TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#463/18-Jan-99

今週も Macworld Expo ニュースを続け、先週お伝えできなかった情報をす べてお伝えする。(ベイビィ)スタッフ全員による恒例の Macworld 最高 のものの記事、Jeff Carlson がこのショーで展示されていたさまざまな Palm 関連製品を眺める。(ベイビィ)ニュースとしては、Apple が 1 億 5,200 万ドルの利益を発表、Fog City が LitterRip Pro 3.0.4 をリリー スした。そして、あ、そうだ。Adam と Tonya に赤ちゃんが誕生、Tristan Mackay Engst と名付けられたことをいったかな?

目次:

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MailBITS/18-Jan-99

(翻訳:西村 尚 <hisashin@hotsync.co.jp>)

Apple が 1 億 5,200 万ドルの利益を記録 -- Apple 社は 1999 会計年 度の第 1 四半期に収益で 17 億ドル、1 億 5,200 万ドルの純益を上げ、 5 四半期連続で黒字になったと発表した。この結果には ARM 社株売却か らの 2,900 万ドルの一時収益が含まれるが、Apple 社はこの四半期に 519,000 台の iMac を販売してもいる。これは、昨年同四半期と比較して ユニット出荷で 49% の増加に寄与した。また、Apple はわずか 2,500 万 ドルに当たる在庫 2 日分で同四半期を終えた。このことは同社が引き続 き最近著しくなった生産と販売効率に磨きをかけていることを示している。 [GD]

<http://www.apple.com/pr/library/1999/jan/13earnings.html>
<http://www.arm.com/>

LetterRip Pro 3.0.4 Update -- Fog City Software 社は同社のインター ネットメーリングリストサーバ、LetterRip Pro 3.0.4 をリリースした。 バージョン 3.0.4 は長いメッセージヘッダを不正に封入し、非英語 MIME ダイジェストの日付のエンコードに失敗するという 2 つの小さな問題を 修正する。このアップデートは LetterRip Pro 3 所有者には無償であり、 完全版 LetterRip 3.0.4 インストーラまたはサーバと管理プログラムの みのどちらかをダウンロードできる。Fog City は LetterRip 1.x と 2.x の所有者に無償または割引アップグレードを用意している。それ以外の方 は、Fog City から LetterRip Pro 3.0.4 を 395 ドルで購入できる。 [GD]

<http://www.fogcity.com/lr_download.html>


Macworld Expo SF '99 最高のもの

by TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)

何年にもわたる Macworld Expo 参加を通じて学んだ合言葉は、「何かクー ルなもの見た?」というものだ。ここでは紹介に値する製品やイベント、そ れに変わり種について述べよう。

大反響賞 -- Connectix Virtual Game Station。Virtual PC を生み出し た Connectix 社が世に送り出したこの最新のエミュレータは、Mac で Sony PlayStation のゲームをプレイすることができるというものだ。ゲームは Steve Jobs 氏の基調講演でも重点を置かれていた分野だし、会場のフロア でも大きなエリアを占拠していたので、この発表は明らかなどよめきを生 んだ。噂によると、欲しい人はただちにその場で買うべきだということだっ た。その理由はまだ小売用ユニットの用意ができていないということと、 Sony が同製品の販売を取りやめさせるべく法的措置を検討しているという ことが絶えずささやかれていたからだ。裁判沙汰になる心配はそれほどな いと考えていて良いだろう。エミュレータに関する法律について詳しい会 社があるとしたら、Connectix 以外にはない。いずれにせよ、Virtual Game Station は Expo で完売となった。Connectix が時間内にはとれも売り切 れないほど用意していたにもかかわらず、である。[MAN]

