TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#673/31-Mar-03

今週もまだ Macintosh イベント関係のニュースが多い。MacHack が 2003-06-19 開始日に変更はない事を再確認し、IDG World Expo が Macworld Expo New York 2003 の “Create”への改名を発表した。また、今週は Adam が Mac OS X でのプリントスプーラーの設定方法を明かし、Info-Mac Archive ミラーネットワークへの改良の詳細について述べる。他のニュースとしては、Web Crossing 5.0、LaunchBar 3.2.10、そして Apple の Security Update 2003-03-24 のリリースを取り上げる。

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MailBITS/31-Mar-03

MacHack は六月から動かず -- 先日 Apple が Worldwide Developer Conference (WWDC) を San Francisco の六月開催へ変更した。これはMacHack ディベロッパー会議のたった一日後であるにも関わらず、MacHack 主催者らは 2003-6-19 から 2003-6-21 という当初の予定通りの日程でMichigan 州 Dearborn で開催すると発表した。多くの MacHack 参加者達がこの草の根開発者会議に熱烈に忠信的なものの、Apple の動きは参加者数に響くであろう事は間違いない。それでも私は MacHack への参加を大いに勧めたい。実社会の情報と業界のコネ作りには一番の組み合わせで、私も確実にMacHack に参加 (そして発表を) する予定だ。Apple はこの業界の 600 ポンドのゴリラかもしれないが、自己中心的な行動に出る前にその影響を考え、(MacHack 主催者団体に事前に連絡するという) 少しくらいの礼儀をわきまえて欲しかった。 [ACE] (倉石)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07114>(日本語)Apple 社、WWDC 2003 を6月のサンフランシスコへと延期
<http://www.machack.com/pr/3_25_03.html>

セキュリティーアップデート 2003-03-24 が Samba を修正 -- Apple はソ フトウェアアップデート経由、ならびにスタンドアロンの 4.5 MB ダウンロード版、の2つの形で Security Update 2003-03-24 をリリースした。のアップデートでは、Mac OS X 内蔵の Windows File Sharing(システム環境設定の共有ペインで利用可能)の基盤ともなっているオープンソースの Samba コードを経由するとシステムに対して無認証のリモートアクセスが実行できてしまうセキュリティーホールを修正している。また、RSA プライベートキーが危険にさらされる可能性のある OpenSSL の問題点も修正している。Windows File Sharing はデフォルトではオフになっているとは言え、やはりこのアップデートは重要なものであり、Apple ではすべての人がこのアップデートをインストールするようにと勧めている。インストールは Mac OS X 10.2.4 または Mac OS X Server 10.2.4 を走らせている人にとっては簡単なことだが、Apple によればそれより古い Mac OS X を使っている人のとるべき道は2つで、1つは 10.2.4 にアップデートすること、もう1つは OpenSSL および Samba のウェブサイトを訪れて、どのような修正をすべきかについての情報を読むことだと言う。ただ、私の見たところでは、これらの情報は普通の Mac ユーザーが理解できるような代物ではなかった。そこで私から助言をさせて頂こう。もしもあなたが Mac OS X 10.2.4 を使っていないなら、Windows File Sharing をオフにしておくことだ。もし Mac OS X 10.2.4 を使っているのなら、迷わずこのセキュリティーアップデートをインストールするのが良い。[ACE](永田)

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=120199>
<http://www.openssl.org/>
<http://www.samba.org/>

LaunchBar 3.2.10 で Help を改善 -- Objective Development はLaunchBar 3.2.10 をリリースし、この極めて有用な起動ユーティリティ (TidBITS-671 の特集“TidBITS 御用達ツール:LaunchBar”を参照) がマイナーに更新された。LaunchBar 3.2.10 での顕著な改良点は 2つあり、ひとつは大幅に改善された HELP ファイルで、それは LaunchBar の上級機能を簡明に説明し、もうひとつは Mac OS X のシステム内蔵 Address Book から生成するアドレスを使った電子メールメッセージ作成のフルサポートだ。ダウンロード容量は252KB。[ACE](細川)

<http://www.obdev.at/products/launchbar/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07107>(日本語)TidBITS 御用達ツール:LaunchBar
<http://www.obdev.at/products/launchbar/download.html>

