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#1478: TidBITS 読者アンケート、Siri を訓練する、Apple Card の利点、Apple Maps と Google Maps でのナビゲーションのヒント

皆さんの声をお寄せください! 私たちが皆さんの望む記事をお届けできているかどうか、どんな風に改善の余地があるか、読者アンケートを通じて教えて頂きたい。また今週号では、Adam Engst が Apple は労力をかけた傍受などせずにユーザーからのフィードバックによって Siri を訓練すべきだと提案しする。Apple Card がもうじき利用可能になりつつあるので、Josh Centers が Apple Card の利点を最大限に生かす方法を説明する。それから Adam が、旅行中に Apple Maps と Google Maps を使う際の現実世界での所見とアドバイスを述べる。今週注目すべき Mac アプリのリリースは、Keyboard Maestro 9.0、Mailplane 4.1.4、GraphicConverter 11.0.1、Lightroom Classic CC 8.4、Microsoft Office for Mac 16.28、それに Parallels Desktop 15.0 だ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

TidBITS 2019 読者アンケートに投票お願いします!

前回私たちが読者アンケートをしたのは 2015 年の終わり近くで、TidBITS ウェブサイトの大幅なデザイン改訂とインターネット基盤構造の移行に向けて作業を始めたばかりの頃だった。その作業がついに結実したのは 2018 年の 4 月であった。この新しいサイトと、ここ数年間でのインターネット出版のさまざまな変化を見つつ、自分たちのやり方への私たちの感覚と、読者の皆さんの考えとが合っているのかどうかと考え始めた。私たちの資金の大部分は会員システムを通じて TidBITS 読者の皆さんから直接寄せられているものなので、私たちとしては広告主よりも読者にとって何がベストかを第一に考えたい。

その質問にも、またさらなる他の質問にも答を出そうと、今回の読者アンケート TidBITS 2019 Reader Survey を開始しているので、読者の皆さんに参加して頂けると大変にありがたい。アンケートはいくつかの短いセクションに分けてあって、全部に答えるのに 5 分ほどしかかからないと思う。いくつかの質問については自由形式のフィードバックを書き込める欄が設けてあるので、それにお答えいただける場合にはもう少し時間がかかるかもしれないが。このアンケート自体は Google Forms に依存して働くが、どんなデバイス上でも動作するはずだ。ただし自由形式の回答をタイプするには Mac またはキーボード付きの iPad でするのが楽だろう。

今回のアンケートを作った主たる理由は、皆さんが私たちの書くものをどの程度気に入って下さっているのかがなかなか分からずにいるからだ。記事を出版した際に、私たちが得るフィードバックは主としてコメントを通してであり、それでさえ議論の内容は必ずしも読者がその記事に対して役に立つ、興味深い、またはその他何らかの感想を持って下さったかどうかを明かすものとは限らず、ただ単にその読者がその特定の話題に対して意見があるというだけのことだ。関与して下さるのは良いことだが、たとえ関与がなかったとしても必ずしもそれが何かを意味する訳ではない。私たちの過去の読者アンケートや、Mac のソフトウェアアップデートを紹介する Agen Schmitz の Watchlist (TidBITS 監視リスト) 項目は、高く評価されてはいるものの、コメントが付くことは滅多にない。

他の多くの出版物では、ウェブ統計が記事の人気の度合いを示す。けれども私たちにはそのやり方はあまりうまく働かない。なぜなら、TidBITS を電子メールで受け取っておられる読者の皆さんが非常に多いからだ。TidBITS 記事が目立って多くのウェブヒット数を得るのは、他のサイトから大きく外部的報道を得たり、短期間 Google News に登場したり、特定の Google 検索で高くランクされたりといった場合が多い。そのように注目を得るのはありがたいことだとは思うが、必ずしもそれは私たちが念頭に置いて働いている、いつもの読者の皆さんやTidBITS 会員の皆さんからのものとは限らない。

今回のアンケートを実施したもう一つの大きな動機は、2018 年から稼働させている私たちのインターネット基盤構造やビジュアルなデザイン改定について皆さんがどう思われるかを知りたいことだ。2018 年 4 月に作業は完了したと思われたかもしれないが、私たちはその後もずっと調整や改良を施し続けているし、またつい最近になって電子メール配送システムを SendGrid (毎月 $200 以上の費用がかかっていた) から Amazon SES (月額およそ $20) に移行させたばかりだ。最も大掛かりな変更は済んだかもしれないが、ユーザー体験を改善するためにできる何か小さなことがあれば、私たちは喜んでそれを開発予定リストに載せたいと思う。

そういうわけで、どうか、アンケートに参加して下さり、私たちの仕事を評価して頂きたい。よろしくお願いします!

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

何故ユーザーは Siri にその間違いを教えられないのか?

Apple の請負業者が我々の Siri 会話の一部を聞いていることについての最近の騒ぎを聞いて ("Apple、Siri の「応答グレーディング」傍受を一時中止" 2 August 2019 参照)、私は我々ユーザーが何故同じことを出来ないのかと考えざるを得ない。もし皆さんが少しでも私の様であるならば、Siri が間違ったり、思いもかけずに応答したりした時には、間違いなく言い返しているであろう。

Apple はこれ迄、その請負業者が何をやっていたのか正確に言ったことはないが、Apple の眼鏡にかなって単独で説明を受けた TechCrunch の Matthew Panzarino は、その "グレーディング" プロセスを次の様に説明している

これは、個人の名前や ID に結びつかない音声の一部を切り取り、それを請負業者に聞かせ、Siri が正しく聞いているか - そして Siri は誤って起動されてしまったのかどうかを判断させることに関わっている。

彼の説明を聞いていると、Apple の有名な "1984" 宣伝を、そして、その果てしなく続く灰色のユニフォームをまとった労働者達が、ただ違っているのは全員がヘッドフォンを身につけているが、Siri の切れ端音声に聞き入りそれぞれに三つのボタンの一つを押す光景が思い起こされる:正しい、間違い、不正起動の三つである。それは陰鬱な光景であり、実際の仕事はそれ程魂を消耗するものではないことを願うのみである。

私が妄想する光景が実際と重なるかどうかは別にして、Apple が Siri の正確性を改善するために必要とするフィードバックを我々ユーザーが提供出来ない理由は私には思いつかない。私の提案を述べる。

先ずは、オプトイン

他のことはさておき、Apple は私の提案する Siri フィードバックプログラムをオプトイン (ユーザーの事前同意による参加) とし、ユーザーが Siri フィードバックを有効にしたいかを初期設定時に聞き、そして Settings > Siri & Search にオンオフの切替えスイッチを提供すべきであろう。

