TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#752/25-Oct-04

Take Control 電子ブックが一周年を迎えた。そこで私たちはこれを祝って50% 割引セールをするとともに、この一年目に何が成し遂げられたのかをまとめてみた。Adam のもう一つの記事では、あなたのパーソナル XNS ネームをどうやって再生させ使い始めることができるのかを説明する。(XNS のことを覚えておられるだろうか? そう、復活だ!)新たに“i-name”という名前で生まれ変わったのだ。Apple からリリースのニュースとしては、一新されたiBook シリーズ、シングルプロセッサの Power Mac G5、それに大きくなったXserve RAID と、Apple Remote Desktop 2.1 がある。その他の記事では、Adam が愚かな弁護士たちを叱りつけ、悪意ある Opener シェルスクリプトの実情が明かされ、今週の DealBITS 抽選で Marketcircle の DayLite が当たる。

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MailBITS/25-Oct-04

Openerの存在がパスワード管理を促す -- この数日間にわたって、“Opener” として知られる悪質なシェルスクリプトのニュースが MacInTouchに現われている。そして、いくつかの団体が誤って、これをウィルスとしてレポートした。それはウィルスではな い。率直にいうなら、それほど心配するほどのことでもない。Opener は、もしもあなたの Mac にインストールし起動されると、ファイル共有とリモートログインの開始、フィアウォールの解除、パスワードの抽出、管理者権限を持ったユーザーの作成、password sniffer(パスワード盗聴ツール)のインストールといったことを行うシェルスクリプトだ。これは大変悪いことのように聞こえる。しかし、Opener がこれらのことが行えるためには、管理者のパスワードを持っているか、または Mac に物理的にアクセスできるような誰かが、このスクリプトをインストールして走らせることができる必要がある。さらに言うなら、もし誰かがあなたの管理者パスワードを知っていたり、あなたの Mac に物理的にアクセスできるような状態なら、Opener は他の多くの脅威の中のほんの一つに過ぎないだろう。

<http://www.macintouch.com/opener.html>

というわけで確かにこの Opener は不愉快なものには違いないが、Mac を安全に保つという観点からはこれが特に実際上の影響を与えるようなものではない。ただ、Apple のセキュリティ・アップデートは、リリースされ次第必ずインストールしておこう。そうすることで、クラッカーが必要とするルートアクセスへの穴を塞ぐことができるだろう。また、管理者用パスワードは簡単に類推できないものにしておくべきだ。それから最も重要なのは、管理者用パスワードをみだりに入力しないことだ。管理者用パスワードを入れるのは、入力を求められたときに、なぜそれを求められるのかがはっきりと分かっていて、そのリクエストが信頼できる場合だけにすることだ(もしも Opener を運ぶトロイの木馬があったとしたら怖ろしく危険だろう)。個人的な意見だが、管理者パスワードの入力を余りに頻繁に求められるために、誰が何のために入力を求めてくるのか良く考えないまま、反射的に入力してしまうという仕様は、Apple のセキュリティ上の最も大きな失策だと思う。[ACE](笠原)


DealBITS 抽選: Marketcircle の DayLite

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私の見聞きした範囲では、顧客向けの小規模ビジネスならどんなものでも、当初はカレンダーやコンタクト情報の管理については標準的なツールに依存してスタートし、売り上げや新規顧客の開拓、その他あらゆる種類のビジネス上の関係についてのポリシーを、それに基づいてうち立てて行くものだ。そして、まず例外なく、そのようなアプローチはいずれ自己崩壊の道を辿る。それも最悪のタイミングで問題が起こるものだ。そのような時、いくつかの会社はカスタム解決法を作成する道(ただしそういう道もいずれ行き詰まることが多い)を選択し、またいくつかの会社はいわゆる顧客関係管理システム (customer relationship management, CRM) と呼ばれるパッケージに目を向ける。Marketcircle の DayLite も、そうした顧客関係管理システムの一つだ。

エレガントな Aqua インターフェイスを用いつつ、DayLite は高度に柔軟性を持ちながら相互にリンクされたコンタクト・データベースを提供する。このデータベースは社内のすべての人と共有することもできるし、また適切な人々の間だけで共有することもできる。コンタクト情報には役割と関係を記入するフィールドがあり、個々のコンタクトにメモや URL、あるいは参照ファイルなどを付随させることもできる。それでも不満だとおっしゃるならば、追加のカスタムフィールドを定義することさえ可能だ。カレンダーのイベントはコンタクトやプロジェクトにリンクが付けられ、いくつかのタスクや面会予約をグループにまとめてリンクを見やすくすることもできる。作業活動に時間当たりの料金を付随させたり、任意の DayLite オブジェクトにタスク・タイマーを持たせて経過時間と相応する料金とを計算させたりすることもできる。DayLite のチャンス追跡機能を利用すれば、組織をめぐるいろいろな手掛かりを皆で共有したり、どの同僚が現在どの問題に取り組んでいるかを特定したり、それぞれの進行状況を図式化したり、収益予想を出したりできる。DayLite はフル機能のクライアント・サーバ・システムであって、インターネットからのアクセス(遠隔通勤の社員にも好適)も VPN 経由のアクセスもできる。サーバは Mac OS X 10.2 かそれ以降の走る Mac ならばどんなものででも動作し、編集中のレコードはロックされていてコンフリクトが起こる心配もない。コンタクトやイベントを Palm OS ハンドヘルド機と同期させられるし、外出中にラップトップ機を持って仕事をする社員はオフライン用のデータを持ち歩いて帰社する度に変更を同期させることができる。まさに機能完備のパッケージで、Mac OS X のみで使える。

