Twitter が Elon Musk のほとんど一挙手一投足ごとにそれを巡る論争に埋もれつつある中で、何百万人もの人々が Twitter を去って Mastodon へ移りつつある。でも、今週号の2つの分析記事で Glenn Fleishman が解説するように、Mastodon はごく表面的な意味でしか Twitter の代わりとはならない。馴染みあるマイクロブログのインターフェイスの下で、Mastodon は Fediverse の一部分として働いている。これは分散型の、コミュニティーによって駆動される基盤構造であって、まさにインターネットの初期の時代、まだ私たちの生活がテクノロジーの巨大企業によって支配されていなかった時代を思わせるものだ。Mastodon を使い始めるまでにしばらくかかることもあるが、心地良いコミュニティーと喧騒のないことが、労力を注ぐ価値があったと思わせてくれるかもしれない。今週号ではまた、Apple が一連のオペレーティングシステムリリースの締めくくりとして tvOS 16.3 と、なかなか興味深い HomePod Software 16.3 を出したことをお伝えする。今週の ExtraBIT では、子会社 LastPass の漏洩で盗み出されたデータの中に親会社 GoTo のユーザーに関する機密情報も含まれていたという GoTo からの発表についてお知らせする。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Affinity Designer, Photo, Publisher 2.0.4、BusyCal 2023.1.1、MarsEdit 5.0.2、それに Lunar 5.9.5 だ。
Apple のリリースマシンは少し休みを取った後 HomePod Software 16.3 と tvOS 16.3 を公開した ("Apple、ハードウェアセキュリティキー対応の iOS 16.3、iPadOS 16.3、macOS 13.2 Ventura をリリース " 23 January 2023 参照)。これ等残り二つのアップデートは今や入手可となっている。通常それ等は付け足しのようなものだが - そして tvOS 16.3 は今回もそうである - HomePod Software 16.3 は実際にとても興味を引くものとなっている。
HomePod と Apple TV は通常放っておいても自分でアップデートするし、今回もそれを妨げるべき理由は見当たらない。しかし、HomePod Software 16.3 の新機能の一つに興奮しているのであれば、直ちに手に出来るように一押ししてやることも出来る。
HomePod Software 16.3
HomePod Software 16.3 が、リリースされたばかりの第二世代 HomePod に対するサポートを含んでいても何も驚くことはないであろうが ("第二世代 HomePod、空間オーディオ、温湿度監視、音認識をサポート " 18 January 2023 参照)、それには第一世代 HomePod や HomePod mini の所有者も喜ぶであろう改善も含まれている。
例を挙げると、Apple は第一世代 HomePod 上の音量コントロールをアップデートし、より小さな音量でより細かい調整を可能にしている。どちらのフルサイズ HomePod も、新しいオーディオチューニングがポッドキャストの様な話し言葉のコンテンツをより聞きやすくするよう最適化している。
残りの変更は、スマートホーム操作と Siri に焦点を当てている:
今や HomePod mini と第二世代にある温度と湿度のセンサーを活用して Home オートメーションを駆動出来る。
リマスターされた環境音は臨場感が向上し、Home アプリのシーン、オートメーション、およびアラームへの追加が可能。
HomePod の Find My で Siri に頼んで、あなたと位置情報を共有している友達や家族の位置情報を確認することが可能。
繰り返しの Home のオートメーションを音声だけで設定可能。私は未だこれを試験してみる機会がないが、Home アプリの中でその結果を念のため再確認することをお勧めする。
HomePod は今や変化が見てもわからないアクセサリや別の部屋にあるアクセサリへのスマートホームのリクエストを完了したことを示す Siri のビープ音を再生する。現在では、Siri はその様な動作を音声応答で確認する。
HomePod アップデートを始動させるには幾つかの方法がある。私が見つけたのは、iOS Home アプリの右上隅にある ... ボタンをタップし、次に Home Settings > Software Update を選ぶと我々の HomePod 3台全てがアップデートをダウンロードし始めることである。それ以降は独自にインストールするのだろうと思うが、私は Home アプリにある HomePod タイルを押し、Accessory Details を選択、スクロールダウンして (或いは、歯車アイコンをタップして) 必要なコントロールを出し、そして Update をタップすることで強制した。
tvOS 16.3
皆さん、ここには見るべきものは多くない。tvOS 16.3 に関して、Apple は単にそれには "全般的なパフォーマンスと安定性の改善が含まれます" と言っているだけである。また、10 のセキュリティ脆弱性修正 も含まれている。それ自身でインストールするのを待とう。
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古い根を持つ新しい概念が Internet 上に現れ始めた:
federation (連合) である。中央集権型システム、典型的には利益目的や投資家に報いる目的の企業による一つの巨大なデータベース相当のものとして運営される、ではなく、連合は分散されたサーバーに依存する。個々のサーバーは、instance (インスタンス) と呼ばれ、共通のプロトコルを走らせる。そのプロトコルを使うサーバーは短いポストやメディアの断片の様な情報の小さな塊を交換することに同意する。現代の連合化されたシステムの最も良く知られたそして最も人気のある例は Mastodonである。それは Twitter に対する主たる代替選択肢として注目を集めた短文投稿ネットワークである。(Mastodon がどんなものかの裏表、参加すべき理由、そしてその使い方についての更なる詳細については、この号の他の記事 "Mastodon: ソーシャルネットワーキングの新たな希望 " 27 January 2023 を参照されたい。)
