バタフライ式キーボードが好きになれなかったって? Apple はようやく MacBook Pro ユーザーたちのフラストレーションに対処しようと、新型 16 インチモデルで伝統的なシザー式スイッチを使い Escape キーと逆さ T 配列の矢印キーも装備したキーボードを搭載した。Apple はまだまだ自らのオペレーティングシステムのバグを見つけては修正する作業を続けていて、今週出したのは iOS 13.2.3 だ。仕事場で従業員の使う機器に選択制を取り入れるためのデータを探している人のために、IBM が社内の調査で Mac を選択した従業員の方が PC を選んだ従業員よりも生産性が高く誠意ある働きをしたという報告を出したので紹介しよう。それからもう一つ、ホリデー旅行で遭遇する難問に立ち向かう準備をするためのヒントとして、Adam Engst が飛行機の便の遅延やキャンセルに対処しようと Delta Airlines アプリと Apple Business Chat を使った経験を語る。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Carbon Copy Cloner 5.1.14 と ScreenFlow 9.0 だ。
この新しいシザー式スイッチのキーボードについて最初に考えるべき疑問は、長期的な回復力だ。そして、もしもこのキーボードが期待通りにしっかりしたものだと分かれば、二番目の疑問は来たるべき 13 インチ MacBook Pro や MacBook Air の各モデルで Apple がバタフライ式キーボードを置き換えるのか否か、置き換えるとすればいつかという点だ。
執筆家でありポッドキャスターでもある Jason Snell はレビュー記事の中で次のように書いた:
ラップトップのマイクロフォンを使っていることに気付かなかったり、他に代替品がなかったりした人たちが録音したポッドキャストを救い出す羽目に陥る経験をしてきた者として、私は Apple が基盤となる状況を改善してくれたことに対し大いに感謝したい。すべての Apple ラップトップにこのマイクロフォンが搭載されることを願っている。
残念ながら、マイクロフォンはプロフェッショナル級の品質なのに、内蔵の 720p FaceTime HD カメラはそうでない。1080p HD 対応の TrueDepth カメラを搭載した iPad Pro が、黙ってこの従兄弟の Mac を冷笑している。
私たちの仕様の読み方が正しければ、これらのビデオカードは最大 4 台の 4K ディスプレイ、または最大 2 台の 6K ディスプレイを駆動できるはずで、おそらく後者は Apple から発売予定の Apple Pro Display XDR を含むだろう。(2019 年 6 月 3 日の記事“新型 Mac Pro と Pro Display XDR、強力なパワーを高い価格で提供”参照。)
全体的に見て、Apple が Face ID へ移行せず Mac で Touch ID を使い続けていることはちょっと驚きだけれども、この新型 16 インチ MacBook Pro はしっかりとしたパワフルなマシンであり、従来の 15 インチモデルを確実にアップデートするものとなっているように思える。とりわけ Apple が (ようやく!) あのひどかったバタフライ式キーボードへのユーザーからのフィードバックに応えてくれたのが嬉しい。
しかしながら、多くの人たちにとってこの 16 インチ MacBook Pro はあまりにも大き過ぎ、重過ぎ、価格が高過ぎる。だから、私たちとしては Apple がもっと小さくて軽くて安価な 13 インチ MacBook Pro や MacBook Air にもこの新しいシザー式スイッチのキーボードをもたらしてくれることを願いたい。
あなたは、この新しい MacBook Pro を注文するつもりですか? そうでないあなたは、ひょっとして細かな欠陥が直るまで待つつもりですか、それとも、このモデルは大き過ぎる、または高過ぎるとお思いですか? どうぞコメントにお考えを書き込んで頂きたい。
2015 年の Jamf Nation User Conference (JNUC) で、Fletcher Previn、当時 IBM の VP of Workplace as a Service、は同社の新しい Mac@IBM プログラムを紹介した。これは従業員選択プログラムで、IBM の従業員に使うマシンについて Mac か Windows かの選択を許すものであった。これは、IBM PC に関わる同社の歴史からすれば、大きな変更であったが、Previn をはじめとする同社の他の人達も、Mac は IBM の業績を、サポートコストや総所有コストを増やすことなく、改善出来ると信じた。結果的には、サポート要件は驚くほど少なくて済んだ:130,000 台の Mac 及び iOS 機器に対してヘルプデスクはたったの 24、言い換えれば一人のサポート技術者当たり約5400 人の Apple ユーザーであったが、PC ユーザー側は一人のサポート技術者に対して 242 人の PC ユーザーであった。その大きな理由は、助けを求めヘルプデスクに電話をしたのは Mac ユーザーでは 5% に過ぎなかったのに対して、PC ユーザーは 40% であったことである。
この発表の当時、IBM は毎週 1900 台の Mac を展開しており、一年後には 90,000 台を超す Mac が現場に展開されることとなった。2016 年の JNUC では、Previn は、4年換算で同社が PC に比べて Mac では一台当たり $273 から $543 の節約となっていると発表した。2018 年迄には Previn は Chief Information Officer に昇格し、IBM での Apple 機器は何と 277,000 台に達していたが、サポート人員はたったの 78 人であった。
(これらの発表が JNUC で行われた理由は、IBM が事前構成不要の展開 (zero-touch deployment) のために Jamf Pro と Apple の Device Enrollment Program に依存しているからである - 従業員が新しい Mac を箱から出し、電源を入れ、そしてログインすると、マシンはその人のための必要な設定とソフトウェアで自らを構成する。)