Web Crossing 5.0 と Web Crossing Express 5.0 がデビュー -- Web Crossing, Inc. 社は、二つの新製品、Web Crossing 5.0 と Web Crossing Express 5.0 を発表した。Web Crossing 5.0 は同社のパワフルなサーバプラットフォームとコラボレーションツールで、ウェブサービス、電子メール(POP、SMTP、IMAP、そしてメーリングリスト)、FTP、ニュースグループ、ディスカッションボードなど多数を搭載している。Web Crossing 5.0 は、新カスタマイズ機能、拡張性を提供するプラグイン構造、そしてウェブブラウザだけでローカルとリモートのファイルをミラーリングできる興味深い方法を提供する。Web Crossing 5.0 へのアップグレード料金は、トラフィックの量にもよるが 120ドルから始まり、製品版はやはりトラフィック量に応じて 300 ドルから 3 万5 千ドルで提供される。これは簡単に買える金額ではないが、Web Crossingの中核となる機能を、Web Crossing の大幅なサブセットとなる新製品の Web Crossing Express 5.0 で無料で試すことができる。特筆すべきは、Web Crossing Express には Web Crossing のコラボレーションツールのほとんどが欠けており、ウェブページ、電子メール、FTP などを提供できる、より純粋なインターネットサーバプラットフォームとなっている。[ACE] (佐藤)

<http://www.webcrossing.com/home/products/features/>
<http://www.webcrossing.com/home/products/expressfeatures/>
<http://www.webcrossing.com/home/products/compareexpress/>

投票結果: ユーティリティドライブは使用していますか? 先週のアンケートで、我々はどれぐらいの人々がユーティリティハードドライブをMacintosh のメンテナンスやコンフィグレーション作業に使用しているかアンケートを採った。 500 名を越えるアンケート参加者のうち、およそ 75%の人々はそのようなハードドライブを持っていた。興味深いことに(驚くことではないが)問題を解決するタイプの人々はユーティリティドライブを必要とする確率がより高いし、TidBITS を読むような人々はまた問題解決者である確率も高い。[ACE](細川)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=80>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07116>


Macworld Expo NY が Create に生まれ変わる

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>

IDG World Expo と Apple は先週、Macworld Expo の代わりとなる新しいイベント“Create”を 2003 年 7 月 14 日から 18 日まで開催すると発表した。Macworld Expo は Macintosh のすべてをカバーしていたが、Create はデザイン、出版、音楽、ビデオといったクリエイティブアート向けになるという。詳細はまだ未定だが、Create は、2004 年に行われる Macworld Expo をボストンに戻した IDG World Expo に対する確執の、Apple と IDG World Expo による妥協案のように思える (詳しくは TidBITS-652 の“Apple と IDG World Expoが Macworld Expo をめぐって対決”を参照のこと)。Seybold New York がなくなり東海岸で同等の会議が無いことを考えれば、Create には妥協案として筋が通っている。ニューヨークはボストンに比べてクリエイティブアートのマーケットは大きく、将来 Create がニューヨークに定着し Macworld Expo が東海岸から完全に無くなってしまうことも考えられる。IDG World Expo は、来年開かれる Macworld Expo in San Francisco の焦点は変わらないと述べている。

<http://www.macworldexpo.com/macworld2003/V33/press.cvn?id=11&p_id=13>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06966>(日本語)Apple と IDG World Expoが Macworld Expo をめぐって対決

今回の Macworld Expo から Create への切り替えは、ネットワーク管理者、コンサルタント、デベロッパー、そして一般の消費者など Macworld Expo の中心となる参加者が、名目的にはクリエイティブのプロを対象とした Create に参加してくれるかどうかといった疑問を生む。いかにクリエイティブのプロと言えどもユーティリティソフトウエア、ワイヤレスネットワーク、そして大容量ハードディスクなどの周辺機器は必要なのだから、たくさんの企業が製品やサービスがクリエイティブコミュニティーに直接関係しなくても参加してくれることを期待している。さらに、Apple は参加することを約束しているが、前回のMacworld Expo in New York では Adobe、Macromedia、そして Quark などのクリエイティブアート関連会社が軒並み欠席したこともあり、IDG World Expoは、かつての Macworld Expo と比べてかなり小さい規模になると思われる会議にこれらの出展者たちを呼び込むという、困難な仕事が待っているだろう。

