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#1420: iOS アップデートの容量を回復、Mac App Store のヒント、Apple データをダウンロード、Design Award 受賞者

先週号は WWDC の影響を受けて未来への展望が主だったが、今週号は現時点での実用的な話が中心となる。まず、Josh Centers が 2018 年の Apple Design Award 受賞者を紹介し、Adam Engst はダウンロード済みだがまだインストールしていない iOS アップデートが占有する容量を取り戻す方法を説明する。Apple は Mojave で Mac App Store をデザインし直すかもしれないが、それまでの間は Sharon Zardetto のアドバイスが App Store アプリを効率的に使い App Store での問題点を解決する手引きとなるだろう。それからもう一つ、Kirk McElhearn が寄稿記事で、ヨーロッパのユーザーが自分の Apple データをすべてダウンロードできる (他の国でも近いうちにできるようになる) ことを解説する。今週注目すべきソフトウェアリリースは Transmit 5.1.4、LaunchBar 6.9.5、MoneyWiz 3.0.2、それに BusyCal 3.3.8 だ。

Josh Centers  訳:亀岡孝仁  

Apple、2018 Apple Design Award 受賞者を発表

WWDC での恒例行事として、Apple は各種のアプリに対して Apple Design Award を与えた。これは、Apple が強調したい技術をうまく使いこなしている印象的なデザインのアプリに焦点を当てている。2018 年の受賞者は:

アプリ

ゲームと娯楽

全ての受賞開発者達よ、おめでとう!

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Adam Engst  訳:亀岡孝仁  

TipBITS: iOS アップデートに取られた領域を取り戻す

最近の WWDC キーノートで、Apple は多くの人がどれ程早く iOS 11 にアップグレードしたかを話題にし、iOS のユーザーベースの半分の人が 7 週間以内にアップグレードしたと語った。これはとても印象的に聞こえるが、我々全員が知っている様に、iOS はアップデートに関しては極めて押し付けがましい - Settings アプリアイコンにはバッジを付け、そしてアップデートをインストールするようしつこく迫って来る。その押し付けがましさの一部として、あなたの機器上に十分な空き領域がある場合には、iOS はアップデートを背景でダウンロードし、インストールの準備をする。これは、あなたにその気があるかどうかに依存しない。

iOS 11 uptake screenshot from WWDC 2018

問題はここにある。Apple の "十分な空き領域" に対する定義は、あなたのものとは異なっている可能性がある。とりわけ、子供のサッカー試合のビデオを撮ろうとしていて、まだインストールしたいとは思っていないアップデートよりは、そのために数百メガバイトを使いたいと思っている場合などは特にそうである。

不幸なことに、macOS では System Preferences の App Store ペーンで "新しいアップデートをバックグラウンドでダウンロード" チェックボックスを選択するのを避けられるのだが、iOS は macOS とは違って、これらのダウンロードされるかどうかに関する制御手段は与えてくれない。ストレージ問題以外にも、制御手段の欠如は、ビット数で課金される人達には帯域問題を提起する可能性がある。これらの人はデータの上限を気にしなければならないであろうし、或いは極めて遅い Internet 接続しかなく、その様なダウンロードは高速のリンクが使える所でやりたいという人達もいるであろう。我々は、この様なダウンロードは Wi-Fi 上でしかなされないであろうと想定してはいるが、ここでも、Apple はこの過程に対して何らの透明性も提供していない。

もしこの様な場面に遭遇した場合、つまり待機中の iOS アップデートに使われてしまった領域を取り戻す必要があると言うのであれば、そうすることは可能である。少なくとも、iOS がそのアップデートを再度ダウンロードすると決定するまでは。

それをするには、最初にその様な状態になっているのかどうか調べるために、Settings > General > Software Update をタップする。下部にあるリンクが Install Now となっていれば、アップデートは既にダウンロード済みであり、消去可能である。(もし、それが Download and Install となっている場合は、アップデートは未だ自動的にはダウンロードされておらず、従ってそれが占有している領域はないことになる。)

Screenshots showing the difference when iOS updates have and have not been downloaded.
これは iOS 11.4 がダウンロードされインストールの準備が完了している iPhone (左) と、アップデートが未だダウンロードされていない iPad (右) の例である。

次に Settings > General > iPhone/iPad Storage に行く。この画面では、あなたの領域がどの様に使われているかの概要が上部に示され、考慮に値する領域の節約に関する進言も提供され、それから個々のアプリが、それ自身とデータでどれだけの領域を占有しているかの順番で並ぶ。iOS アップデートは、それがメジャーアップデートの場合は、例えば iOS 10 から iOS 11 の様に、比較的上部に位置するであろう。多くのメジャーバージョン内でのアップデートはより小さく、見つけるにはそのリストを下方にスクロールして行く必要があるであろう。そのアップデートをタップし、それから Delete Update をタップ、そしてそれを削除したいことを確認する。

