TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#868/26-Feb-07

今週号ではまずここ何年かで初めての読者アンケートのお願いがあるが、それ以外の記事も盛り沢山だ。先週号の記事への追加情報として、まずノルウェー製の「初期のヘルプデスクビデオ」が YouTube から削除されその後またポストし直されたこと、New York Times の記事へのパーマネント URL を作るためのより良い方法、それから Final Cut Pro 5.1.4 アップデートが 5.1.3 で発生した問題点を修正するために早々と登場したことをお知らせする。その他のニュースとしては、Apple と Cisco が iPhone の名称の使用に関して合意に到り、Apple がセルラー・データのサポートを Mac OS X に追加し、ラジオ番組 Your Mac Life がドメイン名を変更、また Preview を使って PDF を読む際に役立つヒントを一つお伝えする。DealBITS では Word 2007 ファイルを RTF やテキストに変換するツール、Panergy の docXConverter が賞品となり、また今回で最終週となる Month of Apple Sales は Take Control 電子ブックの特別セールだ。最後にもう一つ、Joe Kissell が今週号のメインを飾って CrashPlan をレビューする。新登場のこの革新的なバックアップ用プログラムは、素晴らしく前途有望だ。

記事:


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TidBITS 2007 読者アンケートにどうぞご参加を!

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

以前に読者アンケートをした時からずいぶん年月が過ぎたが、ちょうど今私たちはサイトとその基盤構造を大幅にデザインし直す作業の真っ最中なので、これを機会に読者の皆さんがどんな人たちなのか、何をしている人たちなのか、主にどのようにしてテクノロジー関係の情報を入手していらっしゃるか、私たちのコンテンツについてどう思っていらっしゃるか、そしてこれが最も重要なことだが、皆さんが今後 TidBITS でどんな記事を読みたいと思っていらっしゃるのか、ということをお尋ねしたいと思い立った。

そこでぜひ皆さんに、ほんの 5 分ほど時間を割いて、私たちの TidBITS 2007 Reader Survey ページを訪れ、そこにあるアンケートにお答えいただければと思う。アンケートにすべてお答え下さった方には、最後のところで私たちのささやかな感謝の心をお示ししたいとは思うが、残念ながら私たちの力ではあの iPhone の出荷日をこれに間に合わせることはできなかった。

アンケート結果がまとまって、それをきちんと分析する余裕ができれば、折を見て皆さんにもそれをご報告させていただきたい。お時間をいただくことになりますが、どうぞよろしくお願いします!

[訳注: 残念ながらアンケートページはすべて英文ですが、回答はチェックボックスやラジオボタンをクリックするだけでできるようになっていますので、どうぞ積極的にご参加ください。]


Final Cut Pro 5.1.4 Update プラグイン問題を修正

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

先週の Final Cut Pro 5.1.3 Update は、未だ冷め切らないうちに Final Cut ユーザーが Conduit, Automatic Duck, そして Magic Bullet Colorista といった数多くのサードパーティプラグインを動かなくしてしまう事を発見することとなった。それで、Apple は Final Cut Pro 5.1.4 をリリースし、カスタムインターフェースを使う FxPlug プラグインに関する問題を修正した。更に、<pathurl> エレメントがが欠けている XML ファイルをインポートすることに関するバグの修正も含んでいる。このアップデートは 38 MB のダウンロードで、Mac OS X 10.4.8 下で走る Final Cut Pro 5.1 かそれ以降を必要とする。


Your Mac Life のドメイン変更

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

Macintosh のラジオ番組/ポッドキャストの中でも最も面白いものの一つは Shawn King の Your Mac Life であるが、これが先週そのドメイン名を変更せざるを得なくなった。そこでもしあなたが水曜日の夕方のいつもの時間 5:30 PM Pacific/8:30 PM Eastern に Your Mac Life を探すのであれば、これまでの www.yourmaclife.com ではなく www.yourmaclifeshow.com の方へ向かって欲しい。とりわけ、先週のゲストには iTunes の教祖的存在である Macworld の Chris Breen、2007年のこれまでの Apple ニュースにざっと目を通す MacJournals.com の Matt Deatherage、そして YML のサーバー管理者の Aaron Adams が登場し、彼は 03-Mar-07 に見られる皆既月食の写真を Mac を使ってどうやって撮るかについての話をしている。この番組は YML アーカイブ.から聞く事が出来る。


DealBITS 抽選: A Sharp の Opal の当選者

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週の DealBITS 抽選で当選し、A Sharp の Opal($32 相当)を受け取ることになったのは、potomacadvisors.com の John O'Reilly、mac.com の Dave Harvey、sbcglobal.net の Cheryll Shubert の3名だ。おめでとう! 残念ながら当選しなかった皆さんもがっかりすることはない。A Sharp では TidBITS 読者の皆さんのために Opal を $6 値引き、つまり価格を $26 に引き下げてくれた。この値引きは 2007 年 3 月 21 日までの期間有効で、アプリケーションの内部(Opal > License メニューを選ぶ)から購入する際にクーポンコード 2007DB6 を使えば利用できる。今回の DealBITS 抽選に応募して下さった皆さんに感謝するとともに、これからも多くの方々に参加して頂ければと願っている。今回応募された 384 人の皆さん、どうもありがとう。また今後の DealBITS 抽選もお楽しみに!