今回名前と焦点を全体的に変えたのは、IDG World Expo が Apple の怒りを静める方便だと考えることができる。また、変わるのは名前だけでその他の全てが実質的に今まで通りになるということも、同じくらい可能性がある。実際、この展示会に関する IDG World Expo のウェブサイトでは、“Macworld Conference & Expo が Create を主催します”がメインのロゴとなっており、つまりまだ以前の名前とのつながりが残っているということだ。どちらにせよ、私たちは Create に参加する予定である。今年に関しては。

<http://www.macworldexpo.com/>


Info-Mac Archive のミラーネットワークがより身近に

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Macintosh の黎明期の時代以来(これは誇張でなく真実です!)ずっと、ある少数のボランティアから成る人々のグループが、Macintosh コミュニティーのためのサービスを提供しようと、縁の下の力持ちの働きを続けてきた。それがいわゆる Info-Mac Network で、この非営利団体は2つの活動をしてきた。1つは Info-Mac Digest の発行、(サーバーの移行後にダイジェスト用スクリプトがうまく働かない問題が起こり、これが未解決のため現在は一時休止中であるが)Macintosh に関わるあらゆる話題を扱うモデレータ付きのメーリングリストだ。そしてもう1つが Info-Mac Archive、こちらは最古参の(しかもかなり長期間にわたって世界最大でもあった)アーカイブで、無料配布可能な Macintosh 用のソフトウェアや情報を保持している。

<http://www.info-mac.org/>

近年になって、Info-Mac は困難な時期を迎えている。同様のサービスの提供に広告を組み合わせることで収入源になり得ることに気付いた商用サイトが多数登場したからだ。CNET の Download.com、それに VersionTracker、MacUpdate、Tucows、等々だ。長年にわたって Info-Mac は非常に老朽化したサーバーに頼ってきており、大きなディスクスペース拡張の望みもあまりなかった。また、ボランティアによる組織の常として、何事につけても素早く対処するということは望めなかった。誰のせいだという訳でもない。むしろ、Info-Mac Network の代表責任者たる私自身こそが、うず高く積み重なったやるべきことのリストを少しでもこなせるようにもっと多くのボランティアの人々を見つけてくることができなかった責めを負うべきだろう。(もしもあなたが何かお手伝いをして下さる気がおありなら、どうぞ私に一声かけて下さって、あなたの得意な技術分野をお知らせ下されば、お願いする仕事ができた際に呼びかける人々のリストにあなたのお名前も入れさせて頂きたいと思う。)

しかしながら、Glenn Fleishman が彼の著書 Real World GoLive 6 を PDF フォーマットで配布することを決断した後に彼が経験しなければならなかった悲惨事(TidBITS-672 の記事“電子出版生き残りゲーム”を参照)のおかげで、奇しくも我々は Info-Mac Archive を以前よりもずっと誰にも使いやすいものに進化させるための大きな第一歩を踏み出すことができた。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07115>(日本語)電子出版生き残りゲーム

帯域幅は高価 -- 以前には George Gilder のように帯域幅が事実上無料になるだろうと予測する議論を述べる人たちもいたが、現実にはそうはならなかった。そうはならないという実例として、私の知る限りでは Glenn の体験が一番極端なものだったが、実は、自分の作ったプログラムのアップデートを配布するための高速インターネット接続を維持するための費用が馬鹿にならない、と不満を述べるソフトウェア開発者たちの声は決して珍しくない。そのプログラムを使うユーザーが数千人いるとして、その開発者がアップデートのお知らせを配った途端、ごく短期間の間に莫大な数のダウンロードがおこなわれるのは充分予測できることだろう。そして、Glenn も体験した通り、その結果は悲惨なものになりかねないのだ。

つまり、帯域幅は非常に高価なものになることもある。では、さきほど挙げたような商用のファイル配布サイトでは、この問題にどう対処しているのだろうか? 実は、これはあまり知られていないことだが、そういうサイトでは実際のファイルを自分自身のサイトに置くことはしていないのだ。(ただし Tucows だけは例外であることを注意しておくべきだろう。)自分のところに置く代わりに、彼らは単に開発者のサイトへのリンクを提供するなどの方法をとっている。こうして、ユーザーがこうした商用サイトを使っても、実際の帯域幅の状況は、何ら変わるところがないのだ。もちろん、このようなサイトのおかげでファイルの人気が上昇する、といった効果はあるかも知れないが。

