Explorer をたまたま見つけた私は大いに喜んだ。これは 2012 年に初めてリリースされたものだが、2015 年 5 月にバージョン 2.0 がリリースされるまで私の探知レーダーには捉えられていなかった。図を使ったビジュアル化と情報のリストを組み合わせ、さらには高度に技術的な詳細情報を掘り下げる機能も持つ WiFi Explorer は、ローカルな Wi-Fi 環境を解明したいと思っているすべての人に私が真っ先に推薦するツールとなった。

WiFi Explorer は NetSpot と組み合わせれば最高の働きをする。NetSpot は OS X 用の Wi-Fi 信号マッピングプログラムで、2011 年の Macworld 記事で私がこれをレビューしている。その後 NetSpot はさらに成熟して、ますます見事にその仕事をこなすようになり、無料の非商用レベルに加えて、本格的な(しかし高価な)プロフェッショナル向けオプションも追加している。

まずは Netspot から話を始めよう。その能力のほんの一部しか私たちは使わないのだが。これは、2 次元的な状況を掴むための素晴らしい手段となる。

Wi-Fi の図を描く -- Netspot は、地図から始まる。自宅やオフィスの図面を読み込むことも、自分でスケッチすることも、サンプルの図を使うことも、あるいは空白のページからスタートすることもできる。図面の上にマークした 2 点の距離を測っておけば、それが図面の残りの部分の距離を見積もる基準となる。それから、ラップトップ機を持って歩き回り、さまざまの地点でクリックして測定する。

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ほんの数個の抽出地点をマークするだけでもよいが、詳しい洞察を得るために私はできるだけ多くの地点で測るようにしている。抽出測定が終われば、インタラクティブな地図が得られる。NetSpot の絶対的に素敵な機能の一つは、そしてこれこそ私が最初に圧倒的な印象を受けた点だったのだが、アクセスポイントがどことどこにあるかを正確に算出できるところだ。

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私の場合、一階に 802.11ac AirPort Extreme が置いてあり、それから地下の私の仕事机の近くに同時にはシングルバンドのみの 802.11n AirPort Extreme がある。家の反対側の端、ゲストルームの中に、802.11n AirPort Express がある。一階のベースステーションはほんの数インチの誤差で特定された。地下の 2 台のユニットは、床を通してサンプルされたものだが、それでも誤差はほんの数インチずつ増えただけだった。

インタラクティブなこの地図では、リストの中でベースステーションを個別に選択したり非選択にしたりできるので、個々にも、また全部を合わせても、最良の受信可能範囲がどこかを見分けることができる。2011 年のレビュー記事にも書いたように、信号の強さは青 (非常に悪い) から青緑、緑 (良い) から黄色そして赤 (最高) という色調で示される。こうして図を一目見るだけでかなり細かなことが分かるのだが、とにかく緑、黄、赤がそれぞれ良い、かなり良い、最高に当たることを覚えていれば十分だ。また、ポップアップメニューを使って地図上に何が重ね書きされるかを選ぶこともできる。

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無料版では、一度に 5 個までのアクセスポイントのみをビジュアル化できる。マルチバンドルータについては個々のラジオが別々に数えられる。私は 3 台のルータを使っているが、そのうち 2 台は同時デュアルバンドのモデルなのでアクセスポイントは 5 個と数えられ、私は同時に見られる上限ぎりぎりで自分のネットワーク全体が見えていることになる。それに加えて、無料版は非商用目的のパーソナルコンピュータのみで使うように作られている。

オフィスでは Netspot Pro を使うことになり、シングルユーザーライセンスが $149、10 ユーザーまでの Netspot Enterprise ライセンスが $499 だ。複数の大規模ネットワークを管理するには妥当な価格と言えるし、おまけにさらなる機能もたくさん付く

いったん地図が完成すれば、それを印刷して手引きとして使えば、信号強度を改善するため念頭に置くことができるし、合わせて WiFi Explorer を使えば、空中を飛んでいる電波を、そしてあなたや近くの他の人々がどの電波を選択したかをも、測定・分析することができる。

まわりの空気を嗅ぐ -- WiFi Explorer は、広範囲の詳細情報とグラフィカルな洞察の双方を提供することにより、近隣のネットワークからの干渉を理解するための非常に大きな役に立つ。また、あなたのネットワークがどのように構成されているかについても一目で正確なことが分かる。AirPort Utility で Apple はそれと同じことを提供しておらず、接続とベースステーションの名前を表示するのみ、チャンネルの割り当てやその他の詳細情報を見るには個々のベースステーションの上にカーソルをかざす必要がある。