IBM、Mac 生産性研究を発表
2019 JNUC のキーノートで Previn は舞台に戻って、Mac は IBM 従業員をより生産的にし、かつ従業員満足度も定着率も改善するのに貢献したとする研究結果を共有した。IBM は今や 290,000 台の Apple 機器を全社で展開している。
最も目につくのは、IBM の研究によると、Windows ユーザーと比べて、22% 多くの Mac ユーザーが業績評価で期待を大きく上回ったという。加えて、Mac ユーザーによって成立した金額の大きい商取引は、Windows ユーザーによってもたらされたものよりも 16% 大きいという。
この研究はまた、従業員満足度も定着率もより大きいことを示している。Mac ユーザーは遥かに高い Net Promoter Score を有している - Mac ユーザーは 47.5 で、Windows ユーザーは 15 である - そして、彼らが離職する可能性は Windows ユーザーよりも 17% 低い。
サポートに関して言えば、驚くには当たらないが、Mac は引き続き必要度は低い。IBM は 200,000 台の Mac 当たり 7 人のサポート技術者しか雇用していない。これに対して、200,000 台の Windows 機器に対しては 20 人のサポート技術者がいる。
Mac なのか Mac ユーザーなのか?
我々 Mac ユーザーが長年知っていた生産性向上の様なものを IBM が数量化したのはとても素晴らしいし、勿論、私としてもこの研究が Mac を職場で推奨しようと苦闘している人達の助けになることを願うものである。
しかし、我々は IBM の研究からどの様な結論を導くのかについて注意深くある必要がある。私は同社の出した数字には一切異論はないが - 彼らの Mac ユーザーが業績評価でより良い結果を残したり、より大きな商取引を成功させたりということに疑義を呈する理由は何もない - 我々は、このこと全てが Apple のハードウェアとソフトウェアエコシステムのお陰で実現したとする罠に嵌るべきではない。
Fletcher Previn は、相関関係を原因と取り違えるべきでないことについては明快で、曰く、"因果関係については注意深くあるべきである。従業員に Mac を与えることでより良い従業員になるのか、或いは、より良い従業員が Mac を選択するのか、私には分からない。" そして、ビジネスと科学的研究の間の違いについてまとめた声明の中で、彼は微笑んで結論づけた、"そして究極的には、私にとってはそれはどうでも良いことである。"
これは重要なことである。何故ならば、Mac を使うことで PC を使うよりも従業員をより生産的にするという結論を得る研究のためには、研究者はコンピュータを無作為に与え、両方のグループを時間をかけて評価しなければならないであろうからである。しかしながら、当然のことながら、IBM の従業員選択プログラムはどちらの集団も自己選択である。従って、結果により強く影響を及ぼす交絡変数が存在してもおかしくない。
例えば、IBM は Mac ユーザーは同社を辞める可能性が Windows ユーザーよりも 17% 低いという結果を得ている。これはまた、年齢とか経済的安定性とも関係しているのでは? より年齢の進んだユーザーの方がより若いユーザーよりも離職しづらいかもしれないし、所得の低い人の方が他でのより良い可能性を求めやすいのかもしれない。これらの交絡変数をプラットフォームの選択から分離することなしには、因果関係を知ることは出来ない。
Mac ユーザーと Windows ユーザーの間の鍵となる違いは使うコンピュータではなく、彼らが他のものよりもあるコンピュータの方を選んだという事実にあるのかしれない。その人の過去、個性、或いはキャリアアップに対する考え方がその選択に関与しているのでは? Previn はこれに同意して、曰く、"もしあなたが自ら出向いて Mac を選択する様な進歩的な考えを持つセールスマンの様な人であるならば、他の色々な事でも成功していませんか?"
そして、言うまでもないが、IBM の研究は印象的に大きなサンプルサイズを誇っているが、その結果は IBM 特有のものである。IBM は、理由は何であれ、その内部ツールがどういうわけか Mac 上でより速く或いはより良く働くという企業環境を持っており、それらのユーザーに有利に働いているということだって十分にあり得る。
詰まる所、それは見出しほどには良くないし、かなり曖昧な分析領域に踏み込む話になるが、IBM が実際にここで示したことは、IBM で Mac を選択する様な人は、業績評価でより良い評価を受け、より大きな商取引に成功し、そして同社により長く勤務する傾向にあるということである。その違いを引き起こしているのは Mac であるという直接的な証拠はない - IBM は人を評価しているのであって、ある特定の種類のコンピュータを使っていることとは当然ながら結びついていない。
しかし、もし IBM がこの様な人をより多く欲するのであれば - そしてそれに伴うサポートコストとハードウェアの総所有コストの相対的低さもある - 同社はその雇用判断の一部として応募者がどの特定のプラットフォームを好むかを考慮すべきだとするのは理にかなっている様に見える。全く同等の二人の応募者があったとして、一人は Mac を望み、もう一人は PC を欲したとした場合、IBM のデータは同社は Mac ユーザーを採用すべきだと示している。私が Previn に IBM はこれを始めるつもりか聞いた所、彼は巧妙にその結論を避け、Mac を選んだ従業員は他の主要業績評価指標 (KPI) でも良い成績を挙げていると答えた。
Previn はこの研究の IBM の見方を要約して次の様に語った、"願わくは、'ここではそれに対する確証は沢山あるが、全てはお互いに無関係に偶然の出来事だ' と言いながらベン図 (集合の関係を円を使って表したもの) でも書いてみるか ... 因果関係については皆さんが自らの結論を引き出さねばならない。それがデータが我々に告げていることである。"
これら全てからの我々の非科学的な結論は? Mac を選ぶ人は、少なくとも、使うために Mac を与えられていれば、偉大な従業員になる。しかし、我々 Mac ユーザーはそんなこと昔から知っていますよね?
