#1666: 空気質ウェブサイトとアプリ、The Password Game

もしパズルがお好きなら、Neal Agarwal による The Password Game を試してみて欲しい。それは単に一つのパスワードを選ぶように言ってくる。それがどれだけ難しいものになれると言うのであろうか？ 良き Internet ユーザーとして、我々皆が、標準的な要件に合致するパスワードを作成することについて知っている。例えば、最小の長さ、大文字と小文字の両方の文字を使う、少なくとも一つの数字と一つの特殊文字を加える、等々である。

その様なパスワードは怠け者のためである。The Password Game は満たさなければならない 35 のルールを持ち、パスワードを作ろうと試みる度に一つずつ課せられる。ルールは簡単なところから始まる。パスワードは少なくとも５文字で、数字、大文字、そして特殊文字を含んでいる必要がある。

しかし、パズルが始まると、パスワードにもっと付け加えることを強要し、時にはそれ迄にやったことを変更することを求めてくる。パスワードの中の数字を足し合わせた結果が 25 でなければならない。お安いご用だ。年の内の一月？ 問題ないね。ローマ数字？ 誰でも知っているよね。しかし、会社のロゴを見分けた後で、突然、パスワードの中のローマ数字は掛け合わせると 35 にならなければならいと言われる。それから、CAPTCHA (人間かどうかを調べるテスト) を入力するよう求められる。それ自体は簡単だが、その中の数字の総和が 25 というルールを破ってしまう。心配いらない。ただそのパスワードをルールに適合するまで変えればいいだけだ。

ちょっと待って、今日の Wardle の答えを求めているよ？ (ふざけている訳ではない；答えは毎日変わる。) それは調べを必要とする質問の始めであり、新しいスキルを学ぶよう強制するかも知れない。現在の月齢は何だか分かりますか、そして合致する絵文字を見つけられますか？ (ヒント：Edit > Emoji & Symbols を選び、そして検索する。) Google Street View 画像から国を当てるのは遙かに難しい - ズームインして看板からヒントを見つけられることもあるかも知れないが、さもなくば、スクリーンショットから Google Images で逆画像検索をするやり方を学ぶための言い訳となるであろう。

やがて、Rule 16 に辿り着く。ここでは、無作為に生成されたチェス盤上での次の "最善" の一手を代数チェス記法で入力する。提供されたリンクを使って必要な表記に見当をつけるのはそう難しくはないが、見落としがちなのは、もし相手に王手をかけると、+ 文字を付け加えなければならいことである。私は、全てのケースで求められた動きが "最善" であるかどうかに同意出来るか疑問であるが、私のチェスの知識はそれぞれの駒の動きを知っている程度なので当てにはならない。

一旦チェスのパズルを通過すると、The Password Game はビデオゲームの要素を加えてくる。卵の絵文字を付け加え、それを Paul と言う名前の雛に孵さなければならない。そして雛がいったん孵ったら (ここでも一苦労ある)、それに絵文字のイモムシを与えなければならないが、イモムシは 20 秒に一回の割合で消える。ある特定の時間の長さの YouTube ビデオの探し方を学びながら、更に多くのイモムシを貼り付け続けなければならないのに疲れ果てて、私はイモムシを必要以上に食わせてしまい、私は Paul に餌を与えすぎたと突然知らされ、ゲームは Rule 24 で終了となってしまった。ちくしょう、また失敗だ！私はもっと嫌な気持ちになったかもしれないが、実はこのゲームの作者自身ですら未だ成功裏に完了していない。

幾つかのパズルは変わるが、例えば Wordle の答え、写真から国を当てる、そしてチェス盤の様に、The Password Game は毎日やるような物ではない。しかし、勝つまで止められない物のように私には見える。

さて、よろしければ、私は鶏の Paul に餌を適切に与えながら、その YouTube ビデオの後に続くのは何かを見なければならない。これを解いたら、私は Neal Agarwal のミニサイトの残りの物を見てみようと思う。幾つかはゲームであり、他はより社会的な論評だが、私が見てみた物は全て面白い。

