TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#630/13-May-02

iPhoto 1.1.1 が出た。もしこれをお使いであれば、Apple の人気の写真整理ソフトウェアの主な変更点に関する Adam の詳細に渡る検証をお見逃しなく!ついで、彼と Jeff Carlson が Kensington から出されている優れものについての自らの体験を語る。取上げるのは、マウス、トラックボール、それにその他の Mac および Palm アクセサリ類である。今週のニュースの部では、Apple Design Award についてと TidBITS 読者の Mac OS X 使用に関する先週のアンケート調査結果についてお伝えする。

記事:

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MailBITS/13-May-02

Apple、2002 Design Award の受賞者を発表 -- 今年の Worldwide Developers Conference の最後を飾って Apple は恒例の Apple Design Award を Mac OS X に焦点を当てて六つの部門での受賞者を発表した。Best New Mac OS X Product に輝いたのは 2D アニメを制作するツール Toon Boom Studio 1.1 である。Karelia Software の Watson 1.5 には Most Innovative Mac OS X Product が与えられたが、その斬新さの真の証は Apple の WWDC での Sherlock 3 といえるかもしれない。というのも、これはまさに Watson クローンと見えるものであった (TidBITS-629 の "次期 Mac OS X: Jaguar が姿を現す" 参照)。ダイアグラム・チャート作成アプリケーションである Omni Group の OmniGraffle 2.0 は二つの賞を受賞した:Best Mac OS X User Experience と Best Mac OS X Technology Adoption である。Best Mac OS X Open Source Port 部門では、Richard Koch の TeXShop 1.19 が TeX フォーマットで作成された科学技術文書を表示する能力の高さが評価されて受賞した。最後となる Best Mac OS X Student Product 部門では、ノート、日記やその他のテキストの断片(snippet)を保存し整理するプログラムである Dan Schimpf の MacJournal 2.1 に与えられた。受賞者全員に(そして惜しくも次点となった人たちにも、Apple の Web サイトに掲載されている)拍手を送りたい。さらに、この様な革新的なソフトウェアに、しかも必ずしも大きな企業からのものでない場合でも、スポットライトを当ててくれた Apple にも賛辞を送りたい。[JLC](カメ)

<http://www.toonboomstudio.com/>
<http://www.karelia.com/watson/?src=_tb>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06816>(日本語)次期 Mac OS X: Jaguar が姿を現す
<http://www.omnigroup.com/applications/omnigraffle/>
<http://www.uoregon.edu/~koch/texshop/texshop.html>
<http://homepage.mac.com/dschimpf/>
<http://developer.apple.com/designawards/winners.html>

アンケート結果:あなたはもう "X" してますか? いってみれば先週の、自分が主に使用する Mac で Mac OS X を起動してかつどのぐらいの時間使っているか?を問うアンケートに対する回答結果はそう驚くものではなかったと言えるかもしれない。2,700 を超える回答のうち、47% の回答者は Mac OS X を全面的に使っていると答え、全く使わないという人は 30% であった。明らかに TidBITS の読者は、ましてやアンケートに答えようというような人は、平均的な Macintosh ユーザーよりも Mac OS X にアップグレードしている可能性が高いとは言えるであろう。Mac OS X に切替えはしたが新オペレーティングシステムを全面的には使っていないという人を加えると、65% の人が Mac OS X で半分以上の時間を費やしているとし、35% の人が Mac OS X では半分以下の時間しか使わないとしている。私にとっては、これらの数字は我々の方針が - 記事の内容を Mac OS X 固有のものに置換えていく、一方で、アップグレードしたばかりという人、アップグレードを考えている人達のためになるようなものに焦点を当てながら、という方針が - 間違っていないのだと確信する手助けとなった。一旦そうは言っても、我々の使命は、我々の興味を引くものについて書くことであり、そして我々の興味は広い範囲にわたっていることに変りはない。[ACE](カメ)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=75>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06816>(日本語)次期 Mac OS X: Jaguar が姿を現す


iPhoto 1.1.1 でもっと楽しく

文 : Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳 : 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>