<http://www.virtualgamestation.com/>

最もニッチな製品賞 -- iMacButton。最初の数千台の iMac では、フリー ズやクラッシュの際に例の Control + Command + パワーの“秘技三本指” リスタートをかけることができないらしい。そのかわり、ペーパークリッ プやピンなどを使わないと届かない奥まったボタンを押さなければならな い。この手間を省くため、この 10 ドルのアイテムはまさにピンで、画鋲 のようなプラスチックのボタンにスプリングが付いたものとなっている。 このピンを iMac の穴に押し込んでそのままにしておくわけだ。これで誰 でも(ネコを含め)楽々と iMac をリスタートできるようになる。[MAN]

<http://www.imacbutton.com/>

最も昔懐かしいデモ賞 -- Emulators 社の Gemulator Pro。Intel ベー スのマシンがあれば、このプログラム(と一連の ROM)で多数の Atari マ シンや Mac Plus、Mac SE、Mac II、それにその他の 68K Mac をエミュレー トすることができる。リスタートどころかプログラムを終了しなくてもエ ミュレートするマシンを切り替えることが可能だ。Windows NT を搭載した PC で Centipede をやったり、Mac Plus で Word 4 を動かしたりしてみ た。笑うべきか泣くべきか。Virtual PC で Gemulator Pro を動かすなど という冗談は謹むように。もう聞き飽きてるそうだ。[MAN]

<http://www.emulators.com/>

最も意外な注目のテクノロジー賞 -- 比較的最近まで、3D アクセラレー ションチップの話などしたらハイエンドのマルチメディアクリエーターか ハードコアなゲーマーと思われたものだ。ATI 社の Rage 128 グラフィッ クアクセラレータがすべての Power Macintosh G3 に搭載された今、これ までは必要と思わなかったハードウェアが突然欲しいと Macworld 参加者 たちが思うようになったかのようだ。これを単にマーケティングの成功と することは簡単だが、ゲームでの 3D ディスプレイから高速な 2D グラ フィックの再描画まで、アクセラレーション内蔵の恩恵が Rage チップを 必携ハードウェアとしたのだ。PC で人気の Voodoo2 グラフィックコント ローラのパフォーマンスを凌駕していることも見逃せない。[JLC]

<http://www.atitech.com/>
<http://www.3dfx.com/products/voodoo2.html>

最優秀粗品賞(兼ロングラン Vaporware 賞) -- Castlewood 社の Orb。 Orb とは小型・薄型の安価なカートリッジに 2.2 GB を収めることができ るリムーバブルハードディスクだ。元 SyQuest 社のエグゼキュティブや他 のハードディスク業界の OB が設立した Castlewood 社は、去年の Expo にも Orb のダミーモデルとともに出展していた。今年の同社は、より派手 なダミーモデルに派手なブース、それに派手なプレゼンテーションと派手 な約束をひっさげて再登場していた。だが、これはちょっと言い過ぎかも しれない。実のところ、私はもしかしたら Orb が近々発売されるかもしれ ないと思うまでになってきているのだ。ひょっとしたら欲しいとさえ思う かもしれない。今のところ、同社はボタンを押すとファンファーレが鳴る 偽物のカートリッジを配っていた。しかも絶対に Orb ドライブに差し込ま ないようにとの警告が印刷してあるというものだ。SyQuest が倒れて Iomega がかつての栄光にすがりつく今、リムーバブルストレージ市場に競 争がやってくるのは好ましいことだろう。[MAN]

<http://www.castlewood.com/castlewood/web/index.htm>
<http://www.businesswire.com/iomega/bw.011399/952594.htm>

最もクリエイティブなエルゴノミクス賞 -- あるゲームが今までで最高 のグラフィックを持っているとしよう。でも、それをあなたは普通のオフィ ス用の椅子に座って眺めている。もっとゲームにどっぷり浸かるには、 Intensor 社の椅子を試していただきたい。5 個の内蔵スピーカで、ゲーム のサウンドが四方から押し寄せてくるだけでなく、椅子に付いたサブウー ファーで振動を感じることもできるのだ。日頃は任天堂やソニーのゲーム 機をテレビにつないでプレイするのであれば、椅子の脚を取り外して床の 上に置き、前後左右に揺れることもできる。ヘッドホンジャックも付いて いるので、外部スピーカを鳴らさずに一人静かにエイリアンを撃ちまくる ことも可能だ。それでも少しは椅子からの振動を感じることができる。 [JLC]

