TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#337/22-Jul-96

今週は、我々のメーリングリストの近々の変化についての重要なお知らせ、 加えて Apple 社の第 3 四半期の業績のニュース、Power Computing 社の より高速な新しい Mac、Speed Doubler 1.3 および HyperCard 2.3.5 を 紹介します。さらに、Mactivity で紹介された種々のインターネット・ サーバー・ソフトウェア、WYSIWYG Web 編集ツール golive および Apple 社の新型 Mac についての噂の記事を掲載しています。

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目次:


MailBITS/22-Jul-96

(翻訳::齊藤 聡 <akkun@ca2.so-net.or.jp>)

予測されたものよりも小さかった Apple 社の損失 -- 先週、Apple 社 は、3,200 万ドルの損失を記録した 1996 年の第 3 四半期の決算結果を発 表した。3,200 万ドルは巨額だけれども、Apple 社は America Online 株 の一時売りや一時的な税制上の利益により貸借対照表をわずかにごまかし ていたものの、ウォール街は Apple 社がその 3 倍から 10 倍の損失を計 上すると予想していたことは注目に値する。それにもかかわらず、その数 字は多くの株式仲買の Apple 株への評価を向上させている。そして、Apple 社は 1997 年の第 2 四半期まで利益率の回復は望めないという指摘に用心 しているというのに、Apple 社の新しい経営陣への信頼は高まっているよ うだ。だから、BusinessWeek 誌の Apple 社の死に関する最新の報告はわ ずかに誇張されているかもしれないことは明らかだ( TidBITS-312 を参 照)。 [GD]

<http://product.info.apple.com/pr/press.releases/1996/q4/ 960717.pr.rel.q396.html>

Power Computing 社、ハイエンド 604e ベース Mac を発表 -- Power Computing 社は、PowerPC 604e プロセッサを搭載する最初のコンピュータ である、PowerTower Pro ラインアップを発表した。PowerTower Pro は Mac のハイエンド市場を真正面に狙っている。6 つの PCI スロット、 9_つの 拡張ベイ、8 基のインターリーブ対応 DIMM スロットおよび 180、200、225 MHz といった高速のクロックスピードを備える。そのマシ ンには更に 1 MB の 2 次キャッシュ、8 倍速 CD-ROM、16 から 32 MB の RAM、8 MB の VRAM を備える IMS Twin Turbo 128-bit ビデオカード、毎 秒 10 MB の内部 Fast SCSI バスを搭載する。基本的な構成の PowerTower Pro 180 が 4,200 ドル、フル装備の PowerTower Pro 225 が AV カードと Iomega 社の Jaz drive を内蔵して 6,300 ドルという価格の幅があるが、 これらのマシンは価格で選ぶユーザーには向かないが、アニメーション、 ビデオ編集、自然科学における視覚化、エンジニアリングといったディス クやプロセッサに激しい負荷をかけるような業務を行う人々にはぴったり であろう。

Power Computing 社はまた PowerPC 604 および 604e を搭載する CPU アッ プグレードカードについて PowerTower、PowerCenter、PowerWave、 PowerCurve system の所有者に対し 9 月には 132 から 200 MHz のクロッ ク周波数のものが入手可能になると発表した。プロセッサアップグレード カードを注文するためには、Power Computing 社に電話をかけ、自分のマ シンのシリアル番号を告げる必要がある。価格は 400 ドルから 1,200 ド ルの範囲である。Power Computing -- 512/388-6868 -- 800/999-7279 <info@powercc.com> [GD]