Screenshot showing the process of deleting an iOS update

その上で、Settings > General > Software Update に戻れば、下部にあるリンクは Install Now から Download and Install に変わっていることを確認できるはずである。そのアップデートをインストールしても良い状態になったら、そのリンクをタップして先に進む。

どうか、この記事をアップデートを避けるように我々が進言していると取らないでほしい。それはとんでもない誤解である。安定性とセキュリティのために - 新機能を手にすることは言うまでもなく - アップデートは常にインストールすべきである。しかし、リリースされてから数日待って問題がないことを確認した上で、都合の良い時にダウンロードすることも可能であり、そうすべきである。上記の手順は、その間、自分のストレージをどう管理するかをお示ししたにすぎない。

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Kirk McElhearn  訳: Mark Nagata   

あなたの Apple データをすべてダウンロードする方法

おそらく間違いなしに、今では皆さんも GDPR と呼ばれるものが発効したことにお気づきだろう。(2018 年 5 月 2 日の記事“欧州の一般データ保護規則、プライバシーをグローバル化”参照。) GDPR (General Data Protection Regulation) は、ユーザーのデータを処理するための EU (European Union) の枠組みだ。たとえあなたがヨーロッパに住んでいなくとも、あなたのところにプライバシー方針を改訂したことを知らせる電子メールメッセージが次々と届いていることだろう。多くの会社が GDPR の要求を顧客ベース全体に適用しつつあるのは、統一的な方法でユーザーのデータを管理する方が望ましいし容易だからだ。とりわけ、将来には EU 以外の諸国もデータ管理に対して同様の姿勢で臨むようになる可能性があるのだからなおさらだ。その上、これは会社の知名度が上がる役にも立つ。

Apple も、この動きに関して例外ではない。同社はユーザーのデータを処理する方法とユーザーにプライバシーについて周知する方法を変更した。そのため同社は最近になって、あなたの Apple ID にリンクされたデータの大部分をあなたが自分でダウンロードできるオプションを公開した。この機能は現在のところ European Union の国と、European Single Market に属するその他の諸国つまりアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイスのユーザーのみが利用できる。Apple は、今後数ヵ月以内にこの機能が全世界的に利用できるように展開したいと述べた。

あなたのデータをリクエストするには、Mac または iPad で (iPhone は使えない) privacy.apple.com に行き、サインインしてから、ウェブサイトが表示するセキュリティ質問に答える。すると、四つの選択肢が提供される:

二つ目の選択肢は取り立てて便利なものではない。これは単に Apple ID ウェブサイトへのリンクを提供するもので、そこへ行けばあなたの名前、住所、その他のデータを修正できる。また、Apple Online Store アカウント設定へのリンクも提供される。後ろの二つの選択肢はそれぞれ書かれている通りで、あなたがしばらくの間だけ (例えば、アカウントを削除したいのだけれども完全に別のところへ移る前に新しい場所で後悔しないか確認したいなどの理由で) Apple のサービスを使わないようにしたい場合にアカウントを一時停止にしたり、あるいは思い切ってあなたのアカウントを丸ごと削除したりする際に使う。

けれどもこの記事で説明したいのは、最初の選択肢だ。

あなたの Apple データをダウンロードする

あなたのデータをダウンロードするには、その "Get a copy of your data (あなたのデータのコピーを入手する)" 段落の最後にある Get Started リンクをクリックする。そこで開くページには、何がダウンロードできるか、データをどんなフォーマットで受け取ることになるかの説明がある。Apple によれば、このデータは「スプレッドシートで、あるいは JSON、CSV、XML、または PDF フォーマットのファイルで」提供されるという。この表現は多くの人を戸惑わせるだろう。ほとんどの人は PDF とは何か知っているだろうし、TidBITS 読者の多くは CSV ファイルも知っているだろう。でも、XML ファイルをどう扱えばよいか知っている人、さらには JSON ファイルという名前を聞いたことのある人が、はたしてどれだけいるだろうか?