それが礼儀というものであろう。考えてみれば、不正起動が起これば、ユーザーが決して公にする積りのない会話を録音することになってしまうこともあり得る。Apple は既に、現在の人間が行なっているグレディングプログラムをオプトインにすると言っている。

Siri ショートカットやボタン経由のフィードバック

有効にされると、Siri フィードバックスイッチは、3つのショートカットを作成する。そのデフォルトの表現は "良く出来ました"、"間違っています"、そして "呼ばなかったよ" である。設定画面は使い方の説明も提供すべきであろう。Siri フィードバックは如何なる応答の後でも、音声経由で、或いは画面のある機器ではボタンを使って与えられる。

Left: a mockup of the proposed Siri shortcuts Right: a mockup of the feedback buttons
左: 私が提案する Siri ショートカットのモックアップ。右: 私が提案するフィードバックボタン。

他の Siri ショートカットと同様、その表現は好きな様に変えられる - 思うに、不正起動は多くの人にとっては "黙れ!" であろうし、"間違っています" には、それこそ多種多様な置換案があるであろう。

明らかに、Siri との特定のやりとりに関して提供するフィードバックには何らの要件も存在すべきではないので、"良く出来ました" には余り使い道はないかもしれない。詰まるところ、Siri が正当に働いている限り、褒め言葉を掛けなければならない理由はまずない - 犬を訓練しているのではないのだから。私なら、その様なフィードバックは、Siri が難しい問いかけに正確な応答をした時のために取っておくであろう。

他の2つの訂正は - 不正確な応答と不正起動に対する - もっと頻繁に使われるであろうと思われる。私は既に Siri が私の命令を間違って理解した時、Siri を叱りつけるようとする自分を抑えるのに苦労しているし、Siri が何らの明白な理由もなく喋り出した時には、気が狂いそうになる。はい、私は "呼び出さなかったよ" を "黙れ!" に変える人間の一人であろうことは認める。

加えて、Siri の過ちを正した時、Siri はやらかしたへまに対して謝るべきであろう。単なる "すみません" でも、ユーザーのイライラを減ずるのに大いに役立つであろう。

理想を言えば、Apple が Siri を強化して、Siri は応答した後、フィードバックや追加の質問を予期して聞く体制を保ち続けるようにしてほしい。そうすれば、フィードバックの表現の前に "Hey Siri" を付けたり、ボタンを押したりしないで済む。Google Home は既にこれを Continued Conversation 機能を使って実現しており、応答した後 8 秒間聞き続ける。そして Amazon の Alexa は、Follow-Up Mode で応答の後 5 秒間聞き続ける。

Apple が必要とする結果を、ユーザー報告を表面通りの意味で受け取るだけで得られるのか、或いは、報告をある程度の割合で人間に送って追加の確認をしなければいけないのかは、私には判断出来ない。

そんな口調はやめて

ここ迄私が書き表したことは、基本的に機械的なもので Apple とユーザーの両者が十分に扱えるものだと思う。もし Apple がその様な機能を付け加えたら、私は喜んで明日からでも Siri の間違いを指摘し始める積りだ。

しかし、もっと欲を言えば、Apple の自慢の技術者達がもっと先を目指し、口調とか感情の状態とかを認識し始めて欲しい。マシンラーニングのアルゴリズムは、ユーザーの普通の口調と声の大きさと彼らがよりぶっきらぼうにそして大声で話す時とを区別するように教えられるのではなかろうか。我々の多くは、Siri が会話を中断したり、或いは簡単な命令に見えるものを完全に間違えてしまった時、ついイライラして声を上げてしまうではないか。

"Hey Siri, Beatles の曲をかけて。"

"NO. Ann Peebles じゃないよ! The BEATLES だよ!"

この様な認識の場合 - そしてフィードバックスイッチは有効になっているとして - Apple は、ユーザーからの更なるやり取りなしでも、Siri がヘマをやらかした印は検出出来るであろう。正確さの度合いは疑いなくより低いであろう。何故ならば、あなたのイライラは、Siri がやったことではなく、猫が死んだネズミを持ってきたからかもしれないからである。しかし、それでも何もないよりはマシであろう。

もっと多くのフィードバックをより低コストで

Matthew Panzarino は、Apple のグレーディングプログラムは、Siri の毎日のリクエストの 1% に満たないものを評価しているらしいと言っている。2015 年に、Apple は Siri は週に 10 億のリクエストを処理していると言った。つまり、毎日 143 百万リクエストである。この数字は 2015 年以降急上昇しているであろうが、ここではこの数字を使うことにする。

"1% 未満" の領域に丸めた数字として一日 1 百万のリクエストだとすると、それを処理するのに、Apple は何人雇わなければならないのであろうか? 例えば、平均して一人の人が一分間に 3 つのリクエストを処理出来、それを一日 8 時間続けられるとすれば、Apple は少なくとも 700 人の労働者を必要とすることになる。従って、Apple は実際に "1% 未満" より遥かに少ないリクエストを処理しているのでない限り、同社は Siri の精度を上げるために何千人もの人を雇っているように見える。

これらの人を何百万もの Siri ユーザーで置き換えよう。そうすれば、私の考えでは、Apple はより確度の高い可能性を持つフィードバックを遥かに多く手に出来、そして巨額の費用を節約出来るであろう。その上、これは人ではなく、コンピュータがすべき類のものである。この手の仕事は脳を疲弊させるに違いない。

皆さんはどうですか? もし Siri フィードバックがオプションであったら、皆さんは参加しますか? コメントで知らせてほしい。

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Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

Apple Card 特典を最大限に活用する方法

Apple Card への招待状が、Apple の新しいクレジットカードのプレビューに申し込んだ人に送り出されている。報道も盛んである - Macworld は FAQ で、その詳細全てを取り上げ、そして Jeff Porten は TidBITS のために今年初めにその影響について "Apple Card: 単なるクレジットカードではない" (28 March 2019) の記事を書いた。既に多くの人によってカバーされたことをもう一度おさらいするのではなく、ここではあなたの Apple Card 特典を最大限に活用する方法を取り上げたいと思う。

Apple Card の特徴的な特典は、デイリーキャッシュと呼ばれるキャッシュバックであるが、それは、何を、どの様に買うかに依存する。受け取れるのは:

