実際その「供給上の制約」という言葉は財務アナリストとの Apple の四半期投資家電話会見でこれまでも繰り返し語られてきた。Cook は二種類の制約について述べた。一つはチップの不足で、これは全世界的な問題だ。もう一つは東南アジアにおけるパンデミックに関係した製造の途絶で、これは COVID-19 の Delta 株の出現によってとりわけ大きな打撃となった。サプライチェーンの最近の問題について Josh が分析しているのでどうぞお読み頂きたい。
Cook は、COVID 関係の制約が緩和されつつあるものの、チップの不足は今後も続くだろうと述べた。Apple 製品への需要が伸びていることと考え合わせると、伝統的に Apple の最も利益の大きな四半期である第1四半期にも、今年はチップの不測の結果としてさらにまた 60 億ドルの不足が発生するかもしれない。言い換えれば、Apple のポリッシングクロスがすぐに出荷されるとは考えない方がよいだろう。
Apple の各部門ごとの収益について言えば、iPhone が引き続き首位にいるけれども今回は Apple の四半期収入全体の半分を下回って、Services が好調な二位となった。(ポリッシングクロスはどのカテゴリーに属するのだろうか? 私たちの予想では "Wearables, Home, and Accessories" だ。)
Mac は 2020 年にブームを巻き起こしたが、Q4 での成長率は小幅なものに戻った。前年同期比で収益は 1.6% の増加で、Q4 2020 の 90 億ドルから 92 億ドルに増えた。それでも、これは Mac の四半期収益としては史上最高の記録となった。実際、最近の 5 つの四半期はすべて Mac 収益の記録を更新し続けている。今回の四半期で好調な売上を押し上げたのは新型のコンシューマ向け MacBook と iMac で、いずれも Apple silicon で駆動される。最近リリースされた MacBook Pro モデルは第一四半期の終了後にデビューしたので今回の業績の計算には入っていない。
Services
Services 部門は引き続き急上昇中で、前年同期比で 25.6% の増加となった。Q4 2020 の 145 億ドルに対して Q4 2021 は 183 億ドルだ。Services 部門が独立のカテゴリーとなった 2015 年に比べれば3倍以上だ。それに、これは Apple のビジネスの中でサプライチェーンからあまり直接の影響を受けないものの一つでもある。Cook は Apple TV+ の成功についてとりわけ熱意を持って語り、Ted Lasso や The Morning Show などの番組の人気 (と最近 Emmy 賞を受賞したこと) にも触れた。けれども収益の観点からもっと重要な点は Apple の各種サービスの購読者数で、Cook は 7 億 4 千 5 百万人と述べた。含まれるサービスには Apple TV+ だけでなく、Apple Fitness+、Apple Music ビジネス、Apple Arcade サービスがある。
Apple のサービスに多大な悪影響を与えかねないものが一つあって、それは政府の立法府や規制当局が Apple による App Store への緊密なコントロールを弱めようとしていることだ。Cook は Apple が自社のソフトウェア顧客のプライバシーとセキュリティを保護することに全力を注ぐと数回にわたって明言し、最近の彼が何度か発言している「私たちはプライバシーが基本的人権だと信じます」という表現をここでも繰り返した。
Wearables
Wearables カテゴリーも引き続き Apple の好調な部門で、前年同期比で 11.5% の増加となり、79 億ドルから 88 億ドルに増えた。Apple はこの四半期投資家電話会見の場ではウェアラブル部門にほとんど触れなかったが、Apple Watch Series 7 と第3世代 AirPods のお陰でこのビジネス部門は Q1 2022 も好調が続くと予想できる。
Apple は世界の各地域でも記録更新を続けており、同社のビジネスのあらゆる地域別セグメントにおいて収益の増加を記録した。下のグラフを見れば一目瞭然だろう。
この問題に対する新たな解決策として Apple の iCloud+ ユーザー向けに最近登場したのが、Hide My Email (メールを非公開) 機能だ。(iCloud+ とは追加の iCloud ストレージに料金を払うと得られるサービスに Apple が新たに付けた名前で、Apple が無料提供するたった 5 GB のストレージでは足りない多くの iPhone や iPad のオーナーにとって必需品だ。) Hide My Email で代替用の電子メールアドレスを作成することができ、そこに届いたメールはあなたの通常の電子メールアドレス (iCloud でホストされるものである必要はない) に転送される。