PDF は、これらのフォーマットの中で最も読みやすいだろう。CSV、つまり comma-separated values は、基本的にテキストファイルの中でスプレッドシートのデータの列や行を表現する一つの方法だ。XML と JSON はタグを用いてデータを構造化されたフォーマットで呈示するファイルフォーマットで、他のアプリに読み込んだり、インターネットサービスにアップロードしたりする目的に適している。

下のスクリーンショットに示されている通り、15 種類のタイプのデータをダウンロードできる。そのページにカテゴリーごとに分けて示されているので、ダウンロードしたいものにチェックを入れるか、または Select All をクリックする。

The types of data you can download from Apple

ここのデータには iTunes Store、App Store、iBooks Store で購入したもの自体は含まれていない。それらは、大体において、それぞれのストアから再ダウンロードできる。(iTunes で購入した映画を他へ移したければ、Movies Anywhere を使うとよいかもしれない。2017 年 10 月 14 日の記事“Movies Anywhere、あなたの映画をプラットフォームの壁から開放”参照。)

ここのデータの並び方はちょっと変に感じられるが、論理的順序というよりもサイズに基づく順序のように見える。上の方にまとめられた項目は、あなたと Apple の間のやり取りを反映した情報や、蓄えられている小さなデータ、例えばカレンダー、リマインダー、連絡先、ブックマーク、メモなどをダウンロードするためのものだ。下の方では、iCloud に蓄えられたもっと大きなデータ、つまりあなたのファイル、電子メール、写真へのアクセスが提供される。

これらのデータはあなたの Mac 上にあるそれぞれ適切なアプリに書き出すことができるが、Apple のエコシステムから離れて別のプラットフォームやサービスの中へすべてを読み込ませたいという人もいるだろう。そこで Apple は連絡先、カレンダー、ブックマーク、電子メールを (それぞれ) VCF、ICS、HTML、EML のフォーマットで提供する。これらはそのままの形で他のアプリに読み込ませることができる。下の方のセクションにあるファイル、電子メール、写真は、あなたが多くのファイルを iCloud Drive に保存していたり、大量の写真があったりすれば、ずっと大きなダウンロードになることが多い。Apple はこれらを取り寄せるのに長時間かかることがあると警告している。

選択を終えたら、Continue をクリックする。すると、Apple がダウンロード用に提供するファイルの最大サイズを選ぶように言われる。さきほどの画面で上の方にあった項目しか選んでいなければ、おそらくサイズの総合計は 1 GB より少ないだろう。けれども、大量の写真があるような場合、全部で数百ギガバイトになることも十分あり得るので、管理やダウンロードに適したファイルサイズに切り分けるのが賢明だ。低速のインターネット接続の場合は、小さなファイルサイズを指定しておけば、ダウンロードが途切れても再ダウンロードで大きなデータが無駄になることがない。

Choosing a maximum file size for the Apple data download

Apple によれば、このデータが提供できるまでに最大 7 日間かかるという。私の場合、6 日かかった。

その 6 日後に...

私は 2018 年 5 月 23 日にデータをリクエストしたが、5 月 30 日に Apple から電子メールが届いて、ダウンロードできるようになったと言ってきた。

Your download is ready message from Apple

示されたウェブページを開くと、示された 12 のカテゴリーのデータをダウンロードできるようになっていた。それぞれのカテゴリーごとに、Zip アーカイブとしてダウンロードできる。そのうち二つのカテゴリーではあと二・三個多い Zip アーカイブに切り分けられていた。データのほとんどは CSV フォーマットになっていたが、いくつかは JSON ファイルだった。CSV ファイルは Finder の中で Quick Look (ファイルをクリックして Space バーを押す) で内容を読めるし、Excel か Numbers で開けば内容がもっと見やすくなる。

とりたてて興味深いデータは何もない。Apple から購入したものを示したスプレッドシートがたくさんあり、そこにはあらゆる iOS アプリのアップデートや、サポート履歴 (修理、オンラインチャット、スクリーン共有セッションなど)、どのデバイスが Apple ID にサインインしているかの情報、などといったものさえ含まれている。

私が Apple ハードウェアを修理に出した記録がすべてリストされているのはなかなか面白かった。とりわけ、これは私が英国に引っ越してからのここ五年間しか使っていない Apple ID に関係するものなのだから。ただ、あまり細かい情報はなかった。一つのファイルには、いくつかのデバイスのシリアル番号や日付が記されているのが分かるが、それらがどんなタイプのデバイスなのか、どんな種類の修理がなされたのかといったことについては何も記述がない。

データの大多数は、ストア関係のものだ。iTunes Store を使う認証がされたデバイスや、私が購入したアプリ、音楽、ビデオ、電子ブックの情報だ。けれども一つ、抜けている情報がある。Apple オンラインストアからの購入だ。去年私が購入した2台の Mac と、私の iPhone 8+ やそれ以前の iPhone、私の Apple Watch、Apple TV、その他の記録がない。Other Activity フォルダの中に Online Store Activity というフォルダがあるが、その中身は非常に少なく、Ratings and Reviews、Saved Cart、Shipping Address History といったものしかない。

