TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1407/05-Mar-2018

今週の TidBITS では、Josh Centers が $20 の WyzeCam Wi-Fi 監視カメラの欠点を探し (結果としてあまり見つからず)、また IK Multimedia から新しく出たマイクロフォン iRig Mic HD 2 を定評ある Blue Yeti マイクと比較する。さらに Julio Ojeda-Zapata が今や消滅した Mac 用 Twitter アプリに代わる三つの代替製品として TweetDeck、Tweetbot、Twitterrific を検討する。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Quicken 2018 5.5.4、Hazel 4.2.3、Logic Pro X 10.4.1 だ。

記事:

----------------- 本号の TidBITS のスポンサーは: ------------------

---- 皆さんのスポンサーへのサポートが TidBITS への力となります ----


$20 の WyzeCam 防犯カメラは、あまりに良くてうそみたい

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

我が家で前に飼っていた犬が謎めいたまま行方不明になった時、私は我が家にも何らかの防犯カメラを付けなければならないと思った。欲しいと思ったものは複雑な配線を必要としないもので、かつ TidBITS での私の "HomeKit 担当" としての役割からして、Apple の Home アプリと統合出来るものが理想的だと思った。

私は最初 Julio Ojeda-Zapata が彼の "大草原の HomeKit のお伴: HomeKit のセキュリティで心の平安を" (11 September 2017) で示した選択肢を見てみたが、これらの選択肢は受け入れ難いと感じた。その主な理由は、Wi-Fi 対応のカメラは 高価 なことであった。大体カメラ一台当たり $150 前後で、しかも HomeKit をサポートしているものは多くなかった。

ではどうすれば良いかについては、WyzeCam に対する推奨記事を見る迄、見当もつかなかった。WyzeCam は小さな箱型の 1080p Wi-Fi ビデオカメラで、期限がある無料のクラウドスペースと、ナイトビジョン、そして双方向通話のためのスピーカーとマイクが付いている - 同社のビデオを見られたし (これは残念ながら WyzeCam で撮られたものではない)。これら全ては有線の防犯カメラでは標準の機能であるが、話がうま過ぎると思えるのはその価格である:$19.99 だ。送料 $5.99 を加えても、$30 に近くなるだけで、競合品の何分の一にしかならない。

残念なことに、WyzeCam は HomeKit をサポートしないが、費用削減効果を考えれば、私はそれを諦めようと思った。私は HomeKit を無視するホームオートメーション機器を沢山欲しいとは思わないが (何故ならばそれぞれと個別にやり取りするのは悪夢と言わざるを得ないからだ)、1つや2つなら許せると思っている。そうではあるが、今や Apple は製造者に簡単なソフトウェアアップデート経由で HomeKit を有効化するのを認めているので、私としては Wyze Labs がサポートを追加してくれるのを期待している。

HomeKit サポートの欠如以外に、どんな欠点があるのか? $20 のビデオカメラなんて、ガラクタに違いないだろうって? とんでもない、WyzeCam のハードウェアは作りもしっかりしているし、魅力的でもある。軋みもザラつきもない - 仕上げは素晴らしい。そして、私のものは ($20 だったので、2つ買った)、何回か数フィートの高さから硬い場所へと落としてしまう経験をしたが、悪影響は出なかった。

WyzeCam は小さな立方体で、引き出し式の土台が付いており、これは3軸で回転出来るので、取り付け方には大きな柔軟性がある。土台は磁石式なので、相応の鉄分を含む面であればどんなところにも取り付けられる。更に、粘着式の鉄板も同梱されているので、好きなところにそれを貼り付けることも出来る。同梱の AC 電源アダプターからカメラへの接続は Micro-USB ポート経由で、ケーブル自体は着脱可能なので、より短い、或いはより長いケーブルが必要な場合は、より適したものと交換することも可能である。

image

いや、何か他に落とし穴はあるはずだ。ソフトウェアは - iOSAndroid のアプリがある - 出来が悪いに違いないって? お気の毒。その iOS アプリは改善の余地はあるが、悪いとはとても言えない。

このソフトウェアは、最初にアプリを開いた時にあなたの WyzeCam アカウントにログインするよう何回も要求してくるので、少々邪魔臭い。しかし、これは Touch ID も Face ID 認証もサポートするので、ログインのプロセスそのものは早く簡単である。

最初の画面では、一連のカメラとそれぞれの写真プレビューが示される。一つの写真をタップすれば、そのカメラのライブ映像が見られる。残念ながら、このアプリはカメラ映像を見る時にしかこのプレビューをアップデートしないので、アプリを開くとアップデートしてくれるというのに較べれば有用度は下がる。現状のままだと、個々のカメラが何処にあるかを思い出す手助けにしかならない。

下記の iPhone スクリーンショットでは、左にあるのがプレビューで、右側がライブ映像になる。ご覧になれるように、私の犬は再び自分の寝床を庭に引っ張り出している。と言うのも彼は雨に濡れるのが大好きだからである。皆さんはレンズに何かついている様に見えるのは何故かとお思いになるかもしれないが、それはレンズの直前にある窓ガラスの反射のせいである。理由は以下に説明する。

image

$20 しか払っていないのだから、カメラ映像はそもそもぼやけているかブロックノイズが出ているに違いないって? いいえ、WyzeCam はビデオを 1080p の高解像度、視野角 110 度で捉える。そうではあるが - そしてこれが弱点の様にも見受けられる - WyzeCam は毎秒 10 フレームしか捉えないので、ビデオの動きはとても滑らかとまでは行かない。しかし WyzeCam は、内蔵の4つの赤外 LED のおかげで、暗闇でも最大 29.6 フィート (9 米) 迄のビデオを録画することで、これを補っている。

iPhone でライブのビデオストリームを見ている時には、ビデオを手動で録画したり、静止画を撮ったり出来る。それらは iPhone のカメラロールに保存される。カメラ映像を見たり、画像を記録したりするのには、別に家にいる必要はない。私は、家から離れていたり、或いは近くにいる時に、カメラをチェックすることもよくある。