Apple Card を Apple サービスに対して使う

3% のキャッシュバックを得る簡単な方法は Apple Card を全ての Apple サービスに対して使うことである。Apple はそれをするショートカットを Apple Card 設定に用意している:

  1. Wallet アプリを開く。
  2. Apple Card をタップ。
  3. 右上隅にある ... ボタンをタップ。
  4. 下方にスクロールして Make Default at Apple をタップ。

こうすることで、 Apple Card があなたの Apple との取引全てに対するデフォルトの支払い方法となり、そこには App Store からのアプリ購入、Apple TV 購読、iCloud ストレージ、Apple Music プラン、そして、もし毎月の支払いを選択していれば AppleCare すらも含まれる。

Apple Card がデフォルトの支払い方法となっていることは、Settings > Your Name > Payment & Shipping に行けば確認出来る。あなたの Apple Card は最初の支払い方法としてリストされているはずである。

もし Apple Watch を持っているならば、Watch アプリを開きそして My Watch Wallet & Apple Pay > Default Card をタップすることで、Apple Card がデフォルト支払い方法となっているか調べられる。

Apple Pay を使う

勿論、Apple はあなたに Apple Pay を使って欲しい。だからこそ、同社は Apple Card 経由でそれを使った購入に対して 2% のキャッシュバックを提供するのである。Apple Pay は今や十分に知れ渡っているものなので、細かい説明は省略して、それを使うことに関する幾つかのやり方だけ挙げておく:

Apple Card を iPhone Upgrade Program にも使う

もし Apple の iPhone Upgrade Program に加入しているのであれば、支払い方法を Apple Card に変更して毎月の支払い毎に 3% のキャッシュバックを得られる。しかし、支払い方法をどの様に変更するのかは自明ではないし、Apple も説明していない。

iPhone Upgrade Program は Citizens One によって運営されているので、iPhone を買ったり、下取りに出したりする以外のことをするためには、Citizens One アカウントを作らなければならない。私が "iPhone アップグレードプログラム: 振り返りの 1 年" (30 November 2017) で説明した様に、最も面倒な部分は、Citizen One の迷路の様な要件を満たすパスワードを作ることである。また、ローン番号も必要だが、これは Citizens One からの毎月のメールレシートの中にある。

Citizens One password guidelines

アカウントの設定が終了したら、ログインして現在の残高の下にある Change Payment Account をクリックする。Change My Payment Account と書かれたドロップダウンリストをクリック、そして Add a New Payment Account を選択する。

繰り返しになるが、あなたの Apple Card 番号やその他の情報を得るには、Wallet を開いて、あなたの Apple Card、続いて ... ボタンをを、そして最後に Card Information をタップする。Confirm をクリックすれば、あなたの Apple Card が iPhone Upgrade Program 加入のデフォルト支払い方法となっているはずである。

キャッシュを請求する

Apple Card に固有な特典の一つは、Apple があなたに毎日キャッシュバック支払いをすることであるが、そのキャッシュにどうやってアクセスするのかはそれ程自明ではない。Apple はあなたに Apple Pay Cash システムを通して支払いをし、そのお金をその仮想カード上に置く。

Apple Card cashback in Wallet

Wallet 内の自分のカードを見れば、スタックの中に Apple Pay Cash が見えるはずである。そこには、もしあれば現在高が表示されている。そのカードをタップすれば最新の取引が見られ、そこには Apple Card の Daily Cash キャッシュバックも含まれる。

Apple Pay Cash を使って友人に送金することも出来るが ("個人間決済用 Apple Pay Cash の使い方" 7 December 2017 参照), そのお金を他で使いたければ、まず最初にそれを引き出さねばならない。自分の Apple Pay Cash カードを見ている間に、その ... ボタンを、そして Transfer to Bank をタップする。もし未だであれば、Apple Pay Cash と連携した銀行口座が必要である。

利息の支払いを避ける

Apple Card は無料であり、素晴らしいことだが、タダで使えるわけではない。もし、繰越残高があれば、それに対して年利率 12.99% から 23.99% の間の利息を払うことになる。支払い期限は、毎月の最終日で、支払い通知は受け取るが、見落としたり、支払いを完了できない等ということも簡単に起きうる。例えば、iPhone を無くしたりしたら、現時点では他の支払い方法は全く無い!

幸いににして、自動支払いの設定も出来るので、そうしておけば利息の支払いは完全に避けられる:

  1. Wallet を開いて、Apple Card 設定に行き、Apple Card をタップ、... ボタンをタップ、そして Scheduled Payments をタップする。
  2. Continue をタップ。
  3. Pay My Bill をタップ。
  4. Next をタップ。
  5. "When Payment Is Due" が選択されたままにして、Next をタップ。
  6. Touch ID, Face ID, 或いは Apple ID パスワードで承認する。

勿論、Apple Card 設定 > Bank Accounts で設定された銀行口座が必要である。 Apple Pay Cash とリンクされた銀行口座があるのであれば、それを Apple Card にリンクさせるのは二つ程のステップで完了出来る。

Apple Card についての考え、或いはその第一印象はどうですか? コメント経由で知らせて欲しい。そして今後の計画についても我々の一問アンケートに答えて欲しい。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

地図アプリについて現実世界での所見

先月、Tonya と私はスイスで二週間を過ごした。ここの公共交通機関は、少なくとも私たちアメリカ人にとっては、本当に驚くべきものだ。どうやらここでは交通機関で国中どこへでも行けるらしく、これは本当に言っておきたいが、バスも、路面電車も、列車も、あらゆるものが時間通りに走っている。まさに時計職人の国として知られているスイスならではのことだ。

この国にいる間、私が最もよく使ったアプリは Apple Maps と Google Maps であった。私たちが持っていた Swiss Travel Pass は、山岳鉄道などを除いて (割引はされる)、すべてのものに無料で乗れるというもので、ほぼ毎日私たちは次の冒険の地や移動先への道順を地図アプリで調べていた。私は両方のアプリとも大いに使い、時には両方を同時に使うこともあったが、その経験を通じて観察したことを、ここで紹介することで、皆さんが次に旅行される時にお役に立てればと思う。

地図アプリは大量に電力を使う

iPhone のバッテリーがとびきり良い状態でない限り、旅行中には外部バッテリーパックを持って行くことを強くお勧めする。iPhone が電池切れになったせいで地図アプリにアクセスできなくなるのは極めて大きなストレスを生むからだ。私の iPhone X はまだ Battery Health Maximum Capacity (バッテリーの状態 > 最大容量) が 94% で、その日以前に私がバッテリー切れの危機に陥ったのはほんの一度か二度しかなかった。けれども、私は普段から午前中は Low Power Mode (低電力モード) にして電力消費を抑えるようにしていた。気恥ずかしいことに私はそのことを意識していなかったのだが、Control Center に Low Power Mode ボタンを追加して毎日 Settings > Battery を開かなくてもよいようにしておくべきだった。