<http://www.marketcircle.com/daylite/>

今週の DealBITS 抽選では、シングルユーザ用の DayLite 1.7 を4本、賞品にする。それぞれ定価 $149 相当の製品だ。(顧客との電子メール連絡用に、Freshly Squeezed Software 製の $59 相当の MailDrop 1.3 もそれぞれ付属している。)当選から漏れた応募者は、もれなく DayLite の割引が受けられる。だから、DayLite が使えそうと思われる方は、ぜひ奮って下記リンクの DealBITS ページで応募して頂きたい。(すぐに試してみたいと思われる方のために 30 日間有効の無料のデモ版も用意されている。)寄せられた情報のすべては TidBITS の包括的プライバシー規約の下で扱われる。最後に一言:ご自分のスパムフィルターに注意されたい。当選したかどうかをお知らせする私のアドレスからのメールを、あなたに受け取って頂くのだから。

<http://www.tidbits.com/dealbits/marketcircle.html>
<http://freshlysqueezedsoftware.com/products/maildrop/>
<http://www.tidbits.com/about/privacy.html>(日本語)TidBITS プライバシー規約

[訳注: 応募期間は 11:59 PM, 31-Oct-2004 Pacific Standard Time まで、つまり日本時間で 11 月 1 日(月曜日)の午後 4 時頃までとなっています。]


Take Control 電子ブックの一周年 (半額セール中!)

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たちの Take Control 電子ブックの第一巻として Joe Kissell 著の“Take Control of Upgrading to Panther”を出版してから、もう一年が過ぎた。ここで、一周年を記念して二つのことをしておきたい。一つは、一週間限りの 50% 割引セールをお知らせすること、もう一つは電子ブック出版という新しい世界に勇ましくも分け入った私たちがこの一年間に何を学んだかについて、お話ししたいということだ。まず、今回の半額セールについては、Take Control 電子ブックの注文の際にクーポンコード CPN41024TC1 を入力(下記の後の方のリンクを使えば自動的にクーポンコードが入力される)して頂ければ、注文金額の合計が(一冊の注文であろうと、全部の本を一気に注文しようと)半額になる。どうぞ、このクーポンコードをお友達や同僚の方々、森の動物たちにも教えてあげて頂きたい。ただし、このクーポンコードの有効期間は(米国時間の)2004 年 11 月 1 日までと限らせて頂く。

<http://www.tidbits.com/takecontrol/>(日本語)Take Control Ebooks: あなたの知りたいことがすぐわかる
<http://store.esellerate.net/store/s.aspx?s=STR5625274989&COUPON=CPN41024TC1&PT=TRK-TB752>

この Take Control シリーズを始めるにあたって、私たちはコンピュータを使うことに関する本を書くための新しいモデルを創り出そうと願っていた。従来のシステムにはあまりにも非能率なところがありすぎるように思えたからだ。例えば、読者たちはとても長い時間待たなければ重要な情報を目にすることもできなかったし、著者たちはほんの少額のお金のためにとても長い時間働いて、分厚すぎる本の中に情報を詰め込まなければならなかった。それでいて、本の内容はすぐに時代遅れになってしまうのだった。これまで長年にわたって物を書き、編集し、顧客サポートをし、ウェブのデザインもし、その他いろいろのものを見聞きしてきた Tonya と私の経験を一つに寄せ集め、さらにその上に素晴しいライターたちやエディターたちの面々の力も合わせることで、私たちは、本物の人たちの手による本物の読者たちのための本物の出版物が、本当にうまく行くものだ、そしてそれはやっていて楽しい上に、誰にとっても最小限の費用で済むものになるのだ、ということを実証してみせたいと思った。これまでのところ、私たちははかなりの程度成功を収めていると言ってよいだろう。ただ、私たちのビジョンはまだ完全に達成できたわけではない。そこで、ここで私たちがこれまでしてきたことを報告させて頂き、この先はどのようになるべきかを展望してみたいと思う。

奥様、数字が大切です -- 私たちは Take Control に大きな期待をかけていた。なぜなら、どうやって電子ブックを作って売っていくのかに関して私たちが立てた予想は、すべて妥当なものに思えたからだ。けれども現実に起こった結果は、何と私たちの期待すらも遥かに超えるものだった。2003 年 10 月 24 日以来、私たちは 12 冊の英語版の電子ブックを出版し、それを日本語、ドイツ語、オランダ語のいずれかに翻訳したものも 5 冊出版された。これら合わせて 17 冊の電子ブックに対して、私たちは合計 20 冊の無料アップデート版をリリースした。その中にはほんの数個のミスタイプを修正しただけのものから、ページ数が 63 ページも増えた増補版まであった。これらの電子ブックの売上は、合計でほぼ 24,000 冊近くにものぼる。最も売れたのは“Take Control of Upgrading to Panther”で、ほぼ 6,500 冊を記録した。また、今週時点で私たちはこれら電子ブックの印刷書籍版を 3 冊、Peachpit Press から出版している。フルカラー印刷の“Take Control of Apple Mail”と“Take Control of Your AirPort Network”が、先発の“Take Control of Panther”に続いて書店の棚に並ぶことになったのだ。

<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0321321154/tidbitselectro00/ref%3Dnosim/>
<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0321321162/tidbitselectro00/ref%3Dnosim/>
<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0321287649/tidbitselectro00/ref%3Dnosim/>