動き検知を有効にすることも出来、WyzeCam は、その視野内で動きを検出すると自動的に 12 秒間のビデオを捉える。そのビデオは、クラウドに 14 日間は無料で保存され、後で通知を送ることも出来る。これらのビデオを iPhone の Photos にダウンロードして保存することも出来る。悪い知らせは、WyzeCam は最頻でも 5 分毎にしか録画しないことである。私は、動きが検出された時にはより頻繁に録画してくれるのであれば相応の料金を払っても良いと思っている - これは Wyze Labs にとっては、言わずもがなの商機の様に見えるのだが。

WyzeCam は microSD カードを挿入しておけば、連続で録画することも出来る。残念なことに、サポートするカードは 32 GB 迄であり、これだと HD ビデオだと約2日間、SD ビデオで1週間分しか保存出来ない。そして当然ながら、それを見るには microSD カードからビデオを取り出さなければならない。

WyzeCam の内蔵のマイクとスピーカーは、幾つかの興味深い機能を可能にする。音を聞いた時警告してくれる。そしてより興味深いことに、それは煙及び一酸化炭素警報に聞き耳を立て、家の中で警報音が発せられたのを聞くとあなたに通知してくることが出来る。これらの警告に対して時間的に計画することも出来、例えば、働いている時の様な一日の内の特定の時間にだけ受け取ることも出来る。ライブストリームを見ている間だと、音声ボタンを押し続けて話しかけると、それは WyzeCam から拡声される。思うに、これは庭にいる家族に話しかけたり、泥棒を追い払ったりするために使うのであろう。何れにしても、気の利いた機能である。

皆さんは恐らく WyzeCam のセキュリティについても興味をお持ちであろう。Wyze Labs は、その FAQ で次の様に言っている:

我々は、顧客のデータの安全を極めて真剣に受け止めている。あなたのモバイル機器、WyzeCam、そして AWS Cloud Server の間の通信は https (Transport Layer Security (TLS)) 経由で行われる。我々は対称及び非対称暗号化、ハッシュ法や他の方法で、ユーザー情報が盗まれないようにしてきた。それぞれのカメラは固有の鍵と認証書を持っているので、我々はその身元をハンドシェークの段階で認証出来る。そのコンテンツはデータを保護するため AES 128-bit 暗号で暗号化されている。ハッカーがデータパッケージを傍受しても、データが復号化されることはない。

もっと重要なことを言えば、Wirecutter は New York Times の Information Security の執行取締役である Bill McKinley に、WyzeCam や他の Wi-Fi 防犯カメラの試験を依頼したところ、彼はこれを好意的に評価した。

プライバシーに関しては、Wyze Labs は確固たるプライバシー政策を保持しているが、世界中の多くの場所で、同社は法律により法執行機関との協力を求められていることを気に留めておいて欲しい。言い換えれば、あなたの監視機器はあなたに不利になるよう使われることが可能であり、そして使われる。もし、これが気になるのであれば、この種のものは一切設置しないことが一番である。

WyzeCam の一番の弱点は、屋外に設置するのは避けた方がいいことである。それは氷点下の温度や、濡れることには耐えられないからである。これを PVC のケースの中に入れることも可能だが、それだとナイトビジョンは使えなくなり、それに、そこにどうやって給電するかも考え出さなければならない。

私はこの問題を回避するため、これを窓枠の上部内側に外に向けて設置した。不幸にして、これでナイトビジョンは役立たずになってしまった。何故ならば、赤外光はガラスで反射してしまうからである。それで、私はナイトビジョンはオフにして、代わりに、一般的な動き感知型の屋外燈に依存することとした。

実際、私の WyzeCams は主として私のトレイルカメラ (害獣対策や自宅の監視用) の監視用である。このトレイルカメラは電池で数ヶ月もち、そして動きが検知されると静止画を撮る - 昼夜に拘らず。このトレイルカメラは木に縛りつけてあり、WyzeCams はそのカメラが縛り付けてある木に向けてあるので、もし誰かが私のトレイルカメラにイタズラをしようとすれば、WyzeCam によって録画されるであろうし、万が一、彼らが我が家に侵入して来て WyzeCam を持って行ったとしても、時すでに遅しである。何故ならば、ビデオを既にクラウドにアップロード済みだからである。私は WyzeCams の動きセンサーはオンにしてあるが、通知はオフにしているので、ビデオは私を煩わすことなく撮影される。何かが起こったら、私はその録画を見てみれば良いだけである。

もし WyzeCam に興味があるのであれば、良い知らせがある。今や、第二世代モデルに対する予約注文が出来ることで、このモデルは、動きのタグ付け (動く物体を緑の枠で包む)、より良いカメラセンサー、改善された音声、そしてテカりを抑えたつや消し仕上げを提供する。悪い知らせは、入手するまで少々時間がかかるかもしれないことである - 現在、数週間の入荷待ちとなっている。

さて、我々は我が家の犬に何が起こったのか未だ分かっていないが、新しい犬を手に入れた。Great Pyrenees で、彼が自分の寝床と戯れている姿は上記のビデオで見られる - 彼は "iOS 11 の Live Photos でぼやけた写真を救う" (7 February 2018) でもゲスト出演している。

コメントリンク17822 この記事について | Tweet リンク17822


iRig Mic HD 2 対 Blue Yeti: 入門レベルのマイクの新たなチャンピョンか?