WiFi Explorer はたった一つだけのウィンドウを持ち、下の部分は四つの表示から選べるが、そのうち三つはビジュアル化表示だ。起動するとこのアプリはスキャンを始める。更新された様子が見えなければ、ディスプレイの一番上のところに "scanning" と出ているのを確認しよう。スキャンは 5 秒ごとに更新される。左側のナビゲーションバーで、近辺で見つかったネットワークを Wi-Fi モード、ネットワーク名、その他のパラメータでフィルター分けできる。

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上にあるリストは Wi-Fi スキャナによくあるもので、OS X にあるものとも同じだ。(Option キーを押しながら Wi-Fi メニューをクリックして、Open Wireless Diagnostics を選び、Window メニューから Scan を選ぶ。)

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WiFi Explorer は、うまくデザインされたスペースの中にたくさんの情報を詰め込んでいるが、どの項目でもクリックすれば、リストの下の領域が光を浴びる。このアプリはリストにある個々のベースステーションに色を割り当てているので、見分けるのに好都合だ。

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Network Details 表示では、どれかベースステーションを選択すれば、そのベースステーションに特有の技術詳細の概要が表示され、左側には連続的に更新してスキャンされるネットワーク品質が表示される。表示は信号、信号とノイズ、信号対ノイズの比、のいずれかを選べる。右側には、同一の Wi-Fi チャンネルを使っている他のすべてのベースステーションの信号強度を WiFi Explorer が色分けして示す。

もしも複数のベースステーションが同一のネットワーク名 (つまり SSID, Service Set Identifier) を使っていれば、そのどれか一つを選択すると信号強度とチャンネル占有度の表示が追加され、同じ信号軸上の個々のベースステーションの強度が周波数帯 (2.4 GHz と 5 GHz) ごとに分けて示される。棒グラフのどれかの上にカーソルをかざせば、WiFi Explorer がそのベースステーションの名前を表示する。真ん中の表示でも右側の表示でも、棒グラフのどれかをクリックすれば、上部のリストの中でそのベースステーションが選択される。これらのネットワークの集まりはウィンドウ左側の Results バーの Service Set のところにも示される。

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Signal Strength ボタンをクリックすれば、すべてのネットワークの信号強度が重ね書きして示される。リストの中で一つまたは複数の項目を選択すれば、グラフの線の下がカラー付けされて見分け易くなる。

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この表示ではネットワークのスループットが示されていないことに注意しよう。スループットを知るには、別のデバイスにソフトウェアをインストールして両者の間のリンクをチェックする必要がある。これは、与えられたネットワーク速度のパラメータの中で Wi-Fi ネットワークがどれだけ働けるかを示すものに過ぎないからだ。アクセスポイントのリストの Max Rate カラムは、デバイスが稼動している現在のデータレートを表示する。アクセスポイントは、いろいろな変調や、高低さまざまのデータレート間でのチャンネル使用が大規模に組み合わさることで通信量が低下する。データレートが高ければ、そのベースステーションは WiFi Explorer の走るあなたのコンピュータの近くにあり、同じ空間に信号をまき散らしている他のネットワークからの妨害が少ない。

注目すべきは Channels 表示だ。ここには、異なるベースステーションたちがそれぞれどの周波数の領域を占めているかが示される。2.4 GHz では、ネットワーク同士が重なり合っているのがお分かりだろう。チャンネル 1, 6, 11 が、一般に最も重複の少ない組み合わせと言われる。各チャンネルの中央周波数が、それぞれ 25 MHz つまりフルチャンネル以上の分だけオフセットされるからだ。

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しかしながら、IT プロフェッショナルたちが言うには、2.4 GHz ネットワーキングにおける Wi-Fi 干渉で最悪の問題は他のチャンネルにプリセットされているデバイスが起こすもので、携帯可能ホットスポットにそのようなデバイスが見られるという。二つのネットワークでチャンネルが重なっていると、それらはお互いにできるだけスループットを落とさず相手を避けようと試みる。けれども隣り合ったチャンネル (例えばチャンネル 1 と 2) は互いに異なる、あまり効率的でない手法を用いて干渉を避けねばならず、結果として送られるデータ量が劇的に減ったりパフォーマンスが一定しなかったりすることもある。