連合の概念は、Fediverse の台頭ゆえに最近注目を集めている。Fediverse は一式のオープンソースプロトコルで、一つのサーバー上のユーザーの活動そして他の独立して運用されるサーバー上のユーザー間での情報のやり取りを管理するものである。 (その様なプロトコルで最も広く使われているのは ActivityPub で、World Wide Web Consortium にも支持されているが、他にもある。) サーバーソフトウェアは - 通常オープンソースでもある - ユーザーにアカウント登録をローカルにするのを許し、そしてローカルユーザーがローカルサーバー及び同じプロトコルを走らせる Fediverse 内の他のサーバーの両方の上のユーザーをフォローしフォローされるようにする事で連合をサポートする。要するに、このオープンソースシステムは、事前に相互やり取りをするための合意をする必要の無いサーバー間をつなぐ網状の接続を構築する。
Fediverse の中心は存在しない。個々の参加者そして個々のサーバーはそれ独自の意図、運用理念、そしてローカルなデータ蓄積を持つ。サーバー間の接続は全て、合意の上で、自由意志により、そして変更される可能性があるものである。一つのサーバーが他のものに接続出来るか出来ないかを指令する権威は存在しない;また、如何なる包括的な権威もユーザーやコンテンツを削除するよう要求することは出来ない。(政府や裁判所は別問題だが、個人的そして営利的言論に関する限り彼らは常に外因的存在である。)
音楽、ソーシャルネットワーキング、そして写真や音楽の共有、等々のための Fediverse ソフトウェアが出されている。この便利なサイト は - その性質上権威的ではない! - Fediverse を詳しく説明し、数限りない Fediverse アプリを掲載している。私はまた、昨年 11 月に Per Axbom が Fediverse アプリを木の枝や葉として描いたこの絵 が好きである。
出典: axbom.com/fediverse
Fediverse は、Internet 経由で人々をつなぐための多くの組織の中央化された商業的努力とは極めて対照的なものとして存在する。それは IndieWeb の精神の一例である。IndieWeb は Internet の初期の最善を振り返りそして今日作り上げられる事の出来る最善を見据える。Fediverse は、一方で他の独立に運用されているネットワークやサーバーに接続する方法を個別に決める権威を提供しながら、全ての船を持ち上げる協力的な方法で資源を共有するよう設計されている。
皆さんの取りあえずの興味は Mastodon にあるのかも知れないが - そして、そのためには上記にリンクした記事を見て欲しい - Fediverse はより広範囲で、Mastodon が多くの星系や通商路における平和の言語となる銀河である。そして他の多くの連合化されたシステムと共存する。Fediverse とはどんなものであり、何を意味するのか深く掘り下げてみよう。
非中央集約化されたふれあいの未来に戻る
人々が他の人と電子的にどの様に会話するのかの可能性の宇宙において、選択肢は基本的に、中央集約型、非中央集約型、そして分散型に分けられる。Paul Baran による影響力ある 1964 年の研究論文 からのこのネットワーク形態図に見られる様に、それは別に新しい分け方ではない。
定義とサービス例:
中央集約型: Twitter は 中央集約型 である。一つの会社が、プロトコル、データ、そしてサーバーを所有している。それは、アカウントを管理し、規約を決め、そして広告、何を載せるか、誰がそのサービスを使うか、そしてサードパーティがそのデータにどの様にアクセス出来るかに対する全権を握っている。(例: Twitter はその API に対するサードパーティアプリのアクセスを通知もなく急に停止した - "Twitter、サードパーティのクライアントアプリを禁止 " 20 January 2023 参照。) 中央こそが 真実 である:サービスとは何ぞやの抽象的概念とやり取りする唯一つの場所である。
非中央集約型: DNS は 非中央集約型 である。ドメイン名システムには階層があり、それは Internet の各部がどの様に個別に名前を付け、そしてネットワーク ID や他のデータと関係づけられることが出来るかを規定している。ドメイン名システムの中の一部の資源は、方針の一部を決めそして多くの重要な技術資源とサーバーを運用する中央権力によって運用されている。そうではあっても、かなり緩い制約の範囲中で、誰でも彼らが所有するドメイン名をホストし又はホストすることを委任出来、そしてサブドメイン、メールサーバー、サイト検証テキスト入力等の付随する値全てを選択出来る。
分散型: Fediverse は 分散型 である。個々の Fediverse インスタンスはそれぞれ独自の星の王子さま の世界であって、連合を通じて他のサーバーと関わる選択をする事が出来る。連合はローカルに保存された情報を他のサーバーと遠隔に交換する場である。責任者は誰もおらず、ネットワークについて絶対的真実を求めて行くべき所もない。
我々の中の最も年長の人はこれを昔 蓄積交換 システムと呼ばれていたものを思い起こさせると思われるかも知れない。それ等は初代の FidoNet , UUCPNET , そして BITNET の様なものである。それ等は一種の連合の初期の例である。全てのサーバーはローカルでないアカウント向けの情報を渡すやり方を知っていた、たとえそれが単に次のサーバーへと送りつなぐだけであっても。例えば UUCP では、メールはバングルーティング を使って宛先指定をする事が出来た。それはソースと目的地の間の個々のサーバー全てをリストアップしていた。これ等のネットワークはインターネットワーキングの初期の時代には非常に重要であった。当時、モデムは高価で、帯域幅は十分になく、そしてバックボーンは存在していなかった。
中央集約は、定義から言って、その精神の対極にある。それが拡がったのは、一部には、メディアにおいて Internet がより豊かになりそしてより複雑になるにつれて、必要となる計算力と帯域幅要件 を管理するに必要な資源のコストのせいであった。また参入に対する技術的な障害も大規模な採用の障害となった。新しいサービスは Internet の一部の要素に対してその参入を易しくし、そしてソーシャルネットワークは、主としてメールとブラウザを使い、ブログしたり、Web サイトを作ったり、Usenet に投稿したりするのは面倒だという聴衆を掴んだ。
古い道の上に新しいコースを刻むものは、繁栄するコミュニティを実演し、容易なアクセスを提供、そして信頼性高く働かなければならない。これ等三つが今日の Fediverse に存在すると主張するのは困難だが、それぞれの要素は正しい方向に向かっている。
Mastodon と Fediverse は Web 2.0 よりずっと良い何かを体現している - そして不運で、馬鹿馬鹿しくブランド化されたメタバース/クリプトに焦点を当てた Web3 として既に見られているものよりも遙かに優れている。Fediverse はより Web 1++ に近い: それは、初期の段階で皆さんが好んだものを、そのまま現代化
し遙かに進化させたものだからだ。
Federation の限界
連合にも弱点があって、それは基盤や方針を決める中央組織がないことに関係している。そうではあるが、これ等の弱点も実際には両刃の剣であり、否定的な面と肯定的な面の両方がある:
インスタンスは他のどのインスタンスと連合するかを選ぶ。一つのインスタンスに他の全てのインスタンスとメッセージを交換するよう強制する方法はない。あなたが乗っている一つのインスタンスがたわいもない理由で多くの他のものの邪魔をすることもある。一般的には、そうはならない。何故ならば、気まぐれに走らされたインスタンスはそれ等の気まぐれな判断に強く同意するものにしか行き着かないからである (最近の Twitter のことの様に聞こえる)。
メディアの多い、ユーザーの多い、或いはやり取りの多いインスタンスは、より控えめのペースのインスタンスよりも高いサーバーと帯域幅費用を要する - ひょっとすると、より小さなインスタンスでの月に数ドルに対して月に数千ドルと言った具合に。
インスタンスを走らせる管理者は、彼らのインスタンス上のユーザーが幸せであり、そしてそのインスタンスは法に触れるような行動に関わっていないことを確実にするためにモデレーション (投稿されたコンテンツをチェックし、不適切なものを削除する作業) の責務を負う。米国では、インスタンスはまた Section 230 要請に対応しなければならない。それは報告されたコンテンツを直ちに削除することを求める法的拘束力をもつ要求である。
多くのインスタンスは、個人又は小さなグループが自発的に時間とお金をつぎ込むことによって運用されている。有給のスタッフが関わるものは殆どない。それ故に、管理者やモデレーターが、構造的に、社会的に、或いは法的に誤っているものに対処するために使う時間は、さもなくば他の事をするのに使えた盗まれた時間でもある。
基盤となっているプロトコル ActivityPub は、サーバー間の大量の相互接続に対して効率的であるべくは設計されていない。その結果、メッセージ伝達で長い遅延につながることもある。しかしながら、ActivityPub はオープンソースなので、開発者達は効率性を改善するべく精力的に取り組んでいる。
皆さんもこれ等の問題の幾つかをメールで経験されているかもしれない。Apple, Google, そして Microsoft、更には従業員ための大企業によってホストされた個人やビジネスのアカウント数は巨大であるが、メールは実質的には連合化されたサービスだからである。例えば、メールサーバーを走らせる管理者は他のメールサーバー宛に出る或いはそこから受け取るのを阻止出来るし、阻止もする;厄介者のリストを定常的にアップデートすることが役に立つ。個々のメール受信者も、個人又はドメイン全体からのメッセージを阻止するツールを使える (対照的に、連合化されたサーバーの管理者は個々のメッセージを定常的に調べなければならないかもしれないが、メールに対しては殆どやられていない)。以前メールは送られたメッセージのメール添付容量に対する制約に苦しみ、メール受信で巨大な未処理残に至ることもあった。これ等の問題はサーバーを運用するコストが下がるにつれ時間と共に縮小してきた。
これ等の問題にも拘わらず、メールは繁栄した。メールは次第に分裂したものとなり、サーバーは他の一部のサーバーとしかやり取りをしなくなるであろうとした世紀末前後の予想は実現しなかった。一つの心配はメールメッセージがここからあそこへ、それが何処であれ、途中にある障害のせいで到達出来ないのではと言うものであった。それも起こらなかった。連合における何十年にも亘る偶然の実験の中でのメールの成功は我々に望みを与えるはずである。
Fediverse では、多くのインスタンスが他のインスタンスを阻止する。しかし、それはさまざまな明解な理由による一部のインスタンスである 。最も一般的なのは、過激主義のイデオロギーを持つ人々によって使われるインスタンスである。このいわゆる defederation (連合離脱) は - 別のインスタンスからのトラフィックを阻止する - 一つのインスタンスの管理者の自由裁量で起こる。具体的に言うと、Mastodon の中で、あなたの Mastodon アカウントがホストされているインスタンスとは異なるアカウント又はインスタンス全体をミュートしたり阻止したり出来る。それ以降は、そのドメインからのその個人又はポストを見ることはなくなるであろう。
管理者は、個人、ポスト、或いは他の項目に対して各種のモデレーション行動をとることが出来る。Mastodon の世界では、一部のインスタンスは強力なモデレーションチームと詳細な利用規程を持っている。公正さを確保し遡及を提供するために審査委員会や顧問団を持つ所さえある。モデレーションは拡張性がなく、Fediverse が成長するに従ってそれは挑戦となる。ユーザーや活動の増加はポストや人々の強引な削除や悪人達の不十分な抑制へとつながることもある。そして、それは他のインスタンスが、余りに厳しすぎるか或いは厳しさが足りないインスタンスから連合離脱されることにつながり得る!
幸いにして、個々のアカウントはある特定のインスタンス上に生きていて、あなたは自分の ソーシャルグラフ を持っている、つまりそれはあなたの他の人々とのつながりである。あなたは自分の ID を一つのサーバーから別のサーバーへと移動する事が出来、あなたのフォロワーとあなたがフォローする人を一緒に持っていけて、そして自動転送アドレスはそのまま置き去りにも出来る。(Mastodon の場合、あなたのポストは移動せず、管理者がそのアカウントを削除しない限り、以前のサーバー上の琥珀の中に留まる。) あなたが移動したいアカウントがあるインスタンス上で阻止されたり禁止されたりしている場合、それは当然ながら複雑さを持ち込むことになる。
ある Fediverse プロジェクトが、基盤の ActivityPub プロトコルも含んで、その振る舞いが余りに過激になった場合、それは forked (分岐) されることが出来る。すなわち、新しい方向に向けられたそのプロジェクトの複製となり得る、と言うのもこれ等の努力の殆どはオープンソースだからである。一つのプロトコルを使うインスタンスを走らせている人は、もし主たる方向が気に入らなければ、分岐バージョンをインストールする選択も出来る。これは Fediverse 或いはその中のサービスを分割することになり得るが、現実には、殆どのフォークは一次枝を持っている。
Fediverse 対応のアプリ全てがそれ専用と言う訳ではない。例えば、Manton Reese の Micro.blog サービス は ActivityPub をフォーマットとしてサポートし、そしてデフォルトとして October 2022 から作られたアカウント上で それを有効にする。Mastodon では、Micro.blog ユーザーのフィードを、別の Mastodon ユーザーを追加するのと同じ位簡単に追加出来る。WordPress ユーザーは ActivityPub プラグイン (今はベータ) をインストールして 同じ様なフィード定期購読を許す事が出来る。Fediverse はまた RSS 絡みでも高度に柔軟で、対話型でないフィードを入手するためにそれを一種の lingua franca (共通語) として使う事も出来る。
分散化された未来でも、我々はつながれるか?