<http://www.intensor.com/lite/>

最優秀ベータ賞 -- この賞はStagecast Software 社の Stagecast Creator と Power On 社の Action Menus が共に受賞した。Stagecast は Apple 社の David Smith 氏と Allen Cypher 氏が当初 Sk8、のちに Prograph を使って開発した Cocoa の後継版に相当する。二人はもう一人 の元 Apple の大物、Larry Tesler 氏とともに新会社を設立し、今度はク ロスプラットフォームの Java に移植するとともにその過程でさらに拡張 して洗練を加えた。私はベータ版を触ってみたが、これは Java にもかか わらず素晴らしい。最終版のリリースを心待ちにするとともに、商業的に も成功することを願って止まない。Action Menus は Power On 社による Mac OS 8.5 に対応した Now Menus の後釜となる製品だ。デモから判断し た限りでは、仮に Now Software が Now Menus をまだ販売していたとして も、とても Action Menus には太刀打ちできないだろう。私はこれをどう しても欲しい。考えただけで熱が出そうだ。[MAN]

<http://www.stagecast.com/>
<http://www.actionutilities.com/>

最優秀スローガン賞 -- Alien Skin Software 社のブースは同社の Photoshop プラグインを使って得られるさまざまなエフェクトにマッチす るように派手な色に染められた髪でいつも人目を引く。だが今年は同社の スローガンが虹色の枝毛よりも注意を引いた。「業界をフリークで満た せ」。 [JLC]

<http://www.alienskin.com/>

ベストパーティー -- 私たちは Expo のあらゆる面について報告しよう と努力する。パーティーも例外ではない。たいていは群を抜いたパーティー があるものだが、今年のアフターショーは接戦だった。最もパーティーら しかったのは、The Stud というバーで行われた Mac the Knife パーティー だった。混み過ぎで、信じられないほどうるさく、カリフォルニアの禁煙 法にもかかわらずいくぶん煙かったため、TidBITS パーティーテストから すると落第なのだが。MetaCreations 社も Kai's Power Tools 5 の発表を サンフランシスコの Museum of Modern Art で行ったことで称賛に値する。 正直なところデザインの大御所 Kai Krause には全然興味無かったが、初 めて SFMOMA の一階を見ることができたのはわざわざ行った甲斐があった。 Apple 社のパーティーは巨大で、Moscone Center の大きな部分を占めて大 勢の人がおり、大量のまともな食べ物と複数のライブバンドがあった。し かし、ベストパーティー賞は多分 Dantz 社だろう。混んでいてうるさかっ たものの耐えられる程度で、食べ物は最高、それにこういったイベントで 年に一度しか会わないような人たちと話ができるようなスペースが階下に 設けてあった。さらに良かったのは Dantz が作った一点ものの白黒ポス ターで、有名人が飲んでいるというものだった。それにはパーティーのモッ トー、“Drink Different”という文字があしらってあった。 [JLC]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04694>
<http://www.metacreations.com/>
<http://www.dantz.com/>


Expo での Palm はより充実していた

by Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

Macworld Expo でなぜ Palm Computing 社のブースから人だかりが消えな いのか不思議に思った人のために、PalmPilot と Macintosh プラット フォームについて簡単な概要をお知らせする(PalmPilot に関する以前の 記事は下記の URL で参照されたい)。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1030>