他方、5 GHz の周波数帯はもう少しきちんとしている。ベースステーションは、互いにきっかり 20 MHz 離れたチャンネルしか占有できない。802.11n では、隣の部分の使用が探知されなければ、Wi-Fi アクセスポイントが二つのチャンネル (40 MHz) を占めることもある。802.11ac ではさらに広く 80 MHz を占めることさえある。チャンネル幅が倍になれば、有効な最高スループットレートも倍になる。(WiFi Explorer はすべての 5 GHz バンドを表示するが、ここにはほとんど使われない UNII-2 および UNII-2 Extended のバンドも含まれる。なぜだか理由は分からないが、コンシューマ向けベースステーションでそれらのバンドの使用を許容しているものはほとんどない。興味を持たれたならば 2009 年 12 月 14 日の記事“5 GHz 帯での Wi-Fi 動作を改善する”をお読みあれ。WiFi Explorer では Preferences > Hide DFS Channels If No Networks Are Using Them でこれらのバンドをこの画面で非表示にできる。)

最後にもう一つ、Advanced Details 表示は信じられないほど大量の細かな情報へのアクセスを提供する。それは、ワイヤレスの専門家ならば大喜びするであろうような、あるいは家庭内ネットワークを設置する業者がトラブルシューティングの必要に迫られた際に大いに頼りにできるような情報だ。

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信号強度の情報は時間をかけて集められ、停止ボタンをクリックしたりアプリを終了したりすると結果を保存するかどうかのプロンプトが出る。データは静的なスナップショットとして保存され、あとで WiFi Explorer で再び開いて見直すことができる。オフラインで開くことも、また現在のネットワーク環境の詳細情報と比較することもできる。

この実用情報に基づいて行動を起こす -- Netspot と WiFi Explorer は、たくさんの情報を提供してくれる。でも、地図やスキャン結果をもとに、どのような行動を起こせば干渉を解決し配置を改善することができるだろうか?

NetSpot の地図は、あなたの問題が純粋に信号強度に関係したものなのか、それとも干渉が原因となっているものなのかを見分けるために役立つ。信号強度については、青緑色や青色を示す、あるいは全く到達範囲にないベースステーションが分かる。そういう場所では WiFi Explorer を使ってあなたのネットワークや近隣にあるネットワーク(他の家のネットワークも忘れてはならない)の状況を調べ、それぞれのネットワークでどの程度の信号強度が出ているかを見るとともに、あなたのネットワークの最大レートも見ることで、そのバンドの中で同一ないし隣り合ったチャンネルにある他のネットワークによってあなたのネットワークがかき消されているかどうかを判断することができる。

(ここで重要な一言を: これらすべてのことはしばらくはそのように働くかもしれないが、たいていのベースステーションは意図的に再起動された際や、停電の後、あるいは誰かが何らかの理由で電源コードを抜いて挿し直した場合などに、毎回自動的にチャンネルを選択し直すように作られている。つまり、あなたが選んだチャンネルが突然消えてしまうこともあり得るということだ。それからもちろん、近隣の人たちがそれぞれのベースステーションで何をするかは全くあなたの手の及ぶところではない。)

個々のポイントで長期的な分析ができた後は、以下に挙げる対策のどれかを試してから、その後でもう一度 NetSpot のテストをするとともに WiFi Explorer でデータを掘り下げて、状況が改善したかどうか見てみるとよい:

もしもあなたのネットワークのベースステーションが NetSpot でははっきり良好(つまり緑、黄、赤のいずれか)なのにそれでもその場所で接続の問題が続く場合は、WiFi Explorer を使って干渉やチャンネル割当の問題が起こっていないか調べよう:

それは Wi-, Wi-, Wi-Fi の世界 -- ワイヤレスネットワーキングは決してロケット科学ではない。いやまあ、たくさんの電波技術や計算が含まれているからには、ロケット科学とそう遠くはないのかもしれないが。でも、足を地に着けて調べようとするなら、あなたのまわりの目に見えない世界を検査することのできるツールが、とてもありがたいと思えるだろう。