先日の記事“Orange Holiday Europe: ヨーロッパ旅行のための安価な 4G SIM”(2019 年 7 月 22 日) でも触れたように、Tonya の iPhone 6s にはもっと大きな問題があった。私の iPhone X よりも新しくバッテリーを交換してあったにもかかわらず Battery Health Maximum Capacity がたった 88% しかなく、Tonya はいつも外部バッテリーを携帯するとともに、本当に重要なことのみに iPhone を使うようにしていた。その結果、私がほとんど常に地図を調べることになった。地図アプリを使えば彼女のバッテリーの減りがなおさら早くなるからだ。

徒歩では Apple Maps の方が良い

ある友だちからものすごく可愛い Smart Fortwo を借りて乗っていた一日を除いて、私たちはどこへ行くにも徒歩か公共交通機関しか使わなかった。またはもっと正確に言えば、私たちはどこでもまず歩いてから公共交通機関を使った。というのも駅から駅へ行くにはいつも歩くしかなかったし、Lausanne (ローザンヌ) と Lucerne (ルツェルン) と Geneva (ジュネーヴ) では歩いて町の中を探索したからだ。私は Apple Maps と Google Maps の両方を使っていたので、歩くための道案内を片方で見てから、もう片方で見たり、あるいは両方を同時に見たりすることもあった。

歩くための道案内については Apple Maps の方が Google Maps よりも良い働きをした。これは、それが Apple エコシステムの中で持つ特別の位置の結果だ。曲がり角ごとの指示を、カスタマイズした触覚信号と共に、Apple Watch を通して知らせてくれる。しかもロック画面を乗っ取ることもできるので、スクリーンをちらっと見るだけで自分たちの状況がすぐに分かる。これに比べて Google Maps は出せる通知が限られている。それに、うまく言葉にはできないけれども、私の感じでは Apple Maps の方が歩きながら道案内をしてもらう際に安心できるし頼りになる気がするので、その場で使っていて快適だ。

Screenshots of walking directions
歩きながらの道案内画面。左が Apple Maps、右が Google Maps。

Apple Maps をロック画面に出しているとカメラが使えない

Apple Maps にロック画面を乗っ取らせて使うのは便利だが、厄介なこともあることが分かった。私たちは旅行者モードであったので、iPhone をさっと取り出し、ロック画面上のカメラボタンを押して、手早くスナップ写真を撮ることがよくある。でも Apple Maps がロック画面上にあると、カメラボタンもなくなってしまい、まず iPhone のロックを外してから Camera アプリを手で開かなければならない。地図を見ながら歩いている状態で、それも Tonya と喋りながら歩くので、ロック画面からカメラへのショートカットがなくなるのはかなり具合の悪い状況を生み出してしまう。

その時には思い付かなかったのだが、Camera を Control Center に追加する (Settings > Control Center > Customize Controls) ことはできた。そうすれば Maps が占領しているロック画面からでも、iPhone X の右上隅から下へスワイプして Control Center を開けば手軽にカメラが使える。歩く道案内に Apple Maps を使う予定で、写真も素早く撮りたいと思う人には、あらかじめそのように Control Center をカスタマイズしておくことをお勧めする。

Screenshots of Control Center
左: More Controls リストの項目の隣にある緑の + ボタンをタップしてその上の Include リストに追加する。図では Camera が既に追加されている。右: Control Center を開いて、Camera ボタンをタップすればロック画面からカメラに切り替わる。

両方のアプリとも自分が進む方向を示す

ずっと以前から、歩きながらの道案内で私が一番困る問題は、どんなアプリを使っていても、そもそもの歩き始めにどちらの方向に歩き出すのかが分からないことだった。けれども Apple と Google は双方とも、この点でそれぞれのアプリを改良してくれた、従来は、歩き始めてしばらくしてから、そもそも最初に反対向きに歩き始めてしまったのだと気づくことがよくあった。自分の現在位置を示すアイコンが、今はどちらを向いて歩くべきかを示してくれるようになったので、たいていの場合ゆっくりと方向転換するだけでどちらに行けばよいのかが分かる。

Directional icons in Apple Maps and Google Maps
方向アイコン。左が Apple Maps、右が Google Maps。

これについては一つだけ問題がある。アイコンはかなり小さいことがあるので、近くを見る視力が悪い場合、あるいは眩しい日差しの下にいる場合には、画面の細かいところが見えにくくて向きが見分けにくいことがあるのだ。たとえ方向アイコンが見えていても、私はいつも正しい向きに進んでいるかどうか確かめるようにしていたし、しばらく歩いてから二人が反対方向に歩いていたことを認めざるを得なかったことも何度かあった。ハイテクの地図機器を装備した男としては、面目丸潰れだった。

大きな駅ではやはり迷う

Geneva 行きの列車に乗ると、Gare Cornavin (コルナヴァン駅) に着く。ここは巨大な交通結節点で、列車も市内の路面電車もバスも乗り入れている。問題は、そしてこの問題ではどちらのアプリも大して助けになってくれなかったのだが、バスや路面電車をつかまえる場所がかなり遠く離れた二つの場所に分かれていることだ。どちらのアプリもバスや路面電車の路線番号は示してくれるが、乗り場がどこにあるかはどちらのアプリも示してくれなかった。さらに困ったことに、使える路線が複数あって時間は経過し続けるので、私たちがどうすればいいか苦闘し続けている間に、その可能性が、そしてどこへ行けばそのお奨めのバスに乗れるのかが、どんどん変化し続けた。私たちはこの駅に夜遅く到着して疲れ切っていたので、なおさらストレスが溜まった。

この問題を解決できる良い方法を、私は思い付けない。単純な事実は、いくら先進的な地図アプリがあったとしても、公共交通機関を効率的に利用できるためにはある程度その土地の知識が必要だということだ。

移動中に歩いていて道案内を得るのは具合が悪い

交通機関を利用した道順をセットする際にはほとんど常に歩いて駅まで行くことが必要となる。問題は、どちらのアプリもその際に必要な歩く道順をあまりうまく提供できなかったことだ。どちらも地図を示してその上に行くべき道筋を示す線を示すけれども、歩いている間の曲がり角ごとの指示はどちらもしてくれず、そのため私たちはずっと iPhone を見つめながら地図を見て自分でどこで曲がるか判断しなければならなかった。方向アイコンも出ていなかったような気がするけれども、これは眩しい太陽光の下で画面がよく見えなかったというだけのことかもしれない。いずれにしても、どうしてこれらのアプリは移動のために歩く間も同じインターフェイスを提供してくれないのだろうか?

