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#1700: 米国が Apple を提訴、OS のバグ修正、新しい Apple ドキュメンテーションサイト、ポッドキャストアプリのアンケート結果

今週の大ニュースは米国司法省と 16 の州が Apple を iPhone の違法な独占状態を維持しようとしたとして独占禁止法違反の疑いで提訴したことだ。Adam Engst がこの訴訟について高レベルからの概観を提供する。また、Apple がいろいろのバージョンの macOS、iOS、iPadOS、および visionOS にマイナーなアップデートを出して、注目を集めたいくつかのバグを修正するとともに画像処理に関係する脆弱性 1 件を修正した。これとは別に嬉しいニュースとして、大多数の Apple 製品のためにマニュアル・仕様・ダウンロードを統合したドキュメンテーションサイトを Apple が開始した。あともう一つ、皆さんのお気に入りのポッドキャストアプリをお尋ねした Do You Use It? アンケートの結果を報告するが、それは Apple の Podcasts ではなかった。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Alfred 5.5、BBEdit 15.0.2、Fantastical 3.8.13 と Cardhop 2.2.17、Lunar 6.7.3、Retrobatch 2.1、それに Unite 5.2 だ。

Adam Engst

Apple、iOS 及び iPadOS 17.4.1 と 16.7.7, そして visionOS 1.1.1 をリリース

iOS および iPadOS 17.4.1、iOS および iPadOS 16.7.7、そして visionOS 1.1.1の一連のマイナーアップデートが登場した。他の OS アップデートも間違いなく登場する (そして、そうなった。"macOS 14.4.1 Sonoma と macOS 13.6.6 Ventura がバグと脆弱性を修正" 25 March 2024 参照)。

iOS 17iPadOS 17、そしてvisionOS 1 のアップデートページは全て、Apple のお決まりの文句 "重要なバグ修正とセキュリティアップデート" を使用しているが、iOS 16iPadOS 16 のアップデートページはそれを "重要なセキュリティ修正" にそぎ落としている。

Apple の Security Releases ページによると、3つのアップデートはすべて、悪意を持って作成された画像が任意のコードを実行できる脆弱性に対処している。

MacRumors はまた、Apple のサポート記事によると、iPadOS 17.4.1 が4つの古いiPad モデルが QR コードをスキャンできないという問題を解決したと指摘している。

QR コードスキャンのバグをすぐに修正する必要がある場合を除き、来週かそこら迄待って時間を見つけられたら、これらのアップデートをインストールすれば良い。このセキュリティの脆弱性は、実際には積極的に悪用されていない。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

macOS 14.4.1 Sonoma と macOS 13.6.6 Ventura がバグと脆弱性を修正

そして残りの方も出た。先週出たアップデート (2024 年 3 月 22 日の記事“Apple、iOS 及び iPadOS 17.4.1 と 16.7.7, そして visionOS 1.1.1 をリリース”参照) を見て、私たちは他のアップデートも出るだろうと予想していた。

本日、Apple は macOS 14.4.1 SonomamacOS 13.6.6 Ventura をリリースした。修正されたバグとセキュリティ脆弱性を見る限り、これ以上他のオペレーティングシステムのアップデートが合わせて出るとは考えにくい。

Apple は macOS 13.6.6 でのバグ修正の内容について詳しく述べていないが、対照的に macOS 14.4.1 のリリースノートには注目を集めたいくつかのバグを修正したことが書かれている。このアップデートで次の問題に修正が施された:

それに加えて、Howard Oakley の報告によれば iCloud Drive に退去させられたファイルからバージョン履歴情報が失われたバグが macOS 14.4.1 で修正されたようだという。

セキュリティの面では、いずれの macOS アップデートも iOS、iPadOS、および visionOS で修正されたものと同じく、悪意を持って作られた画像の処理に関する脆弱性に対処している。

現在 macOS 14.4 を走らせている人には、macOS 14.4.1 を直ちにインストールすることをお勧めしたい。Ventura を使っている人や、まだ macOS 14.4 にアップデートしていない人は、セキュリティ脆弱性が実際に悪用されているものではないので数日待っても差し支えないだろう。