WiFi Explorer と NetSpot を組み合わせて使うことで、Wi-Fi ネットワークに何が起こっているかについて効果的な洞察が得られるとともに、あなたも送信をしている公共の電波の中へと合法的に流入して来る人たちのことも分かる。あなたもこれらのツールのビジュアル化を利用して、なかなか解決しない問題を処理し、接続が落ちるのを減らすことができるかもしれない。

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FunBITS: Pac-Man 256、古典的な楽しさを一新して iOS へ

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

1980 年にリリースされた Pac-Man は、ゲーミングにおける真の古典の一つだ。出版における Gutenberg 聖書の意味とテレビゲームにおける Pac-Man の意味は同等だと言っても言い過ぎではないだろうと私は思う。この地球上で、年齢にかかわらず、Pac-Man を一度もプレイしたことがない人、または少なくとも Pac-Man に馴染みのない人を探すのはなかなか難しいだろうとも思う。そして、このゲームプレイのコンセプトが、ゲーミングの歴史の道筋を変えたのだった。

けれども開発者の Namco (後の BANDAI NAMCO Entertainment Inc.) は、結局その魔法を取り戻すことがなかった。非常に大きな成功を収めた Pac-Man の直接の続編、Ms. Pac-Man は実際別の会社が作ったものであり、Namco 自身が出した Super Pac-Man はヒットしなかった。それでもこの Pac-Man のキャラクターはいろいろなプラットフォームゲームやレーシングゲーム、教育用タイトル、果ては格闘ゲームにまで押し込まれたが、たいていはそれほど大ヒットとはならなかった。同様に、元のゲームも、素早いコントロールと大きなスクリーンを必要としていたので、モバイルへの翻訳はあまりうまく行かなかった。

それから 30 年以上が経ち、開発者 Hipster Whale が、いかにして Pac-魔法を蘇らせるかを見つけ出した。昨年の Hipster Whale の作品 Crossy Road は iPhone 世代向けに Frogger ゲームを復活させたものだったが、今年になって Hipster Whale は Pac-Man を Pac-Man 256 として生まれ変わらせた。今回も、モバイルデバイス用に新たに一からゲームをデザインし直したのだ。アプリ内購入付きで無料の iPhone と iPad 用アプリだが、iPhone 4 や iPhone 4S とは互換でない。 予告編をご覧あれ。

いったいなぜ Pac-Man 256 という名前なのか? 本当にそんなにたくさんの続編が作られたのか? ひょっとしたらそうかもしれないが、この名前の本当の理由は、 元のゲームにあったバグに立ち戻る。Pac-Man ゲームでは、レベルのカウンターが 8-bit integer として保存されていたので、記述可能な最大値が 255 であった。けれどもバグのためカウンターが 256 へ進むことができてしまい、そうするとスクリーン右側が意味不明の ASCII 文字でごちゃごちゃに埋め尽くされて、レベルを完成させることができなくなってしまった。

Hipster Whale はこの悪名高いバグをうまく逆手に取って、Pac-Man を一種の無限ランナーゲームへと変えた。上へスワイプすると迷路の追撃が始まるが、絶えず上へ動き続ける必要がある。そうしないと The Glitch (「バグ」) がゆっくりと下から押し寄せ、触れるものすべてを飲み込んでしまうからだ。元の Pac-Man では迷路レベルが複数個あったが、Pac-Man 256 ではたった一つの終わりなき迷路だ。

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他にもいくつか Pac-Man のやり方を変えたところがあって、Pac-Man 256 がスマートフォンやタブレットにうまく適合できるようになっている。上から見下ろした画面の代わりに、角度を持った視点からカメラで撮影した風になっていて、より現代的な見栄えを与えている。コントロールは基本的にスワイプによるもので、なかなかうまく働く。

基本的な Pac-Man のやり方が、そのままそこにある。以前と同様にドットを食べ、ゴーストに追われ、パワーの粒を食べれば形勢一変してゴーストを追いかける立場になる。けれどももちろん、Hipster Whale は新たな調合も加えた。ゴーストがさまざまな戦術を使う。待ち伏せしようと辛抱強く待つゴーストも、いくつかで徒党を組み動く障害物となるゴーストもいる。

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Pac-Man 256 が途方もなく変貌したのはパワーアップだ。もはや単なるパワーの粒ではない。Pac-Man がドットを食べるにつれて、さまざまのパワーアップのロックが外れる。例えばレーザーは一列に並んだゴーストを一挙にやっつけ、アイスブロックはゴーストを低速化させ、爆弾は Pac-Man にぶつかって来るゴーストをすべて吹き飛ばす。ボード上でいつでも最大 3 つまでの異なるパワーアップを持っていることができ、そのアイコンの上を横切るとそのパワーアップが起動する。けれどもアクティブにできるのは一度に一つのパワーアップのみだ。ボード上にある他のパワーアップは白い立方体となり、アクティブなパワーアップの持続時間を延長する働きをする。(このことを教えてくれた Richard Anderson に感謝!)