あるとは思っていなかったファイルが一つあった。忘れてしまった方がおられるかもしれないので説明しておくと、2014 年に Apple がすべてのユーザーに無料で提供した U2 のアルバムがあった (2014 年 9 月 10 日の記事“U2 のアルバムを無料で得る(または削除する)方法”参照) が、それについての特別のファイルが含まれている。ちょっと嫌な思いをさせられた事件の思い出という以外に、何のためにこのファイルが入っているのか私には分からない。

Apple's CSV file listing the tracks from that U2 album they controversially distributed to all Apple users

すべてのデータにアクセスできる比較的単純な方法を Apple が提供しているのは良いことだ。ただし、ファイルフォーマットの中には多くのユーザーを困らせるものもあるかもしれない。詳しいことを知りたければ、Apple のサポート書類“Apple ID アカウントに関連付けられているデータのコピーを取得する”をお読み頂きたい。そこには、寄せられると思われる多数の質問に答えた FAQ も載っていて、ファイルフォーマットについて、一部のデータがマスクされている理由、見慣れない形式で日時が表示される理由、などの説明がある。

私を含めて多くの人々は、ただ単に好奇心からこのデータをダウンロードするのだろう。けれどもこのサービスはむしろ、GDPR がデータ可搬性の権利を定め、何も失うことなくデータを他のアプリやサービスへ移行できるようにせよと求めているので、そのためにデータを読み込ませる手段をあなたに提供することが本来の目的だ。つまりこれは、Apple があなたについてどんなデータを保存しているのか調べるための手段ではなくて、もしもあなたが Apple エコシステムを離れようと決断し、その際あなたが長年蓄えたデータを維持したいと思った時のための、援助手段と考えるべきものなのだ。

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Sharon Zardetto  訳: Mark Nagata   

Mac App Store の使い方について (現時点で) 知っておくべきすべて

新しい Mac App Store が登場するのはもう目と鼻の先、macOS 10.14 Mojave と共にやって来る。その際には、Apple の方針変更のお陰で、Bare Bones Software や Panic のような、多くの人々に愛される Apple 開発者たちも再び Mac App Store に迎え入れられることになるだろう。(2018 年 6 月 4 日の記事“macOS 10.14 Mojave に関する大ニュースはダークだ”参照。)

けれどもそれまでの数ヵ月間は、まだ現行の Mac App Store を、現行の App Store アプリを使って、利用しなければならない。App Store アプリの機能は必ずしも見て分かりやすいものではないし、いくつか欠陥もある。例えば、あなたが 2010 年に購入してその後何年間もまともに働いたことのなかったユーティリティは、いつまでもあなたの Purchased リストに付きまとうべきではないだろう。ちゃんと確かめてからアプリを買おうと思えばその項目の Info ページで確認することになるが、そこにはユーザーが書いたレビューも載っている。気前良くたくさん買い込もうとしているのに、一つ一つの項目ごとにパスワードを入力しなければならないのはおかしい。それから、ダウンロードが途中で止まってしまっても、それを再開させる方法が何通りかある。

App Store のパスワード環境設定を選ぶ

買い物を始める前に、まずは App Store の環境設定を開いて、買い物のパスワード設定を指定しておこう。App Store アプリの中にいれば、App Store > Preferences を選ぶ。あるいは System Preferences > App Store を選んでもよい。いずれもシステム環境設定の App Store 枠を開く。その一番下のところ、Password Settings (パスワードの設定) の下に、二つの項目がある:

Password settings in System Preferences > App Store

複数の Mac で同じ Apple ID を使っている場合は、この環境設定枠にある Automatically Download Apps Purchased on Other Mac Computers (ほかのMacコンピュータで購入したアプリケーションを自動的にダウンロード) を選んでおくとよいだろう。(これが「自動的に」と言っていることに注意しよう。あなたが一台の Mac で購入した特定のアプリは、それと同じ Apple ID にリンクされた他の Mac からいつでも手動でダウンロードできる。)

購入とインストールの基本

では、そろそろ買い物を始めよう。App Store アプリを起動する。(Apple メニューの App Store 項目を選ぶ方法が便利だ。) 必要なら、Store > Sign In でサインインする。何か特定のものを探している場合は、Search フィールドを使おう。ブラウズしたい場合は、上に並んでいる Featured、Top Charts、Categories のボタンを使おう。欲しいものが見つかったら、その項目の価格のところをクリックすると、それが Buy App ボタンに変わる。考えが変わったら、ウィンドウ内の他のどこかをクリックすれば元の価格表示に戻る。無料のものには Get ボタンがあり、それをクリックすると Install App ボタンに変わる。

Buying an app in the Mac App Store.

