TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#391/04-Aug-97

Macworld Expo でどう資金繰りをしようか悩んでいる?今週号では、我々 の過去の購買経験をお話し、ショッピングについてのアドバイスをお届け する。また、今週は新たなスポンサー、Hitachi 社と同社の新 MPEG カメ ラを紹介し、Macintosh 誌トップ同士の合併のニュースに注目する。最後 は、Tonya が FrontPage と NetObjects Fusion に触れ、Web 出版用ソフ トウェアに関 する記事 7 部をまとめる。

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/04-Aug-97

(翻訳:西村 尚 <hisashin@st.rim.or.jp>)

曲がり角の Apple 社 -- ここ数週間、Apple 社を覆ってきた噂の深い霧 に包まれて、我々がこの霧のどこまでカバーしているのか気になっている 方もいるかもしれない。我々はまるでできの悪い昼メロのような Apple に 関するプレス報告にうんざりしている。重要な出来事が実際に起これば、 そしてそれは Macworld Expo で起こりそうだが、我々はその事実と、それ が意味するものに関する記事を書くつもりだ。それまでは、Steve Jobs 氏 が無口であるとか、Larry Ellison 氏が嫉妬の神を演じているとか、Pamela Anderson 氏がクローンのライセンス契約交渉を引き継ぐ噂などについての 論評は後回しにしているのだ。 [ACE]

MacUser 誌と Macworld 誌が合併 -- 先週のトップニュースは出版業界 の宿敵同士、IDG と Ziff-Davis が共同で Mac Plublications という会社 を設立し、Macworld、MacUser、MacWEEK を整理統合するというものだ。 MacUser 誌と Macworld 誌は一つの月刊誌に統合されるが、MacWEEK 誌は 週刊ニュース誌として継続される。詳細と派生情報は次号で詳報する。 [ACE]

<http://www.macworld.com/daily/daily.1494.html>
<http://www.zdnet.com/zdnn/content/zdnn/0801/zdnn0008.html>


TidBITS の新しいスポンサーが多用途 MPEG カメラをリリース

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.meshnet.or.jp>)

Hitachi が、Macworld Expo (Booth 1530) でデビューの Macintosh ユー ザー用新型カメラ MPEG Cam のリリース広告のため、スポンサーとして TidBITS に今週仲間入りした。MPEG Cam - 主にデジタル・プロフェッショ ナル向け - は 260 MB の PC Card を装備し、フル・モーション MPEG 形 式で 20 分のデジタル・ビデオ(毎秒 30 フレーム)、3,000 枚の JPEG 静止画像、10 秒間の音声入りでは 1,000 枚の JPEG 静止画像、又は 4 時 間のデジタル・オーディオを、収録できるようになっている。ビデオ解像 度は 352 x 240 ピクセルで、JPEG の場合は 704 x 480 である。

<http://www.mpegcam.net/>

カメラには小さな“メディア・ナビゲーション”用スクリーンがあり、ファ イルを異なったフォルダに移動したり、再生したり、削除する、といった ファイル・マネージメント処理ができるようになっている。カメラにはバッ テリ・チャージャーと 2 個のバッテリ(一個で約 40 分持続し、充電には 100 分が必要)が備わっている。ファイルは、SCSI ポート又は - 幾つか の PowerBook のユーザーの為に - Type III の PC カードを経由し、全て の PowerPC 搭載 Macintosh(System 7.5 かそれ以降と 10 MB の空き RAM が必要)に転送が可能だ。バッテリと PC カードを全て装着すると、カメ ラの重さは 19 オンスとなる。

Hitachi MPEG Camera Network 社のウェブ編集者 Rob Burr 氏は次のよう に語っている。「マルチメディア・ウェブ編集者の秘密兵器だ。最近、MPEG Cam を使用し、タークス・カイコス諸島の Providenciales 島に関する Web サイト用に、1,024 枚の映像とかなりの VRML ムービーを取り込んだが、 この作業に、従来のフィルム、現像、Photo CD 用スキャンを用いると 4.000 ドルを越す費用がかかっていたであろう。」