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Pac-Man 256 はとても楽しいが、残念なことに iPhone 世代に向けて Pac-Man が変わった点が、タッチによるコントロールと無限迷路以外にもある。これは「無料で遊べる」ゲームだが、アプリ内購入が付いており、そのやり方に伴うありとあらゆる汚らしいやり方が含まれている。

新規のパワーアップを持って Pac-Man 256 のゲームをプレイするには、1 クレジットを使う必要がある。デフォルトで 6 クレジットが与えられ、およそ 10 分ほど(ゲームをプレイしていてもいなくても構わない)で 1 クレジットが再充電される。新規のパワーアップを何も持たない「無料プレイ」を選ぶことも可能だが、それではゲームの楽しみがかなり脱落してしまう。

Pac-Man が死ねば、1 クレジットを使って一回継続できる。手持ちのクレジットがなくなれば、スキップできない 30 秒間の広告を見れば続けられる。また、追加のクレジットを購入することもできる。12 クレジットの購入が $0.99、あるいは $7.99 を支払って無制限クレジットを手に入れることもできる。

また、コインを集めることもでき、これを使えば個々のパワーアップの持続時間が延長される。迷路の中でコインを拾ったり、5 個以上のパワー粒を食べてコインを稼いだりできるし、またゲームの終了後に Earn Gift ボタンをタップすれば、まず 30 秒間の広告を見させられてから、ランダムにコインまたはクレジットが与えられる。あと、$4.99 を支払ってコイン・ダブラーを買えば手に入るコインの数が倍になる。

パワーアップをアップグレードすると、そのパワーアップは一定の時間使えなくなる。一回目のアップグレードでは 5 分間、二回目は 10 分間という具合だ。このような恣意的な待機時間も、やはりまたもう一つの「無料プレイ」に伴う「機能」なのだ。

アプリ内購入で一度支払えば欲しいだけのクレジットが手に入るのは素敵だが、それでもまだ広告や、待機時間、コインの処理などに煩わされることになる。私の感覚では、もう少し多くを支払えばこれらうっとうしい「無料プレイ」の痕跡がすべてなくなるようになればいいのにと思う。現状では、自分が本当の意味でゲームを所有している気持ちになれない。その意味で、Pac-Man 256 はコインをがぶ飲みするアーケードゲームとしての自らのルーツにいとも忠実だということなのだろう。

でも、Pac-Man 256 をただ気楽にプレイするだけならば、おそらくお金を支払う必要が生じることはないだろう。広告は、ただ無視すればよい。全体として Pac-Man 256 は、楽しくすっきりした気分でプレイできるゲームとして、かの歴史的な Pac-Man シリーズをモバイル時代に相応しく蘇らせたものとなっている。現代のゲーミングにおけるビジネスモデル慣行の最悪の部分を伴ってしまっている点だけが残念だ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2015 年 8 月 31 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

VMware Fusion 8.0 と Fusion 8.0 Pro -- 50 個以上の新機能を加えつつ、OS X 10.11 El Capitan と Windows 10 の双方と互換となり、VMware が人気の仮想化パッケージ VMware Fusion を標準版Professional 版の双方ともバージョン 8.0 にアップデートした。VMware Fusion 8 では Windows 10 の Cortana (Microsoft の音声対応仮想アシスタント) を利用できるようになり、DirectX 10 と OpenGL 3.3 に対応して最大 65 パーセント高速化されたグラフィックスを提供し、バッテリ電力で VMware を走らせる際の電力効率を向上させている。VMware は同社の VMware vCloud Air クラウドコンピューティング・プラットフォームを Fusion 8 Pro に接続して、ユーザーがローカルな仮想マシンをクラウドへセキュアにバックアップしたり、また複雑なクラウド・アーキテクチャを再形成して実装の前にデザインを実演したり検証したりできるようにしている。Fusion 8 Pro のユーザーは vCloud Air サービスの $600 分のクレジットが受けられ、これで最大 6 ヵ月間使用できる。Ars Technica が VMware Fusion 8 をテスト中に、Windows 10 を Unity モードで走らせている際に Windows Start 画面が開かないというバグを発見したが、VMware はこのバグをメンテナンスリリースで修正すると述べた。