これこそが、Info-Mac の存在価値なのだ。わが Info-Mac のサーバー自体は、親切にも MIT にホストしてもらっていて、そこでかなりの帯域幅を占めていることは事実なのだが、ユーザーの人々が実際にファイルをダウンロードするのはこのメインのサーバーから直接にするのではない。その代わりに、Info-Mac では他のいろいろな団体に呼びかけて Info-Mac Archive のミラーサイトを作ってもらい、その結果、負担を非常に広く浅く分担し合うようにしているのだ。インターネットの初期の時代においては、ダウンロードの際にファイルが移動する地理的な距離を短くすることも重要な要素であったのだが、この点に関しては今日ではあまり気にせずとも差し支えない状況になっている。

鏡よ鏡、ネットの鏡 -- Info-Mac は現在 22 のミラーサイトを持っている。そのうち 7 つはアメリカ合衆国内にあり、残りの 15 はそれ以外の世界各国にある。ユーザーとしては、どのミラーサイトを利用するかをどうやって選べばよいのだろうか? また、ファイルを配布する側の人は、自分のユーザーたちのためにどのようなうまいインターフェイスを(22 個のリンクを並べるなどというものではないものを)提供すべきなのだろうか? もう何年も前のこと、Fabrizio Oddone という名の Macintosh ソフトウェア開発者が、新しい URL を使った方式を考案し、彼の書いた QuickestMirror という名のユーティリティによってうまくミラーサイトを使うことを提唱したことがある。けれども、いくつかの理由があって、QuickestMirror もこの特別の URL も、結局人気を得るまでには至らなかった。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04227>(日本語)インターネットの魔法、ミラー:QuickestMirror

今回 Glenn が受けて立った挑戦は、ミラーサイトの利用法に関するこの問題だった。私は彼に、彼の Real World GoLive 6 の PDF ファイルを Info-Mac にアップロードしたら、と提案したのだが、その場合はユーザーがミラーサイトを選ばなければならないことでうまいインターフェイスがないことが問題となった。そこで私の頭に浮かんだのは、CGI を使って Info-Mac Archive 中のファイルへのパス名を受け取り、その CGI がランダムにミラーを選んでダウンロードさせるようにしたらどうか、というアイデアだった。このアイデアを Glenn に話してみたところ、彼はほんの数分間で Perl によるスクリプトを書き上げてしまった。

この Perl スクリプトを使えば、ソフトウェア開発者たちはユーザーに対してたった1つのダウンロード用 URL を示せばよく、個々のユーザーがその URL を使うごとにランダムなミラーサイトが選ばれて自動的にそこに接続されることになる。開発者の側の観点から説明すると、その動作の概要は次のようになる。まず、下記のリンクをクリックすると、そのスクリプトが Info-Mac ミラーサイトを1つランダムに選んでそのトップレベルを開く。たいていの Info-Mac ミラーは FTP サイトなので、あなたのウェブブラウザはたぶんあなたのお使いの FTP クライアントソフトウェアを起動させることだろう。

<http://www.info-mac.org/cgi-bin/mirror.cgi>

次に、特定のファイルをそのスクリプトに指定するための方法だ。そのためには、リンクの末尾に“path=”による指定を追加してやればよい。TidBITS の古い号をダウンロードするための実例を、下に記しておいた。もちろん、そのためにはどこかのミラーサイトを使ってそのファイルのパス名を調べておかなければならない。(ディレクトリ名には長い名前と短い名前とが併用されているが、このようなリンク中に使用する場合には是非とも短いディレクトリ名の方を使うことをお勧めしたい。長い名前の方は単にリストを目で見てわかりやすいように、と入れてあるだけなのだから。)ファイルを検索したい場合は、MIT の Info-Mac HyperArchive を使って検索してから、短いディレクトリ名をどこかのミラーサイトで調べるとよいだろう。

<http://www.info-mac.org/cgi-bin/mirror.cgi?path=per/tb/tidbits-663.etx>
<http://hyperarchive.lcs.mit.edu/>

使用すべきアーカイブサイトのリストを制限するために、“&archives=us”または“&archives=intl”を付けることもできる。実例を下に記しておいた。このように2つのダウンロードリンクを並記して、片方をアメリカ国内のユーザーに、他方を国外のユーザーに使ってもらう、というのも良い考えだろう。

<http://www.info-mac.org/cgi-bin/mirror.cgi?path=per/tb/tidbits-663.etx&archives=us>
<http://www.info-mac.org/cgi-bin/mirror.cgi?path=per/tb/tidbits-663.etx&archives=intl>

