Apple の核となるオペレーティングシステムに対するセキュリティアップデートは、NSO Group の Pegasus スパイウェアを送り込むために実際に悪用されている二つのゼロクリック脆弱性に対応している。これを見つけそして Apple に報告したことに対して University of Toronto の Citizen Lab を賞賛したい。最初の脆弱性では、悪意を持って巧妙に作られた画像を処理すると任意コード実行へと導かれる可能性がある;関係するのは macOS, iOS, そして iPadOS である。二つ目では、Wallet アプリが、悪意を持って巧妙に作られた添付ファイルを処理した時に任意コード実行を許してしまう可能性がある;現行バージョンの iOS, iPadOS, そして watchOS だけが危険に晒されている。Apple はこれ等のアップデートでそれ以外の変更は挙げていない。
Apple は公の発表をする時一つの声で話をするとは言え、社内には色々な声があることを認識することは大事である。CSAM 発表で Apple はいつになく不器用な仕事をしたが、CSAM 提案を巡っては相当な内部論争があったであろうと思われる、とりわけ子どもの性的虐待の恐怖と闘うこととユーザープライバシーを守ることは両方とも高く賞賛すべき目標であることを思えば。しかし、一旦批判があるレベルに達すると、iCloud Photos にある写真をスキャンすることがデジタル泥棒や政府の諜報機関に対する扉を開く可能性を心配する声が議論の中で支配的となった。
Neuenschwander は、Apple がその Communication Safety 技術に焦点を当てていると言った:
Communication Safety は、子供達が裸体を含むメッセージを受けたり或いは送ろうとした時に介入しそして子供達に対する有用な資源を提供するように意図されている。その目標は、捕食者がこの行動を正常化するのをより難しくして彼らが子供達の警戒心を解いて信頼を得ようとするのを邪魔することである。
Apple は次のメジャーなオペレーティングシステムのリリースで、Communication Safety を拡張してビデオや写真もカバーしようとしていて、全ての子どものアカウントに対してこの機能をデフォルトでオンにし、そしてそれを AirDrop, the Photo picker, FaceTime ビデオメッセージ, そして Phone アプリの Contact Posters に統合しようとしている。加えて、Apple は Communication Safety APIを独立の開発者にも公開したので、彼らもその様な能力を他の通信アプリに作り込むことが出来る。
Mozilla の報告書は個々の自動車メーカーに対してこのデータ収集の衝撃を和らげる進言を提供しているが、皆さんが出来る事は余りなく、そしてメーカー間での違いも殆どない。ひょっとすると、Mozilla の請願 に署名するとかその言葉を広めるのを手伝うとかすれば、これ等の会社の誰かが恥ずかしい思いをしてその行いを正すことにつながるかも知れない。
けれども、今回のツアーで私は iPhone 14 Pro のみに頼ったのではなかった。他にもいろいろなテクノロジー製品、例えば最近リリースされた 15 インチ MacBook Air も持って行った。どう使ったかはあとで述べるが、BAM のゴールラインの手前ほんの数マイルのところでちょっとした不運にも見舞われたので、それについてもあとで物語ろう。
ズーム、ズーム
2019 年と同じく 8 月に、Chris と私は彼の愛車 Mini Cooper に乗って BAM の出発地点へ行った。今年のツアーは Lanesboro を出発点かつ終点とし、Rushford、La Crescent、Houston で宿泊する日程だった。いずれもミネソタの自然豊かな bluff country の中にある。Chris は私に Mini Cooper を使わせてくれて、彼が自転車で走っている間私が撮影のために使えるようにしてくれた。それから 4 日間、私は丘陵の多いこの土地をマニュアルシフトの彼の車をワクワクした気持ちで操りながら、サイクリング用アプリ Ride with GPS を見てライダーたちのペースに合わせるようにした。
でも、たまたま私は Apple から借り出した 15 インチ MacBook Air を持っていたので、これを持って行きたい誘惑に勝てなかった。MacBook Air が持ち運びしやすいことも大きかった。これは 2023 年 6 月にリリースされた M2 モデルで、13 インチ MacBook Air の上位機種にあたり、キャンプ旅行には不釣り合いに大きいような気もしたが、それは縦方向と横方向に限った話だ。厚みはたった 0.45 インチ (1.15 cm) でとてつもなく薄く、13 インチモデルよりほんの少し厚いだけで、重量もほんの少しだけ重い 3.3 ポンド (1.51 kg) だ。
結局今回の旅行でこの Mac をバックパックの中に押し込んでいつも持っていて、持っていることも忘れそうなほどだった。日中はほとんど iPhone を使っていて、写真を撮影してはまとめて BAM の Facebook ページにポストした。それでも時々は Mini Cooper を停車させてキャンピングチェアを開き、日陰に座り込んで Mac でちょっとした写真の整理をした。
また、夕食を終えてシャワー用トレーラーに行った後などにも Mac を取り出した。そういうひとときが旅行中の最も幸せな瞬間と言えた。たっぷりと広い MacBook Air の画面でいろいろな作業をこなすのは楽しく、窮屈な iPhone 画面ならばその2倍か3倍の時間がかかったことだろう。Apple silicon で駆動されるこのマシンは熱くもならず、静かなままだった。
追加の eSIM アカウントを休眠状態でインストールすることもできる。二重、三重のバックアップとして Mint Mobile と Google Fi をロードしておいたが、どちらも実際には使わなかった。Mint の試用は 7 日間と 250 MB のデータというケチくさいものだ。Google Fi の方は 7 日間でデータ量が無制限 (ただし 10 GB を超えるとスロットルがかかる) なのだが、iPhone でのセットアップがとてつもなく面倒で、結局最後まで辿り着くことができなかった。
EGO Nexus 電源装置
私が持ってきたポータブル電源装置を見て Chris は目を丸くした。EGO Nexus Power Station はとても大きなデバイスで、持ち運ぶために 2 つのハンドルが付いている。4 基の USB-A ポートと 3 基の AC コンセントが付き、取り外し可能なバッテリーパックから電力を得ていて、EGO ブランドの芝刈り機、除雪機その他のツールに使っていないバッテリーパックを側面にある 4 つのスロットに差し込めるようになっている。
Nexus Power Station に搭載されたスクリーンがあと何時間電力を供給できるかを表示することになっているはずだが、同じ数字を表示したことは一度もなく、評価値は 30 時間から 80 時間までの間であちこちジャンプした。でも実際には問題ではなかった。Chris と私はこれを使ってスマートフォン、ポータブルバッテリーパック、自転車搭載のコンピュータ、私の Mac その他を旅行中にそれぞれ複数回充電できて何の問題もなかったからだ。壁のコンセントに Nexus Power Station を繋いでバッテリーパックを再充電することも可能だが、旅行中にそれをする必要は全くなかった。
当初私は盗難の可能性を考えて夜中に Nexus Power Station を Mini Cooper の中に置かずテントの中へ持ち込むつもりだったが、持ち運ぶのがあまりにも面倒だったので最初の晩に諦めた。
バッテリーパック 4 個モデルの Nexus Power Station の価格は $1299 だが、これではやり過ぎだと思うならば (私もやり過ぎだと思うし、EGO はどうやらこのモデルを廃止するらしい)、EGO がバッテリーパック 2 個モデルも $999 で出している。私の場合は EGO のもっと小型で安価な、パワーパック 1 個のタイプのインバーターで十分だろうと思う。
Adobe Photoshop の生成塗りつぶし
この記事の内容に関して「人工知能 (AI)」という単語が登場するとは思っていなかったのだが、写真の編集に関係する一種の AI 機能のお陰である厄介な問題が解決することとなった。
例えば Google の Magic Eraser のように画像から不要な部分を取り除くことができる写真編集ツールは存在しているけれども、私が試したものはどれも、写真をもっと駄目にしてしまった。そこで助けの手となったのが TidBITS の同僚 Jeff Carlson だった。彼は熟練の写真家で、最近の Photoshop ベータ版に組み込まれた Generative Fill (生成塗りつぶし) と呼ばれるプロ向けのツールを試していた。
Generative Fill は Firefly AI テクノロジーに基づいており、写真の中に別の画像を魔法のように呼び出すという、恐ろしいほどに賢い機能からその名前を得ている。元の写真から地面や森を境界を超えて拡張させるといった単純な作業から、ベネチアのゴンドラの上に歌うバイソンを乗せるといった奇抜な作業まで何でもできる。(実例を作ってくれた Jeff に感謝したい。)
たいていの場合、実現したいことを言葉にしてテキストを入力することにより画像を作成あるいは修正できる。クラウドベースの AI ツールが、それに似た画像から学習したことに基づいて画像を生成する。
けれども今回の場合にはテキスト入力をする必要がなかった。邪魔だった女性を、Generative Fill はたった 2 つの作業だけで完璧に消し去ることができた。まず彼女の上半身を、それからテーブルの下に見えていた彼女の足を消し去り、その上で背景がどうあるべきかを AI が判断して、継ぎ目なしにそこを埋めた。Jeff が次のように説明する:
私はまず Lasso ツールを使って黄色の服を着た人物の周りを丸く選択して、そこで出現したフローティングツールバーの Generative Fill ボタンをクリックしてから、通常なら何を見せたいかを指定するフィールドに何もタイプしないままで Generate ボタンをクリックしました。フィールドに何もなければ、選択されたものをただ除去したいのだと受け取ってくれます。
ところがこの時、隠れて見えなかった柔らかい土の部分に Mini Cooper の右前輪が沈んでしまった。いくらエンジンの回転を上げても、後退を試みても、車はびくとも動かなかった。もっと悪いことに車は少しずつ横に傾いて、左後輪が宙に浮いてしまった。Mini が土手から転がり落ちるのではないかと怖くなって、私は咄嗟に車の外へ飛び出したが... しばらくして iPhone を掴むのを忘れていたことに気付いて呪いの言葉を吐いた。でも、少なくともポケットに Samsung フォンが入っていた。下の写真は今回これを使って撮った唯一の写真だ。
BAM の仲間たち2人がトラクターに乗った農夫に助けを求めたが、トラクターで Mini Cooper の前側を引っ張っても後側を引っ張っても車体パネルを傷付けそうだと思った彼は引き受けたがらなかった。
今週 Apple は iPhone 15 を発表するが、間違いなくそこにはテクノロジーの妙技の実例がいくつも組み込まれているはずだ。その種の変更点の大多数は自然に iPhone ユーザー体験の一部として溶け込むものだが、昨年リリースされた iPhone 14 Pro と iPhone 14 Pro Max が導入した素晴らしい機能の一つに Always-On (常時表示) ディスプレイがあって、これは使うかどうかをユーザーが選べるようになっている。使わない間はわざわざスクリーンをオフにする代わりに、iPhone 14 Pro と iPhone 14 Pro Max ではロック画面の明るさを落としつつ、時刻、ウィジェット、通知などは引き続き見えるようにしておく。
今週のアンケートでは iPhone 14 Pro と iPhone 14 Pro Max のオーナーのみを対象として、 あなたは常時表示ディスプレイをオンにしていますか、それとも普段はオフにしていますかとお尋ねする。オフにしている方には、その理由もお尋ねしたい。これらの iPhone 14 Pro モデルをお持ちでない方はどうかアンケートの設問には答えないで頂きたいが、議論の中にご意見を書いて下さるのは大歓迎だ。