DealBITS 抽選: Panergy の docXConverter Premium

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Microsoft は、いずれコンバータをリリースして Macintosh 上の古いバージョンの Microsoft Word でも XML ベースの .docx ファイル(Windows 上の新しい Word 2007 で作ったもの)を開けるようにすると約束している。けれどもそれが実現するまでの間は、あるいはその後であっても Word 2007 の .docx ファイルを他のワードプロセッサやデスクトップ出版プログラムで使うために RTF (Rich Text Format) やテキストのフォーマットに変換したいような場合にも、Panergy の新製品 docXConverter が注目に値する。使い方はいたってシンプルで、ただ .docx ファイルをダブルクリックするだけだ。すると自動的に docXConverter が起動し、そのファイルを変換してから、あなたが指定したフォルダに置き、それがあなたの選んだアプリケーションで開くよう設定してくれる。Word 2003 や Word 2004 によるソースドキュメントと変換後の RTF ドキュメントとの間ではフォーマットが同一になるはずだが、Panergy は Microsoft が Word 2007 で導入した新しいフォーマット要素の完璧な変換に向けて現在作業中だ。docXConverter は Mac OS X 10.2 かそれ以降を要するが、実際の書類でテストしてみたい人のために 30 日間あるいは 20 回の変換まで有効の無料デモ版 (3.6 MB) も用意されている。

今週の DealBITS 抽選では、 docXConverter 1.1 Premium を2本、賞品にする。それぞれ定価 $29.95 相当の製品だ。(Premium 版は通常版よりも $10 高いが、2年間のアップデートを含んだメンテナンス・プランが付いている。)幸運が足りずに当選から漏れた応募者にももれなく docXConverter Premium の割引価格の資格が贈られるので、ぜひ奮って下記リンクの DealBITS ページで応募して頂きたい。寄せられた情報のすべては TidBITS の包括的プライバシー規約の下で扱われる。どうかご自分のスパムフィルターや challenge-response システムに注意されたい。当選したかどうかをお知らせする私のアドレスからのメールを、あなたに受け取って頂くのだから。また、もしもあなたがこの抽選を紹介して下さった方が当選すれば、紹介に対するお礼としてあなたの手にも同じ賞品が届くことになるのもお忘れなく。

[訳注: 応募期間は 11:59 PM, 04-Mar-07 Pacific Standard Time まで、つまり日本時間で 3 月 5 日(月曜日)の午後 5 時頃までとなっています。]


Apple と Cisco iPhone の商標訴訟合意

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 松田 栄 <sacaboom@gmail.com>

Apple と Cisco は、iPhone の名称使用をめぐる争いで合意に達した。Cisco は、同社のLinksys 事業部が、2006 年 12 月に 既存の Internet Protocol (IP) 電話機ファミリーを iPhone という名称に商標変更して発売したことで、Mac 業界を驚かせた。Cisco は 2000 年に買収した会社を通して、この商標権を取得しており、電話の世界では、この商標権を所有しているものと主張していた。この iPhone という名称は、Apple が考案している企画製品に付けられるものだと、何年もの間広く噂されていた。

そして Apple もまた、2007 年 1 月に Macworld Expo で、もうひとつの iPhone を発表したことで、皆を驚かせた(2007-01-15 の"iPhone は携帯電話の定義を変えるか"を参照)。この直後に、Cisco は訴訟を起こし、Apple の名称使用について交渉していたと述べた上で、商標権を主張した。Apple はこの訴訟を"馬鹿げている"と考えた。

両者はすぐに和解交渉に入った。この合意は 2007 年 2 月 21 日に発表され、すでに認められた商標権を両社が承認すると述べられている。また両社が、世界市場で iPhone の商標を自社製品に使うことができるとした。Apple と Cisco は、係争中の訴訟を取り下げ、相互運用に取り組む予定だ。合意条件についての詳細は明かされていない。

損害賠償についての詳細は不明だが、金銭は伴わなかった可能性もある。これは全くの憶測だが、Cisco はこの好機を利用して、Apple の隙につけ込み、同社の幅広い個人向けおよび法人向け製品群との互換性を改善しようとしたのかもしれない。そうすれば自社の顧客と利益がプラスになるだろうから。

この合意が何を意味するかというと、Apple の iPhone が Apple iPhone になったということだ。しかし商標の効力はきまぐれなので、もっと俗っぽく呼ばれるかもしれない。- Apple ならこんな感じだ‐"Apple iPhone 携帯電話、ミュージックプレイヤー、インターネット通信機"


Preview で読書に集中

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

Bryan Phelan に感謝したいと思うのだが、Apple の Preview アプリケーションの役に立ちそうな機能に我々の注意を喚起してくれた。Bryan は、彼の Mac 上の他のアプリケーションでは Take Control の電子本を読むのに何かといつも邪魔立てされてしまうのを気にしていたのだが、それも Preview の Slideshow 機能に行き当たって解消した。

電子本 (或いは他のどんな PDF でも) を開いた状態で、ただ View > Slideshow (Command-Shift-F) を選択するだけでいい。あなたのスクリーンは直ちに真っ暗になりそして電子本の現在のページだけが表示される。透明のスライドショーツールバーにある Fit to Screen ボタンをクリックするとそのページをあなたのスクリーンいっぱいにまで拡大出来る。残念なことは、ブックマークを見たりクリックしたり出来ないことだが、リンクの方はクリックしてフォロー出来、Web リンクの方はあなたの Web ブラウザに切り替える事をせずにスライドショーの背後で見えないままロードする。ツールバーを隠すにはその外側の何処でもいいからクリックすることで出来るが、あなたがカーソルを動かせば即座に戻ってきてページの下の部分をぼんやりさせるので、一般的にはキーボードを使ったナビゲーションが一番良い。

ページ間をナビゲートするには、左右の矢印キーか、左右の角括弧キーを押せば良い。スライドショーモードから抜け出るには Escape キーを押す。他のキーで何かをするのは F (全画面モードに切り替える) と A (元のサイズに戻る) だけである。他の殆どのキーは押された時ビープ音を発するだけである。ところが Tab, R, そして L のキーはビープしないので、これらのキーの役割は何なのか解き明かすことが出来た人はボーナスポイントものである。