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私の仕事部屋の窓から外を見ると、風景が... おかしい。ここはニューヨーク州北部の比較的田舎の地域で、近くに大気汚染の原因となるものは何もないのに、ほんの数マイルしか離れていない丘がかすんで見えなくなっている。外の景色の見え方がおかしいだけではなくて、変な臭いもする。これはすべて、ずっと北の方のカナダで起きている山火事からやって来た煙のせいだ。

私たちが山火事の煙に遭遇したのはこれが２度目だ。最初は３週間ほど前、Quebec の山火事から流れて来た。その時はとても状態が悪く、私の住む地域の Air Quality Index (大気質指標, AQI) が 0 から 500 までの指標で 460 にまで達したことがあった。AQI は汚染の度合いを示すもので、相対的なリスク値を提供する。その数値がどうあれ、最高に近い値が出るのは極めて悪いことだ。今回の２度目の山火事の煙では AQI の値がそれより低く、150 から 200 の間で行き来しているが、それは EPA (環境保護庁) の基準では "Unhealthy" (健康に良くない) 状態に“過ぎない”ことになっている。

この状況全体が私を不安で落ち着かない気分にさせる一方で、分からないことに対する私の反応はできる限りそれについて知り、他の人たちとも共有することだ。そういう訳で、読者の皆さんはたった今、この記事を私に書かせることで私が冷静でいられるようにする、そういう立場に立って下さったのだ。

山火事

皆さんの多くがご存知の通り、現在カナダでは何百という山火事が燃えていて、その半数以上が (地図では赤い丸で示されている) 制御不能の状態にある。この地図は Canadian Wildland Fire Information System が提供しているもので、問題の深刻度が感じられるだろう。今年だけで 76,000 平方キロメートル以上が焼き尽くされ、これは 1,900 万エーカー以上、パナマの面積とほぼ同じだ。今年はカナダの歴史上最悪の山火事シーズンで、煙によってカナダと米国で大気汚染の警告が出ているだけでなく、遠く西ヨーロッパからもかすんだ空が観測されている。さらに悪いことに、現在はまだカナダの例年の山火事シーズンが始まったばかりの時期に過ぎず、初期に多く燃えたからといって今後弱まるとは言えない。

カナダと米国の一部では、既にここ十年間でそれ以前の平均を大きく超えた山火事が発生している。カナダ西部と米国西部のいくつかの州では最近毎年のように最悪の結果を更新し続けている。けれども 2023 年になって、米国北部とカナダの大部分で山火事の影響が常時続くようになり、今後いつまで続くか分からない。今年学んだ教訓は、間違いなく今後も重要であり続けるだろう。

気候変動が一つの駆動力だ。猛烈な嵐が落雷を伴い、落雷こそが北アメリカにおける山火事の半数以上の原因となっている。暑く乾いた気候が問題に拍車をかける。現にここ米国北東部で、今年はとても乾いた春であった。

悪いことに、山火事は大量の炭素と汚染物質を大気中に放出し、そのいずれもが地球温暖化を悪化させる。(濃い煙によって日光が遮られ、火山の噴火と同様に一時的な冷却効果を起こすことはあり得るけれども、それが炭素と汚染物質の放出による悪影響を上回ることはない。)

屋外の空気質を知る

もちろん山火事によって樹木やその他の植物から煙が発生するけれども、建築物やその他の製品も燃える。煙に含まれる化学物質の実際の組成はさまざまだが、最も健康上の懸念があるのは粒子状物質、具体的には直径 2.5 ミクロン以下の粒子で PM2.5 と呼ばれるものだ。これは肺の奥深くに入り込み、短期的には目・鼻・喉・肺への刺激に加えて、咳やくしゃみ、鼻水、息切れなどの健康被害をもたらす。長期的に晒されれば、慢性気管支炎、肺機能低下、あるいは肺がんの罹患率の増加に繋がる可能性がある。