<http://www.powercc.com/>

Speed Doubler 1.3 -- Connectix 社は Speed Doubler 1.3 をリリース した。これは Speed Emulator と(部分的に)Speed Copy の修正を含んだ メンテナンスリリースである。Speed Copy は全体の性能が向上し、( ARA のような)緩慢な接続に対するレスポンスを改善し、Asante社の NetDoubler との互換性をとり、その他のインターフェィスの問題と(コ ピー中にコントロールパネルを開くとクラッシュするといった)バグを修 正した。Connectix 社は全ての Speed Doubler の所有者にバージョン 1.3 にアップグレードすることを推奨している。アップデータはオンラインで 無料で入手可能であるが、登録ユーザーは 10 ドルでフロッピーディスク によりアップデータを受け取ることもできる。Connectix -- 415/571-5195 800/950 -5880 [GD]

<http://www.connectix.com/connect/files/SD13U.sea.hqx>
<ftp://ftp.connectix.com/pub/SpeedDoubler/SD13U.sea.hqx>

HyperCard 2.3.5 アップデータ -- Apple 社は HyperCard 2.3.5 のアッ プデータをついにリリースした。これは一部の HyperCard スタックと HyperCard Player を以前にリリースしたバージョン 2.3.5 に対応させる ためのものである。HyperCard そのものの更新点は表面的な問題やパフォー マンスの問題および一部のカラー化されたスタンドアロンスタックを保存 する際の長年にわたるバグの修正である。ふたつのアップデータが入手可 能である。ひとつは HyperCard そのものに対するもの。もうひとつは HyperCard に対するものとアップデートされたスタックに対するものであ る。アップデートされたスタックと HyperCard Player もまた個別に入手 可能である。以下の URL が上記のもの全て手に入るディレクトリを示して いる。

<ftp://ftp.support.apple.com/pub/apple_sw_updates/US/mac/utils/>


巨大メーリングリストの引っ越し

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

TidBITS からの事前警告としてこの記事を読んでいただきたい。現在 Rice 大学の LISTSERV にある TidBITS のメーリングリストを 2 〜 3 週間内に ListSTAR/SMTP と FileMaker Pro 3.0 が色々なツールやアプリケーション によって連動するようになっている Power Mac 7100/80 に移動させるつも りだ。この新しいマシンは、我々の Web サーバやメールサーバ、そのほか のインターネットサービスを提供している Apple Workgroup Server と同 様に Point of Presence 社という我々の友人のオフィスに設置され、そこ の T1 回線を使用することになるだろう。来週中にマシンを立ち上げて稼 動させる予定であり、その際にテスト用の短いメッセージを流すことにな るだろう。その後間もなく ListSTAR 経由で発行される最初の TidBITS を 送付することになる。

我々の極めて巨大なメーリングリストを長い間扱ってくれたことにに対し、 Rice 大学および大学の Mark Williamson 氏には深く感謝している。しか しながら、何事にも別れは付き物だ。Rice 大学は LISTSERV プログラムを 稼動させている IBM のメインフレームを停止させることになり、そのマシ ンにあるすべてのメーリングリストを取り除こうとしている。それに関連 して、大学は学内のメーリーングリストだけを扱うことになり、TidBITS や Info-Mac は新しい我が家を見つけなければならなくなった(Info-Mac には現在のところ正式な引っ越し予定が立っていない)。

ほかの案も 2 〜 3 検討してみたのだが、TidBITS が約 40,000 人にも及 ぶ巨大なリストであり、多い時には一ヶ月で 1,500 人に達する勢いで増え ているということが障害になった。我々は一週間に一つのメッセージを発 信しているだけなのだが、それでもあまりにも負荷がかかり過ぎるのだ。 だが、もっと大変なのは、購読のコマンドや宛て先人不明のメッセージ、 およびその他不適当なメールを処理するなどの事務的な作業である。実際、 6,400 人分の DealBITS のリストを扱っている経験からすると、毎週購読 者の 1 〜 2% 分が宛て先人不明になり、その数は一週間当り DealBITS で 60 〜 120、TidBITS で 400 〜 800 になる。この宛て先人不明の処理をお おむね自動化してしまいたいと思っていて、既に DealBITS の宛て先人不 明分を処理するのにあるコードを用いており、TidBITS も同じように処理 していくつもりである。