Fediverse の未来は、数億の人々によって大規模に使われることに依存しない。如何なる企業も数千人の従業員を雇い、巨大なサーバー資源を維持したりする必要はない。そうではなく、それは、どちらかというと勢いと献身の上に成り立っている。オープンソースプロジェクトと有志が運用するサーバーは、自分がやっていることは価値があるのだと信じている人達を必要とする、それが啓発された利己心から、或いは寛大さからのどちらであっても。
Fediverse にまつわる興奮は、Internet 種子貯蔵庫に相当する所にほぼ 20 年に亘って放置されていた夢が、最近の Mastodon に対して当てられた焦点のお陰で、花を咲かせるのを目の当たりに出来るかもしれないことである。ブログは死に、RSS は遠のき、そして人々は自分がポストしたものや他の人との関係を昔ほど保持しなくなっているこの時代に、質問は分散型の Internet の夢の種はもう忘れ去られてしまうのか否かにあった。Fediverse は新しい土壌である。そこに何が花咲くのか、楽しみに待とう。
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あなたがインターネットの喜びと驚きを初めて体験した、その時のことを思い返してみよう。あの感覚を再び味わうことはないのかと思ったなら、Mastodon のマイクロブログ の世界に足を踏み入れて、何か新鮮で楽しいものが見つかるかどうか試してみる価値があるかもしれない。少しも恐怖を感じることなくオンラインのやり取りを眺めることができた、あの日々の記憶が蘇るかもしれない。少なくとも今は私もそう感じている。
Mastodon はサービスではなくて、Mastodon ソフトウェアを走らせ独立に運営されたサーバたちによる、合意の上で提携したネットワークだ。これはいわゆる Fediverse の最もよく知られた実例であって、Elon Musk が Twitter を買収して従業員を解雇したり 、システムを壊したり 、サードパーティの Twitter アプリをブロックしたり 、さまざまの反社会的、ファシズム的 、反民主主義的振舞いのため停止されていたアカウントへのアクセスを復活させたりといったことを始めて以来、ユーザー数を猛烈に増やしつつある。(Fediverse についての考察は姉妹記事、2023 年 1 月 27 日の“皆さんの未来は分散化されていますか? Fediverse へようこそ! ” をお読み頂きたい。)
ごく表面的に見れば、Mastodon を Twitter に代わるものと思ってしまいがちだ。けれどもこれはそれよりずっと複雑なものであって、それも良い意味で複雑だと言える。ここ数か月の間に Mastodon は不釣り合いなほどの注目を浴びた。Twitter にはもう我慢できないけれどもオンラインのソーシャルな結び付きは失いたくないと思う人たちに、最も手近で 匹敵する 機能を備えた避難所を提供したからだ。2022 年の初め頃に Mastodon サーバ上に登録アカウントを持つ人は二十万人程度だったが、2022 年 10 月にその数字は数十万人に跳ね上がり 、今では九百万人を超えている 。一方 Twitter は数億以上のアカウント数を誇るが、Elon Musk が買収以前に批判した点で最も確実に検証できるものの一つは Twitter がスパムや詐欺や宣伝に特化したボット駆動のアカウントを大量に持っているらしいというものであった。
Mastodon では、顔の見えない巨大会社を相手にしたりすることはない。また、ひっきりなしに顔突き合わせてくる CEO が理解もできず訴えることもできないような気まぐれな決断を繰り返すこともない。その代わりに、あなたは Mastodon サーバのどれかに参加する。このサーバは インスタンス と呼ばれ、個人、企業あるいは団体によって運営されている。個々のインスタンスは他の Mastodon サーバとの間でメッセージを交換する。つまり 連合 する。これらのサーバは、どのユーザーが他のユーザーの投稿を購読しているかを示す ソーシャルグラフ に基づいてコンテンツのパケットをやり取りする。投稿の中央集中的なデータベースのようなものはどこにも存在しないし、ソーシャルグラフを貯えた中央保管所のようなものも存在しない。Mastodon は純粋にそれぞれの部分からのみ成っているのであって、中核となる Mastodon サーバもなければそのような概念も存在しない。
例えて言えば、Mastodon は大小さまざまの船が多数集まった船団のようなものだ。他方、Twitter は大陸規模のサイズの一隻のクルーズ船というところだろうか。Mastodon の船の中には 5 万人の乗客を抱えるクルーズ客船のようなものもあるかもしれないが、たった一人が乗るゴムボートもある! 個々のインスタンスの管理者 (つまりそれぞれの船の船長) はその船の進む道について、他の商業的船舶のようにあなたがどうしても同意できない気持ちになる、そんな決断をするかもしれない。でも、あなたはその船に縛り付けられている訳ではないので、溺れるしかないということは起こらない。代わりに、あなたはその船団コミュニティーの中で居場所を失うことなく他の船へ飛び移ることができる。船団の一部が離脱して別のグループを作ることも可能だ。ただ、いかに大きな船であっても、特定の船がそのコミュニティーの中で他の船より重要だということはない。
これまで Twitter か Facebook をずっと使ってきた人 (あるいはそういうサービスをずっと避け続けてきた人) で、Mastodon とは何か、それがどこへ向かおうとしているのか、どうすれば参加できるのかを知りたい人は、どうぞ読み進めて頂きたい。Mastodon とその Fediverse がなぜ存在するのか、それが商業的なソーシャルネットワークとどう違うのか、その昔のインターネットの初期の時代のやり取りと似た楽しさをなぜ思い起こさせるのか、そういったことを理解するために、技術的な情報をたくさん知っている必要はない。
それに、忘れないで頂きたいが、物事は変化する。Mastodon はまだまだ発展途上にある、進行中のプロジェクトだ。新しい参加者たちを乗せた船が毎日のように船団に加わりつつあるし、その多くが新しい機能を求めて声を上げている。Mastodon に参加するということは、それがどこへ向かうのか、どうやってそこへ到達するのかの詳細がまだまだ形成されつつある途上の、その旅路の一員としてあなたが加わることを意味しているのだ。
Mastodon とは何か、どのように機能するか
Mastodon はオープンソースのプロジェクトで、今は絶滅した象の同胞種をマスコットとして使っている。ドイツの非営利会社がこの取り組みを管理するとともに大規模な Mastodon インスタンスをいくつか運営している。そのネットワークは Fediverse の一部分であって、一連のソフトウェアプロジェクトが同じアカウントのセットと交換プロトコル (その大部分は ActivityPub ) を利用してローカルなユーザーを管理するとともに、ローカルなユーザーと遠隔のサーバとの間でデータを交換する。Twitter ではすべてのユーザーアカウント名とツイートを集める集中的保管所が存在しているが、Mastodon と Fediverse のサービスはすべて本質的にローカルなものであって、一部のやり取りのみがグローバルに実行される。