月曜日に、私は TidBITS の号の最終チェックを済ませ、私の旅行用バックパックにリンゴを1個放り込んで、Jamf Nation User Conference に出かけるため空港に向かった。とても楽な旅だ。Ithaca から Detroit への短いフライトと、そこから Minneapolis へちょいとひとっ飛びするだけだ。トラブルが起こるなどとは予想していなかった。
でも、これがかつて経験した中で最も天候に悩まされた旅行になるとは、私には知る由もなかった。もしも私が Delta の iPhone アプリと Apple Business Chat メッセージングサービスを使っていなかったとしたらどうなっていたか、私には想像もつかない。でも最後には、Delta 航空がテクノロジーを活用するやり方に感銘を受けつつ、旅程を終えることができた。
そこで私は数分かけて、どうすれば代替フライトのリストがもう一度出るのか探し回った。結局分かった技は、Today タブから (一番下にあるボタンを使って) My Delta タブに移り、そこから (一番上にあるボタンを使って) My Trips スクリーンを開くことだった。そこから、都市名の下にある運行状況表示が遅延を知らせ、それをタップすることで代替便が表示された。(残念ながら、その時点での私はこの体験が記事になるとは思ってもいなかったので、実際のスクリーンショットをここにお見せすることはできない。下のスクリーンショットで、Fly Delta アプリがどんな情報を提供するかの感じが分かるだろう。)
代替フライトはどれもあまり良くなく、いずれも一つ余分の乗り継ぎを必要とし、到着時刻は 9:30 PM、つまりカンファレンスの開会レセプションには間に合わないことを意味していた。Ithaca から Detroit へ飛んでから St. Louis、Chicago、Philadelphia のいずれかへ飛んで、そこから Minneapolis へ飛ぶことになる。でも、その時点で私はこの遅延が吹雪によるものだと知っていたので、まず Dark Sky アプリのレーダー画面を手早く見ると、その時点で嵐の中心点が St. Louis 地域にあると分かった。Chicago では時速 30-40 マイルの暴風が吹いていた。(あとで知ったのだが、その暴風のせいで Chicago の O'Hare 空港では飛行機が滑って滑走路を外れる騒ぎがあった。) Philadelphia の天候は良かったが、それでは完全に反対方向に飛ぶことになる。やれやれ。
ふう! 今回はなかなかの冒険の旅だった。ただし Ithaca を出発する旅であって我が家に辿り着く旅ではなかったが。そして、急速に変更に変更を重ねる旅行計画に対処するために iOS アプリと Apple の Business Chat メッセージングを使った、私にとって初めての体験だった。
この話の教訓は何だろうか? もしもあなたが、何らかの理由で、航空会社の無料アプリを入手しないでいるのなら、その会社の飛行機に乗る際には絶対的に価値があると私は言いたい。私の知る限り、American のアプリ も United のアプリも同様の機能を提供しているし、他の航空会社もきっとそうだろう。複数の選択肢がある状況で Delta のアプリが私に代替フライトを選ばせてくれ、明らかに最善の選択肢が一つの場合には自動的に再予約までしてくれるそのやり方は、見事なものだったと同時に、この上なくありがたいことであった。
また、Messages アプリの中で Business Chat を通じてしたストレスの少ないコミュニケーションも、ありがたいと思った。Messages 画面に担当者が現われるのを待ってから、問題が解決され私の質問にも答が得られるまで、今回私は合計 100 分間以上もチャットに費やした。もしも代わりに電話を使っていたら、はたして同じ結果が得られたかどうか、あるいは同等の時間内に解決できたかどうか、確かなことを知る方法はないが、このような単純な会話のためにそれだけの時間を電話に費やすなど、考えただけでもゾッとする。
だから、あなたが次に飛行機に乗る際には、その航空会社のアプリが提供するサービスが何であれ、それを最大限に利用しよう。そして、もしも Business Chat あるいは何か他のメッセージングサービスが利用可能ならば、それも試してみよう。喉から手が出るほど助けが欲しい状況下では、チャットと通話を両方試してみて、どちらが先に繋がるか待つのも良いかもしれない。