リストを自宅に持ち込んで自分たちの手で運営するということは、実に大 変なことになるだろうが、一方では融通も利くようになりコントロールし やすくなるのだ。例えば、先週号は Rice 大学の SMTP メーラーが資源を 使い果たした為に発行が一日遅れた。我々には予定通りに送付されていな いということしか分からなかったし、火曜日の夜に Mark Williamson 氏が ようやく気がついて、再送しなければならない旨を我々に知らせてくれる までそのままだった。マシンとの物理的な距離が近くなることによって、 不安なことが幾分取り除かれるだろう。

さらに、Geoff が ListSTAR 用に書いていた FileMaker データベース・ バックエンドのおかげでさらに多くのリストを走らせることができるよう になるはずだ。我々はここ数年、TidBITS の最新号が入手可能になった旨 を告げる短いアナウンスから TidBITS の各国語版の配布リストに至るまで 様々な異なるリストの要望を受けていた。直ちにこれらのリストの準備を 始めるという約束はできないが、システム設計の際にはそれらの追加リス ト(メールで HTML 版を送って欲しいというのもよく耳にする要望である が)のことも配慮している。

当然 <listserv@tidbits.com> というアドレスで、最も一般的な LISTSERV コマンドもサポートするつもりではあるが、<dealbits-on@tidbits.com> や <dealbits-off@tidbits.com> のアドレス宛に購読申込みや購読中止を 行うといった我々が DealBITS で使っている方法を主体にしていこうと思っ ている。メーリングリストの管理用のアドレスに購読申込みまたは購読中 止のコマンドを送るより、このような専用のアドレスを用いる方が、ユー ザーが間違いを犯しにくいということに気がついたのだ。そういうわけで、 TidBITS の購読申込みや購読中止(アドレスの変更をする際にも同様のこ とを行う)には、<tidbits-on@tidbits.com> や <tidbits-off@tidbits.com> にメールを送るということになるだろう。

最後に皆さんにお願いがある。今回行おうとしていることは技術的に簡単 な作業ではなく、我々なりに最善を尽くすつもりではあるが、どんなこと が起こるかは予期できない。TidBITS のリストは ListSTAR が処理するメー リングリストの中で最も大きなものの一つになるであろうし、FileMaker やほかのツールにも係わることである。技術的面に批判的な目を向けると、 どこかでうまくいかない部分がきっと出てくると思う。何らかの不具が発 生した時は我々は気が付くので、どうか皆さん、発行が遅れているのかど うかの問い合わせや、一つの号を 2 回受けとったとかその類のことを知ら せるメールを 送らないで いただきたい。目の前で何かが爆発するよう なことがあれば、当然気がついてその問題の解決に忙しくしているだろう。 基本的な状況の問い合わせに対応しようとすれば、我々の作業が遅れるだ けなのだ。皆さんの理解と協力に感謝します。


続・Net 関連新製品情報

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

先週号では、San Jose で開催されていた Mactivity で発表された新製品 をいくつか紹介した。ただし、これはほんの氷山の一角で、その後私たち はほかの発表にも目を向けた。

LogDoor 詳説 -- 最初に、先週の記事に説明を加えたい。私は Open Door Networks 社の LogDoor は同社の HomeDoor とセットでしか機能しないよ うな書き方をした。これは誤りで、LogDoor はどんな WebSTAR サーバから でもリアルタイムにログを作成することができる。HomeDoor を使えば、 LogDoor は対象となる複数のサイトに関する情報を提供することができる。 HomeDoor が無くても、LogDoor は問題なく WebSTAR の下位フォルダに関 するリアルタイムな情報を提供してくれる。