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

米国、iPhone 独占で Apple を反トラスト法で訴える

あーまただ。US Justice Department、15 州、そして District of Columbia は、違法な iPhone 独占を維持する事で反トラスト法に違反したとして Apple に対して訴訟を起こした。訴訟は5つの分野に焦点を当てている:スーパーアプリ、クラウドストリーミングゲームサービス、メッセージングアプリ、スマートウォッチ、そしてデジタルウォレットで、他の企業が iPhone プラットフォームで Appleと競合するのを防ぐための措置を Apple は明示的に講じていると主張している。Apple の立場は昔から、ユーザーを保護するために第三者が iPhone プラットフォームで出来ることを制限するというものであった。

訴訟の論点の幾つかは、クラウドゲームに関連するもの等、他のものよりも説得力がある。複数のゲームをストリーミングできるアプリを許可することはセキュリティリスクであるという Apple の主張は常に大げさに見えたし、January 2024に Apple はストリーミングゲームサービスに開放した。ここでは追加の救済策は必要ないように見える。

同様に、iPhone の NFC チップを使用した tap-to-pay 決済を Apple Pay に限定することは、純粋に事業上の決定だったように見える。Apple は全ての Apple Pay取引から上前をはねている - Apple は今や、"European Economic Area のサードパーティの開発者に、ユーザーが Apple Pay と Apple Wallet とは別に、iOS アプリ内から NFC 非接触決済を行えるようにする選択肢を提供する" と述べている。ヨーロッパで出来るなら、アメリカでも実現するかも知れない。

他の事例では、約 13 億人のユーザーに、メッセージング機能、デジタル決済、アプリエコシステム、ライブストリーミング、位置情報サービス等々を提供する中国版の WeChat のようなスーパーアプリを阻止していると Apple を非難する時、訴訟の論点にはより問題がある様に見える。TikTok のプライバシー乱用と所有者が中国人であることを取り巻く現在の緊張を考えると、WeChat のようなアジアのスーパーアプリを米国に招待することを支持すると論ずるのは据わりが悪い。もっと一般的に言うと、余りに多くの無関係な機能を統合しようとするアプリは、通常、出来が悪い機能が多くなってしまいがちである。

この訴訟はまた、Apple が SMS メッセージに対して特権的に名付けているMessages を名指しして、暗号化されていない会話、目の粗いビデオ、そしてタイピングインジケーター (会話の相手が入力中であることを示す表示) の欠如で SMS体験を劣化させていると Apple を非難している。確かに、サードパーティのアプリは SMS メッセージを送受信することはできないが (私は確認しなければならなかった - そんなことは私の頭をよぎったこともない)、SMS/MMS の原始的な性質とファイルサイズに対するキャリアの制約について Apple を責めることは出来ない。訴訟はまた、緑の吹き出しで SMS の会話を識別している事で Apple を批判している - SMS の会話がある特定の機能を欠いていることを知る方法は全く無いとした方がまだマシだったとでも言うのか?また、Apple は、キャリアレベルのメッセージングの次の標準である RCS をサポートする事をもう既に述べているので("Apple、来年 Messages で RCS に対応" 17 November 2023 参照)、ここでの批判は見当違いのように見える。

訴訟の最も厳しい言葉の幾つかは Apple Watch のために取っておかれたが、原因と結果を逆にしているように見える。安価なスマートウォッチとの互換性のために高価なスマートフォンを購入する人など誰もいない - その逆である。勿論、お互いに非常にうまく働く機器を作ることは Apple の意図であり、それ自体では比較的な意味で殆ど何もできないスマートウォッチの場合には特にそうだと言える。

しかし、全体として言えば、訴訟の不服申し立ては誤った情報でもなく、必ずしも間違っているわけでもない。Apple にとってはプラットフォーム囲い込みが全てである。それが、Apple の機器、アプリ、サービス間の緊密な統合の側面である。"it just works (とにかくちゃんと動く)" が Apple の世界でキャッチフレーズになっているのには理由がある (それが物事がうまくいかないときにも皮肉にもよく使われるとしても)。開発者側では、Apple の制限により特定の種類の解を開発出来ない場合でも、iPhone のユーザーベースの巨大さに抗するのは困難である。