<http://www.provo.net/>

2,400 ドルの希望小売価格は MPEG Cam を一般消費者の手に入る範囲から 押しやるものだが、写真や映像で生計をたてている人々、特にニュース関 連の Web サイトに従事している人々には、必須の品と写るかもしれない。 私は、Hitachi が Mac 版のカメラをリリースした事を嬉しく思っており、 彼等をスポンサーとして歓迎している。

<http://www.mpegcam.net/>


Macworld Expo: お買い物指南

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

今週開催される Macworld Expo では様々なことが待ち受けているが、 ちょっと変ったものを買うことができるというのも見逃せないことの一つ だ。

<http://www.mha.com/macworld/mwbos97/index.html>

Adam と私がここ数年買い求めたものの中には、「当たり」もあれば「はず れ」もあった。行ってみようと思っている人達が手痛い失敗をせずに買い 物をする参考になればと思い、私達の買い物経験談をお話することにした。 Adam と私がよく買うものは、腱鞘炎のような反復運動損傷を予防・解消し てくれそうなものである。私たちは現在のところ二人ともまあまあ元気だ が、かつては、首根管症候群や腱鞘炎に悩まされていたのだ。

手にしてみれば -- 私たちの Expo 買い物第一号は、Adam が買った Handeze 手袋だった。これは、伸縮性のある素材を用いた指先部分のない 手袋で、手と手首を保護し、血行をよくし、マッサージ効果があるとされ ている。 TidBITS-199 で Adam が記事にしたとおり、彼はこの手袋のお 陰で首根管症候群が良くなり、Internet Starter Kit for Macintosh の第 一版を締め切りまでに完成させることができたのだ。続いて腱鞘炎の私も この手袋を試してみると、効目てきめんだった。かつては、コンピュータ の世界で全く新種であったこの Handeze 手袋も今ではよく知られた存在に なったし、私たちの 20 ドルの投資も成功だった。一つ試してみようとい う方は、下記 URL に出ている Handeze の販売店の Web サイト(このサイ トには重要なサイズ情報もでている)をご覧になるか、私たちがこの手袋 の存在を初めて見つけた TidBITS のスポンサー APS(APS のカタログにも サイズ表が付いている)をご利用頂きたい。APS Technologies -- 800/443-4199 -- <sales@apstech.com>

<http://www.handeze.com/>
<http://www.apstech.com/>

疲れ知らずの手首 -- その後 Adam が買ったものに Comfort Point とい うマジックテープでマウスやトラックボールに取り付ける可動式リストレ ストがある。“ contour paddle”と呼ばれるパッドの入った曲線形の台の 上に手首を置くようになっており、位置も数種類の中から選ぶことができ るようになっている。Comfort Point は手首を使わずに、腕や指でマウス のポインターをコントロールするために作られたものである。私たちは二 人とも未だに軽度の(腱鞘炎の類の)症状が突然現れたりするのだが、机 をふさぐし、キーボードからマウスへ手を動かすのに不便なので、実際に は使えずにいるのだ。それでも(Expo 価格の)20 ドルだったら試してみ る価値はあるし、発想はなかなか良いと思った。Comfort Point -- 310/305-8931 -- 800/429-3746 -- 310/305-8731 (fax) -- <orders@comfortpoint.com>

<http://www.comfortpoint.com/>

カバーに飛びつけ -- 私は Red Dwarf TV ショーに登場するネコのよう に、光りものに弱いのだ。たった 5 ドルでマウスに半透明の紫色のカバー が付けられるのをほっておくわけにはいかない。このカバーは、マウスの 上部と側面部分にぴったりと貼り付くようになっており、マウスコードの ための穴まで開けられている。血行を良くし正確なマウス操作ができるよ うに、手でつかむ部分は肋骨状に盛り上り、マウスボタンの上には小さな こぶが付いている。私には血行や正確性に対する効果がどれほどあるのか さっぱり分からないが、5 ドル分は楽しむことができた。申し訳ないのだ が、このカバーを販売していた会社名を無くしてしまった。