Screenshots of walking directions while in transit routing
移動のために歩く間の道案内はあまり理想的とは言えないし、意見が分かれたことも多かった。左が Apple Maps、右が Google Maps。

時々私は先に移動ルートを Google Maps でセットしてから、次に Apple Maps に切り替えて最初の駅まで歩く道順はそちらで調べるようにしていた。こうするとうまく行くように見えたが、とりわけ Geneva の中心街では、Apple と Google の意見が食い違うことがよくあった。それは単にその場所へ行く最良の道筋についてだけでなく、どの交通手段で行くかについてさえ食い違うことがあって、私たちは結局どちらか片方のアプリを選んでそちらに従うようにするしかなかった。たぶんどちらを選んでもうまく行ったのだろうが、子供時代に両親に連れられてどこかへ行った日に両親が言い争いをしているのを見ているような不安な気持ちにさせられた。

バスのルートは必ずしもアプリの言う通りではない

Geneva での最初の夜、Gare Cornavin から私たちが宿泊する Airbnb まで行くのにどのバスに乗るべきかようやく推測できた後、私は Google Maps デバイスに表示されている自分の移動位置が予想された青い線から外れているのを見てちょっと心配になった。幸いにも、それでも正しい方向には向かっていたので、そのままバスに乗っていたら、最後にはバスの位置が青い予想線と合流して、私たちの行くべきところに止まった。でも、時にはバスにそのまま乗っているべきか、それとも路線を間違えたのでバスから降りるべきかを素早く判断しなければならないこともあるので、あの逸脱のせいで緊張に満ちた数分間を経験する羽目になった。

バス停の名前は必ずしも一致しない

もう一つ、やはり耐えがたい思いをさせられたのが、バス停の名前が地図アプリに示されたものと違っていた時だった。食い違いはそれほど大きなものではなかったけれども、それでも土地の言語を話せないことでいくらか途方に暮れている旅行者にとっては、ちょっとした違いでも大きな不安につながる。

例えば、ある時点で、Apple Maps と Google Maps の両方とも私たちが降りるバス停の名前が "Cointrin, De-Joinville" であり、その手前の二つのバス停の名前が "Vernier, Balexert-Pailly" と "Vernier, Floralies" だと告げていた。ところがバスの車内の表示スクリーンはこれから止まるバス停の名前を単なる "Balexert-Pailly"、"Floralies"、"De-Joinville" と表示していた。もちろんちょっと考える時間さえあれば単に最初の単語を省略しただけだとすぐに気付くけれど、長い一日の終わりに暑さに疲れて、バックパックを背負ったまま立ち乗り専用のバスにぎゅうぎゅう詰めになっていれば、バス停の名前の最初の単語が違うというだけで頭が回らなくなる。要するに、地図アプリが少しだけ違った名前をバス停に表示することがあるという事実は心に留めておくとよい。

Photo of a bus stop screen
バスは常にバス停の名前を表示するけれども、地図アプリが表示する名前と合っていない場合は不安にさせられる。その通り、写真を表示画面のところだけにトリミングすることもできたのだが、そんなことしてどこが面白いだろうか?

列車の中で新しい道筋をプレビューするのは難しい

少なくとも二つの地図アプリを常に持っていたい理由の一つは、ルートを移動している最中で列車の中にいる間、いったんそれを止めてルートを選び直そうとしてもうまく行かないからだ。でも、別のルートの可能性をプレビューしたり、目的地を少しだけ変更する必要が生じたりする場合にはそういうことをしたいと思うものだ。

うまく行かない理由は、あなたが列車に乗ったかどうかをアプリが知る方法がないからだ。だから、アプリはあなたを最寄りの駅へ導こうとするけれども、それは既に通り過ぎた駅であったり、またはあなたが徒歩でそこに立っていたとすればあり得る、まったく別の交通機関を必要とするものであったりする。

私が素早く学んだ技は、Google Maps にはそのルートを維持させたままにして、まず Apple Maps に切り替えてから、そちらで別のルートの可能性を調べたり、次の日の旅行がどんな風になるか考えたりするというやり方だ。

バスの最終便に注意

ある日、私たちはスイスアルプスの Grindelwald (グリンデルヴァルト) から Geneva へ旅した。その日は 5 本の列車、2 本のバス、フニキュラー (ケーブル鉄道)、ロープウェイ、トロッコを乗り継ぎ、それに自動車に乗せてもらったりもした。これは、私たちが via ferrata (ヴィア・フェラータ) とハイキングのために Moléson (モレゾン山) へ行ったからだ。二人は別行動した。なぜなら、Tonya はこんな斜面をよじ登るなんて死んでも嫌だと言ったからだ。

Photo of via ferrata hardware in Moléson
高所恐怖症の人にはお薦めできないが、本物の登山家には弱虫がすることと思われるに違いない。でも私はヴィア・フェラータをとても楽しいと思った。もちろん、私は終始自分の体を鋼鉄のケーブルに繋いでいた。

山の中腹にある息を飲むほど素晴らしい眺めのレストランで二人で落ち合うと (麓からレストランの高さまでフニキュラーで登り、そこからロープウェイで山頂まで行ける。ただし私たちの場合は山頂からレストランへ戻った。というのも私はまっすぐ山頂まで岩場を登り、Tonya はハイキングで山頂まで歩いたからだ)、私は Geneva までの残りの旅程を地図アプリに調べさせたが、あと 18 時間かかると出てショックを受けた。私は 3 時間と予想していたのだが。

Photo of Moléson
Moléson 山。これもまたスイスの山の見事な景色の一つで、とてもくつろいだ気持ちにさせてくれた。残りの旅程の計画を始めるまでの間は。

問題は、Moléson から Gruyère (グリュイエール) - そう、チーズで有名なグリュイエールだ - までのバスの最終便がその日は 6:37 PM だったことで、時計を見るともう 7 PM を過ぎていた。結果として、どちらの地図アプリも翌朝の 7 AM まで待つことを前提に時間を計算していた。幸いにも、やはり山に登りに来ていたスイス人の家族が親切にも Gruyère まで車に乗せてくれたので、私たちは Gruyère 発の最終列車に間に合うように荷物満載のバックパックを背に 4 km を必死で歩かずに済んだ。

