Apple が我々の機器をより個人的なものにするやり方についての感想を手短に述べた後、私が苛立たしいほど不明瞭だと感じている話題について掘り下げてみたい - 同じプリンターに対するドライバーの不可解さである。読者の一人は AirPrint ドライバーの彩度に問題があり、そして私は AirPrint ドライバーを使ったプリントジョブが印刷できない問題を経験したことがある。
watchOS 誕生日メッセージ
私は最近誕生日を迎えた。そしてその日の朝、私の Apple Watch 上にお祝いの風船が現れたことに思わずニヤッとさせられた。この機能が watchOS 8 で新しく登場したものかどうかは確信をもっては言えないが、これ迄 Apple Watch が私の誕生日を祝ってくれた記憶はない。それはいい感じだし、それが私の腕時計にだけ現れたこともまあ適切だと言える。何故ならば、Apple Watch は一日を通して私の体に最も近い位置にいる Apple 機器だからである。
ありがとう、Apple!
AirPrint ドライバー、彩度不足の原因となり得る
TidBITS 読者の Charles Reeves が最近一つのイライラの募る問題に対する興味深い解を紹介してくれた。彼はプロの写真や美術用に設計された Canon imagePROGRAF PRO-1000 プリンターを使っている - これは本格的なプリンターである。Charles は、最近の Mojave から Catalina そして Big Sur へのアップグレードの多難な長旅を経験した後、Photoshop から印刷する時に印刷物に十分な彩度が得られない問題を経験し始めた。彼は色々調べた結果、色管理コンサルタントの Phil Cruse による有用なページに行き着いた。それは問題が Apple の AirPrint ドライバーにあることを示唆していた。(Preview からの印刷物は - それは Photoshop ファイルを開ける - 問題がなく、これは Adobe/Apple のコンフリクトであることを示している。) Charles はそこにある指示に従って操作し、そして AirPrint ドライバーは削除されたと思ったが、問題は残っていた。Phil Cruse との何回かのやり取りの後、Charles は自分のプリンターを Bonjour プリンターとして再度設定していたことに気づいた。AirPrint はどうもそれを使っているらしい。そのプリンターは彼の Ethernet ネットワーク上にあるので、彼はそれを静的 IP アドレスを持つ IP プリンターとして再度設定できた。その後、彼の印刷物の彩度は正常に戻った。
色管理は、私が全く理解していない黒魔術である。しかしながら、面白半分で、Photoshop に同じカラープロファイルを使う色管理をさせながら、同じ写真を色々なプリンタードライバーを使いながら Photoshop を使って印刷させてみた。私は Charles が見つけた修正方法が働いているのかどうかを見極めることはできなかったが、印刷物の間には結構違いがあることは言える。いずれにしろ、これから得られるものは何かの解釈は皆さんにお任せするが、これが色に関する問題を解明しようとしている人への一助となることを願っている。
プリントジョブがうまくいかない時には別のプリンタードライバーを試す
Charles の疑問は、私が長年苦闘してきた同様のプリンター問題を思い起こさせた。私はHP Color LaserJet MFP M477fdw を持っているが、それは全体的にはよく働いている。しかしながら、Tonya も私も、一見何の変哲もなく見える書類を印刷しようとして印刷できない経験を何回もしている。これに対する我々が辿り着いた回避策は、AirPrint 或いは Secure AirPrint (Auto Select 選択肢は常に Secure AirPrint を選択する) の代わりに Generic Postscript Printer ドライバーを使う新しいプリンターを System Preferences > Printers & Scanners で設定することであった。
Apple が NSO Group を訴えた。この会社は Apple のオペレーティングシステムと Google の Android の兵器化された弱点を突く手段を売っており、これを使えば政府は、人権活動家、反体制活動家、記者等を、彼らの電話やコンピュータを経由して監視することが可能となる。Apple は、NSO Group が Apple 製品とサービスを使うことそしてそれらに対する弱点を突く手段を開発することを永久に禁止することを求めている。
Apple はこの行動を恥じておらず、自社のサイトに発表している。通常戦略については口を閉ざしているが、Apple はセキュリティエンジニアリング及びアーキテクチャのトップである Ivan Krstic が New York Times と話すのを許した。彼は同紙に以下の様に語った:
Apple が言いたいことはこうである:もしそれをやるならば、もし我々のソフトウェアを、純真なユーザー、研究者、反体制の人、活動家やジャーナリストに対して兵器化するならば、Apple は情け容赦しないであろう。
