TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#425/13-Apr-98

さて、Word 98 の評価はいかに。最も詳細なレビューをこの号でごらんに なると思うが、Matt Neuburg が大げさな宣伝をわきへ押しのけて Microsoft 社が最主要商品ワードプロセッサでどんないい仕事をしたのか 検証する。また今週は、わが TidBITS が 8 周年を祝い TidBITS Web バッ ジを発表すること、Apple 社による最近のデベロッパーおよび QuickTime ライセンスプログラムの改訂などについてお送りし、Eudora Pro 4.0 を以 前のような平面的外観に戻すための助言もお届けする。

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/13-Apr-98

(翻訳:秋山 晃子 <nobineko@club.udn.ne.jp>)

あなたにふさわしいバッジをつけて -- 今週、TidBITS は創刊 8 周年を 祝う。TidBITS はインターネット上で最も古くから発行され発行部数も多 い編集出版物に名を連ねることになる。昨年我々は TidBITS の歴史を掲載 して 7 周年の記念とした(“TidBITS 7.0” TidBITS-375 を参照)。そ こで今年は TidBITS Web バッジを作った。忠実な TidBITS 読者が各自の Web ページに(あるいは社内メモ、バンパーステッカ、額の入れ墨などと して)表示してくれることを望む。長年にわたる TidBITS の読者には “TidBITS Reader Since 1904、1990、1991、1992、”などと記したバッジ から選んでほしい。ほかのバッジには“The Best Bits are TidBITS”や “Powered By ASCII”のような標語を誇らしげにうたってある。くだらな い新バッジのアイデアを歓迎している。さらに TidBITS の著者やスポン サー、そして我々のソフトウェアレビューにリンクを張ってくれているサ イトのために特別なバッジを用意している。バッジと HTML コードの実例 は TidBITS Badges Web ページにある。 [TJE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00670>
<http://www.tidbits.com/about/badges.html>

Eudora Pro 4.0 を旧表示に戻す -- Marc Bizer 氏 <mlbizer@mail.utexas.edu>(と他の人たち)は Matt Neuburg が“郵便配 達は再びベルを鳴らす” TidBITS-424 で触れた不満点の処理法を書いて よこしてくれた。申し分なく柔軟性のある Eudora のほぼ全般で可能なこ とたが、メールボックスのステータス項目に表示されるアイコンも旧外見 の文字表示に戻すことができる。旧表示に戻すためには、下記に示した一 行の AppleScript を Script 編集プログラムに書き込み、実行させる (Eudora Pro の場所を指定するよう求めてくる)。このスクリプトで Eudora Settings ファイルが変更される。元に戻したいときは、スクリプ トを set setting 233 to "n" に書き替えて再度実行させればよい。 [ACE]

    tell application "Eudora" to set setting 233 to "y"

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04810>


デベロッパー用プログラムと QuickTime ライセンスでの激怒

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.meshnet.or.jp>)

先週、Apple はデベロッパー用プログラムと QuickTime ライセンス方針へ の重要な変更を明らかにした。詳細は複雑だが、Apple の新しい戦略はた くさんの Macintosh ソフトウェアデベロッパーを激怒させ、Apple 技術の 代替を探させるか、また、いくつかのケースでは製品の出荷をできなくさ せてしまったのだ。

<http://developer.apple.com/programs/>
<http://gemma.apple.com/mkt/registering/swl/agreements.html>

より多くの支払いで得るものは少なく -- Apple の新しいデベロッパー 用プログラムは従来よりさらに高価となり、特に小規模のデベロッパーに はベネフィットの少ないものとなった。以前、Apple Developer Associates は、月刊のデベロッパー用 CD-ROM、リリース前のソフトウェアシード、そ して開発に供される Apple ハードウェアのディスカウントに年間 250 ド ルを支払っていた。Apple の新しい Select プログラムでは、これらの同 じデベロッパーは、同じベネフィットとMetrowerks 社よりの 100 ドルの クーポン、そして二回のサポートに年間 500 ドルを支払うのだが、ハード ウェアはディスカウントで購入できないのだ。(従来、Associates Plus のメンバーは同じベネフィットと五回のデベロッパー・サポートに 500 ド ルを支払っていたが、今は同じ額を二回のサポートに支払い、ハードウェ ア・ディスカウントへのアクセスはないのだ。)

