TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#985/06-Jul-09

今週はメインの記事が三つある。まず、Adam が新登場の Firefox 3.5 をじっくり観察し、その新しい諸機能がどうなのかを見る。第二に、Jeff Carlson が、スクリーンが割れてしまった妻の iPhone 3G をどうやって修理したか、その手順を順を追って紹介する。それから第三に、Adam が新しい TidBITS Commenting System (TidBITS サイトのコメント書き込みシステム) を披露する。読者自身が、TidBITS 記事に対して手軽に直接コメントを書き込めるようになったのだ。他の記事では、Steve Jobs が仕事に復帰したことと、多数の Garmin GPS 機種に重要なアップデートが出たことをお伝えする。今週の注目すべきソフトウェアリリースとしては、PasswordWallet 4.4.7、Cocktail 4.4、PDFpen 4.1.4、iPhoto 8.0.4 Update、Nisus Writer Pro 1.3、MacSpeech Dictate 1.5.2、Typinator 3.5 と MacBook Air SMC Firmware Update 1.2 がある。

記事:

----------------- 本号の TidBITS のスポンサーは: ------------------

---- 皆さんのスポンサーへのサポートが TidBITS への力となります ----


Take Control ニュース: 5割引セールは 09 年 7 月 7 日まで

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

TidBITS の号を読むのがちょっとだけ遅かったという声を聞くことはよくあるので、先週号でご紹介した5割引セールのことを、聞き逃した方のためにもう一度だけお知らせしておこう。すべての Take Control 電子ブックと Macworld スーパーガイドを 5割引で販売する特別セールは、09 年 7 月 7 日の火曜日までだ。詳しくは先週号の記事“Take Control 特別セール:全ての電子ブックが5割引”(2009-06-29) をご覧頂きたい。[訳者注: この号の英語版が出た月曜日はまだセール中でしたが、翻訳作業中にセールは終わってしまいました。申し訳ありません。]


Apple: Jobs、業務(ジョブ)に復帰

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>

Apple は多くのメディアにプレスリリースを配信し、Steve Jobs CEO は、6ヶ月の療養休暇を終えて予定通り業務に復帰したと報じた(記事 "Steve Jobs、六月まで療養休暇を取る" 2009-01-14 参照)。広報担当者の Katie Cotton によれば、当面の間、週の幾日かは Apple の Cupertino キャンパスで仕事をし、残りの日にちは彼のホームオフィスで仕事をする予定だ。Jobs の不在中は、Apple COO の Tim Cook が定常業務を処理している。

Jobs によれば、彼の療養休暇は肉体的に痩せる不特定のホルモンバランス障害に対処する必要があった。最近では、彼が Methodist University Hospital Transplant Institute of Memphis(テネシー)で肝臓移植を受けたことが明らかになっている。Jobs の許可を得て、 病院は処置が行われたことを発表 したが、それが何日であったかは示されていない。

TidBITS の我々としては、Jobs が時宜を得て、望むべくは健康になって Apple に復帰するのを見るのは嬉しいのだが、彼の健康上の絶え間ない噂には心痛が残っている。Jobs がビジョンとマーケティング手腕を Apple にもたらすことに疑問はないが、過去6ヶ月間の同社の業績は必ずしも彼が絶対不可欠な人ではないことを示している。その間に、Apple のホリデーシーズンを含まない四半期として過去最高の売上高と利益を報告し、iPhone 3GS と iPhone OS 3.0 さらに Mac 製品の全ラインを大幅に刷新して出荷しており、一株当たりの株価は 80 ドルの下から 140 ドルを越えて上昇している。これらは、カリスマリーダー不在で必死になって頑張っている会社の活動ではないだろう。


Garmin 広範な問題に対処するソフトウェアアップデートを発行

  文: Doug McLean <[email protected]>
  訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>

GPS デバイスの巨人 Garmin は、レンダリングが役立たずにまたは全く動作不能になってしまう広範なアップデート上のバグを修正する強制アップデートを発行した。このバグの影響を受けた GPS ユニットは繰り返してファームウェアのアップデートを試み、シャットダウンするか、GPS 衛星信号の受信を喪失する。影響を受けるデバイスには、nuvi 7x5 シリーズ、nuvi 800 シリーズ、nuvi 8x5 シリーズ、zumo 660、GPSMAP 620、GPSMAP 640 が含まれている。

もしあなたが、Garmin nuvi 7x5 シリーズデバイスをお持ちで、もはや GPS 衛星信号を受信できなくなっている場合は、Garmin の WebUpdater 経由で即座にファームウェアアップデートをダウンロードすればよい。影響を受けているその他の Garmin デバイスの所有者については、まもなく、それらのアップデートにアクセスできる予定で。また WebUpdater 経由でも可能になるだろう。登録ユーザーはこれらのアップデートが入手可能になり次第電子メールで通知を受け取るだろう。

またその一方で、あなたの Garmin nuvi 7x5 シリーズがもはや電源を投入できなくなっているなら、ユニットを Garmin に返送して保証修理を受けることができるよう返品確認番号が必要だ。返品確認番号の請求手続きは、tGarmin の Knowledge Base にあるページに手順がリストされている。


TidBITS Commenting System の導入

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Minori Goto <minorig@gmail.com>

何週間もの討論、デザイン、開発段階を経て、Glenn Fleishman、Jeff Carlson そして私は新しい TidBITS Commenting System (TCS) を披露できることを喜ばしく思う。多年に渡って、私たちの記事についての討論のためには TidBITS Talk メーリングリストを使ってきた。これを、私たちの記事へもっと密接に統合しようと試みてきたが、常時手を入れる必要のない、確実で一貫した形式で電子メールとウェブベースのコンテンツマネージメントシステムを接続するのは困難だ。