購入の前にアプリについてもっと知りたければ、その名前をクリックするとその Info ページが開く。ここには詳しい情報だけでなく、レビューや、ユーザーによる格付け評価も載っている。このページから、Buy または Get ボタンを使って戻ることもできるし、左上隅の Back (<) ボタンをクリックするか Store > Back を使うかして前のページへ戻ることもできる。

The back button in the Mac App Store.

ダウンロードが済んだアプリのインストールは、ほとんどあなたの目に見えないところで起こる。インストーラのファイルがダウンロードされ、それが走ってインストールを済ませ、礼儀正しく自分自身を削除する。アプリはあなたの Applications フォルダの中に居場所を見つけ、そのアイコンがあなたの Dock と Launcher 画面に現われる。

購入済みリストの清掃

あなたの App Store 購入済みリスト (ツールバーの Purchased (購入済み) ボタンをクリック) には、あなたがこれまでストアと取引したものの永続的な記録が示される。わが家のクローゼットと同様に、私の Purchased リストには 2011 年に私が購入したものがまだ残っている。そこには OS X Lion、Mavericks、Yosemite、さらにはいろいろなユーティリティで、一度試しただけで期待とは違うものだったり、システムのアップデートに伴って機能しなくなったりしたものさえリストされている。

あなたの Purchased リストは永続的なものなので、古くなったものを削除することはできない。けれども隠すことはできる。その項目の説明部分のどこでも Control-クリックして、ポップアップメニューから Hide Purchase を選び、ダイアログでその選択を確認すればよい。こうやって隠した項目は、依然としてあなたの購入履歴の中に残るが、このリストには表示されなくなる。

Hiding a purchase in the Mac App Store.

いったん隠した購入項目を再び表示させるのも簡単だが、もう少し手順が必要だ。まず Store > View My Account を選んでから、Hidden Items セクションの中で Manage をクリックする。リストに表示させたい項目の Unhide ボタンをクリックしてから、Done をクリックすればよい。

Hidden purchases in the Mac App Store.

Mac App Store の問題点に対処する

よくある問題への対処方法をいくつか挙げておこう。

Mac App Store に接続できない

この Apple サポート記事にはよくある接続の問題いくつかに対する解決方法の説明があって、最初はインターネット接続を確認することから書かれている。(もちろん、インターネット接続がなければこのサポート記事を読むこともできない訳だが。) Apple のウェブサイトの状況をチェックしたり、アカウントをアップデートしたり、通常は隠れているシステムレベルのフォルダの中身を確認したりといったことまで書いてある。(また「所在地の時間帯に合った正しい日付と時刻が設定されているか」も確認しようと書いてあるので、まずはそれを調べることから始めればよいかもしれない。)

Buy をクリックしても何も起こらない (またはそう見える)、あるいはアプリがダウンロードされたように見えていても Dock にも Applications フォルダにもない

まずは App Store ウィンドウの Purchased タブにそのアプリがリストされているかどうかを見よう。もしなければ、Store > Reload Page を選んでみよう。

もしリストに載っていて、Download または Install のボタンがあれば、そのボタンを押そう。二重に料金を徴収される心配はない。もし Open ボタンがあれば、Dock や Applications フォルダをもう一度よく見よう。(あるいは Finder 検索をしてみよう。) 非常に小さいファイルが非常に素早くダウンロードされたので気付かなかっただけかも知れないから。

もしも Purchased リストのどこにもなければ、Store に戻り、Buy ボタンをもう一度クリックしよう。(そこに Buy ボタンがあるなら、まだ課金されていなかったということだ。)

ダウンロードが中断された

中断されたダウンロードの大多数は、Mac がインターネット接続を回復すればすぐに止まった個所からダウンロードを再開する。ダウンロードを再開してもよいかというダイアログが出るかもしれないし、時には Apple ID を入力し直してあなたがまだそこにいると証明しなければならないこともある。

自動再開もダイアログもない場合は? App Store ウィンドウのツールバーで Purchased をクリックして、リストの中でそのアプリを見つけ、Resume ボタンをクリックする。もしもあなたが気前良くたくさん買い込んだ後で、複数のものをダウンロードしようとしていたのなら、Store メニューで Check for Unfinished Downloads を選んで、まだ転送中でないか、まだダウンロードの順番待ちの状態ではないか確認しよう。

アプリがダウンロードされたがインストールされない

ダウンロードがスムーズに済んだように見えたのに、アプリが Dock に (あるいは Launchpad 画面に) 現われない場合は、いったん Purchased リストに戻って、そのアプリの Install ボタンがあればそれをクリックしよう。