初期のヘルプデスクビデオ、消えてよみがえる

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

英語の字幕がついた「初期のヘルプデスクビデオ」について、私が TidBITSの記事(2007-02-19 の "初期のヘルプデスクビデオ" 参照)を書き上げた次の日、そのビデオを投稿していた ZrednaZ なるユーザがビデオを削除し、ビデオを見ようとした TidBITS 読者たちのあいだに不満の渦が巻き起こった。さらに YouTube で検索をしてみると、同一のビデオがいくつも見つかったが、それらすべてには英語ではなくデンマーク語の字幕がついていた。ところが、ある人が、もう1つ 別の英語字幕つきビデオを見つけたとのコメントを残していることに私は気がついた。そしてまもなく、ZrednaZ も、最後の部分に数秒間を追加して、 ビデオを再投稿した。(残念ながら、再投稿されたビデオはほかよりずっと暗いのだが、字幕はもっともよい。)

一体何が起きたのだろうか。オリジナルのビデオは、ノルウェーの全国ネットテレビ局 NRK の番組 "Oystein og meg"(Oystein と私)の中で、2001 年に放送されたものだが、最近になって YouTube に現れたようだ。別の YouTubeユーザが最近、この件を取り上げた NRK ニュースの短い抜粋(英語の字幕が加えられている)を投稿している。それによると、YouTube にアップロードされたビデオは、YouTube の中でももっともよく見られたビデオの1つとなり、およそ百万回再生されたそうだ。ニュースレポートはさらに続けて、NRK のコンテンツをアップロードするのは違法であり、現在 NRK の弁護士団がこの件について調査を進めていると伝えている。ZrednaZ は、NRK の弁護士団と聞いて怖じ気づき、ビデオを YouTube から取り下げたが、多数のリクエストを受け取り、また YouTube のほかの場所にも同じビデオがたくさんあるのを見て、再投稿した。

NRK の弁護士団がどう対応するかを見るのは興味深い。もちろん、YouTube に再投稿されたものは許可を受けていない。しかし、誰が損害を被ったのか、そもそも損害を被った人がいるのか、判然としない。この作品は 6 年前に制作されたもので、当時は多くのノルウェー人を楽しませたのだろうが、その後は基本的に忘れ去られ、NRK に金銭的利益をもたらすこともなければ、制作者たちの出世に貢献することもなかったに違いない。そして今、YouTube のおかげで、またインターネットにおけるユーモアのウイルス的伝播性のおかげで、少なくともその制作者にある程度注目が集まることとなった。制作者の1人はニュースの中でこう言っている。「これによって私たちは、今までにないほど世界進出に近づいたと言ってよいだろう。これまでのところはとてもうれしく思っている。」NRK としては、このように注目を集めたことを収入や何か建設的なものに変換する準備ができていなかったのだが、その事実は、機会を逃したということであって、荒っぽい法的手段を講じる理由にはならない。ここから得られる教訓は、いつどこで雷が落ちるかは決して分からないが、それに対する備えをしていれば、あるいは十分にすばやい対応をすれば、自分の中にいるフランケンシュタインの全能力を解き放つことができるかもしれないということだ。

私は少々心配していたのだが、このビデオが NRK の弁護士団の注意をひいたことについては、私たちが原因ではないと思う。私が友人からこのビデオについて聞いたのは 2007 年 2 月 13 日のことで、その友人は、司書をしている義理の姉妹から知らされた。そしてその日に私は ExtraBITS に記事を投稿したのだ。このビデオは、司書仲間のあいだを巡回していただろうし、2007 年2 月 14 日には The Chicago Blog にこのビデオについての記事が書かれている。私が思うに、YouTube での再生回数の多くは、TidBITS に私の記事が載る前のものだろう。なにしろ、この件についての NRK ニュースが放送されたのは、どうやら TidBITS の当該号が発行された日と同じ、2007 年 2 月 19 日のようだから。


Apple セルデータのサポートを大幅に強化

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

Apple の WWAN (Wireless Wide Area Network) Support Update v1.0 が Software Update 経由で先週リリースされた。これで Novatel の 5つのセルラーデータモデムへのサポートが追加となった。これらのデータモデムは米国の 3つのセルラーオペレータから色々な形で提供されているものである。このアップデートでは MacBook Pro に使える 4つの ExpressCard モデムとどの Intel-ベースの Mac にも使える一つの USB モデムとへのサポートも提供している。Intel-ベースの Mac で Mac OS X 10.4.8 かそれ以降が必要である。

第三世代 (3G) セルラーデータネットワークは都市や地域全域に亘ってそこそこのデータスピードを提供する。Cingular Wireless (もうすぐ AT&T の一部としてブランド名が変わる), Sprint Nextel, そして Verizon Wireless がより高速の標準へとそれぞれのネットワークをアップグレードするのに伴ってそのスピードも高まりつつある。

これまでの方法 -- このリリースの前は、Mac OS X のユーザーは一般的にサードパーティソフトウェア、サポートのないハック (それでもちゃんと働く)、或いは Verizon Wireless (ワイヤレス PC Card を登録し管理するための公式の Mac ソフトウェアを提供している唯一つの米国キャリア) に頼るしかなかった。この Intel 限定のアップデートでは、PowerPC-ベースの Mac のユーザーはより高速のセルデータサービスが拡大してきても相変わらず既存の方法に頼らざるを得ない状況に変わりはない。