<http://www.opendoor.com/logdoor/>

Sonic 社のサーバ群 -- Sonic Systems 社はセットでも個別にも使用で きるインターネットサーバ群を発表した。この中にはメールサーバ、FTP サーバ、DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) サーバ、DNS サー バ、そして Web サーバが含まれ、以上はすべて InterManage という一つ だけのプログラムでネットワークあるいはインターネット経由で設定・管 理される。メールサーバは SMTP と POP3、そして APOP セキュリティと メール転送をサポートし、Apple Internet Mail Server と CommuniGate に次ぐ第 3 の Mac 用メールサーバとなっている。FTP サーバは複数のユー ザーの同時接続を処理することができ、System 7 の Users & Groups を利 用してアクセス権の定義を行うようになっているのに加え、BinHex と MacBinary のファイル転送と、エイリアスもサポートしている。DHCP サー バは IP アドレスなどの環境に関する情報をダイナミックに(Open Transport を使用している)Macintosh、Windows 95、Windows NT、そして Unix クライアントマシンに割り当てる。QuickDNS Pro、MacDNS、 NonSequitur のライバルとなる DNS サーバは、ロード・バランシングをサ ポートし、プライマリあるいはセカンダリネームサーバとして機能するこ とができる。最後に、Web サーバは無制限の同時のヒットを処理すること ができるとされ、セキュリティ機能を内蔵し、すべての現行の Macintosh CGI をサポートしている。最初に購入するサーバの価格は 495 ドルで、 2 つ目以降は 199 ドルとなる。

<http://www.sonicsys.com/ias.html>

Village Compass バンドル -- Sonic 社のインターネットサーバ群に負 けじと、団結したデベロッパのグループがインターネットサーバ関連の製 品を 1,475 ドルという大幅なディスカウントで提供することにした(市場 価格を合計すると 3,800 ドルとなる)。さらに、このグループは一部の ユーザーが欲しがるような、しかし必須ではないプログラムも特別価格で 提供している。

このバンドルは MDG 社からリリースされたばかりの 4th Dimension をベー スにした Web サーバ、Web Server 4D 1.0.1 を中心に、18 点のプログラ ムを含み、さらに 7 点のプログラムについてディスカウントしている。詳 細については以下の URL を参照していただきたい。

<http://village.compass.bundle.com/www/bundle/product.html>

Village Compass バンドルは、2 つの意味で興味深い。第一の点は、この 価格は数週間の間しか有効ではないということだ。その時点でこのバンド ルは再評価・調整される。第二弾のバンドルは Macworld Boston でデ ビューし、1996 年 12 月 1 日まで販売され、第三弾は 1997 年 1 月 2 日に登場する予定だ。この短期間の販売は、常に変化し続けるインターネッ トサーバ市場に対応するためである。第二の点は、オプションのうちの 3 つのプログラム、DNEWS for NT(Mac 版は開発中)、NTMail、NTList は、 ほかのプログラムがすべて Macintosh 用であるのに対し、Windows NT を 必要としているという点だ。

<http://village.compass.bundle.com/>

Web ページング -- Mark/Space Softworks 社は Web からページャーへ のインターフェース、PageNOW/Web をリリースした。695 ドルの PageNOW/Web は、Web サーバと PageNOW Workgroup または Enterprise Edition が必要で、Web サイトを訪れる人が誰でも送り先を選び、メッセー ジを入力してその人のページャーに送ることができる。アクセスページを 全世界に公表したいとは思う人はいないだろうが、ユーザーがインターネッ トのどこからでもアクセスできるという意味ですばらしいインターフェー スだ。

<http://www.markspace.com/pagenow_web.html>

さらなる Web サーバ -- Quarterdeck 社の WebSTAR は最も人気のある Macintosh 用 Web サーバかもしれないが、MDG 社の Web Server 4D と ResNova 社の PWS と Boulevard は、他社がこの市場を諦めたわけではな いことを物語っている。395 ドルの Boulevard と 39 ドルの PWS は、CGI と ACGI サポート、WebSTAR プラグイン用の WebSTAR API サポート、内蔵 のイメージマップ処理機能、そして自動フォーム処理など、多くの機能を 共通に持っている。Boulevard には高パフォーマンスのための three-tiered キャッシング、アクティビティ・グラフ、リモートでのモニ タリングとコンフィグレーション、そしてセットアップ・アシスタントと いったハイエンドな機能が組み込まれている。一方、PWS はパーソナル用 の Web サーバ機能に集中しており、シンプルなコントロールパネル・イン ターフェース、HTML の知識を必要としないパーソナライズされたホーム ページ、styled text から HTML へのオン・ザ・フライ変換、そして訪れ た人がオーナーにメッセージを残すことができるメッセージボックスなど を提供している。PWS はバックグラウンドでするように最適化されており、 比較的少量のメモリしか消費しない。この点は私が TidBITS-316 で述べ たパーソナル Web サーバの方向性と一致しているといえるだろう。

<http://www.resnova.com/boulevard/>
<http://www.resnova.com/pws/>


Golive にゴー

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

Web 作家の中には BBEdit、PageSpinner や PageMill に満足して落ち着い ている人もいるが、中には究極の Web オーサリングツールという夢を追い 求めている人もいる。Gonet 社の 49 ドルの Golive 1.0.1 は究極という 水準には達していないものの、特に PageMill のような WYSIWYG アプロー チが好きで、かつより多彩な機能を求めているような人には一見の価値は あるだろう。

Golive は旧機種の Macintosh ユーザー向きではない。68040 または PowerPC ベースの Mac で System 7.5 以降を使用していないとならない。 Golive は 68K Macintosh なら 4 MB、Power Mac なら 5 MB のメモリで動 作はするものの、gonet 社 は 8 MB を割り当てることを推奨している。ま た、最低でも 4 ビットグレイスケールまたは 8 ビットカラーモニタが必 要だ。

注意深い読者の方は私が“golive”、“Golive”と 2 種類の書き方をして いることにお気付きかもしれないが、gonet と golive の最初の文字は本 来はいずれも小文字である。私は文頭に来るときだけに大文字を使うよう にした。Gonet 社は golive を青い“go”と黄色い“live”で表記してい る。これは golive のツールバーやパレット、アイコン、ダイアログに一 貫して使用されている。

見かけは素敵 -- Golive のインターフェースにより、落ち着いた、適度 にカラフルでよく考えられた環境で作業をすることができる。ツールバー は今までに私が見た中でベストの部類に入る − ボタンは機能別にグルー プ化され、グループ間には十分なスペースがとってあり、色は控え目に使 われている。ツールバーは画面の左上に置いておくこともできるし、好き な位置にドラッグすることもできる。ダイアログボックスはうまくデザイ ンされており、各コントロールには明快なラベルがつけられている。この インターフェースは壁に頭を叩きつけたくなるような変なところがなく、 注意深くマニュアルを読まないと理解できないようなこともないため、そ れだけでファンを獲得できるだろう。

中身も充実 -- Golive は完全に WYSIWYG で、Netscape 2.0 向けの設計 になっている。ドキュメンテーションはこのことをはっきりと説明し、作 成したページをほかのブラウザでも正しく表示できるかどうかをテストす ることを推奨している。この割り切った設計思想のためか、私のテストで は golive は Netscape 2.0 HTML は立派に実装しているし、フォントの色 やサイズ、そして特殊な横方向の寄せなど、Netscape 2.0 がサポートして いるタグを多数サポートしている。目立った欠点はテーブルをサポートし ていないことと、上位 ASCII 文字をエンティティに変換する際の動作が一 貫していない点だ。とはいっても、正しく変換することの方がはるかに多 い。

Golive で既存の HTML 文書を開くと、golive はそこにあるタグを書き換 える。私は特に <P> や <BR> タグが勝手に書き足されたり消されたりする のには悩まされたし、golive で同じ文書を 2 回インポートしたら 2 通り の結果が得られたこともあった。また、比較的短い文書の最後の 10 行が 無視されたこともあった。一方、このプログラムはテーブルタグには注意 を払っているようだ。私のテストでは、テーブルタグをそのまま確実にイ ンポートしただけでなく、その部分を“Pure HTML”として赤いフォントで 表示した。HTML タグを golive に直接入力することができるが、タグの入 力をスピードアップしてくれるマクロやグロッサリ機能はない。