同様に、ハードウェアのディスカウント、八回のサポート、300 ドルの Metrowerks 社のクーポン、そして Apple の年一度の World Wide Developers Conference (WWDC) への参加料が含まれる Apple のハイエン ド向けプログラムは、年間 1,500 ドルから 3,500 ドルに値上がりした。 Apple は月刊のデベロッパー向けメールも年間 200 ドルに引き上げた(従 来は 150 ドル)。それにはシステムソフトウェアが添付されているが、ほ とんどは Internet 経由で無償で入手できるものなのだ。

これらの変更は直ぐ発効となり、Apple の更なるデベロッパー向け技術サ ポートグループ(Mac OS と Rhapsody の開発事項を扱っていた)のスタッ フ削減と縮小の後に続いたのだ。当該デベロッパープログラムを実施する ことで敷居を上げ、デベロッパー用サポートを大口アカウントに集中する ことを、Apple は望んでいるかに思える。これらの期の途中での変更は、 既に支払ったはずのベネフィットを失い、より少ないベネフィットの為に より多くを支払うか、または Apple の料金制デベロッパー用プログラムか ら完全に脱退すべきかを決めなくてはならない小規模のデベロッパーには、 特に苦々しいものとなっている。

生者と死者 − QuickTime は Apple の最もポピュラーな技術の一つであ り、Myst や Riven のようなゲームから GraphicConverter のようなシェ アウェアーに至る全て、ならびに Web ブラウザ、Photoshop や Word 98 のようなプロダクティブなアプリケーションに使用されている。QuickTime 3.0 のリリースに続き、今、Apple は QuickTime 3.0 または QuickTime 3.0 Pro が Macintosh や Windows 95/NT 用の製品と一緒に出荷される場 合の新しいライセンス方針を明らかにした。デベロッパーは製品と一緒に 無償で QuickTime 2.x を出荷することができた。しかし、ソフトウェアを QuickTime 3.0 と一緒に出荷するには、デベロッパーは販売された全ての 製品に対し Apple に 1 ドルを支払わなければならない。Apple は、彼ら の製品がインストールされる時に "Get QuickTime Pro" ムービーがプレー され そして それら製品が起動される度にそのムービーがデスクトップ にコピーされるならば(既にそのムービーがそこにあったり、QuickTime Pro がインストールされている場合は別)、この料金を免除するのだ。こ の方針は「デスクトップ・スパム」とあだ名され、そしてそれは、エンド ユーザー側での嫌悪感、悪意あるトロイの木馬の出現のチャンス、そして 技術サポートの負担を生む故、危険な前例となるのだ。スパム・フリーな QuickTime 3.0 を出荷するには、デベロッパーは製品一つに対し Apple に 2 ドルを支払わなければならない。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04782>

同時に、そして警告もなく、Apple は、Windows 3.1 で動作する最も最新 の QuickTime 2.x のライセンスを中止した。未だに重要な市場である Windows 3.1 用の QuickTime 製品の出荷を計画していたデベロッパーは、 今急遽、選択肢を探している。同様に、QuickTime 3 互換の Director Xtra が QuickTime VR 用にないことから、Apple の QuickTime 2.x のライセン スの終了は、Macromedia Director と一緒に QuickTime VR を使用する製 品を行き詰まらせている。Apple の新しい方針では、これらのデベロッパー は QuickTime 3.0 を使用した製品を作ることも QuickTime 2.x を用いた 製品を出荷することもできないのだ。

ほとんどのデベロッパーは Apple が QuickTime 3 のライセンスに費用を 請求することが可能であるべきかについては論争していない。しかしなが ら、高額な商法を導入し、かつては QuickTime が明確な選択肢であった幅 広い製品の開発を効果的に禁止する新しい予告なしの方針には、多くが反 対の意を表している。これらのデベロッパーには、現在では QuickTime に 代わる選択肢を探すか、彼らの製品開発を中止する以外に、ほとんど選択 がないのだ。