Apple がこれをすべきかあれをすべきかを議論することは出来るが、Apple がやってきたことは何も法律に違反していない - 同社が独占と見做されない限り。この訴訟は、米国における Apple の iPhone 市場シェアは売上げで言うと "高性能スマートフォン市場" の 70% であり、スマートフォン市場全体の 65% 以上であると言っている。

これらの数字は精査されるだろう。Apple の売上げベースの市場シェアは Androidよりも高いがそれは主として iPhone はより高価だからである。ユーザー数で言うと、市場シェアはもっと似た様なものになり、Statstista は Android の 45%に対して iPhone は 54% を占めていると言っている。もっと顕著なのは、Statistaが 20.1% としている iPhone の世界市場シェアである。それは Apple をメーカー別での世界のスマートフォン市場で最上位とするが (Samsung は 19.4% で2位)、プラットフォーム別では遙かに離されていて、Android は 80% 近くのシェアを有している。(輸入される他のスマートフォンオペレーティングシステムなんてあるのだろうか?)

ユーザーが iPhone に対する Apple の独占的な行動によって害を受けたと主張するこの訴訟のもう一つの厄介な部分は、人々が iPhone を好きだということである。たとえ Apple の 99% と言う顧客満足度の主張が過大であるとしても、独立したレポートは、 iPhone が非常に高い 81% と言う顧客満足度指数を持っていることを示している。勿論、iPhone のコストがもっと安くとも誰も文句を言わないであろうが、安価な Android スマートフォンが簡単に入手出来る世界では、iPhoneのようなプレミアム価格の製品が支配的な地位に到達する唯一の方法は、説得力のある価値提案を提供することである。

Apple は疑いなくこの訴訟を最後の最後まで戦うであろうので、私達は何年もの法廷論争を楽しみにすることが出来る。ハイテク巨人の力とハイテク業界で跳ね回っている金額を考えると、おそらく反トラスト訴訟は避けられなかった。それでも、EU の最近の判決と同じように ("EU が壁に囲まれた Apple の庭を開放させる" 29 January 2024 参照)、Apple は傲慢さと開発者と仲良くすることを拒否することによってこれを自らにもたらしたように思われる。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Do You Use It? TidBITS 読者は Apple Podcasts より Overcast を好む

Apple がバンドルしたアプリは一般的によくできていて、TidBITS 読者の間でもかなり多く使われている。例えばどのウェブブラウザを使っているかというアンケートでは何と 87% もが Safari に投票した。(2023 年 10 月 6 日の記事“Do You Use It? Safari が Mac Web ブラウザのトップに”参照。) 同様に、天気予報アプリに関するアンケートでは Apple の Weather が多くの回答を集め、60% がメインの天気予報アプリとして、15% が他のアプリと共に使っていると答えた。(2023 年 11 月 11 日の記事“Do You Use It? Apple の Weather アプリは人気だが他にも人気の代替製品が多種多様 ”参照。)

では、Apple の Podcasts アプリはどうか? ポッドキャストの世界で Apple が膨大なポッドキャストカタログを取り揃えて重要な役割を果たしていることを考えれば、どのポッドキャストアプリが好みかを尋ねた先週の Do You Use It? アンケートで Apple の Podcasts アプリが首位に来るに違いないと私は思っていた。何と言ってもこれはフル機能のポッドキャストアプリであり、最近になって Apple が書き起こしの自動生成機能を追加したばかりなのだから。

けれども、今回のアンケートで Apple の Podcasts アプリは首位にならなかったばかりでなく、43% の投票を集めて首位となった人気ある Marco Arment の Overcast に及びもつかなかった。Apple の Podcasts への投票数はたった 25% で、大差をつけられた2位となった。Overcast のファンにはその Smart Speed オプションを気に入っていると述べる人たちが多かった。これは沈黙の時間を賢く除去してポッドキャストの再生時間を縮める機能だ。