Palm Computing 社の携帯オーガナイザ、PalmPilot と Palm III、はポケッ トに入り重要なデータを持ち運びできるペンベースのデバイスである。そ のデータもボタン一つでパソコンと同期が取れるので、Palm 機上だけでは なくデスクトップ機上からも使える。しかしながら PalmPilot の人気が上 がるにつれて Palm 社はその最大の市場である Windows ベースの PC に集 中し、Macintosh Pilot Desktop プログラムはバージョン 1.0 に据え置か れたまま(しかもたまたま醜い Windows ポートとして)であった。ここに 来て Palm 社は Macintosh デスクトップ・ソフトウェアの一般ベータ版の リリースを始めた、それは前の Claris Organizer をベースに作ったもの で、第三者の同期プログラムとも動作するようプログラムのアーキテクチャ も公開した。ようやく Mac ユーザーも Windows ユーザーが 2 年以上も楽 しんできた機能とさらにいくつかの Mac だけのツールとを Palm 携帯機上 で使えるようになる。過去の過ちを正し Macintosh 市場に戻ってきた Palm Computing 社の意気込みが Expo の参加者の目に訴えたのである。

もちろん一方では、Palm Computing 社は半時間毎に Palm III を無料で提 供していたし、同時に私の本 Palm III & PalmPilot Visual QuickStart Guide も配っていた。正直のところ人々が惹かれていたのは Palm III だ とは思うが。

<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0201353903/tidbitselectro00A/>

よりよいベータを目指して -- TidBITS では通常ベータリリースについ ては報じない事にしているが、今回は 2 つの理由から新しい Palm Desktop については例外としたい:長いこと待たされたこのソフトウェアに対する 待望感はすごいものがあり(最初のリリースでは高トラフィックのために Palm 社のサーバはこけてしまった)、Macworld Expo で展示されたいくつ かの製品も Mac オーナーの Palm 携帯機の使い方を拡げてくれる確信を与 えてくれた。

現在 2 回目のベータリリースである Palm Desktop 2.1 が Palm Computing 社のサーバからダウンロードできる - 8.9 MB である。Claris Organizer の最新の PIM 機能に加えて Palm Desktop では携帯機のデータとやり取り のできるモジュールを開発者が書けるようにする新たなオープン・コンデュ イット・アーキテクチャを提供している。最新版 (number 34) では多くの バグ修正がなされているので最初のベータ版を使っている人はアップデー トすべきである、もちろんこれはまだリリース前のソフトウェアでありわ かっているバグもまだ含まれていることを認識した上での話ではあるが。 例えば、ユーザーからは Date Book 上で繰り返しイベントの扱いがおかし いとか、ある記録が他の備え付けの Palm アプリケーション上で複製され てしまうとかの報告が上がっている。

<http://www.palm.com/macintosh/>

Claris Organizer 上の住所録やカレンダーを共有できるのもうれしいが、 オープン・コンデュイット・アーキテクチャには本当にわくわくさせられ る。

Palm は トライコーダ機能に近づいている -- 最初の Pilot の発表以 来、人々は Star Trek に出てくる携帯機、脚本が要求するいかなるもので も即座に分析できるトライコーダとこの Palm 機とをダブらせてきた。 Imagiworks 社は PalmPilot と Palm III の底部にくっついてフィールド でのデータ収集と分析を可能にするユニット imagiLab を展示していた。 Imagiworks 社のブースでは循環する滝がしつらえてあり参加者は水温を測 定できる様になっていた。Palm III から同期を取った後、収集データは AppleWorks のスプレッドシートにマージされ、そこから先は簡単にグラフ 化したり、分析したりエクスポートしたりできる。

<http://www.imagiworks.com/>

経費とメール -- オリジナルの Pilot Desktop 1.0 は 4 つの組込アプ リケーション (Date Book, Address Book, To Do List, そして Memo Pad) をサポートしていたが、Windows Palm Desktop では結構前からサポートし ている Expense と Mail はサポートしていなかった。

Shana Corporation 社は Informed Palm Expense Creator をデモしてい た。これはコンデュイットでありデスクトップ・アプリケーションでもあ るが、PalmPilot から経費データを抜き取りいくつかの既成の経費報告テ ンプレートに流し込むというものである。Basic 版は無料だが、Advanced 版はフォームカスタマイズや集計報告の様な機能を含んでいる。Shana Web サイトにある 11.4 MB のインストーラは両方のバージョンをインストール し、24.95 ドルでオーダーすれば Advanced 版を動くようにすることがで きる。

<http://www.shana.com/product/palm/>

Actual Software 社も 30 ドルの MultiMail Mac Conduit Pack をデモし ていた。これはEudora (Pro および Light 双方とも) と Actual Software 社の Palm メールプログラムである MultiMail Pro か Palm OS の Mail プログラムとの間で同期を取る事ができる。

<http://www.actualsoft.com/>

タイプしたい -- LandWare 社ではその良く設計された GoType キーボー ドに多くの注目を集めていた。私は Expo に参加する前に購入して PalmPilot を PowerBook よりもずっと軽い代替手段として使っていた。こ の 80 ドルの GoType はパッテリを必要とせず PalmPilot か Palm III を ドックするためのシリアル接続が用意されておりそのままミニチュアのラッ プトップとなる。欠けているものと言えば、フィールドとかレコードの間 をタブしたいときにスタイラスを使わずにやる方法が無いことぐらいである。

<http://www.landware.com/products/gotype/gotypeps.html>

次に来るもの -- Expo での Palm に関する最後のハイライトは Palm Computing 社の Macintosh 製品マネジャーの Doug Wirnowski 氏に会い次 期製品である Palm VII オーガナイザのプロトタイプをいじらせて貰った ことである。( TidBITS-458 の“Mac Palm Desktop ベータ版公開と Palm VII ニュース”参照)新ユニットは現在フィールドテスト中で 1999 年の 第 3 四半期のどこかで出荷と期待されている。注目すべきは、計画中の無 線加入者サービスの Palm.net へのアクセスが組み込まれている事である。 匡体は透明なプラスチック製で、プロトタイプは Palm III とほぼ同じサ イズとデザインで、先端部分が約 1 インチ長くなっておりそこに無線部分 を収納している。アンテナは本体の右側に収納され、先端の接続部で首振 りする様になっている;アンテナがあげられると、Applications スクリー ンが自動的に Palm.net グループに属するプログラムを表示する。

<http://www.palm.com/pr/palmvii.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05202>

Web ブラウザでインターネットにアクセスする代わりに、Palm VII は“Web クリッピング”と呼んでいる技術を使用している。これを試してみるのに、 MapQuest 社の道順案内サービスにつながっている小さなアプリケーション に、私の自宅と事務所の住所を入れてアクセスしてみた。Palm VII は Palm.net につながり結果をダウンロードしそして接続を切った。経験した 小さな問題は安定した接続を得ることであった - Moscone Center の地下 にある Expo 会場からでは驚くには当たらない事かもしれない。この無線 機能以外は、Palm VII はPalm III と同じスペックで、スクリーン、プロ セッサ、そして 2 MB のメモリー等である。

<http://www.mapquest.com/>


Tristan Mackay Engst をよろしく

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

TidBITS で一番気に入っているところは人間味があることだと Apple に勤 める友人が以前話してくれた。月日とともに私たちも成長しているという ことがその理由の一つだろう。Tonya と私がもともに 22 歳だった1990 年 に TidBITS はスタートし、それ以降毎週発行して今に至っている。その 間、我々は結婚し、シアトルに移り、インターネットに接続し、少しばか り売れた本も書き、引っ越しをし、空き巣にもあった。TidBITS を通して 多くの人と知りあい、なかにはとても親しくなった友もいる。そして去年 オーストラリアで半月という長い休暇を過ごし、インターネットで知りあっ たパースの友に直接会った。

<http://www.tidbits.com/adam/australia-98.html>

Tristan Mackay Engst 誕生 -- 何の話をしたいのかというと、つまりは 全く個人的な出来事なのだが、Tonya と私にとって第一子となる Tristan Mackay Engst <tristan@tidbits.com> の誕生をみんなにお知らせしたいの だ。Tristan はこの 1 月 9 日土曜日に、ワシントン州の Kirkland にあ る Puget Sound Birth Center で生まれた。体重約 2700 グラム、身長約 46 センチだった。そしてもちろん、冷静な目で見てもとても可愛い。 Tristan と Macintosh の繋がりの手始めでもある下記の Web ページに写 真がある。

<http://www.tidbits.com/tristan/mac/hello.html>

今回の出産と先日のサンフランシスコでの Macworld Expo の関係は切って も切り離せないものとなった。私が Expo に向かった時、Tonya は予定日 を 1 月 28 日に控える妊娠 37 週目だったのだ。シアトルに飛び戻るよう なことにはまずならないだろうと思いながらも、Tonya がいつでも私に電 話できるようにと携帯を持って行った。Tonya はちゃんとした食事と運動 を心がけていたし、健康にも恵まれていたこともあって、それまの経過は 実に順調で平均的なものだった。

Expo の出だしの頃は問題なかった。Tonya はどうしたのかと聞かれるたび に、「家にいるよ。今妊娠 37 週目なんだ。」と答えることを楽しんでい たぐらいだ。それが、Expo 最終日である金曜の朝早く、Tonya からの電話 で起こされた。前夜は Mac the Knife のパーティに行き、朝の 2 時半ま で友人と話していたため、少々ぼーっとしていたのだが、週末に姉のとこ ろへ行くのを中止して夕方に空港に向かうことになるかもしれないような 予感が胸をよぎった。その日の午後 Tonya から再び電話があり、私は夜 9 時には自宅に戻った(途中、妻の陣痛が始まったのだと言っても、私が 35 ドルの予約変更料金を払うことをいぶかしがる航空会社の職員との一幕 などあったが)。実際 Tonya の陣痛は始まっており、そのためその夜は二 人とも寝ることができなかったのだが、そこでできた時間をバースセンタ に行く準備や、ちょっとした家の掃除に使った。

朝 7 時、バースセンタに行く時が来た。一時間後に到着した時、Tonya の 子宮口は 8 センチ開いていた(出産に詳しくない方のために、全開は 10 センチである)。二人で浴槽に飛び込む。ここのバースセンタの助産婦達 は薬を使ったりしないし、幸い今回のような正常な分娩ではその他の医療 的ものも必要なかった。私と助産婦さんとドゥーラー(出産についての知 識の豊富で、妊婦にとって欠かせない存在)に助けられながら、Tonya は それから 4 時間もしないうちに出産を終えた。二人とも感情的になりやす いタイプではないし、今回の出産によって我々の生活が全く変わることも ないだろうが、それにしても素晴らしいことだった。「これは生態的瞬間 だ」と叫ぶアナウンサーの気分だった。

バースセンタや産科学に関心がある方、私たちがいた部屋(Room 2)の写 真が見たい方は、下記のサイトを訪れた頂きたい。バースセンタは是非と も経験していただきたい。

<http://www.birthcenter.com/>

人間関係について -- 妊娠と出産に関して様々な面から実に多くのこと を学んだ。特に助産婦さんは私たちが何かの決定を行わなければならない 時、そのたび毎に最新の産科学知識を与えてくれた。さらに、Tristan は 予定より 3 週間早く生まれたこともあり、私たちはまだ準備万端ではな かった。私たちは計画的な人間で、予定日までにまだいろいろ買いそろえ たり、出産前祝いパーティを行ったり(Tristan が先に生まれたので、後 祝いになってしまった)、ベビーベットを置くように寝室を模様替えした り、Geoff や Jeff に TidBITS の作業を引き継いだり、その他のプロジェ クトを一時的に凍結したりなどする予定だったのだ。だから、今私たちは 他のことに目もくれないでなんとか切り抜けようと、そして少しでも睡眠 をとろうとしているところだ。それでも、Geoff と Jeff の二人がいなかっ たら TidBITS を続けるのは不可能だし、衣類などベビー用品を買ってきて くれた友人達は神の助けのようであった。