もしもそのボタンに Open と表示されていれば、App Store はそのアプリがインストール済みだと認識しているということなので、問題はおそらくインストーラがダウンロードされたけれども何らかの理由でインストーラが自動的に走らなかったということだろう。‾/Library/Application Support/App Store/ を開いて、そこにあるインストーラを見つけ、それをダブルクリックして走らせよう。

Buy をクリックすると "Unknown Error Occurred" と出る

数年前に私がこの問題について問い合わせをした際、Apple からの助言はいったん App Store アプリを終了して、少なくとも 10 秒間待ち、それから起動し直すことだった。なぜ 10 秒間なのか私は知らない (コンピュータサイクルで数えれば実際膨大に長い時間だ) し、今はもうそのような助言が言われない理由も知らない。ただ、古いシステムの上で古いバージョンのアプリを使っている人には役立つかもしれないと思ってここに書いておくだけだ。どんな状況の下にせよ、害はないはずだ。それに、待つかどうかは別にしても、挙動不審なアプリに対してはいったん終了して起動し直すのが普遍的な最初の手立てだからだ。

赤い文字で項目が Purchased リストにあるという警告が出る

私はこれをたった一度だけしか見たことがないし、しかもそれは数年前の話だ。それを引き起こす原因を捏造することもできないので、これが今もまだ問題なのかは全く分からない。もしもあなたが Purchased リストの中にいながらにしてダウンロードのエラーを示す警告を見たなら (または他の何かの警告を見たなら - ここでも私の経験が限られていることをご容赦頂きたい)、かつあなたがその項目の再ダウンロードをして全てがうまく行ったのに警告だけがそのまま残ったなら、次のようにすれば警告が消える: Store > View My Account を選び、一番下までスクロールしてから、Reset All Warnings for Buying and Downloading のところの Reset ボタンをクリックする。

ちょっとしたヒントいろいろ

App Store アプリを使う際に役立つヒントをいくつか挙げておこう:

Outdated app icons

他に、Mac App Store について何かヒントや情報をお持ちだろうか? もしあれば、コメントに書き込んで教えて頂きたい。そうそう、すぐ上のアイコンのうち、皆さんはいくつご存知だろうか?

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート

訳: Mark Nagata   

Transmit 5.1.4

Transmit 5.1.4

Panic が Transmit 5.1.4 をリリースして、symlink されたフォルダの中へのナビゲーションに Command-0 のキーボードショートカットを追加し、SFTP 接続にアクセスする際に低速のネットワークでの CPU 使用を改善した。このファイル転送アプリはまた、サイズが 5 MB 以上のファイルを Dropbox に上書きできなかった問題を修正し、ファイル名がホワイトスペース文字で終わるファイルを処理する際のエラーメッセージの扱いを改善し、Amazon S3 のアクセス権を設定できなかったバグを修正し、ローカルな Place 項目が場合によって作成できなかった問題に対処している。(新規購入 $45、70.3 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

Transmit 5.1.4 の使用体験を話し合おう

LaunchBar 6.9.5

LaunchBar 6.9.5

Objective Development が LaunchBar 6.9.5 をリリースして、最近リリースされた 1Password 7 の変更点に対処した。このキーボードベースのランチャーは、LaunchBar を使って Login を開く際に 1Password 7 のロックが外れていることを必要とする。もしも 1Password がロックされていると、パスワードが求められることはなく、ログインの試みが黙って失敗に終わる。(近日中に出る予定の 1Password のメンテナンス・リリースがこれに対処するはずだ。) また、1Password 6 と 7 の双方がインストールされている場合、LaunchBar はデフォルトで新しい方のバージョンから項目を索引付けするが、Index ウィンドウの Options 枠で "Prefer latest version of 1Password" のチェックを外しておけば 1Password 6 からパスワードの索引付けができる。

LaunchBar 6.9.5 はまた、Git クライアント Tower 3 (現在は公開ベータ版) の中の保管場所にアクセスする機能に対応し、LaunchBar の電卓のバグを修正し、誕生日を索引付けする際の問題を解決している。(新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、14.6 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

LaunchBar 6.9.5 の使用体験を話し合おう

MoneyWiz 3.0.2

MoneyWiz 3.0.2

SilverWiz が MoneyWiz 3.0 をリリースした。macOS および iOS 用のこの個人用財務マネージャのメジャーなアップグレードで、暗号通貨と Foreign Exchange (forex) アカウントへの対応を追加し、ユーザーインターフェイスを更新し、GDPR 準拠とした。今回の新しい MoneyWiz では投資/forex/暗号通貨アカウントのグループ全体の集約ポートフォリオを見られるようになり、投資以外、forex/暗号通貨アカウント以外の特定の個々のアカウントですべての取引を一覧することもできるようになった。バージョン 3.0 ではまた、オンラインバンキングの SaltEdge アカウントとの同期のパフォーマンスを改善し、全体的な同期や検索のパフォーマンスを拡張し、OFX 読み込みでの問題点を修正している。さらに、iOS 用アプリに数件の改良とバグ修正を施し、Apple Watch 用アプリでは取引を作成する際に最初の 9 つのカテゴリーしか表示できなかった制約をなくす改良を施している。