キーボードの背伸び -- 拡張キーボードが右に出っ張ったために、右利 きの人は数センチ余計に手を伸ばさないとマウスに手が届かなくなったと いうのが、私がさかんにこぼすグチである。方向キーや数字キーは左側に おいてでも、マウスを少しでも手元に置いておきたいとさえ思うぐらいな のだ。そこで、1996 年 1 月の Macworld Expo で自分の考えているような キーボードを探していたところ、Datadesk TrackBoard キーボードという ものを見つけた。これにはクールな紫色のファンクションキーが付いてい るだけではなく、トラックボールが右側にそれも私がまさにここだと思っ ていたところに付いていたのだ。大喜びで Expo 価格のこのキーボードを 別売りの ADB バスに付けるテンキーパッドと一緒に注文した。キーボード は直に送られてきたのだが、直に交換しなければならなくなった。何とか しようと手をつくしてもだめだったのだ。起動後 ADB バス部分が使用不能 になることが多かったし、すべてが動作するように再起動できたとしても、 今度はトラックボールがマウスのポインタが一方向にしか動かないような 状況によく陥ってしまうのだ。

残念ながら、新しいキーボードも 2 〜 3 週間で前のものと同じ症状がで た。その頃私は Internet Starter Kit for Macintosh の第 4 版のことで 手一杯だったので、この 2 番目のキーボードは返品せずにいた最初のキー ボードの脇に 6 ヶ月間放って置かれてしまった。罪の意識を感じながら も、再度 Datadesk 社に連絡を取ってみた。6 ヶ月も放っておいたことを 問題にすることもなく、再度新しいものを送ってくれると言ってくれ、最 初と 2 番目のキーボードを返品し、新しいものを送ってもらうことになっ た。すぐに届けられた 3 番目のキーボードを繋いで試してみた。今度は大 丈夫だったのだが、私が腱鞘炎になってしまい、泣く泣くそのキーボード を取り外した。いつの日かもう一度使ってみたいと思っている。一方で、 我が家の Mac 達が増殖し、検索エンジンを動かしている Power Mac 7100 用のキーボードにおさまっている。Datadesk -- 206/842-5480 -- 206/842-9219 (fax)

<http://www.datadesk1.com/>

パンケースよりも小さなもの -- Nada-Chair は小さく巻き上げることが できるし、広げたら身に着ける椅子になる布製のアイデア商品である。Adam が 私の悩みの腰の痛みを和らげてくれるかもしれないと考えて買ってくれ たのだ。残念ながら、それを取り付けるためのストラップがくねくねして いて煩わしく感じて、結局使わなくなってしまった。座っている時はなか なかよいのだが、立ち上がる時にこの Nada-Chair をはずすか、ぐにゃぐ にゃと垂れ下がった布のストラップを付けたまま歩くかしなければならな いのだ。屋外で行われるスポーツやコンサートをもっと観る機会があれば、 また試してみるだろう。TidBITS の編集者の一人である Matt Neuburg が この Nada-Chair を持っていて、付けたりはずしたりの手間を差し引いて も価値あるものだと言っていることを記しておかなければなるまい。 Nada-Concepts 800/722-2587 -- 612/644-4466 -- 612/644-4488 (fax) <info@nadachair.com>

<http://www.nadachair.com/>

鞄に詰め込め -- Adam の一番最近の買い物は、Tenba 社製の大型の PowerBook 用バッグで、背負うためのストラップが付いたものだ。Adam が 頭に描いていたのは、PowerBook と QuickTake カメラに加えてケーブルの 束、電源部を入れられるだけの大きさがあるバッグだった。背負うための ストラップが付いていると、スーツケースを引っ張りながら空港の中を疾 走する時に便利だろうと考えたのだが、まったく彼の思った通りだった。 この買い物は大成功だった。Tenba -- 212/966-1013 -- 212/334-0841 (fax) <tenba@tiac.net>