今回、子供を作るということは、広い意味での社会的行為であるというこ とを学んだ。子供を作ることで、社会に、また遺伝子の存続に貢献する。 そして自分たちの文化を分かち合うということにもなるだろう。わが子は 将来何になるだろう。作家、配管工、彫刻家、リーダー、大工、教師。あ なたのお嬢さんをデートに誘うかもしれないし、あなたと子供を作ること になるかもしれない、風邪の治療をしてくれるかもしれない、あなたの家 にシンクを取り付けに行くかもしれない。彼は我々の仲間入りをした。

私が 11 歳ぐらいの時、私の大おばさん Irene Gutchess に言われた言葉 を息子にもぜひ伝えたいと思う。私は彼女から「大人になったら何になり たい」という大人が子供によくする質問を受けた。正直に「わからない」 と答えたところ、彼女から「何になるかは問題じゃないのよ。ほんの少し でも世の中がよくなるようなことをすればそれでいいの。」と言われほっ とした。

テクノロジーについて -- Tonya も私もかなりのハイテク人間で、家中 に Mac がありインターネットの専用回線に繋がっているのだが、テクノロ ジーがふさわしい時、ふさわしくない時というものもわかっている。 Tristan がコンピュータに興味を示す前に押し付けようというつもりはな い。また特に彼がインターネットをどんなふうに受け取るか興味がある。 私たちにとって、家の中のどのコンピュータからいつでもアクセスできる というのは暮らしの中で当たり前のことになっているのだ。

Tristan と同世代のほかの子供では、インターネットはちょっと違う存在 になるかもしれない。彼用のメールアドレスを用意し、現在動かしている 4 つの家族内メーリングリストに登録したばかりでなく、彼の日々の成長 を読むことができる親戚や友人用の Tristan Updates というリストも用意 して登録した。彼がそれらのメッセージを読み理解できる年齢に達した時 に、ただの成長の記録としてではなく、広い意味でのファミリーというも のをそこから感じ取ってくれるのではと思う。私は大人になった時、そし て Tonya と子供を作ろうかどうかという話し合いを始めた時、自分の子供 の頃のことをもっと知りたいと思った。Tristan が歩む人生の中で折々こ れらのメッセージが役に立つ時あるのではと思う。

言うまでもないかもしれないが、私たちは自分が関心を持ったことを TidBITS に書いているので、近い将来、教育的なソフトや子供用のソフト について記事にすることが増えるのではと思う。今まではとても評価でき なかったのだが、家の中にテスターとなってくれる子供がいるので、とっ ても楽しいものになるのではないだろうか。

Tristan のためのお願い -- 日ごろはあまり読者の方にお願いをしない ようにしているのだが、今回はあまりにも素晴らしい機会でもあるので、 ひとつリクエストしたいと思う。数多くの TidBITS の読者の方の知識と人 生経験を集めると素晴らしいリソースになるだろう。そこで、その一部を 私たちそして Tristan に話していただけないだろうか。下記に挙げた中に 意見をお持ちの方は、<tristan@tidbits.com> 宛にメッセージを送ってい ただきたい。

コミュニティにおけるインターネットの影響がしばしば議論されるが、コ ミュニティというものは我々が作るものなのだ。Tonya と私は長年インター ネットコミュニティという考えを指示し貢献しようとしてきた。あなたの 知識と人生経験を Tristan に語ることで、彼がインターネットコミュニ ティが何者であるかを理解する助けになるだろうし、同時に彼をインター ネットコミュニティに迎え入れることになる。私たちは Tristan 宛のメッ セージに目を通すだろうが、スパム以外のものはすべて残しておく。

最後に、今私たちは小さな人間とどうやって暮らすかということで手いっ ぱいの状態だ。メールは読むし皆さんからの便りを楽しみにしているもの の、落ち着くまではなかなか返事が書けないかもしれない(もう少し睡眠 もとらなければならないし)。ご協力お願いしたい。また皆さんからの温 かい言葉は貴重なものとしてありがたく受け取らせていただくことになる だろう。


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