米国においては、EPA (環境保護庁) が策定した Air Quality Index (大気質指標, AQI) が 5 種類の汚染物質の相対的リスクを追跡する。オゾンの地表濃度、２種類のサイズの粒子状物質 (PM2.5 および PM10)、一酸化炭素、二酸化硫黄、二酸化窒素の 5 つだ。EPA が NowCast AQI と呼ぶのはオゾンと粒子状物質の 2 つだが、AQI の数値として発表されるものの中にはその時点での最も主たる汚染物質、山火事の場合には PM2.5 だけを反映するものもある。(これが、地図上に示された特定のセンサーの数値が他のセンサーに比べてずっと低い値を示すことがある理由だ。それはオゾンセンサーであって、粒子状物質のセンサーではないからだ。)

米国における AQI の指数は 0 から 500 までの数で発表され、 5 つの区分に分けられる。それぞれの区分にはどんな人にリスクがあるか、人々がどのようにそれぞれの AQI の値に反応すべきかの情報が添えられる。驚くことではないけれども、他の国では国によってそれぞれ独自の指標を定めているので、海外に住んでいる友人や親戚と空気質を比較するのは難しいかもしれない。

ここ米国においては、空気質を知るための中央的な情報源は EPA の AirNow ウェブサイトだ。iPhone 用の AirNow アプリが同じデータを利用している。NowCast 目盛盤と予報 (十分に安定した条件下で出る) に加えて、メインの AirNow ページに Fire & Smoke Map と、近所にある公式モニターの表示、それに最近の傾向を示したページへのリンクもある。

この Fire & Smoke Map が特に役に立つ。現在どの範囲に煙があるか、それが AQI の異なる区分にどう関係しているかを見て取れるからだ。地図をズームしたりパンしたりして近所の詳細を見ることもでき、モニターの一つをクリックすればその詳細な測定値が表示される。残念ながら、この地図は私たちにお馴染みとなった気象レーダーのようなアニメーション表示ができない。

そのようなアニメーション表示の煙分布地図を The New York Times が出している。これは有料購読者専用のページだが、Messages 経由で送られたリンクが働くこともあるようだ。私の場合、Tonya が送ってくれたリンクをクリックした場合にのみ開くことができる。けれども、それよりもっと役に立つ情報源を私は見つけた。National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気庁, NOAA) が HRRR-Smoke (High-Resolution Rapid Refresh)というモデルを公開している。その Near Surface Smoke オプションを使うと、今後 18 時間以内に煙がどこへ移動するかの予報が示される。興味深いことに、これは煙の位置を直接に地図に描こうとするのではなく、その代わりに赤外線探知を使って火事の場所を識別し、高度な気象モデルを利用して煙が広がる範囲を予想しているのだ。この RAP モデルの Surface Smoke 地図は北アメリカのより広い領域をカバーしているので、その意味でも有用かもしれない。

重要な地図がもう一つある。PurpleAir という会社が、安価なインターネット接続の空気質モニター ($300 以下) を販売しており、収集したデータを地図にまとめてそれを誰でもアクセスできるように公開している。(この地図は iPhone 上で問題なく動作するが、Paku アプリを使えば専用の地図表示に加えて iPhone や Apple Watch 用のウィジェットも使える。) 下の図でお分かりの通り、Ithaca 地域には 5 つのセンサーが存在しており、そのうち 3 つは私の家から半マイル以内のところに集まっている。これらは数年前から置かれているのだが、それは少し離れたところに天然ガス圧縮ステーションがあって、近所の人たちが大気汚染を心配して空気質を監視していたからだ。(残りの 2 つは今週になって出現した。) 私たちが最初に山火事の煙に見舞われた時には、これら 3 つのセンサーの存在が本当にありがたかった。なぜなら、一番近い公式のセンサーは 48 マイルも離れたところにある政府の監視ステーションのものだったからだ。EPA の Fire & Smoke Map はこれらの PurpleAir モニターをすべて含んでいるが、PurpleAir の地図の方が数値を一目で読み取りやすく、一日を通じて煙がどちらに流れているのかが分かりやすい。

データを評価する

私は iPhone 上の AirNow アプリを頻繁にチェックするようになったので、iPhone のロック画面に空気質ウィジェットを置くことを決めた。Apple の Weather アプリと CARROT Weather アプリはいずれも空気質ウィジェットを提供しているけれども、それらを追加した結果として、別々の気象サービスプロバイダによる情報を利用しているせいでアプリごとにまちまちのデータが示されるのが気に掛かるようになってしまった。(CARROT Weather Premium のユーザーならば 6 つの気象サービスプロバイダのうちから選ぶことができる。) 2023 年 7 月 1 日 9 AM における AQI の値としていろいろのアプリやサービスが報告した値を下の表にしてみた。