Do You Use It? poll about podcast apps results

それ以外のポッドキャストアプリはずっと少ない投票数で、いずれも1桁のパーセント数だった。まず Pocket Casts が 6% を得て、すぐ続いたのが Downcast の 5% だ。Castro はかろうじて 2% を得たが、MimirSpotify はたった 1% だ。アンケートを作る際に気付かなかった中で主なものは BBC Sounds,、これは BBC のポッドキャスト、ラジオ局、および音楽にアクセスできる無料アプリだ。あと、iCatcher も僅かの票を得た。

コメントの内容を読んではっきり気付かされたのは、ポッドキャストアプリの選択に関しては惰性が大きな役割を果たすことだ。特定のポッドキャストアプリの良い点と良くない点がいったん見えてくれば、何かが根本的に具合が悪いのでない限り、わざわざ手間をかけて他のアプリで購読し直したいとは思わないということのようだ。ポッドキャストアプリの選択は天気予報アプリよりも、さらにはウェブブラウザと比べてさえも、既に関与しているかどうかが大きな意味を持つ。たとえ Apple の Podcasts アプリが今はかなり良くなっているとしても、何年も前に悪い体験をしたことが記憶に残っている。例えばオープンリールのテープデッキに似せたインターフェイスなど (2012 年 7 月 2 日の記事“Podcasts アプリ、ポッドキャストを Music アプリから分離”参照) があったが、そういうものは人に他を向かせるきっかけになりがちだ。

それからまた、かなり多くの人数の TidBITS 読者たちがそもそもポッドキャストというメディアに興味がないという点も私の興味を惹いた。"I don't listen to podcasts" (私はポッドキャストなんか聴かない) への投票数が 15% で3位となり、投票数が2桁に達したのはそこまでだった。そもそも今回のアンケートでは総投票数もこれまでの多くを下回った。TidBITS 読者層は高い年齢層に偏る傾向にあり、長年のメディア消費習慣を持つ人たちはポッドキャストにあまり魅力を感じないのかもしれない。

それに似たことを示す実例として、私が YouTube ビデオを観るのは誰かに具体的なビデオを薦められた場合とか、何か具体的な情報を得るための資料として観る場合とかに限られる。鳥を孵化させるとか、ゴーストタウンの再建に挑むとかいった一つのテーマで制作しているクリエイターたちのビデオが大きな人気を集めているのは分かるけれども、私自身がその種のものに専念して熱中するとは考えにくい。対照的に、私はごく少数のポッドキャストを選んでおいて生活の中の隙間時間、例えば運転中、庭仕事の最中、自転車に乗っている間などに聴くのが自分にとってはぴったりだと気付いた。確かにその昔 Tonya が冗談で言った「インターネットの馬鹿話で時間を潰す」行為とあまり大きく違わないポッドキャストは多いけれども、うまく作られたポッドキャストで聴いていて興味深く、楽しく、ためになるものを見つけるのも難しくない。

だから、まだポッドキャストを始めていない人も、今使っているポッドキャストアプリが気に入らない人も、何か一つ他のアプリを選んでそれでポッドキャストを試してみよう。短期的にはちょっと手間がかかるだろうが、試してみるだけの価値はあるかもしれない。Overcast ならばきっと誰もが気に入るだろう。気に入らなかった人は、このアンケートへのコメントを読んで、他の人たちがどのアプリのどんなところを気に入っているかを読めば参考になるだろう。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Apple、マニュアル・仕様・ダウンロードを統合したドキュメンテーションサイトを開始

この5年くらいの間に、Apple がユーザー向けに出している説明書類は劇的に良くなっている。そのはっきりした原因は分からないが、おそらく理由の一部は Macworld マガジンの終焉に関係しているのではないかと考えられる。(2014 年 9 月 10 日の記事“Macworld、スタッフを解雇し印刷版を廃止”参照。) Macworld 誌がなくなってから一年以内に、Macworld で働いていた元ライターたちや元エディターたちの何人かが Apple に職を得た。私の友人の一人が、その経験が二十年にわたって Apple について記事を書いてきた身には「現実離れした」ものに感じられたと語っている。そうして彼らは他にも数人の業界の著名人たちと共に Apple のドキュメンテーションチームに属することになった。その頃以来、私は Apple が公開するドキュメンテーションの使いやすさ、明瞭さ、包括性に、はっきりと上昇傾向を感じるようになった。(そして、友人の一人に誤りを指摘すると、誤りは修正された。責任は果たされてる!)

検索しても、見つかるとは限らず

けれどもその期間を通してさっぱり改善されなかったものが一つある。それは、Apple のウェブサイト上の検索エンジンだ。2024 年の現実としてはショッキングなほど悲惨な状態にある。例えば、macOS 14 Sonoma のディクテーション (dictation, 音声入力) 機能について詳しく知りたかったとしよう。Apple のサポートサイトで "dictation Sonoma" を検索すると、Siri でホームオートメーションをコントロールすることについての記事や、Sonoma のセキュリティアップデートのリリースノート 2 つ、Sonoma の新機能を紹介した記事、さらにまた 4 つの Sonoma セキュリティアップデート記事が並んでから、その後でやっと欲しかった記事 "Macでメッセージや書類を音声入力する" が示される。さらに悪いことに、それより上に並ぶたくさんの記事のどれ一つとして "dictation" という単語すら含んでいない。一体どうなってるんだ、Apple!

Apple Support search engine

Apple のサポート検索エンジンがうまく動作する場合でさえ、検索結果にはサポート記事、説明書類、Apple Communities フォーラムでの議論などが雑多に並ぶ。フィルターを使うことでそれらのカテゴリーのどれか一つに属するものに絞ることは可能だけれども、サポート記事と説明書類の違いをきちんと見分けられるユーザーがはたしてどれだけいるものだろうか?

ありがたいことに、Google、Brave Search、あるいは Bing がもっとずっと良い仕事をしてくれる。だから、私は毎週少なくとも数十回ずつ、そういう検索エンジンで検索語に "Apple support" を追加することで Apple のサポート用ドキュメンテーションを探す習慣がついた。例えば上記の3つの検索エンジンのどれを使っても、"dictation Sonoma Apple support" を検索すればすぐに私の望む結果が一番上に表示される。

要するに、Apple のウェブサイトで情報を探すには、Apple のウェブサイトに内蔵された検索を使うのではなくて、独立の検索エンジンを使うべきだということだ。Apple の検索を使っても時間の無駄だ。Apple 社内にいるすべての人が既にこのことを知っていて、ただ単にまだ高い優先度で扱われるに至っていないだけなのだと願いたい。

ブラウズすることで混乱を避ける

Apple の検索機能はひどい状態のままかもしれないが、つい最近になって Apple は同社の広範なドキュメンテーションをもっとユーザーが利用しやすいものにするための別のアプローチを作った。新しく登場した Documentation (ドキュメンテーション) サイトが、製品ごとに整理された情報のブラウズ可能なディレクトリを提供する。

これは昔からの Apple の流儀のようだが、名前を突き止めるのが難しい。トップレベルのラベルは "Documentation" (ドキュメンテーション) だが、メインページの見出しは "Manuals, Specs, and Downloads" (マニュアル・仕様・ダウンロード) となっており、HTML ページのタイトルはすべて、たとえそれが仕様のページであっても "Manuals and Downloads" となっている。けれどもこの記事では名前を Documentation (ドキュメンテーション) で統一することにしたい。URL も https://support.apple.com/docs となっているからだ。

この Documentation サイトは複数の言語で用意されている。私は フランス語ドイツ語イタリア語スペイン語のサイトを確認したし、英語についても米国、オーストラリアカナダ英国それぞれに向けたものがあるのを確認した。[訳者注: もちろん日本語のサイトもあります。]それぞれで内容がどう違うのか厳密なところは知らないが、トップレベルの項目でさえ国によって違うことがあるようだ。例えば Vision Pro はまだ全世界で利用可能になっていないので、それを反映した違いはある。

Documentation site main screen

何をするにしても、ページにある検索フィールドを使ってはいけない。そんなことをすれば、またもや Apple の悲惨な検索結果を見ることになる。

Documentation site main screen

示されているカテゴリーのアイコンのどれかをクリックすれば、そのカテゴリーに属する最大 12 個の最近の製品を年代順に並べたページへナビゲートできる。12 個より多くのものがある場合は、Show More (詳細を表示) リンクを使えばそのカテゴリーの残りのものも見えるようになる。例えば Accessories (アクセサリ) のように非常に大きなカテゴリーでは上のところにサブカテゴリーが横に並ぶので、それをクリックすれば AirTag、AirPort、Keyboards、Mice and Trackpad、Adaptors and Cables のそれぞれを別々に調べることができる。このアクセサリページのトップレベルに表示されるコレクションは奇妙な順序に並んでいて、個々のサブカテゴリーの年代順を混合して並べられているのだと気付くのに時間がかかった。

Documentation site Accessories screen

ハードウェア製品については、Apple は基本的に製品の箱に入っている最小限の説明書のオンライン版 (クイックスタートガイド) に加えて、ハードウェアガイド (MacBook Air の基本)、およびオペレーティングシステムのユーザガイド完全版 (macOS ユーザガイド) をここで提供している。利用可能な場合には修理マニュアルもある。それとは別に、個々のハードウェア製品ごとに Tech Specs (技術仕様) ページへのリンクもある。

Documentation site Hardware screen

ソフトウェアについては使っていてちょっとイライラする。Mac カテゴリーには macOS というサブカテゴリーがあるが、その先には基本的に macOS ユーザガイドへのリンクしかない。ただ、macOS 10.15 Catalina まで戻りさえすれば、そこにはすべてのアップデートへのリンクもある。それより新しい macOS 11 Big Sur やそれ以降ではそのようなアップデートへのリンクはないが、現実的に言ってそんなものはあまり役に立たないかもしれない。古いバージョンの macOS をどこか特定の中間バージョンまでアップデートしたいと望む人がいるとは想像しにくいからだ。

では、古いバージョンの macOS のインストーラが欲しい場合はどうなのか? この Documentation ページはその目的の役に立たないが、手早くウェブ検索で "install macOS Apple support" を探せばすぐに "How to download and install macOSmacOS をダウンロードしてインストールする方法" ページが見つかり、そのページには OS X 10.7 Lion まで遡るすべてのバージョンの macOS への App Store リンクも、直接ダウンロードリンクもある。Documentation サイトの適切なページにこれらのダウンロードリンクを載せたらよいのにと思うのだが?

さらにもっと奇妙なのがトップレベルの Software (ソフトウェア) カテゴリーだ。ここには 3 つのサブカテゴリーがあって、それぞれランダムな順にアプリを並べている。Consumer Software (一般向けソフトウェア) には今はもう存在しない iLife アプリの iDVD、iMovie、iPhoto、iTunes、GarageBand も並ぶ。いくつかのものについては実際のアプリをダウンロードできるリンクもある。あるいは、プラグインやアドオンへのリンクのみというものもある。Productivity Sofware (生産性ソフトウェア、つまり iWork アプリ) や Professional Software (プロ向けソフトウェア、つまり Logic、Final Cut Pro X、その他) に並ぶアプリには現在アクティブに開発されているものもいくつかあるが、それ以外のほとんどは古いアプリだ。Keynote ページには Apple の個々のプラットフォーム用の現行ユーザガイドへのリンクが並ぶが、Pages ページや Numbers ページではそうなっていない。とにかく現時点では単なる寄せ集めの状態のようで、今後 Apple がここに新しいバージョンのアプリのためのリンクを追加してくれることを願いたい。

Documentation site Software screen

この Documentation サイトの素晴らしいところは、かなり優れものである Apple のユーザガイドへのアクセスが手軽にできるようになっていることだ。全般的にユーザガイド内でのナビゲーションは見れば分かる使いやすいもので、"Search this guide" (このユーザガイドを検索) と書かれた検索フィールドは実際役に立つ。なぜなら、その問題のガイドの内部のみに検索結果が絞られているからだ。加えて、ここにはとても重要なコントロールがある。ガイド内のあらゆるページの左上にある Select Version (バージョンを選択) ポップアップメニューだ。

Versions in user guides

このポップアップメニューで、あなたが見ているページの過去のバージョンへと時間を戻すことができる。どこまで戻れるかは、その問題の機能がどの時点でスタートしたか、Apple がその機能をユーザガイドに含めたのがいつからかに依存する。2017 年 (macOS 10.13 High Sierra) または 2018 年 (iOS 12) まで戻れるページが多い。Mac の基本ガイドでは macOS のバージョンごとに新型モデルに対応するための複数通りの項目が表示されることもある。

Pop-up of versions

私の使用目的が他の多くの人たちと違っていることは承知しているけれども、私はこのバージョンポップアップメニューを頻繁に使っていて、いつその機能が開始されたか、Apple がどのように機能の説明の仕方を変えたかを調べている。でもたいていの人にとってこのバージョンポップアップメニューを知っておくべき主たる理由は、自分が望みのものとは違うバージョンのページに迷い込んでしまったかどうかが分かるからだろう。

全体的に見て、Apple の新しい Documentation (ドキュメンテーション) サイトは歓迎すべきものだし、将来参照する場合に備えてブックマークしておくことをすべての人にお勧めしたい。皮肉なことに、私自身はこのサイトが登場するほんの少し前のタイミングで、Apple のすべてのユーザガイドをピン留めタブとして集めた Arc フォルダを既に作っていた。私はこの Arc フォルダを使い続けるつもりだが、そこにトップレベル項目として Documentation サイトを追加しておいた。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

Alfred 5.5 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Alfred 5.5

Running with Crayons が Alfred のバージョンを一気に 5.5 に引き上げて、このキーボード駆動ランチャーに新しいワークフローコンポーネントと改良を加えた。今回のリリースでは画像とファイルの結果をビジュアルなレイアウトで表示する新しい Grid View オブジェクト、Markdown とプレインテキスト用の編集可能な表示、自動サイズ調整機能を備えた画像表示、およびテキストを選択してコピーできページ表示の変更も可能な PDF 表示を追加している。このアップデートではまた、Workflow Editor の入力オブジェクト上でキーワード変数を転換し、Automation Task が存在しない場合にクリック可能な macOS 通知を表示し、Recent Documents Universal Action を更新して macOS 14 Sonoma で最近のファイルを正しくロードするようにし、Alfred Window の入力フィールドで選択域の右端からテキストが少しだけはみ出ることがあった問題に対処した。(基本的機能は無料、Powerpack は 34 ポンド、5.3 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

Alfred 5.5 の使用体験を話し合おう

BBEdit 15.0.2 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

BBEdit 15.0.2

Bare Bones が BBEdit 15.0.2 をリリースしてたくさんのバグ修正を施した。この古参のテキストエディタは Bring All to Front を使うと前面のウィンドウが非アクティブになってしまった macOS の予期せぬ挙動を回避し、PHP コードの中で変数をダブルクリックした際に変数全体を選択するようにし、Search メニューが正しくターゲットにならなかった問題を解消し、Grep 検索の仕組みに変更を加えてキャプチャされた領域のテキストを即座にコピーするようにし、Find および Multi-File Search ウィンドウを開く際のクラッシュに対処し、Markdown 画像およびリンクに説明文 (または alt テキスト) がない場合にカラー付けされなかったバグを修正し、AppleScript 経由で Replace All を使った場合に見えることがあった不要なテキストに対処した。(新規購入 $59.99、無料アップデート、29.6 MB、 リリースノート、macOS 11+)

BBEdit 15.0.2 の使用体験を話し合おう

Fantastical 3.8.13 and Cardhop 2.2.17 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Fantastical 3.8.13 と Cardhop 2.2.17

Flexibits がカレンダーアプリ Fantastical 3.8.13 と連絡先管理アプリ Cardhop 2.2.17 をリリースした。Fantastical はイベントのローカルなコピーに起こった変更を警告するプロンプトを追加し、英国の Mother's Day が 5 月でなく 3 月にあることを認識し、Get Attendees ショートカットのパフォーマンスを改善し、Openings エディタで複数のホストへの対応 (Flexibits Premium for Teams が必要) を追加し、ウィジェット上でイベントのカラーが正しく表示されなかった問題を解消し、Africa/Casablanca タイムゾーンで Exchange Server のイベント同期に失敗したバグを修正し、一部のユーザーで通知が表示された後消えてしまった問題に対処し、Microsoft 365 イベントが急激に変化した場合に起こることがあった見栄え上の不具合を修正した。Cardhop は検索結果から連絡先を一つ選んでデータを削除してもそのデータがまた出現してしまうことがあった問題を解消し、mini ウィンドウが正しくアクティベートされなかったバグを修正した。(Flexibits からも Mac App Store からも購読年額 $56.99、無料アップデート、66.3/29.9 MB、Fantastical リリースノート/Cardhop リリースノート、macOS 11+)