VMware は従来通りの値上げ方針に従って価格を決めており、標準版が $79.99 (昨年の VMware Fusion 7.0 から $10 の値上げ)、VMware Fusion Professional が $199.99 (以前は $149.99) となっている。バージョン 6.0 かそれ以降からのアップグレード価格はそれぞれ $49.99 (標準版) と $89.99 (Pro 版) だ。2015 年 7 月 29 日から 2015 年 8 月 25 日までの間にいずれかの版のバージョン 7 を購入した場合は無料の電子アップグレードが受けられる。(新規購入 $79.99/199.99、アップグレード $49.99/$89.99、362 MB、リリースノート)

VMware Fusion 8.0 と Fusion 8.0 Pro へのコメントリンク:

PopChar X 7.2 -- Ergonis Software がPopChar X 7.2 をリリースして、OS X 10.11 El Capitan への対応を改善するとともに Unicode 8.0 対応を追加した。Unicode 8.0 は新たに 7,716 個の文字を追加しており、ここにはアフリカの言語に対応するための文字、小文字の Cherokee 記号、新たな絵文字その他が含まれている。文字発見ユーティリティでは El Capitan で文字表が空になった問題に回避策を施し、中国語の文字に検索可能な説明と標準中国語での発音を含め、文字の名前のロードを高速化し、アクセスできないフォントメンバーを持つフォントファミリーの処理を改善し (これにより El Capitan 上の代替フォントでの問題点も解消した)、形で検索する際のコンソールログへのメッセージの量を減らした。(新規購入 29.99 ユーロ、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、無料アップデート、3.8 MB、リリースノート、10.6+)

PopChar X 7.2 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2015 年 8 月 31 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Adam Engst が The Tech Night Owl で神話的なる Apple Car について議論し、Apple が 9 月 9 日に何か新しいものを発表することを予定し、Best Buy と Apple が仲良くなり、Joe Kissell が最良のオンライン・バックアップサービスを見つける。

Adam Engst、The Tech Night Owl Live で自動車に熱中 -- はたして Apple は次期「モバイル」プラットフォームとして自動車市場に狙いを定めているのだろうか? Adam Engst と Tech Night Owl の Gene Steinberg との議論は、CarPlay から始まり、Apple が自動運転車を開発中という噂に移って、結局はその疑問に行き着いた。

コメントリンク: 15871

Apple のイベントは 9 月 9 日に -- Apple の次回の大きなメディアイベントが 2015 年 9 月 9 日の 10 AM PDT から開催されることが決まった。イベントのライブ中継が Mac と iOS の Safari で、Apple TV の Apple Events アプリで、また驚くべきことに Windows 10 の新しい Edge ブラウザでも視聴できる。その時刻には忙しいという方も、通常しばらくの間は録画が利用できる。Apple は新型 iPhone モデルを発表すると見られており、他の可能性として iPad のアップデートや新型の Apple TV も期待されている。

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Best Buy が AppleCare を提供 -- Best Buy の CEO Hubert Joly が、同社の Apple との結び付きが深まっており Best Buy はこの四半期中に AppleCare プランおよびサービスの提供を開始すると発表した。また Best Buy は 50 店舗において Apple Authorized Service Provider プログラムをテスト中で、それに加えて既存の店内 Apple 店も拡張しているところだという。この小売店は最近になって Apple Watch の提供を開始しており、Joly は強い需要があると述べた。

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Joe Kissell、最良のオンライン・バックアップサービスを見つける -- 私たちスタッフの一員 Joe Kissell がレビューサイト The Wirecutter と協力して最良のオンライン・バックアップサービスを割り出そうとした。この徹底的なガイドの中で、Joe はあなたがどれを検討すべきか、それぞれのサービスがどのように機能するか、それらをどのように設定すべきか、データのリストアはどのようにすべきかを解説する。Joe が top pick として挙げたのは以前 TidBITS スポンサーであった CrashPlan で、次点として挙げたのはその競争相手 Backblaze であった。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2014 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

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