バスの最終便に乗り遅れたのは、私たちにとって不意打ちだった。私たちは既に、いつでも、どこへでも行けるというスイスの交通機関の便利さに慣れてしまっていたからだ。けれどももちろん、すべての便が夜中も走っている訳ではない。ことわざをもじって言えば、旅する者は用心せよ というところだ! そして、次に述べる私の事後考察も心に留めて頂きたい。

道筋のスタート時刻をセットできるのを覚えておこう

地図アプリを使うのはほとんどの場合、あなたが現在いる場所をほどなく出発してどこか目的地へ向かうという状況だろう。2つの地点の間の道順を示してもらえることはおそらく皆さんご存知だろうが、交通機関の案内を受ける場合に出発時刻を設定できることまではご存知でないかもしれない。その日のあなたの活動と、交通機関の時刻表とをすり合わせたい場合には重要なことだ。

Apple Maps では、ルートのセットアップを終えた後、ただし Go をタップするより前ならば、From で始まる行に見える Leaving Soon リンクをタップすれば、望みの日付と時刻を設定できる。

Screenshots of setting leaving time in Apple Maps
Apple Maps で別の出発時刻を設定する。

同様に、Google Maps では、出発地と目的地を設定した後で、ただし提案されたルートの一つをタップするより前ならば、Depart At メニューをタップして異なる日付と時刻を指定できる。私はこれを試してみて、Google Maps がどの日についても Last というオプションを提供していることに気付いた。私たちが Moléson にいた日にこれを知っていればよかったのに!

Screenshots of setting leaving time in Google Maps
Google Maps で別の出発時刻を設定する。その日の最終便を見つけるオプションに注意。

接続性がなければどうするか?

私たちがスイスにいる間、Apple Maps も Google Maps も、必要な地図データをダウンロードできないというエラーを表示したことは一度もなかった。けれども、iPhone がステータスアイコンとして 3G、4G、LTE でなく EDGE しか表示しないことは時々あったし、あの恐ろしい No Service ステータス表示さえも時々出ていた。そのような状況ではオフラインの地図データが役に立ったことだろう。オフラインの地図データのもう一つの利点は、iPhone を機内モードにしてバッテリー電力を節約しデータ課金を避けつつナビゲーションができることだ。(iOS 8.2 かそれ以降が走っていれば、機内モードでも iPhone の GPS は機能する。)

旅行から戻った後で友人たちと話していたとき、一人の友人が Google Maps ならば自分たちがいるその地域のオフライン用地図のみをダウンロードできると指摘してくれた。左上隅にあるハンバーガー (三本線) メニューをタップして、Offline Maps をタップし、Custom Map をタップしてから、つまむ動作で欲しい領域を地図の画面に表示させ、Download をタップすればよい。

Screenshots of offline map use in Google Maps
一つの郡程度の広さの地図をダウンロードすると iPhone 上でかなりの容量が消費されることに注意。

もう一人の友人は別の地図を薦めてくれた。Maps.me だ。ここは無料でオフライン地図を提供し、曲がり角ごとの道案内ができる。iPhone 上で十分に有能な地図アプリのようだが、やはり欲しい場所の地図情報を接続性のあるところであらかじめダウンロードしておかなければならない。注意すべきは Maps.me が限られた数の都市のみでしか交通機関の案内ができないことだ。奇妙なことに、Lausanne (ローザンヌ) は含まれているが、それ以外のスイスの都市は含まれていない。

Screenshot of offline map use in Maps.me
欲しい地域の地図をダウンロードしておけば、Maps.me は完全にオフラインで使える。

Apple Maps にはユーザーがコントロールできるオフラインでの使用法は用意されていないが、それでも Go をタップした時点ですべてをキャッシュしているのは間違いないと思われる。それに、ある地域をロードしてあなたが行きたい場所すべてにズームインすれば、Apple Maps はオフラインで表示できるだけのデータをキャッシュしているかもしれない。率直に言って、自動化されたキャッシュ作成アルゴリズムに賭けて信頼できるオフラインのナビゲーションを得ようとするなどと考えるのは正気の沙汰ではないと思う。Apple Maps が持つこの制約もまた、常に複数個の地図アプリを使えるようにしておくべきであることのまたもう一つの理由だ。他にもお薦めをお持ちの方は、コメントに書き込んで頂きたい!

フィナーレはローテクで

最後にもう一つ書き添えておきたいのは、スイスに特有の話だ。スイスの公共交通機関で私たちが最も当惑させられたのは、料金を支払うやり方だ。私たちは二人それぞれに Swiss Travel Pass を買っていて、料金は一人当たり $550 だったが、私たちはそれ以外に、Eiger (アイガー) で 12 マイル (19 km) の Eiger Trail ハイキングの出発地点まで乗った山岳鉄道や、v 山のフニキュラーとロープウェイで、それぞれに割引を受けた少額の料金を支払った。それ以外はすべて無料で、スイス国内のほとんどすべての博物館の入場料金も無料になったので、これは十分以上のお買い得であった。

けれどもこの Swiss Travel Pass というのは文字通り一枚の紙で、利用する日ごと初めて乗る前に二つの四角の中にその日付の月と日を手で書き込むようになっていた。これは 30 日間の枠の中のどれでも 15 の日のみに有効だからだ。その説明は 6 か国語でぎっしり書かれたページの中に埋もれていたので、当初私たちはそうとは気付かなかった。最初に乗ったバスで、英語を話さない運転手とやり取りしながら私たちはまだ混乱状態を脱せずにいた。私たちが尋ねても、運転手はただ私たちの顔を見てうなり声をあげるだけだったからだ。どうやらここでは、バスは大体において自主申告によっていて、私たちが思ったような形で切符をチェックしたりしないらしい。

Photo of a Swiss Travel Pass
想像してみて欲しい - 紙の切符だ!

けれどもその二日後、初めて列車に乗った際に、車掌は私たちが乗車する前にパスに日付を書き込んでいなかったのを見て哀れむような態度を取り、無知な旅行客へのお決まりの警告を述べた後で私たちを放免してくれた。効率を誇りとするこの国で、これは奇妙なほど時代遅れなシステムのように私には見えたし、ロンドンの公共交通機関にあったような、タップするだけで改札口を通れて Apple Pay を含む多くの NFR 対応の支払いシステムが使える、あんな風なものの方が良いのになあ、と思わされた。すべてが一つのアプリの中にカプセル化されるようになれば、この国の公共交通システムもスイス伝統の精密さと時間厳守に加えてさらなる評価を育むことができるのにと思わざるを得ない。

旅行中に地図アプリをうまく使いこなすためのアドバイスを他にもお持ちの方は、どうそコメントで共有して頂きたい!