この Apple の新しいサポートにより Mac ユーザーは自分のセルモデムをプロバイダのネットワークに登録できるようになるのかどうかははっきりしていない。Verizon Wireless 以外のネットワークへの登録には通常特別の Windows ソフトウェアが必要である。

データ速度 -- Cingular の HSDPA (High-Speed Download Packet Access)、世界標準の一つ、は現在は米国内のあちこちの都市で利用可能であるが、最近の AT&T-BellSouth の合併によりその展開は加速されるであろう。HSDPA のダウンロード速度は最大で、現行のバージョンでは 3.6 Mbps、そして出現し始めてきた新バージョンでは 7.2 Mbps である。個々のユーザーが体験する実際の速度は毎度の事ながらあまりはっきりしない:現行の 3.6 Mbps 世代では上り 150 Kbps そして下り 700 Kbps といった所が一般的であるらしいが、突如それよりはるか上に行ったり、はるか下に落ちたりする事はありうる。Cingular の宣伝では下り 400 から 700 Kbps といっている。HSDPA の 7.2 Mbps バージョンではスループットを倍にすることは可能であるが、実際には一つのセルタワーからより多くのユーザーをサポートすることになり、つまりスループットの改善は程々ということになりそうである。Novatel Merlin XU870 ExpressCard は、Cingular から提供されていてそしてこの Apple のアップデートでもサポートされているが、HSDPA の両方のスピードはもとより、より古いより低速の標準をもサポートしている。

Sprint と Verizon Wireless はそのネットワークに CDMA を採用している、これはセルラー標準の一つであり主として米国と韓国で使われている;彼らの 3G の特色は EVDO (Evolution Data-Only) と呼ばれている。最初のバージョンは Rev. 0 の番号がふられ HSDPA と同等の速度を提供している。次のバージョンは EVDO Rev. A と呼ばれ、設置が始まったばかりである。Sprint と Verizon Wireless は 2007年を通しての大規模な増設を約束している。Rev. A アダプタは、Rev. 0 の速度でも動作するだけではなく、以前のモデムスピードである 1xRTT 標準をも使える。Rev. A では、代表的な下りの速度は 800 Kbps までで数メガの瞬間速度もあり得る、上りの方も 400 Kbps に改善されている。WWAN Support Update v1.0 は一つの Rev.0 EVDO ExpressCard - Verizon Wireless ネットワーク上の Novatel XV620 - をサポートし、そして他の二つの ExpressCard と USB アダプタは Rev. A に対応している。

コスト -- これら三社は料金定額制のサービスに対して通常月に約 $60 を課しているが、それも 2年間の契約と高いキャンセル料の元での話である。Cingular と Verizon Wireless はこの $60 台の料金は通話契約も一緒の場合に限っており、そうでなければ月 $80 程度となる。カードと USB モデムは一つのプランに契約をすれば通常キャリアからの補助が付く;値段は、地域と契約の内容によって変わるが、最長の契約をした場合は通常 $50 から $150 である。

"料金定額制" だからといって、そしてこれら三社全てが無制限として宣伝はしているが、それは必ずしも "無制限" を意味するわけではない。これに関しては Columbia University ロースクールの教授である Tim Wu のかなり長い小論を読む事が出来るが、その中身は "無制限" と言うことがセルラーオペレータの手にかかるとどの様にして "如何様にでも我々が規定する様に" となってしまうのかについてである。Verizon Wireless では、メール、Web サーフィン、そして企業アプリケーション全て合わせて日に転送量 200 MB 以下という事を意味する。これではとてもブロードバンドとは言えない!


New York Times へのリンクをより簡単に

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

何かをするのに少なくない時間を費やして、その結果得られた成果といえば、その時間のほとんどが無駄だったと分かったことだけという経験はないだろうか。私は先週それを経験した。1時間ほどかけて、New York Times の記事の古い URL や新しい URL をさまざまに試し、記事に無料で永久にアクセスできるようリンクするための再現可能な方法を見出そうとしていたのだ。助けを借りてなんとか解決することができたが、まだ、もっと簡単で巧妙な方法があってもよいのではないかと思っている。(2007-02-19 の "New York Times にもパーマリンクを" 参照。)

テスト用の URL をいくつか送ってくれた Seth Theriault に感謝したい。おかげで、New York Times の記事にリンクするのが、ずっと簡単になった。たとえば、Steve Jobs のデジタル著作権管理についての書簡を取り上げた、次の記事にリンクしたいとしよう。

http://www.nytimes.com/2007/02/07/technology/07music.html

この記事はもう古くなっているので、このリンクをたどると、TimesSelect に連れてゆかれる。ところが、Seth が言うには、そしてそれは正しかったのだが、上記の URL(このページをブラウザでロードしたときに表示されるTimesSelect の URL ではない)に、ただ "/partner/rssnyt" と付加するだけで、リンクが永久に無料になる。つまり、次のようにする。

http://www.nytimes.com/2007/02/07/technology/07music.html/partner/rssnyt

これはすばらしい。元の URL しか分からない古い記事でも、その末尾に魔法の文字列を付加するだけで、アクセスできるようになる。いや、少なくとも理論上はそうなのだが、Seth が言うには、この方法は、大抵はうまくゆくけれども、特により古い記事の場合、うまくゆく保証はない。

それだけではない。New York Times は登録を要求する。登録は無料だけれども、登録することを好まない人もいる。("/partner/rssnyt" 付きのリンクを使うには登録が必要だ。)Seth が指摘するには、どの記事を読んでいるときでも Permalink 機能を使うことができて、それで得られる URL では、その記事へ永久に無料でアクセスできるだけでなく、登録の必要を回避できることもある。「こともある」と言うのは、Jobs の書簡についての記事へのパーマリンクは、登録要求を回避することができないためだが、一方、次のパーマリンク(Kodak プリンタについての記事へのリンク)は、現在のところ登録を回避できている。

 http://www.nytimes.com/2007/02/15/technology/15printer.html?ex=1329195600&en=a836993738d1d5d1&ei=5124&partner=permalink&exprod=permalink