[訳注: 日本国内からは、“&archives=intl”よりも“&archives=us”の方を使った方が断然速いことが多いようです。“&archives=intl”は主にヨーロッパのサイトに繋がりますから。]

現時点での機能の限界 -- これがあらゆる状況における理想の配布方法だなどと主張する気は毛頭ない。まず第1に、この方法ではリストの中から本当にランダムなミラーが選ばれてしまうので、そのサイトが一時的にダウンしていて繋がらないということもあり得る。(あるいは、永久にダウンしていることもあるかも知れない。もしも消滅したサイトを見つけられたら、どうぞ <mirror@info-mac.org> あてに一言お知らせ頂きたい。)また、ランダムに選ばれたミラーは手で選んだものよりも遅いサイトだったということもあるだろう。Perl 熟達者の読者の方で、スクリプトを改良してやろう、と言って下さる方のアイデアをお待ちしたいと思う。詳しくは下記のリンクを参照して頂きたい。例えばもっと賢いミラーの選び方とか、負荷のバランスの勘案、あるいはユーザーからのフィードバックの改良などが考えられるだろうか。

<http://www.info-mac.org/mirror/script.html>

第2には、各ミラーサイトではかなり頻繁にアップデートをしているのだが、あなたの欲しいファイルがたまたまそのミラーにはまだ到着していなかった、ということもあり得る。そういう場合には、もう一度ダウンロードリンクをクリックすれば、ランダムに選ばれた別のミラーが開かれることになる。

第3に、Info-Mac はあくまでもボランティアによる組織なので、アーカイブ担当者の Christopher Li と Patrik Montgomery も、ダウンロード・ファイル検証・ウイルスチェック・そしてアップロードという一連の作業に常時付きっきりでいられる訳もなく、作業をできるだけ早く、という理想通りにはいかないこともしばしばある。これらの作業の能率を向上させてスピードアップを図るべく、われわれもいろいろと努力はしているが、いずれにしてもファイルが投稿されてからそれが利用可能になるまでに2・3日の余裕は見て頂きたい。どうぞ、投稿したら自動的にすぐにアップロードされるなどという思い込みはなさらないよう、お願いしたい。

最後に、第4の点を述べさせて頂こう。現在のところ、Info-Mac では充分な空きディスク容量を確保できているので、以前実施していたような投稿ファイルサイズの制限などは加えずに済んでいる。これは、最近 MIT から新しいサーバーが提供されたおかげである。けれども、ディスク容量が不足したり、ハードウェアが老朽化したり、といった理由で過去に何度も問題が起こっているし、同じ問題が将来いつ起こらないとも限らない。そのような問題に対処できるよう備えるため、Info-Mac Archive を利用してシェアウェアやデモ版などを配布しているソフトウェア開発者の方々に、お願いしたいことがある。Info-Mac Archive でのコストの負担の一助として、それぞれのソフトウェアの1人分のライセンス程度の額を、Info-Mac への寄付として寄せて頂けないだろうか。例えば、シェアウェア料 $15 のユーティリティを置いている開発者の方から $15 程度の寄付を頂けるなら、大変に嬉しい。そういう寄付は決して強制的なものではない。けれども、もしも Info-Mac のおかげであなたが莫大な帯域幅使用料金を払わずに済んだのならば、1人分のライセンス程度のものを寄付することくらいは理に叶った額と言えるのではないだろうか。

<http://www.info-mac.org/donate/>

将来に向けて -- もしも時間も資金も無尽蔵にあるのなら、Info-Mac のためにしたい事はまだまだたくさんある。けれども、時間も資金も、どちらも極端に不足しているというのが現状なので、私としては今のところ何の公約もすることはできない。Info-Mac は今ある通りのものであり、そして、この現状の Info-Mac が、Macintosh ユーザーにも開発者にも、ともに有用なものであるのなら、私はそれを良しとしたいし、皆さんもそれを良しとして下さると、期待させて頂きたい。