Netscape フレーム大好きという方には、golive のフレーム作成機能はそ こそこ使えると感じられるだろうが、理解するまで多少の試行錯誤が必要 かもしれない。Golive は同じページを、フレームを表示できるブラウザと 表示できないブラウザの 2 通りに表示するのからだ。Golive はフォーム を作成するため機能を存分に備えている。ただし、フォーム CGI や、 フォームへ入力されたデータがどのように CGI に渡されるかをテストする ことはできない。Golive は一つのページにつき一つのフォームしかサポー トしていない。Java アプレットやプラグインのための <APPLET> や <EMBED> タグは簡単に入力させてくれる。特に QuickTime、QuickDraw 3D、 それに Shockwave プラグインはそれぞれに固有の属性を簡単に設定させて くれるうえ、一般的なプラグインもサポートしている。

Golive と一つの Web ブラウザを連動させて、作成中のページが Web 上で どのように見えるかをプレビューすることができる。Internet Config は サポートされていないため、ブラウザの指定は手動で行わなければならな い。

テキストの処理となると、golive はそこそこに賢い検索機能以外にこれと いった機能を持っていない。サイトの編集となると、Project ウインドウ はあるものの、機能的には限定されている。Project ウインドウは、リン クエラーを発見したり、サイトで使用されているファイルを概観させてく れるのには役立つが、golive で保存されたファイルが自動的に表示される わけではない。ファイルは個別に Finder からドラッグしなければならな い。同様に、外部リンクは自動的には表示されず、手動で追加しなければ ならない。Project ウインドウを使って壊れたリンクを直すことはできな い。

Golive についてもう一つ愚痴を言えば、デフォルトフォントが Times 12 ポイントになっていることだ。Golive はユーザーにデフォルトフォントを 設定させてくれるべきだ。眼を疲れさせずに Times 12 ポイントを長時間 使える人は少ないだろう。

グラフィックとイメージマップ -- Golive は PICT、GIF、または JPEG イメージをインポートすることができ、Web 上で見えるとおりに表示して くれる。Gonet 社はグラフィック用の ALIGN=LEFT と ALIGN=RIGHT オプ ションにきちんと対応しておらず、このオプションを使っているグラフィッ クは golive では正しく表示されない。ただし、Netscape では正しく表示 されるし、golive 1.1 では改善されるはずだ。インポートしたイメージの 形や大きさを変更したり、編集することはできない。イメージをインポー トした後は、Mac の Scrapbook に似た golive の Gallery に保存してお くことができる。

Golive はイメージマップ(NCSA および CERN)を作成するための良好な環 境を備えている。何をしているかがわかりやすくなるオプションも揃って いる。作業中にイメージを拡大・縮小することもでき、マッピングされる ものによって半透明に色分けされたオーバーレイ、対応するエリア上にリ ンクされる URL を表示することもできる。

まとめ -- Golive は HTML を勉強したいと思わず、フレームやプラグイ ンなど golive の上級者向けの機能を使おうと思わない初心者やアマチュ アの Web 作家にはなかなか良いプログラムだろう。Golive の明快なドキュ メンテーションは初心者を軌道に乗せてはくれるが、特に上級者向けのタ グを使うような場合には、背後でどのようなしくみになっているかを理解 していることを前提としている。HTML を知らないのであれば、フレームや プラグインといったオプションの設定は仮に不可能でなくてもイライラの 元になるだろう。Gonet のテクニカルサポートによれば、golive 1.1 には より詳細なマニュアルが付いてくるそうだ。

Golive はレイアウトのモックアップが必要で、特に Netscape ユーザーを 想定していてテーブルは別のツールで作成することができる場合には、上 級者やプロの Web 作家にも良い選択枝になるだろう。ある程度までなら、 golive で完全でプロの仕事といえる Web ページを作ることができる。 PageMill 1.x と golive 1.0.1 なら、私は golive をお薦めしたい。いず れのプログラムもテーブルはサポートしていないが、golive のインター フェースの方が使うにのにも見るのにも良いし、タグのオプションの幅広 く選択できる。

Gonet 社はあとほんの 2 〜 3 週間で golive 1.1 を出荷する予定だ。こ の新バージョンでは、若干のバグがフィックスされるほか、新機能も少し 付け加えられるかもしれない。それまでの間、gonet 社の Web サイトから 1.0.1 の 2 週間の期間限定デモを入手することができる。デモ版のダウン ロードファイルサイズは 68K、PowerPC、ファットバイナリのどれを選ぶか により 2 〜 3 MB となる。

<http://www.gonet.de/>


登場間近の林檎たち

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:村上 浩  <murasan@yk.rim.or.jp>)

コンピュータ産業界には半分だけ真実の情報が数え切れないほどある。だ が、ルールはただひとつ、いつ新機種を発表しようと構わないのだ。いく つかある次期モデルに関して Apple 社から漏れてくる情報がかなり多いた め、多少その概略を伝えておくのが適切ではないかという気がしていた。 正式に発表となった際には簡単にそれらの製品についてお伝えする予定で いるが、その前にいくつかその詳細をお届けして、読者の欲求を刺激して おこうと思う。

Performa -- 来月の Macworld で Apple 社が Performa 6400 シリーズ を発表する予定なのは広く知られたところである。この Performa 6400 シ リーズ(コードネームは Instatower)は Performa 5400 のマザーボード をベースにしたミニタワー型のモデルである。システム構成は 180 MHz も しくは 200 MHz の PowerPC 603e プロセッサ、8 倍速 CD-ROM ドライブ、 PCI 拡張スロット 2 基、増設ドライブ用フロントベイ 1 基、それに内蔵 モデムと Apple 製 TV チューナ(またはどちらか一方)にも対応するよう である。Performa 6400 にはビデオ編集システムとサブウーファ(小型で 小出力のコンピュータ用スピーカでは再生しにくい周波数の低い音のため に設計されたスピーカ)付きの高音質サウンドシステムがバンドルされる のではという噂も絶えないようだ。どの市場をターゲットにしているのか やや不明瞭だが、Apple 社は小規模ビジネスや制作プロダクションと同様、 マルチメディアやビデオの熱狂的ファンをターゲットにしているようだ。 Performa 6400 シリーズの価格は 2,500 ドルから 3,000 ドルのあいだに なるとみられている。

Power Macintosh -- べつに意外なことではないが、Apple 社は Macworld で現行 Power Macintosh ラインアップの見直しを発表する予定である。出 荷は 9 月になるもよう。新バージョンの 7200、7600、8500、9500 には 8 倍速 CD-ROMドライブが搭載され、クロックも 7600 は 132 MHz、8500 と 9500 は 200 MHz と高速化される。また、最高速の 8500 と 9500 のモ デルは PowerPC 604e ベースとなり、標準で 32 MB の RAM を搭載する。 価格は 7200 が 2,300 ドル、ハイエンドの 9500 が 5,000 ドル程度にな るだろう。

今回の変更は予想できたことである。それよりも、心待ちにしていた Power Macintosh 9500/180 MP の方が気になる存在だ。9 月か 10 月には出荷さ れる予定のこのマシンには 180 MHz の PowerPC 604e プロセッサが 2 基 搭載されることになるだろう。マルチプロセッサの Macintosh としては最 初ではないが( DayStar 社は数カ月前から Genesis MP モデルを出荷して おり、150 MHz の PowerPC 604 プロセッサを 2 基から 4 基搭載してい る。)、約 6,000 ドルという Apple 社の価格設定からして、価格面でも 機能面でも野心的なものになるだろう。マルチプロセッサの利点を生かす には、ソフトウェアもそれに合わせた設計をしなければならないが、 Strata Studio Blitz や Photoshop などの 3-D レンダリングやグラフィ ク・アプリケーションはすでにマルチプロセッサをサポートしており、ほ かにも開発中のアプリケーションはある。9500/180 MP のクロックスピー ドはほかのマシンと大差ないかもしれないが、マルチプロセッサ対応アプ リケーションを使う作業が中心であれば、検討してみる価値はあるだろう。 来年にはまた、特にハイエンドのワークステーションやサーバ市場に向け、 Apple 社や他のベンダーからマルチプロセッサのマシンが発表される予定 である。DayStar 社は Power Mac 9500/180 MP の登場を見越して Genesis MP ラインアップの価格をすでに引き下げているため、価格競争によってこ れらマシンの価格はさらに手頃なものになるかもしれない。

<http://www.daystar.com/>

PowerBook -- Apple 社の PowerBook ラインアップはディーラーからの リコール問題のためショック状態にある。Apple 社も 1 億ドル近くかかっ ただろうと話しているぐらいだ。加えて、新型 PowerBook の開発は繰り返 し延期され、数カ月前にはリリース予定だった改良版 5300 の開発は中止 となった。また、CD-ROM と PCI 拡張スロットを内蔵した PowerBook も 1996 年末まで延期された。

現在最も信頼している情報筋によれば、Apple 社はコードネーム Epic と Hooper という 2 機種の新型 PowerBook を 1996 年の 10 月か 11 月には 発表するとのこと。両機種ともアクティブマトリクスもしくはデュアルス キャンカラーのディスプレイを備えており、当初は PowerBook 5300 シリー ズに装備するはずだった長時間駆動できるリチウムイオンのバッテリーパッ クを装備している。

Epic は 117 MHz の PowerPC 603e(現行の最上位機種 5300 シリーズと同 じ)を搭載し、CD-ROM ドライブはオプション、CPU チップはアップグレー ド可能となる。伝えられるところによれば、Epic では 5300 向けに設計さ れた拡張ベイ用デバイスは使えないとのことである。ただし、予想される 実売価格が基本構成で 2,000 ドル以下のようなので、それを考えれば我慢 できる範囲だろう。

一方、Hooper は PowerBook シリーズの最上位に位置することになる。180 MHz もしくは 200 MHz の PowerPC 603e プロセッサを搭載し、オプション の 2 次キャッシュ、CD-ROM ドライブ、12 インチ画面、PCI 拡張スロット を備えている。Hooper では 5300 シリーズ向けに設計された拡張ベイ用デ バイスを使えるとのことである。また、マザーボード上のカードスロット と同様、外部ビデオや拡張ベイにも PCI バスを使うようである。容易に想 像できることだが、Hooper 用に設計される PCI 周辺機器は、設計もコネ クタも標準とは違うものが必要となる。これはベンダーの受け入れに際し ては深刻な問題となるだろう。おそらく Apple 社は Hooper 用のモデムと イーサネット PCI デバイス、もしくはどちらか一方の開発から始めること になるだろうが、ほかのベンダーで開発する予定があるといった話しは聞 いたことがない。Hooper は速い反面、高価なものになりそうだ。価格は 4,500 ドルから 6,000ドルの範囲になると推定される。

これで終わりではない -- ほかにも来月以降、Apple 社や Macintosh ク ローンのベンダー各社から新製品が登場してくると考えてよいだろう。加 えて、IBM 社 と Motorola 社は両者とも MacOS のサブライセンス供与に ついては合意しており、Power PC Reference プラットフォームが現実味を 帯びるにつれ、特に海外市場において新たな流れを生み出すことになると 思われる。つまり、Macintoshをめぐる現状に頭が混乱している方にとって は、さらにその混乱がひどくなるということである。


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