TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#379/12-May-97

Newton 購入を検討されているだろうか? 先日最新モデルを手に入れた筋金 入り Newton ユーザーによる、今週号 Newton MessagePad 2000 の詳細な レビューをお見逃しなく。さらに今週号ではわれわれ TidBITS の Search Engine Shootout コンテストの参加者をもらさず検証、いよいよやってき た PowerBook 2400c の情報、そして Aladdin 社が Rev を買い取った件を お伝えしよう。

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/12-May-97

(翻訳:小川 浄 <HGB00351@niftyserve.or.jp>)

か細い指の人向き PowerBook -- 先週 Apple 社と IBM 社は公式に PowerBook 2400c のおひろめをした。PowerBook 2400c は継続開発が終了 した Duo シリーズの後釜であり、空白となっていた Apple 社のサブノー トカテゴリーを埋めるモデルラインである。PowerBook 2400c は 180MHz の PowerPC 603e と 256K の Level 2 キャッシュ、10.4 インチのアクテ ィブマトリクスカラー表示を備える。軽量 4.4 ポンド、ノートサイズ用紙 よりも小さく、肩に食い込む重い荷物に辟易の移動者には福音となるだろ う。本体の小ささと天秤にかけ Apple 社が妥協したのがキーボードのサイ ズ(もともと英語のタッチ・タイピングよりも漢字の雨だれ式タイピング が一般的な日本市場向けに開発されたゆえんである)、およびフロッピー ドライブの内蔵である。価格は 3,500 ドルから。日本では今月末から出 荷、米国内では 7 月末には入手可能と目される。[JLC]

<http://product.info.apple.com/pr/press.releases/1997/q3/970508.pr.rel.pb2400c.html>

Aladdin 社 Rev に意気込み -- Aladdin Systems 社は 6prime 社の Rev の版権を獲得した。6prime 社の Rev は筆者が TidBITS-362 で取りあげた 99.95 ドルの使いやすいバージョン管理ソフトウェアである。Rev は頻繁 に保存作業を行なう書類の、中間のバージョンを保存する。取り返しのつ かないミスをしでかしたときに、保存しておいた中間バージョンのいずれ かに立ち戻ることができるようにするのである。一方 Nisus Writer には 複数回の保存を受け入れる無制限のアンドゥーがあるが、それでも手を何 度も入れる書類に筆者は Rev を用いている。Rev のお陰で再生作業をまぬ がれた体験は一度や 2 度ではない。Aladdin 社が Rev を獲得してくれて 喜ばしい。 Rev はさらなるサポートを受けることになるだろう。[ACE]

<http://www.aladdinsys.com/rev/>


TidBITS 牧場の決闘

by TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

TidBITS-368 でお知らせしていた TidBITS 杯検索エンジン決定戦の締切 が過ぎ、結果発表を行う時となった。まず最初に、参加頂いた方々にお礼 を言いたい。Macintosh コミュニティへ貢献する検索エンジンの作成に 並々ならぬ努力を注いでいただき、それだけで全員が称讃されるに値す る。全般的に検索エンジンの質は高く、各応募作品の作成過程を楽しく読 ませていただいた。

まず今週は、応募作品を一つ一つを見ていき、それぞれの検索エンジンに コメントしたいと思っている。そして、もう少し優秀作品の応募者達と話 し合いをした上で、来週優勝者(複数出るかもしれない)を発表する。ど うぞご自由に応募作の各サイトを訪れていただきたい(以下に登場する順 番には特に意味はない)。また、うまく繋がらないことが合ってもご心配 なさらないように。応募作品の中には個人のマシン上で動作しているもの もあり、24 時間使用できる状態になっているとは限らないのだ。コンテ ストの審査基準については、 TidBITS-368 を参照頂きたい。

Scott Ribe 氏と WebServer 4D -- スピードの点で群を抜いているのは、 Scott Ribe 氏の作品である。MDG 社製の 295 ドルの WebServer 4D でテ キストをインデックスするもので、ものすごい速さで TidBITS の全文検索 を行う。この検索エンジン作成には、2 〜 3 週間を要したとのことだ(現 在のところ TidBITS をかなり意識した仕上がりだが、一般向けになるよう に手直しして商用リリースをすることも考えてるらしい)。構成は至って 簡単で、専用のドロップフォルダに TidBITS が入ってくるのを見ていて テキストをインデックスするだけである。