あまりにも大きな食い違いがあるので私は困ってしまったが、調べてみるとある程度の理由は分かった。特に役立ったのは UC Berkeley のデータ科学者 Josh Hug が書いた Medium の記事だった。AirNow の AQI が最も公式の値だが、そこには２つの問題点がある：

• これはその土地のデータを十分に反映しているとは限らない。私の家から最も近い公式のモニターは 48 マイルも離れている。
• AirNow のデータは一定時間内の平均値だ。それが 24 時間だとしている情報源もあるけれども、AirNow は次のように述べている。「NowCast が示す空気質は複数時間にわたる過去のデータに基づく計算値を使って入手できる最も新しい数値です。NowCast は、空気質が安定している場合には長時間にわたる平均を使い、例えば山火事の最中のように空気質が急速に変化する場合にはより短い時間の平均を使います。」

これらの要素を考え合わせて、私は近所にある PurpleAir の AQI モニターを信用するようになった。これが最もローカルなデータを反映しているし、過去 10 分間の平均を (デフォルトで) 使っているからだ。けれども、制御された条件下で PurpleAir のモニターが AirNow よりも高い数値を出す傾向があることが分かったので、私は PurpleAir の数値を AirNow の数値に近いものにするための補正係数を有効にすることにした。PurpleAir の地図の右上にある線をクリックして、Apply Conversion メニューから US EPA を選べばよい。(PurpleAir のモニターは個人が設置したものなので、微気候によって値が上下することはあり得るが、台数が多くなれば一般的により良いものとなる。)

AirCare と IQAir は、自分たちはより多くの監視ステーションを持っているし平均を取る周期も短いので (ただし両社とも AirNow が 24 時間のデータを平均していると述べているがどうやらそれはもはや正しくないようだ)、自分たちの値が AirNow の値と異なる可能性はあるとしている。AirCare はさらに、すべてのデータを同社の「インテリジェントなアルゴリズム」(その意味が何なのかは明言していない) を通じて処理していると述べている。

CARROT でいろいろ異なる気象サービスを使った場合も、同じいくつかの情報源から空気質データを得ているらしい。Google が所有する BreezoMeter を使っているのが Apple の Weather と WeatherBug で、おそらく AirNow を使っているのが AccuWeather と Foreca、そしてそれ以外は Apple Weather (以前は Dark Sky を使っていた) を使っている。同じ Apple Weather のデータ源を使っている Apple の Weather アプリと CARROT Weather の間に不一致がある理由を私は説明できないし、AccuWeather ウェブサイトと CARROT の AccuWeather データ源との間の食い違いについても分からない。いずれにしてもばらつきがある以上、一つの気象アプリの AQI 数値だけに依存するのはお勧めできない。

なので、現時点での私のお勧めは：

• 組織的な意思決定のためには AirNow の AQI 数値を使うのがよい。これが最も公式で検証可能だからだ。
• 個人の行動を調整するためには、近所にある PurpleAir モニターに基づいて判断するのがよい。
• 近所にある PurpleAir の AQI 数値をチェックするため、iPhone や Apple Watch 上で Pakuを使うとよい。

屋内の空気質を知る

では、屋内の空気質はどうだろうか？ 屋外の空気は常に建物の中へ入り込む。多くの団体は何年もかけて、SARS-CoV-2 ウイルスの感染を予防する目的で建物に新鮮な空気をより多く取り込むため HVAC (冷暖房空調) システムを改良してきた。けれども山火事による大気汚染が起こったので、しっかりとした濾過を施さなければ屋外の空気には問題がある。こちらも COVID 予防のために推奨されていたことだったが、広く採用されてはこなかった。