Mastodon ユーザーとなったあなたにとっては、すべてが統一化されて見える。連合したインスタンスの間でシームレスにコミュニケーションができるための厄介な作業は管理者とプロトコルが担う。
外から見れば Mastodon は複雑に見えるけれども、私に言わせればいったん自分の電子メールアカウントをセットアップしてインターネット上で常時使う電子メールリストへのサインアップを済ませさえすれば、あとはそれほど時間を掛けずに Mastodon に馴染むことができるだろうと思う。Mastodon は多くの意味でむしろ電子メールに似ているのであって、ただその配管工事のうちあなたの目に触れている部分が少し多いだけだ。
あなたのアカウントはたった一つのサーバにホストされる。別のインスタンスにもアカウントを持つことは可能だけれども、それらは Fediverse 全体にわたって別々のアドレスとして扱われる。
人々があなたを見つけたり、あなたに宛ててメッセージを送ったりする際には @[email protected]
という形式が使われる。私の Mastodon アカウントは @[email protected]
だ。(私は何年も前にセットアップした別のアカウントを持っていて、それは @[email protected]
というものだが、こちらは基本的に私の現在のアカウントに転送するよう設定している。もしそちらも普通に使い続けていたならば、それぞれ別々にメッセージをチェックしなければならなかったところだ。ちょうど、別々のサーバにそれぞれ電子メールアカウントを持っていた場合のように。)
メッセージはまずローカルに保存されてから、そのサーバの外へ送られる必要がある場合にはそこから他の場所へ転送される。
管理者にはインスタンスを運営し続ける責任があり、他のどのインスタンスと連合するか、どのインスタンスとのやりとりを拒否するかを自ら選択することができる。(迷惑メールやハラスメントばかり送り出す電子メールサーバをブラックリストに載せるのと同じだと思えばよい。)
Mastodon アプリを使う際には、あなたのアカウントのあるインスタンスをホストしているサーバにログインする。あなたが Mastodon に投稿すると、そのテキストとそれに結び付いたメディアやメタデータがそのインスタンスのサーバにもローカルに保存される。その同じサーバ上にアカウントを持つ人たちや、ローカルなフィードを見ている人たちは、そのローカルに保存されたデータから取り寄せてあなたの投稿を見ることができる。
連合する側面が働き始めるのは、 ソーシャルグラフ として知られるものをあなたが構築することによる。つまり、あなたと他の人たちとの結び付きを構築するのだ。あなたが面白いと思うものを投稿する人たちをあなたがフォローしたり、あなたの投稿を面白いと思った人たちがあなたをフォローしたりする。(通常、その人たちがどのインスタンスに属するのかを調べる複雑な作業は Mastodon アプリが処理する。)
あなたのインスタンスは、他のどのインスタンスがあなたと結び付いたユーザーを持っているか、その結び付きがどちら向きかといった情報を知っている。あなたが投稿をする度に、あなたのインスタンスは ActivityPub を用いて、その投稿をあなたと結び付いたユーザーを持つすべてのインスタンスへ転送する。それはどちら向きの結び付きについても起こる。言わば、電子メールのメーリングリストのようなものだと思えばよい。ただ、扱う対象が個人でなくサーバであるだけのことだ。オーストラリアの Thoughtworks で働く基盤構造コンサルタントの Effy Elden が ポッドキャストの中でこう述べている :
投稿を [6000 人のフォロワーを持つ特定の一人のユーザーが] 一度する度に、基本的に何千ものジョブが作成され、私たちのサーバ上で何千ものタスクが走る。つまり、外へ向けて転送をするために実際にそれらすべての遠隔サーバとの間にウェブ接続を構築して、その投稿とその状況とを送り出す。それらすべてが非同期的に実行される...
非同期的ということはつまり、あなたの投稿はそのサーバ上のエージェントに渡され、そのエージェントが実施の送出を担うということだ。ActivityPub は現在のような規模の Mastodon を念頭に置いて設計されたものではないので、処理能力が不足したり、他のインスタンスが処理能力の限界に達したりした場合にそれらのエージェントが時折ハングアップしてしまうことがあり得る。Mastodon ネットワーク全体にわたる伝播の遅れが目に見えて実感できることもある。ただ、通常そういうことは起こらないし、Twitter など中央集中のシステムでは私たちの目に見えていない 。しかしながら、遅れは満ち引きを伴う。典型的には、大量に新規ユーザーが Mastodon に参加すれば遅れが生じ、管理者たちがサーバを増設したりより多くのリソースを投入したりするにつれて遅れが解決する。それに、現実的に言って、投稿があなたのインスタンスに届くのが数分間遅れたからといって、あなたは気にするだろうか?
Mastodon はあなたのアカウントのためのフロントエンドとして標準的なウェブアプリを提供する。これについては下で説明する。このウェブアプリは多くの機能性を提供している。あらゆるプラットフォームで、いろいろな開発者たちがモバイルあるいはデスクトップのアプリを作っている。(あらゆる者が同等の立場にいるのだから、そういうものを“サードパーティ”のアプリと呼ぶのは難しい。) 中央集中型のネットワークと違って、Mastodon の API (そのシステムへ繋がるフック) はすべての人に開かれているので、どんなアプリもあらゆる機能性を生み出すことができ、好きなように付加価値を加えることができる。
これで背景の説明を終わろう。では、あなたが実際に Mastodon ネットワークに参加するにはどうすればよいかを見て行こう。
どうやって Mastodon にサインアップするのか
Mastodon には中核となる場所がないので、使い始める段階で混乱に陥ったりフラストレーションを貯めたりしがちだ。自分の電子メールサーバを選ぶより難しいのは、選択肢があまりにも多いからだ。その数限りない選択肢のほとんどすべてで、新たなユーザーを迎える容量がある限り自由に参加できるようになっている。
電子メールで Apple、Google、Microsoft のどれかを選ぶのは簡単だが、何百もある Mastodon インスタンスからどれかを選べとなれば当惑するのも無理はない。けれども、ここ何週間かのうちに Mastodon プロジェクトは発着場の整備を進めており、Mastodon を検索すればそのサイトが検索結果の最上位に来るようになった。
Mastodon のホームページへ行って Servers (サーバー) をクリック すれば、ユーザーを受け入れているインスタンスのリストが示される。この記事を書いている時点で、リストには 200 以上の項目がある。リストに載っているインスタンスはすべていくつかの基本原則を満たしており 、例えばヘイトスピーチの管理などを実施している。誰でもサインアップできるものもあるし、そこでアカウント申請をするよう求めてくるものもある。
一つ選べと言われても難しいと思うだろう! 選択肢を絞るためのヒントをいくつか書いておこう:
とにかくどれか一つ言ってくれ! 何も考えずに Mstdn.social を選ぶ人は多い。Create Account をクリックすると、Mstdn.social はいくつかの明快なルール を示す。
選ぶための助言が欲しい: Topic (トピック) のところで General をクリックする。このリストには何十ものサーバが並ぶが、その多くは特定の地域や特定の主題を指定している。
Twitter での友人たちが多くいるインスタンスに移りたい: Fedifinder アプリが、あなたと Twitter 上でフォロー関係にあるすべての人のプロフィールを使って Mastodon アカウントをかき集めてくれる。しばらくスキャンしてから、あなたのリストにいる人たちが使っていて新規メンバーを受け入れているインスタンスが (その人たちの人数が多いものから順に) 表示される。(加入を済ませた後でも、あなたの Mastodon アカウントでフォロー相手やフォロワーを増やすためにこれを使うことができる。)
特定のコミュニティーに属して、アカウントインスタンスの名前にそのことが明示されるようにしたい: 地域やトピックで検索して、あなたの好みに合うものを探そう。
自分のデータがどこに保存されているかが気になるし、A 国にいるのは良いが B 国にいるのは嫌だ: リストを国によってフィルター分けして、個々のインスタンスの about ページでそのポリシーを読んだり、そのサイトにある他のリンクを調べたりして、そこがデータのプライバシーや法的要請にどのような態度で臨もうとしているのかを見よう。
特定のコミュニティーを強調しているインスタンスもあるし、参加に際してあなたがそのコミュニティーに属していることを実証するよう求めてくるところもある。例えば特定の国に在住しているとか、国外居住者であるとか、アーティストであるとか、現役のジャーナリストであるとかいったことだ。制限がそれほど厳しくなかったり、希望者を全員受け入れたりしているところもある。
こうやって説明を読むと、まるでクラブの会員になったり、Discord サーバに登録したり、あるいは何かインターネットフォーラムに参加したりするような感じがするかもしれない。でも実際はもっとずっと自由な感じだ。あなたがどのインスタンスを選ぶかによって現実に起こる唯一の違いは、Mastodon 上で Local 表示をブラウズする際に同じインスタンス上の他のユーザーたちによる公開投稿のみが読めることだ。あと、それ以外にあなたがローカルにフォローしている人たちによる非公開投稿も読める。
インスタンスに参加することに関する最も根の深い問題はそのインスタンスのモデレーション方針であって、多くの場合そのインスタンスの意図に応じてモデレーションが実施される。例えば tech.lgbt インスタンスは "テクノロジーに興味を持つ労働者、学者、学生、ファーリー (ケモナー) その他で LGBTQIA+ または Allies である人" を対象とする としている。このようなコミュニティーにいる人たちは他のソーシャルネットワークで嫌がらせや *-恐怖症やその他反社会的挙動を経験することが多いので、tech.lgbt ではその目的の要約から始まって詳細に至るまで非常に長文の行為規範を定めている。つまり、このインスタンスでは他のところに比べて日常的なハラスメントを抑制するための努力が多くなされており、サーバ上で投稿あるいはユーザーに対するモデレーションや禁止を実行したり、投稿や人をブロックしたり、インスタンス丸ごとで登場や連合をブロックしたりすることさえあり得る。
多くの管理者たちは運用コストをカバーするために寄付金を受け付けたり、あるいは強く求めたりしている。例えば Mstdn.social はコストと収益に完全な透明性を提供していて、予算を公開するページも出している 。私が思うに、いずれは有料のインスタンスも増え、その収益を使ってより一貫した体験を提供するとともに有給の管理やモデレーションのヘルプも提供するようになるのではなかろうか。また、会員を擁する団体で自ら Mastodon インスタンスを追加しそのグループに会員として参加することの特典とするところも増えてくるだろう。例えば、This Week In Tech の Leo Laporte が Club TWiT 会員のために作った twit.social インスタンスもまさにそれであった。
さて、アカウントが手に入れば、興味深い人たちをフォローしたり、自分で投稿したりもできる! (Mastodon インスタンスの中にはアカウントなしで公開投稿を読めるところもあるが、どれだけ多く読めるか、あるいは他のインスタンスとの連合を使ってどこまで広い範囲を見ることができるかについてはかなり強い制限が付く。)
Mastodon の使い方
単純にウェブブラウザを使ってあなたのインスタンスの URL へナビゲートし、ログインする。このウェブアプリはなかなかよく出来ている! 以下の議論では、この Mastodon ウェブアプリを使うことにしよう。ほとんど誰もがここを出発点としてアクセスできるからだ。
他の方法としてサードパーティのアプリを入手することもでき、Mastodon プロジェクトはそういうアプリも追跡している 。具体的な例としては Tapbots の製品 Ivory , がある。これは、惜しまれつつ動作を止めたけれどもそれまで最も人気ある Twitter クライアントの一つであったTweetbot 用に同社が設計したフレームワークを基盤として構築されている。(Twitter が残酷にも何の予告もなくサードパーティ Twitter アプリの息の根を止めた時点で、Ivory はアルファテストの段階にあった。そこから Tapbots は“会社を救え”モードに素早く移行して、かなりうまく動作する 1.0 バージョンの Ivory を製作するとともに、今後実現される諸機能のロードマップも公開している。)
もしあなたが現在アクティブな Twitter アカウントを持っていれば、あなたがフォローしている人たち (とあなたをフォローしている人たち) の何人かを Mastodon に持ち込める方法がある。そのためには、Twitter アカウントをスキャンする権限をあなたが付与できるサードパーティのアプリが必要だ。(その種のアプリは現時点では動作しているが、この状態が長く続くとは考えにくいだろう。) 私がお薦めするのは Fedifinder で、さきほど紹介した通りだ。Fedifinder の動作が完了したら“見つかったハンドルで Export CSV をクリック”してファイルを保存し、それから "merge" ("overwrite" ではない!) を使って Mastodon アカウントに読み込ませる。私はフォローしている数百人以上の人をそうやって読み込んだし、もっとずっと多くの人が Fedifinder やそれに類似のツールを使って私を読み込んでくれたに違いないと思っている。
Mastodon に馴染んでくると、フォローしたい人々を見つけるための役に立つ表示が2つある。(アプリのサイドバーを使う。) Local と Federated だ。Local は、あなたがいるインスタンスからすべての公開投稿を表示する。Federated は、あなたのインスタンス上にいるすべての人たちがフォローしているすべての相手からの、すべての公開投稿のタイムラインを表示する!