Apple は先週、人気のデジタルフォト管理・共有ソフトウエアの長く望まれていた更新版、iPhoto 1.1.1 をリリースした ( TidBITS-611 の“iPhoto がiアプリの仲間入り”を参照 )。バージョン 1.1 が一時的にその前の週に現われたが、たぶん品質管理の理由によりすぐ姿を消した。

<http://www.apple.com/iphoto/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06683>(日本語)iPhoto がiアプリの仲間入り

iPhoto 1.1.1 の中味を見ると Apple は非常に歓迎すべき変更を多数行なっていることがわかるが、それらはほとんど小さなもので大きな変化ではない。これらの変更は主として、写真を iPhoto に取り込むこと、それらの修正と検索、そして共有するための新しい方法に関するものだ。

ダウンロードとインストール -- 理由は分からないが、25.2 MB あるiPhoto のディスクイメージを、多くの人が最後までダウンロードできないことがあるらしい。ダウンロード後ディスクイメージをマウントできない時は、きちんと全てダウンロード出来ているかどうか確認すると良いだろう。

iPhoto 1.1.1 は iPhoto Library のフォーマットを変更し、変更後は iPhoto 1.0 に戻れなくなる。ライブラリの大きさにもよるが、この変換作業はしばらく時間がかかる。しかし実行されるのは一度だけだ。まずなによりも、iPhoto Library フォルダ全部をバックアップすることを、iPhoto 1.1.1 をインストールして最初に起動する前に強くお勧めする。

私は iPhoto 1.0 上にインストールして何も障害が無かったが、問題を報告している人も何人かいる。もし心配なら、あるいは最初のインストールがうまくいかなかった場合は、Sherlock を使って“iphoto”を検索し、iPhoto 1.0、その初期設定ファイル、そしてキャッシュフォルダを消去してからインストールしてみると良い。この検索では /System/Library/Services にあるBookService、HomePageService、そして PrintsService ファイルは見つからないが、どちらにせよ特権を変更しなければこれらのファイルは消去できない(これらのファイルは、共有枠の Order Book、Order Prints、そして HomePageボタンで使われる)。

新バージョンは快適 -- iPhoto 1.0 には、せっかく Finder で名前を付けたりフォルダ内で整理しておいても、その写真のコレクションを読み込むとiPhoto がファイル名を勝手に変更して時系列に並べ直してしまうという批判が付きまとっていたが、ついにこれは過去のものとなった。iPhoto 1.1.1 ではファイル名が変更されず、また取り込んだ写真全体に対し一つのフィルムロールではなく、各フォルダ毎に新しいフィルムロールが一つフォルダ名で作成される (これ自体も、フィルムロールが数字と日付だけで命名されている 1.0 からはありがたい変更だ。さらに、フィルムロールの名称は変更でき、日付も自分で変えられる)。

iPhoto は iPhoto Library を置く場所についても自由度が高くなった。このフォルダを指す iPhoto Libraryという名前のエイリアスが Pictures フォルダにある限りは、それこそどこにでも - Mac の共有フォルダやサーバ上でも -置ける。これで今までより複数のユーザが iPhoto Library フォルダを共有するのが手軽になった。複数の iPhoto Library フォルダを使用するのも簡単である (写真のコレクションを別々にしておきたい場合もあるだろう)。しかし、これは iPhoto Library Manager や iPhoto Librarian などの無料ツールを使えばさらに楽にできる (特に新バージョン用に更新されてないが、両方ともiPhoto 1.1.1 で動作するようだ)。

<http://homepage.mac.com/bwebster/iphotolibrarymanager.html>
<http://homepage.mac.com/scrufmeister/iPhotoLibrarian.html>

iPhoto 内でしかアルバムを作成できないのも不満の種だった。新しいバージョンでは、イメージあるいはイメージが入ったフォルダを iPhoto の空いているアルバム枠内にドラッグすれば、iPhoto がイメージを写真ライブラリに取り込みそれらを含んだ新しいアルバムを作成する。残念ながらアルバムが画面に収まらないほど一杯あれば、ドラッグできるアルバム枠は残っていないだろう。もし代わりにイメージを既存のアルバム上にドラッグすれば、イメージは取り込まれた後そのアルバムに追加される。アルバムについて言えば、好きな場所にドラッグすることによってアルバムを自由にアルバム枠内で配置し直すこともできるようになった。

iPhoto はまた、カメラによってそれぞれのイメージに書き込まれる EXIF 情報を保持するようになり、表示もできる。印刷の注文をしたとき、この情報が画質を改善するのに役立つかどうかはまだ未知数だ。