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

たとえ、私がギターをかき鳴らすことに最近凝っているからと言っても、私はミュージシャンでは全くない (私の可哀想な妻が保証してくれるように)。にも関わらず、私はそれでも、ポッドキャストへの出演、MUG のプレゼンテーション、そして、TidBITS の記事の録音のために、高性能のマイクが必要だ。今では、5 年になるが、私は Blue Yeti をずっと使ってきており、"Josh Centers のホームオフィスを設営する" (2013 年 7 月19 日)で、Blue Yeti について書いた。

驚いたことに、過去 5 年間で、Blue Yeti はポッドキャストを録音するための標準の物となった。これは、概して、ベストな USB マイクとして、Blue Yeti が Wirecutter に取り上げられた おかげだ。これは私にとって驚きであった。なぜなら、Blue Yeti は、ポッドキャストの録音に理想的だと、私が考えるものではないからだ。

マイクというものは、音をどのように拾うかについて、異なるパターンを持っている。ポッドキャストの録音に理想的なパターンはカーディオイドで、これは、前方は非常に感度が高く、後方はそれほど感度が高くないものだ。分かりやすく言うと、自分の声は拾うが、バックグラウンド・ノイズは拾わないマイクが欲しいということだ。

理論的には、Blue Yeti は、必要とするいかなるパターンにも切り替えることができる。だが、現実には、Blue Yeti はバックグラウンド・ノイズに対して極めて敏感である。自分で Blue Yeti に入力したものをモニタリングすると、私は、超人的な聴覚を持っているような気になる。たとえ、それがカーディオイド・モードであってもだ。マイクの入力レベルを上げると、家のもう片方の端で、妻が鉛筆を落とすのも聞こえる。

これは、超悪玉の盗み聞きをするのには素晴らしいと思うが、日常のオーディオで、明瞭で綺麗な音が欲しい場合はイライラすることになる。特に問題なのは、「家のノイズ」で、これは、感度の良いマイクなら拾うことができる耳鳴りのような妨害で、これがあると、録音した音が仕事では使えなくなってしまう。私は、Audio Hijack で、その Denoise 機能とAUDynamics Processor 効果を組み合わせることによって家のノイズを抑え込んだが、これらは完璧ではない。特に、AUDynamics Processor は、クリッピングを引き起こして、奇妙な音になってしまう可能性がある。

Macro Arment は、数年前、ポッドキャストの録音のためのマイクに関する総まとめを発表した際に、Blue Yeti の長所と短所をまとめている。

Yeti は、長年、安価な初心者向けマイクとして推奨されてきた。Yeti からいい音を引き出すには、多少の作業と追加の周辺機器が必要だ。すなわち、Yeti は、強力なポップ・フィルターを必要とし、室内の反響を大いに拾い、そして、同梱されているデスク・スタンドでは、マイクの距離が遠過ぎて、いい音を拾うことができない。だが、Yeti は、非常に優れた価値を持っている。そして、理想的な環境では、すなわち、ポップ・フィルターを付けて、静かで反響の少ない部屋の中で、近付いて使用すれば、Yeti は素晴らしい音質を産み出すことができる。

というわけで、IK Multimedia の人たちから、彼らの iRig Mic HD 2 を試しに使ってみたいかどうか尋ねられた時、私はこのチャンスに飛びついた。Blue Yeti と同じ推奨小売価格の 129.99 ドルで、これは、完璧な比較となる。(私は、Blue Yeti がもっとずっと安い値段 (ホリデー・シーズンに70 ドルほど) で売られているのを見たことがあるが、この記事を書きながら調べたところ、基本モデルの末端価格は、110 ドルのようだ。)

image

Yeti のように、iRig Mic HD 2 は、USB インターフェースが特徴だ。だが、Yeti の mini-USB に対して、iRig Mic HD 2 は、micro-USB コネクタを使用している。両面で使える USB-C であったなら、より好ましかったであろう。なぜなら、誤った向きにプラグを差し込みようがないからだ。Yeti と同様に、iRig Mic HD 2 も 3.5 mm のヘッドホン・ジャックを特徴としている。なので、自分の入力をモニターすること (マイクに向かって金切り声をあげたり、ささやき声で話したりしていないことを確認するのに不可欠だ) が可能だ。そして、入力と出力の両方に対してボリューム・コントロールがついている。iRig Mic HD 2 にも、小さなインジケーター・ライトがある。青は、音量が小さ過ぎることを意味し、赤は音量が大き過ぎることを意味する。そして、緑やオレンジは、ちょうど良いことを意味する。実際には、私はこのライトにはあまり注意は払わない。そして、ライトが赤になるのは、一度も見たことがない。

Yeti は大型の薬のカプセルのような形のマイクで、スタンドを必要とするが、iRig Mic HD 2 は、細っそりしていて、手に持って操作するタイプのモデルだ。Yeti は 1.2 ポンド (550 g) で、iRig Mic HD 2 よりも重いが、iRig Mic HD 2 の自重は 0.72 ポンド (325 g) だ。しっかりしていて、音を拾うのに上手く構成されていると感じられるが、不快なほど重くはない。

image

iMic には、さまざまな物が同梱されている。すなわち、USB から micro-USBへの変換ケーブル、(このマイクを iPhone や iPad に接続するための)Lightning から micro-USB への変換ケーブル、素敵なチャック式の収納袋、マイクを掴むクランプが付いたテーブルトップ・スタンド、そして、5/8 インチから 3/8 インチへのネジ山変換アダプタだ。スタンドにとりたてて印象的なところはないが、その役割は十分果たしてくれる。私は、Audio Hijack と Garageband にこだわっているが、iMic にも多くのソフトウェアが同梱されている。すなわち、

ソフトウェアについてはこれで十分なので、ここで私たちが語るべきことは音質だ。

音質に関して全てを披露: iRig Mic HD 2 対 Blue Yeti -- ここで、あらゆる種類のスペックを引用することもできるが、スペックは、マイクで拾った音がどのように聞こえるかについて、多くを語ることはない。なので、私は、両者のマイクについて、横並びで録音テストをいくつか行った。私は、Fission で、最初と最後の無録音部分をカットするという単純なトリミングをした以外は、これらの録音に対して編集は全くしなかった。というわけで、息づかい、飲み込む音、そして、その他の雑音を聞く可能性があることに、注意していただきたい。

最初の録音として、私は、各マイクのゲイン (音をつかまえるボリューム) を75% に設定した。これは、私が通常使っているものだ。私は、Audio Hijackで何のイフェクトも加えずに、両者で同時に録音した。私の口は、マイクからおよそ 1 フィート (約 30 cm) 離れており、これは、通常の距離である。違いを最もよく聞き分けるために、これらの録音はヘッドホンで聴くことを、私はお勧めする。