例えばあなたがそのような代替用アドレスのどれかを使っていて、望まないメッセージがそこに届き始めたとしよう。メッセージの終わりにある Unsubscribe リンクを使って送信を止めさせることができない、あるいはそれをしたくないとしよう。そういう場合、単純にその代替用アドレスを無効化または削除すれば、二度と煩わされることはなくなる。Hide My Email 機能は Sign in with Apple (Apple でサインイン) 機能に組み込まれているので、生成された匿名電子メールアドレスを一覧したり管理したりできる。
注意すべきは Hide My Email (メールを非公開) の代替用アドレスが電子メールの受信しかできないことだ。そのアドレスから電子メールメッセージを送信することはできない。
Settings アプリ: Hide My Email アドレスを作成するもう一つの方法が、Settings > あなたの名前 > iCloud > Hide My Emai へ行って Create New Address をタップするやり方だ。するとランダムに生成された電子メールアドレスが表示され、それに対するラベル (例えば関与しているサイトまたはアプリの名前) を追加しなければならない。また、メモを書き込めるフィールドもある。Next をタップしてから、Done をタップする。
Monterey: System Preferences > Apple ID > Hide My Email > Options へ行く。プラス + ボタンをクリックして、ラベルとオプションのメモを入力し、Continue をクリックする。それから Copy Address をクリックしてすぐにどこかへペーストすることもできるし、Done をクリックして手順を終えることもできる。
iCloud.com: iCloud.com 上で新しい Hide My Email アドレスを作成することも可能だが、あまり洗練されたやり方ではない。メインページで、挨拶文の下の Account Settings をクリックする。Hide My Email のところの Manage をクリックする。プラス + アイコンをクリックして、ラベルを入力し、したければメモを入力して、Create Email Address をクリックすればよい。Sign in with Apple を使って作成した電子メールアドレスを iCloud.com がリストしないことに注意しよう。
Hide My Email アドレスを管理する
Hide My Email アドレスを使ってできることはあまりないが、しなければならないこともあまりない。インターフェイスはプラットフォームによって違うが、機能はどれもほとんど同じだ。以下では iOS 15 を中心に説明しよう。
iOS 15 と iPadOS 15
自分の Hide My Email アドレスは (Sign in with Apple で作成したものも含めて) Settings > あなたの名前 > iCloud > Hide My Email で管理する。
アドレスをコピーする: Hide My Email アドレスをコピーするには、Hide My Email 画面でその項目をタップして、そのままアドレスを押さえ続ければ Copy ポップオーバーが出る。タップすればアドレスがコピーされる。
転送アドレスを変更する: Hide My Email 設定画面の一番下に Forward To オプションがあって、これを使って Hide My Email アドレスの転送先の電子メールアドレスを変更できる。アドレスを選んで、Done をタップすればよい。残念なことに、好きなアドレスをここに入力することはできない。その代わりにあなたが Apple で、または Mail アプリを通じて登録した電子メールアドレスがリストされる。あともう一点、複数個の Hide My Email アドレスを作っていてもすべて同一のアドレスへ転送しなければならない。転送先アドレスを変更すれば、すべてがそちらへ転送されるようになる。
アドレスを無効化/再有効化/削除する: アドレスをタップしてその設定画面を開き、Deactivate Email Address をタップしてから Deactivate をタップする。すると、その電子メールアドレスはまだ存在するのに、メールをあなたの電子メールアドレスへ転送しなくなる。そうすると新たに Inactive Addresses という項目が Hide My Email 設定画面に登場し、無効化されているアドレスがここにリストされる。Inactive Addresses 画面に表示されたアドレスについては、Reactivate Address をタップして再有効化することもできるし、Delete Address をタップして完全に削除することもできる。ただし、Sign in with Apple で作成したアドレスを無効化することはできず、その代わりに Forward To をオフに設定することができる。Sign in with Apple アドレスを削除する方法は次に述べる。.
Sign in with Apple アドレスを削除する: Hide My Email 画面で Sign in with Apple アドレスをタップして、その設定画面で Manage Settings をタップする。ここですべての Sign in with Apple アカウントを管理できる。アカウントを一つ選んで、Stop Using Apple ID をタップすればそのアカウントが削除される。
Monterey
System Preferences > Apple ID > Hide My Email > Options へ行く。Monterey は Sign in with Apple による電子メールアドレスも含めて表示する。
iOS 15 や iPadOS 15 と同様に、アドレスを選択すればそれをコピーしたりオフに切り替えたりするオプションが示される。Manage Settings 画面で Sign in with Apple アカウントを管理でき、Forward To や Inactive Addresses の隣にある Options ボタンでそれぞれの管理をする。
iCloud.com
iCloud のメインページで、挨拶文の下の Account Settings をクリックする。Hide My Email のところの Manage をクリックする。ここに iOS や iPadOS にあったものと似た一連の設定項目がある。ウィンドウの一番下のところで転送先のアドレスを選べるし、アドレスをクリックして (ここでも Sign in with Apple を使って作成したアドレスは対象外だ) コピーしたり無効化したりできる。けれども iCloud.com から電子メールアドレスを削除することはできない。
Hide My Email のためのインターフェイスはまだ完全に仕上がっているようには見えないが、それでも全体的な機能のお陰で望まない電子メールの一部を減らすことはできるだろう。iOS 15 と iPadOS 15 のその他の新機能について詳しくは、私の本 Take Control of iOS 15 and iPadOS 15 をお読み頂きたい。
その記事を出した後で、ウェブ開発者の Ben Grant が便りをくれて、彼は When2Meet の軽量志向のやり方が大好きだけれども、モバイルデバイスに向いたインターフェイスがないことに苛立って、もっと良いものを見つけたのだと知らせてくれた。彼が見つけた答は Crab Fit というもので、When2Meet とそっくりの動作をするけれども、iPhone の画面でもすっきりと表示されるクリーンで現代的なインターフェイスを備えている。
Crab Fit はモバイルデバイスでの問題を解決しており、パスワードを何のために使うのかについても明確な説明を提供する。「必要ならば」投票の問題には答を出していないけれども、それを組み込むとすれば現在の心地よいほどシンプルなシステムの複雑度を大きく増すことになってしまうだろう。
Crab Fit を使ってみて私がたった一つ現実の問題だと思うのは、その名前だ。もちろん覚えやすいし、言ってみれば 2021 年の Apple Design Award
を受賞した子供向けのデジタル玩具コレクション Pok Pok Playroom に出てくる Ben 君の遊び方だと言って説明するようなものなのかもしれない。でも、テクノロジーに詳しくない人に「Crab Fit の投票」を頼んでも「部屋の中を走り回るワークアウトか何かか?」と思われるのがオチだし、その点「When2Meet の投票」を頼めば「金曜日なら都合が良いかな?」と自然に答えてもらえるだろう。
Insta360 GO 2 カメラはさらにもう一段小さなアクションカメラ
今年になって私は Insta360 ONE X2 アクションカメラについて記事を書いた。これは2台のカメラが撮影したものを統合して 360 度ビデオを作るものだ。(2021 年 2 月 12 日の記事“初見:Insta360 ONE X2 ステディカム”参照。) でも、この夏は思ったほど ONE X2 を使えていない。その理由としては怪我をしてあまり走れなかったこともあるし、いったい何を撮影すればいいのか判断がつかなかったこともある。いつものグループランニングを録画してもよいのだが、自撮り棒を手に持ったまま 30 分から 90 分も走る気にはなれないし、そんな長い時間大勢のランナーたちが話をしながら走り続けているところをいったい誰が見たいと思うだろうか? あるいはまた、トレイルレースのコースの下見のために録画してみてもよいけれども、これもまた、長い時間木々が通り過ぎるのを眺めているだけではつまらない。そもそも私は結構忙しいので、ランニングの後に何時間もビデオを見ている暇はないし、一時間の映像を数分間に縮める編集作業をしなければならないのはごめんこうむる。私はどう見ても YouTube のスターにはなれないようだ。
でも、Insta360 の新しい $299.95 のカメラがApple のオンラインストアで販売されており、これが私の問題の少なくとも一つを解決できる。長時間のランニングでずっと自撮り棒を持っている必要がないのだ。Insta360 GO 2は非常に小さく、寸法はたった 2.08 x 0.93 x 0.81 インチ (52.9 x 23.6 x 20.7 mm)、重さはたった 0.93 オンス (26.5 g) だ。小さくて軽いので、ペンダントや、衣服や、帽子や、ヘッドバンドに取り付けて使えるし、小さなスタンドまで付いている。さらに最深 13 フィート (4 m) までの防水だ。
ビデオに関しては、この GO 2 は 120 度のビデオを 2560×1440 で、毎秒最大 50 フレームで撮影できる。ぜひとも宣伝用ビデオで、これがどれだけ小さいかを実感して頂きたい。
Geoff は新型の 14 インチ MacBook Pro にアップグレードしたいと思っていたのだが、彼には Windows 用の Word 2019 を走らせる必要があった。その上それは、彼が現在使っている macOS 10.13 High Sierra、Parallels Desktop 15、Windows 10 という組み合わせと同様に絶対信頼できるものでなければならなかった。また、彼はこの話題で TidBITS 記事を書いてもらえたら嬉しいとも思っていた。
数か月前に私は Parallels Desktop 16 と Windows 10 for ARM Insider Preview を M1ベース MacBook Air にインストールして、Windows が起動し、どうやら動作するらしいことは確かめた。ただ、私が走らせたことのある Windows アプリはたった一つ、年間 6 回あるトラック競技会で使う無骨な HyTek Meet Manager だけだ。そしてこの夏、私は怖気付いて、きちんと動作することが分かっている 2016 年型 Intel ベースの MacBook Pro でこのアプリを走らせるようになり、USB-to-serial アダプタを使って私たちのクラブの計時システム Time Machine に接続して使った。(Apple がこの名前を使うより前からこちらがその名前を使っていた。) 私が Windows を使った時間よりも、Windows をアップデートするのに費やした時間の方が長かったくらいだ。
Geoff からの質問を受けてから、私は Parallels Desktop 17 にアップグレードし、Windows 11 for ARM Insider Preview にアップデートし、それが起動することと、アプリを起動できることを確かめた。どうやら問題なく動作するらしい。でも「私のマシンで動作する」のだとしても、必ずしも Word 2019 が絶対信頼性をもって動作すると Geoff に保証できる訳ではない。また、将来どこかの時点で Microsoft が動作をブロックすることも十分にあり得る。それに、私にはどう見ても責任を持って記事を書けるだけの知識がない。
結びに言い添えれば、私は Geoff に、14 インチ MacBook Pro を購入して、実際のワークフローに合わせてすべてを試してみることを勧めた。14 日以内であればいつでもいかなる理由でも Mac を Apple に返品できるので、もしもそれが彼の必要を満たす動作をしなければ、まずは返品してから、段々と減りつつある Intel ベース MacBook Pro の在庫の中から良いものを探せばよい。
The Omni Group が OmniFocus 3.12 をリリースして、macOS 12 Monterey と Mac 上の Shortcuts 双方への対応を追加した。このタスク管理アプリは今回から iOS 用 OmniFocus 3 で利用できるすべての Shortcuts に対応し、具体的には Add Items、Find Items、Show in OmniFocus、Add TaskPaper、Today's Forecast、Find Tags、Find Projects が使えるようになった。今回のアップデートではまた Shortcuts から Omni Automation スクリプトやプラグインを呼び出せるようになるとともに、macOS 11 Big Sur かそれ以降を要するようになった。(Omni Group ウェブサイトでの新規購入は Standard 版が $39.99、Pro 版が $79.99、Mac App Store では Standard 版が $39.99、アプリ内購入で Pro 版にアップグレード可、43 MB、リリースノート、macOS 11+)