そうこうしているうちに、他のほとんどすべてのウェブ発行物やブログがコメント機能を加えた。しかし、コメントシステムは、発展上での困難を乗り越えなくてはならなかった。これらの困難は主に、スパムボットや troll に対処する必要から起きたものである。そして、もうその気もおこらない多くのコメントシステムを利用するのは、十分な負担となってきたのだ。(Troll とは、他の人たちを挑発して口論やけんかを起こすことを特に目的としている人たちだ。彼らが自ら述べている意見は、全く本気からでないことがよくある。)

だから、コメントシステムの中にどのようなものを含めたいのか思考し、多くの検討とデザインテストの末、これはと思えるものを私達は生み出すことができだ。それはテスト段階と先週そっと行われたリリースで大変良く機能した。そして、更に多くの人が利用し始めるにつれて、それがどのように発展していくか私たちは見ていくのだ。

TidBITS のホームページとセクションの各ページ上に記事の要約があるのだが、それぞれの記事要約下のメタデータラインに、コメントの数が表示されている。全文記事の一番上にも、コメント数は現れる。どちらの場合でも、"Comments" という単語をクリックすれば、記事の下に付いているコメントセクションへ行けるようになっている。

軽量だが安全 -- TCS においての私たちの一番の目的は、使い易いということだ。Twitter は大変成功してきたが、これは主として tweets (つぶやき)を投稿するのがとても簡単であるからだ。ユーザは、どれだけ書いたらよいか、どのように文をフォーマットするかなどと心配する必要がない。そして、tweet はすぐに表示される。私たちは今まで TidBITS Talk のディスカッションリストにモデレーターとして、莫大な時間を注いできたので、私たちの介入なく、投稿がすぐ表示されるシステムが欲しかった。モデレーションは、スパムをストップしたり、議論が話題からそれぬようにするために役立ったが、読者の投稿が表示されるまで、何時間も何日も読者を待たすのは理想的ではない。

もちろん即時投稿においての問題は、コメントスパムだ。ユーザがクリックするように誘い、検索エンジンのランキングをわざと上げる手として、スパマー達はコメントシステムをリンクだらけの投稿で一杯にするだけのコメントボットをプログラムする方法を考えだした。私達が見たほとんどのコメントシステムは、ユーザが投稿の度に CAPTCHA をタイプすることや投稿する前にアカウントを設定することを要求してこれに対処している。 CAPTCHA もアカウントも場合によっては便利で理にかなっている。しかし、ちょっとしたコメントのためには、どちらも私達が TCS で使うには手が込みすぎている。(読者が tip を投稿したり、TidBITS の筆者にメールを送りたい時には、私達は CAPTCHA を使用している。)

この代わりに、 "Add a comment" リンクをクリックして初めて記事へコメントする時は、コメントに加え、読者の名前とメールアドレスが尋ねられる。そして、TCS は電子メールのメッセージを読者宛に作成し、サイトにコメントが投稿できるよう読者にメッセージ中のリンクをクリックするよう要請する。このリンクのクリックによって、読者が入力したメールアドレスが正当なものかまたそれが実際の読者のアドレスか私達は確認できる。このようにして、その読者の投稿をサイトに表示できるか私達は確信できるというわけだ。もちろんこれでは、troll をストップすることはできないが、下の段落で、私達がこの問題にどう対処できるか詳細に説明しよう。

コメントする度にメールを通して確認するのは面倒だ。だから、TCS は読者が確認リンクをクリックする際に、読者のウェブブラウザにクッキーの設定もする。このクッキーのおかげで、TCS は読者が同じウェブブラウザを使用し、クッキーを削除しないかぎり、読者が誰であるかわかり、それ以後のコメントでは確認を必要としないのである。コメント投稿もさらに簡単となる。というのも、身元を確認されているユーザは Post Comment のダイアログに名前とメールアドレスを入力しなくてもよいからだ。

もし読者が他のコンピュターやブラウザからコメントを投稿すると、メールを介して確認を再度しなくてはならない。しかし、読者が同じメールアドレスを使っているかぎり、TCS はいろいろなブラウザでもその読者が同一人物だとわかる。これが機能するために、私達はメールアドレスをデータベースに保存しなくてはならない。しかし、このメールアドレスは如何なる場合にもけっして表示されない。だから、スパマーによって回収される心配はない。私達が、どのように個人的情報を扱っているかを知りたければ、私達のプライバシーポリシーを参照していただきたい。

私達は身元確認済みのユーザが自分の投稿を編集できるようにしているので、この軽量で使い易い身元確認機能を維持することは大切だ。例えば、読者がコメントを提出し、それが掲載されるやタイプミスに気付いたとする。Edit ボタンをクリックしてすぐにそれを訂正し、編集したコメントを再投稿できる。自分自身の投稿を編集できる機能は 7 日間有効だ。その後は、TCS が投稿をロックしてしまう。

Glenn が最終段階で加えた、もう一つのちょっとした便利なトリックがある。もし読者が自分の名前を間違って入力したり、実際ウェブページに掲載されてから見てみると思ったよりかしこまった、あるいはくだけすぎた感じで名前を入力したとしたらどうだろう。名前をクリックして(マウスをその上に持っていくと、かすかな黄色のハイライトが表れる。)新しい名前を入力するだけでよい。とても簡素で控えめなのだ。

スレッドされたディスカッシェン -- TCS における私達のもう一つの目的はスレッドが立てられるようにすることだ。しかし、ここでもまた軽量で簡単な形で。コメントシステムのなかには、すっかり平べったく広がっているものもある。これは各記事へのコメントが比較的少なく、コメントがあまり互いに参照し合っていない時にはよい。しかし、一旦多くのコメントが投稿され、それらコメントが互いに参照し合い始めると手が負えなくなる。(しかも、電子メールでの手動的な引用方法がこれにはよく使われている。)スレッドされたシステムはあまり一般的ではない。たぶんコードを書くのが難しいためだろう。またスレッドされていても、読みながら頭の中で関連したメッセージを分別するのが困難な、デザイン上の問題を抱えているシステムがよくあるのだ。

TCS では幾つかの方法で、わたしたちはこれらの懸念に取り組んだ。コメントを一番上に加えるには、記事の一番下にある、"Add a comment" リンクをクリックする。しかし、あなたが特定のコメントに返答したい場合は、その代わりにそのコメントの Reply ボタンをクリックする。すると、あなたのコメントは、返答したコメントとすでに投稿された他の返答の下にインデントされる。バックグラウンドの色も違ったものになる。

このための Jeff のデザインは意図的に簡素になっている。彼は、サイトの色彩配合にマッチする二色の薄いバックグラウンド色を生み出し、スレッドの段落別に違う色を使用している。一番上のコメントには常に薄紫が使用され、二段目の返答には水色、三段目の返答にはまた薄紫というようになっている。これには特定のコメントの返答をさりげなく分類し、アウトラインで強調しすぎることなく、レベルが変わったことを明確にする効果があるのだ。

特にスレッドに関連しているのではないが、私達はまたコメントに 1000 字までの制限を付けた。こうしたのは、読者があまりたくさん書かないようにするというよりは (この効果は確かにあるのだが)コメントを短く要点をしぼって書くよう促すためだ。記事の中の一点を上げるためや、ほかの幾つかのコメントに返答するための長いコメントを一つ書くかわりに、コメントスレッドの体系を維持するために、必要に応じて他のコメントに直接返答しながら、話題別に短いコメントを投稿されるよう、私達は読者にお願いしたい。

現在のところ、返答を一番始めのコメントの中に折り畳むことはできないが、スレッドが長くなり、凝縮する必要が出てくれば、これを加えることを検討するつもりだ。

悪用行為を防ぐ -- TCS おいて、最後のデザインゴールは、コメントスパムや troll に私達自身をさらさずに使い易さを維持することだ。私達の悪用予防機能には以下のものが含まれる。

正直なところでは、私達のコメントをフェアで、すっきりとさせている主な要因は、TidBITS の読者である。他のサイトで私が見る(あるいは私の同僚の苦情で聞く)行為には私も悩まされてきた。しかし、TidBITS Talk や TidBITS 読者から直接メールで来る反応には、そのような問題がないのである。全般的に言って、TidBITS 読者は、私達が書いた意見には賛意しない時でも礼儀正しくて思慮深いのだ。

だから、私の希望はベテラン TidBITS 読者による思慮深い役に立つコメントが気風を設定してくれて、新しい読者も同様に応じてくれることだ。そして、もし私達が中傷的なコメント、あるいはあまりにも話題外のものや不快極まるものを見た場合は、気が付き次第削除してしまうつもりだ。

TidBITS Talk の未来はいかに -- TCS のリリースにより、 TidBITS Talk メーリングリストはこの先どうなるのかという質問が出てくる。今のところ、何も変わることなくメーリングリストは続けられるが、メールサーバーに施された幾つかの変更と TCS にトラフィックを流すことで、加入ユーザの投稿のモデレートの必要がなくなるよう願っている。加入者リストの中にない読者の投稿はまだチェックするつもりだが、これは主にスパムを防ぐためだ。

TidBITS Talk がより密接な討論の場所として有用性を持ち続けると私達は予想している。ここでは、記事にはあまり関係しないトピックや私達がまだカバーしていないトピックについて討論できるだろう。そういうわけで、近い将来 TidBITS Talk に変更を施す予定は全くない。そして、様子を見ながらこれから先、進んでいくつもりだ。

将来のプラン -- 将来の TCS にどのようなものを加えたいかのリストを私達はすでに作り始めた。例えば、電子メール版にコメントリンクを含むこと、記事へのコメントを記事の筆者に知らせるオプション、新しいコメントをユーザレベルで通知すること、そして Twitter へのある種の統合などだ。これらはまだアイデアの段階で、私達は他のアイデアも検討するつもりだ。だから、あなたにもし提案があるのなら、コメントを送っていただくようお願いする。


Firefox 3.5 が性能、プライバシー、標準化サポートを改善

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mozilla が Firefox 3.5 をデビューさせた。オペレーティングシステムのメーカーと独立なものでは最も人気あるウェブブラウザの、大きなアップデートだ。この新しいブラウザの謳い文句は「より速く、より安全、より賢く、より良い」だ。初期のテスト結果で判断する限り、その新機能や拡張された諸機能はその言葉通り、従来から既に良かった使い勝手をさらに改善しているように見受けられる。

より速く -- Firefox 3.5 には TraceMonkey という新しい JavaScript エンジンが含まれる。これは Firefox 3.0 に比べて最大二倍、Firefox 2 に比べれば十倍以上のパフォーマンスを提供すると言われている。(TidBITS サイトを訪問する人たちの中で、今もまだ Firefox 2 を使っている人はほとんどいないようだ。)

Mozilla は Firefox 3.5 と Safari 4 を比較するチャートを出しているけれど、そこにパフォーマンスの比較は載っていない。これはつまり、スピードの一位は依然として Safari 4 ということなのだろうと私は思う。それでも、Firefox 3.5 ははっきりと以前よりきびきび動くようになった。特に、例えば Google Docs のような JavaScript を多用するサイトで違いが感じられる。TidBITS サイトでさえも、以前より高速になった。これは、機能を追加し使いやすさを高めようと、私たちがますます JavaScript を利用するようになってきたことからも納得できる。

全般的なページのレンダリング速度も速くなった。これは、新バージョンの Gecko エンジンに「推測的構文解析」が装備され、リソース(例えばスクリプトなど)がページの他の部分と並行してロードできるようになったからだ。現実には数多くのボトルネックが存在していて標準的なユーザー体験はさまざまに変わるものなので、私はそもそもページレンダリングのベンチマーク結果というものを信用していないが、少なくとも私が短期間 Firefox 3.5 を使ってみた感じでは、はっきりと以前より速くなったと思う。

より安全 -- セキュリティはますますインターネットでの重要度を増しつつある。Firefox はずっと以前から、 本質的なセキュリティ機能を数多く装備してきた。例えば、ポップアップのブロック、フィッシング詐欺サイトのデータベースの絶え間ないアップデート、脆弱性を修正するための自動化されたアップデート、サイト情報の詳細表示 (アドレスバー上のサイトの小アイコンをクリック) などだ。

Firefox 3.5 での新機能としては、 プライベートブラウズモード (Tools > Start Private Browsing) がある。このモードでは、ウェブ閲覧履歴、フォーム入力、検索、ダウンロード、パスワード、クッキー、キャッシュファイルが記録に残らない。(ただしこのモードでもあなたが作ったブックマークは保存される。)プライベートブラウズモードへの出入りは簡単にできるので、知りたがりやの子供たちにあなたが誕生日のプレゼントをどこで買い物していたかを見られたくないと思って使ってもほとんど不便な点はない。(もちろん、これを皆さんが本当はどんなことに使うのかは十分承知しているが、これは家族向けの出版物なのだということを忘れないで頂きたい。)

たとえあなたがプライベートブラウズに切り替えるのを忘れていたとしても、少なくとも Firefox にあなたがどこを訪れたかを忘れさせることはできる。これも Firefox 3.5 での新機能だが、ちょっと見つけにくい場所にある。まず History > Show All History を選んでから、Library ウィンドウが開いたら、Firefox に忘れさせたいサイトを探す。それを見つけたら、そのサイト名を Control-クリックして、そこで開くコンテクストメニューで Forget About This Site を選べばよい。すると、そのサイトがあなたの閲覧履歴から消去される。ただしクッキーは(あるいはフォーム入力など、他の情報も)そのまま残る。

また、Firefox 3.5 は従来の Clear Private Data ダイアログを Clear Recent History ダイアログ (Tools > Clear Recent History) に変換する。この新しいダイアログでは、どの時間範囲のデータを消去するかがコントロールできるようになった。例えば、共用のコンピュータであなたが過去数時間のうちにしていたことのデータをクリアしたいような場合にぴったりだ。

Clear-Recent-History

より賢く、より良い -- これらの謳い文句で Mozilla が何を言おうとしているのかを見定めるのはちょっと難しいが、報道によれば Firefox 3.5 での改善点として、“Awesome Bar”(アドレスフィールドで、あなたがほとんどどんなことでもタイプすれば何か意味のあるものが出てくる)、ブックマークにタグ付けする方法、非常に便利なセッション復帰機能などがあるという。具体的にどのような変更がこれらに施されたのかははっきりしない。より具体的に分かっているのは Firefox のタブブラウジングの改善だ。今回から、タブをウィンドウの外へドラッグすれば、そのタブの内容が新規ウィンドウで開くようになった。これは、Firefox 3.0 で明らかに欠けていた機能だった。

それ以外の Firefox 3.5 での新機能として、 ロケーション対応ブラウジングがある。これは、あなたの位置についての情報をウェブサイトとの間で共有できるというオプションだ。Mozilla は Google の人気に便乗している訳で、Google は Geolocation API を開発し、これを W3C 標準化団体に提出している。iPhone アプリと同様、ウェブサイトがあなたのロケーション情報にアクセスを要求を出す度にあなたに確認してくるので、プライバシーに関する心配は要らない。

Geolocation は、あなたの IP アドレスのチェックと、あなたのコンピュータの近くにあるワイヤレスネットワークのスキャンとの両方を使って動作するので、その正確度は場合によって異なり、数メートル程度のこともあれば数キロメートルの誤差が出ることもあり得る。(私が自宅の中のコンピュータで使ってみた限りでは、この機能が私の位置について知り得たのは私がニューヨーク州 Ithaca にいるということだけだった。)

ウェブサイトがあなたの位置についてあなたのブラウザから JavaScript 経由で情報を要求することも可能だが、あなたがページをロードした時にこれを尋ねてくることはまずありそうにない。より可能性があるのは、あなたが例えば「店の場所を探す」とか「私は今どこにいる?」といったリンクをクリックした場合だ。すると、Firefox はロケーション情報のリクエストをページの一番上に表示する。これは、パスワードを保存するかどうか尋ねてくるのと同じような感じだ。

Location-query

私から見れば、ロケーション対応ブラウジングと言われてもそれほど重要なものとも思えない。私が場所特定の情報を必要とする状況はと言えば、通常私が仕事場とは別の場所にいて、そこでの私は iPhone を使っているだろうからだ。それに、たとえ MacBook を持って旅行中だったとしても、場所の情報が必要となれば私はまず iPhone に手を伸ばすだろう。けれども、ロケーション対応の携帯電話を持っていない人にとっては、知らない場所でコーヒーショップや図書館、ホテルなどのネットワークを利用しているような場合に、この機能を便利に使えるかもしれない。

また、Mozilla は Firefox が最新のウェブ標準をサポートすることを目指して多大な努力を注ぎ込んだ。Firefox 3.5 では、ダウンロード可能フォント、HTML 5 のオーディオおよびビデオ要素、HTML 5 のオフラインリソース仕様、ウェブサイト内部およびサイト間のドラッグ&ドロップ、メディア依存スタイルシート用の CSS メディアクエリー、ウェブアプリケーションを高速化するマルチスレッド、などのサポートも追加された。従来と同様、これらの改善点もあなたが使うサイトのウェブ開発者たちがそれらの機能を採用しなければ何の意味もないし、その種の変更は多くの人たちが古いブラウザからアップデートするに至っていない(あるいはアップデートできない)という事実のために実現が遅れる傾向にあることも確かだ。

Safari 4 と比べれば -- 私は Mac を使っているので、Mozilla のサイトでは Firefox 3.5 と Internet Explorer 8 の比較でなくて Firefox 3.5 と Safari 4 の比較が表示された。それによれば、Safari 4 は最新のウェブ標準に関しては非常に良い仕事をしているが、セキュリティの脆弱性に対する反応の速さや、アドオンの個数、順応の能力などの点では Firefox に一日の長があるという。

Firefox-vs-Safari

これは公平な比較と言えるだろう。Firefox へのセキュリティアップデートは実際 Safari へのアップデートよりも素早く登場する。Firefox にはその機能を拡張するためのアドオンがはるかに多数存在している。それに、Firefox の“Awesome Bar”は Safari の“Smart Address Field”よりも実際はるかに優れている。Firefox のアドレスフィールドに何を入力しても、何か意味あるものを表示してくれる(ブックマークや最近訪れたサイトを表示したり、正しいサイトを直接開いたり、あるいは Google 検索を走らせたりする)からだ。それに対して、Safari 4 のアドレスフィールドにタイプしても、ブックマークや履歴にしかアクセスできないし、それも名前やコンテンツからでなく URL を使ってしか選ばれない。

私は Safari 4 の高速性が好きだが、それでも私は Firefox 3.0 を使ってきたし、今は喜んで 3.5 を使っている。私の目的にあったブラウザを選択する上で、Firefox の“Awesome Bar”(「素晴らしいバー」って、私はどうしてもこれを括弧抜きで書く気にはなれない) が主な決定的要因となる。私はライターなので、私の頭は単語でものを考え、それが私の指を通じてキーボードに指令される。だから、テキストを使ってウェブをナビゲートすることが私にとって重要なのだ。私にとって重要なことがもう一つある。それは、再起動した際に自動的に以前のセッションを再現してくれる Firefox の機能だ。Safari も History > Reopen All Windows From Last Session (最後のセッションの全ウィンドウを開く) コマンドがあるが、再起動ごとにいちいちそのコマンドを思い出さなければならないのは辛い。

という訳で、皆さんにも Firefox 3.5 を一度見てみることをお勧めする。少なくとも、良くないコードを使ったサイトへの対処に備えて、複数個のウェブブラウザを持っておくのは良いことだろう。また、ウェブページがどのようにレンダリングされるかをテストする際、あるいはログインしている時としていない時でサイトの挙動がどう違うかを調べたい際などにも、複数のブラウザを持っていれば便利だ。

でも、ここで一つ提案したいことがある。これまで私がブラウザ間で切り替えるのをためらってきた一番の理由はブックマークだった。私はそれほど多くのブックマークを使っていないが、持っているブックマークには非常に強く依存している。そこで、Xmarks という無料のユーティリティ (以前は Foxmarks と呼ばれていた) があって Firefox と Safari の間でブックマークをバックアップしたり同期させたりしてくれる。(Internet Explorer にも対応している。)Xmarks のお陰で、私は Firefox と Safari が私のすべての Mac 上で常に同じブックマークを備えていることを知って安心していられる。だから、どのブラウザをいつ使っていても問題ない。まだ Xmarks は Firefox 3.5 や Safari 4 との互換性を公称していないが、私は MacBook 上の Safari 4 にこれをインストールして、Firefox 3.5 との間の双方向でブックマークの同期ができた。Xmarks が公式サポートを発表するまでは、あなたの環境によってはうまく行かないことがあるかもしれない。

Firefox 3.5 for Mac OS X は Mac OS X 10.4 かそれ以降を要する。このアップデートで無効となるアドオンが多数あることは注意しておかなければならない。以前には、アドオンの開発者たちがアップデートに伴って素早く対応してくれていた。ダウンロードサイズは 17.6 MB だ。


壊れた iPhone 3G スクリーンの直し方

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

昨年子が授かって以来、妻と私はかなりしばしば、実際に、重力が存在していることを実感させられている。我々の赤ん坊はけつまづくし、突然腰を落としたりするし、そして自分の体がどの様に動くのか分かろうとしている人なら誰でもやらかすように色々な高さから物を落としたりもする。

これが何処に行こうとしているのかもうお分かりですよね。

最近のある日、私の娘は何かキラキラするものに手を出し、そして彼女の振り払った手が私の妻の iPhone 3G の角に当たり、その結果それはテーブルから転げ落ち一つの角が床を強打することとなった。ガラススクリーンの上部が壊れたが、電話としてはまだ使える状態であった。そこで妻が電話を使う時耳の所でガラスが粉々になったりしない様に、私は直ちに iPhone のスクリーンを保護するために作られたプラスチックのフィルム Artwizz ScratchStopper を貼り付けた。

iphonescreen_cracked

次に、オプションは何か調べた。この電話はまだオリジナルの製品保証の期間内であったが、Apple の iPhone Service FAQ を読むと、"iPhone の限定製品保証は、事故、分解、非正規のサービスそして非正規の改造による損傷は対象外とする" とあった。他の Apple オプションには Out-of-Warranty サービスを受けると言うのもあって、値段は $199 で代わりの (再生か新品の) iPhone と交換となってしまう。(The Loop の Jim Dalrymple によれば、Apple は今や Apple の小売店で _その場で_ のスクリーン交換サービスを提供していて、これは製品保証外の修理となるので値段はやはり $199 となる。と言うことは、送り返したり、代替品を与えられたりすることなく修理して貰えるということでもある。) 我々は新しい iPhone 3GS を買うと言う手もあったのだが、この iPhone 3G はまだ一年に満たず、AT&T の最も安い価格の適用対象にはならなかった。

代わりに、私は「自分でやってうまく行かなかったら全部パー」のやり方を取る事にした。Google での検索を数分やった所で 3G Cracked Glass.com という所に行き当たった。このサイトのオーナーである Tim Dupree は Apple 以外で修理をしてくれる所、そして部品を自分で入手出来る所のリンクを集めてくれていて、おまけに修理をする指導ビデオまで提供してくれている。このビデオには音声説明が付いていないが (Dupree はこれから付けると言っている)、私にとっては他の誰かが iPhone を分解するのを見るのは役に立った。$80 と私の時間 4 時間とを費やした (ゆっくりと慎重にやった) 結果、私はスクリーンを自分で成功裏に取り替えることが出来た。

(もしこの記事を Web でご覧であれば、どの画像でもクリックすることでより大きな画面で見られます。)

部品 -- 私は iPhone 3G Digitizer と Adhesive Kit 付きの Front Glass を Mission Repair から $59 で買った。この選択肢は、デジタイザ、ガラス、そしてフレームを含む $119 のキットを注文するよりもちょっと専門的と言える。後から考えると、この後者の方が修理をより簡単に出来ただろうと思うが、何せあまりお金を使わずに兎に角自分でやってみようという事であった。もし失敗して iPhone をダメにしてしまえば $199 払って取替えなければならないと言うことは自覚していたので、自分の限界を知るためのコストは $59 にして置きたかった。

私は更に AX Micro Solutions (Directfix.com) から ケースオープナーを $3.99 で買った。そう、ただのプラスチックのモールド品なのだが、送料として更に $3.99 取られてしまった。この部品を手に入れるため別の店に行かなければならないというのは馬鹿げている。しかしながら、私は元々そんなに色々な道具を持っているわけではないし、iPhone をこじ開けるのに裸の X-Acto ナイフを使うと言う考えにもなじまなかった。一週間ほど待って、私の道具の準備は整った。

iphonescreen_replacement

その他にも必要と思われる道具を揃えた;iPhone に付いてきた SIM 取外し具、或いは小さなペーパークリップ;小さなプラスドライバー;ピンセット;強烈に小さいネジを入れるための器;そして小さなナイフ (これについては後で詳しく) である。このドライバーが障害の一つであることも分かった、と言うのも私の持っているものはどれも小ささが足りなかったのである。サイズ #000 Phillips の頭を持ったもの (下記の写真の真ん中のもの) が必要なのである。結局は Amazon Prime の送料無料を利用して Amazon からおよそ $6 で買う羽目になってしまった、と言うのも私の地元の Radio Shack ですらこれ程小さいものは扱っていなかったからである。

iphonescreen_screwdrivers

スクリーンを入れ替える作業そのものはそれ程難しくはなかったが、これには忍耐と微小なエレクトロニクスを扱うのに不安を覚えないことが必要に思われる。また、これをやることで製品保証の方は無効になってしまいそしてもし注意深くやらないと他の部品を壊してしまう危険性もあることを覚えておいて欲しい。

言わなければならないことは言った所で、iPhone 3G の壊れたスクリーンを交換する手順は次の通りである。iPhone 3GS の場合でもやり方は似たようなものだろうと想像はするが、私の物を開けたことはないので、間違いないとは言えない。私は必要と思われる所の写真は含めたが、自分の進行状態に合わせて 3G Cracked Glass のビデオを見ておくことを是非お勧めしたい。似たようなビデオを他にも幾つか YouTube 上でも見つけられるはずである。

ケースを開く -- iPhone の電源を切り、上部から SIM カードを引き抜く。次に、下部の、Dock コネクタの両側にある2つのネジを外す。

iPhone はきっちりと組み上げられているので、ただこじ開けるというだけでもほとんど不可能のように見える。その上、金属のフレームとプラスチックの背面の境目から開くと思いがちだが、ケースが開くのはそこではない。その代わりに、ケースオープナーの端を、Home ボタンのすぐ下の継ぎ目に押し込む。

iphonescreen_prytool

スクリーンを徐々にこじ開ける。けれども、まだ完全に引き剥がしてはいけない。下の部分で、3本のケーブルがスクリーンに繋がっているからだ。

iphonescreen_pry_screen

ケースオープナーか、あるいは指を(あなたの指が十分細いのならば)使って、コネクタ 1 とコネクタ 2 を外す。私の場合、コネクタ 1 はスクリーンを持ち上げるにつれて勝手に外れてしまった。コネクタ 2 の方は、縁の下にケースオープナーを差し込んで少しだけひねるとポンと外れた。3 つ目はリボン状で、本体のコネクタに固定されている。これを外すには、ケースオープナーを使って白いラッチをはね上げてからリボンを引っぱり出す。本体は横に置いておく。

iphonescreen_connectors

LCD アセンブリを取り外す -- 次に、スクリーンのフレームと LCD アセンブリを取り分けなければならない。ピンセットを使い、フレームの左右の端にある黒いテープを引き剥がす。

iphonescreen_tape

これで、ネジが5本見えるようになるので外す。さらに、LCD アセンブリの上部、接続ケーブルの近くにもう一本ネジがあるので外す。

iphonescreen_lastscrew

ケースオープナーを使って _ゆっくりと_(壊さないように)LCD アセンブリをガラスから取り外す。まず少しだけ持ち上げてから、スライドさせれば外れる。LCD アセンブリは横に置いておく。

iphonescreen_pry_lcd

ガラスを取り去る -- 交換作業全体の中で最も難しい部分は、スクリーンのフレームをガラスから取り外すところだ。これら二つの部分は接着剤でくっつけられており、初めのうちは一つの融合部品のように見える。(ここのところは 3G Cracked Glass のビデオではわかりにくい。まだ音声説明が付いていないからだ。)

iphonescreen_frame_lcd

手順の一番初めにケースを開いた場所にあるゴム製シールの裏の隙間に、ナイフの刃を差し込んだ。(X-Acto ナイフでもできるだろうが、私はごく小さな Swiss Army ナイフを使った。)足場ができるまで差し込めたら、ゆっくりとナイフの刃をねじって二つの部品を引き離した。インターネット上のチュートリアルなどではヘアドライヤーを使って温めて接着剤を軟らかくしてからの方がよいと書いているものがあるが、私にはその方法の必要はなかった。

iphonescreen_pryframe

ガラスが割れているので、スクリーンは一つのクリーンな部分品としてフレームから外れてくれなかった。取り外すと、上の部分が分かれて残ってしまった。けれども、接着剤はシート状になって付いているので、ナイフの刃を接着剤の層の下に差し込むことができれば、ゆで卵の薄皮を剥くように壊れたガラスが一緒になってはがれてくれるかもしれない。

iphonescreen_glassremoval2

ガラスとフレームを別々にできれば、フレームに残った接着剤をきれいに取り除いておく。

iphonescreen_glassremoval

新しいスクリーンを装着する -- 古いスクリーンを取り除けたら、いよいよ iPhone の再構築の始まりだ。新しい接着剤は両面テープ式なので、まずこれをフレームの上部と下部それぞれに貼り付けてから、裏紙をはがす。

新しいスクリーンを新しいフレームに挿入する。その際、交換品のスクリーン上の接続ケーブルがすべてフレームの開口部の中を通っていることを確認しておく。ああ、それともう一つ、スクリーンの内側を保護するために付いている透明プラスチックをはがしておくのを忘れないこと。

最後に、新しいスクリーンを注意深く正しい場所に押し込み、きっちりとフィットするよう接着剤にしっかりと押し付ける。

iPhone を組み立て直す -- 交換品のスクリーンがフレームに装着できたら、最初の手順を逆にたどって電話機を組み立て直す。まず、LCD アセンブリを正しい場所にスライドさせて入れ、ネジをすべて元通りに締め、ケーブル類を元のように接続し、それからスクリーンアセンブリを iPhone の本体にはめ込む。ケーブル類を接続する際には注意が必要だ。どこかで私はコネクタ 4 を押し動かしてしまったらしく、すべてを組み付けた時には Home ボタンが働かなくなっていた。でも、もう一度 iPhone を開いてからコネクタをしっかり付け直す作業は、二度目だったのでずっと簡単にできた。

こうして、妻の iPhone 3G は新品同様の美しさを取り戻した。Apple にお金を払って代替品を手に入れるという私の予備プランに頼る必要はなかった。今回新たに私が身に付けたスクリーン修理技術を、もう一度使う機会が来ないことを願うが、もしもまた重力が自己の存在を主張したいと言うのなら、私の側は準備万端だ。


TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、06-Jul-09

  文: Doug McLean <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Selznick Scientific Software の PasswordWallet 4.4.7 は長年来のパスワード管理ユーティリティの、マイナーなアップデートだ。主な変更点としては、目の不自由なユーザーのための VoiceOver サポートの拡張、Palm Pre HTML 書き出しとの互換性、別データ間でのパスワード共有機能、PasswordWallet を終了した際のヘルパーアプリ自動終了機能、それに JIS キーボードでの自動タイピングのサポートなどがある。同社はまた iPhone 用にも Password Wallet 4.4.7 をリリースし、数多くの新機能や使い勝手の修正を加えた。($20、アップデート無料、5.1 MB)

Maintain の Cocktail 4.4 は汎用のメンテナンス・ユーティリティの大幅なアップデートだ。今回のアップデートでは Access Control リストやホームディレクトリのアクセス権をリセットする機能、Time Machine のバックアップの時間間隔や諸設定に対するより多くのコントロール、追加のネットワークインターフェイスのサポート改善、Safari 4 との互換性、Safari 4 のウェブページ・プレビューをオフにする機能などが盛り込まれた。($14.95、1.9 MB)

SmileOnMyMac の PDFpen 4.1.4PDFpenPro 4.1.4 は、同社の PDF 編集ユーティリティの最新版だ。いずれのバージョンも、サイズの大きな PDF 書類でのパフォーマンス改善、ペーパーレスな作業環境のためにユーザーがスクリプトを書けるようにする OCR AppleScript 書類プロパティなどを加えたアップデートがなされている。また、詳細は発表されていないがマイナーな機能改善やバグ修正も施された。($49.95/$99.95、アップデート無料、12 MB/12.2 MB)

Apple の iPhoto アップデート 8.0.4 は、まれに発生していた、以前のバージョンで読み込まれた写真に関する全体的な安定性に影響していた問題に対処する。また、「撮影地」機能で誤って表示されていたいくつかの名前も修正されている。このアップデートは iPhoto '09 のすべてのユーザーに推奨され、ソフトウェア・ダウンロードから、あるいは Apple Support Downloads ページからも入手できる。(アップデート無料、102.27 MB)

Nisus Software の Nisus Writer Pro 1.3 は、ますますパワフルになるこのワードプロセッサの、かなり大きなアップデートだ。主な新機能としては、新設された Document Manager、スタイルライブラリ、以前編集した場所に飛び移れる選択履歴機能、どんなメニュー項目でもツールバー項目にできる機能、Nisus Macro 言語への追加、現在の書類を Mail または Entourage の電子メールメッセージに添付させられる機能などがある。その他にも膨大な数の変更点やバグ修正があるので、詳しくは Nisus Writer Pro のリリースノートを参照されたい。(新規購入 $79、アップデート無料、118 MB)

MacSpeech の MacSpeech Dictate 1.5.2 は音声認識ユーティリティのマイナーなメンテナンス・アップデートだ。今回のアップデートは主に Safari 4 との互換性改善のためのもので、同じアプリケーションにより新しいバージョンがある場合にバージョン付きコマンドが使えるようにしている。(新規購入 $199、アップデート無料)

Ergonis Software の Typinator 3.5 は、自動タイピング・自動修正ユーティリティの大きなアップデートで、内部動作の拡張に重点が置かれている。主な変更点は、動作速度を向上するとともに他のアプリケーションとの互換性を高めるための新しい展開テクニック (これには Mac OS X 10.5.5 かそれ以降が必要) だ。また、カーソル位置決め速度の改善や、ユーザーのカスタムサウンドのサポートなども新機能だ。さらにいくつかのバグも修正され、中でも Mac OS X 10.4.x の下でこのプログラムがフリーズしていたバグが解消された。変更点のフルリストは Ergonis のウェブサイトで読める。(新規購入 19.99 ユーロ、2 年以内の購入の場合はアップデート無料、2.7 MB)

Apple のMacBook Air SMC ファームウェア・アップデート 1.2 は「修理で交換される最新のバッテリーとの互換性を追加」する。SMC は System Management Controller の略で、コンピュータの電源関係の機能を担当する、ロジックボードに搭載されたマイクロコントローラだ。このアップデートをインストールするには、インストーラが閉じた後に自動的に起動するアップデータ・アプリケーション (/アプリケーション/ユーティリティ/MacBook Air SMC ファームウェア・アップデート.app) の指示に従う。(無料、623 KB)


ExtraBITS、06-Jul-09 版

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple、iPhone の深刻な SMS 脆弱性をパッチ -- セキュリティ研究者の Charlie Miller が、SMS メッセージのみを使って iPhone を攻撃しコントロールを得る方法を発見した。でも心配は要らない。詳しい情報はまだ公開されていないし、Apple は近日中にパッチを持つようになるはずだ。(リンク投稿 2009-07-03)

Apple、メイン州の学生たちに MacBook を提供 -- Ars Technica の記事によれば、Apple がメイン州の Learning Technology Initiative (学習技術戦略) と協定を結び、州内のすべての中学生と高校生に一台ずつ MacBook を提供するという。今回のことは、以前にメイン州のすべての 7 年生と 8 年生 (日本での中学 1 年生と 2 年生) に iBook を配って成功を収めた経験に基づいている。Apple は今後 4 年間にわたり、1 億ドルを投じて 64,000 台の MacBook (既に流通している 37,000 台にこれが加わる)、教育用ソフトウェア、教育社向けのプロの手によるソフトウェア開発、さらには技術サポートなどを提供する予定だ。(リンク投稿 2009-07-02)

iPhone 録音スタジオ -- ツアー中のバンドが、新しい曲ができても、録音するスタジオがどこにもなかったらどうする? iPhone を使おう! The Loop の記事によれば、ポップバンドの The 88 が、B-52s と一緒のツアー中に iPhone を使って新曲を録音したそうだ。The 88 が主に使ったのは Four Track、これは $9.99 のアプリで、4トラックの録音機をエミュレートし、その結果は素晴らしいものだという。出来上がった楽曲 “Love is the Thing”は iTunes で入手可能だ。(リンク投稿 2009-07-01)


TidBITS Talk/06-Jul-09 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

なぜ AT&T は iPhone を独占し続けるのか -- なぜ iPhone が Verizon で(あるいは米国の他のネットワークで)使えないのかという Glenn Fleishman の記事を読んで、データ容量、サービス対象地域、それにハードウェアなどの話題で議論がある。(メッセージ数 1)

消えない Safari の問題 - フォームフィールドに文字入力できない -- テキストがフィールドに入力できないという問題は、Safari 4 に互換性のないアドオンが原因かもしれない。(メッセージ数 2)

iPhone スパイウェア -- Apple が iPhone アプリケーションや App Store を組み立てた方式を考えれば、スパイウェアのアプリが存在するとは(その iPhone が jailbrake されていない限り)思えない。けれども、SMS メッセージングには脆弱性があることが知られており、そこにアタックを許す可能性が存在している。(メッセージ数 9)

3GS アップグレードの狂気 -- ある読者から、2台の iPhone 3G 携帯電話をアップグレードしようとして体験した、はらわたが煮えくり返るような話が届く。(メッセージ数 12)

iPhone 3GS に最も近いのはどの Mac か? -- プロセッサのパワーという点で、iPhone 3GS は PowerBook G4 と同程度なのか? (メッセージ数 4)

記事内部での TidBITS コメント書きシステム登場 -- TidBITS Talk の読者たちが、このコメントシステムが TidBITS Talk メーリングリストに及ぼすであろう影響について考える。(そう、これは、コメント書きシステムについての討論スレッドの要約なのだ!)(メッセージ数 13)


tb_badge_trans-jp2

TidBITS は、タイムリーなニュース、洞察溢れる解説、奥の深いレビューを Macintosh とインターネット共同体にお届けする無料の週刊ニュースレターです。ご友人には自由にご転送ください。できれば購読をお薦めください。
非営利、非商用の出版物、Web サイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載または記事へのリンクができます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありません。告示:書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

©Copyright 2009 TidBITS: 再使用は Creative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2009年 7月 14日 火曜日, S. HOSOKAWA