タイムライン上の項目を見て行く際に注意したいのは、いわゆる "engagement algorithm" その他、ソーシャルネットワークの運用者に最も理解されやすい優先順位でメッセージを並べ替えるためのツールが何も存在していないことだ。その代わりに、すべて新しいものから順に投稿が並ぶ。最新のものが一番上だ。いずれはきっと別の並べ替えオプションを提供するクライアントが登場するのではなかろうか。例えば、あなたがフォローしている相手が優先されるということも考えられる。
フォローすべき人を追加するには次のようにする:
その人の名前をクリックする。これは、その人のプロフィールへのリンクだ。それから Follow をクリックする。
その人の Mastodon アドレスは @[email protected]
という形式だが、これをコピーしてから検索フィールドにペーストし、Return を押す。私の場合それは @[email protected]
だ。あるいは Adam Engst ならば @[email protected]
でフォローできる。検索結果の右の方に見える“人物に+”アイコンをクリックすればその人をフォローできる。
Fediverse フォーマットの代わりに、例えば https://twit.social/@glennf
のようなフル URL を左上の検索フィールドにペーストすることも可能で、同じ結果が得られる。
あなたのプロフィールを直ちに肉付けして書いておくことをお勧めしたい。そうすればあなたが誰かが他の人たちに分かるからだ。ウェブアプリの右上隅にある Edit Profile をクリックすれば、写真やアバター、プロフィールの背景、人物紹介、リンクなどを追加できる。Mastodon にはプライベートなアカウントというものはないが、下に示したチェックボックスをチェックしてフォロワーにはすべてあなた自身の承認を要するようにできるし、またあとで説明するようにある程度プライベートなやり方で投稿をすることもできる。
Mastodon は分散型なので、あなたの身元を検証できる人は誰もいない。ただ、"Profile metadata" セクションに追加したウェブサイトと関係を持っていることを証明するテクニックがある。あなたがリンクしたいかなるサイトでも、ページに HTML を追加して rel=me
タグを追加することである種の自己認証による確認が成立する。メタデータの隣のところでクリックすることで、あなたのハンドルを含んだ正しいフォーマットの文字列がコピーされる。例えば <a rel="me" href="https://twit.social/@glennf">Mastodon</a>
のようなものだ。ここで地の文の Mastodon
は必ずしも必要でなく、空のリンクでもよい。私はいつも削除するようにしている。このスニペットを追加しておけば、リンクの認証が成立してプロフィールの中であなたにも他の人にも緑色に見える。
初めての "Hello, world!" メッセージを投稿する気になったなら、できれば #introduction
タグのメッセージを書くのがよいだろう。あなた自身について少し人々に知ってもらおう。投稿後にそのメッセージをピン留めして、誰かが直接あなたのプロフィールに来ればそのメッセージが一番上に表示されるようにしておく。
投稿をする際には、次のことを考慮しよう;
長さ: ほとんどのインスタンスでメッセージの文字数は最大 500 文字となっている。メッセージの最大文字数をもっと多く設定することを選んだ管理者たちもいる。私の感覚では 500 文字を超えればそれはもはやマイクロブログでなくて普通のブログになってしまうと思うが、人によって意見はさまざまだろう。いくつかの Mastodon クライアント、例えば Ivory では、最初の 500 文字のみを表示しておいて残りを見るには "more" リンクを使わせるようになっている。
投稿の可視性: Mastodon は投稿の可視性について4通りの方法を提供する。Public、Unlisted、Followers-only、Mentioned-people-only の4つだ。Public と Unlisted は同じように投稿されるが、Unlisted の投稿は検索などの発見機能を使って見つけることができない。Followers-only の投稿はその名の通り、あなたをフォローしている人にしか見えない。フォロワーの数を少なくしてあれば、これが Mastodon 上でプライベートなアカウントに最も近い挙動をする。
ダイレクトメッセージ: 投稿の Mentioned-people-only 可視性オプションは、個人と個人の間のダイレクトメッセージを Mastodon が実装している方法だと言える。(ダイレクトメッセージはウェブアプリの中でそれ独自のタブを持つ。) Mastodon ユーザーたちも、Mastodon ソフトウェアも、新来者に対してダイレクトメッセージがエンド・ツー・エンドの暗号化を受けていないと警告する。だから、メッセージが通過するいずれのサーバ上でもそのサーバの管理者がメッセージを読むことが可能だ。実はそのことは Twitter でも同じであって、ただ Twitter では会社で働く 全員 が適切なアクセス権さえ持っていればあらゆる人のダイレクトメッセージを読めるようになっている。(Mastodon のダイレクトメッセージをフルに暗号化する試みはなされているけれども、まだ実装に至っていない。)
コンテンツ警告: どのメッセージにもコンテンツ警告を付けることが可能だ。この機能を利用して、目にする前に心の準備が必要な話題、例えば自殺、戦争、人種差別といった話題を囲むキーワードとして使っている人もいる。また、コンテンツ警告フィールドをメッセージの Subject 行のようなものとして使っている人もいる。でも、無視してしまう人もいる。例えば、Mastodon 上で現在活発に交わされている議論に、コンテンツ警告に "racism" と書き込むのはその種の社会悪を経験していない人たちが不快感を避けるためのものなのか、それとも偏見の対象となっている人たちが自らのトラウマとなりかねない投稿を飛ばし読みできるためのものなのか、という論争がある。明らかに、正しい答など出るはずがなく、ただただ議論が続くのみだ。
アクセシビリティ: Mastodon の文化は長い間アクセシビリティを強調してきた。それが最も強く反映されているのが、メッセージに画像を添付した場合にその画像の説明を手軽に付けられるオプションだ。画像は最大 4 個追加できる。ウェブアプリの中で、アップロードした画像のプレビューの隣に見える Edit をクリックしてから、説明をタイプするか、またはテキスト認識オプションを使って画像の中からテキストを抽出するかすればよい。
ハッシュタグ: Mastodon ではハッシュタグが不可欠だ。グローバルな検索エンジンがないからだ! 使えるもののうちでそれに最も近いのがハッシュタグなのだが、返される結果はあなたのインスタンスの Federated フィードにあるメッセージのみが対象であって、Mastodon 全体ではない。(そもそも“Mastodon 全体”などというものが存在するのか?) 人々をフォローするのと全く同じやり方でハッシュタグをフォローすることができる。
Mastodon で投稿した後に、その投稿を編集したり削除したりもできる。Apple が iMessage でしたのと同様に、編集済みの投稿はその旨をマークされるので、読む人にもそれが変更されたと分かり、その投稿の編集前のバージョンも読める。(そのためには 2022 年末頃にリリースされた Mastodon 4.0 またはそれ以降がインスタンス上で走っていることが必要だ。)
自分のプロフィールにさらなる詳細情報を追加したいと思えば、投稿をピン留めすればよい。... ボタンをクリックして、Pin to Profile を選ぶ。投稿は最大 5 個ピン留めでき、それ以上をピン留めするには既存の投稿からピン留めを外して入れ替えなければならない。
Mastodon は返信を通じて自動的に投稿をスレッド化するので、誰かの投稿に返事を書きたければ Reply ボタンをクリックすることで投稿をそのメッセージのスレッドに追加できる。星印をクリックすればその投稿がお気に入りとマークされ、Favorites タブで見ることができるようになる。(たいていこれは Favourites と綴られている。このウェブアプリのインターフェイスは英国流の綴りを使っているからだ。)
Mastodon では他のユーザーの投稿をタイムライン上で ブースト する (リツイートに似ている) オプションがある。“ツイートの引用”に相当するものは現時点ではまだないが、ブーストに注釈を付けることはできる。これについては多くの議論が交わされてきたので、いずれは何らかのやり方が登場するのではないかと思う。(議論の焦点は、引用を許せばハラスメントを奨励することになるのか、それとも通常の投稿と同程度に良い面と悪い面の双方を備えた便利なツールなのかという点にある。)
他のユーザーには、個々のメッセージについてお気に入りとブーストそれぞれの総数、それから公開の返信 (スレッド内の項目を含む) が見える。連合を横切ってその投稿を見ることのできる人数を Mastodon のシステムは追跡していない。そのようなことは本質的に不可能だし、プライバシーを重視しローカルを基本とした基盤構造に反すると思われるからだ。
さて、これで基本的な構造が見えたので、そろそろあなたは思案しているところだろう。はたして Mastodon は自分がオンラインの生活を過ごしたいと思う場所なのか、と。
Mastodon はあなたに向いているか?