私たちは長年、部屋ごとに HEPA (High-Efficiency Particulate Air) フィルターを使った空気清浄機を使ってきた。息子の Tristan が喘息持ちで、空気清浄機を使うことで彼の呼吸が楽になるようだったからだ。(私の家は地熱暖房を使っていて、階上では床暖房、地下室では放熱器を使って暖房している。夏に時折冷房が必要な場合にはダクトを使った送風をしているけれども、フィルターは特に使っていない。) 2021 年の秋に、私たちはホテルの部屋用に小型の HEPA 規格空気清浄機を買って、Tonya が椎間板ヘルニアの治療で背中の手術を受けるため私たちがコネチカット州に３泊した際に持って行った。ただ、これらのフィルターが本当はどの程度有効なのか、とりわけ自宅の広い空間の中で本当に意味があるのか、私たちには見当もつかなかった。

Wirecutter の記事には室内用の空気質モニターにあまり良い評価が付いていないが、この記事は私たちの主目的である粒子状物質の監視機能には触れていない。私たちとしては基準となる見解が知りたかったし、家にある HEPA 空気清浄機を異なる状況下で使ってみて数値がどう変わるか試したいと思っていた。部屋のドアさえ閉じれば比較的小さな仕事部屋では１台の空気清浄機で十分だろうか？ 階下の広いリビングルームではどうだろうか？ 空気清浄機を音のうるさい強風で使うべきか、それとも弱風で十分なのか？

そこで私たちは Temtop M10 Air Quality Monitor を $100 以下の値段で購入した。最初の山火事の煙の到来には間に合わなかったけれども、今回の２度目では、これを使って HEPA 空気清浄機がうまく使えているかどうかを判断できた。その結果、室内で放置しておけば AQI が 100 近くまで下がる (おそらく十分に時間をかければ戸外でも同じようになる) と分かった。小型の方の空気清浄機でさえも、仕事部屋でならば素早く空気をきれいにしてくれるし、寝室でも空気を十分きれいにしてくれて一晩中送風音を聞かされる必要もないと分かった。大型の空気清浄機を使っても１台だけでは (強風にした状態でも) 階下全体を処理することはできなかったが、２台の空気清浄機を強風で一晩中回し続ければ朝には AQI が１桁に下がった。これらのデータのお陰で、私たちは空気清浄機の使い方を調整して、騒音を最小限にしつつ空気質を最適化することができた。

この Temtop M10 モニターは単純だ。USB を使って充電し、再充電までにバッテリーは数時間保つ。電源に差し込んだままでも使えるが、私たちの場合は家のあちこちに持って行って部屋ごとの空気をテストするために使った。ボタンが一つだけ付いていて、これで電源をオン/オフするとともに、粒子状物質、AQI、ホルムアルデヒド (HCHO)、揮発性有機化合物 (VOC) の間で表示を切り替えるようになっている。また、この４つの画面を自動的に切り替えるように設定することもできる。私たちの場合は数値の比較をしたかったので AQI 以外のものを表示させる必要はなかった。Wirecutter によれば粒子状物質のセンサーは正確だとのことで、私たちのテストでも近所の PurpleAir センサーに近い値が出た。Wi-Fi 接続性はなく、アプリは付属していない。Temtop はそれらの機能を持つモデルも出しているが値段は高くなる。

編集者の Glenn Fleishman はより多くの測定オプションを持つ携帯可能な Temtop M2000 を購入した。(今はそれ以外のモデルも入手可能だ。) 彼は家のあちこちで空気質をチェックしてみた。彼の家には地下室も半地下の部屋もあるからだ。このモデルは携帯して使うことを念頭に作られていて、グラフ表示機能も内蔵しているので、家の中の重要な場所のトラブルシュートにも使えるし、地下室で健康に良くない PM2.5 のレベルを測定するためにも使える。私のテストと同様に、Glenn の家族もファンの速度を調節しつつ空気清浄機のテストができた。また、彼らはダクトベースの強制送風 HVAC (冷暖房空調) システムをアップグレードして HEPA より粗い MERV13 規格のフィルターを使うようにした。こちらのフィルターは PM2.5 粒子の 85% を除去するように作られている。