この Cupertino の巨人はまた、二つの著名な独立研究グループである Citizen Lab と Amnesty Tech に対してその研究促進のために $10 million を与えると言う。Citizen Lab は University of Toronto の公共政策スクールの一部で、そして Amnesty Tech は Amnesty International 内のグループで、これ迄、政府により標的とされた人達によって使われていた機器の多くの乗っ取り事例を暴いたり、明らかにする手助けをして来た。
その様な発見は通常 iOS, iPadOS, macOS, Android, そして Windows に対する、更に Apple, Google, Microsoft 等々によって開発されたアプリに対する広範囲なパッチ当てにつながる。しかも、多くのものが研究者が関係する会社に警告を発してから数日内に行われる。
NSO Group とその顧客は、高度に標的化したサイバー攻撃を実行するために国民国家の膨大な資源と能力をつぎ込み、Apple や Android 機器上のマイク、カメラ、そしてその他の機密データにアクセスすることを許している。
この訴訟は US District Court に、NSO Group が "如何なる Apple サーバー、機器、ハードウェア、ソフトウェア、アプリケーション、或いは、他の Apple 製品或いはサービス" を使うことを永久に禁ずることを求めている。Apple はまた、NSO Group が Apple のエコシステム内にある全てのものに対する侵入ソフトウェアを作り出すことに対する永久差し止めも欲している。Apple は補償としてそして罰としての損害額は特定していない。影響を受けた機器の範囲、そして NSO Group に起因するマルウェアに対応するための Apple の費用を考慮すれば、それはかなりの金額になるであろうことは容易に想像出来る。
このイスラエルを本拠地とする NSO Group は、Pegasus と呼ばれるスパイウェアを開発している。それは一式の監視ツールで、一旦標的の機器に秘密裏にインストールされると、政府がメッセージを傍受し、データを実時間で監視し、情報を抜き出し、機器のカメラとマイクを音もなく動かす、等々のことをするのを可能にする。Pegasus を展開するため、NSO Group は、アプリやオペレーティングシステムに以前に起こった原因不明のエラーに依存するゼロデイ脆弱性、攻撃に依存する。
Apple が選べる事例は沢山ある中で、その訴訟は 2021 年の出来事に固執していて、具体的に Citizen Lab が NSO Group に関連付けた Pegasus 利用の攻撃の使用を挙げている。Citizen Lab はこのゼロクリック不正攻撃を FORCEDENTRY と名付け、そして Apple はそれが February 2021 から September 2021 迄出回っていたと述べた。September 2021 は Apple が既存のオペレーティングシステムにパッチをリリースした時期である。
NSO Group は、電子機器に対して秘密裏のアクセスを許す技術を提供していることを否定はしていないが、色々な場面でこの反応に類するものを出してきた:
しかしながら、この訴訟は遅れた。その理由は、NSO Group が同社は主権免除により保護されていると主張しようとしたからである。同社の言い分は、同社はソフトウェアを政府機関に売ったのであり、そしてそこがそれを使ったのだと言うことである。予審判事はそれをしりぞけ、そして NSO Group は控訴した - 同社は2週間前の 8 November 2021 にこの控訴で敗れた。この訴訟は、和解しない限り、ゆくゆくは判決が出るであろう。
この控訴審の判決が出る直前の November 初期に、US Department of Commerce は NSO Group ともう一つのイスラエルに拠点を置く会社である Candiru を、いわゆる Entity List [訳者注:貿易取引制限リスト] に追加した。これは同省に米国企業が技術を彼らに供与するのを禁止すること許す。Commerce Department はまた最近米国企業が電子侵入のためのソフトウェアを他の国へ売ることを禁ずる一般規則を制定した。
イスラエル政府はしばしば国際市場でイスラエル企業を強く擁護してきたが、これ迄のところ、唯一の公のコメントは Foreign Minister Yair Lapid から発せられた。彼曰く、"NSO は民間企業であり、それは政府プロジェクトでもなく、それ故に、たとえ指定されていても、イスラエル政府の政策とは何らの関係もない。" イスラエルの Defense Ministry は NSO Group に対する独自の捜査に着手したと The Hill は報じている。これはとりわけ厄介である。と言うのも、2020 年にはニュース組織である Haaretz of Israel は、イスラエルと湾岸諸国の間の外交関係の雪解けの一部として、政府が NSO Group にそのソフトウェアをサウジアラビアと UAE の政府と指導者達に売るよう強制したと報じていたからである。
これらの騒ぎに加えて、NSO Group は $500 million 相当の債務が不履行となるかもしれない。The Times of Israel はこの金額に言及し、そして、22 November 2021 に格付け会社の Moody's は NSO Group の格付けを "低品質でクレジットリスクがとても高い" に下げた。このニュースは、Commerce Department が同社をブラックリストに載せた後、共同社長の一人 Isaac Benbenisti の辞任を数日目に報じたものに続くものであった。Benbenisti は CEO になる予定であった。
Commerce Department の行動、そして Facebook の訴訟と共に、Apple が訴訟にそれ相当の力を持ち込み、そして既に進行中の研究を更に支援することで、外見上合法的なスパイウェア業界の背骨を折るに必要な圧力を作り出せるかもしれない。
検索 はブラウズに比べて方向性が強い。少なくとも欲しい情報を見つけるために良い方法で検索する場合にはそうだ。実際問題として、そこでは検索語の正確性が極めて重要となる。下手な検索をすれば、多種多様な検索結果の中を結局ブラウズしなければならなくなる。他方、本当に良い検索をすれば欲しい情報が検索結果の一番上に出る。(私の好きなシステムは私が「一撃検索」と呼んでいるもので、検索しただけで欲しい情報に直接切り替えたり表示したりするので中間的な検索結果リストは表示しない。LaunchBar はそのように動作するし、今は廃止されてしまった Google のかつての Browse By Name 機能もまさにそれだ。2011 年 4 月 6 日の記事“Browse By Name で Google Chrome や Safari 5 のサーフを高速化”参照。)
これら3つのナビゲーション方法はそれぞれの場所で現に活用されているけれども、macOS と iOS ではブラウズがデフォルトであり、検索が許されている一方で、リンクに関しては口約束のみに止まっている。macOS の中でリンク付けが活用されている場所はごく限られていて、例えば Contacts で関係性の見出しをクリックして Show Contact を選べばリンク先の連絡先情報が表示される。Apple はプライベートリンク機能もいくつか提供していて、例えば Messages の会話の中で日付をクリックして Calendar の中にイベントを作成すれば、そのイベントの中に Messages で元の項目を開くリンクが提供される。確かに素敵な機能だが、Apple はこの種のメッセージリンクを開発者たちが使えるようにするための API を提供していないし、ユーザーがそれをコピーできるインターフェイスも提供していない。けれども全体的に見て、私たちが情報資源の間のリンクを作成できるようにするために Apple の側でできることがまだまだたくさんあるだろう。
Apple のオペレーティングシステムとバンドルされたアプリの内部でもっと良いリンク対応があれば、Notes の中で、あるいは Mail の中の電子メールメッセージで、個々の項目へのリンクを作成できることだろう。何かの書類で作業をしていて、Notes や Mail の中にある参考資料へのリンクが一か所に集まっていれば便利ではないだろうか? Preview にある PDF の中の特定の個所へのリンクや、Books にある電子ブックの特定のページへのリンクや、QuickTime Player にあるビデオのタイムスタンプへのリンクはどうだろうか? さらに、必要なサーバやサービスさえあれば、それらのリンクを他の人と共有することさえできるだろう。
サードパーティの開発者たちは既にこの種のリンク付けの実例を数多く提供している。リンク付けユーティリティ Hook と互換なアプリ のリストが出ているので、これを見れば現時点で何ができるかの感じが掴めるだろう。けれどもこれは、それぞれが独立に対応をしているのみで、まだ取り立てて組織的なものとはなっていない。だからこそ、今回の Manifesto for Ubiquitous Linking には当初の署名者として数多くの開発者たちが参加しているのだ。Bare Bones (BBEdit) の Rich Siegel と Patrick Woolsey、Omni Group (OmniFocus) の Ken Case、DEVONtechnologies (DEVONthink) の Eric Bohnisch-Volkmann、Eastgate Systems (Tinderbox) の Mark Bernstein、それから Michael Tsai (EagleFiler)、ProjectWizards (Merlin Project) の Frank Blome、そして Brett Terpstra (Marked 2)、Nitro Software (PDFpen) の Angel Vu、最後に CogSci Apps (Hook) の Brian Shi という面々が署名している。リンク付けへの対応は今や上げ潮の勢いで、誰の船をも持ち上げる。
USB 3.1 標準のリリース直後に登場した USB-C コネクタへの進化は、単純さを約束した。ホスト機器が Type-A を、周辺機器が Type-B、Mini-B、Micro-B その他まちまちのものを使う状況に代えて、たった一種類のコネクタが接続の両端を担当し、電力とデータの両方を運ぶようにしたものだ。同じケーブルを使って電力を双方向に流すことができる。コンピュータがバッテリーやスマートフォンを充電したり、バッテリーがコンピュータを充電したりできる。細長い軸はリバーシブルなので、間違った向きに差し込むということもあり得ない。
USB-C があればもう他には何も要らないはずだった。でも、実際にはそうならなかった。
USB の混乱
ハードウェア側は、問題なく動作する。USB-C はどんな USB-C ジャックにもきちんとフィットする。でも、USB 標準を管理し開発しているグループである USB Implementers Forum (USB-IF) は、おそらく USB 配線を 通って 何が行き来するかの複雑さを、そしていかにして効率的なコミュニケーションを実現すべきかを、十分突き詰めて考えなかったのではなかろうか。つまり、電源も、ビデオも通過させ、さらにいくつかの異なる標準でのデータを伝えなければならないということを。
Wikipedia に載った下のチャートをご覧になればお分かりの通り、USB-C より前に登場したすべてのコネクタは相手方のコネクタとして何が許容されるかについて大きな制約を持っていた。Type-A が最も適合度が高いが、Wikipedia が USB Type-A to Type-A ケーブルに "Proprietary, hazardous" というラベルを付けて「USB-IF 準拠の設備と相互動作可能でなく、差し込むと双方のデバイスにダメージを及ぼす可能性がある」と記していることに注目したい。
USB 4 は Power Delivery をも要件としている。USB 3.2 ガイドラインが素っ気なく述べている通り「USB 3.2 は USB Power Delivery でもなければ USB Battery Charging でもない。」Power Delivery って何だ? Battery Charging って何だ? この2つの USB 規格もまた、さきほど紹介したラベルのチャートを USB-IF が思い付くに至った要因であった。
ここに電力あり
USB を通じて電力を供給する歴史はその最も初期の時代にまで遡るが、当時はワット数が独自仕様のコントローラやプロトコルを必要としない程度のものに限定されていた。そして、高ワット数のケーブルを使った多くのデバイスの間での相互運用が広く使われるようになったのは、USB-C が初めてであった。それを可能にした規格が、Power Delivery と呼ばれるものだ。
The Pixelmator Team が Pixelmator Pro 2.3 (別名 Abracadabra... Steve Miller Band の曲を思わせる) をリリースした。自動背景除去機能と自動被写体選択機能、および Select and Mask ツールを追加した、メジャーなアップデートだ。Pixelmator Pro ツールバーからアクセスする新しい Remove Background 機能は畳み込みニューラルネットワークを使用して事実上どんな画像からでも被写体を見分け、その背景を自動的に除去する。それと組み合わせて使う AI 駆動の Decontaminate Colors 機能は境界部から従来の背景の痕跡を自動的に除去して被写体がよりシームレスに背景に溶け込むようにする。
Pixelmator Pro 2.3 で新設された Select Subject 機能はどんな画像からでも自動的に対象を選択するが、この機能はとりわけ macOS 12 Monterey と M1 ベース Mac でうまく働く。新しい Select and Mask ツールは髪の毛やファーなど非常に複雑な境界を持つオブジェクトも正確に選択できるようにする。
今回のリリースではまた、Shortcuts アプリの Pixelmator Pro アクションを更新して (ポートレート写真のみならず) どんな画像でも背景を除去したり題材マスクを作成したりできるようにし、カスタマイズしたサイズやスケール率で画像を書き出すオプションを Export ダイアログに追加し、最後に使った書き出し場所を書類ごとでなくアプリ全体で記憶するようにしている。(Pixelmator からも Mac App Store からも新規購入 $39.99、無料アップデート、433.4 MB、リリースノート、macOS 15+)
Parallels が Parallels Desktop for Mac 仮想化ソフトウェアのバージョン 17.1.1 を出し、Installation Assistant に新しいオプションを追加して M1 ベース Mac への Windows 11 のダウンロードとインストールが容易にできるようにした。(ただし 2021 年 10 月 26 日の記事“LittleBITS: Crab Fit、Insta360 GO 2、myCharge MAG-LOCK、M1 Mac 上の Windows”を参照のこと。) 今回のリリースでは ARM ベースの Windows 11 仮想マシンに MS Store アプリがインストールされない問題を解消し、仮想マシンが VPN 経由で Mac で利用できるリソースにアクセスできないバグを修正し、Intel ベース Mac で macOS 12 Monterey を走らせている場合に Use Windows from Boot Camp オプションが表示されない問題に対処し、CPU を手動で割り当てる際の問題を解消した。(Standard 版の年額講読 $79.99、Pro 版は年額講読 $99.99、318 MB、リリースノート、macOS 10.13.6+)