私は 2022 年 10 月に Twitter と並行して Mastodon を使い始めたが、11 月末になって海外に旅立つ直前に、完全に Mastodon に乗り換えた。Elon Musk が奇妙な、または攻撃的な動きをする度に、あるいは Twitter が突然に、多くの場合好ましくない挙動、例えば警告もなく突然 Twitterific や Tweetbot のようなサードパーティの Twitter クライアントからのアクセスを拒否するといった挙動をする度に (2023 年 1 月 20 日の記事“Twitter、サードパーティのクライアントアプリを禁止 ”参照)、Mastodon に集まる人々の数が急増した。2022 年 12 月末頃には、私の以前の Twitter コミュニティーにとてもよく似た雰囲気がここでも感じられるようになっていた。
では、大きな違いとは何か? Mastodon は Twitter に比べて静かだ。それは、投稿する人たちの数がまだ絶対的に少ないからだ。何らかのアルゴリズムによって、または料金を払ってあなたに見せようとして、フォローしていない人たちからの投稿がタイムラインに出現することなど決してない。タイムラインがイベントによって駆動されることも滅多にない。Mastodon はメッセージを増幅するようには設計されておらず、ただメッセージを広めようとするのみなので、Twitter で誰かが“インターネット上の本日の主役”として語られ (良い意味でも悪い意味でも) スポットライトを浴びるようなことは、Mastodon では起こりそうもない。また、避けたくなる“釣り”や“荒らし”のようなものも見かけない。私から見て本当の意味で好ましくないと思えたものに、ほんの数日前に遭遇した。攻撃的なパロディーを使って明確に人種を示唆する方言で話すメッセージが私のタイムラインに出現したのだ。その種のものはもっと出回っているに違いないと思うが、モデレーションによって悪いインスタンスや悪い当事者が取り締まられているので、この種の荒らしや悪用の循環はまだそれほど顕在化していないようだ。(不快なアカウントをミュートしたりブロックしたりするのはタイムライン上で簡単にできるし、インスタンスを丸ごとブロックすることさえ可能だ。)
もちろん、今後さらにユーザー数が増えるにつれて悪い面が広がることはあり得るけれども、商業的サービスのような酷い状態にまで至ることは考えにくい。なぜなら、商業的サービスは "engagement" に依存しており、憤りを引き起こす類いの投稿を肥やしにして成長するものだからだ。Mastodon ではモデレータが自らのインスタンスに、また他のインスタンスとの連合に大きな権力を持っている。モデレータが悪いユーザーについてどうやって他のインスタンスに連絡するのか、応答を得られない場合には何をするのかという点について現在多くの議論が交わされているところだ。単に人々を嫌がらせたりハラスメントを広めたりするためだけの目的で投稿する人物は、うまく運営されているインスタンスからは蹴り出されて、何でもありのインスタンスへ移ると考えるのが妥当だと思われるし、そのような良くないインスタンスはうまく運営されているインスタンスによって連合から除外されることだろう。悪い方向へ進み得るものはたくさんあるけれども、全体的には正しい方向へ進んでいるようだ。
ここでは 一方的に話す ことよりも 話し合う ことの方が断然多い。もちろんすべてが礼儀にかなったものとは言えない (そんなことはおそらく可能でもないし望ましくもない) けれども、他では感じたことのない穏やかさと掌握感がここにある。あなたのタイムラインに無理矢理何かを詰め込もうとする人は誰もいないし、あなたを何かにもっと "engage" させようとうるさく言ってくる人もいない。だから、あなたは自分のペースで体験しつつ、自分の望みにもっと近いものとなるようにそれを監督することができる。
ここ数週間私は Ivory を使っている。これは、まさに Mastodon を使うための斬新な体験だ。従来 Tweetbot を使ってきたお馴染みの使用感がそのままあるし、大量に流れ込む投稿、お気に入り、ブーストなどの流れを今はこちらのネットワークで処理できるように作られているからだ。従来の Mastodon アプリは大体においてトラフィックがずっと低いレベルにあった状況の下で設計されていたし、ボランティアで自分の時間を捧げて無料のアプリを提供しようという人たちの手で作られていた。けれどもそれらのアプリの多くは急激に改良されて、そのいくつかはこの数か月間のうちに何度もリリースを重ねた。そうして有料のアプリは、継続のためにフルタイムの開発作業を必要とする種類の機能をも提供できるようになるだろう。私は既に Ivory に一年間の購読料金を払ったが、誰もがそれを払う必要がある訳ではない。もちろん一銭も払わなくても、例えば Mastodon ウェブアプリや、あるいはますます増え続ける無料の Mastodon アプリのどれかを使うこともできる。
新しいものを試す時として、今はとても興味深いタイミングだ。もしもあなたが Twitter にフラストレーションを募らせているのなら、あるいはソーシャルネットワークを丸ごと断つ誓いを立てたのなら、一度 Mastodon を試してみるとよい。何よりもこれは、あなたを病みつきにさせるために設計されたものではない。(そのことだけでも画期的な進歩だ。) そして、Mastodon が成長し、Fediverse が成熟するにつれて、永遠に失われたと思っていたあのインターネットが、単に冬眠していただけだと分かるのかもしれない。さあ、私たちも目を覚ますべき、その時が来た!
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