これら二つの録音で、私の印象は、Yeti の録音の方が音が大きいばかりでなく、iRig Mic HD 2 と比べて、音がよりくすんでいて、ノイズも比較的多かったというものである。私は、別の録音を行うことにした。今度は、iRig Mic HD はフル・ゲインにして、Yeti はほんの 25% にして、それらがどのように聞こえるか、確かめようと思った。

そして、同一条件での比較をもう一つ提供するために、以下、両者のマイクをフル・ゲインにしたものを示す。

最後に、私は、私の通常の Audio Hijack の設定でテスト録音を行うことにした。これは、AIFF フォーマットでのモノラル録音で、ノイズ除去効果が加えられている。

そして、ほんのおまけとして、私のギター演奏を両者のマイクでテスト録音した二つを以下に示す。今回も、私の通常の Audio Hijack 設定を用いた。

みなさんは、自分独自の結論を引き出すべきだ。だが、私の耳には、iRig Mic HD 2 の方が、一貫して、よりクリアで鮮明な音を、低ノイズで出していると感じられる。過去数ヶ月間、ブラインドで比較してもらった人たちも、通常は同じ結論に達している。

おすすめ -- もし、あなたがポッドキャストや、その他の本格的な趣味の録音を始めようとしているのであれば、iRig Mic HD 2 は素晴らしい選択だ。これは持つのが容易で、多用途で、Blue Yeti と同じ基本価格でありながら、素晴らしい音質を有している。もしあなたが Blue Yeti に 100 ドル未満で出くわしたなら、そちらの方がお買い得だと思われるかもしれないが、結局は、iRig Mic HD 2 の方が満足度が高くなるだろうと私は思う。(Wirecutter の推奨について言うなら、iRig Mic HD 2 がリリースされて以来、このガイドはアップデートされていない。なので、彼らが最終的にどのように分析するか見てみたいと思う。)

また、もしあなたが Blue Yeti で行くのであれば、「爆発的な」 P の発音を回避するために、ポップ・フィルターは絶対に必要なものだということも覚えておいていただきたい。私は、Blue の純正ポップ・フィルターを使っていて、これは、最近では 40 ドルほどだ。(上記の比較写真で、それを見ることができる。) だが、実用的に使えるものは 10 ドル未満で買うことができる。いずれにせよ、ポップ・フィルターが、実際のコストに加わるのだ。

あなたが、既に Blue Yeti か、あるいは、同様のマイクを持っているのであれば、iRig Mic HD 2 から 129.99 ドルの新たな価値を得るとは思えない。単に、iRig Mic HD 2 に、その価格に見合う改善は無いということだ。あなたが、より高性能な機種を探しているのであれば、私は 250 ドルのShure Beta 87A を試してみることをお勧めしたいと思う。これは、遡ること2015 年に、Macro Arment が最高だとして取り上げたものだ。マイクのテクノロジーは、それほど、あるいは、そんなに急速には変わらない。私の友人が、ちょうどこれを購入したが、音質は、とてつもなく素晴らしい。だが、彼は、150 ドルの Tascam USB インターフェースを購入しなければならなかった。というのは、Shure は XLR のマイクだからだ。全ての装備と他の望みの付属品を手に入れるまでに、彼は、700 ドルあまりを費やしていた。最適な音質を得るために、彼はその金額を喜んで支払ったが、彼の装置は、私のよりも 5 倍優れた音を出すだろうか? 私はそうは思わない。

iRig Mic HD は、いい点を突いている。これは、プロの音質のマイクであって、大した金額にはならない。これには、macOS や iOS で録音するのに必要な全ての物が一緒に付いてくる。これは持つのが容易で、必要なら手に持ったまま録音することができる。また、このマイクは落としても平気だ。私は数回落としたが、何の悪影響も無かった。同じ金額を出すなら、私は、Blue Yeti よりも iRig Mic HD 2 をおすすめする。

コメントリンク17827 この記事について | Tweet リンク17827


消滅した Twitter の Mac 用アプリに代わる三つの代替製品

  文: Julio Ojeda-Zapata: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

最近になって、Twitter は大きく変化しつつある。2017 年 11 月 7 日には、tweet 一通の最大文字数が 140 文字から 280 文字に増えた。ところが、この変更は、同社が長らく打ち捨ててきた Mac 用アプリには組み込まれなかった。それはすなわち、このアプリの寿命がもう長くないことを示唆していた。

そして 2018 年 2 月 16 日に、Twitter はそれを公式のものにした。つまり、このアプリを Mac App Store から撤去し、一ヵ月後にはサポートも打ち切ると発表したのだ。

だから、このアプリのユーザーたちはそれに代わるものを見つけなければならない。数年前に Twitter がサードパーティによるアプリの制作を困難なものにしたので (2015 年 8 月 11 日の記事“Twitter はどうすれば直るか?”参照) 選択肢はぐっと狭まってしまったが、それでも何個かの代替 Twitter クライアントは今でも入手でき、それぞれにしっかり定着しているように見える。そのうち二つのアプリ、Tweetbot ($9.99) と Twitterrific($19.99 だがこの記事の執筆時点で $7.99 のセール販売中) はそれぞれネイティブな Mac クライアントであって、ちゃんとした iOS 版もある。下の写真は、左からそれぞれ Twitterrific、Tweetbot、それに今は亡き Mac 用 Twitter の画面だ。

image

第三の選択肢、Twitter の TweetDeck は、ネイティブな Mac アプリではなく、Windows や Chrome OS で見られるものと同じ汎用のマルチカラム・インターフェイスの、ある意味ラッパーとも言えるものだ。そうであっても、Twitter の簡素なウェブアプリでは嫌だと思う人にとって TweetDeck はかなり魅力的な選択肢だ。しかも、これは無料だ。

image

私は、Mac 用 Twitter アプリがなくなってとても残念だ。これはもともと Tweetie に由来するもので、Tweetie は Loren Brichter が作って多くの人に愛されたが、2010 年に Twitter が買収した。この Tweetie から Twitter に至る系図は iMore の Vector ポッドキャストの最近のエピソードで詳しく取り上げられた。ぜひ一度観るか聴くか、あるいは文字記録を読むかしてみられることをお勧めする。