この 3.0 リリースの後間もなく SilverWiz はバージョン 3.0.1 を出して、macOS のサイドバーがアカウント残高を正しく更新しなかった問題に対処し、旧バージョンで作成した取引を複製できなかったバグを修正し、移送への変換後に不正な金額が挿入された問題を解消した。同社はその後バージョン 3.0.2 を出して、Setapp 講読サービス (2017 年 6 月 29 日の記事“5 ヶ月目の Setapp: ユーザー 10,000 人で、アプリを見つけるのが容易に”参照) における配布専用に、サポート対象のすべてのプラットフォーム (macOS と iOS、それに Windows と Android) で MoneyWiz 3 が使えるようにした。

MoneyWiz は macOS と iOS 双方用に無料ダウンロードで入手でき、どちらのプラットフォームでもアカウント、予算、請求書、取引を無制限に扱える。けれども無料バージョンは広告を表示し、オンラインバンキングにも、MoneyWiz の SYNCbits 同期サービスにも対応しない。講読ベースの MoneyWiz 3 Premium は広告がなく、デバイス間での同期サービスを含み、無制限のオンラインバンキングもできる。価格は月額 $5.99 または年額 $59.99 (月割りに換算すれば $4.99) だ。Setapp サービスの一部としても利用でき、Mac App Store からダウンロードできる。(年間購読 $59.99、31.0 MB、バージョン 3.03.0.1 および 3.0.2 のリリースノート、macOS 10.8+)

MoneyWiz 3.0.2 の使用体験を話し合おう

BusyCal 3.3.8

BusyCal 3.3.8

BusyMac が BusyCal 3.3.8 をリリースして、当日の日付をバッチ割当する機能や、日単位・週単位で加算・減算する機能 (Edit > Start Date サブメニューにある) に新たにキーボードショートカットを追加した。このカレンダーアプリはまた、Info パネルが表示されていない状態で To Do パネルを狭くリサイズできるようにし、メモの中で一部のリッチテキスト文字がフル表示されなかったバグを修正し、イベントを日表示や週表示の中へドラッグした際にイベント終了時刻が表示されなかった問題に対処し、一部のユーザーがアプリ内部からアップデートをダウンロードできなかった問題 (最後に手動でアップデートすることは必要) を解消している。(BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、13.7 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

BusyCal 3.3.8 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Craig Federighi Talks about Bringing iOS Apps to the Mac

Craig Federighi、iOS アプリを Mac にもたらすことについて語る

Apple の Software Engineering 担当上席副社長 Craig Federighi が Wired の Lauren Goode との対談で、iOS 開発者がそれぞれのアプリを Mac に移植するのを易しくしようと Apple が働いていることに関していくらかの情報を語った。(2018 年 6 月 4 日の記事“macOS 10.14 Mojave に関する大ニュースはダークだ”参照。) Federighi はもう既に二年間もこの面での努力が続けられていると述べ、これら二つのプラットフォームはいくつかのアプリを共有することになるけれども、両者は今後も引き続き二つの別々のオペレーティングシステムであり続けると強調した。彼は「macOS は macOS のままで、今後も Terminal を持ち、四台のモニタを取り付けることができ、外付けドライブを接続できる」と述べた。

来年になってサードパーティの開発者たちがこのテクノロジーが利用できるようになれば、膨大な数の iOS アプリが Mac でも使えるようになると予想される。Federighi は iOS アプリを Mac に移植するのは非常に簡単だと強調し、次のように述べた:

相互作用のためのユーザーインターフェイスのいくつかは自動的に起こります。例えば iOS での長押しは Mac では二本指のクリックになります。ただ、アプリのメーカーの側で若干のコーディングをする必要が生じるところもあります。例えば、アプリのメニューやサイドバーの周囲で、Mac 用アプリのサイドバーを半透明にしたり、共有ボタンをツールバーの一部分にしたりといったことです。