さらに混乱させられることがある。私は数週間前に、ある記事(私たちが食べているはずのものについての Michael Pollan の必読記事 "Unhappy Meals")へのパーマリンクを作成し、それは登録を要求するのだが、同じ記事から今パーマリンクを作ると、違ったものができる。どちらも無料で記事にアクセスできるが、その記事自体も、理由は分からないけれど、再び普通の URL から無料で読めるようになっている。加えて、私はテストの詳細な記録をとってはいなかったけれど、先週この記事を書いていたときには、私が作ったパーマリンクは TimesSelect 内の記事へのものだったと、誓ってもよい。

結論として私に言えることは1つだけだ。New York Times のウェブ職人たちは、記事へのアクセスにかけてはさまざまな選択肢を用意しており、それらを思うがままに変更することができ、そして実際に変更している。しかし、今のところは、"/partner/rssnyt" という文字列さえあれば、通常の New York Times の URL をいつまでも無料でアクセスできるものにするのに十分だ。


CrashPlan: バックアップ再考

  文: Joe Kissell <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Take Control of Mac OS X Backups”の第一版と第二版を書きながら、また同じ題材でいくつかの雑誌記事も書きながら、私はたくさんの Mac 用バックアップアプリケーションを試してきた。機能や実装方法の細かいところについてはそれぞれに大きく異なってはいるものの、本当の意味で革命的と言えるようなものにはもうかれこれ長い間お目にかかることがなかった。確かに Mac OS X 10.5 Leopard で話題沸騰の Time Machine 機能ならばファイルの復旧にパッと目新しいインターフェイスを加えてくれるだろうが、それを支える基盤のメカニズムはと言えば、やはりファイルを一日一回ハードディスクやサーバボリュームにアーカイブするというしごく標準的なものに過ぎないのだ。

だから、Code 42 Software の CrashPlan という製品が先月 Macworld Expo でリリースされたと聞いた時も、私はどうせこれも似たようなものだろうと考えていた。私のリストと機能比較チャートに何十も並んだツールの名前にまた一つ新手が加わったな、という程度の反応を感じただけだった。けれども私は快い驚きの気持ちを味わうこととなった。CrashPlan は、それを遥かに超えるものだったのだ。これは、私が Mac 用のどんなバックアッププログラムでも見たことのなかったクールなことがいくつかできるし、それらのことを素晴らしく使いやすいやり方でこなしてくれる。

たいていのバックアップソフトウェアは似たようなパターンに従って動作する。つまり、あらかじめあなたがそのアプリケーションに、どのファイルやフォルダ、あるいはボリュームをバックアップしたいか、どこにバックアップしたいか、またどんなオプションを使いたいか(例えば圧縮したり、ファイル名でフィルタ付けしたりといったこと)を指定しておく。それから、あなたがボタンをクリックして即座にバックアップを始めるか、または定期的なバックアップをスケジュールするか、ということになる。それに対して、CrashPlan ではファイルの選択やオプションなどはほとんど後から考えるべきことになる。最初に尋ねられるのはバックアップデータの保管先であって、このプログラムの他と違うところはここから始まるのだ。

賢いオンラインバックアップ -- 一つの選択肢は、あなたのコンピュータをインターネット経由で CrashPlan Central と呼ばれる CrashPlan のサーバにバックアップするというものだ。そうすることで得られる一番の利点は、あなたのデータをオフサイトで安全に保存しておけるところだ。たとえあなたの家が火事で焼け落ちても、データはちゃんとあちらにあって必要に応じて他のコンピュータから遠隔アクセスができる。

一般的に言って、この利点があるにもかかわらず、私はインターネット経由のバックアップサービスはあまり好きではないと思っていた。なぜなら(高速のブロードバンド接続であっても)速度が遅い上に料金も高く、またもしもインターネット接続が使えなくなったらファイルの復旧をどうするのかという問題があるからだ。けれども、CrashPlan の料金は競合各社に比べて大幅に安い。最大 50 GB を月額 $5 で保存できるし、追加容量も GB あたりたった $0.10 だ。その上、料金の計算は請求月の終わりの時点で保存されている容量に対するものであって、転送されたデータの総量に対して課金されるのではない。

他のオンラインのバックアッププログラムと同様に、CrashPlan もあなたのデータをインターネット経由で送り出す前にそれを圧縮して暗号化する。だから、他社と同様、やはり物理的法則に縛られることになる。つまり、いくら圧縮されていても、オンラインのバックアップは場合によっては何日も、時には何週間もかかることさえある。けれども CrashPlan は三つのユニークかつ興味深いことをしてくれる。

まず第一に、最近に変更されたファイルに優先権が与えられる。だから、例えばあなたが初めてのフルバックアップを走らせているとして、それが終了するまでに三日間かかったとしても、その最中にあなたが今書いている書類に大きな変更を加えたとすると、CrashPlan はほとんど直ちにその新しくなった書類をバックアップしてくれ、他のものの処理が終わるまで待たされるということがない。

第二に、変更されてきたファイルの複数バージョンを保管することができ、オプションとしてファイルが変更される度にすぐに保管する、つまりバックアップ処理の度にあなたのディスクですべてのファイルをスキャンすることはしない、ということもできる。その場合、ファイルがディスクに保存されてから CrashPlan がそのファイルをバックアップするまで何分の待ち時間を置くかが設定できる。こうしておくと、あなたが CrashPlan を使い始めたその時から、あなたの最も重要な、最も頻繁に使っているファイルについて、その複数バージョンがアーカイブ保管されることになる。つまり、これはある種のバージョン・コントロール・システムとも言え、しかも決まったスケジュールで走るまで待つことも要らないのだ。