Mac OS X でプリンタ共有とプリントスプーリング

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

これを書いている時点で、私の自宅のネットワーク内にある Mac はすべて Mac OS X で動作している。もちろんそれらの Mac のほとんどは、必要とあらば Mac OS 9 で起動できるのだが、最近 Mac OS 9 で起動したのは、不良ブロックがあったハードディスクのメディアチェックをするために Norton Disk Doctorを起動するためと、PowerBook G3 でフロッピードライブを使用するためだけであった。Mac での通常の作業は、すべて Mac OS X で行えている。OS X に切り替えるのに最後まで残っていた障害は Mac OS X でプリントスプーリングを設定することだったが、今回はどのようにこれを設定し、最後まで Mac OS 9 で使っていた重要な Mac に終止符を打ったかについて話そうと思う。

Performa での印刷 -- 最後の難関は、今まで本当に良く働いてくれたPerforma 6400 だった。この機種で動作する OS の中で最新の Mac OS 9.1 がインストールされており、AppleShare IP 6.3 が稼働していた。内部ファイルサーバとしての役割が PowerMac G4/450 に取って代わられるまでは、MP3 サーバ、 Retrospect バックアップサーバ、そして Now Up-to-Date & Contact の公開イベントおよび連絡先サーバでもあった。パフォーマンスと安定性の問題によりほとんどの役割を Mac OS X ベースの PowerMac G4/450 に移行したが、それでも Performa はただ一つの目的のために残った。それはプリントスプーリングである。

Tonya と私は古い Apple LaserWriter Select 360 を持っていて、白黒印刷はすべてこれで行っていた。これはとても良いプリンタで動作に何も問題は無かったが、LocalTalk 経由でないとアクセスできなかった。Performa 6400 は、PCIベースの Ethernet カードを使って、メインの Ethernet ネットワークとプリンタ用 LocalTalk ケーブルのあいだでブリッジ機能を提供していた。そのことは重要だったが、それにも増して AppleShare IP のプリントスプーリング機能が好きだったのだ。

私は最初、AirPort (日本では AirMac) だけしか持たない Mac から、ワイヤレスと有線 Ethernet をブリッジするために使っている Linksys EtherFast ワイヤレスゲートウェイ経由で印刷できるように、AppleShare IP のプリントスプーラを設定した。全体として EtherFast は申し分なく動作したとは言え、AppleTalk のパケットを有線と無線側のあいだでブリッジできず、かといってLaserWriter Select 360 は AppleTalk しか理解しなかったため、どうにかしてこの Linksys の制限を回避する必要があった (Asante や Proxim などの Mac互換を謳っているワイヤレスゲートウェイなら AppleTalk を適切にブリッジできるが、私が EtherFast を購入したときはこれが他の競合製品よりもはるかに安かったのだ)。

この問題は、AppleShare IP を使うことで解決できた。その名の通り、AppleShare IP のプリントスプーラは、AppleTalk 以外にも TCP/IP 経由で送られた印刷ジョブを受け付け、LocalTalk ケーブルでつながれたプリンタにAppleTalk で印刷ジョブを送出する。この方法でうまく動作させることができた時、歓迎すべき副作用を発見して、驚くと同時にとても喜んだ。プリンタの電源が入っていなくても印刷ジョブを受け付け、電源がオンになるまでそれを保持していてくれたのである。これは素晴らしい機能だった。私たちには、印刷してすぐに出力されないと困るものはそれ程無く、またプリンタは私たちのそれぞれのオフィスにあるわけでもなかったので、印刷ジョブを送りだしておいて、何時間あるいは何日か後にプリンタの電源を入れたときに出力できるというのは、とても便利だった。

こうして、週に数回印刷するためだけにコンピュータシステムをずっと動作させておいたのだ。それはまさしく無料であったし、もし電気が無料で使えてしかも環境に影響を与えないのならずっとこのままにしておいたことだろう。だがどちらも違うので、どのように Mac OS X へプリントスプーリングを導入すれば PowerMac G4/450 が Performa の代わりとなるか、答えを見つけだす時にきていた。

Mac OS X のプリントスプール -- 最初にすることは、LocalTalk とEthernet ネットワークをつなぐ小さな機器である Ethernet から LocalTalkへのブリッジを購入することだ。私は Asante 社の FriendlyNet Ethernet to LocalTalk Bridge を選択した。TidBITS のスポンサーである Small Dog Electronics なら、安価な再生整備品がたくさん見つかる。このブリッジにより、Ethernet ネットワークを LocalTalk だけしか受け付けないプリンタへ物理的に接続することができる。