Twitter が無料で出したこの Mac 用アプリは、その晩年にはあまり多くの人に愛されなかったが、私はこれをシンプルさと柔軟性のお手本だと思った。私が持っているさまざまの Twitter アカウントごとに閉じたタブを置いておくことができ、それらの間でのナビゲーションが簡単だったからだ。

それに比べて、Twitterrific や Tweetbot には人の目を引く機能があまりにも多く詰め込まれていて、シンプルな作業が必要以上に難しくなってしまうような感じがした。でも私たち Mac 用 Twitter アプリのユーザーにしてみれば、何かもっと新鮮な Twitter クライアントを探し回る以外に選択肢はない。けれどもそれをする過程の中で、私は Twitterrific や Tweetbot についてもう少し積極的に見てよいような気がしてきた。その理由の一つは、これら二つのアプリが、以前私が見た時に比べてずいぶん改良されたからだ。

卓越した Twitter クライアントに必要なものは? -- 間もなく消えてしまう運命にある Twitter の Mac 用アプリに代わるものは何かと考える前に、良い Twitter アプリが持っているべきなのはどんな機能かをしっかり分析しておくのが賢明だと言えるだろう。もちろん、これは個人個人の意見に依存するところが大きいので、私が必要とするものを必ずしもあなたが必要とするとは限らない。それでも、いくつか基本的な点について切り分けて考えてみよう:

TweetDeck -- 私は、TweetDeck には十分に慣れ親しんでいる。St. Paul Pioneer Press という新聞社の仕事場で、ソーシャルメディアの管理に欠かせないツールとしてこれを使っているからだ。ニュース編集室の Mac mini に繋いだ二台の大きなディスプレイのうち左側は、いつも TweetDeck の複数カラムのインターフェイスで全部埋め尽くされている。(下の写真で、一番右端には私の個人的アカウントにログインした Twitterrific も見えている。)

image

Twitter パワーユーザーなら TweetDeck を選ぶべきだ。Twitter 上の膨大な量の活動が一目で見られ、常に最新の情報に通じていられるのがこれだからだ。

TweetDeck のカラムは (何十個ものカラムを同時に出すようにも設定できる) あらゆる種類の情報を表示できる。ユーザーストリーム、通知、メンション、いいね、リスト、メッセージ、キーワード検索結果のカラムも作れる。また、あとで自動投稿するように設定した tweet を "scheduled" カラムに表示できるが、これは他のどの Twitter アプリにもない機能だ。"collections" カラムには、スクラップブック風に、どの tweet でも自由に保管できる。単にそこへドラッグするだけでよい。

(このスクラップブック機能は、Twitter が 2018 年 2 月 28 日に発表した新しいブックマーク機能に似ている。けれども、少なくとも現時点ではこのブックマークは主としてモバイル向けの機能であり、同社の iOS 用と Android 用のアプリ、それからモバイル向けウェブサイトのみで利用できる。)

たとえあなたが膨大な数の TweetDeck カラムを持っていても、ナビゲーションは簡単だ。ただし、遅いコンピュータでは少々具合が悪いかもしれないが、一番下の縁にある便利なスクロールバーを使う。また、左端にはスクロールするツールバーがあって、カラムごとに一つずつアイコンが表示されている。どれかのアイコンをクリックすれば、それに対応するカラムが中央に来る。

TweetDeck は複数ユーザーの対応も優れている。一つの tweet を見ながら、それへの反応を書いたり、リツイートしたりできる。これはどのアカウントからもでき、その際コメントは付けても付けなくてもよい。当たり前のことと思うかもしれないが、他のアプリではなかなかこのような機能がうまく提供されていない。

image

残念ながら、Twitter は最近になって TweetDeck の強力な機能を一つ削除してしまった。それは、複数のアカウントにわたって同時に tweet したり、リツイートしたり、あるいはその他のアクションをしたりできる機能だ。同社はこれが同一のコンテンツや活動をスパムのように繰り返す行動を抑制するためだと説明しており、それには一理あるけれども、でもあれは便利な機能だった。

TweetDeck にはグローバルなカスタマイズ機能があり、カラムの横幅を変えたり、明色と暗色のテーマで切り替えたり、文字サイズを変えたりといったことができる。カラムごとの調整も可能で、メディア・サムネイルのサイズを設定したり、オーディオのオン・オフを切り替えたり、個々のカラムごとにデスクトップ通知を有効にしたりできる。

また、カラムごとのフィルター分け設定を、コンテンツ、ユーザ名、メディア添付などの基準に基づいて設定できる。単語や語句によるグローバルなフィルター分けもできる。

image

プロのユーザーを念頭に置いて、TweetDeck は一緒に働く他のユーザーたちを招待できる「チーム」機能も提供する。

TweetDeck にははっきりした欠点もある。とりわけ、Mac 用 Twitter アプリに代わるものを探している人たちにとって大きな欠点かもしれない。

TweetDeck は複数カラムの構成を重視するあまり、スクリーンの片側の端にそっと置いておきたいクライアントを探している人にとってはあまりにも巨大過ぎて扱いかねる代物になりかねない。(左側のツールバーを使ってカラム一個に縮めることは可能だが、そのような構成では一部の機能がまともに働かなくなる。) 私にとっても、新聞社の仕事のためにログインしている間以外は、やはり圧倒される感じだ。

また、TweetDeck はあまり Mac 風とは言えない。Windows でも Chrome OS でも見栄えは同じだし、実際のところこれはブラウザで表示できるウェブアプリだ。Mac App Store に置かれているバージョンは、そのウェブインターフェイスのコンテナに過ぎない。