そして第三に、ファイルが変更された時には、CrashPlan は新しくなったそのファイル全体のコピーを作るのでなく、そのファイルの中で _実際に変更されたバイトのみ_ をコピーする。つまり、増分バックアップが非常に高速で動作し、保管に必要な容量も最小限で済むということだ。この二つの点はいつでも歓迎すべきことだが、ことにオンラインのバックアップではとりわけ嬉しい特徴だ。その結果として、例えばあなたが Parallels Desktop で Windows XP のために使っている 10 GB のディスクイメージをバックアップするとしても、バックアップメディアが溢れてしまう心配をせずに安心して毎日アップデートできるわけだ。実際、CrashPlan はさらにもう一歩大きく踏み出したこともする。もしもあなたの家やオフィスにあるコンピュータの二台以上であなたが既にバックアップしたものと全く同一のファイルを持っている場合、CrashPlan はいちいち新たなコピーを作ることはせず、最初のバックアップファイルへのポインタを作って保管するだけなのだ。だから、他のバックアップ方法に比べてずっと多くのデータをずっと少ない保存容量の中に効果的に保管することができるというわけだ。

しかしながら、こういった部分ファイルのアプローチ方法には内在する欠陥もある。つまり、ファイルの特定のバージョンを再構成しようという場合、そのために CrashPlan はそれを構成するすべてのピースにアクセスする必要がある。このプログラムは広範なデータ検証を実行することで何物も失われたりしないよう努めてはいるが、ディスクエラーやその他の事故が起こってあなたがバックアップしておいたファイルのどこかの部分が壊れるということも考えられるわけで、そうなれば後になってそのファイル全体を再構成することができなくなってしまう。個々のファイルをそれぞれ丸ごと保管しているプログラムにおいてはこの種の心配がずっと少なくて済むだろう。

ピア・ツー・ピアのバックアップ -- バックアップ先として選べるのは CrashPlan のサーバだけではない。実際、この会社が公表している FAQ を読むと、CrashPlan Central は決して最速の選択肢でもなければ一番安い選択肢でもないとはっきり書いてある。そこでもう一つの選択肢として選べるのが、友人のコンピュータだ。これは、インターネット接続がありさえすれば、世界中のほとんどすべてのコンピュータのどれでもよい。CrashPlan は Mac OS X、Windows、それに Linux 用のクライアントを持っており、一つのオペレーティングシステムにあるファイルを他のオペレーティングシステムに保管することもできる。あなたの友人がしなければならないのはソフトウェアをインストールする(誰か他の人のパックアップを保管するだけなら無料で使える)ことだけで、それでその友人のハードドライブをあなたがファイルのバックアップ先として加えることができるようになる。友人は、あなたがどれだけのディスク容量を使ってよいか指定できるし、あなたのデータはすべて暗号化されるので友人があなたのデータを読むことはできない。あなたも友人も、これをするために静的 IP アドレスが必要になるというわけではない。ただし、場合によってはデータが正しく流れるためにファイヤウォールやルータの設定を調整しなければならないこともある。

インターネット経由で友人のコンピュータでできることは、もちろんあなた自身の別のコンピュータであなたのローカルネットワークを通じてすることもできる。二台以上のコンピュータを相手にしてもよい。それに、いったんコンピュータ A をコンピュータ B のバックアップ先として指定しておけば、クリック一つで逆に A から B へのバックアップもでき、相互バックアップが実現できる。このことはまた、あなたが二台のコンピュータを持っていようと何十台も持っていようと、その一つ一つをそれぞれ他のものにバックアップすることが手早くしかも自動的にできるということも意味している。(ただしもちろん十分なディスク容量があればの話だが。)

たいていのバックアップソフトウェアでは、ファイル共有を使って一つのコンピュータのディスクを別のコンピュータにマウントさせることでローカルネットワーク上の他のマシンにバックアップをさせるようにできる。より高度なソフトウェア、例えば Retrospect のようなものでは、クライアント対サーバのシステムを使うことで手間を省くとともにより高度なコントロールが提供できるようになっている。けれども CrashPlan は、私の知るクロス・プラットフォームのバックアップソフトウェアのうちで、真の意味でのピア・ツー・ピアのバックアップが出来合いの状態のままでローカルでもリモートでもできる唯一のものだ。そして、具体的なスケジュールなど何も指定する必要なくそれができるというのが、とてつもなく大きな利点なのだ。

にぎやかな鐘とホイッスルと... レッドカード -- 基本的なことはもちろんだが、CrashPlan はそれ以外にも私がアーカイブ・バックアップのプログラムで重要だと思うような機能のうち大部分は提供できている。まず、ソフトウェアが常時走るか、それとも特定の時にだけ走るかが選べる。個々のファイルごとに何個のバージョンを保持したいか、ソースディスクからファイルを削除するかどうか、するならばいつ削除するのかが選べる。特定のファイルやフォルダだけを対象に選んだり、特定の拡張子を持つファイルを除外したりもできる。復旧すべきファイルを日付によって、ファイルシステム中の位置によって、あるいは検索を使って選べる。バックアップしたファイルからの復旧は元の場所へも、あるいは別の場所へもできる。それから、復旧の際には既存のファイルを上書きすることも、または改名することもできる。また、オンラインバックアップの際にバンド幅を絞ることも、さらにはあなたがコンピュータを使っている時とコンピュータがアイドル状態の時とで別の限界値を使うようにすることもできる。

