新しい価格モデルでは、基本的に一年間の拡張バージョン履歴が基本料金に組み入れられる。ただし、一年間や二年間というレベルになれば厳密にそうとは言えない。2023 年 10 月 3 日に、ユーザーは自分のアカウントにログインすれば One Year of Extended Version History オプションを無料で選ぶことができるようになる。その操作をしなかった場合には、そのアカウントは引き続き 30 日間のバージョン履歴のままだ。新しい無期限の Forever Version History プランでは月額 $2 の追加料金がなくなるが、変更や削除から一年間を超えて保持するファイルに対する追加ストレージ料金が月額ギガバイトあたり $0.006 に値上げされる。
Arc を一般公開した後、The Browser Company は週毎のリリース計画を維持してきた、もっとも内容は小規模な機能調整が殆どではあったが。しかしながら、今週の Arc 1.5 のリリースで、ピン留めされていない "Today" タブのウィンドウと機器間の同期が復活した。それは興味深い話で The Browser Company がどの様にユーザーとより透明な関係を保とうとしているかの感触を与えてくれる - Apple や Google からはその様な舞台裏を垣間見ることは出来ないであろう。
それとは対照的に、Arc はまさに期待通りの働きをする。つまり、Space、お気に入り、ピン留めタブ、ピン留めされないタブ、それらすべてが iCloud 経由で同期される。MacBook Air で開くとさっき iMac でしていたことがそのまま再現されるのがどんなにありがたいか、言葉では言い尽くせない。すべての Space と、私がピン留めしたすべてのタブと、ほんの1分前に私が開いたピンなしタブ、それらすべてが期待通りに揃っている。私は執筆作業のすべてを Google Docs でしているので、クリック一つか二つだけでさっき別の Mac でしていた執筆作業をそのまま続けることができる。これもまた、持続性を実現することで集中の度が向上する大成果だ。
これまでのいくつかの Do You Use It? アンケートで、Apple のキーノートで大きく取り上げられたり、macOS ウェブページに載ったり、プラットフォーム間で移植されたりしたような、人目を引く機能ばかりを扱ってきた。でも今回結果を紹介するアンケートでは趣向を変えて、プロキシアイコンを使っているかどうかを尋ねた、これは、私が大いに気に入っている macOS 機能の一つであって、使っていない TidBITS 読者が多いのはあり得ることだと思っていたけれども、それは単にプロキシアイコンとは何か、どう使うかを知らなかったからに過ぎないだろうと予想していた。アンケート結果は私が思った通りで、プロキシアイコンをいつも使っている人は 40% に過ぎず、時々使うという人が 17% いた。回答総数はこれまでのアンケートより少し減って、500 票に僅かに届かなかった。そこでこの記事では、もっと多くの人にプロキシアイコンを使いこなしてもらいたいという気持ちから解説させて頂きたい!
プロキシアイコンとは何か
プロキシアイコンは、あるいは現在 Apple が使っている呼び名に従えば "ウィンドウタイトルアイコン" は、Finder のウィンドウや、書類中心のアプリのウィンドウで、ウィンドウタイトルの隣に表示されるごく小さなアイコンのことだ。プロキシアイコンを他のアプリや場所へドラッグすれば、標準的な Finder アイコンをドラッグするのと同じ効果を持つ。
macOS 11 Big Sur よりも前からプロキシアイコンを使っていたのでない人たちは、プロキシアイコンの存在に気付かなかったとしても無理はない。なぜなら、Apple が Big Sur からデフォルトでプロキシアイコンを隠して、ウィンドウタイトル上にポインタをかざすかそこをクリックするかした場合にのみプロキシアイコンが見えるようにしてしまったからだ。これは、Mac のインターフェイスの見栄えをできるだけシンプルにしたいという動機からに違いないけれども、それと引き換えに発見可能性が犠牲になった。Apple がインターフェイスに加えた数多くの変更についても同じことが言える。
ウィンドウタイトル上にポインタをかざしてからプロキシアイコンが見えるようになるまでの時間設定は defaults write コマンドによって制御できた。でも Apple は macOS 12 Monterey になってようやくこの変更が全体的に良くないものだったと認めて、プロキシアイコンを常時表示するオプションを提供した。(2022 年 3 月 26 日の記事“TipBITS: ウィンドウのプロキシアイコンを常時表示”参照。) Apple はこの設定項目を System Settings/Preferences > Accessibility > Display > Show Window Title Icons にこっそり置くという、あまりにも不適切な選択をした。確かにプロキシアイコンが見えるか否かにはアクセシビリティに関係する一面がないとは言えないかもしれないが、これは macOS 体験の中に長年存在してきた、誰もが使える機能性の一部分であって、隠されるべきものではない。
ファイルを別のフォルダへ移す: 現在作業中のファイルが Finder の正しいフォルダに入っていないと思えば、そのファイルのプロキシアイコンを望ましいフォルダの中へドラッグすればよい。例えば、画像をたくさんダウンロードしたところで、それらをいろいろなプロジェクトフォルダへ分けて整理しなければならないとしよう。画像をいったん全部 Preview で開いてから、Finder で移動先をいくつかのウィンドウに開いておき、それから個々の画像のプロキシアイコンを望ましいフォルダへドラッグすればよい。
Open ダイアログの中でナビゲーション: Open (開く) ダイアログが開いている状態でプロキシアイコンをその中へドラッグすると、ドラッグしたプロキシアイコンを含むフォルダのコンテンツが表示される。例えば書類で作業中にそれと同じフォルダの中にある別の書類を開こうと思ったとしよう。けれども File > Open を選んで Open ダイアログを開くと違うフォルダが表示されたとしよう。ここでフォルダ階層を行きつ戻りつしてあちこち探し回る代わりに、単純にファイルのプロキシアイコンを Open ダイアログの中へドラッグするだけで、直ちに望みのフォルダが開く。
Save ダイアログの中でナビゲーション: 同じように、新規書類に対して Save (保存) ダイアログを開けば、あるいは Save As (別名で保存) ダイアログを開けば、フォルダやファイルのプロキシアイコンをダイアログの中へドラッグすることでそれを含むフォルダの内容を表示させることができる。けれどもファイルのプロキシアイコンをドラッグした場合にはさらに良いことがあって、ドラッグしたファイルの名前が新しいファイルの名前の候補としてあらかじめ挿入される。新規に作るファイルの名前をドラッグしたファイルの名前に似たものにしたい場合、例えば日付とかバージョン番号の部分のみが違う名前にしたいような場合には特に便利だ。
Terminal にパス名を入力: Terminal のコマンドラインに長いパス名をタイプ入力するのは遅いし、打ち間違いも起こりやすい。例えば cd コマンドを使ってネストされたディレクトリ階層の奥深く進む場合や、パス名を指定して使うコマンドに行き先を書き込む場合などだ。そこで、プロキシアイコンを Terminal ウィンドウの中へドラッグすれば、そのフォルダまたはファイルの正しくフォーマットされたパス名が Terminal に挿入される。人々が交わす議論を読みながら私が学んだテクニックを一つ紹介すると、Command キーを押しながらアイコンやプロキシアイコンを Terminal ウィンドウの中へドラッグすれば、まず cd とタイプしてからアイコンをドラッグしてそのパス名を挿入し、それから Return を押すのと同じ効果が得られる。
ファイルを電子メールメッセージやテキストチャットに添付: 現在作業中のファイルを誰かに電子メールで送って共有したいということはよくある。そういう場合にはそのファイルのプロキシアイコンを電子メールメッセージの上へドラッグするか、または Dock 上の電子メールクライアントのアイコンの上へドラッグすれば、そのファイルが添付される。同じテクニックが Messages やその他のチャットアプリでも使える。ドラッグする前に必ずそのファイルを保存しておくのを忘れないようにしよう。そうしないとあなたが施した変更が共有されたファイルに反映されなくなってしまう。
テキストやワードプロセッサのファイルを結合: 一連のテキストファイルを一つのファイルに結合させたいとしよう。Select All して Copy して書類を切り替えてから Paste、という操作を繰り返すよりも、まず保存先の書類をウィンドウに開いておいて、それから個々のファイルのプロキシアイコンをその保存先へドラッグして、適切な挿入箇所にドロップすればよい。
テキストを Marked でプレビュー:Marked アプリは、Markdown やその他のプレインテキストのマークアップ言語をプレビューするツールだ。例えばあなたが iA Writer で執筆中だったとしよう。iA Writer では書いている文章のみに集中できるけれども、フォーマット後にどんな見栄えの書類になるかを知りたくなれば、プロキシアイコンを iA Writer から Marked へドラッグすればプレビューが開く。
HTML 書類をプレビュー: HTML を書いている最中にも、それがどのような仕上がりになるかを何度も確認したくなるだろう。独自のプレビュー機能を備えたテキストエディタや HTML エディタも存在しているけれども、やはり Chrome と Firefox と Safari で(少なくともこの3つで)その HTML コードが正しくレンダリングされることを確認しておくのは重要だ。そのためには、その HTML 書類のプロキシアイコンをそれぞれのブラウザの Dock アイコンへドラッグすればよい。.
プロキシアイコンの問題点と注意点
Finder でファイルやフォルダをドラッグする際に修飾キーを押していればそれぞれ特別の働きをするが、それはプロキシアイコンをドラッグする際にも同様に働く。そこで、ドロップする先として Finder の特定の場所(例えばデスクトップなど)を使う場合には次のようになる:
以前には、Mail からプロキシアイコンを Finder へドラッグすればそのメッセージへのエイリアスが作成されていた。現在は Mail メッセージにプロキシアイコンが付かなくなってしまっているけれども、メッセージの見出し部分のどこからでもドラッグすればそのメッセージの mailbox (.eml) ファイルが作成される。
最後にもう一つ、ウィンドウタイトルを Command-クリックすることでポップアップするディレクトリメニューの方が好きだとコメントした読者が何人かいた。けれどもこのメニューにはプロキシアイコンの近くにあるという点以外に何の関連もない。ただ、そのファイルやフォルダを含んでいるフォルダ階層をチェックすることでファイルが正しい場所に保存されているのを確認したり、それが正しいファイルであると確認したりするためにこのディレクトリメニューはとても役に立つ。同じように、タイトルバーに Apple の新しいインターフェイスを採用している Pages のようなアプリでは、ウィンドウタイトルの上にポインタをかざすと下向きの矢印が表示され、それをクリックすればポップオーバーが開いて、ファイルを改名したり、タグを管理したり、フォルダの場所をチェックしたりできる。
プロキシアイコンを使ったことがなかったという人には、Mac のあまり脚光を浴びていない機能の一つであるプロキシアイコンを紹介したこの記事が、ワークフローを高速化できるきっかけとなればと願いたい。日々 Mac を使う中でプロキシアイコンを活用することに慣れ切っている私たちにとっては、これほどに生産性を増してくれる機能が失われたならばこの上なく心が掻き乱されることだろう。それからまた、既にプロキシアイコンのファンである人にも、この記事がさらに新たな使い方のヒントになれれば嬉しい。例えば Terminal ウィンドウの中へアイコンを Command-ドラッグして直接そのディレクトリに移るテクニックをご存知だっただろうか?