Fantastical 3.8.13 と Cardhop 2.2.17 の使用体験を話し合おう

Lunar 6.7.3 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Lunar 6.7.3

Alin Panaitiu がバージョン 6.7.2 の Lunar をリリースして、Apple 製ディスプレイの輝度読み取りをより正確にするとともに、来たるべき (まだ命名もされていない) macOS 15 に備えた準備も施した。このディスプレイ輝度制御ユーティリティは今回、輝度が参照プリセットによりロックされている場合にユーザーインターフェイスの中でそのことを表示するようにし、HDR コンテンツが見えている場合にも正確な輝度ベースの Sync Mode を提供し、仮想ディスプレイ検出機能を改良し、可能な場合にはハードウェアポートを使うことで DDC-to-monitor マッチングを改良し、Set Monitor as Main ショートカットを使う際に存在しないディスプレイをスキップできるようにし、外付けモニタ上で参照プリセットを読み込む際に起こることがあったクラッシュを解消し、CoreAudio デバイスからの反応に長い時間がかかった場合のシステムログを修正した。そのリリースの後間もなくバージョン 6.7.3 が出されて、一部のシステムでエネルギー使用量が多くなり過ぎた問題に対処した。(新規購入 $23、無料アップデート、22.2 MB、リリースノート、macOS 11+)

Lunar 6.7.3 の使用体験を話し合おう

Retrobatch 2.1 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Retrobatch 2.1

Flying Meat が Retrobatch 2.1 をリリースして、この画像バルク処理ユーティリティに画像の色と明暗を調節するための新しい Lookup Table (LUT) ノードを追加した。Retrobatch 内蔵の LUT プリセットを使うことも、新たな LUT をダウンロードして使うことも、さらには LUT の不透明度や混合モードを調整することもできる。今回のアップデートでは、画像を指定された縦横幅に基づいて複数個の画像に分割する Tile Chop ノードや、Mac の内蔵カメラを使って写真を撮影する Camera Capture ノード (Retrobatch Pro のみ) も追加された。その他の改善点としては、Photos Export での Photos Library にある画像の Current, Unadjusted, Original 各バージョンを書き出すオプション、RAW Import ノードでの Auto Process オプション、Super Resolution でのスライドを持つ画像への対応などがある。それから、今回のアップデートでは RAW Import ノードで画像のレンダリングが暗くなり過ぎた問題に対処するとともに、Multi-Scale モードがファイル名トークンの画像縦横幅で正しくない寸法を報告していた問題を修正した。Retrobatch 2 には標準版と Pro 版があり、後者はより多くのノード (AppleScript、PDF Image Extractor、PSD Maker など) を含んでいる。(新規購入 $29.99/$49.99、TidBITS 会員には新規購入 20% 割引、無料アップデート、54.8 MB、リリースノート、macOS 12+)

Retrobatch 2.1 の使用体験を話し合おう

Unite 5.2 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Unite 5.2

BZG がバージョン 5.2 の Unite サイト特定ブラウザをリリースして App Library を改訂し、最も人気あるいくつかのサービスや専用の AI ツールセレクションのために macOS 風のアイコンを内蔵した。今回のリリースでは内蔵の広告ブロッカーをアップグレードし、個々のサイトごとに明色モードを選択できるオプションを復活させ、デフォルトのアプリウィンドウサイズに更なるオプションを導入し、ツールバーの構成をセッション間で記憶するようにし、アプリアイコンのパーソナライズが簡単にできるようにし、ブックマークマネージャで手作業で並べ替えする機能に対応し、URL のリダイレクトが有効になっていてもウィンドウが自動的にリダイレクトされなかったバグを修正した。(新規購入 $29.99、無料アップデート、17.9 MB、リリースノート、macOS 12+)

Unite 5.2 の使用体験を話し合おう