<http://www.tenba.com/>

パンケースより大きいもの -- 去年の夏、大概の家具は 100 ドル以下で あるべきだという超非現実的な望みを一時断念する決心をした。遂に高価 な、超人間工学に沿った椅子を購入する時がやってきたのだ。Macworld Expo に行くとしょっちゅう足が棒のようになってしまうので、椅子選びを しながら足を休めることができると考えたのと、Expo だったら見つけるこ とができるのではと思ったのだ。

ZACKBACK International 社のブースを見つけ、その後、姿勢を保つことの できる素敵な“海辺”のような色の椅子 ZACKBACK を購入した。700 〜 800 ドルもするこの椅子は肩甲骨と仙骨を支える構造になっており、よくある 腰部を支えるものとは違う。ZACKBACK に関心を持ったのは、いつも背もた れ部分を一番下まで下げて仙骨部を支えるようにして使っていて、それが 快適な座り方だと思っていたからだ。

背中の肩甲骨と仙骨を支えることにより、この椅子の考案者で体のセラピ ストでもある Dennis Zacharkow 氏が考えた座った時の最もよい姿勢で座 ることができるように体の位置を特定してくれる椅子なのだ。まっすぐで ゆったりと座れば、体液は滑らかに動き神経が凝り固まらないのだ。椅子 が届けられると、まず簡単な組み立て作業をして、それから調整をしなけ ればならない。調整は簡単なのだが、自分一人で椅子に座ってかつ調整ま でするということは無理なので誰かに手伝ってもらわなければならない。 調整が終わると私にぴったりとフィットする椅子になったのだが、私より も身長のある Adam がこの椅子に腰を下ろすのは不可能に近かった。

数年前に鞭打ち症にかかってしまった私が特に気に入ったのは、この椅子 が私の首をちょうどいい位置に固定してくれることだ。この椅子で鞭打ち 症が矯正できたとか、反復運動損傷がすべてなくなってしまったというよ うなことはないが、私が今までに使ったことのあるどんな椅子よりも長い 時間快適に座っていられるし、長く座りすぎてしまうほどなのだ。ZACKBACK International -- 800/748-8464 -- 507/252-9293 -- 507/252-5150 (fax) -- <zmail@zackback.com>

<http://www.zackback.com/>

じっくりと考えて、そして待つ -- Macworld Expo の一種独特な雰囲気 と買い物欲をそそられる品々に囲まれているうちに、あっという間に予算 を超えてしまうのだ(Apple のデニムのジャケットが欲しくて欲しくて、 もう少しで買ってしまうところだったことがあった)。手に余るほどのお 金を持っていない方は、考えることと待つことの二段構えの作戦を取るこ とをお薦めする。

まず、支出計画を立てる。財布のひもを固くして、限度額をしっかり決め て Expo に臨む。(私が初めて Expo に行った時はまだ大学を出たてで、 予算はいじりようのないゼロだった。)会場で買うべきまたは検討すべき ものは何か、そしてほかでも楽に手に入るものは何かを考える。衝動買い をしやすい質だと思う方は、Expo の最初の数日は、小切手帳やクレジット カードを持ち歩かないようにしてみるのはどうだろうか。また、ほとんど の Expo 特価は会期後数日間は有効だし、ほとんどのお買得商品は注文票 付きのチラシでもオーダーを入れることができる。