Federighi はまた、必ずしもすべての iOS アプリが Mac で意味を成すとは限らないとも述べた。例えば身体的活動を追跡するフィットネス用アプリを移植しても意味はないが、生産性アプリや、気象情報など焦点を絞った情報を提供するアプリ、またゲームなどは、移植すれば大いに意味を成すかもしれない。

iOS と macOS は互いに近づくけれども、Federighi は依然として Mac にタッチスクリーンを組み込みたいとは思っていない。「Mac を使う際の人間工学は両手が平面の上に置かれている状態を基礎にしているのであって、スクリーンを突つくために腕を持ち上げるのは実際疲れる動作だと私たちは本気で感じています」と彼は語った。それはそうかもしれないが、iPad を手に持って拡張現実ゲームをプレイしながら背中を丸めている人たちの、悲惨な人間工学のことを Apple は少しも気にしていないのだろうか。

Two guys destroying their backs in front of a live audience by awkwardly hunching over their iPads playing an AR Lego game

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Tim Cook Uses His iPhone Too Much

Tim Cook は自分の iPhone を使い過ぎる

CNN の Laurie Segall によるインタビューで、Apple CEO の Tim Cook が驚くべき告白をした。彼自身が、自分の iPhone を使い過ぎているというのだ。iOS 12 で新設された Screen Time 機能 (2018 年 6 月 4 日の記事“iOS 12 はパフォーマンスと洗練に注力”参照) が集めたデータを見てこの結論に達した、と彼は述べた:

私はずっと iPhone を使ってきて、正直に言ってしまえば、自分がちゃんと正しく使えていると思っていました。でも、私は間違っていました。このデータが集まり出すと、私は自分が必要をはるかに超えて長時間これを使っていることに気付きました。iPhone を持ち上げた回数も多過ぎました。

けれども、Cook は iPhone に常習性があるとは決して言わなかった。「このデバイスそれ自体に常習性があるということではありません。問題はあなたがこれを使って何をするかです。そこに「常習性」という用語が当てはまるかどうか、私には分かりません」と Cook は述べた。スマートフォンに常習性があると認めなかったのは適切なことだと言える。そもそも Apple の立場はその種の挙動を支持するものなのだから、CEO が口を滑らせれば将来の訴訟の根拠となってしまうかもしれない。(アメリカ精神医学会が出版した Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition (精神障害の診断と統計マニュアル、第五版) は行動嗜癖 (behavioral addiction) と薬物嗜癖 (substance addiction) を区別しているが、現時点ではスマートフォン依存をどこにも分類していない。Psychiatry Advisor に、スマートフォン依存を判定する基準を定義した有用な記事が載っている。)

いずれにしても、Apple が Screen Time 機能を iOS 12 に組み込んだのは良いことだ。Google も、最近の Google I/O 開発者カンファレンスでこれに似た機能 Android Dashboard を発表している。この分野で今すぐ助言が欲しいと思えば、Moment を参照するとよい。

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Sal Soghoian’s Automation Legacy

Sal Soghoian は自動化の伝説

Steve Jobs を非難してその日の終わりまで職を維持できた Apple 従業員は多くないだろうし、ましてや Jobs が積極的にプロジェクトを削減しようとしていた時期 (彼が最初に Apple に復帰した時代) に、あえてそのようなことをした従業員はもっと少なかった。けれども Sal Soghoian はまさにそれをした。Jobs が Apple 従業員たちを集めて、君たちのプロジェクトは Microsoft のプロジェクトよりも優れていないと告げた時のことだ。Soghoian は Jobs に向かって、いや、そんなことはない、あなたの言うことは間違っている、Soghoian のテクノロジーは Microsoft が持つどのテクノロジーよりも優れている、とはっきり言ったのだ。

ほとんど 20 年間にわたり、Soghoian は Apple で自動化を率いてきた。最も有名なのは Automator を生み出したことだ。そして 2016 年末に、彼はあっさりと Apple から解雇された。(2017 年 1 月 7 日の記事“あなたの Mac 自動化の話を聞かせて欲しい”参照。) Wired が今回 Soghoian の人物紹介記事を書いて、上記の Jobs の話もその中に記した。この記事は彼を引き継ぐ人々についても論じていて、開発者 Greg Pierce と Marco Arment に彼が与えた間接的影響にも触れている。彼ら二人が生み出した x-callback-url 標準はその後 Workflow アプリに結び付き、Apple はこのアプリを買収して iOS 12 の Siri Shortcuts 機能へと進化させた。(2018 年 6 月 4 日の記事“iOS 12 はパフォーマンスと洗練に注力”参照。) Soghoian は現在 The Omni Group で自動化テクノロジーの開発をしており、彼は CMD-D カンファレンスの主催者でもある。

Jobs は Soghoian を非常に尊敬していたけれども、いつも彼を "Saul" と呼んでいて、Automator を発表するため彼を WWDC の壇上に招いた時もその言い方をした。「彼は一度も私の名前を正しく呼んでくれなかった」と Soghoian は言った。

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