最後に、Kodak Photo CD を持っていれば、その CD を Mac に入れ iPhoto に切り替え、取り込みモードにして Import ボタンを押してみてほしい。iPhoto は指定しなくてもイメージを Photo CD から直接取り込むだろう。

iPhotoで明るさを調整 -- Apple は意図的に iPhoto 1.0 の修正機能を最小限に抑えていたが、これはイメージの編集はグラフィックプログラムに精通していなければ難しい作業の一つだからだ。そして、イメージを編集する際、別のアプリケーション、例えば Caffeinesoft の素晴しい PixelNhance などを使うように iPhoto を設定できたのも理由の一つだろう。私は、Apple がPixelNhance のコードをライセンス契約して iPhoto の次期バージョンに組み入れてくれないかと強く期待していた。期待はまだかなえられていない -iPhoto 1.1.1 での唯一となる追加機能は、明るさとコントラストを調整する単純なスライダーだけだったのだ。これ自体は悪くないが、イメージの上で分割線を好きな位置にドラッグして、変更前と後のイメージがどのようになるかその場で確認できる PixelNhance の方法に勝るものはない。PixelNhance のインターフェースはとても効果的なので、全ての iPhoto ユーザ、いや PhotoShop のプロでないデジカメユーザ全てに、無料の PixelNhance をダウンロードし写真を修正するのに使うことを推奨する。

<http://www.caffeinesoft.com/products/pnh/>

その他の iPhoto の修正ツールで目に見える変更点は余分な Rotate ボタンが修正枠から消えたことだけだ。アルバム枠の下にある Rotate ボタンがいつでも使えるので、この変更は理解できる。回転といえば、Option キーを押しながら行なえば逆方向に回転できるが、標準でどちらの方向に回転させるか iPhoto の設定で変えられるようになった。面白いことに、あるカメラタイプ (とてもキュートな Canon PowerShot S100) での統計的に意味の無い数の調査では、Jeff Carlson と私は縦長の写真を取るのに時計回りにカメラを回すのに対し、それぞれの妻たちは逆に反時計方向に回すという結果が出た。この性別による違いについて、どこかで調査するための助成金が付くかもしれない。

iPhoto 1.0 で写真を別のウインドウで修正するのは可能だが、いつも編集ツールバーが閉じたままウインドウが開くのに悩ませられていた。iPhoto 1.1.1 ではこの小さな間の抜けた問題を修正し、標準で編集ツールバーが開くようになった。最後に、Apple は赤目低減ツールを使用した結果を改善することに成功したようだ。

グラフィックの中のテキスト -- 写真を閲覧する際、グラフィックと同じくらいテキストによる説明も大事だ。iPhoto 1.0 でもタイトル、コメント、そしてキーワードを追加できたが、面倒だった。新しい iPhoto は取り込んだファイル名 (カメラが自動的に付ける番号だけのファイル名でも) をそのまま使用するので、編集メニューの階層メニューから、タイトルを何も無し、フィルム情報、ファイル名、あるいは日付・時間にすることができる。もちろん自分でタイトルを入力することは引き続き可能だが、この場合、タイトルを入力したあと前述のタイトル設定に変更してしまうと、入力したタイトルが永久に消えてしまうので注意が必要だ。タイトルの修正はまだ情報枠内で行なう必要があり、写真のすぐ下のタイトルを変更することはできない。