空気質に基づいて行動を変える

データを収集する唯一の理由は、結果のデータに基づいて自分の行動を変えたいと思っているからだ。私が当初から抱いていた大きな疑問は、ランニングをする人がどの程度空気質を考慮すべきなのかという点にあった。それは決して理論上の疑問ではなかった。私は毎週ワークアウトのコーチをしたり、グループでの長距離走を企画したりしているし、Finger Lakes Runners Club の競技会を運営する手伝いもしている。最初の山火事の煙の時期には、結局夜のワークアウトと翌日の長距離走をキャンセルしなければならなかった。その週末に別のグループ長距離走の予定があり、次の週には競技会の予定もあったので心配したが、幸いにもそれまでに煙は去った。それでもなお、私たちには判断基準となるものが必要だった。個人が走るか否かを自分で判断することと、空気質があまり良くない状況下でクラブが公式のイベントを企画してよいのか否かは全く別の問題だからだ。

いろいろ調べてみた結果、私は次のような指針を決めた：

• AQI 100 未満： AQI が 100 未満だと予想される場合には、ほとんどの人はワークアウトや競技会の予定を変更する必要がない。ただし心臓や肺に持病があって特に影響を受けやすい人たちは、AQI が 100 に近くなれば注意すべきだ。
• AQI 100-150： 100 から 150 までの場合、子供たちや、影響を受けやすい人たち (高齢の人や、喘息持ちの人たち) は屋外でのランニングを避けるべきだ。値が 150 に近くなればなるほど、厳しく避けるべきだ。健康な大人たちは、希望するならば参加できる。
• AQI 150 以上： この場合はすべての公式のクラブイベントをキャンセルした上で、自分の判断で屋外のランニングをする人には N95 マスクを着用するよう奨励する。

厄介なのは AQI 値を予測するところだが、AirNow と HRRR-Smoke の Near Surface Smoke 地図があるので、次の日に AQI の数値がどうなるかの大まかな予想は可能だ。ただ、そうであってもやはり推察によることに変わりはない。昨日、AirNow が今日は容認可能な状況になると予想していたのだが、実際には昼ごろになるまで AQI の値が落ちず、今朝のランニングを急遽キャンセルしなければならなかった。

Tonya の体験がこの話に信憑性を加える。6 月始めに私たちが初めて空気質の問題に直面したその最初の日に、私たちはまだ何が起こっているかに全然気付かないでいたのだが、彼女は Cornell 大学から家までおよそ１時間かけてランニングした。空気中に煙の臭いを感じることはなかったのだが、AirNow の最近の傾向を考えて振り返れば、AQI は 100 に近付いていたはずだ。そしてその２日後、AQI が最悪レベルに達していた日に、彼女は仕事場から夕食を食べに出掛けなければならなかった。彼女は戸外でも車の中でも N95 マスクを着用していたのだが、彼女が言うには COVID 予防のために着用していた時期に思っていたほどこのマスクに密封効果があるとは思えない、なぜならマスクを通して煙の臭いがしたから、とのことだった。この２回だけ煙に晒されたことで、彼女はその後数日間、煙の吸入による典型的な症状に苦しめられることになった。つまり息切れ、胸苦しさ、目のかゆみといったことだ。彼女は喘息持ちではないが、呼吸の問題には少し敏感なところがあるので、それ以来私たちは空気質を真剣に捉えるようになった。

今すぐ行動を変えようとするとかえって不安を引き起こすこともあるかもしれないけれども、それでもたまにしか必要でないことだと思えば比較的受け入れやすいだろう。Tonya は、予定を組み直して先週は屋内で仕事ができるようにした。私は現在右膝に内側側副靭帯損傷を抱えているので、屋外でのエクササイズをしない口実がある。けれどもカナダの山火事は衰える兆候を全く見せていないので、この夏を通じてまだまだ何度も煙がやって来る可能性は非常に高いと言わざるを得ない。もっと悪いことに、世界の動向を見れば将来の山火事はより一般的に、より極端なものになり得る。私たちは社会全体で人間の引き起こす汚染を減らす実践をしてきたけれども、人里離れた広大な土地に散在して起こる自然の山火事の発生を減らすのはそれよりずっと難しいことだろう。

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