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Keyboard Maestro 9.0

Keyboard Maestro 9.0

Stairways Software の Peter Lewis が Keyboard Maestro 9.0 をリリースした。この自動化およびクリップボード用ユーティリティのメジャーアップデートだ。今回のリリースでは Dark Mode への対応を追加し、複数個のエディタウィンドウを提供して一つのマクロを見ながら別のマクロを編集できるようにし、画像から OCR を使ってテキストを抽出できるようにし、JSON 対応を追加し、起動速度を改善し、システムのキーボードショートカットを使ってコピーとペーストをする際に Clipboard Switcher で選んだ複数個の項目を統合できるようにし、また Stream Deck プラグインへの対応を追加している。Keyboard Maestro の価格は一回限りの購入で $36 だが、バージョン 8 のライセンスを持っている人は期間限定でバージョン 9 へ $25 でアップグレードできる。バージョン 8 のライセンスを 2019 年 2 月 1 日またはそれ以降に購入した人は、無料でアップグレードが受けられる。(新規購入 $36、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、アップグレード $25、25.8 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

Keyboard Maestro 9.0 の使用体験を話し合おう

Mailplane 4.1.4

Mailplane 4.1.4

Uncomplex が Mailplane 4.1.4 をリリースして、Simplify Gmail 拡張への対応を追加した。この拡張は、今は廃止となった Inbox のクリーンなインターフェイスを復活させようと Michael Leggett (Google Inbox の共同創立者) が作ったものだ。この Gmail 専用電子メールクライアントはまた、来たるべき macOS 10.15 Catalina と互換になり、リリースノート、macOS 10.12+)

Mailplane 4.1.4 の使用体験を話し合おう

GraphicConverter 11.0.1

GraphicConverter 11.0.1

Lemkesoft が GraphicConverter 11 をリリースした。200 種類以上の異なるグラフィックファイルを読み込んで 80 種類近くのフォーマットに書き出すことのできる、グラフィックスプログラムの Swiss Army ナイフとも呼ばれるこのプログラムへの、メジャーなアップグレードだ。今回のアップデートでは、マクロの記録と保存への対応を追加し、RAW 画像の編集 (特に Exposure スライダーを使って画像を明るくする機能) を改善し、アーカイブ内部にある写真や書類を表示する機能を追加し、新しいワイドアングルの等化関数を導入してワイドアングル画像の縁の近くにある顔やオブジェクトの歪みを減らし、最大 10 色で色のグラデーションを作れるようにし、Finder タグへの対応を追加し、マージンをパーセント率で追加できるようにした。

バージョン 11.0 のリリース後間もなく、Lemkesoft はバージョン 11.0.1 を出して、macOS 10.9 Mavericks で RAW 画像を読み込んだ際のクラッシュを解消し、16-bit グレイスケールと Zip 圧縮を持つある種の TIFF 変種を読み込む際のバグを修正した。GraphicConverter 11 の価格は Lemkesoft からも Mac App Store からも $39.95 で、過去のバージョンを持っている人は Lemkesoft ウェブサイトから $25.95 でアップグレードできる。(Lemkesoft からも Mac App Store からも新規購入 $39.95、アップグレード $25.95、151 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

GraphicConverter 11.0.1 の使用体験を話し合おう

Lightroom Classic CC 8.4

Lightroom Classic CC 8.4

Adobe が Lightroom Classic CC 8.4 をリリースして、GPU 対応付きの加速された画像編集を追加してパフォーマンスをスムーズにした。このデスクトップ中心の写真カタログ・編集アプリケーションはまた、PNG ファイルフォーマットでの画像書き出しに対応し、コレクション・コレクションセット・スマートコレクションにカラーラベルを整理する機能を追加し、多数のグループ化 HDR やパノラマ写真をバッチ統合できるようにし、Library モジュールでのパフォーマンスを改善し、フィルムストリップにインデックス番号が含まれるようになり、さらにいくつかの新しいカメラレンズへの対応を追加している。

Lightroom Classic CC は Creative Cloud Photography プラン (これは Lightroom CC と Adobe Photoshop CC も含む) の一部としても入手できる。プランの価格はストレージ容量 20 GB で月額 $9.99、1 TB で月額 $19.99 だ。(プラン価格の比較表もある。) また、月額 $52.99 の Creative Cloud All Apps 購読にも含まれる。(月額 $9.99/19.99/$52.99 の Creative Cloud 購読、無料アップデート、リリースノート、macOS 10.12+)

Lightroom Classic CC 8.4 の使用体験を話し合おう

Microsoft Office for Mac 16.28

Microsoft Office for Mac 16.28

Microsoft が月例アップデートで Office for Mac のバージョン 16.28 を出して、書類・プレゼンテーション・スプレッドシートの中の Office 図形にカジュアルな手書きの外観を与えるためカスタマイズした“スケッチ”アウトラインを追加できるようにした。Word、PowerPoint、Excel はすべて、マップグラフを Excel の Geographic Data Types と統合することによりマップグラフを改善し、これによりマップされた場所に関する豊富な情報を明らかにできるようにした。Word は手描き入力の小さな不備を修正できるように 2 つのサイズの消しゴムを追加し、Excel は Resolve 選択してコメントを折りたたみ開いているアイテムを目立たせることができるようにし、Outlook はクラウドファイルを電子メールメッセージに添付 (OneDrive と Sharepoint に限る) できるようにし、PowerPoint はプレゼンテーション中にスライドに描画しつつプレゼンテーションが終わるまでペンのアクティブな状態を維持できるようにしている。このアップデートは遠隔コード実行を許す可能性のあったいくつかの脆弱性もパッチしている。(一回限りの購入ならば $149.99、年払い講読オプションは $99.99/$69.99、Microsoft AutoUpdate 経由で無料アップデート、リリースノート、macOS 10.10+)