悲しいことに、デスクトップとモバイルで同期されたブラウズをしたい人が望んでも、TweetDeck の iOS 版を見つけることはできない。かつてはそういうものも存在したが、今はもうなくなってしまった

Tweetbot -- Tapbots が作っている iOS 用の Twitter アプリ Tweetbot を私は気に入っているので、Mac 版も試してみた。

これはエレガントな単一カラムのアプリなので、TweetDeck の圧倒されるようなダッシュボードを見つめ続ける仕事を終えて帰宅した後にこれを見るとホッとする。それと同時に、そうするのが意味ある場合ならば Tweetbot ユーザーが追加のカラムを加えることも可能だ。つまり一種のハイブリッドという訳で、それは良いことだ。

ユーザーアカウントは左側のツールバーに丸いアバターとして表示される。けれどもこのアカウントアバターは一度に一個ずつしか見えない。他のものを見るには、アクティブなアバターをクリックする。すると他のアバターも見えるようになる。この状態から、他のアカウントへ切り替えることができる。アクティブなアバター (一個だけ見えているもの) の下に、通常のいろいろなアクションのコントロールが並ぶ。メンション、メッセージ、いいね、リストその他だ。新規のメンションやメッセージを作成するなどのアクティビティがあれば、それに対応するコントロールアイコンの横に点が見えるようになる。

image

それは良いのだが、Mac 用 Twitter アプリではもっと良いやり方をしていた。アカウントアバターが常時見えていて、アクティビティの点が個々の横に付いて一目で分かるようになっていた。Tweetbot では、新たなアクティビティが探知されるとメニューバーアイコンが色を変え、そこでプルダウンメニューを開いて初めてどのアカウントにどんな種類のアクティビティがあるかが分かる。

いくつかの単純なアクション、例えばリツイートや引用といったことの手順が、Tweetbot では必要以上に複雑だ。Mac 用 Twitter アプリでは、tweet の中のアイコンをクリックすれば、ウィンドウが開いてその上にテキストフィールドが用意された。その後でそのウィンドウの中でアカウントを切り替えることも、コメントをタイプ入力することも、(あるいはそうしないことも) でき、そのまま send をクリックするだけでよかった。シンプルだ。

それに比べて、TweetBot のコントロールは分かりにくい。例えば、引用ボタンはあるけれども、どのようにクリック (または Control/右-クリック) したかによってその挙動が異なっていて、同じところにリツイートと引用の機能が一緒に組み込まれている。非常に紛らわしい。少なくとも、私の場合はちょっと考え込んで理解できるまでの間、しばらく困惑させられた。

image

Tweetbot の複数カラム対応は、TweetDeck のものとはかなり違う。特定のアイテム、例えばツールバー上のアイコンを Control/右-クリックすると、自由にフロートするウィンドウか、または元のウィンドウの右側に取り付けられた別カラムかのいずれかを作成できる。確かにこのやり方は使えるけれども、この Tweetbot のカラムは最も狭くした状態でさえ TweetDeck のものより広い場所を占める。多数のカラムをスクリーン上に詰め込むことが重要なら、やはり TweetDeck を使った方が良い。

それに、Tweetbot のカラムにはあらゆる種類のコンテンツを表示できる訳ではない。ユーザーストリームは駄目、ハッシュタグも駄目だ。

image

Twitter ストリームの中にどんなものが表示されるかをコントロールしたい人には、Tweetbot のフィルター分け機能が十分堅牢で使えるだろう。ユーザー、キーワード、ハッシュタグ、さらには投稿場所 (例えば特定のウェブサイト、Twitter クライアント、オペレーティングシステムなど) を基準にブロックすることができる。

Tweetbot はかなりの程度にカスタマイズできる。標準的なテキストとアバターのサイズ変更の他にも、タイムラインをストリームに応じて最上部にピン留めしたり、アバターの形を変えたり (あの煩わしい検証済みバッジを消したり) といったこともできる。ただ、暗色テーマがないのは困る。iOS 用 Tweetbot にはあるのだから、ここにもあるべきだ。

このアプリは Tweet Marker または iCloud のいずれかを経由して iOS 版と同期できるので、プラットフォームを替えても読んでいた位置が保たれる。

まとめると、Tweetbot はなかなか良く出来た Twitter クライアントだが、マイナーではあるけれども煩わしい機能欠落や、不必要に複雑化しているところがある。それに、最良の複数カラム対応を追い求める人には、Tweetbot ではたぶん不満が残るだろう。しかしながらこれは TweetDeck と違って、見栄えも使った感触も本物の Mac アプリだ。

Twitterrific -- 2007 年にリリースされた当時、この Iconfactory の Twitterrific は、史上初めての Mac ネイティブな Twitter クライアントであったと思う。開発は 2013 年まで続き、iOS 版も一緒に開発されてきたが、その後その開発が途絶えてしまった。それからおよそ一年経って、再構築されたこのクライアントは Kickstarter キャンペーンとして姿を現わし、その後出荷されるに至った。

改訂された Twitterrific を初めて使ってみて、私はそこに大きな可能性を見たが、いろいろな制約にイライラがつのり、開発者の Ged Maheux に度々便りを出しては機能を追加してくれとしつこく頼んだ。(忍耐強く私に付き合ってくれてありがとう!) その後、このアプリは素敵な具合に進化した。

Tweetbot と同様に、Twitterrific も単一カラムのアプリで、コントロールをクリックしてナビゲーションするようになっているが、Tweetbot と大きく違うところがいくつかある。Twitterrific はツールバーを左辺ではなくウィンドウの最上部に置くので、tweet にスペースの余裕が生まれる。同様に、アカウントの切り替えもウィンドウの最上部、ツールバーのすぐ上で、プルダウンメニューを使ってする。

image

でも、このことにより、Tweetbot で言ったと同様にアクティビティ監視に関する不満が生まれる。Twitterrific では別のアカウントに何か新たなアクティビティがあってもそれが一目で分かるようにはなっていない。ここもメニューバーアイコンで示すようになっているが、それをクリックしても意味のある情報は示されず、ただアプリが前面に出るだけなので Tweetbot のやり方よりもさらに使い勝手が悪い。