それにもかかわらず、バックアップ用にこんなにも良い点が揃っているのに、CrashPlan にはいくつかの欠陥や奇妙な手落ちが見られる。まず一つを挙げれば、不可解なことに、外付けハードドライブにも、さらにはネットワーク接続のストレージドライブにも、直接バックアップすることができないという点だ。現時点では、別のコンピュータのみが、有効なバックアップ先と認められる。(そしてそれらのコンピュータのユーザーのみが、ローカルにどのストレージ機器にバックアップを保存するのかを指定できる。)だから、コンピュータを一台しか持っておらずインターネット経由のバックアップはできない(あるいはしたくない)という人は対象外となってしまう。また、インターネット経由のバックアップをしようとすれば、復旧の速度が遅いのを我慢しなければならない。Code 42 によれば、この点を何とかすることが現在最優先の課題となっているということだ。

もう一つの問題は、Time Machine や Apple の Backup 3.1 と同様、CrashPlan もアーカイブをうまく作れるようにデザインされているものの、ブート可能な複製を作れるようにはなっていないということだ。私の意見では、アーカイブ作成と複製の作成は、完備したバックアップシステムと呼べるための両輪と見るべきで、そのどちらが欠けてもあなたは危険に晒されることになる。例えば、もしもあなたが素晴らしいアーカイブを持っていたとしても、ハードディスクが壊れただけで、たちまちあなたは何時間も、ひょっとしたら何日も、仕事ができない状態に追いやられることになる。そのドライブを修理あるいは交換してから、その後で必要なファイルをすべて復旧させなければならないからだ。でもブート可能な複製を持っている場合は、すぐにでも仕事に戻れるだろう。それに、ブート可能な複製があれば、システムのアップグレードの際に何か問題が起こった時にあなたを危機から救ってくれることもあるだろう。だから、あなたのバックアップシステムのそちらの面を補充するためには他のツール、例えば SuperDuper のようなものが必要になる。

CrashPlan は Java で書かれている。Java アプリケーションではよく見られることだが、やはりここでもルック&フィールの面で理想とはほど遠いところがある。つまり、まあそこそこ見栄えは悪くはないのだが、ちゃんとした Mac アプリケーションと言うよりはむしろただのウェブページのように見えてしまうのだ。メニューもなければキーボードショートカットもないし、コントロールのいくつかは意味が分かりにくい。CrashPlan アプリケーションが動作していなくてもバックアップはバックグラウンドで走っているのだが、それに関するフィードバックが全くないので何が起こっているのか分からない。ただ、インターネット接続が(あなたの設定状況によって)大きくスローダウンすることでそれと分かるかもしれないだけだ。Code 42 ではこの点についても解決法を模索中とのことだ。

私の経験では、他のアプリケーションは何も走っておらず、CrashPlan も表向きにはバックアップをしていないと思われるのに、私の Mac の CPU が 100% 占有状態に留まってしまうということが何度かあった。Activity Monitor によれば Java がプロセッサを独占していたということだった。Code 42 によれば、他のユーザーたちからもいくつか同様の問題の報告があり、現在この問題は調査中とのことだ。

こうした問題点以外にいくつか細かなバグもあるが、まあ私の見るところ、新参のアプリケーションの初めての商用リリースの段階としては予期できる範囲内と考えてよいと思う。近い将来に、きっと改善がなされると期待している。私がリクエストしておいた他の点から例を挙げれば、ファイルをバックアップから除外するのにもっと柔軟性が欲しい(例えばファイルのサイズで、あるいは修正日付でなどで除外したい)こと、また文法的な見直しをして欲しいこともある。このプログラムでは、動詞で“back up”と書くべき個所に“backup”という単語を動詞として使っている。(例えば「Backup すべきファイル」というような過った書き方だ。)

結論 -- これらの問題点を差し引いても、CrashPlan は私が自分のバックアップ戦略を本気で再検討してみようという気持ちになった初めてのプログラムだ。これは、以前には全く存在しなかった、あるいは実行するのが非常に面倒だった、そういう可能性を提供してくれているからだ。私は、自宅に何台かある Mac のバックアップに Retrospect を使うのを止めようという気にはまだなっていないが、もしも CrashPlan にある大きな問題点のいくつかが解消されれば、その時にはそれを本気で検討するようになることも十分考えられる。

CrashPlan には二種類のバージョンがある。CrashPlan Pro(ここで説明したもの)の価格は $60 だ。Pro 版でない方の CrashPlan の価格は $20 で、こちらは個々のファイルごとに一個のバージョンしか保管できず、リアルタイムでファイルの変更を追跡することができない。また、Pro 版には一年間の無料アップデートと優先的な技術サポートが付いている。14 日間有効の無料試用版もある。

スタッフ円卓会議 -- [Adam Engst] 私はまだ自分で CrashPlan を試してはいないけれど、ピア・ツー・ピアのバックアップというアプローチ法についての Joe の説明には非常に興味を惹かれた。実際私はいくつかの講演でも、また 2004-01-05 の記事“Apple Computer、2004 年へと歩みを始める”でも、Apple はそのようなアプローチに向けて何らかのことをすべきだと述べてきた。その記事で私は次のように書いている。