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Parallels Desktop 15.0

Parallels Desktop 15.0

Parallels が Parallels Desktop 仮想化ソフトウェアのバージョン 15.0 をリリースして、30 個以上の新機能を追加するとともに、macOS 10.15 Catalina に対応した。また、Parallels は Apple の Metal API にも対応するようになって、グラフィックスのパフォーマンスを改善するとともに、DirectX 9、DirectX 10、および DirectX 11 用の仮想化対応も有効にした。(10.14 Mojave または 10.15 Catalina が必要。) つまり、従来のバージョンの Parallels では走らなかった数多くの Windows プログラムや PC ゲームを走らせることが可能になったということだ。

今回のリリースでは、macOS のスクリーンショットのプレビュー、Safari、Photos から直接に画像を Windows アプリケーションへドラッグ&ドロップできるようになり、Xbox One コントローラー、Logitech Craft キーボード、IRISPen、一部の IoT デバイスなどに接続する Bluetooth Low Energy に対応し、Finder でファイルを右クリックすることで Windows のデフォルトの電子メールクライアントを使って添付して送信できるようになり、Windows アプリケーションの中で Apple Pencil を使えるようにするとともにチルトと消しゴムにも対応している。Parallels Desktop 15 はまた、Microsoft Office アプリケーションの起動の速度を最大 80% 高速化している。

標準版の Parallels Desktop (家庭用および学生用) の価格は年間購読で $79.99、無期限ライセンスは $99.99、過去に無期限ライセンスを購入した人は $49.99 でアップグレード (Parallels Desktop Pro Edition へのアップグレードは $49.99 の年間購読) となる。無料の 14 日間有効フル機能の試用版もある。

Parallels Desktop Pro Edition および Business Edition はそれぞれ新規顧客には年額 $99.99 の購読となる。Pro Edition と Business Edition のいずれも、仮想マシンあたり最大 32 コア (vCPU) と 128 GB の vRAM を割り当て可能で、ビジネスクラウドサービスに対応し、年中無休 24 時間の電話および電子メールサポートが付く。Business Edition ではさらに中央化された運営・管理機能が加わり、大量配備のための統一ボリュームライセンスキーも提供される。(Standard Edition の年額講読 $79.99 [アップグレード $49.99]、Pro/Business Edition は年額講読 $99.99 [購読更新 $49.99]、200 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

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ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

FAA Warns Airlines about 2015 15-inch MacBook Pros

FAA、2015 年型 15 インチ MacBook Pro について航空会社に警告

Bloomberg の記事によれば、US Federal Aviation Administration (FAA、連邦航空局) が航空会社各社に対して、バッテリーの火災の問題により Apple が最近リコールした 2015 年型 15 インチ MacBook Pro に関する警告を出したという。(2019 年 6 月 20 日の記事“2015 年型 15 インチ MacBook Pro の使用を直ちに中止しよう”参照。) FAA の規制条項は次のように述べる:

メーカー/ベンダーによってリコールされたリチウムバッテリーは、機内に持ち込むことも、手荷物に入れることもできません。バッテリーにより駆動されるデバイスがリチウムバッテリーの安全性の懸念によりリコールされた場合も、そのデバイスを機内に持ち込んだり手荷物に入れたりすることはできません。ただし、そのデバイスまたはバッテリーが交換、修理、その他の方法によりメーカー/ベンダーの指示に従って安全な状態にされた場合を除きます。

対象となる MacBook Pro モデルを機内に入れないために空港や航空会社のスタッフがそのユニットが対象であるか否かをどのような手段で判定できるのかははっきりしない。その一方で、Total Cargo Expertise が管理する貨物航空機では 2015 年型 15 インチ MacBook Pro が完全に取扱い禁止となっており、European Union Aviation Safety Agency (欧州航空安全機関) は飛行中のこれらのラップトップ機の使用を禁止している。

もしもあなたが 2015 年型 15 インチ MacBook Pro を持っているならば、それが Apple のリコール対象であるか否かを必ずチェックし、もし対象であれば可能な限り早く修理を済ませて、火事のリスクを避けるようにしよう。

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What It’s Like to Be Banished from Apple’s Garden

Apple の庭から追い出されるとはどんな感じか

オンライン出版 Quartz で IT マネージャーをしている Luke Kurtis が iTunes ギフトカードを安売りサイト MassGenie で購入した時には、それが盗まれたカードを集めて作ったものであることを彼は知らなかった。Kurtis にとって不幸なことに、Apple の係員の一人が彼が詐欺にあったことを認識していたにもかかわらず、Apple は彼の Apple ID を数か月間にわたってロックした。その間彼は自分の購入にアクセスできず、アプリをアップデートできず、新たに購入をすることも一切できなかった。それ以後は Apple サポート担当者と話をしても Kurtis は壁にぶち当たり、できることは何もありません、Apple の決定は最終的なものです、契約条件の文言を読みなさいと何度も繰り返し言われ続けた。最後には、彼が CEO の Tim Cook に送った電子メールがどうやら Apple に行動を促したようだった。Kurtis はアカウントを取り戻し、数か月分の Apple Music の無料提供を受け、また MassGenie も結局は謝罪を述べて彼の購入の返金をした。

Kurtis の物語がハッピーエンドを迎えたことは喜ばしい。けれどもそもそもそういうことは起こるべきではなかった。Apple の顧客サービスはもっと良い仕事ができたはずだ。このような状況の解決のために CEO への手紙を書くことが必要になるべきではない。

今回のことはまた、私企業が必ずしも心底から私たち顧客のことを思っている訳ではないという教訓だとも言える。US Federal Trade Commission (連邦取引委員会) が、消費者が苦情を申し立てる方法について役に立つページを出している。それによれば、最終的には問題を州の検事総長レベルまで持って行くこともあるという。

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The HomePod Is Slated to Debut in Japan

HomePod が日本でデビュー予定

ついに公式に発表された。2018 年 6 月にカナダ、フランス、ドイツで店頭に登場していたが、HomePod は 2019 年 8 月 23 日に日本でも販売開始されることになった。( 9to5Mac の記事による。) 小売価格は 32,800 円つまりおよそ 310 米ドル、これは米国での小売価格 $299 とそう変わらない。他の国と同様、ホワイトとスペースグレイの両モデルがある。日本語が読める読者は、詳しい情報を Apple のウェブサイトで読める。

HomePod が日本で登場すること、加えて iOS 13 の新機能、例えば Handoff 対応などを見れば、Apple がスマートスピーカーのプラットフォームを諦めようなどとはしていないことが分かる。ただ、データを見る限りその人気は競合する Amazon の Echo シリーズや Google Home に遥かに及ばない。それはそれとして、いったいなぜ Apple は HomePod の国際展開にこんなに長い時間をかけているのだろうか?

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