明るい面を言えば、Twitterrific の複数アカウント対応は素晴らしい。tweet の中で、reply, quote, retweet それぞれのボタンをクリックすれば現在アクティブなアカウントでそれぞれに付随したアクションが実行され、そのボタンを Control/右-クリックすれば別のアカウントを選んでそのアクションを実行できる。すべてがクリーンで論理的、と開発者自身も最近のブログ記事の中で書いている

Twitterrific はカスタマイズできるフィルター分けのメカニズムを提供し、それを "muffles" と呼ぶ。設定の中で、アカウントごとに、ユーザ名、カスタム語句、URL ドメイン、ハッシュタグ、その他の運用リストを保持できる。このリストに属する項目はタイムラインから消えず、その代わりにデフォルトで最小化される。設定のもう一つのオプションを使えば、それらの項目をフルにミュートすることができる。これとは別に、Twitterrific では Twitter の内蔵機能を使ってユーザーをフルにブロックすることもできる。

Tweetbot と同様、Twitterrific もある程度の複数カラム機能を提供するが、TweetDeck には及ばない。情報の種類によっては (いいね、リスト、メッセージ、メンション、その他) 新規ウィンドウが作れるが、他の種類 (例えばユーザ名やハッシュタグ) では作れない。Tweetbot のように取り付けて固定されたカラムを自動的に作ることもできず、ただ自由にフロートするウィンドウのみ作れるので、それを手で元のウィンドウと並べるしかない。でも、これはそれほど大きな問題ではないし、どんなウィンドウも再起動後は元通りの場所に開き直される。

image

Twitterrific は広範なカスタマイズを提供する。いろいろな文字書体の選択肢を揃え、アバターの調整や、メディア・サムネイルのサイズ変更、Dock アイコンの入替 (マスコットの鳥がサンタの帽子をかぶっているものもある) など多くのことができる。暗色と明色のテーマに加えて、Twitterrific には自らを LED 画面に適合させる「ブラック」テーマまであるが、今のところそのようなディスプレイはまだ Mac の世界では一般的でない。(Twitterrific の iOS 版にもブラックテーマがあり、こちらは iPhone X の LED 画面によく映える。)

image

Twitterrific のデザインはよく考え抜かれている。例えば文章作成ウィンドウは文字をタイプ入力して行くに応じて拡大される。これに対して Tweetbot で長い tweet を書き込むとスクロールバーが表示されるが、それでは投稿する前に文章全体を見直す際に苦痛以外の何物でもない。

もう一つ素敵なところを挙げよう。Twitterrific は写真やビデオのウィンドウをポップアウトさせた後、それを見終われば自動的にそのウィンドウを消してくれるので、Tweetbot で起こりがちなようにたくさんのウィンドウがデスクトップに散らかったままになるということがない。

Twitterrific には独特の、ちょっと奇抜とも言える視覚的スタイルがあって、Tweetbot や Mac 用 Twitter との違いが際立つ。これは実際に Twitterrific を Tweetbot と見比べて感じて頂くしかない。TweetDeck の挑戦的なほどに複数カラムを重視したやり方が望みである人以外は、まずこちらの二つを比べてどちらが好みに合うか試してみて頂きたい。

それからまた、Tweetbot と全く同様に Twitterrific も Tweet Marker または iCloud のいずれかを経由して iOS 版と同期できるので、プラットフォームを替えてもタイムライン上の位置が保てる。

全体的に見て、私は Twitterrific こそが最良の Mac 用 Twitter 代替製品ではないかと思う。考え抜かれたデザインが花開き、遊び好きな精神もそこにある。その上、開発者たちは今後も定期的にアップデートを出すことを約束しているので、私としてはその未来も楽観的に考えてよいと思う。

結論は -- もっと多くの Twitter アプリが Mac ユーザーのために提供されていないのはとても残念なことだ。Mac App Store には他にもかなりの数のもの、例えば Echofon や Tweetings などがあるが、それらはもう何年もアップデートされておらず、ましてや tweet の新しい 280 文字数上限にも対応しているはずがない。

率直に言って、このような状況を作り出した責任は Twitter にある。近年、同社はアプリの開発者たちを歓迎しないようになった。同社は主流のユーザーたちを、自らのウェブインターフェイスと、いろいろのモバイルアプリへと追いやり続けている。(ただし、同社の功績と言えるのは、上級ユーザーたちのために高機能の TweetDeck を提供してくれていることだ。) 気軽な使い方ならばウェブのやり方でも十分だが、Twitter ウェブサイトには複数アカウント対応や複数カラム対応などの上級機能が欠落しているので、多くのユーザーにとって使い物にならない。いずれにしても、Mac ユーザーはネイティブなソフトウェアを好む傾向があるだろう。

Tweetbot と Twitterrific はいずれも、理想的とは言えないにしても、Mac ユーザーにとって悪くない選択肢だ。ただ、どちらにも値札が付いている。もしもあなたが Twitter クライアントに料金を払いたくないと思うけれどもこのサービス自体のウェブインターフェイスでは満足できないというのであれば、TweetDeck を試してみるとよい。ネイティブな Mac アプリではないが、パワーユーザー向けの機能がたくさん詰め込まれていて、Twitter がフルに支えている... 少なくとも今の時点では。

Twitter が Mac 用 Twitter アプリを放棄したのはとても残念ではあるが、ここで紹介した三つのアプリがあるので、あなたもご自分のニーズに合うものを見つけられるのではないだろうか。