<http://www.smalldog.com/search/x/x/wag125/?z=1&find=Localtalk>

次は、PowerMac G4/450 がプリンタと話せるように設定する作業だ。ネットワーク設定で内蔵 Ethernet の AppleTalk がオンになっていることを確認する。次に、プリントセンターを立ち上げ、LaserWriter Select 360 を AppleTalk プリンタとして追加し、テスト印刷をした。簡単な作業だったが、これで Asante Ethernet to LocalTalk Bridge が動作していることが分かった。

その次に、ネットワークの他の全てのコンピュータからプリンタを使えるようにしたくなったので、共有設定を開いてプリンタ共有の隣のチェックボックスをクリックした。テストするため、試しに iBook から印刷してみた。印刷ダイアログの中にプリンタポップアップメニューがあり、その中に、もしネットワーク中に共有プリンタが存在すれば、共有プリンタリストメニューがある。そのメニューから LaserWriter Select 360 を選択し、プリンタの電源が入っている状態なら他のコンピュータからの印刷がうまくいくことを確認した。とても簡単だったが、プリンタがオフの時でも印刷したかったのだ。

ここから先は一筋縄ではいかないと思ったので、袖をまくり上げて Mac OS X 10.2 以降に備わっている、隠れた Common Unix Printing System (CUPS) のウェブインターフェースをつつき始めた。あなたも以下のリンクから簡単に探せるが、何をしてるか理解してないとシステムを完全に台無しにしてしまうこともあり得るので、変更するときは充分注意することをお勧めする。CUPS の文書は読んでも得るものが無かったので Google で検索したが、そこでも何も発見できなかった。

<http://127.0.0.1:631/>
<http://www.cups.org/>

どこを探せば良いか考えに詰まったので、まず明らかなことから試そうと思い立ち、プリンタの電源を切ってもう一度テスト印刷をし、数分間別の作業を行なった。驚いたことに、プリンタをオンにした直後、すぐさま印刷したではないか!

手短に言えば、Mac OS X 内蔵のプリンタ共有を用いたプリントスプーリングは、大騒ぎする必要なくそのまま動作し、、コマンドラインの呪文も必要無かった。 Apple が標準でこのように便利なプリントスプーリングを作ったことについては高得点を付けるが、Mac ヘルプで電源が入っていなくても共有プリンタに印刷できることに触れていないのは減点の対象だ。

Classic からの印刷 -- しかし、これで話が終わった訳ではない。すべてのコンピュータを設定して新しいプリントサーバで印刷できるようにするのは Mac OS X で簡単にできたのだが、その一方で Classic アプリケーションで印刷ができるようにうまく設定するのは、非常にデリケートな事柄だった。ケーブル結線の Ethernet 接続による AppleTalk が使える Mac については、プリンタ設定の作業は単に Classic アプリケーションを起動させて、アップルメニューからセレクタを選び、普通にプリンタをセットするだけなので何の問題もない。ただ、注意しなければならないのは、ネットワーク環境設定のネットワーク接続のところで AppleTalk をオンにしておくことだけだ。

デリケートな問題が起こったのは、私が時折ワイヤレスネットワークを使う Mac について、設定をしようとした時だった。Linksys EtherFast はネットワークのワイヤード部分とワイヤレス部分との間の AppleTalk をブリッジしてくれないので、その解決のためにあまり知られていないユーティリティを使うことになった。これは、デスクトッププリンタのセットアップをするための Apple 製のユーティリティで、Desktop Printer Utility と呼ばれ、バージョン 1.3 が必要である。たぶん Applications (Mac OS 9) フォルダ内部の Utilities または Apple Extras フォルダの中に置いてあるだろう。これを起動させると、New Desktop Printer ダイアログが開く。

このダイアログで、Printer (LPR) を選んで OK をクリックする。そこで現われるダイアログの中で、PostScript プリンタ用の記述ファイルと、あなたの LPR プリンタとを選んでおかなければならない。最初の変更ボタンをクリックして、適切な PostScript プリンタ記述ファイルを選ぶ。次に2番目の変更ボタンをクリックして、あなたのプリントサーバの IP アドレスを入力し、あなたのプリントキューの名前も入力する。(プリントキューの名前は、サーバ上の Print Center でプリンタを選択し、プリンタメニューから「情報を見る」を選べばわかる。)それから、検証ボタンをクリックしてプリンタとの通信ができるかどうか確認する。最後に OK をクリックして選択ダイアログを閉じ、作成ボタンをクリックしてあなたの新しいデスクトッププリンタに名前を付けておけば、その名前が Classic アプリケーションの印刷ダイアログの中に登場するようになる。