「私は、Apple がピア・ツー・ピアのファイル共有テクノロジーを Mac OS X に組み込んで、Mac のネットワークと Macintosh ユーザーたちが、単なる個別の機器というレベルを超えて、もっとパワフルかつ柔軟性を持った働きができるようにして欲しいと思う。共有された同じファイルの複数個のコピーがいくつかのマシンに保存されていれば、どれかの Mac の電源が切られた場合や PowerBook を持って旅行する場合の問題も防げる。いくつものサーバを探し回る作業はもはや過去のものとなる。共有されたファイルは、あたかもいくつかのローカルなフォルダの中にあるように、いつでもただ利用可能なものになるだろう。そのようなシステムでは、自動的にバックアップをとってそのバックアップデータは非共有のものとして保存し、それを暗号化されたいくつかの部分に切り分けてネットワーク上の複数個の Mac に分散して置いておく、といったことも可能になるだろう。このようなことはすべて高速のローカルネットワークにおいて最も実現可能だろうが、適切にデザインされ正しく具現化されさえすれば、これをインターネットにまで拡張していけない理由は何もない。」

CrashPlan をテストしてみる機会があれば、それがバックアップされたたくさんの断片を実際にどれほどうまく組み上げて最終的なファイルに仕上げることができるのか、そこのところをしっかりと見てみたいと思う。また、バックアップしたものからハードディスクの丸ごと全体を(たぶんあらかじめ他のハードディスクあるいは Micromat の TechTool Protege のようなユーティリティを使ってブートしてからということになるのだろうが)復元することができるのかどうかについても関心がある。結局のところ、重要なのはバックアップなのではなくて、復元するところこそが肝心なのだから。

[Jeff Carlson] 私の場合、今のところ私の Retrospect システムは何の問題もなく動いているので、まだ CrashPlan を使ってみる気にはなれないが、確かにこの製品は何人もの散らばった家族の間でそれぞれの Mac にインストールするには絶好のツールになるのではないかと思う。私は自分の両親が定期的なバックアップの設定をするのを手伝ったことがあるが、両親のシステムではまだオフサイトのバックアップまで手を出せていない。単に外付けハードドライブにファイルをバックアップするというだけで、既に大きな進歩だったのだから。でも、CrashPlan があれば、厄介な手間をかけず、遠隔地に居ながらにして、両親の重要なデータを彼らの家の外に保存しておくことができるだろう。例えば私の仕事場に彼らのため専用のハードドライブを置いておけばよいわけだ。テクノロジーに詳しくない家族のために良いバックアップをキープしてあげること、これこそ愛の形というものではないだろうか。


Take Control ニュース/26-Feb-07

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple セールス月間 #4: Mac をはじめる人に -- マルウェアにさんざんな目にあったので Mac に切り替えてみようかと考えている Windows ユーザーを、私たちは皆少なくとも一人は知っているだろう。でも、いくら Mac OS X がシンプルで、セキュアで、使うのが楽しいとはいっても、オペレーティングシステムを変更することがやはり大きなステップであるのは間違いないところだ。そこで、私たちの Take Control Switcher's Kit でその人たちの移行の手助けをしてはいかがだろうか。7 冊の電子ブックに、どの Mac を買うか、データを Windows から Mac OS X に移すための方法、必要な Windows アプリケーションを Mac 上で動かすにはどうすればよいか、そして、Mac OS X について学び、Mac OS X を正しく管理するためのベストのテクニック、そうした事柄がきちんと説明されていることは折り紙付きだ。この必携のバンドルがたったの $25.18、つまり定価の $62.95 に比べて 60% 引きで手に入る。(そしてもちろん、私たちの電子ブックにはいやらしいコピー防止テクニックなどは一切使われていないので、電子ブックをダウンロードしてからあなたの友人に電子メールで、あるいは CD に入れて送って下さってもかまわない。)

この割り引きを利用するには、Month of Apple Sales #4: The Switcher's Kit のページから購入するだけでよい。

このセール、またこれまで一ヵ月間にわたってお知らせしてきた“Apple セールス月間”のセールは、すべて 2007 年 3 月 6 日(米国時間)をもって終了となる。さあ、今こそ、Tiger を使い始め、iLife について詳しく知り、Mac OS X の知識を深め、Mac をはじめようという友人を助ける、よい機会ではないだろうか。


TidBITS Talk/26-Feb-07 のホットな話題

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

家庭用 Mac で音量コントロール -- iPod には音量を制限するオプションがあるが、Mac ではどうだろうか? 7 歳の子供がサウンドの音量を目一杯上げてしまうのを防止することはできるか? (1 メッセージ)

Apple TV はラップトップの DVD をプレイできる? -- Apple TV の出荷日を待ちわびる日々だが、ある読者は家のどこかにある Mac で動かした DVD の映画をテレビ画面で見るようにするのは可能なのだろうかと思案する。(1_メッセージ)

NY Times のリンク -- New York Times 紙の記事をオンラインで読むためのパーマネント・リンクを作るという先週の Adam の記事に読者たちが反応を寄せる。 (3 メッセージ)

Garmin Forerunner GPS で走る -- Garmin Forerunner やその他の GPS 機器と共に使えるものとして、読者たちが TrailRunner やその他の GPS アプリケーションについて議論する。 (4 メッセージ)

奇妙な環境設定フォルダ -- ある読者の Mac では、変な名前の付いたフォルダが大量に出来ていた。これらはどこから来たのか? (7 メッセージ)

Mac OS X で WriteNow ファイルを読む -- 何年も前に WriteNow を使って素晴らしい傑作の小説を書いたけれども読めなくなってしまったというあなたのために、WriteNow ファイルを読む方法や、それらを Mac OS X が対処できるものへと変換する方法について、いくつか提案がある。 (5 メッセージ)

どの程度引用するか? -- TidBITS Talk に(あるいは他のどんな討論フォーラムでも同じことだが)投稿されたメッセージをあなたが引用してポストする時、どのようにするのが正しい定式なのだろうか? (3_メッセージ)

圧縮されたビデオを編集 -- HDMI 接続の付いた機器からビデオをキャプチャできるように作られた製品について、意見を求めている読者がいる。(1-メッセージ)


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