<http://www.mdg.com/>

私たちがこの作品を結構気に入っているのは、その速さによるところが大 きい。結果を表示するページは、号数と記事のタイトルだけしかない簡潔 なものだが、著者名とか記事の最初の一行のようなものを表示できるよう にするのは簡単だと思う。結果は新しい順に出てくるが、関連度の高い順 に表示できるものをいずれリリースするつもりらしい。この作品は検索語 すべてに該当する記事を取ってくるようになっており、刊行日でも検索で きるが、論理演算や句での検索はできない。また不思議なことに “Ashton-Tate”のようなハイフン付きの語の検索もできない。 [ACE]

<http://38.254.39.13/tidbits_archive/>

Ethan Benatan 氏と Frontierと Phantom -- Ethan Benatan 氏は Userland Frontier を使用した独創的で高機能な検索エンジンを引っ提げ て登場してくれた。これは、設定された時間に Fetch を使って自動的に TidBITS の新刊をダウンロードし、新しい号が入ってくると、記事ごとに 切り分けてからローカルディレクトリに結果ファイルを保存するように なっている。Maxum 社製 Phantom は、新しいファイルがあれば、それを累 積型のインデックスに加えるという作業を毎晩行うようになっているが、 その際でも常にユーザーからの検索を処理する CGI として使えるように なっている。Frontier は、Eudora Light を使って状況報告を送付するこ ともできる。Phantom は約 300 ドルだが、Frontier をはじめとする他の ものは無償または非常に安い。

<http://www.maxum.com/Phantom/>
<http://www.scripting.com/Frontier/>

素晴らしい TidBITS 用検索エンジンであり、Phantom に備わっている語幹 を利用した検索、論理関数を用いた検索、音からの検索のほかに、1996 年 または 1997 年に発行されたものだけを検索したり、URL かヘッダだけを 検索したり、結果を詳細に出すかコンパクトなものにするか、(パーセン トによる)関連度の高さの表示などの“便利な”機能が付いている。うれ しかったのは、MailBITS も個々の記事として切り分けられるように骨を 折ってくれたお陰で、それぞれ別々に検索されるようになっていること だ。詳細な検索結果の方では、最初の 3 行を表示してくれるようになって おり、Ethan の頑張りには本当に頭が下がる。 [GD]

<http://anacardium.bio.pitt.edu:8080/>

Andrew Warner 氏と FoxPro -- 1992 年に Microsoft 社が Fox を買収 して以来( TidBITS-113 を参照)Mac 版の FoxPro の噂をあまり耳にし なくなったと思う。だが FoxPro はまだ存在しており、Andrew Warner 氏 はその健在ぶりを証明してくれている。この検索エンジンは、100 % FoxPro で書いたもので、高度なカスタマイズが可能だ。これはドロップ フォルダから TidBITS を読み込んできて、動的なヘッダとフッタを付け る。この作品には解析用プログラムが組み込まれており、 HTML 版の各号 を読んで、個々の記事に切り分けるようになっている。インデックスは、 Mac 用 FoxPro のテキスト検索ライブラリアドオンである Phdbase が行う。

<http://www.microsoft.com/vfoxpro/vf_xplat.htm>

Andrew は、このエンジンを彼個人のマシンで動作させなければならなかっ たので、実験をする時間が十分にとれなかった。論理演算や(引用符を 使っての)句の検索はできるようになっており、(記事のタイトル、条件 付き、日付のような)条件を限定した検索を行うこともできる。今回の作 品にはあまり手をかけていないとのことだが、もう少し時間をかければ、 多くの機能を追加したり修正したりすることは簡単だと言っている。検索 結果には、記事のタイトルと発行日が表示されそこそこであるが、突然不 調になったり不適当なヒットがあったりということもあった。 [ACE]

<http://agency.arnoldcom.com/aw.search2.html>

Ole、David 両氏と FileMaker と Frontier -- Userland Frontier は 検索結果を送り返す CGI エンジンであるが、Ole Saalmann 氏と David Weingart 氏はさらに解析および設定された時間に新刊の TidBITS を取り に行くことにも利用している。Frontier で書いたスクリプトは TidBITS を取ってきて、記事ごとに分けて、簡単な FileMaker Pro データベースと して保存するようになっている。ユーザーが検索を実行したら、Frontier は FileMaker に検索しようとしているものを伝え、HTML 形式でその結果 を出す。

<http://www.scripting.com/Frontier/>
<http://www.claris.com/products/claris/filemakerpro/filemakerpro.html>

Ole と David の二人は、AltaVista のような快いインターフェースを持 ち、詳細なものとコンパクトなものの 2 種類の検索結果のページが用意さ れたもの(かつ、論理演算や句引きなどのできる上位検索オプションが付 いたもの)を作成した。変な HTML が表示されたりするし、記事に対する 関連度がでないということもあるが、素晴らしい検索結果ページを素早く 表示し、また Web サーバへのスクリプティング設定がとりわけ優れている。 [GD]

<http://www.gilbert.org/searchBITs.fcgi>

Duane Bemister 氏と WebSonar -- Duane Bemister 氏の応募作は、 Virginia Systems 社製 WebSonar Professional を利用したものだ。 WebSonar シリーズは Web を通じて相当な量の文書を検索することができ る製品である。書類形式が多岐に亘っていても問題ないし、それらの文書 を HTML 形式に変換せずにオンラインで利用することができるのだ。

WebSonar には数多くの凝ったオプションが付いているが、あまりにもでき ることが多すぎるために、一般のユーザーが複雑なメニューとツールバー を駆使するインターフェースに怖じ気づいてしまうといった弱点にもなっ てしまう。さらに、WebSonar が扱うページは、検索結果を個々の記事とし て表示しない。WebSonar は高性能ツールの代表であるが、検索を行う一般 の人が取り扱い方を覚えるために多大な精神的労力を投資するとは思えな い。 [TJE]

<http://www.websonar.com/websonarcom/tidbits_challenge.html>

David と Curt と Apple e.g. -- Apple 社の Apple e.g. を使った応募 作は 2 点あった。Apple e.g. は Macintosh ベースの Web サイトに検索 機能を追加する CGI で、現在ベータ版として無償で配布されている。技術 面では、Apple e.g. は以前 V-Twin のコードネームで知られていたテキス トインデックスエンジンを利用しているのだが、今は Apple Information Access Toolkit というつまらない名前になってしまっている。バックエン ドとしては、いずれの応募作とも Apple e.g. と TidBITS をうまく統合し ており、ユーザーインターフェースも好感が持てる。記事を見つけるのは 簡単だし、検索結果リストには見つけた記事の関連度を表示してくれる。 さらに、検索結果リストで特に関連度スコアの高い文書に印を付け、それ に似た記事をさらに検索するといったこともできる。この機能が実にうま く動作するのには感心させられた。

<http://cybertech.apple.com/apple_eg.html>

David Clatfelter 氏の応募作は、検索結果を表またはテキスト形式で表示 する。表形式の場合は、関連度インジケータの棒グラフをグラフィックで 表示するとともに、検索した記事に関する情報を表示する。残念ながら、 ここでは見つかった記事が収められている号の冒頭部分が表示されてしま う。テキストフォーマットの方は関連度スコアをアスタリスクの数で示 し、見つかった記事が収められている号のタイトルが表示される。

<http://idoseek.ucr.edu/cgi-bin/appleeg/eg.acgi>

Apple e.g. を使った 2 点目の応募作は Curt Stevens 氏のものだ。ユー ザーは検索結果の表示に“フル”または“コンパクト”形式を選択するこ とができる。フル形式の方では、見つかった記事のリストを関連度スコア の棒グラフとともに表示される。スコアの後に各記事のタイトルと、本文 の最初の数行が表示されるので、読みたい記事かどうかを楽に判別するこ とができる。コンパクト形式は David のテキストフォーマットと似ている が、記事を収めている号のタイトルのかわりに記事のタイトルを表示す る。全体的には、私たちは Apple e.g. の性能と可能性には感銘を受けて いるので、もっと子細に検討するつもりだ。 [TJE]

<http://17.255.9.121:8080/TidBITS.acgi>

Jacque Landman Gay 氏と LiveCard -- TidBITS-338 で Royal Software社から 150 ドルで販売されている CGI、LiveCard の記事を書い た時、私は主にLiveCard の HyperCard スタックをほとんどそのまま Web に載せることができるという機能に注目した。当時は、これを元に HyperCard コミュニティの重鎮が TidBITS 検索エンジンを作ろうなどとは 夢にも思わなかったのだ。

<http://www.quibble.com/HyperActive/LiveCard.acgi>

LiveCard は Macintosh Web サーバと Jacque が作ったカスタム HyperCard スタックを仲介する役目を果たす。このスタックは各号をイン デックスし、検索を行い、結果を表示する。LiveCard はシンプルな検索 フォームを持っており、最高 3 セットの検索語を入力することができるよ うになっている。引用符で囲んだ句や、論理式も使用可能だ。検索結果は 記事のタイトルのリストとして表示され、タイトルをクリックすることに よって該当する TidBITS の号の正しい箇所にジャンプすることができる。 Frontier などのコンパイルされた CGI エンジンと比べると HyperCard の 評判は芳しくはないが、この LiveCard ツールは 10 MB を超える TidBITS の記事を意外なほど高速に検索して結果を表示する(しかも、こ れを一時的に置いている私のサーバは特に速いわけでもない)。この検索 エンジンは日付や号の範囲を指定することはできず、必要最低限の結果し か表示しないが、Jacque が投入することのできた時間にしてみれば予想外 にスムーズで、普通に販売されているオーサリングツールでどんな Web サービスが可能かを示す良い例というべきだろう(特に、LiveCard は Apple の HyperCard 2.3.5 Value Bundle に含まれているのだから)。 [GD]

<http://www.interedu.com/royalsoftware/descriptions/LiveCard.html>
<http://hypercard.apple.com/>

Glen Stewart 氏と WarpSearch -- Glen Stewart 氏作の WarpSearch CGI は、他の応募作とはやや異なった動作をする。他の応募作は、 TidBITS アーカイブ全部をインデックスするため、検索が高速に行える一 方、毎週最新号をインデックスに追加しなければならず、ディスクスペー スもある程度消費する。一方、WarpSearch は毎回アーカイブ全体を検索す るのだ。これだとスピードが遅くなりそうなものだが、それでも 10 MB の TidBITS を毎秒約 700K のスピードで検索することができる。

WarpSearch は句単位でしか検索することができず、論理式や複数の連続し ていない語を使うことはできない。検索結果は、見つかった号の名前とサ イズ、修正日、それにその号で検索条件に合致した件数が表示される。残 念ながら、各号を記事単位に分割することはしてくれないし、時には理解 不能な検索結果を表示するほか、HTML 版ではなくて setext 版を使うた め、見つかったテキストの見栄えはそれほど良くはない。[ACE]

<http://stewart-3.pnet.msen.com/cgi/warpsearch/warpsearch.html>

Nisus Software 社と GIA -- Nisus Software 社の GIA(Guided Information Access)技術は厳密には全文検索エンジンとは言えないが、 とりあえず審査対象とすることにした。GIA はキーワードを元にしたリア ルタイムのフィルタリングを行うことができるため、事前に定義されたリ ストの中からキーワードを選ぶと、合致する TidBITS の記事と残りのキー ワードのリストが縮んでいく。こうしてキーワードを追加して、適当な数 の記事が残るまで対象を絞っていくのだ。このようなキーワードシステム を作る上で最も難しいのはキーワードの選択で、このシステムは比較的大 まかな検索に向いているようだ。必要なキーワードが無い場合、特定の記 事を探す際には苛立たしい思いをした。

私は依然として GIA が秘めている可能性には感服しているが、現実が追い 付いていないのが実情だ。Nisus Software 社は GIA を完全に Java で実 装しており、色々な Java VM(PC 上の Internet Explorer を含む)で試 したところ、常にインターフェース上の不具合に祟られていた。このうち 一部は簡単にフィックスできるだろうが、ほかは Java そのものや現行の 開発ツールに問題があるのかもしれない。結論としては、GIA は魅力的な 技術だが、サーバが Mac 上にあるわけではなく、全文検索機能を提供して いるわけでもないので、決定戦の応募資格を満たしていないということに なる。 [ACE]

<http://www.infoclick.com/gia/gia6/TidBits1.html>

Roger McNab 氏と NZDL -- Waikato 大学の Roger McNab 氏は、 TidBITS のテキストを New Zealand Digital Library (NZDL) の検索エン ジンに組み入れた。NZDL は、特定の文書集(Project Gutenberg、FAQ アーカイブ、PostScript または TeX でしか用意されていないものなど) を検索することができ、評点や論理演算による検索、それに細かな検索オ プションを提供するとともに、記事のタイトルと著者を示すコンパクトな 検索結果ページを持っている。

NZDL アーカイブは機能的で、便利で、魅力的なインターフェースを持って いるが、このコンテストの基本ルールに違反している − Macintosh 上で 動作していないのだ。このプロジェクトの心臓部は Perl で書かれてお り、作者も Macintosh への移植は問題ないと考えているが、Mac 版はまだ 存在していないというのが現実だ。 [GD]

<http://www.cs.waikato.ac.nz/~nzdl/tbc/>

来週に続く -- 以上がコンテストの応募作だ。来週は私たちのお気に入りの作品と最終的な優勝作についてもう少し詳しく述べよう。


MessagePad 2000:期待を越えた新しい Newton

by David Gewirtz <david@component-net.com>
(翻訳:松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.meshnet.or.jp>)
(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

時間がかかったが、私はやっとスマートな MessagePad 2000 (MP2K) の誇 りあるオーナーとなった。それを入手することはチャレンジであった。私 が買ったオリジナルのユニットは NewtonSource から私のオフィスまでの 途中で盗まれたのだが、一週間かそこらの後に(疲れ切ってしまっている NewtonSource の従業員に感謝)、私の掌中のものとなった。そのマシンを 所有してわずかだが、確かにかなり「いかす」と言うことができる。

<http://www.newton.apple.com/product_info/devices/MP2000/MP2000.html>
<http://www.newtonsource.com/>

MessagePad 2000 のハードウェア − 私の以前の Newton (MessagePad 120) に比べ、MP2K は、8 分の 3 インチ広く、僅かに背が高く、そして大 体同じ厚みである - たいていの報告ではより薄いとされているが。常に実 証的と言える「持ち上げ試験」を行ってみると、MP2K (バッテリを入れた 状態)はその年上の従兄弟より僅かに重く感じる。[仕様書によると、高 さ 1.1 インチ、幅 4.7 インチ、そして厚み 8.3 インチであり、全体の重 量(バッテリを含む)は 1.4 ポンド - Tonya ]

僅かな物理的サイズの増加に関わらず、スクリーン面積は 320 x 240 から 480 x 320 へと劇的に大きくなっている。新しいスクリーンが 100 dpi の 解像度であることから、増加されたピクセルは同じような物理的ディスプ レイ・スペースにうまく収まっている。利用できるスペース内に私の備忘 録リストがちゃんと収まっているのをみるのはすばらしかった(以前なら スクリーンの下に出てしまう)。比較して言うと、640 x 480 モニタから 800 x 600 にジャンプするのと同じ位に増加したスクリーン・スペースが 得られるのだ。

ディスプレイは 16 階調のグレースケールをサポートし、幾つかのインター フェース・アイテム(例えばNewton Works のスクロールバー)にとって僅 かな改善となっているが、グレイの多色は完璧とは言えない照明の下では 幾分見にくくなる。

MessagePad 130 はバックライト付きディスプレイを特徴としていたが、今 回が私の初めての経験であった。Bennigan's (レストランの名前)でアペ タイザーをむさぼっているときでも、MessagePad のスクリーンをやっとは っきりと見ることができるのだ。私の車の完全な暗闇の中での使用にも十 分な明るさでさえある。

MP2K の161 MHz Strong Arm プロセッサのおかげで、手書き認識は速い (特に遅れのオプションをオフにしておくと)。MessagePad 120 の NotePad で長いノートを書くと、しばしば反応ののろさを経験したものだ。 MP2K ではこの問題はおきず、私は新しい Newton Works ワードプロセッサ でこの記事を楽しく書いている。

MP2K の外観は従来のものと異なっている。ペンは上から落とし込むタイプ で、気のきいたポップアップ・スタンドが付いている。 スクリーンカバー は本のように横から開き、少し創造力を働かせば(キーボードケースの上 でそれを支えとし、スクリーンを回転させると)、カバーは、オプション の外部キーボードでの入力時に、Newton を垂直に保つためのスタンドとな る。

サウンド入力が可能な最初の Newton であることから、MP2K は一枚に最高 60 秒間のサウンドを録音できる新しい NotePad を有している。残念なが ら、NotePad を起動し録音ボタンをクリックする以外、簡単に録音を開始 するための方法がないので、運転中にワンタッチ録音をすることは困難で ある。

ドッキングポート -- MP2K の上部に位置している小さいドアは、電源タップと現在“ドッキングポート”と呼ばれるミニ・バス用だ。初期のミニ DIN シリアルポートは、今は、紛失し易い、アダプタとして提供され、ド ッキングポートに差し込むようになっている。入手可能となり次第、 オリ ジナルを紛失した際に備え、幾つかアダプタを購入しようと思っている。

MP2K は、アダプタが接続されると、接続ユーティリティを起動する自動ド ッキング機能を有している。それ自身では必ずしもエキサイティングなも のではないが、何社かの商魂たくましい会社がこの機能を利用した完全な ドッキングスタンドを作ってくれることを期待している。

PC Card スロット -- 真に勝利と呼べるのは 2 番目の PC Card 用スロッ トの追加である。一方のスロットにモデムを、そしてもう一方にメモリカ ードを差す事がやっと可能となったのだ。 これは、EnRoute i-net (電子 メールクライアント)と NetHopper ( Web ブラウザ)を利用する際に役 に立つものだ。EnRoute は受信メールを処理するための充実した Rules フィルタを有しており、Newton 用の Eudora Pro がどのように対抗するの かも見たいと思っている。

<http://www.netstrat.com/>
<http://allpen.allpen.com/nethopper3.html>
<http://www.eudora.com/newton/>

電池での動作 -- MP2K はそのパワーハングリーなプロセッサーのため市 販のアルカリ電池(単二)を 4 個使用する。宣伝文では通常の使用状態で 3 から 6 週間の使用に耐えると言っているが、個人的には心配である。一 週間使ってみたところで電池の残量指示は半分になっていた、と言うこと は、少なくとも月に 2 回は電池を取り替えねばならないと思わざるを得な い。

今の所、チャージングステーションが出るという知らせはない(ドッキン グ機能を生かせばうまく行くと思われるのだが)、従って夜家に帰って MP2K を充電器の上に乗せておけば朝にはエネルギー満杯と言うわけにはい かない。Apple からは Newton 9W のパワーアダプタとニッケルハイドライ ド電池が品揃えとして出されており一緒にオーダーしたのだが、今回はど ちらも本体と一緒には来なかった。従って、暫定策として4 MB のメモリー カードを入れて毎朝バックアップしなければと思っている。

ボタンパネル -- MP2K はシルクスクリーン印刷のボタンパネルの代わり にディスプレー上の "ソフト" パネルを使用している。最初はそのグレー スケールの色使いに感心しなかったが、使うにつれていくつかの秘密を発 見し、だんだんはまって来ている、例えば:

ボタンバーはソフト上で作られているので、将来の作り替えあるいは改善 と言ったことも期待できる。

(あぁ、モーバイルコンピューティングの悲しさか。Bennigan's はもう閉 店時間だ。どこか別の場所でこの原稿執筆を続けることにしよう... そして、それから数日後、ここ、Friendly's で朝食を食べているところだ。)

Newton Works -- 重要な新機能、Newton Works はちょっと見には単純な ワープロに見える(オリジナルの MacWrite の様に)。しかし新しいポッ プアップメニューを見れば、新しいワープロ用紙のほかにスプレッドシー トも開ける事がわかる、オプショナルな QuickFigure Works のおかげであ る。今回の物はスクリーンサイズもまあまあの数のセルを表示できるだけ 大きくなり、Newton のスプレッドシートもようやく実用に耐える物になっ たと言える。 QuickFigure Works は説明書によれば Excel ファイルを読 みかつ Excel にエクスポートできる。

QuickFigure Works がなぜ Newton Works の一部となっているのかよくわ からない。スプレッドシートのデータとワープロドキュメントとをまぜこ ぜに出来るような仕掛はないし(少なくとも私には見つけられなかった)、 ワープロには Newton Keyboard が必要だが(そうしなくともいいようなダ ウンロード出来るユーティリティもある)、スプレッドシートの方は手書 入力を受付ける。おもしろいことには、ワープロ用紙ドキュメントオブ ジェクトの方は QuickSketch という下位オブジェクトを持っており、それ を使えばワープロドキュメントに図形を入れることが出来る。

その他のインストール済ソフトウェア -- 従来の Newton アプリケーショ ンは目に見える様な変り方はしていない。In Box と Out Box のアイコン は InOut になり、Connection アイコンは Dock になった。そして(どの Newton バンドルを購入するかにはよるが) EnRoute, NetHopper そして QuickFigure Works がついてくる。

私は最初の日に Newton を手ひどくクラッシュさせてしまった(というの も電池パックを見せて回るために何度も抜いたり入れたりした)、そして システムリセットをしたらインストール済のソフトを失ってしまうのでは ないかと心配であった。幸いにして、システムを元通りにするのに MP2K をリセットしないですんだ。もし最悪のケースでシステムをゼロに戻して リスタートしなければならなかったとしてら、スプレッドシート、電子メー ル、Web ブラウザのソフトはデスクトップからダウンロードし、その他は アドオンソフトとともに Apple がつけてきた PC 用、Mac 用のフロッピー を使ってやれば出来るとは思っていた。

Newton Connection Utilities -- とても MessagePad 2000 が気に入っ たのでレビューの記事をネガティブなコメントで締めくくるのは気が進ま ないが、待ちに待った Newton Connection Utilities (NCU) には失望し た。MP2K にはベータ版がついてきており、しかもご丁寧に「今回限りのス ペシャル」でユーザーにこれから 11 月までの間には出るであろう version 1.0 にアップグレード出来る「たぐい希なる」チャンス付で。

<http://www.newton.apple.com/product_info/SW/ncu.html>

ベータ版を出荷するなどと言うことは言訳できる事ではない。ユーザーは 多くの人にとっては贅沢品であるものに千ドルに近い大枚をはたいている のである。だいたい個人のデータをデスクトップと Newton の間でやりと りするソフトがまだ未完成でかつ既知の問題点も解決済のはずといった状 態を心配しなければならない様な事であってはならない。

NCU は巨大である。4 MB 以上もある(単なるデータ転送プログラムなの に!)。NCU はバックアップ、同期、パッケージダウンロード、リモート キーボード機能をつかさどる。私はバックアップをやってみたが2 回失敗 した。3 回目にしてようやく Newton からのバックアップが出来た。

NCU の同期機能は Claris Organizer 2.0 と Now Contact/Up-to-Date 3.5 としか働かない。私の Now 製品は version 3.6 なので、それで問題なく 同期が取れるかはよくわからない。

私は以前 U.S. Robotics の PalmPilot を買おうと思ったことがある、と 言うのもそのワンタッチ同期機能(とあの小型のドックは魅力的だ)のゆ えに。しかしながら、Graffiti を勉強するのも嫌だったし、アウトライ ナーが含まれていなかったし、更にそのデスクトップ用ソフトはシングル ユーザー限定であった。[TidBITS は近いうちに Pilot のレビューをする 予定 -Jeff]

それに引き替え、Newton には全部揃っている - 出来のいい同期機能を除 いて。本来は NCU がこの弱点をカバー出来ていたはずなのだが、MP2K に はオートドックの機能が付いているのに、NCU にはそれに対応する機能が ないし、さらに NCU の起動は手動でやらなければいけない。更に輪をかけ て、NCU には自動化に対する機能がないしスクリプトサポートもない。

結論 -- Newton MessagePad 2000 は大変よくできたハードウェアであ る。組付けの細部までよく目が届いており期待にそぐわない出来である。 とは言っても、Apple の付属品供給能力には失望した:リチャージャブル 電池、ドック、アダプタ、そして商品版の Newton Connection Utilities 。

Apple のこれまでの一貫性のない Newton プラットフォームに対する取り 組みを考えると、これに全面的に頼ってしまうのも心配である。しかし他 方では、この商品には十分満足しており、今後も変わらず使い続けていく であろう。

<http://www.newton.apple.com/>

DealBITS -- 以下の URL より、Cyberian Outpost は TidBITS 読者に Newton MessagePad 2000 を提供している。MP2K の基本モデルは 939.95 ドル。キーボード、ケース、スプレッドシート付きのデラックス版は 1,079.95 ドルである。

<http://www.tidbits.com/products/message-pad-2000.html>
<http://www.tidbits.com/products/message-pad-2000-deluxe.html>


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