コメントリンク17823 この記事について | Tweet リンク17823


TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2018 年 3 月 5 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Quicken 2018 5.5.4 -- 2017 年の末に、Quicken Inc. は Quicken 2018 for the Mac をリリースして新しい講読モデルを開始し、この財務管理用アプリを月額講読価格によって Starter ($34.99)、Deluxe ($49.99), Premier ($74.99) の三つの製品レベルに分けた。三つの版のいずれも、請求書のオンライン支払機能を更新して 11,000 以上のオンライン請求書作成者へのアクセスを能率的なワークフローに統合し、バックアップ用に 5 GB の Dropbox ストレージを提供し、Windows 版 Quicken 2018 にもアクセスできる。Deluxe 版では投資や予算の機能を拡張している。Premier 版では、アプリ内部から Quicken Bill Pay (Starter および Deluxe 版では月額 $9.95 で利用可能) を使った直接の請求書支払いが無料ででき、また顧客サポートに優先的にアクセスできる。

2018 年 2 月の末に、Quicken は Quicken 2018 の三つの版すべてにバージョン 5.5.4 をリリースして、カナダ在住の顧客へのサポートを改善するとともに、Bill Pay 機能の拡張 (例えば休日のため支払日が移動する場合に通知するなど) を施した。このアップデートではまた、投資取引登録でのパフォーマンスの問題を修正し、Quicken 2007 から読み込む際の問題点に対処し、他のソフトウェア製品から移行する際の QIF ファイル読み込みのバグを修正し、投資カテゴリーに Canadian Tax 行項目を追加している。

Quicken for Mac 2015、2016、および 2017 のデータはすべて、Quicken 2018 for the Mac に変換される。Quicken 2007 for the Mac の機能の中には最新リリースの時点では引き継がれないものもある。例えば、貸付償還スケジュール、Home Inventory および緊急記録データ、明示的ロット譲渡証書、債券監視リストなどだ。無料試用版の Quicken 2018 はないが、同社は 30 日間の返金保証をしている。(講読月額 $34.99/49.99/74.99、Quicken 2018 から無料アップデート、リリースノート、10.11+)

Quicken 2018 5.5.4 へのコメントリンク:

Hazel 4.2.3 -- Noodlesoft が Hazel 4.2.3 をリリースして、アトリビュートやトークンをパターンの中へドラッグする際のさまざまの問題点を修正するとともに、パターンを編集する際に起こることのあったクラッシュ一件を回避した。このファイルクリーンアップユーティリティはまた、ファイルをアップロードする際に起こるエラーに関係したクラッシュを解消し、アプリ内のどこへでもルールをドラッグできるようにし (従来はフォルダの中またはルールの中へしかファイルをドラッグできなかった)、複数のルールを同じフォルダに読み込んだ後にリンクされた重複ルールができてしまった問題を修正している。(新規購入 $32、5 名のファミリーパックは $49、無料アップデート、9.4 MB、リリースノート、10.10+)

Hazel 4.2.3 へのコメントリンク:

Logic Pro X 10.4.1 -- Apple が Logic Pro X 10.4.1 をリリースした。このプロフェッショナル向けオーディオアプリのメンテナンス・リリースで、バグ修正や安定性の向上が盛り込まれている。今回のアップデートではいくつかのクラッシュを解消し、ChromaVerb プラグインに関係して CPU 使用量が予期せず突然に多くなるのを予防し、非常に長い領域をダブルクリックした場合に File Tempo Editor が予期される通りに表示されるようにし、複数個のオーディオファイルを選択してもテンポ解析ができるようにし、終了して再起動した後にも一部のコマンドキー割当を正しく覚えていられるようになった。(Mac App Store から新規購入 $199.99、無料アップデート、1.5 GB、リリースノート、10.12+)

Logic Pro X 10.4.1 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2018 年 3 月 5 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Apple Watch Series 3 が新たにスキーとスノーボードのワークアウトを追跡できるようになり、Apple が従業員のための診療所を開設し、Josh Centers が The Loop の Jim Dalrymple と対談してコードカッティングを議論する。

Apple Watch Series 3 がスキーとスノーボードを追跡 -- Apple Watch Series 3 が、サードパーティのいくつかのアプリを利用してスキーやスノーボードを追跡できるようになった。この新しい機能が使えるアプリとしては Snoww、Slopes、Squaw Alpine、Snocru、Ski Tracks があり、総標高差、水平距離、滑走本数、平均速度・最高速度、合計所要時間、燃焼カロリーを記録できる。これらの数値の測定には Apple Watch Series 3 に内蔵された GPS や高度計が使われるので、旧世代のモデルではこれらの機能が使えない。

コメントリンク: 17828

Apple、従業員のための診療所を開設 -- Apple は従業員たちやその家族のための診療所を近日中に開設する。Apple は AC Wellness と呼ばれるこのサービスにより、テクノロジーを応用して患者の治療を改善しコストを減らそうとする Amazon、Berkshire Hathaway、J.P. Morgan の三社が新たに打ち出した合弁事業と同じ方向を目指そうとしている。このような動きは米国の医療制度の現状に対する批判でもある。テクノロジー各社は「もっと良いものを安価に届けられるはずだ」と言っているのだ。けれども問題は、学んだ教訓がもっと広範囲に適用できるものかどうかという点にある。

コメントリンク: 17821

Josh Centers、コードカッティングを Jim Dalrymple と議論 -- "Take Control of Apple TV" の著者 Josh Centers はコードカッティング (旧来のケーブルテレビや衛星テレビを止めてインターネットベースのサービスに乗り換えること) に幅広い経験を持つので、The Loop の Jim Dalrymple が The Dalrymple Report ポッドキャストに彼を招き、可能な選択肢を語り合った。旧来のテレビサービスを止める際の厄介な問題について、Josh が気に入っている代替サービスについて、一昔前の田舎のテレビ・テクノロジーについて、などが話られた。

コメントリンク: 17820


tb_badge_trans-jp2

TidBITS は、タイムリーなニュース、洞察溢れる解説、奥の深いレビューを Macintosh とインターネット共同体にお届けする無料の週刊ニュースレターです。ご友人には自由にご転送ください。できれば購読をお薦めください。
非営利、非商用の出版物、Web サイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載または記事へのリンクができます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありません。
告示:書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。

TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2018 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

日本語版最終更新: 2018年 03月 10日 土曜日 , S. HOSOKAWA