会場で品定めをする時は、じっくり考えるように。その製品をどの程度使 用することになるかを考慮して頂きたい。たとえば、一日中腰を下ろして いなければならないような場合は Nada-Chair は素晴らしい製品だが、も し頻繁に歩き回ったりしたらたいした効果はないだろう。ソフトウェアを 購入する前に確かめなければならない事柄は、互換性と必要になる RAM の 量である。製品の魅力(たとえば Java の本とか)に惑わせれずに、どの くらいその製品を使う時間があるかをちゃんと考えることもお忘れなく。

じっくりと検討した後で、次にすることは待つということだ。CD-ROM より も大きいものはとにかく最終日まで買わないでいることだ。待つというこ とは、すなわち、衝動買いを再検討する時間ができ、かつ、買ったものを 一日引きずって歩かなくてすむのだ。会場にいる店の人は大抵、買ったも のを自宅まで持って帰る面倒がなくなるように、喜んで発送の手配をして くれるだろう。Expo の最終日まで待てばさらに値段が下がるかもしれな い。さらに良いのは、また予算をほとんど使いきってしまっているような 場合には、Expo が終わってしまうまで待つ。その時しか買えないような特 別セール品まで我慢しろと言っているのではなく、慌てて買う必要がなけ れば待つようにと言っているのだ。時間をおくと冷静になって購入を検討 できるし、待っている間に致命的なバグがフィックスされたりするかもし れないのだ。


Web を編む Part 7: FrontPage、Fusion、それに最後の所感

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

セサミストリートの Grover の本をご存じだろうか? この本のストーリー では、青い毛むくじゃらの怪物である Grover が、読者がページをめくる のを「最後に怪物が待っているから」やめさせようとするのだ。この連載 もいよいよゴール目前で、怪物こそ控えていないものの、2 つのプログラ ムが待っている。そのうちの一つは毛むくじゃらのマンモス並みの大物だ。

最初に訂正を一つ。Gordon Meyer 氏 <grmeyer@ricochet.net> が CyberStudio( TidBITS-387TidBITS-390 でレビュー)についてメッ セージを寄せてくれた。「外部リンクのチェック機能は用意されており、 順調に動いています。新しい外部リンクを自動的にチェックしてくれる嬉 しい機能もあります。リンクが壊れていると Project ウインドウに緑色の 虫のアイコンが現れるのです。」

この記事では Microsoft FrontPage 1.0 と NetObjects Fusion 2.0 を取 り上げる。機能面では FrontPage は Adobe PageMill/SiteMill との比較 が最も妥当だし、価格面でも標準小売価格 149 ドル(一部の Microsoft や Adobe 製品ユーザーには 40 ドルのキャッシュバックがある)と同じ価 格帯にある。Fusion(これが毛むくじゃらのマンモスなのだが)は 495 ド ルといくらか高めだ。

<http://www.microsoft.com/frontpage/>
<http://www.netobjects.com/>

FrontPage のインストール -- FrontPage は私の Mac が嫌いなようだ。 最初のインストールの後は、オンラインヘルプやローカルなサイトにアク セスすることができなかった。Body 部のテキストはきれいに消されるか、 文字化けだらけになってしまったほか、FTP サーバにも接続できなかった。 (これは NetPresenz ではよくある問題のようだ。NetPresenz が最も普及 した Macintosh 用 FTP サーバであるにもかかわらず。)

Microsoft のテクニカルサポートへ電話してみたところ、私が遭遇してい るトラブルは異常だということがわかり、ソフトウェアを取り除き再イン ストールする手順を伝授してもらうことになった(System Folder から 15 ほどのファイルを手作業でつまみ出さなければならなかった)。再インス トール後も、症状は多少変ったものの、私の Mac と FrontPage は依然と して仲が悪い。締め切りもあることなのでとりあえずレビューを書くこと にしたが、FrontPage が正しく動作していないので不完全な感は否めない。

個人的な苦い経験を別にしても、FrontPage には 2 つの大きな問題があ る。まず、私の 604 CPU を搭載した Power Mac 7600 ではのろのろとしか 動かず、レスポンスの悪さはほとんど実用に耐えないほどになっている。 Microsoft 社の FrontPage プレスレリースによると、各種 PowerPC、 System 7.5.3 以降、16 MB の 空きメモリ(24 MB を推奨)、30 MB のディ スクスペース、それに CD-ROM ドライブを搭載した Macintosh 用に“最適 化”されていることになっている。

次に、最も効果を上げるには、Web サイトを Front Page 用のサーバエク ステンションを動作させているマシンに置かなければならない。このエク ステンションが提供する機能こそが FrontPage の魅力の中心となってい る。AOLpress( TidBITS-386 を参照)のようなライブ編集機能、サイト の中で変更のあった部分だけをアップロードする柔軟なアップロード機能、 ページごとのアクセス権や共有 To Do リストも完備した、Web サイトの作 業をグループで行う機能、それにフォームのバックエンド処理などを行っ たり、一定の時間にしか現れないページエレメントなどをコントロールす る FrontPage の WebBots(“bots”とも呼ばれる)の利用などだ。(すべ ての bots が FrontPage サーバエクステンションを必要とするわけではな い。目次の自動作成やインクルード [これは複数の箇所で使用されるエレ メントを一度だけ変更すれば済むようになるというものだ] はサーバーに 接続しなくても利用できる。)

残念ながら、Microsoft は Mac サーバ用の FrontPage サーバエクステン ションを一つもリリースしていない。また、ISP が Windows や Unix マシ ンを使っている場合には、FrontPage サーバエクステンションがインストー ルされていることを確認した方が良いだろう。私は Microsoft に FrontPage エクステンションがインストールしてあるサーバに一時的なア カウントを作ってくれるように頼んだのだが、この記事には間に合わなかっ た。

FrontPage 探検 -- Adobe 社の PageMill/SiteMill コンビと同様に、 FrontPage は Editor と Explorer という 2 つのアプリケーションから成 り立っている。Explorer はサイトの管理を行うもので、SiteMill のサイ トアウトラインビューと似た Folder ビューを提供している。Hyperlink ビューでは左側のサイトのアウトラインでファイルをクリックすると、右 側にはそのファイルを中心にどんなリンクが張られているかがグラフィカ ルに表示される(私の Mac では、マニュアルに載っているスクリーン ショットと同様に、そのファイルから張られているリンクしか表示されな い)。GoLive 社の CyberStudio にも同様のビューがあるが、CyberStudio ではグラフィカルに表示されているどんなファイルでもクリックすること ができ、そのファイルを中心としてリンクをたどりサイトの中を移動する ことができるのだ。FrontPage は相対リンクと外部リンクをチェックし、 壊れていたら修正することができるほか、外部リンクチェックはバックグ ラウンドで動作してくれる。

Explorer は複数のファイルを同時にスペルチェックでき、ベーシックなマ ルチファイル検索機能も搭載している(置換機能は Editor にある)。こ のいずれもサイト全体(または一部)をスキャンし、スペルミスや検索対 象となったテキストが含まれているページのリストを表示し、ページを To Do リストに加えたり個々に修正させてくれる。ファイルごとに修正を加え る方法はとてつもなく遅い。

プレーンエディタ-- Editor は Home Page、PageMill、Visual Page な どの人気ビジュアルエディタ( TidBITS-386 参照)と比較するのが妥当 だろう。しかし、この 3 製品はお互いには良く似ているが、FrontPage に は似ていない。Front Page はほとんどのフォーマッティングをパレットや “Inspector ”ウインドウではなく、モーダルなダイアログボックスで行 う。それに加えて FrontPage はカメのように遅いため、よけいにイライラ が募る。また、FrontPage には ドラッグ & ドロップ機能が欠けており、 テーブルエレメントはドラッグでリサイズすることができず、Finder から ドラッグしてきたファイルも受け付けない(Explorer からドラッグしてき たファイルはとてもゆっくりとだが受け付ける)。FrontPage にはプレ ビュー機能がなく、HTML ビューはクラス最低だ。

Microsoft が長年 Word で培ってきた経験からすると、Editor が挿入ポイ ンタを動かす一般的なキーボードショートカットの多くを欠いており、単 語を 2 つの語の間にドラッグ & ドロップしても前後にスペースを挿入し てくれないのは残念だ。(このドラッグ & ドロップ問題は Visual Page と PageMill にも共通している)。その一方で、Editor では複数回の Undo が可能だ。

それでも Microsoft が蓄積したテーブルの経験は活かされている。テーブ ルのどんな部分を対象としても、好きなだけ行・桁を挿入したり削除する ことができる。また、行や桁を選択するのは手首を一振りするだけだ。 strong のようなテキストフォーマットを適用したり(Bold コマンドを使 うと自動的に strong HTML タグが適用される!)、ある程度は連続したセ ルにセルフォーマット(バックグラウンドカラーなど)を適用することが 可能だ。(この重要な機能は Visual Page には搭載されており、PageMill でも多少は実現されている。が、CyberStudio ではほんのわずかで、Home Page では全く不可能だ。)これでテーブルエレメントのリサイズにドラッ グ ドロップが使え、テーブル関係のダイアログボックスがモードレスに なったらテーブルまわりの作業環境はほぼ完璧になる。FrontPage はイメー ジマップとフレームもサポートしている。フレームセットは柔軟なウィザー ドを使って追加するが、フレームセット内のフレームの中にページを表示 することができるかどうかは確認できなかった。

Fusion で驀進 -- FrontPage と同様に、Fusion は PowerPC Mac を必要 とする。また、System 7.1.2、16 MB の空きメモリ、20 MBのディスク(80 MB を推奨)、800 x 600 ピクセルの 8 ビットカラーモニタ、それに CD-ROM ドライブが必要だ。Fusion には Windows 版もあり、インター フェースにそれが時折見え隠れするが、全体的になかなかユニークなイン ターフェースとなっている。今までに見てきたプログラムの中では、 Frontier は別かもしれないが、Fusion が最も難しかった。

Fusion には共通のツールバーにあるボタンで切り替える多数のモジュール がある。サイトの作成は Fusion の Site モジュールで行う。ご想像の通 り、ここには SiteMill や FrontPage のようなアウトラインビューがある ほか、組織図のようなビューも用意されている。こういったビューからダ ミーのページを作り、すばやくサイト全体を組み上げていくのだ。完成し たサイトをアップロードするための Publish モジュールもある。

Page モジュールは中から下程度のページ作成機能を持っているが、いくつ かのユニークで秀逸な機能も持っている。中でもピクセル単位のレイアウ トは Fusion の必殺機能だ。このレイアウト機能を使えば、DTP プログラ ムのようにページエレメントをどこにでもドラッグすることができる。だ が奇妙なことにアイテムを Finder からドラッグすることはできない。人 によってはこの機能を空飛ぶトースターのパン以来のクールな機能だと思 うだろうし、ほかの人はこれが CyberStudio のようにオン/オフできる機 能ではなく、Web ページがテーブルタグだらけになることからこの世の終 りと見るだろう。

Master Border もユニークな機能だ。新しい Web サイトを作り始める時に は、各ページの外枠を示す Master Border が一つずつ現れる。いずれかの ページの枠に変更を加えるとそれがすべてのページに反映される。あるい は、新しい Master Border を作って一部のページだけと連動するようにも できる。Master Border にナビゲーションバーを挿入するのは簡単だ。こ のバーは実に便利なのだが、リンクが Site モジュールで指定した構造の 通りになっていなかったり、サイト内で思わぬ場所にジャンプしていたり すると作るのが難しくなる。

Master Border、ナビゲーションバーの自動作成、それに AutoFrames のコ ンビネーションはまさに Web マスターの夢だ。AutoFrames を使えば、サ イト(またはその一部)をレアウトの中央部(枠の内側)と横が別のフレー ムになったフレームセットを作ることができる。

Fusion には複数の Web マスターの仕事をまとめる機能はないが、リモー トリンクチェッカやスペルチェッカといった重要な機能は持っているし、 マウスが上を通過したらハイライトされるボタンを挿入する JavaScript などのおまけもある。

とりあえず大規模なサイトを作らなければならず、HTML を勉強する時間が ないような場合には、Fusion は検討に値する。サイトのレイアウトを色々 試してみるにも良いツールのようだ(50 種類ほどのサイトスタイルが付属 し、すばやく切り替えることができるほか、既存のスタイルに変更を加え たり新しいスタイルを作り上げることもできる)。特に、すばやくサイト のモックアップを作り、クライアントに見せ、要求された変更を加えなけ ればならないデザイン会社にはぴったりのプログラムだろう。

DealBITS ディスカウント -- Cyberian Outpost は FrontPage を TidBITS 読者に 134.95 ドル(通常価格 139.95 ドルから 5 ドル割引) で、Fusion を 469.95 ドル(通常価格 477.95 ドルから8 ドル割引)で 提供している。

<http://www.tidbits.com/products/front-page.html>
<http://www.tidbits.com/products/fusion.html>

オススメとお気に入り -- 私が特に好きなのは PageSpinner、BBEdit、 Visual Page、それに CyberStudio だ。Frontier は高度かつ柔軟な使い方 を必要とする人には本命になるだろうが、きちんとした知識を持ってさえ いれば、HyperCard や SuperCard にも同様の機能を持たすこともできるこ とを指摘しておくべきだろう。初心者向けでは PageSpinner と HomePage が一番だし、PageMill も特に Adobe 製品のユーザーや安いサイト管理ツー ルを探している人には魅力的だろう。FrontPage はどうしようもなく遅い が、もっと速いバージョンが登場したら Microsoft 製品が好きな人には薦 めようと思う。Fusion は高価だが、その機能のためには出費を惜しまない 特殊なユーザー層をターゲットとしている。

最終結論 -- 一つだけの Web 出版プログラムが誰にもぴったりだという ことはありえない。TidBITS のように何年も同じページをそのまま載せて いるようなサイトと、数ヶ月でページを捨てるようなサイトでは全く異な るソフトウェアが必要なのは明らかだ。しかも、サイトが拡大するととも に、自動化やデータベース検索などが必要となることが多いため、Web 出 版ソフトウェアがスクリプタブルであることが必要になるかもしれない。

今でも多くの場合でベストな方法は、テキスト系とビジュアル系のエディ タに少々のユーティリティとコンバータを組み合わることだ。スクリプタ ブルで、ほとんどの HTML エディタと連携して動作することができ、スペ ルチェックとリンクの更新以外にはテキストを書き換えず、アップロード ・ダウンロード、複数のユーザー、サイトのシンクロなどの機能を丁寧に 実現したサイト管理プログラムを最初に登場させる会社は成功するチャン スがあると思う。

私たちはデスクトップアプリケーションが超多機能の恐竜と化してしまう のを目撃してきた。思うに、これは大規模なサイトライセンスが利益を生 むからなのだろう。大企業は製品の優秀さよりも、色々なユーザーの要求 を満たすような多機能性を選ぶことが多いからだ。製品を優秀にすると同 時にたくさんの機能を詰め込むだけの時間はないので、低水準な製品が生 み出されることになってしまう。すべての Web 出版ソフトウェアが同じ道 を歩んでしまうかどうかはまだわからないが、一つの製品でほとんどのサ イトに適合できるという考えは気狂いじみている。将来は、一部のユーザー 層のニーズは完璧に満たそうとすることはあっても、私たちが必要に応じ てソフトウェアを組み合わせて使えるようにほかのプログラムとしっくり 連携することができるような、丹念に設計されたアプリケーションの到来 を期待したい。


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