また、iPhoto の初期設定で、オーガナイズ枠のキーワードボタンをコメント入力用の大きなテキストフィールドと置き換えるオプションも、新しく加わった。これは、情報ボタンをクリックしたとき情報枠に出てくるものとまったく同じコメント領域だが、以前の縦長のものから横長のものに変わった。残念ながら、両方ともテキストを編集するには劣悪な環境のままだ。テキストが縦に収まらなくてもスクロールバーは表示されないし、必ずしも情報枠のテキストをマウスや矢印キーを使ってスクロールできるとは限らず、そしてオーガナイズ枠内の新しいコメントフィールドでは長い行が折り返されて表示されない (カーソルか矢印を右側にドラッグしないと見えない)。

この新しいコメントフィールドで割り当て/検索の切り替えを検索にして、写真のタイトル、ファイル名、キーワードあるいはコメントで探したいテキストが入力できるのは唯一良いところだ。iPhoto はこの検索条件に合致した写真だけ表示する。これは便利なのだが、このような使いにくいインターフェースを選んだことは残念なことだ。通常オーガナイズ枠でキーワードボタンを表示するようにしてあると、テキストで検索を行なうためには初期設定にジャンプしないといけないからだ。この機能は受け入れられるだろうから、願わくば次のiPhoto のメジャーアップデート時にこのインターフェースを見直してくれることを期待したい。

共有、それも等しく -- iPhoto の共有枠は、説明の必要もない 3 つの新しいボタンが増えた。Mail、Desktop、そして Screen Saver だ。

わざわざ Mac OS X の Slide Show スクリーンセーバでイメージを使う必要は無くなった。iPhoto の Screen Saver ボタンをクリックし、アルバムを選んでOK を押すだけだ。

Desktop ピクチャーを設定するのもさらに簡単になった。写真を選んで Desktopボタンを押すだけだ。残念ながら、私たちのようにモニタを 2 つ使っている場合は、iPhoto はメインモニタでしか Desktop ピクチャーを設定できない。

選んだ写真を電子メールメッセージで送るのもまたやさしい。写真を選んでMail ボタンを押せば、iPhoto は Apple の Mail プログラムを使って、選んだイメージとそのタイトル及びコメントを含む新規メッセージを作成する。望むなら、写真の大きさも変更できる。メッセージの大きさを小さくするのは、ほとんどの場合歓迎されるだろう。

この Mail ボタンで明らかに問題なのは、標準で設定した電子メールプログラムではなく、Apple の貧弱な Mail プログラムでしか動作しないことだ。しかしながら、Simon Jacquier の調査とコード - 私も若干支援した - によって、iPhoto Mail Patcher という代替案が示されている。これは、iPhoto が知名度の高い Apple のプログラムでありながら AppleScript をサポートしないというきまりの悪いカテゴリに分類されるにもかかわらず、Mail とやりとりをするスクリプトを内部に持っている仕組みをうまく利用しているのだ。Simon はEudora、Mailsmith、PowerMail、そして QuickMail Pro で動作する新しいAppleScript を書き、このスクリプトと Mail アイコンを適宜置き換えるインストーラを作成した。もしあなたが AppleScript のプロで、このスクリプトを改善するアイデアを持っていたり、あるいはほかのメールプログラムのサポートを追加したいのであれば、私宛に AppleScript を送っていただければ Simonに転送する。

<http://homepage.mac.com/jacksim/software/imp.html>

最後に、高価なインクジェット紙を無駄にしたくない人たちのために、iPhoto 1.1.1 では、1 ページに 2 つの写真を 4" x 6" あるいは 5" x 7" で印刷できる。さらに、Contact Sheet スタイルに、マージンとイメージ間のスペースを減らして紙を節約するためのチェックボックスがある。

まだ足りない? -- iPhoto 1.1.1 は、すぐれた信頼できるアップグレードで、iPhoto のユーザ全員にアップグレードを勧められる。多くの変更は軽微な使いごこちに関するものでユーザの使用感をさらに高め、新機能はさらに必要とされていた機能を追加している。

とは言っても、いくつかの変更点、例えば検索機能、デフォルトの電子メールプログラムではなく Mail との連係、そして新しい明るさとコントラストの調整は、一言で言えばインパクトに欠ける。その他、AppleScript サポート、基本的な色校正管理などの機能は iPhoto に含まれていない。そして、たぶん一番気になる点は、iPhoto 1.1.1 のパフォーマンスが改善されたようには見えないことだ。