Apple が、高価なデベロッパー用プログラムや、高額なコピー毎のライセ ンス料を支払う余裕のない小規模なデベロッパーを傷つけ、またはそれど ころか除去する方法で、その方針転換を行っているのは嘆かわしいことだ。 それでも小規模なデベロッパーは Internet 経由または月刊のデベロッパー 向けメールで重要な情報を得ることができるが、大きな会社が Macintosh 用の開発を止めたりクロスプラットフォームに移行したりしていた間に、 これらの同じ小規模デベロッパーが Macintosh 市場の中核を守ったのだ。 Apple の新しい展開は、Macintosh コミュニティでの開発タレントの全体 数を減らし、やぶへびとなりかねないものだ。


Word 賢者

by Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)
(  :尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)
(  :高島 均 <hitak@kk.iij4u.or.jp>)

1994 年に Microsoft が Word 6.0 をリリースした時は、68K マシンでの パフォーマンスが悪かったことや、ポピュラーなシステム機能拡張とのコ ンフリクトがあったこと、それに Macintosh の標準インターフェースを無 視したことのために酷評された。それでも私は Word が気に入ったし、特 に“大きく、フォーマルな、または出版用”の文書の処理や、マクロを使っ た自動化を賞賛したエッセイも書いた。この小さな声は世の中には届かず、 TidBITS でさえ私の意見に賛成できずにこのエッセイはお蔵入りとなった。

<http://www.tidbits.com/matt/MWMatt.html>

今でも陰謀説は絶えないが、Microsoft を Word 98 をお土産に帰ってきた 放蕩息子として歓迎する気運の方が一般的のようだ。これまで色々なレ ビューを読んできて、私は自分の主張が容れられ多少報われたような気が した。同時に、評価の見直しにつながるほど Word 98 が Word 6 から変っ たかのかどうかという点にも興味があった。

少なくとも部分的に言えることに、変わったのは Word ではなく世の中の 方だということがある。ハードウェアは進化し、私たちの Mac にギガ、メ ガ、メガヘルツがふんだんに装備され、人々の態度が変更を迫られたのだ。 Word 6 は 3,000K の RAM を欲しがっただけで非難されたが、Word 98 は 9,000K を欲しがるのに誰も文句を言わない。今では RAM は安価だが、1994 年には高価だったのだ。Word 6 は遅く、Word 98 は比較的速いが、コン ピュータも同様に高速になっている。Word 98 は残念なことに PowerPC オ ンリーだが(私は 68K マシンでは喜んで Word 6 を使っている)、だから といって裏切り者呼ばわりされることもない。

また、時が経ったのと Mac OS 8 が登場したことにより、1994 年には珍し かった Windows ライクな外見(たとえばタブ付きダイアログやコンテクス トメニュー)も一般的になった。それに Microsoft の積極的な広報活動が ある。Macworld Expo のキーノート、Macworld でのパーティー、それに ベータ CD に付属していた 150 ページにもおよぶ ReviewerUs Guide。

以上をすべてふまえた上でも、次の疑問は残る。Word 6 を非難した人たち が Word 98 を賞賛するのは許されるか? バランス良く、深く掘り下げたレ ビューをお届けするため、私は Word 98 と長時間真剣に向き合った。だが 読み進む前に、私の Word の使用法はあまり一般的ではないかもしれない ことを念頭においておいていただきたい。多くの人は Word をより賢くて より手の込んだ SimpleText として使っている。人間が脳の持っている力 の 10 分の 1 しか使わないといわれているように。しかし Word は大型の 業務用プログラムで、そのパワーを無視するのはもったいないことだ。何 が重要機能で何が余計な飾りかの判断は意見が分かれるかもしれないが。

実体検証 -- Word 98 のルックスは素晴らしい。インターフェースはア イコンの雰囲気やルーラーからテキストのスクロールのしかたまで全面的 に考え直されている。しかも賢く、入力するとともにスペルや文法もチェッ クしてくれる。しかも使って楽しく、かわいいサウンドやおどけた Classic 型 Macintosh(名前は Office Assistant の Max という)のアニメーショ ンが自然言語に近い質問に答えたりアドバイスしてくれたりする。

最初の“おお、すごい”という時期を過ぎると、次のことに気がつく。コ ンセプトの革命や Nisus Writer ユーザーにはおなじみの強力な中核機能、 たとえば非連続テキストの選択、複数のクリップボード、または連続する 特定のスタイルを検索できる Find ダイアログなどが突如現れているなど ということはないのだ。

見た目も完全に新しくなっているというわけではない。ほとんどは Windows 版 Word 97 から引き継がれているのだ。Word はもはや Windows からの移 植版という雰囲気は持っていない(Mac 版 Word は独立した存在で、 Macintosh Human Interface Guidelines にも真面目に注意を払っている) が、Word 6 の欠点とされていたインターフェースエレメントも多数残って いる。たとえば Font ダイアログや Customize Keyboard ダイアログなど だ。そうは言っても、バージョン間の近似性はクロスプラットフォームの ユーザーには必須だし、オフィス環境ではプラットフォームごとのカラー を取り去ることは Mac を救うことにもなりえる。

長大な新機能リストにも注意が必要だ。実のところ、Word 98 の新機能の 多くは実は旧機能にオプションのインターフェースが新たに加わったにす ぎないものが多い。これは Word 6 以来の重複インターフェースの伝統に 則っているが、これまでは隠されていた面がより簡単にアクセスできるよ う目立つことになっていて、ある意味では良いことでもある。

たとえば、Office Assistant に自然言語で質問することもできるし、旧来 の Help の検索ダイアログを使うこともできる。テーブルは描くこともで きるし、これまで通りグリッドのポップアップを使うこともできる。スペ ルチェッカと類義語辞書はコンテクストメニューを使うか、従来通りダイ アログからアクセスすることができる。脚注や注釈(Comment という名前 になった)を見るには、ポップアップする ScreenTips か、別のウインド ウ枠内で見ることができる。今までどおり Go To ダイアログを使うか、新 しい Browse ボタンを使って文書内をナビゲートできる。こんなぐあいだ。

いくつかの真に新しい機能は人によってはまったく無用か、無意味か、虚 飾にしか見えないだろう。無理に使う必要はないのだが、プログラムサイ ズの肥大化に一役買っているのは間違いない。

たとえば、Word 98 は色々と“賢く”なろうとしている。アスタリスクで 始まるパラグラフを連続させると、オプションで Word は黒ポチスタイル に変換してくれる。これを好ましく思う人もいるかもしれないが、余計な お世話だと思ってオフにする人もいるだろう。(私はそれよりもただただ 混乱するユーザーの方が心配だ。)また、Tools メニューから AutoSummarize を試してみるとかなり楽しめる。私はこの機能を AutoTravesty と呼んでいる。

ドローツールのフルセットも肥大化の一つの原因だ。Word 98 にはいくつ ものシェイプ(たとえばフローチャートの記号など)やベジェ曲線、グラ デーション、3D ライティング、シェイプからシェイプへと流れることがで きるテキストなどが内蔵されている。ご立派なものだが、どれほどの意味 があるものだろうか? さらにツールバーが追加され、メニューが追加され、 ウインドウの周囲にはアイコンが追加され、テクノロジーも追加されてい る。なんと、ワープロ文書に QuickTime VR! それにテキストアニメーショ ン? そう、ぜひとも欲しかった機能だ!

6 をフィックス -- Word 98 の新機能の一部は、単に Word 6 の欠点を 修正しただけのものだ。が、ここで“単に”と言ってしまうのは正確では ない。Word 6 にはなんとしても修正しなければならない点があり、このお かげで Word 98 での作業がはるかに快適になっているのだ。ダイアログ内 での Tab、Enter や矢印キーなどの動作はより妥当だし、関連のあるエレ メントはダイアログ内でパネルごとに整理されている。階層ナンバリング のバグも減っており、理解もしやすくより柔軟になっている。起動とある 種の文書を開いたり保存したりするのも目に見えて速くなっている。

インストールもより簡単になった。これはネットワーク管理者たちの好評 を博しているいわゆる“ドラッグ ドロップインストール”のおかげでは なく(私はカスタムインストールの方が好きだ)、欠けているライブラリ を復元する“自己修復アプリケーション”のおかげだ。こういったライブ ラリはシステムフォルダ内で数メガバイトを占めているので、ある意味で はこれは今までになく恐ろしいことだ。バルーンヘルプや機能拡張マネー ジャでおおまかな説明はあるものの、何がどこになぜインストールされた かを示す簡単なリストがない。私が欲しいのはこれだけなのだ。それでも 謎の“Microsoft”フォルダや“Setup Data”ファイルに悩まされなくてす む。それに、既存の Word 6 テンプレートは自動的に移行するようになっ ている。

ところが、すべてが直っているわけでもない。Find ダイアログでイタリッ クのテキストを検索するのは依然として苦痛だ(あのぞっとする Font ダ イアログを経由しなければならない)。作業中はハードディスクのあちこ ちに Word Work ファイルがばらまかれる。Word には Help をナビゲート するためのキーボードショートカットが依然としてない。

段落スタイルの継承(あるスタイルの特性を別のスタイルを元にすること により統一性を持たせることができる)は常に Word の機能のうち立派な 部類に入っていたが、まだ完全な継承にはなっていない。HeadA がボール ド、HeadB が HeadA を元にしてイタリックがプラスされていたとしよう。 HeadA をボールドイタリックにすると、HeadB は自動的にイタリックでは なくなり、スタイル定義をも変えてしまう。HeadB は HeadA プラス イタリックではなし になってしまうのだ! HeadA に何をしようとも、 HeadB をイタリックにするのは不可能だ。

このように Word 6 的あり方をフィックスしていないケースは多くはない ものの、残念ながら存在している。

10 大理由 -- なにものにも変え難いものは、重要なそして正真正銘の新 機能達である。おかげでプログラムが見違えるように良くなった。下記に Word 98 にアップグレードした個人的な 10 の真の理由を挙げておく。た だし、掲載順には特に意味はない。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00752>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=03319>

  支出
      食費 :    37.30 ドル

<http://www.aladdinsys.com/flashback/mac/>

しかし、VBA スクリプトの記述やデバッグには、Windows ユーザーにおな じみの多くの大切な機能が欠けているのだ。それに Excel 5 for Mac に あった機能、Auto List Members や Auto Quick Info もない(スクリプト をタイプ中に便利なシンタックス情報をポップアップできる機能だったの だ)。そして Watch ウインドウ、Locals ウインドウ、重要なデバッグツー ル Auto Data Tips も欠いている。非難するに値するほど残念なことだ。

スタイルのセンス -- もし、スタイル(名前引きにより文字や段落の形 式を揃えること)を使ったことがないのなら、このセクションは読み飛ば しても良い。少々技術的な話になるからだ。そうはいっても、この点を検 討せずにはおけない。スタイルは私にとって重要なものであり、Word 98 では Word 6 よりもこの取り扱いが悪くなっていると気づいたからだ。

Formatting ツールバーの Styles ポップアップメニューは、それぞれのス タイル名をそのスタイルを用いて表示するようになった。これは良いアイ デアのように思えるが、だがしかし、それは表示が遅く、またさらに悪い ことに、標準に拠らないメニューは長さが短くて同時に 10 個程度の項目 しか表示しないのだ。スタイル名のスタイル表示をオフにすることはでき るのだが、画面がいくら大きかろうとメニューは相変わらず 10 か 11 や そこらの項目以上の長さにはならない! さらにひどいことには、スタイル 名はアルファベット順にさえなっていないのだ。こうしたことにより、メ ニューからスタイルを選択するのが非常に困難になっている。

Word 6 では段落スタイルと文字スタイルとが区別されたが、このことは素 晴らしくもあり、また必要不可欠でもあった。ところが、Word 98 はこの 区別をわかりにくい方法で曖昧にしている。段落をセンタリングし、かつ イタリックにする ItalCenter という段落スタイルがあるとしよう。そし て Normal スタイルで書かれた“The cat sat on the mat.”という段落が あるとしよう。さて、心して戸惑って欲しい。

スタイルを定義する際に“Automatically update”のチェックボックスが 新たに加わった。別に何でもないように思うかもしれないが、これは大惨 事をもたらすことになりかねない。つまり、あるスタイルが適用された段 落を手動で変更すると、その変更はそのスタイル定義と結び付いて、その スタイルを適用する全ての段落に適用されてしまうのだ。このことはとん でもない驚くべき結果を生む可能性がある。特に、段落スタイルの継承 (これについてはすでに述べた)と相まったときはなおさらだろう。この チェックボックスには触らない方がよい。

ドックワーカー -- 私はまだ確認していないものの、Word 98 に同梱の 印刷されたドキュメントはもはや完全なマニュアルではないらしい。その 代わりに 245 ページの『Getting Results』という本がついてくるが、こ れはよく使われる操作のやり方に焦点を当てたもので、コンセプトを学ぶ ことにも特定の機能について知っておくべき全てを学ぶことにもフォーカ スされていないらしい。前世代の Office アプリケーションでは、 Microsoft の印刷マニュアルは学習やレファレンスには極めて秀逸だった と思うのだが、この水準が下がってしまったのは残念である。[この号を校 了する数時間前になってマニュアルが到着したのだが、このマニュアルは、 アップグレードした中級ユーザーならまあまあ使えるとしても、新規ユー ザーもパワーユーザーも詳細が欠落していることに失望して使わなくなっ てしまうだろう。-Adam]

レファレンスマニュアルの代わりに、どうやらユーザーにはオンラインヘ ルプを頼りにして欲しいようだ。しかしながら、オンラインヘルプは、時 に間違っていて、しばしば有益な情報を欠き、また、複雑なトピックにつ いて詳細な概念的全体像を与えてくることが滅多にない。ささいな実例だ が、Document Map の表示のしかたを知りたかったときに、Help ページは Toolbar ボタンのことを教えてくれたものの、View メニューにある Document Map 項目のことは説明してくれなかったのだ。

さらに、オンラインヘルプは、Office Assistant と MS Word Help との行 き来を含め、操作性が悪いのだ。要求されるがままのマウスクリックで手 首が痛くなってしまった。ヘルプは、MS Word Help、MS Word VBA Help、 MS Office VBA Help などなどたくさんのドキュメントに分割されているの で、索引検索をするにはその前に適切なヘルプへ移動しておかなければな らない。

最後のワード -- Word 98 クラスのサイズと複雑さを持つプログラムな ら、バグや問題点と無縁でいられるものではない。だが、Microsoft は、 これらが見つかり次第その手当をしたいと表明している。役に立つ URL は 次のとおりだ。

<http://www.microsoft.com/macoffice/productinfo/issues.htm>
<http://macfixit.com/reports/msoffice98.shtml>

私の経験では Word 98 は極めて堅牢でクラッシュフリーである。それはま た驚くべきことに善良な Mac 市民でもある。私のマシンでコンフリクトし た機能拡張は、TypeTamer に付属の比較的マイナーなものだけであるよう だ。このことはバグがあってコンフリクトの解決に時間を要した Word 6 で経験したことからすれば雲泥の差だ。

<http://www.impossible.com/>

さて、結論はどうなるか? PowerPC Mac で Word 6 を使っているのなら、 考えるまでもない。Word 98 にアップグレードせよ!

Word 5.1 を使い続けているのなら、少なくとも無視すべきではない。はっ きりしているのは、ハードウェアが許さないのならそれまでだということ だ。しかしそういうことがなく、また Word 6 を選択しなかった理由が美 観上や倫理上のものであったのなら、Word 98 は真剣に検討に値する。大 きな移行となるのは間違いない。Word 98 は巨大で複雑でしばしば混乱を 伴う。何をしてもこの事実を隠すことはできない。でも、それはよりパワ フルであり、より有用であり、恐らくはだが、もっと楽しみをもたらすこ とにきっと気づくことだろう。

Microsoft Office 98 のフルセットへのアップグレードは 299 ドルで、 Word 98 単体なら 149 ドルだ。新規ユーザーには Office 98 なら 499 ド ル、Word 98 単体で 399 ドルである。これらはカタログ価格であって、店 頭価格は 50 ドルから 75 ドル安くなっている。教育関係ユーザーには Microsoft Office 98 が 199 ドル、Word 98 単体が 129 ドルだ。 Microsoft Office 98 Gold Edition はおよそ 100 ドル高で、これには FrontPage 1.0、Encarta 98 Deluxe、Bookshelf 98 が含まれている。

<http://www.microsoft.com/macoffice/productinfo/macprice.htm>


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