(もしも何らかの理由で、セレクタを使って AppleTalk プリンタをセットアップすることができなかった場合には、この New Desktop Printer ダイアログで Printer (AppleTalk) を選び、上記と同様の手続きを踏んで AppleTalk ベースのデスクトッププリンタを作ることもできる。)

さて、問題が起こったのはここだ。今述べた作業は、私は以前にもやったことがある。Performa と AppleShare IP の組み合わせでプリントスプーラを作ったこともあり、何の問題もなく動作した。確か、ある時は Mac OS 9 で起動し直してデスクトップ再構築をしないとうまく動かない、というようなこともあったとは思うが、いずれにしても動いたことは確かだった。ところが今回は、原因の心当たりが何もないのに、私が何をやっても Desktop Printer Utility もデスクトッププリンタも、私のプリントサーバと通信することができなかったのだ。何度やっても error -8885 で止まってしまう。たぶん、このエラーは LPR 接続不成立という意味だろうと思う。

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=106710>
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=106687>

この問題にはお手上げで、困ってしまったが、私にとっては実際上の問題ではなかった。Classic から印刷する必要があるような Mac はすべて、私の場合はワイヤードの Ethernet ネットワークで接続されていて AppleTalk 経由で印刷することができ、そちらの場合には何の問題も起こらなかったからだ。それにもちろん、印刷が必要であるような Classic アプリケーションというものの数はもともと非常に少なく、しかもその数はどんどん減り続けているのだから。

最後に一言。USB ベースの Epson Photo Stylus 870 カラーインクジェットプリンタについては、私は Classic アプリケーションや Mac OS 9 の Mac で印刷を共有できるように設定しようとは思わなかったのだが、このような場合にどうすれば共有できるようになるのかという話題で、Apple からなかなか読み応えのある議論が公表されている:

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=107060>

Gimp-Print が救世主? -- 私はまだ時間がなくてあまり試していないが、オープンソースの Gimp-Print ドライバをインストールする方法もある。インストールの作業はちょっとややこしい - まあ、これはオープンソースのソフトウェア全般について言えることだ - が、これは Mac OS X 用に多数の追加プリンタドライバを提供しており、同時に重要なこととしては、Mac OS X 内蔵のプリンタドライバではサポートされていないような機能も追加されていることが多い。例えば、私の Epson Photo Stylus 870 も、Mac OS X 内蔵のドライバでサポートされており、一応は動作する。けれどもロールペーパーへの印刷をしようとすると、それには Gimp-Print ドライバをダウンロードしてインストールするのが唯一の方法、となってしまうのだ。Mac OS X で何か印刷の機能に不満を抱いているのなら、一度 Gimp-Print ドライバを試してみて、問題が解決するかどうかやってみるとよいだろう。

2つほどヒントを: Gimp-Print によって新しいプリンタに名前を付ける時には、必ず既に存在しているものとは違う名前にしなければならない。それから、Gimp-Print ドライバは時々予知不能なやり方で他者を乗っ取ってしまうことがあることも、警告しておきたい。例えば、私が Gimp-Print をインストールした後 iPhoto のプリセットが消えてしまったことがあって、これは Gimp-Print で定義したプリンタを削除しても直らなかった。あまり大した問題ではないだろうが、なぜこんなことが起こったのか、どうすればプリセットが取り戻せるか、というのはまだ時間がなくて調べていない。

<http://gimp-print.sourceforge.net/MacOSX.php3>

共有もスプールも、大船に乗って -- Classic アプリケーションでの LPR 印刷がうまく行かなかったのにはがっかりさせられたが、それ以外のすべてについては、全般的に作業手順が易しいこと、特に Mac OS X 特有の部分が良くできていることに、私は衝撃的な印象を受けた。確かに Mac OS X はまだ完璧とは言えないが、少なくとも今回の記事で触れた内容に関しては、Mac OS 9 に比べて作業が簡単で操作も快適だったと言える。Mac を使う、ということにまつわるいろいろな側面について、これからも、ますます多くの点で同じことが言えるようになってゆくことを、期待しようではないか。

PayBITS: Mac OS X でのプリントスプーラや Gimp-Print ドライバに関する Adam の話が参考になったなら、PayBITS で感謝の意を示してみませんか?
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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA