Apple は Wonderlust イベントで次期オペレーティングシステムのリリース日については触れなかったが、それ等の日付を核となるオペレーティングシステムに対して関連する Web ページに静かに追加した。macOS 14 Sonoma は 26 September 2023 の予定で、それ以外の全ては本日 18 September 2023 に到着した。
macOS 14 Sonoma については、もっと注意深く進むよう進言する、とりわけ仕事に使っている Mac に関しては。あなたが依存しているソフトウェアの互換性について確信を持てるまで待つべきである。何れにしろ、アップグレードする前にバックアップがある事を確認する。Take Control にいる私の友人からのアップグレードすることに関する全詳細や助言に関しては、Joe Kissell による Take Control of Sonoma と Josh Centers による Take Control of iOS 17 and iPadOS 17 を読んで欲しい。
Apple の Wonderlust イベントを視聴していた私たちの誰もが、Apple は iPhone 15 と Apple Watch Series 9 と Apple Watch Ultra 2 をリリースするに違いないと“知って”いた。なぜなら、噂はさて置くとしても、これまで毎年のように Apple はそのようにしてきたからだ。けれども、私たちがあまり予期できなかったことも、簡潔にだったかもしれないが、Apple はいくつか発表した。そのうち 5 つだけ、ここに紹介しよう。
衛星経由のロードサービス
衛星通信による Emergency SOS (緊急 SOS) は、昨年の iPhone 14 で登場した魔法のような進歩であった。そのお陰で命が救われた印象的なエピソードもいくつかあったけれども (2023 年 8 月 10 日の記事“衛星経由の Emergency SOS がマウイの山火事で命を救った”参照)、やはり実際には山の中で遭難する人の数よりも辺鄙な土地の道路でタイヤがパンクして困る人の数の方が多いだろう。そこで役に立つのが Apple の新しい Roadside Assistance via satellite (衛星経由のロードサービス) 機能だ。iPhone 14 や iPhone 15 のユーザーが、車の鍵を閉じ込めてしまったり、ガソリンや充電が切れてしまったり、タイヤがパンクしたり、車が動かなくなったり、どこかにはまり込んでしまったりといった、本当に緊急とは言えない理由で救援を求めている場合に、衛星通信経由で通信司令員にメッセージを送れるというものだ。その手順は衛星通信による Emergency SOS (緊急 SOS) 機能を使って緊急要請をする場合とよく似ている。この Roadside Assistance (ロードサービス) は当面米国のみで、American Automobile Association (AAA、米国自動車協会) との提携の下で利用可能だ。AAA は米国最大のロードサービス提供会社で、サービスは AAA 会員特典の一部となる。AAA 会員でない人は別途サービスを購入できるが、Apple はその料金を明かさなかった。
Apple は衛星通信を利用した Find My 地図に誰かの現在位置が示されている写真も公開したが、それを使う際に通知も提供されるようになったか否かには触れなかった。私は今も衛星通信を使った Send My Current Location (私の現在位置を表示) 機能があればよいのにと思っている。記事“衛星通信による緊急 SOS と Find My 機能をテストする”(2022 年 11 月 22 日) に書いた通りだ。衛星通信を使った Emergency SOS と Find My は今月中に Apple がスペインとスイスを加えた後は 16 か国で利用できることになるが (訳者注: 日本は含まれていません)、Apple はこの機能が iPhone 15 モデルを購入すれば 2 年間無料で提供されると繰り返し述べた。ただ、衛星通信による Roadside Assistance 機能が米国以外の国で利用できるようになるのか否かについては何も述べなかった。
iCloud に 6 TB と 12 TB のプラン登場
ずっと以前から iCloud+ の最大容量は 2 TB であったが、現実にそれよりもっと多くの容量を必要とする Apple ユーザーもいる。Wonderlust イベントの最中に Apple は価格設定について何も述べなかったが、イベント後に Apple は個別の発表として iCloud+ の料金ページを更新し、プランの詳細も公開した。6 TB の料金が月額 $29.99、12 TB が月額 $59.99 だ。決して安くはないが、より大きなストレージを必要とする人がいるという事実を Apple が認めたのは良いことだ。ひょっとすると Apple は将来のアップデートで Time Machine バックアップを iCloud に作成できるようにしてくれるのではなかろうか?
FineWoven が Apple 製品ですべての革製品に代わる
すべての製品を 2030 年までにカーボンニュートラルにするという努力の一部として、Apple は革を使った製品の販売をすべて廃止すると述べた。その昔の Twentieth Anniversary Mac のキーボードに革製のパームレストが使われて以来長い年月が経つが、現時点でこの決定の影響を受ける製品は Apple Watch の革製バンドと iPhone ケースのみだ。Apple はそれらに代えて、FineWoven という名前の耐久性ある綾織の布地を使うことにした。68% がリサイクル素材で作られている。Apple によればこれは「微妙な艶を持つスエードのような柔らかい感触」だとのことで、iPhone の MagSafe ケースやウォレット、加えて Apple Watch バンドの Magnetic Link や Modern Buckle タイプにも使われる。
AirPods や Apple Watch を USB-C iPhone から充電
Apple が iPhone 15 シリーズを USB-C に移行させたことと、AirPods Pro 用の USB-C 充電ケースを出したことは予想通りだった。ただ、私が予想していなかったのは、その発表の後に Apple が素早く付け加えた事実だ。iPhone 15 の各モデルを使って、AirPods や Apple Watch を充電できるようになる。たいていの人にとって別に大したことではないだろう。AirPods や Apple Watch を充電するよりも、iPhone をできるだけ充電された状態に保つ方が重要であることが多いからだ。でも、いざという時にはありがたいかもしれない。出掛ける前に AirPods や Apple Watch を充電し忘れたことを、外出先で思い出したような場合だ。
Apple は引き続き環境を重視
最後にもう一つ、Apple は環境に関する取り組みについてますます多くを語るようになってきているが、今回のイベントではこれまでにも増してその話題が多く語られた。今年の新製品が概して漸進的なものばかりで、語るべきことがあまりなかったからなのかもしれないが、それでも Apple ほどの規模の会社が環境的目標と達成度を前面に掲げているのはやはり重要なことだ。いずれにしても、Apple Watch Series 9 と Apple Watch Ultra 2 が両方とも、少なくとも特定のバンドと組み合わせればカーボンニュートラルと言えるのは嬉しい。
けれども、Apple が制作した 5 分間のビデオ は、CEO の Tim Cook や環境・政策・社会イニシアティブ担当副社長 Lisa Jackson をはじめとして居並ぶ Apple 重役たちが緊張した様子で Octavia Spencer 演じる Mother Nature (母なる自然) を迎え、報告をするというものだが... とにかく奇妙だった。Apple の面々が同社の環境への取り組みの成果をいくつか紹介するのだが、Mother Nature はそれに異議を唱えたり、述べた人を困らせたりしつつ、一貫して面白くなさそうな表情を浮かべており、最後は Tim Cook とにらみ合いをした挙句に、来年また来ると言って去るのだった。
Modular Ultra 文字盤: Apple Watch Ultra 2 は新しい Modular Ultra 文字盤を手にする。それは大きな表示盤の一番外側の端を使い、秒、高度、或いは深度と言った実時間のデータを映し出す。Mastodon 上で、David Smith は初代の Apple Watch Ultra もまたこの新しい文字盤を手にすると書いている。
Apple Watch Series 9 は、41mm アルミニウム GPS のみのモデルで $399 から始まる;45mm モデルは $30 高く、セルラー対応は $100 追加となる。色は、ピンク、ミッドナイト、スターライト、シルバー、そして PRODUCT(RED) とあるが、PRODUCT(RED) は赤の Sport Band だけが選択肢となる。ステンレススチールでは、41mm モデルが $699 からでセルラー接続性が含まれる;45mm モデルは $50 高い。Rubber バンドは追加費用無しで含まれる;テキスタイルの一部と全てのステンレススチールバンドは $50 から $300 高となる。Apple Watch Ultra 2 の価格は変わらずに $799 で、新しい Alpine Loop, Trail Loop, 或いは Ocean Band からの選択が含まれる。
Apple は新しい Apple Watch モデルの予約注文を 15 September 2023 から受け付けており、出荷は 22 September 2023 からとなる。
アップグレード判断
以前のモデルではあるが完全に機能している Apple Watch からこれ等のモデルのどちらかへとアップグレードすることに対して新たな熱意をかき集めるのは容易いことではない。タイマーを止めたり、電話に出たりするのに空いた手がないと言う経験をしばしばしているのであれば、ダブルタップのジェスチャは考慮に値するかもしれない。他の改善点についても反論するつもりもないが、それ等は多くの人々にとってアップグレードに値する程魅力的ではない。
しかしながら、Apple Watch を初めて買いたいとか、もうかなり古いモデルだとか、電池が一日の使用に耐えられなくなっているとかであれば、Apple Watch Series 9 或いは Apple Watch Ultra 2 のどちらを選んでも間違いはない。主たる質問は、値段の他に、あなたは本格的なアウトドア派であるか、そして、嵩張った Apple Watch Ultra に見合うしっかりした腕を持っているかである。また Apple は今でも第二世代 Apple Watch SE を売っていることをお忘れなく。それには Always-On ディスプレイも、Series 9 にはある ECG 能力も無いが、$150 安い。もしどのモデルが合っているか分からない時は、Apple の比較ページが手助けしてくれる。
Apple はシリーズの中の Pro モデルの製品の方に主に革新を注ぎ続けているけれども、基本モデルの iPhone 15 と iPhone 15 Plus もそれぞれにいろいろな意味で従来のものより進化している。その進化のいくつかは iPhone 14 Pro に搭載していた A16 Bionic チップを採用したことによるものだ。
USB-C: 最も目立つ変更点は、これは Pro モデルでも同様なのだが、充電およびデータ転送のためのポートが従来の Lightning から USB-C に変わったことだ。驚くには当たらないが Apple は USB-C の利点を大いに強調しており、2024 年以後はすべての電子機器が共通の充電器を使わなければならないという EU による義務化については一言も触れていない。
Dynamic Island: iPhone 15 には昨年 iPhone 14 Pro でデビューした Dynamic Island が搭載された。画面のトップにあるカメラとセンサーパッケージを囲む領域の中にアラートや Live Activities を表示する、微妙だが有効なやり方だ。ほとんどいつも目障りになるノッチの必要性を気にならなくする働きもある。
Apple 製品は価格が高いと嘆く人たちが多い一方で、Apple は最高の製品を最高の価格で販売することで非常に良い成果をあげてきた。 今回の iPhone 15 Pro と iPhone 15 Pro Max を見てもそのことは明らかだ。Apple はこれらの Pro モデルにそれぞれ基本モデルより $200 高い値札を付けつつ、革新的な機能を加えている。衛星経由のロードサービスと第2世代 Ultra Wideband チップは基本モデルと同じだが、Pro モデルのみの機能としては以下のものがある:
USB 3 速度の USB-C: すべての iPhone 15 モデルが USB-C ポートを備えているけれども、iPhone 15 Pro および Pro Max モデルは毎秒 10 ギガビットの USB 3 転送速度に対応する。結果として写真やオーディオ、ビデオなど大量のデータを Mac やストレージデバイスへ転送する速度が劇的に向上することだろう。
Wi-Fi 6e と Thread 対応: 最高のワイヤレス体験を必要とする人たちに向けて、Apple は iPhone 15 Pro は Wi-Fi 6e に対応することでバンド幅が最大 2 倍になると述べている。また、Thread 対応によって将来は Home アプリ統合が実現するかもしれないが、それが何を意味するかはまだ不明瞭だ。
チタニウム製の外装: 筐体の素材について大声で論じたいとは思わない。なぜなら、ほとんどのスマートフォンは保護ケースに入れて使われるからだ。それでも Apple は iPhone 15 Pro が航空宇宙産業レベルのチタニウム製の外装とアルミニウム製の内部フレームとを接合することにより強度と耐久性を実現しつつ重量を減らしたと大いに宣伝する。実際にはいずれのモデルも従来よりたった 19 グラム軽くなっただけ、その差はクレジットカード 4 枚分に過ぎない。歓迎すべきことには違いないが、状況を一変させるほどには思えない。(でも、使ってみれば意外に違いが感じられるのかもしれない。)
Action ボタン: Apple は従来の Ring/Silent スイッチに代えて、カスタマイズ可能な Action ボタンを設けた。これを押したり長押ししたりして使う。デフォルトでは、従来と同じく iPhone を消音モードにする。けれどもそれを好きなアクションに設定し直すこともできる。例えば Voice Memo を呼び出したり、Focus (集中) モードに設定したり、カメラやフラッシュライトにアクセスしたり、Accessibility オプションを有効化したり、Shortcut を起動したりもできる。触覚フィードバックが得られるし、Dynamic Island に視覚的応答も出る。
さらに良い写真: iPhone 15 Pro および Pro Max モデルはさらに優れた 48 メガピクセルカメラを搭載し、基本モデルと同じ計算写真学のアップグレードを受けて 24 メガピクセルのデフォルト写真、Night モードによる低光量下での写真の向上、Smart HDR を使ったより鮮やかな画像、自動 Portrait モードを提供する。それに加えて、iPhone 15 Pro Max の方は 5x ズームの Telephoto (望遠) カメラを搭載する。これはテトラプリズムを設計した成果であって、これこそが噂されていた“ペリスコープ”カメラだ。
iPhone 15 Pro と iPhone 15 Pro Max の表面仕上げはブラックチタニウム、ホワイトチタニウム、ブルーチタニウム、ナチュラルチタニウムの 4 つから選べる。iPhone 15 Pro の価格は 128 GB の $999 からで、256 GB、512 GB、1 TB のストレージオプションもある。iPhone 15 Pro Max の価格は 256 GB の $1199 からで、512 GB と 1 TB のストレージオプションもある。昨年の iPhone 14 Pro Max の価格は $1099 からであったがそれは 128 GB のストレージに対してであり、今はそのオプションがもうないので、基本的に価格は同等と言える。あるいは、インフレーションを考慮に入れるならば価格はむしろ安くなったと言うべきだろう。[訳者注: 日本では為替レートの変化によって価格が昨年より高くなっています。]
アップグレードの決断は
昨年の私たちは、iPhone 14 へアップグレードすべき理由はあまりないけれども、iPhone 14 Pro については 48 メガピクセルカメラ、Always-On (常時表示) ディスプレイ、Dynamic Island などの魅力が大きいと書いた。けれども今年はその反対のことが言えると思う。
しかしながら、iPhone 15 Pro と iPhone 14 Pro の違いの恩恵を実感できるのは主としてプロフェッショナルたちだけかもしれない。A17 Pro、USB 3、あるいは Wi-Fi 6e によるパフォーマンス向上も、気付かない人の方が多いのではないか。いつも通りにカメラの向上に注目しているファンたちは多いだろうが、そもそも 5x Telephoto (望遠) カメラは iPhone 15 Pro Max にしか搭載されず、確かにそれは素敵なカメラだけれどもそこまで大型のスマートフォンは考慮の対象外だと考える人は (私を含めて) 多いのではなかろうか。
そういう訳で、私としては iPhone 14 Pro からのアップグレードを多くの人たちに勧めたいとは思わない。カメラの向上と Action ボタンだけでは、私は買い替える気持ちになれない。でも、iPhone 13 Pro あるいはそれ以前を持っている人にとっては、iPhone 14 Pro を際立たせていた機能も得られるのだから、決断しやすいことだろう。
Microsoft がバージョン 16.77 の Office for Mac をリリースして Microsoft Purview Information Protection (Microsoft Purview 情報保護) への対応を追加した。今はこれが Word、PowerPoint、Excel の書類、および Outlook の電子メールメッセージにおけるデフォルトの暗号化メカニズムとなっている。Outlook ではバニティドメインを適切にサポートできるよう認証フローが改善され、GMT で作成された一部の終日イベントがカレンダープレビューで1日遅れて表示された問題を修正し、ユーザーが複数のメールを印刷できない問題を修正した。(一回限りの購入 $149.99、年払い講読オプション $99.99/$69.99、Microsoft AutoUpdate 経由で無料アップデート、リリースノート、macOS 10.15+)
この画像エディタにビデオ編集機能を追加した (2022 年 12 月 9 日の記事“Pixelmator Pro 3.2.2”参照) Pixelmator Team は、今回 PDF 編集機能にも対応させた Pixelmator Pro 3.4 (愛称 Camelot) をリリースした。このアップデートで改訂された PDF エンジンは、複数ページの PDF 書類から個々のページを選択して開くことができ、Safari、Pages、その他の iWork アプリで作成した PDF を編集でき、複数個のファイルを Shortcuts アプリの更新された Convert Image/Video アクションを使って PDF に変換できる。Pixelmator Pro はまた、図形や画像の要素をレイヤーに持つベクター PDF の読み込みができ (macOS 12 Monterey かそれ以降が必要)、Shortcuts を使ってファイルをベクター PDF に変換したり、新しい Preserve layers 設定を使ってすべてのレイヤーを統合したりできる。(Pixelmator からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、633.3 MB、 リリースノート、macOS 11+)