高度に読みやすいテンプレートを Word でデザインしてくれた Tonya の努力のおかげで、私たちの本は当初からのルック&フィールを基本的に保ち続けることができたのだが、従来の書籍の世界で私たちが慣れ親しんできたものに比べて、電子メディアというものがどう違うのかが見えてくるに従い、私たちは数え切れない程の細かい変更を施してきた。また、このプロジェクトを支える構造についてもいくつも変更を加えた。中でも最も重要だったのは販売プロセスに eSellerate を利用するようにしたことだ。もちろん完璧を達成することは不可能だが、eSellerate は非常に私たちにとって好都合だった。当初のように私たちが自前の小売用アカウントを管理していた時の膨大な手間を考えれば、はるかに優れた解決法だったと言えるだろう。自分でオンライン販売をやってみようと考えておられる方にもぜひお勧めしたい。(記録のために述べておくと、私たちがもともと使っていたウェブストアの Kagi でもうまく行っていたのだが、私たちが切り替えた主な原因は自前の小売用アカウントを持った場合の関税に関する手間だった。)その他にも私たちがしてきた変更の多くは、多機能で隅々までプログラミングのできる Web Crossing の特徴を利用したもので、私は Web Crossing の中に多数のシステムを作り上げて、アップデート版の出版の際にも、新刊書を皆さんにお知らせする際にも、印刷版の本を購入して下さった方々に無料で電子ブック版を差し上げる際にも、膨大な事務的作業をせずに済むようにしてきた。

2005 年を目指して -- 基礎を整えることに汗を流し、一冊一冊をリリースするごとにアドレナリンを高ぶらせてきた一年が過ぎた。そろそろ私たちは、次の一年に何を目指して行くのかについて考えてみるべき時に来ているのだろう。これまではすべての売り上げが私たち自身のサイトを経由したものだったので、他の小売業者と提携してもっと多くの人たちに私たちの本を知ってもらうことができないかと考えている。印刷書籍版の出版のために Peachpit Press と協力したことも、一つにはそのための大きな第一歩だった。電子ブックの販売についても、私たちは今いろいろな会社と交渉している段階にある。(言うまでもないだろうが、もしもあなたがこの再販に興味がおありならば、どうぞ私にご連絡頂きたい。)

すぐにでも利用できる易しい再販の方法はある。eSellerate の affiliate プログラムだ。これは私たちの電子ブックのみに限らず、eSellerate を使っているどんな会社の製品についても売ることができるようになる。eSellerate のプログラムは私が他で使ったことのあるものに比べて少しややこしくて、覚えておくべき重要なことが二つある。まず第一に、affiliate ウェブサイトで製品を売るためにはまずサインアップをしなければならない。勝手に自分でカスタム URL を作るだけではいけないのだ。第二に、サインアップの際には私たちの電子ブックを全部売るのだとしておく方が良い。なぜなら、このプログラムで 10% の affiliate 配当を受け取れるのは、あらかじめアカウントに登録しておいた製品の売り上げについてだけなのだ。他のどんな affiliate プログラムでも同様だが、うまく行くためには多数の製品を取り揃えて、それを多数の利用者の目に触れさせる方法を工夫することが必須となる。興味がおありならば、どうぞこちらでサインアップを:

<https://affiliates.eSellerate.net/>

もう一つ、注目してみたい分野がある。それは電子ブックを作り上げるための背景となるものだ。昨年一年間にわたって、私たちはどうすれば良い PDF を作れるのかについてたくさんのことを学んだ。もちろんそれらはどれも最先端科学というわけではないが、良く出来た PDF があまりにも少ないという事実について私は以前のように驚かなくなった。その根本たる現実は、PDF を制作して処理するための良いツールが非常に不足しているということだ。Mac OS X では特にこのことが言える。(PDF Sages と Apago から出ている PDF Enhancer はその点例外的に良いツールだし、SmileOnMyMac の PDFpen もその仲間に入れてよいだろう。)良いツールが無ければ、わざわざエネルギーを費やして良い PDF を作るために必要な方法を開発してみようとする人がほとんど出てこないのも無理からぬことだろう。実際にそういう方法を開発した人がいても、往々にしてその知識は特定の目的だけに特化したもので、一般的には適用できないものであることが多い。私は、PDF について書いた本をたくさん読んでみたが、ほとんど例外なしに、それらの内容は単に Acrobat Professional のインターフェイス(これが使いづらいことが多い)を見れば明らかなことを解説しているだけだった。実際に作業をする際には、必ず何らかのレベルの手作業を入れることが必要になるもので、私たちとしては PDF 作成におけるこうした面倒な点を詳しく分析して、その面倒さをできるだけ回避できるようにしたいと願っている。

<http://www.apago.com/products.html>
<http://www.smileonmymac.com/PDFpen/>

PDF 関係の作業とは別に、その本そのものを開発して、著作し、編集し、出版する、という各段階についても、私たちは一定の作業プロセスを定式化してきた。私たちの次の目標は、このような作業プロセスをいかにしてパッケージ化して他の人に習得させ、最重要な「技」ができるだけ私たちの頭脳の中だけに留まることなく、他の著者たちにもできるだけ自分の力でコンセプトの段階から電子ブックの完成へと素早く楽に進むことが可能になるようにできないか、ということだ。Take Control 本を書いてみたいとおっしゃる著者たちからの連絡は非常にたくさん頂いたが、私たちは実際既存の著者たちと出版予定とで手一杯で、とてもこれ以上を受け入れる余裕は無かった。このような著者の皆さんともこれからはまた連絡を再開して、読者の皆さんにもっと広範囲の、さまざまの話題に関する専門家の助言をお届けできるようにしたいと願っている。次の一年間では、出版タイトルの数を二倍くらいにできれば素晴しいだろう。

最後に、さまざまの Macintosh ニュースサイトで個々の本を紹介して下さるのは本当に有難いし、Wired News で Take Control についてのメジャーな記事が紹介された(後日 Slashdot でこれが取り上げられた)のも嬉しかったが、やはり私たちの読者層は基本的に TidBITS 読者層に限られたものだった。(これはそれほど不自然なことではない。平均的な TidBITS 読者といえば関心度も高く、高度に洞察力のある人たちなのだから。)けれども Apple は毎四半期ごとにおよそ 750,000 台ずつの Mac を出荷し続けており、私の聞いたところでは Apple Store での売り上げの 50% 近くは初めて Mac を使うという人々へのものなので、よく考えれば世の中にはもっともっと多くの人たちがいて、手が届きさえすれば私たちにもそういう人たちのお手伝いができるのだ。核心となるべきなのはあくまでも私たちの TidBITS 読者の皆さんだが、その外部の読者層にも効果的に市場を開拓するにはどうすれば良いか、これが来年もう一つの私たちの目標となる。ありきたりのものでないアイデアを、どうぞ皆さんからお寄せ頂きたい。Take Control とは、一味違ったやり方で、物事を進めていくためのものなのだから。

<http://www.wired.com/news/mac/0,2125,64563,00.html>
<http://slashdot.org/article.pl?sid=04/08/13/2234234&tid=149&tid=192&tid=1&tid=6>

さて、この記事の締めくくりに、私たちの電子ブックを購入して下さった皆さんお一人お一人に、感謝の言葉を捧げたい。皆さんの応援と、親切な言葉とが、毎夜毎夜夜更かしをして働き続ける私たちを支えて下さったのだ。それから Tonya と私の二人から、著者たち、編集者たち、そして翻訳チームの皆様方に、この最初の一年を成功に導いて下さったことに対して心からの感謝を申し上げたい。特に Joe Kissell、Matt Neuburg、Kirk McElhearn、Glenn Fleishman、Tom Negrino、Jeff Tolbert、そして Caroline Rose には大きな尽力を頂いた。私たちがこの仕事の楽しさを保ち続け、人々がコンピュータをコントロールする力を回復できるようにとお手伝いする、その目標を常に忘れずにいるならば、すべての人にとっての、より良い世界が開けてくるのではないだろうか。


Apple が iBook、Power Mac G5、Xserve RAID をリフレッシュ

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

新しい iBook はいつも次のような質問を投げかけてきた。「PowerBook と iBookのどちらを買うべきか?」と。PowerBook ラインは、教育用や一般消費者向けのiBookに比べて、多くの拡張スロットとオプションを備えたプロ用機材であり続けてきた。しかし、iBook はスピードや基本機能で大きく遅れを取ってきたわけではない。それは、最速のプロセッサーやPCカードスロットのような機能を必要としない人々に訴求してきた。先週、Apple は最新の iBook の仕様が現在の PowerBook ラインナップに近づくように見直した。そして、Mac のラップトップ機を買おうと思っている人が上の質問を考えなければならなくなった。

同時に、Apple はPowerMac G5 シリーズにシングルプロセッサー仕様を再登場させ、Xserve RAID の最上位仕様の容量を拡大した。

新 iBook G4 -- 新しい iBook はシステム仕様のバラエティが大きく増えた。しかし、最も重要なのは AirPort Extreme(日本ではAirMac Extreme)カードが全てのモデルに装備されたことだ。以前は、AirPort 対応のカードを追加するには80ドルの追加投資が必要だった。それだけでなく、全てのモデルでオプションの内蔵 BlueTooth モジュールを50ドルで付け加えることができるようになった。

エントリー・レベルの12インチは1,000ドルで、前のローエンド仕様に比べて100ドル値下げされた。そのモデルは、1.2GHz PowerPC G4 プロセッサー、256MBのメモリ、30GBのHDDだ。14インチモデルは二つあり、1,300ドルと1,500ドルだ。1.33GHz PowerPC G4 プロセッサーに256MBのメモリ、60GBのHDDが共通仕様で、高価格モデルはスーパードライブ(DVD-R/CD-RW)を搭載している。他のモデルはコンボドライブ(DVD/CD-RW)だ。これらのモデルには、iLife '04がプリインストールされている。

<http://www.apple.com/ibook/>(日本語)アップル - iBook G4

シングルプロセッサーPower Mac G5 -- Appleは、「エントリーレベルの PowerMac G5 が 2,000ドルという価格設定では市場が制限されてしまう」という言葉を聞いてきたに違いない。Apple は1.8GHzシングルプロセッサーの Power Mac G5 を1,500ドルでラインナップに加えた。このマシンとデュアル1.8GHz モデル一番の違いは、(言うまでもなく、二つ目のプロセッサーがないことを除いてだが)デュアルモデルが900Mhzのフロントサイドバスであるのに対して、600Mhz フロントサイドバスであることだ。このことは、プロセッサーが一つしかないことを考慮すれば、パフォーマンスに大きな影響はない。

<http://www.apple.com/powermac/>(日本語)アップル - Power Mac G5

より大容量の Xserve RAID -- あなたがあと数兆枚ほど写真を保存したくなった場合に備えて、Apple は Xserve RAID のストレージユニットの上限を3.5テラバイト((テラバイトは 1,024 GB、つまり約 1 兆バイト)から5.6テラバイトへと増大させた。この巨大な仕様を実現するにはは13,000ドルかかる。

<http://www.apple.com/xserve/raid/>(日本語)アップル - Xserve RAID


Apple Remote Desktop 2.1がリリース

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 貞広正則 <msadahiro@peccom.com>

Apple は、最近数多くの新機能と機能強化(TidBITS-746 の Passing the Remote to Apple Remote Desktop 2.0を参照)が計られている Apple Remote Desktop 2.1 をリリースした。フルスクリーンモードでリモートにあるコンピュータをコントロールしたり、監視したりすることが可能になり、さらに複数のモニターが接続されているコンピュータの、両方のスクリーンをコントロールし、監視することが可能になっている。このような状況では、両方のスクリーンは一つのウィンドウで表示されるが、全デスクトップ画面にアクセスするには Fit Screen in Window オプションのチェックを外し、スクロールすることが要求されるかもしれない。コントロールモードにおいては、Remote Desktop はリモートにある Mac に対して、スクロールホイールや右クリック動作を送ることができるようになっているため、通常の作業手順を変更する必要性が少なくなっている。Apple によれば、他社製の VNC ビューアや VNCサーバへのサポートも改善されているそうだが、私は以前問題を抱えていた様々なアプリケーションをまだ試してはいない。

<http://www.apple.com/remotedesktop/>(日本語)アップル - Remote Desktop
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07821> (日本語)apple remote desktop 2.0 にリモビンを渡す

他の改善点としては、Send Unix Command が複数行のメッセージ出力に対応したことがある。これで Send Unix Command は、SSH セッション(Remote Desktop 経由ではまだできない)を介すること無くリモートの Mac を管理することができるために、一段と有益なものになっている。インストールパッケージコマンドを使えば、パッケージがターゲットの Mac を再起動させる必要が有るかどうかを調べ、インストール完了後にオプションで再起動させることができる。リモートにあるデータ収集が改善され、ハードウェアとソフトウェアのレポート印刷も改善が見られる。Apple は、Remote Desktop 2.1で、「ネットワークに繋がるホームディレクトリーに対してのファイルコピーが改善」と述べているが、通常使用では、リモートにあるマシンへのファイルコピー、そのマシンからのファイルコピーは、残念なことだが、全く簡単なことではない。マイナーな改善点としては、Active Directory を使ってのクライアント認証、ディレクトリーサービスに2つのグループ追加、Remote Desktop Admin のコラム表示でのソートが改善、Remote Desktop Admin が不意に終了した場合の設定の保存、そしてネットワークに繋がっているスキャナーの配列順序の保存があげられる。

マネージメニュで Upgrade Client Software コマンドを使えば簡単ではあるが、Remote Desktop クライアントも同様にアップグレードしなければならない。Remote Desktop Admin アプリケーションは、起動時にクライアントアプリケーションをアップグレードする。しかしながら、Remote Desktop Adminアプリケーションの一回目の起動時に Remote Desktop クライアント(その時点では動いていなかった)のバージョンが古いとのメッセージが表示( Adminアプリケーションを強制終了しなければならなかった)されたり、その後の2回のトライでも、Remote Desktop クライアントが動いていないと、Remote Desktop Admin アプリケーションを起動させることはできなかった。このようなことを避けるため、また他の奇妙な現象を避けるためには、インストール前に、Remote Desktop クライアントを起動しておくことをお奨めする。

Apple Remote Desktop 2.1は無料アップグレードで、ソフトウェア・アップデート経由で18.5MB のダウンロードだ。あるいは、 Admin アプリケーション(16.4MB) とクライアントアプリケーション(7.1MB) を別々にダウンロードすることが可能である。双方とも Mac OS X 10.2.8 以降が必要である。

<http://www.apple.com/support/downloads/appleremotedesktop21admin.html> (日本語)アップル - サポート - ダウンロード - Apple Remote Desktop 2.1 Admin
<http://www.apple.com/support/downloads/appleremotedesktop21client.html>(日本語)アップル - サポート - ダウンロード - Apple Remote Desktop 2.1 Client


アリスのレストランで Rolex スパムを

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>

覚えておられる方もいると思うが、TidBITS Talk を Web Crossing に移した最初の数日の間に、私が侵入可能な手立て全てを閉ざしてしまう方法を考えつく前に、二つ程のスパムがメールリストに入り込んでしまった。この過ちに加えて SpamCop の購読者の中に我々をスパマーとして報告する人が出てくると言う過ちとが重なり、二日間ほどの間我々は SpamCop のブラックリストに加えられてしまった。これは控えめに言っても、嫌になるそして困ったことであったが、少なくとも弁護士が絡んでくることはなかった。

特にこの数週間の間、Postini が私の代わりに毎日退けてくれるスパムの中身がかなり変化しているのに気づいた。嫌らしい類のものはかなり姿を消し、代わりにどう言うわけか、Rolex 時計の多分偽造品と思われるものの宣伝をするスパムが取って代わってきた。大体スパマーが高価な腕時計を膨大な数のメールユーザーに対して売りつけようとしていること自体かなり変であると言える。私の知る限り Rolex を欲しいという人の殆どは自分の好きなきちんと動く腕時計をすでに持っているし、まともな人ならば、その生涯にいくつ腕時計を買うというのであろうか?ところで、Arlo Guthrie の 18分の曲 “アリスのレストラン” の一節を借りて言うならば、私の言いたいのは腕時計の話などではないのである。

<http://www.arlo.net/lyrics/alices.shtml>

ご明察のように、この数日の間に他のメーリングリストも TidBITS Talk と同じ様に同じ様な問題に遭遇することとなった。そしてこの偽 Rolex のスパムメッセージの一通が FreeS/WAN リスト (FreeS/WAN は Linux のためのセキュアトンネリング IPSec 技術の一つの実現方法である) にまで到達した。FreeS/WAN リストに上がった次のメッセージもまたスパムである;私が思うに、彼らが何かを再構成しようとしていた時ほんの短い時間ではあったがこのリストを正当にロックするのに失敗してしまったのではないだろうか。皆さんはきっと、このリスト上の人達は憤慨して、それぞれにこのスパマーに対して悪態をついたところで、この見苦しい顛末も一件落着になったとお思いであろう。しかし、残念ながらそれでは収まらなかったのである。

<http://web.archive.org/web/20030522143805/http%3A//lists.freeswan.org/pipermail//design/2003-March/004535.html>

FreeS/WAN リストは Web 上でアーカイブされているので、Rolex Watch U.S.A., Inc. (覚えてますか Rolex? これは Rolex についての記事です。)は、Rolex 腕時計の偽者探しの最中にこの投稿を発見することとなった。年齢13歳以上の人なら (そしてその年齢より下の結構多くの人にも) 誰にでも明らかな様に、FreeS/WAN アーカイブに現れるスパムは、FreeS/WAN リストに起こりうるものであっても、FreeS/WAN リストが意図的に伝達しようとするものではないのである。これは事故であり、しかも残念な類のものである。しかしながらどうも、Rolex に雇われている高給取りの弁護士たちにはこれがわからないらしくて、停止を求める書簡を (疑いもなく27枚の光沢のある 8x10 の写真を同封、しかも裏には丸印と矢印と説明書き付きのやつで) John Gilmore に対して送りつけ、freeswan.org ドメインの登録者として $1,000,000 を超えない範囲で損害賠償の責任が問われる可能性があると通告してきたのである。その問うている責任とは、Rol ex の商標侵害、贋作の販売促進、そしてRolex の知的財産権を弱める内容のものを掲載したことに対してである。これは無礼に重ねて傷を負わせるようなものである!最初にスパムがあなたの運営しているリストに入り込んで来た、そして次にそのお陰で弁護士から脅されるのである。

<http://www.chillingeffects.org/trademark/notice.cgi?NoticeID=1454>

FreeS/WAN リストアーカイブを載せているサイトは今時点でダウンしているので、John Gilmore が問題のスパムをリストアーカイブから削除したかどうかは定かでないが、前掲した Web Archive からのリンクには残っているので、形は変わっても何らかの形でこのメッセージは永久に生き続けるし FreeS/WANとの関わりも消えないのである。勿論、これは馬鹿げたことだ。当のスパマーを除いたすべての人は、このメッセージが存在しているだけでも嫌なのだし、ましてや永久にアーカイブされるなんてもってのほかだと思っているのだから。しかしこれがインターネットのやり方そのものなのである。今更スパム魔人をボトルに詰め戻すことは出来ないのである。

それなのに、ここにあほな弁護士がしゃしゃり出てきて全く無実で無関係な人々に停止を求める書簡を送りつけ、多分その一方では Rolex に時間単位での請求をしそしてこの過程を通して Rolex には膨大な善意の損失を被らせている。更に事態を馬鹿馬鹿しくしているのは、メーリングリストアーカイブの運用者がスパマーの投稿を許したかどで法的損害責任に問われる可能性は殆どないのである;詳細については Chilling Effects の FAQ 質問事項を参照。

<http://www.chillingeffects.org/trademark/question.cgi?QuestionID=663>
<http://www.chillingeffects.org/trademark/question.cgi?QuestionID=314>

最後に、Rolex に、そしてとりわけその法律事務所であるGibney, Anthony &Flaherty, LLP に対して私はこう言いたい。

“餓鬼共よ、俺たちはてめえ達みたいな類は好きじゃねえ、だからてめえの停止命令の手紙は Web Archive の方に回すことにするぜ。そして友よ、インターネットのどこかにいる友よ、どこかのデータベースに鎮座まします友よ、この停止命令の手紙の黒白の判断をしてくれ。この記事を今君に書いている唯一つの理由は、同じ様な状況にいる誰かを知っているかもしれないからだ、或いは君自身が同じ様な状況に置かれているかも知れないからだ、もし君がそんな状況にいるならば君が出来ることが唯一つある、それは最も身近なブロッグに書き込みをすることだ、ただ真っ正直に書くのだ、'弁護士さんよ、ただ意味のない力ずくだけで欲しいものが手に入るほど世の中甘くねえぜ。' いいかい、もし一人が、たった一人がこれをやれば、彼らはこれはきっとキチガイに違いねえと思い聞く耳は持たねえだろう。そしてもし二人が、二人の人がやれば、トラックバック付きで、彼らはこいつらはきっとオカマに違いねえと思いどちらの言うことも聞かねえだろう。そして三人の人がやれば、三人だぜ、想像できるかい、三人の人がそれぞれのブロッグに同じ様な状況について書き込むんだぜ?彼らはこれは一つの集団だと思うかもしれめえ。そして考えてもみな、一日に50人が、そう一日に50人と言ったのさ、力ずくの法律戦術について書き込みをすることを想像できるかえ? そして友よ、彼らはこれは一つの社会運動だと思うかもしれめえ。そしてこれはまさにその通りなのさ、ローレックススパム虐殺反対運動、そして君が参加するためにやらねばならねえことは、次に意味のない停止命令の手紙がネット上で回ってきたら君のブロッグに書き込みをするのだ。”

Arlo よ、もし君がこれを読んでいるなら、君の歌詞を台無しにしてしまったことにお詫びを申し上げる。そしてそれ以外の人に、もしこれまでに “アリスのレストラン” を聞いたことのないようなしょぼくれた人生を送ってきたならば、すぐにこのアルバムを買いに行くべきである (残念ながら iTunes Music Store にはまだ入っていない)。更にもう一言、この様な停止命令書簡は殊更新しいことではないのは十分承知している;ただたまたま TidBITS Talk での出来事とこの Rolex スパムが私の Postini 隔離所を一杯にしていくのとでカチンと来たのである。

<http://www.risingsonrecords.com/detail.php?item=15>


石の上にも三年: XNS の復活

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

XNS を覚えているだろうか。これは、インターネット上でのデータ交換を単純にかつ安全にするためのプラットフォームで、ちょうど4年前に立ち上げるのを私も手伝った。そのときは、私は非営利の NGO である XNSORG の会長として働いていた。XNSORG は、XNS の開発者でシアトルを拠点とする OneName Corporation とともに、XNS の管理とプロモーションをしていた。たくさんの人々が多くの時間をかけて信じられないほどの努力をしたにもかかわらず、XNS の星回りは悪く、成功できなかった。それ以来、無料で登録された40,000 の XNS 名は使われることがなかった。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06133> (日本語)XNS と XNSORG がデビュー

XNS の最初の基礎を築いた Drummond Reed と何人かの重要な支持者が根気強くがんばったおかげで、XNS は復活した。ただし、新しい顔と名前がたくさん加わっている(私は 2004 年 5 月に XNSORG を退いた)。XNS 自体は、2つの部分に分割された。XRI(eXtensible Resource Identifier)と XDI(XRI Data Interchange)である。XNSORG はよりふさわしい名前、XDI.ORG に改名した。OneName は、ドットコムバブル崩壊を生き抜く過程で、何度かの再編成を経て、今は Cordance Corporation となっている。

<http://www.xdi.org/>
<http://www.cordance.net/>

個人の XNS 名を登録した 40,000 人の立場からいえば、もっとも重要なことは、無料で XNS 名(これからは「i-name」と呼ばれる)を再申請でき、新しくなった個人情報保護機能つきの個人連絡ページの恩恵を受けることができるということである。このページでは、i-name を使って連絡を取り合うことができるので、電子メールアドレスをスパマーに密漁されることがない。Cordance は XNS 名の登録者すべてに、このことについての電子メールを送っているが、スパムフィルターに引っかかったりアドレスが古かったりして、非常に多くの電子メールが届かないことが予想される。それなので、もしあなたに直接連絡がなかったとしても、許してほしい。その代わりに、この記事をあなたに対するお知らせだと考えてほしい。また、もしあなたの知り合いに XNS 名を登録していた人がいたら、それを再申請して再び使い始めることができるということを知らせてほしい。XNS 名の再申請をするには、i-nameの最初の「i-broker」となった身元保証サービス会社 2idi の下記ページを訪れてほしい。2番目のリンクでは、XNS 名を i-name に変換することにまつわる法律的な詳細を読むことができる。

<http://2idi.com/xns/>
<http://www.xdi.org/docref/legal/egs-xns-name-conversion.html>

(もしもあなたが XNS 名の再申請を希望しないなら、Cordance からのメールを無視すればよい。XNS に登録されたすべてのデータは、90 日間の更新プログラムが終了すると消去される。)

XRI、XDI、I-names、I-brokers の説明 -- XNS と XNSORG から移行したことによって、2つの重要な点が改善された。1つには、やってみてわかったことだが、新しい標準団体を1から作るというのはほとんど不可能に近い。標準というのは、皆が合意するものということだから、すでに存在している標準団体と協働するのが理にかなっている。結果として、XNS の基礎となっていた中核的技術は、電子商取引に関連した標準を中心に取り扱う非営利の国際協会OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)の中に位置を占めることとなった。第2に、XNS は XRI(eXtensible Resource Identifier)と XDI(XRI Data Interchange)の2つの部分に分割された。XRI は、いかなる抽象的オブジェクトであっても、場所・アプリケーション・搬送方法とは独立な仕方で同定するためのプロトコルである。また、XDI は、XRI を使った分散型データ共有のためのウェブサービスである。下記の最初のリンクは XRI と XDI についてのより詳しい説明で、次の2つのリンクは公式な OASIS の技術仕様書である。

<http://www.xdi.org/xri-and-xdi-explained.html>
<http://www.oasis-open.org/committees/tc_home.php?wg_abbrev=xri>
<http://www.oasis-open.org/committees/tc_home.php?wg_abbrev=xdi>

XRI は2つの形式をとる。機械向けの「i-number」と、人間向けの「i-name」だ。i-number は IP アドレスに似て、ネットワーク上のルータが使うのに効率がよいように設計されている。ただし、i-number は永久的なもので、あるi-number がひとたびあるリソースに割り当てられたら、その i-number がほかのものに使われることは決してない。(それに対して、IP アドレスは常に再割り当てがなされている。)それに対して、i-name は人間にとって覚えやすく、使いやすい。i-name は DNS 名のようなもので、i-number に名前解決される。今や、i-name をあなたの永久的なデジタル ID と考えることができる。電子メールアドレスは、プロバイダを乗り換えたり転職したりすれば変わってしまうし、電話番号は、引っ越しをすれば変わってしまう。ところが、i-name は場所・アプリケーション・搬送方法から独立な XRI なので、あなたの i-name はいつでもあなたを指す。XDI は、「リンク契約」によって管理される i-name 同士の双方向リンクによって実現される。リンク契約は、権限、認証、承認、プライバシー、使用制限、同期、終了やその他いろいろなことを宣言できる。

<http://www.xdi.org/i-names-explained.html>

これらすべては、i-broker の 2idi がすべての i-name 所有者に無料で提供している個人連絡ページサービスに集まっている。個人連絡ページは、ほかのウェブベースの連絡フォームと同様の連絡フォームを提供している。しかしながら、個人連絡ページは電子メールアドレスではなく i-name を使うので、スパマーが HTML ソースからアドレスを抽出して収集することができない。さらに、フォームの自動入力機能が使われるのを防ぐため、利用者はフォームを入力した人に対して確認メールに返信するよう求めることができる。これは、ほとんどのメーリングリストが、にせの登録を防ぐために登録確認メールに返信することを求めるのと同じやり方だ。もちろん、あなたに連絡しようとする人が i-name を持っていたら、確認メールは必要ない。なぜなら、i-name を持っている人は、どこかで確認の過程を通過しているはずだからだ。フォームが送信されると、i-broker があなたに電子メールを送ってくれる。だから、あなたは、すべてが信頼できる第三者を経由して執り行われているということに確信が持てるのである。

すべてがうまくいくと仮定すれば(再申請プログラムはアメリカ太平洋標準時間で 2004 年 10 月 25 日午後 5 時に始まったので、私はまだ私の名前を正式に再申請できていない)、下記にリンクした私の個人連絡ページから私に連絡することができるようになるはずだ。

<http://public.xdi.org/=adam.engst>

XNS を使った、これに似たサービスがもう1つあったが、それは電子名刺というべきもので、情報を表示することしかできなかった。個人連絡ページはそれよりもずっと役に立つ。i-name に尽力している人々が、個人の XNS 名を再申請した人すべてに対して、すぐに i-name を有効に活用できるようにしてくれたというのは、喜ばしいかぎりだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06485>

一般の人にとっての i-name -- 2000 年に個人の XNS 名を登録しなかった人たちも、i-name を手に入れることができるが、ただし、無料ではない。最初の 150,000 人は、25 ドルで 50 年間有効な i-name を登録でき、それには 2idi の1年間無料ホスティングがついてくる。この Early Global Services プログラムは、実は資金調達のためのキャンペーンで、経費を差し引いた後の収益のすべては、XDI.ORG とそのスポンサーである Identity Commons が共同で、さらなる身分証明・データ共有サービスのためのオープンソース・ソフトウェアを開発するために使うことになっている。

<http://www.idcommons.net/>
<http://2idi.com/registrar/index.html?referral_code=@xdi>

現在の Early Global Services プログラムと4年前の私たちの努力との違いの1つは、現在では、はるかに多数のコミュニティーが参加することに前向きだ(したがってメンバーに対して i-name を登録するよう促すであろう)ということである。およそ 15 のコミュニティーの参加が確定しており(ただし、まだすべてをリストアップしていない)、いくつかの有名どころも準備している。これほどの高い関心が寄せられているというのは、私にとって喜ばしいことであるが、驚くべきことではない。というのも、永続的な身分証明(人間だけでなく、物体や電子的抽象物についても)を確立し維持するという問題は、ここ数年のあいだに、いっそう大きくなっているからである。

<http://www.xdi.org/community-home-page.html>

将来の展望 -- 私は、すぐにすべての人とすべてのものが i-name を持ち、それを使うようになるだろうなどという、壮大な予言をするつもりはない。新しい技術は、今日のインターネットで受け入れられようとすれば、困難な戦いに挑むことになる。XRI と XDI の組み合わせが、人を引きつけずにはおかない特徴を有しているとしても、人々は、たとえよい方向であっても、変化を嫌うのだ。そうはいっても、Drummond をはじめとする人たちは、抽象的なオブジェクトを同定して、それらのあいだでのデータ共有を安全で信頼できるものにする方法をこの世に実現するために、莫大な時間を費やしてきたのだから、私はかれらの成功を祈っている。もしこのようなことにあなたも興味をお持ちなら、ぜひ XDI.ORG がやろうとしていることに注目してほしい。


TidBITS Talk/25-Oct-04 のホットな話題

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

各話題の下の2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバでの討論に繋がる。こちらの方がずっと高速のはずた。

電子メールの横暴 -- 電子メールはたぶんあなたの毎日のコミュニケーションに必要なものだろうが、それでも最近は電子メールに時間を取られすぎる気がしないだろうか? コミュニケーションが、いつのまにか気を散らすものになってしまっていないだろうか? そして、あなたは本当に電子メールクライアントを終了させる勇気があるだろうか? (メッセージ数 4)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2343>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/205>

iChat アーカイブ -- iChat のインスタントメッセージではたくさんのテキストが書き込まれるが、古い会話の内容を検索するにはどうすればよいのだろうか? (メッセージ数 5)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2344>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/206>

プレビューでブックマーク? -- プレビューを使って Take Control 電子ブックを読んでいる読者から、実際の本に紙切れを挟んでしおりにするのと同じような感じでこのプログラムでもブックマークが使えないのだろうかという疑問が届いた。(メッセージ数 4)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2345>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/207>

Office 2004 SP1 の問題点 -- Microsoft による最新の Office 2004 用サービスパックにおける変更点について、読者たちが議論する。(メッセージ数 2)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2347>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/209>


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