とすれば、次は iPhoto の開発者達が iPhoto 2.0 で何を出してくるかというのが焦点になる。1.1.1 では多くの機能拡張と修正が施されたが、このプログラムが今のように簡単でなければイメージで作業などしない私たちのために、使いやすさをそのままで iPhoto を改善する余地は Apple にはまだたくさんあるのだ。


Kensington 製のスグレモノ

文: Jeff Carlson and Adam C. Engst <editors@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

コンピュータ関係のジャーナリストにとっての役得の1つは、いろいろな製品が試用のために次々と送られてくることだ。時にはそうやって届いたものをすぐに開封して使い始めることもあるし、時にはただあくびをしながら眺めるだけで開封さえしないこともあり得る。最近、Kensington 社からいくつかの製品が送られてきて、私たちは興味を引かれた。いくつかの製品はなかなか良かったけれども、そうでもない製品もいくつかあった。

PocketMouse Pro -- Jeff です。私がメインに使っているコンピュータは PowerBook G4 で、私はどこへ行くにもこれを携帯している。自宅や会社にいる時には、この PowerBook にマウスと外部キーボードとを接続して使う。それ以外の時には、PowerBook の内蔵キーボードとトラックパッドを使う。けれども、トラックパッドというものはそう長い間は使っていられないものだ。特に Adobe GoLive や Photoshop のような頻繁にマウスを使うプログラムで使うのは苦痛でしかない。そういう場合、例えばこの前のように思いもかけず Starbucks カフェに座って6時間も仕事をしなければならなかったような場合には、どうしてもマウスが必要になる。私が一番便利だと思ったのは、Kensington から出ている $40 の PocketMouse Pro だ。

<http://www.kensington.com/products/pro_mic_d1453.html>

この PocketMouse Pro はきっと私のために誂えて作ったものではないか、と私には思える。たいていのマウスよりもサイズは小さく、長さ 4.375 インチ(約 11 cm)幅 2.25 インチ(約 5.7 cm)高さ 1.5 インチ(約 3.8 cm)で、私の鞄の中でいろいろなケーブルの間に素直に収まる。手のひらの小さい人たちの間では他の大きなマウスに比べて気持ち良く手のひらに収まると評判のようだ。このマウスは光学式(オプティカル)なので、マウスパッドも不要だしトラックボールを清掃したりする必要も無い。更に、2つのボタンとスクロールホイールも付いている。私が2ボタンマウスを使い始めたのは 1995 年だが、もう私が1ボタンマウスに戻ることなどあり得ない。ボタンのアクションは、機能の多彩な Kensington の MouseWorks ソフトウェア(Mac OS 9 と Mac OS X の双方で使用可)を使って設定できる。

<http://www.kensington.com/support/sup_1170.html>

以上ここで説明してきたのは、ただサイズの小さなオプティカルマウスということだけだった。(TidBITS Talk では多数の他機種の小型マウスについて議論がなされているので、下記のリンクから議論のスレッドを眺めてみて欲しい。)けれども、この PocketMouse Pro が人々をあっと言わせるのは、30 インチ(約 76 cm)もの長さがありながら巻取り式になっている USB ケーブルだ。シルバーのボタンを押せば左側面のパネルが開き、標準の USB コネクタの付いた細くてコイル状に巻取られたケーブルが現われる。それを引き出して伸ばせば、コードが前面の凹みに収まるのでパネルの蓋を閉めることができる。(きちんと閉まっていないと、マウスの角がテーブル面から持ち上げられてしまう。)コードをちょっと引っぱるとストッパーが外れてケーブルが巻取られる。普通の掃除機のコードと同じ具合だ。こんなちょっとした工夫がこれほど大きな使用感の違いを生むなどとは、私はこれまで考えてもみなかった。でも本当に、ごちゃごちゃになった私の鞄の中身からケーブルが1本消えただけで、これは確かに大きな進歩だ。更に重要なことは、マウスの設計者たちが私のようなユーザーのことを考えながら設計してくれている、ということではないだろうか。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1566>

この PocketMouse Pro に対しては2つほど不満な点がある。コードはふだんコイル状に巻取られているので、引き出した時も自然にカールのかかった状態になっており、マウスを使う際にしばしば邪魔になることがある。また、光学センサーの動作は普段は問題ないのだが、時々、木目のある艶出し木材の上で、例えば近所の Starbucks カフェのテーブル上などで、瞬間的にスキップしてしまうことがある。

Optical Elite マウス -- PocketMouse Pro を自宅や会社でも使う、というのも悪くはないが、場所を移動する度にいちいち取り出しなおすのも面倒だし、それに、いつも小さなマウスばかり使っていると長い方の指に負担がかかるかも知れないという気もする。これまで長い間、私は2ボタンでスクロールホイール付きのシンプルなデスクトップマウスを使ってきた(そして長年そのローラーボールの清掃に労力を費やしてきた)のだが、今回 Kensington からそれを置き換えるのにぴったりの Optical Elite Mouse が試用のために送られてきた。

<http://www.kensington.com/products/pro_mic_d1463.html>

この $30 のマウスは私がこれまで使ってきた古い2ボタンの Kensington Mouse-in-a-Box/Scroll ユニットに比べてほんの少し大柄で、握りやすさの感触は良くなったと思う。両側の部分はちょっと内側に向けて傾斜しており、親指の収まりもいい感じだ。また、マウスの下側部分全体を覆っている EasyGrip コーティングのおかげで、ソフトで弾力のある表面となっている。

<http://www.kensington.com/products/pro_mic_d1020.html>

前方にある2つの大きなボタンに加えて、この Optical Elite には2つの小さなボタンが左右の側面に付いている。十分に小さいのでうっかり押してしまうようなことはないのだが、付いている場所がマウス中央アーチ部分の高いところなので、私は親指側のボタンだけしか使わない。反対側のを押そうとしても無理に薬指を持ち上げなくてはならず、使いにくいのだ。でも、個々のボタンごとに、また複数同時クリックの組み合わせコードさえも個別にアクションを設定できるにもかかわらず、結局私が普段使うのはたった3つのアクションだけ、つまり左ボタン=シングルクリック、右ボタン=ダブルクリック、左側小ボタン= Control-クリックの3つだけだ。

Slim MicroSaver ノートブック・セキュリティーケーブル -- カフェでコーヒーや紅茶を飲みながら何時間も座って PowerBook や iBook で仕事を続ける、ということになれば当然、時には席を立ってトイレに行くことになる。その間ラップトップ機はどうすべきだろうか? 誰もいないテーブルに PowerBook が置いてある、というのは盗人にとって抗し切れない誘惑だろう。(Apple のポータブル機が素晴しく目立つ、ということは何の役にも立たない。この会社の製品のデザインが魅力的なことがかえって欠点となるという、これは稀なる実例なのだ。)そこでシンプルかつ効果的な解決法となるのが、Kensington のノートブック・セキュリティーケーブルだ。

<http://www.kensington.com/products/pro_c1133.html>

私も PowerBook G4 のオーナーとして、この Slim MicroSaver Notebook Security Cable を試してみた。これは樹脂でコーティングされた金属のケーブルで、片側の端はループになっており、もう片側の端には錠が付いている。この錠は、初代以来の PowerBook すべてに付いている長方形のセキュリティースロットにはまるようになっている。ケーブルの使い方は、単にケーブルをテーブルの脚などしっかりしたものにまわしてから錠の付いた方の端をループにくぐらせて、錠をラップトップ機にかけるだけだ。(テーブルによっては脚が固定されていないものもあるが、そういう場合私はケーブルを椅子の背と私のコンピュータバッグの取っ手との両方に通してから施錠するようにしている。)

このケーブルの“Slim”モデルというのは PowerBook G4 のような薄型のラップトップ機に合わせてデザインされている。つまり、錠の直径が小さいので、わざわざコンピュータをテーブルから斜めに持ち上げなくても施錠できる。もちろん古いタイプのセキュリティーケーブルでも私の PowerBook G4 で使えるのだが、この Slim MicroSaver にはゴム製のバンパーが付いているので、わが PowerBook のチタニウム仕上げの表面が錠の先端とぶつかって傷つくのを防いでくれる。さらに嬉しいことには、この $45 の Slim MicroSaver にはベルクロ付きのストラップも付属していて、鞄やケースにしまう時にケーブルをきちんと包むことができる。さっきも言ったように、鞄の中身がケーブルだらけでごちゃごちゃにならないように、というのは私にとって重要なことなのだ。

<http://www.kensington.com/products/pro_sec_d1433.html>

Palm 用 PDA 保護ケース -- 私が Kensington から試用を依頼されたもう1つの製品は、Palm 用の PDA 保護ケース、PDA Protector for the Palm だった。これは Palm V または Palm m500 シリーズのハンドヘルド機のケースとして使える。この「プロテクター」という名前はただの宣伝文句ではない。アルミ製で、ハンドヘルド機をしっかりと保護してくれるケースになっている。

<http://www.kensington.com/products/pro_mob_d1442.html>

全体は貝殻状のデザインで、上に向けて開くようになっている。(そう、ちょうど Star Trek の通信機のような感じだ。)ケースの内側は黒いフェルト状の材質で覆われていて、ハンドヘルド機をぴったりと支えてくれる。ケースの形状とフェルトのおかげで、他の PDA ケースで見られるような固定レールとかベルクロなどを付ける必要もなしにしっかりと固定されている。けれども、ケースの下部はシリアルポートを塞いでしまうので、コンピュータとの同期の作業をする時にはハンドヘルド機をケースから出さなければならない。

この PDA 保護ケースの造りは、どこから見ても高級感がにじみ出ている。上下のピースはスムーズかつかっちりと開閉できるし、閉じた時には小さなマグネットが蓋を固定してくれる。アルミニウムの材質感もしっかりした感じで悪くない。

意外なことに、この最後の一点こそがこの PDA 保護ケースに対する私の不満の原因となった。しっかりした材質、ということを言い替えれば、かさばって重たい、ということも意味するわけで、私は結局このケースに入った状態で私のハンドヘルドを持ち運ぶ気にはなれなかった。もちろん、このケースに入れておけば私の Palm が保護されて安心だ、というのはわかるが、なぜかその状態では私の鞄の中に放り込んだままになってしまい、結局使わないようになってしまった。もしもあなたが Palm を保護することを本当に第一にしたいという考えの人ならば別だろうが、少なくとも私の場合は、以前使っていたカバーに戻してしまった。これなら Palm の薄さをそれほど犠牲にしないで済むから。

それに、内側のコーティングの材質が繰り返してハンドヘルドを抜き差しする使用に耐えられるかどうかにも不安が残った。私が試用したケースでは気持ち良くフィットしてくれたが、Macworld Expo の Kensington ブースに展示されていた物は繰り返し使われた結果すり減って、ほとんどスカスカの状態だった。

この PDA 保護ケースの価格は $30 で、Palm 用には Platinum/Silver または Blue-Ice/Silver のカラーコンビネーション、また Handspring Visor 用には Graphite/Silver が用意されている。

Turbo Mouse Pro -- Adam です。私は複数モニタにハマっていることもあり、もう何年もの間 Kensington トラックボールを使ってカーソルに私の拡張デスクトップを行き来させてきた。私が最初に使ったのは2ボタンの Turbo Mouse で、それから4〜5年後に最初のマウスに問題が発生し始めた頃、4ボタンの Turbo Mouse に移行した。その後、最近になって ADB-USB コンバータの必要のない $110 の USB Turbo Mouse Pro を購入した。この間私は Kensington 製の他のトラックボールも使ってみたし、他の製造元のトラックボールを試したこともあるが、やはり基本的なデザインの良さとしっかりした造り、という点において Turbo Mouse に優るものは無かった。

<http://www.kensington.com/products/pro_mic_d1399.html>

この最新の Turbo Mouse Pro は以前のバージョンと同じしっかりした感触と使いやすさを継承している。もっとも私はその機能のうちの多くをまだ使いこなしてはいないのだが。最初の2ボタンの Turbo Mouse では、私はボタンを2つとも頻繁に使いこなしていた。その後4ボタンの Turbo Mouse に移行した時には、上部の2つのボタンは私には使いにくく思えた。ちょっとこれらのボタンはちょっと届きにくい場所にあり、右ボタンの機能をアプリケーションごとに別々に設定できることもあって私には3つ目以上のボタンは必要無いようにも思えたのだ。この問題は Turbo Mouse Pro になって更に拡大した。新たにスクロールホイールが増え、更に最上部に6つの小さなボタンが並んでアプリケーションを起動したりウェブページを開いたりできる、というのだが、これらのボタンはますます届きにくい場所にあるので、私はまだ一度も使ったことさえ無い。スクロールホイールについては使ってみたいと思ったのだが、場所が悪い上に動作もかなりいい加減(私は Microsoft optical mouse も使っているのだが、そちらのスクロールホイールの方がずっとスムーズに動作してくれる)なので結局使わなくなった。

おそらく私のこの不満の原因は私が手を置く位置に関係しているのだろう。私は人さし指の先をボールの上に乗せ、親指を左ボタンに、薬指を右ボタンにかけて、手のひらの付け根をトラックボール手前側のパッドに乗せている。2ボタン Turbo Mouse ではこのポジションが理想的だったのだが、たぶん Kensington が想定しているのはユーザーの手が Turbo Mouse のもっとずっと上の方に置かれるやり方なのだろう。その場合はスクロールホイールや上部のボタンにも指が届きやすいだろうから。けれども私は長年私のやり方に慣れてしまったので、今さら別のやり方に慣れるのも難しい。ただ、初めてトラックボールを使うユーザーならば、想定通りのやり方で使いこなせるはずだ。

というわけで私はすべてのボタンを使いこなしているわけではないが、私が使っているボタンについて言えば、Kensington の MouseWorks ソフトウェアはそれぞれのボタンについて思い通りの設定をさせてくれる。Mac OS X の下では MouseWorks 2.0 のベータ版が必須だ。最初のバージョンでは特定のアプリケーションごとにボタンの定義を規定することができなかったからだ。そのため、私は Mac OS X に初めてアップグレードしてから1週間ほど、大いに不満に思ったものだ。その後 2.0 ベータ版にアップグレードしてからは、右ボタンのクリックを Finder ではダブルクリックに、Internet Explorer ではページを戻る機能に、Nisus Writer では URL の Command-ダブルクリックに、Eudora では URL の Command-クリックに、それぞれ使えるようになった。もしも Kensington のマウスかトラックボールをお使いなら、まだベータ版ではあるのだけれども MouseWorks 2.0 にアップグレードすることをお勧めしたい。

<http://www.kensington.com/support/sup_1357.html>

FlyLight -- 最後に私が紹介したい Kensington の製品は $20 の FlyLight、これは本当に単純な仕掛けで、ただ USB ポートに差し込むだけで 15 インチ(約 38 cm)の長さのワイヤーの先に LED の電灯が灯るのだ。このワイヤーは自由な形に曲げておくことができる。ごく小さくてシンプル、毎日使うようなものではないが、夜間の飛行機の機内で座席の照明をつけたくないような場合に便利だったことがある。

<http://www.maccessories.com/products/pro_mob_d1032.html>

FlyLight のシンプルさは、その長所でもあり短所でもある。まず、できればスイッチが付いていたら、と思う。そうすれば差し込んだままで消灯させておくことができるのだが。ことに、PowerBook や iBook がスリープしている間も点灯したままなのは困る。どうやら USB ポートへの電源供給はマシンをシステム終了させないと切れないらしい。けれども今日では、ポータブル機もめったにシステム終了させることはないだろう。それから、このライトをソフトウェアで操作できて、点灯・消灯させたり、パターンによってフラッシュさせたりできたら楽しいだろうと思う。もっとも別にそれで便利になる訳ではないと思うが。全然便利にならないと言えば、このライトを iTunes のビジュアライザーにでもリンクできたら、これはもう最高に使い道の無い応用、MacHack のハッキングコンテストのプロジェクトに最適ではないか!

<http://www.machack.com/>


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA