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#1545: 仮想の CES 2021 開幕、新しい Apple プライバシー方針、When2Meet でミーティングの予定を調整

初めての仮想 CES が今週開幕する。いつもは放浪の特派員となる Jeff Porten が今年は仮想的に出席して、クールで興味深い機器を見つけ出す。今回は皆さんが最も興味を持ったものをアンケート調査することにした! さて、Glenn Fleishman は Apple が開発者たちに示した新しいプライバシー開示のルールを議論する。このルールは Facebook をパニックに陥らせている。それからもう一つ、Adam Engst が When2Meet について説明する。これは Doodle よりもシンプルなやり方で、グループの中でミーティングの予定を調整する役に立つ。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Zoom 5.4.7、EagleFiler 1.9.2、Nisus Writer Pro 3.2.1、Timing 2021.1、Pixelmator Pro 2.0.3、BusyCal 3.12.2 と BusyContacts 1.5.1、BBEdit 13.5.4、Default Folder X 5.5.4、それに Keyboard Maestro 9.2 だ。

Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

When2Meet:会議の時間を決める簡単な方法

何年もの間、私は任意のグループの人達との会議を計画する時、お互いに都合良い日時を決めるのに Doodle に依存してきた ("Doodle でミーティングのスケジュール管理" 28 May 2015 参照)。それは、有用で、効率的なサービスで、会議に対して一連の時間を設定して、人々にその時間に対して参加出来るか否かを (或いは、必要ならば参加出来る事を) 答えて貰える。全員の投票が終わると、時間毎にどれが最も多くの投票を得たか見ることが出来、そして最善の会議時間が分かる。

しかしながら、When2Meet を見つけて以来、私は Doodle を使ったことがない。何故ならば、When2Meet イベントの方が、作成、投票、そして最適の時間を見つけるのがより速く、簡単だからである。 When2Meet は無料で、広告は一つに限定しているという事実を考慮すれば (これに対して Doole は広告が多すぎる)、てんでんバラバラな人達を一つの会議に集めようとする時には、理に適った会議計画の解だと言える。

When2Meet イベントを作成する

パンデミックにぴったりの一つの例として、私は委員会の会議のために1時間の Zoom 会議を設定するとしよう。Doodle であれば、私は全ての可能性を拾い上げて (9-10 AM, 10-11 AM, 1-2 PM, 等々)、それぞれを一つの投票選択肢に設定、そしてそれと同じ事を可能性を持つ他の日に対して繰り返さなければならない。確かに、難しくはないが、通常注意深く時間を提案したいと思う作成と投票の段階ではそれはとても煩わしい。

When2Meet だと、イベントを作成するのはずっと簡単である。何故ならば、特定の時間を指定する必要はなく、時間帯だけだからである。

  1. When2Meet のメインページを読み込む。
  2. 一番上に、会議の名前をタイプする。
  3. クリック又はドラッグして会議の可能な日にちを選択する。
  4. 会議が可能な最も早い時間と遅い時間を、標準時間帯と共に指定する。
  5. Create Event をクリックする。

Creating a When2Meet event

それだけである。一番難しいのは、選んだ日にちのグリッドが正しいものである事に注意を払うことである。一番上には今週が現れるので、もし今が月の半ばだとすると、現れるグリッドは見慣れたカレンダーの様ではないかもしれない。

Create Event をクリックすると、When2Meet はイベントを作成し、そしてその投票ページを読み込む。それには共有のために固有の URL が付いている。それは、メールメッセージか Facebook メッセージを作成するためのリンクを提供し、そしてその URL をプレーンテキストの形でも表示する。私は、メール、フォーラムポスト、或いはテキストメッセージ経由で共有する前に、その URL をブラウザのアドレスフィールドからコピーする。

When2Meet イベントに投票する

投票体験は誰に対しても同じである、そのイベントを作成した本人に対しても。最初にやることは、他の人にも分かる名前とオプションのパスワードを使ってサインインすることである。この名前とパスワードの組合せはこのイベントだけのものであり、投票を変更したいイベントで自分を特定するためにだけ存在する。違う When2Meet イベントに対して簡単な使い捨てのパスワードを使うことも出来る。私は本物のパスワードを使った一つのログインを LastPass に保存した。以後 When2Meet イベントに投票する時はいつでも自動的に補完してくれる。

Signing into a When2Meet event

一旦サインインすれば、When2Meet ウィンドウの左側には、右側の Group Availability グリッドに対応する自分の日時グリッドが表示される。時間を選択する前に、標準時間帯は自分のものと同じになっているか確認すること - そうなっているはずだが、ポップアップメニューから異なる市を選ぶと、全ての時間はあなたの地元の時間を反映するよう調整される。

時間を選択するには、自分の Availability グリッドでクリックかドラッグする。クリックすると 15 分の時間帯が選択され、水平又は垂直方向にドラッグすると隣接する時間帯を手早く選択出来、色が赤から緑に変わる。誤って都合の悪い時間を含めてしまっても、その上をクリック又はドラッグすれば元に戻る。

通常私はカレンダーを表示させて、それぞれの日に何が起こっているのかを見比べる。それから、空いている時間を選択するが、午前中の余りに早い時間には投票しないように、そして火曜日と木曜日のお昼に走る時間は残しておくよう気をつけている。

Basics of voting in a When2Meet event
これは私の実際のカレンダーを反映したものよりずっと悪ふざけだと言うことは認識している。

繰り返しになるが、それだけである。提出ボタンをクリックする必要もないし、他の事も必要ない - ただウィンドウを閉じるだけである。

最初の人が投票した後に投票する人の体験は少々異なる。何故ならば、右側の Group Availability グリッドで傾向が、より濃い緑色のブロックで、見て取れるからである。この架空の例では、Josh が投票しており (彼の時間帯を Central Standard Time に変更していることに注意)、彼が5番目に投票する人間であり、彼の時間で金曜日の 11-12 AM が最も投票の多い1時間の時間帯であることが見て取れる。彼は、これを考慮して彼の空き時間を指定出来る。

Seeing others' schedules while voting in When2Meet

この一連の過程で最も重要なのは、幹事が前もって最善の時間を推測するまでもなく、グループはそれを見分けられることである。Doodle だと、メンバー各人がしなければならない投票クリック数を減らせそうな時間帯を推測しようとすれば、投票するだけでも大変な努力である。When2Meet であれば、投票は全ての時間が対象で簡単であり、時間帯毎の変化する人気の度合いも手に取る様に分かる。

When2Meet イベントで最善の時間を選ぶ

When2Meet イベントの幹事は特別ではない - 彼らは、他の人の投票を調整したり、或いは投票を閉じたりする等の事は何も出来ない。しかし、それぞれのイベントには幹事がおり、勝者となる時間帯を宣言する責任を負うであろう。この場合、私は1時間の Zoom 会議を計画しようとしており、5人の参加者中4人が参加出来ると言っている時間帯が一つだけであり、それが取るべきそして皆に知らせるべき明らかな選択肢である。

しかし、同じ投票数の時間帯が幾つもある場合はどうであろうか? 或いは、良くある事だが、その会議に参加してもらうのが他の人よりも重要な人がいる場合はどうであろうか? 一番人気の時間帯にそれらの人が入っていない場合、色だけで決めるわけには行かない。その様な場合でも解はあり、それはどの参加者でも何時でも出来ることである。

マウスを使って右側の Group Availability グリッドのブロック上に行くと、左側に参加出来る人と出来ない人のリストが表示される。ご想像のように、Tim Cook と Bill Gates は中々つかまえ難いので、金曜日の 12-1 PM には都合の悪い Tonya には我慢して貰わなければならない。

Assessing specific time blocks in When2Meet

そして三回目になるが、言わせて欲しい、それだけである。イベントを作成し、投票を集め、勝者となる時間を選ぶ、それでおしまいである。

もし When2Meet があなたのカレンダーに基づいて可能な時間を推測すれば、全体のプロセスはもっと早くなり得る。しかしながら、そのためにはアカウントを設定し、あなたのカレンダーを接続する必要があることになり、その上開発者はパスワードを忘れた、アカウントが働かない等々の人々に対するサポートを提供しなければならないであろう。その様な統合にはそんな価値はないであろう - When2Meet は現在賢くも軽量であり、約束したことを正確にこなす - それ以上でもなく、それ以下でもない。

私は When2Meet を Mac 上でだけ使って来たが、試験してみると、iPhone 上でも問題なく働くようである。但し、反応の良いディスプレイは無い。iPhone を縦位置にしてズームしてやれば、投票したり Group Availability グリッドを見たりするのには不自由は無かった。iPhone を横位置にしてやれば、時間帯をタップしたり、誰が何時参加出来るかを見たりすることも可能であった。

When2Meet on the iPhone

When2Meet は無料であるが、価値があると思えたら PayPal 経由で $5, $10, 或いは $20 を寄付することも出来る。私にとっては、時間節約の観点だけでも、その価値はあった。家族の Zoom 通話、クラブの委員会、或いは似たような状況で、最適の時間を探そうとしているのであれば、試してみては如何?

討論に参加

Jeff Porten  訳: Mark Nagata, 亀岡孝仁  

CES 2021: ショウ前日の仮想イベントに登場したゲームキューブ、テレプレゼンスロボット、消毒時計

例年私が“素晴らしきラスベガス”に飛んで現地から毎年恒例の CES の展示内容をお伝えする季節がやって来た。でも今年は、フィラデルフィア州にある私の非公表の自宅からお届けしたい。なぜなら、今年の CES は完全に仮想の、オンライン開催となったからだ。これはちょっぴり皮肉だ。例年ならば、マーケティング担当者たちの口からひっきりなしに“混乱”という単語が飛び出すほど忙しい会場であったのだが、50 年間続いたこのショウに今年は全く別の意味のそれが起こったからだ。

ショウの主催者 Consumer Technology Association (CTA) は、最善を尽くしてこの変更が単なるビジネス上のよくある変動に過ぎないように見せようとしている。それでもやはり、私には仮想のショウというものがどんな風になるのか見当もつかないし、例年私が目にする驚くべき、奇妙な、そして悲惨なものたちの混合の中から良いものを見つけ出す私の能力がどんな影響を受けることになるかも分からない。これまでおよそ 20 回このショウに参加してきた私は、一時間に数百ものブースをまわって、その一つ一つを素早く一瞥して今までにないものか、もっと時間をかけて見る価値があるかを瞬時に判断することができる。けれどもそれに比べて下のスクリーンショットをご覧頂きたい。どうやらこれが今年のブース体験ということらしい。もちろん、2021 年 1 月 11 日に公式に開幕すれば事情は変わるのかもしれない。

CES 2021 "tables"

明らかに、2000 近くもある出展者をこの方法でブラウズするのは不可能だと分かっていた人間がいたに違いない。そこで CTA は“親切にも”そのホームページにランダム化を組み込んだ。

CES 2021 exhibitors

確かに素敵には違いないけれども、青い丸の中に裏返しの F と E が並んでいるのが何を意味するのか私には分からないし、分かるはずもない。CTA がこの点に気付かなかったとは信じ難いが、いずれにせよ名刺大の枠にロゴだけでは展示体験の再現にはほど遠い。せめて、個々の“ブース”空間に 4 個のサムネイル画像と tweet 2 個分くらいのテキストを載せられるようにして、個々の出展者が私にクリックする気を起こさせるため何でも好きなように工夫できるようにしてくれていたら、もう少しはショウのシミュレーションに近いものになっていただろうにと思う。

その上、CES の価値の非常に大きな部分は触って分かるというところにある。4 月にならなければ発売されない量産モデルに実際に手を触れることができたり、ガラスケースの中の試作モデルを見たり、あるいはまたその会社がちゃんとしたものかどうか (たとえそれがガレージの中の2人の若い男だけだったとしても!) の感触を知るだけでも、その場にいることに勝るものはない。私は CES のメディアパスを持っているので、たくさんのデジタル資料にアクセスすることもでき、それをジャーナリストの顕微鏡の目で集中して見ることもできるのだが、それらの資料の大部分は週末にはウェブ上に公開されることになる。大体において、私はその大量のデータをフィルター分けし収集整理するのだが、おそらく個々の機器については皆さんができるよりあまり多くのものを見ることは無理だろう。レビュー筆者として私が提供できる価値は、いくつかの会社が私に製品のサンプルを送ってくれるまでは実体化しないのが現実だ。もちろん、4 万 5 千ドルもする電気自動車 SUV のサンプルを送ってくれるとは考えにくいが。

そういう訳で、この記事で何を紹介するかを判断するために、私は“目を引く”という言葉の新しい意味を考え出す必要に迫られた。でも、一つの分野では、従来の意味とそう変わらない考え方で仕事をこなすことができた。それは、公式なカンファレンス開幕に先立って開かれたいくつかのショウで、ここではいくつかのものが赤外線から紫外線まで幅広いスペクトラムに照らされて陳列されていた。文字通りに。

OWC のドックとドライブ

Other World Computing (OWC) は伝統的に Venetian ホテルのスイートを借り切って展示しており、CES の喧騒から離れたオアシスを提供してくれた。そしてこの会社は紹介する価値のあるしっかりした製品を出す実績を持っている。新しくなった Thunderbolt Dock は M1 ベース Mac の Thunderbolt 4 に対応しており、今月中に出荷される。去年の Thunderbolt 3 ドックに比べて大きく進化したのは、Thunderbolt 4 が入力 1 基、出力 3 基の Thunderbolt 4 ポートを備えたハブとなる機能に対応することだ。(Thunderbolt 3 では入力 1 基、出力 1 基しか使えなかった。) いつもと同様、この Thunderbolt 4 ポートは USB-C としても使える。それに加えて背面に gigabit Ethernet ポート 1 基と USB-A ポート 3 基があり、前面には 4 基のうち 1 基の Thunderbolt 4 ポートと、3.5 mm オーディオジャック、USB-A ジャック (USB 2.0 速度で、おそらくキーボードまたは充電に使う)、それから SD カードスロット 1 基がある。価格は $249 で、去年の Thunderbolt 3 ドックの定価に比べて $50 値下げされている。また、OWC は USB-C Travel Dock の新モデルも出している。新型 USB-C Travel Dock E は、去年のモデルに USB-C ポート 1 基、USB-A ポート 2 基、SD カードスロット 1 基、4K 解像度対応の HDMI が付いていたのに加えて新たに gigabit Ethernet も追加している。こちらは 2 月に出荷予定で価格は $64.99 だ。私は魅力的だと思うし、去年のモデルはしっかりしたものだったが、この価格帯ならば他にももっと機能の多いドックが出ている。

OWB dock

OWC の新しい U2 Shuttle は、RAID やその他の複数ドライブベイに差し込んで使うためのストレージ機器だが、この U2 Shuttle 自体もまた複数ドライブメカニズムであって最大 4 基の NVMe M.2 SSD を搭載することができる。ユーザーが個々の SSD を独立に使うことも、また OWC の SoftRAID (含まれていない) などの RAID ユーティリティを使って 1 台の論理デバイスとして使い、理論的最大速度 64 GB/sec を出すこともできる。現在入手可能で、自分でドライブを入れて使うための裸の U2 Shuttle の価格は $149、OWC ストレージを組み込んだ U2 Shuttle の価格は 1 TB で $339、2 TB で $449、最大の 32 TB で $5299 だ。

U2 Shuttle

1MORE ComfoBuds Pro イヤーバッド

1MOREはいつも興味をそそるけれども時々困惑を招くようなオーディオ製品を揃えて CES に参加している。その製品の多くは、「中レベルの価格の製品にしてはかなり良いもの」というスイートスポットを狙っている。例えば、去年のショウで私が試したレビュー用ユニットは Stylish イヤーバッド ($79) で、これは私が知る限りどちら側のバッドでもマスターオーディオとして使えるもののうちで最も安価なイヤーバッドであった。つまり、片方を耳に入れて使いながらもう片方をケースに入れて充電できる。でも、音質もマイクも、大体においてそう悪いものではなかったけれども、他のイヤーバッドと比較すればやはり見劣りがした。そして今回、1MORE は真っ向から AirPods を標的として、高い目標を定めてきた。1MORE の ComfoBuds は AirPods の先端にゴム製のチップを付けたような見栄えで、仕様シートを見れば音質は競合できるレベルのようだ。優れているのは IPX5 防水機能、劣るのは再生時間 (AirPods の 5 時間に比べてこちらは 4 時間)、定価は $59.99 だが現在 $49.99 でセール中だ。一方 ComfoBuds Pro は "環境ノイズキャンセル (ENC)" 機能が付いて価格は $99.99 だ。ENC と ANC がどう違うのか、私は知らない。先ほど困惑を招くと言ったが、その理由の一つは私が手に入れた資料には ComfoBuds 製品シリーズと特定の ComfoBuds 製品との区別が明確に記されていないからだ。レビュー用モデルを手にすることができればもっと詳しく分かるだろう。ComfoBuds は現在入手可能で、ComfoBuds Pro は 2 月に出荷予定だ。

1MORE earbuds

Flic 2 スマートボタン

Flic 2 はプログラム可能なボタンで、いろいろなものにくっ付けて使う。それだけの話だ。自分が部屋の照明を点けるのにどれほど頻繁に Philips Hue リモコンを使っているか考えてみるまでは、私にはこんなボタンなど馬鹿げているとしか思えなかった。Flic 2 は Apple の HomeKit と (また IFTTT などその他何十もあるスマートエコシステムのどれとでも) 連動して、どんなコマンドにも指で押すだけでアクセスできるようにする。他の方法では、スマートフォンをいじくったり Siri の魔法の言葉の組み合わせを思い出したりするうちにすぐに 30 秒もかかってしまうところだ。ボタンの1回押し、2回押し、長押しをそれぞれ別のコマンドにプログラムすることができる。

Flic の小売方法はややこしい。この会社がまだ取引を続けている米国の小売店では、スターターキットに必要なハブと、4 個のボタンと、ボタンに貼り付けてラベルとして使うためのアイコンを表示したステッカーが 9 枚付いて価格は $159.99 だ。ボタンを追加購入したければ 2 個パックで $49.99 だ。Flic のウェブサイトでは、スターターキットは同じ価格なのにボタンが 3 個しか付かず、それ以外に Pro Kit (ボタン 6 個、$219.99) と Mega Kit (ボタン 15 個、$399.99) もある。アクセサリーとしては IR リモコンを使うどんなデバイスでもコントロールする Flic 2 ボタンを実現する赤外線発射器、衣服やストラップに Flic 2 ボタンを取り付けるための $3.99 のメタルクリップ、追加用のアイコンステッカー 40 枚パックが $4.99 となっている。現在すべてがオンラインで入手可能だ。

Flic 2 buttons

iHome PowerUVC 消毒時計

iHome には、Apple を想起させるデザインを作り出す習性があり、その PowerUVC Pro 目覚まし時計が、LED 腕時計や Mac mini の私生児の様に見えても驚くには値しないであろう。上蓋を閉じた状態では、ベッド脇におく標準の目覚まし時計として機能する。上蓋を開くと空間があり、携帯電話、キーチーン、そしてその他の携帯機器をそこに収納して UV 光を使い3分間で消毒出来る。目覚ましには内蔵のブザーも使えるし、この時計を Bluetooth スピーカーにも出来る;USB 充電ポートも2つ付いており電話を充電することも出来る。携帯電話には感染性の細菌が付着している可能性があるが、手短に調べた範囲では、そのレベルは、国内の公共の環境で頻繁に触られる表面と同等だと言う。その懸念は医療従事者に対してはより高くなり 、彼らの電話にはより心配な病原菌が付いているかも知れない 。私は、電話を消毒する事に対する医学的な価値は知らないが、やって悪いことは無いであろう - しかし、それが $99-$129 (店による) の価値があるかどうかの判断は皆さんに任せたい。現在入手可。

iHome disinfectant clock

Pictar ステイホームキット

Pictar は、電話のカメラを増補するべく設計された一連の製品を売っている;例えば、その Pro Grip はカメラ本体の重量感ある物理的な感覚を iPhone に与える。2021 年の新製品は面白みに欠ける一連の自撮り棒だが、私は "Stay Home Kits" と題したその販売手法に感服した。それは特定の目的のための製品を選んでバンドルしたものである。例えば、その Family Zoom Kit には、広角レンズ、照明、そして三脚が含まれ $109.99 (個別に買うより $15 安い) で、そして Home Studio Pro Kit はこのバンドルに Pro Grip を加え $234.99 ($40 安い) である。私は、人々がラップトップの周りに群がっての Zoom 通話に数え切れないほど参加してきた;もし数週間前にこの Family Zoom Kit を知っていたら、私は一つか二つをクリスマスツリーの下に置いていたかもしれない。

Pictar stay home kit

Ohmni テレプレゼンスロボット

ロボットは長年に亘って CES の至る所で見られた。余りにもそうなので、それがこのショーが喜劇の標的とされてきた一つの理由である。従って、基本的には iPad をハイテックの棒の上に取り付けただけのロボットに新鮮味は無い - しかし、1年前には考えられなかったことだが、遠隔操作で家族の一員の家を動き回れる Zoom 対応のタブレットの有用性に多くの人が新たに気づいたように思われる。$2699 の Ohmni テレプレゼンスロボットは、高さが最大で5フィートまで可変で、傾いた首が頭の動きを模していて、更に2つのカメラと遠方までカバーするマイクとスピーカーを備えている。同社は、"どんな表面の上でも静粛で滑らかに動く" と言っている (でも、砂浜迄は意味していないであろう) - ビデオを見られたし。5-6 時間の電池寿命が切れた後には、自動ドッキングシステムがあり、人手を介すること無く Ohmni は充電を開始する。このモデルは Ohmni が作った 12 世代目となるが、2021 年の新製品では無い;もしこれを超えるようなより新しい競合品を見つけたら、報告したいと思っている。これは、色々なオプションに対する顧客の好みに合わせる注文組み立て品なので、注文から配達まで3週間掛かる。

WOWCube ゲーム機

WOWCube は、未来から降ってきた様に見えるゲームである。それは 2-by-2 のルービックキューブで、24 の正方形の一つ一つが独立した画面になっていて、1つの WOWCube を構成する8個のより小さな立方体の一つ一つが独立したモジュールとなっている。WOWCube 上のゲームは三次元である;6つの面全てで物事が進行しているものもあり得る。ルービックキューブと同様、面を回して遊ぶのだが、全体を振ることもある。 Etch-a-Sketch と同じ様に長く振るとホーム画面に戻り、そこで新しいゲームを選択出来る - ビデオを見て欲しい。WOWCube はあなたの電話経由で Internet につながる。同社はここ経由でゲームアップデートや新しいゲームのエコシステムを提供する計画である。CubiOs は、値段と入手可能時期を今週 CES 期間中に発表すると言っている。

Atari VCS コンソールとエコシステム

Atari が戻ってきた。そして、直ちに新しい Atari VCS で私の中年の心を掴んでしまった。それは、オーブンで焼かれた Shrinky Dink の様相を持つ Atari 2600ƒ に様に見える。ご想像のように、Atari VCS は Atari VCS Vault と共に出荷される。それは 1970 年代のコンソール上で走った 100 のゲームの集合体であるが、オンラインストアから購入しダウンロード出来る現代のゲームもまた走らせられる。標準のバンドルには、LED 光と音で飾り立てられた昔ふうのジョイスティック、そしてより現代的なコントローラーが含まれる。Atari VCS Vault、ストア、そして Chrome の様な他のアプリは全て、起動時に使えるようになるエコシステムインターフェースの中で入手可である。これは Microsoft や Sony が彼らの Xbox や PlayStation コンソール上で提供しているものと同じ様なものである。Atari はまた、ColecoVisionn からアイディアを盗用して、Atari VCS が Windows や Linux にブートインすることも可能にしている。私は懐かしさ故に Atari には成功してほしいが、この製品が $389 の値段で Xbox Series S ($299) や PlayStation PS5 Digital Edition ($399, もし見つけられたら) といった巨大勢力と競争するという構図は理解しがたい。私にとって、この製品は開発者の目に止まるだけの市場シェアを獲得するには山ほどのベンチャー投資と客寄せのため激安で売る特売品戦略を必要とする様に見える。

Atari VCS

CES 2021 機器アンケート #1

何時ものことだが、CES での機器や端末には値段と入手可能性に大きな開きがある。しかし、ここは楽しみましょう。値段は問題では無いと想定した時、上記で取り上げた製品を日常生活の中で実際に使うと思いますか? 皆さんの考えをこのアンケートで投票して欲しい。我々はこれを我々の CES 2021 記事に対して個別に行い、最終的には、我々が取り上げたどの機器が TidBITS 読者には最も興味深いかを見たいと思う。

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Glenn Fleishman  訳: Mark Nagata   

Apple、アプリのプライバシーに関する開示とオプトインの厳しい要件を発表

2020 年末に、Apple はアプリについての新しいプライバシーガイドラインを発表して、アプリが個人のデータを収集し利用する活動について具体的かつ詳細に開示することを義務付けた。近い将来、アプリがいかなる個人識別子やデバイス固有の広告主識別子を使ってユーザーを追跡する際にもオプトインの許諾をユーザーから得ておくことが義務化される。

これら2件の変更はオンライン広告業界を怒らせた。残念なことにこの業界は過去 25 年間にわたって、かつての単にクリックスルーの回数を数えてそれをアクションと比較評価するだけの存在から、意図的に侵略的な不当説示と難読化の混乱へユーザーを誘い込む存在へと変わってしまった。全体的に見て、この業界は人々が自分の個人的な情報がどれほど抽出され利用されているかに気付かないでいることを好むので、ユーザーに許諾を求めなければならないなどとはとんでもないと思っている。なぜなら、そうなれば大多数の人々がノーと答えることを彼らは知っているからだ。

オンライン広告業界は、高度にターゲットを絞った広告を通じてのみ広告の成功はあり得ると主張する。ターゲットを絞った広告があなたのスクリーンに表示されるのは、あなたに関するすべてに関して何億兆万という計算がなされた結果なのであって、そこには何か月も前にあなたがクリックしたり訪れたりしたことも含まれる、と彼らは言う。成功しているという主張が正しいか否かには疑問の余地があるけれども (あとで触れるが正しくないと示唆する証拠がますます増えつつある) この業界は私たちの情報を使って自らがしていることを秘密にし続けることに依存し、もしもそれが明かされてしまったらカードの家が崩れ去ってしまうのではないかと内心恐れている。

Invoca (この会社のビジネスが何なのか私は知らない、広告・マーケティング業界はあまりにも奇妙なものになってしまったからだ) のブログ記事が、Apple の動きに対する業界側の観点を説明する。その見出しは「IDFA は何か、なぜ Apple はこれを葬ったか」となっている。IDFA というのは Apple が自社のハードウェアに付属させたデバイスごとの広告識別子で、ブラウザのクッキーのデバイス版のような形で機能し、ユーザーはいつでもこれをリセットできる。しかしながら、このブログ記事をよく読んでみると、大げさな表現の見出しとは裏腹に、筆者は実際次のことを言っているのだと分かる:

Apple は IDFA それ自体を“葬った”のではないが、ユーザーのプライバシーを重視する同社の継続的な努力の一環として iOS 14 においてアプリ内の追跡を“オプトイン”の状況に持ち込んだ。

言い換えれば、そう、Apple は猛烈な勢いでカードの家を吹き飛ばそうとしているのだ。

一流の位置にあるテクノロジー会社のうちで顧客のプライバシーを主要な問題のリストに入れているのは Apple のみであって、しかも Apple はそれに本気で取り組んでいる。他の大会社はプライバシーがいかに重要かについて散々喋り立てつつ、抜け穴を探してロビー活動をしたり、規制に違反した結果として少額の罰金を支払ったり、あるいは目を盗んでユーザーとの同意に違反する方法を構築したりするのが常だ。

Amazon と Google は米国においても国外においても開示、追跡、顧客侵害などについてそれぞれ独自の問題を抱えているけれども、プライバシーを侵害している最大の会社はやはり Facebook だ。どうやら Facebook のビジネスモデルは自らのユーザーたちのプライバシーを日常的に侵害することに依存しているらしく、改善の約束はするものの、決して約束通りにすることはない。

Apple は過去数年間にわたり Safari やその他のアプリでユーザー追跡に対する締め付けを着実に厳しくしてきており、これは安全で全般的な意味で“オプトイン”のインターネットを作り出そうとする目標のための努力であると説明している。そのようなインターネットにおいてはそうしたくないという選択をしない限り個人のオンライン活動が保護されプライバシーが保たれる。Apple の新しいアプリごとの開示と、アプリ外での追跡に対する同意の要件化は、顧客のプライバシーを重視する同社の主張の進化過程の上にある。

オンライン広告業界の一大体系が崩壊に向かいつつあるかもしれないことを示す予兆は既に見えている。名目上は出版社のために集金された金額のあまりにも多くの部分が広告テクノロジー会社や、広告詐欺や、仲介業者たちに吸い上げられ、実際のサイトに届くお金は半分かそれ以下だ30 パーセント以下だと報告している調査結果さえある。

広告の終末を示唆する実例は他にもまだまだある;

例えば、あなたが何かを購入したとして、その後それと同じものの広告がインターネットのいたる所であなたを追いかけるのは何故なのかと考えてみて頂きたい。広告の効率だって? そんな訳がない。

プライバシーに向けた Apple の動きは、暗闇の中にいる広告の巨人たち、これまで Rube Goldberg 風の仕掛けの中に自らの無能力を隠し続け、広告主の利益に (出版社の利益にも) なってこなかった彼らを倒す力となるかもしれない。結果として Apple がもっとシンプルな、より直接的な、侵害的でない、インターネットの初期の時代のものに似た広告を招き入れるために役立つのではないか、というのも考えられないことではない。

まあ、そんな考え方は楽観的に過ぎるのだろうが、ここではまず、Apple が既に実行を済ませた変化と、間もなく出現するサードパーティ追跡に対するオプトインの要件とについて具体的に見て行こう。

明かされるのはたった1行から、数ページにわたるものまで

Apple の新しい開示要件は簡単に理解し要約できる。アプリは、自らがどのようなデータを収集する可能性があるか、そしてそのデータがユーザーにリンクされるか否か、アプリの外部に保存されるか否か、追跡のために利用されるか否かを開示しなければならない。単純化のために言えば、標準化されたフォーマットと言語を使っているので、加工食品に付けられる栄養成分表示のラベルと比べられる。ただ、食品の表示ラベルと同様に、データを自ら報告するものであることに注意したい。それを監視し確認する Apple の役割は明確でなく、例外はさまざまにある。

以前から Apple のプライバシーのルールと、European Union の General Data Protection Regulation (GDPR、2018 年 5 月時点のもの)、および California Consumer Privacy Act (2020 年 1 月に施行されたもの) に従ってきた開発者は、既にこれらの情報を集めていて、アプリ内部から、またはウェブサイト上で、いずれかの方針に従って情報を提供しているはずだ。実質的にあらゆる開発者が、たとえ一人で運営している会社であっても、それに該当するはずだ。これら既存の法律、ルール、Apple ガイドラインはいずれも、広範囲に及ぶものだからだ。

Apple が“アプリのプライバシーに関する詳細情報”と呼ぶものは、アプリが収集するあらゆる種類のあなたのデータを、埋め込まれたサードパーティのコードによるものも含めて、体系化して単純化し、開発者がそれをどのように処理するかを記述する。勝手な標準に従って書かれた長々しいプライバシー方針を読む代わりに、Apple の詳細情報では標準化された用語とトップレベルのアイコンが使われる。( GDPR は名目上プライバシー開示に際して単純で読みやすい言葉を使うようにと規定しているが、そのための支援を何も提供していないし、紛らわしい言葉遣いを禁じるための努力もしていないように見える。)

Apple は必要な情報をどのようにして収集し提供するかについていずれも明瞭な説明を提供している。一般的原則は、アプリによって収集または推測され、かつ デバイスの外部へ 送信されて“送信されたリクエストにリアルタイムで対応するために必要な期間よりも長い期間”保持されるデータはすべて開示しなければならないことだ。例えば、アプリが何らかの情報を取り寄せるために誰かが自分の電子メールアドレスをそのアプリに提供したとして、もしもそのアプリの開発者が、およびそこに接続しているサードパーティが、情報を取り寄せた後即座にその電子メールアドレスを破棄したならば、それは Apple の定義によれば“収集”には該当しないらしい。(私が弁護士ではないことにご注意頂きたいし、この記事は法的助言ではない。)

アプリのプライバシーに関する説明は、どのような種類のデータが収集されるかという点も含んでおり、それぞれの種類について具体的な例 (例えば位置情報、財務情報、連絡先情報、その他) と、それらがどのようにユーザーに紐付けられるか (およびどのようにして紐付けられるのを防ぐか)、アプリの開発者またはサードパーティの提携者が収集したデータを使用してどのようにトラッキングをする可能性があるかについての説明もなされている。

また、トラッキング、パーソナライズ、データ使用がデバイス上でなされるかそれともデバイス外でなされるかには大きな違いがある、と Apple は明確に述べている。アプリはマーケティング情報を、サードパーティからのものも含めて、ダウンロードしてキャッシュすることができ、アプリの内部でローカルに保存された個人情報と広告主の識別子に基づいてそこにパーソナライズまたはその他の操作を施すことができる。けれどもその後でその情報がデバイスの外へ送信されない限り、それを開示する必要はない。(この原則は Apple が各社に対して電話番号のスパム識別子を提供することを許してきたやり方に似ている。電話番号のデータベースをアプリの中にダウンロードして、それをかかってきた電話番号とローカルにのみ照合することは許された。)

これらのプライバシー詳細情報は Apple の各種 App Store の中で、バージョン履歴の下にある App Privacy パネルの中に表示される。Data Linked to You のところで、利用されているデータの全種類が明確なアイコンを添えて記述される。また Data Not Linked to You セクションもあって、ここにはデバイス上のみで収集されるデータや、診断目的のみのデータ、または必要な情報を獲得した後には保持されないデータが (時にはオプションとして) 表示される。See Details をタップまたはクリックすれば、項目ごとのより詳しい内容が示される。

開示される内容の幅にはびっくりしてしまう。James Thomson の人気ある電卓アプリ PCalc が収集するのは診断目的のデータのみで、これはいかなる意味でもユーザーに紐付けされない。それ以外には何も収集されない。対照的に、Facebook が開示するもののリストは iPhone のスクリーン 10 画面分もある

App Store privacy cards

ところで Apple は、Apple フレームワークやシステムの利用を通じて Apple 自体が 収集する情報、例えば広告やアプリ内購入に関するものについては開発者たちが開示することを要求しない。Apple は既に、そのアプリのユーザーが iPhone、Mac、あるいはその他のデバイスを使うために "first party" としての契約をユーザーとの間で結んでいる。そこには、ユーザーがデバイスをセットアップしてその上で App Store にサインインする際の手続きの一部分として、開示条項とライセンスおよびデータ収集方針の受諾要件が含まれている。これらの契約諸条項は必ずしも理想的に明確な語法と表現が使われていないかもしれないが、私たちとしては Apple がこの方面でのユーザー体験をも改善するために努力していることを願いたい。(Apple はそのトラッキングや収集の一部をユーザーがオプトアウトすることも認めている。この点については私の本 Take Control of iOS & iPadOS Privacy and Security に詳しく述べてある。)

Apple のアプリもまた、それぞれ独自の App Privacy リストを持っている。Pages は“連絡先情報、ユーザコンテンツ、識別し、使用状況データ、診断”をユーザーに関連づけることがあると明記している。ただのワードプロセッシング用アプリにしてはたくさんのことを紐付けるものだという気もする。けれども、See Details のところをクリックすると、Apple はこれらの情報の多くをアナリティクス (使用度と人々が何に使っているかの評価) のために使うと明確に述べており、アプリをカスタマイズするために使っているのはほんの一部の情報であり、それもアプリ内部でユーザーコンテンツ (写真、ビデオ、データ、その他の書類) にアクセスしているだけだとしている。

いつも言えることだが、問題は開示をすることで個人による変更が促されるかどうかだ。この App Privacy リストは単なる開示に過ぎない。異なる種類のデータ収集ごとには、ユーザーはオプトインもオプトアウトもできない。ユーザーの手にはすべてかゼロかの選択肢しかない。けれども標準的なソフトウェア EULA (エンドユーザー向け使用許諾契約) や難解なプライバシー方針とは違い、Apple の要件や説明は何がどうなっているかをかなり明確に示している。もちろんそれは開発者が正直な人間であるという前提の下での話ではあるが。そしてユーザーたるあなたはそれを受け入れるか拒むかを選ぶ。つまりそのアプリを購入あるいはインストールするか、それともそうしないかを選ぶのだ。

しかしながら、Apple は間もなく新たなオプションを使えるようにして、App Privacy で開示された項目のうち一部だけを選ぶことができるようにする。それがいつ実現されるかを Apple はまだ何も言っていないが、そう遠くはないはずだ。Apple は、ユーザーたるあなたがサードパーティによるトラッキングにオプトインすることを要件化しようとしている。そしてその点こそが、まさに Facebook を恐れおののかせている。このことについて次に説明しよう。

許諾に基づくマーケティングと広告という至高の目標

Apple が予定している App Tracking Transparency 要件のどこがそれほどまでに Facebook を恐れさせ、複数の新聞に全面広告を出してそれに伴うウェブサイトを作り Apple のアップデートは小企業を危機に陥れると主張させるに至ったのか? それは、Tim Cook が 2020 年 12 月 17 日に tweet したこのちょっとしたメッセージだ。(2020 年 12 月 17 日の記事“App Store 戦争:Facebook 対 Apple、出版者対 Apple、Apple 対 Brave”参照。)

ユーザーは彼らについて集められるデータとそれがどの様に使われるかについて選択肢を持つべきだと我々は信じている。Facebook はこれ迄と同様アプリとウェブサイト上で引き続きユーザーを追跡することが出来る。iOS 14 の App Tracking Transparency は、彼らがまず最初にあなたの許可を求める事を必要とするだけである。pic.twitter.com/UnnAONZ61I

— Tim Cook (@tim_cook) December 17, 2020

Facebook は自社の意見サイトでこのメッセージを次のような言葉で形容した:「Apple の新しい iOS14 [原文のまま] 方針は、阻止のためのプロンプトをアプリが出すことを要求しており、それによって個人向け広告のために不可欠の情報を収集し共有することが妨げられる。」

言い換えれば、Facebook の広告モデル全体があまりにも脆弱なものであって、もしもユーザーが否応なしに情報を共有されるのかそれともプライバシー保護を Facebook の手に任せるのかを選ぶための情報がユーザーに与えられたならば、たちまち広告の結果が崩壊してしまうということだ。これはまさに悪事の自白ではないのか?

Facebook 従業員の中にさえ Facebook の態度は馬鹿げていると思う者たちがいる、と Buzzfeed News が伝えている。あるエンジニアは「私たちは悪いことをしているのを正当化するために同情的なメッセージを持った人たちの背後に隠れようとしているのではないか」と語り、また別の従業員は「人々が喜んで使ってくれるように私たちが魅力的なオプトインを作ればいいだけの話ではないか」という至極真っ当な発言をしたという。

もちろん、この新しい透明性の警告に引っ掛かる会社は Facebook だけではない。Apple の定義の下で開発者の "first-party" エコシステムの外でユーザーをトラッキングする方法を提供するとされる情報を送信するアプリはすべて、同様のダイアログを呈示してそれを守らなければならない。アプリによっては、単にアプリがそれをするだけで十分だろう。別のアプリでは、アプリとサーバ、あるいは付属するドメインの下に組織された他のリソースに変更を加える必要があるかもしれない。また別のアプリでは、より広い範囲内でネットワーク化されたハードウェアやサービス全部にわたる作業が必要になるかもしれない。

言い換えれば、Facebook は iPhone 上の Facebook アプリからトラッキング識別子を Facebook ウェブサイトとの間で共有して Mac 上のブラウザからアクセスできるようにするだけならば、そのようなアラートを表示する必要はない。けれども Facebook ウェブサイトとどこかの間でデータのやり取りをした後で、トラッキング識別子を第三者に渡すことはできない。ターゲットを絞った広告が機能するためには、Facebook は (またはデータ仲介業者と情報を共有する他のどの会社も) トラッキングのプロンプトを表示しなければならない。(セキュリティの目的で詐欺を阻止したり探知したりするためにある種の識別子の情報をアプリが共有して使うこともある。)

けれどもそこには踏み越えてはならない一線がある。もしもその会社が自らが所有する、または自らの代理として運用しているものの範囲より外側で情報を共有してユーザーをトラッキングできるようにしたならば、この透明性要件が発動される。サービスを広範囲に拡張する会社に対して Apple がどのようにしてこれを実施しようとしているのかは、今はまだ分からない。はたして Facebook は、その子会社 Instagram と WhatsApp を含めた範囲の中でアラートなしにトラッキングをすることができるのだろうか?

このトラッキングのプロンプトは Apple が App Tracking Transparency を有効化した後にあなたが初めてアプリを起動した際に表示される。もしあなたが後になって考えを変えたならば、Settings > Privacy > Tracking へ行けば設定を変更できる。このポップアップがなぜ出たのかをアプリが説明することもできるし、そうせずに汎用のメッセージに頼ることもできる。(このやり方は位置情報のプライバシーの扱い方によく似ている。Apple はいくつもの iOS と iPadOS のリリースにわたって次第に扱いを厳しくしてきた。開発者たちや広告ネットワークが回避策を編み出したり抜け穴を利用したりするようになったからだ。)

とりわけ、サードパーティのトラッキングにオプトインしなければアプリを使えないようにアプリを作ることは許されない。Apple は開発者用 FAQ の中で次のように明記している:「[問] トラッキングを許す同意を機能が使える条件にしたり、App Tracking Transparency プロンプトの中でユーザーにトラッキング許可に同意するための動機を与えたりすることはできますか? [答] いいえ。...」

The Electronic Frontier Foundation (電子フロンティア財団) は Facebook の反 Apple キャンペーンはユーザーにも小企業にも何ら関係がないと論じている。そうではなくて、EFF によれば、Facebook はプライバシーを誤用するビジネスモデルを下支えしてその非競争的な行為から注意を逸らそうとしているだけだという。

でも、EFF の根源的な、一見して疑いの余地のない姿勢が、さらに高らかに鳴り響く:

会社に私たちの基本的人権を侵害させてはなりません。たとえ、その行為が彼らの財政的利益になるのだとしても。

いいぞ Apple、あのカードの家を、吹き飛ばしてしまえ。

Apple は顧客を製品として扱う商売をしていない

批評家たちや皮肉屋たちは、Apple の途方もない収益の中で広告によるものはごくごく僅かだから広告ネットワークと仲良くする必要なんかないと言うのだろう。そういう人たちは、Amazon、Facebook、Google、さらには Microsoft が広告から得る収益を減らす可能性のある制約を課すことによって、それらの会社が Apple のハードウェア・エコシステムに挑戦したり、競合するアプリやサービスを開発したりする取り組みを妨害しているのだと論じさえするかもしれない。(Microsoft が広告に集中しているというのは変に聞こえるかもしれないが、実際 Microsoft は 2020 営業年度のみで 80 億ドル近くもの驚くべき広告収入を得ている。)

けれども、Apple が他のテクノロジーの巨人たちに害を及ぼすための武器としてプライバシーという手段に訴える必要があるなどというのは考えにくい。Amazon はあらゆる種類のものを販売することでお金を得ているし、Apple の製品と直接競合するハードウェア製品さえ出していて、例えば Echo スマートスピーカーや Fire TV は HomePod や Apple TV と競合しているけれども、この2つはおそらく Apple の最も売れないハードウェア製品に属するものたちだろう。Google の Android オペレーティングシステムは広告から収益を得ており、最近米国司法省が提訴した訴訟によれば Google は Apple デバイスのデフォルト検索エンジンとなっている対価として Apple に年額 80 から 120 億ドルを支払っているrという。Microsoft はモバイルビジネスから撤退しており、Windows の規模は大きいけれども、この会社は自らのアプリやサービスをあらゆるプラットフォーム (Apple のプラットフォームも含む) の上で利用できるものとすることに努力を集中させているところだ。プライバシーは Apple にとってセールスポイントかもしれないが、Apple はそれを他の会社に対する武器としては使っていない。

Tim Cook の一貫した、ユーザーのプライバシーのほとんどあらゆる側面にわたっての信念を持った姿勢は (欠陥や例外が発見された場合にもきちんと謝罪して変更を加えている点を含めて) 真に誠実なものかもしれないし、またそれ自体がマーケティング戦略なのかもしれない。けれども、例を挙げれば Walmart が再生可能エネルギーに重点を移して排出ガスを減らそうとしていることと同じように、私たちの目から見れば不具合や誤解を招く発言に鋭い目を配りつつそれを社会にとっての利益と受け取ることができるのではなかろうか。

結びに、インターネットに蔓延っている非公開の、望まれていない、オプトアウト形式のトラッキングの量を減らそうとする Apple の努力は、悪いことではない。たとえそれが、結果として寄生虫のようなデータブローカーや、仲介業者や、広告テクノロジー会社の膨らんだ財布に大穴を開けることになったとしても。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Zoom 5.4.7

Zoom 5.4.7

Zoom が会社名と同名のビデオ会議アプリをバージョン 5.4.7 にアップデートして、M1 ベースの Mac との互換性を追加した。(Zoom のダウンロードセンターに別途インストーラがあることに注意。) 今回のリリースではまた、クラウド連絡先統合を chat/call 機能にも拡張し、ミーティングの参加者やウェビナーの出席者だけでなくホストや共同ホストも Raise Hand 機能が使えるようにし、セキュリティオプションのグループ分けを改良 ("Only authenticated users can join" オプションをスケジュールウィンドウの Security セクションへ移動) し、Zoom Phone Pro ライセンスを持つユーザーにテキストメッセージング対応を追加した。(無料、23.3 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

Zoom 5.4.7 の使用体験を話し合おう

EagleFiler 1.9.2

EagleFiler 1.9.2

C-Command Software の Michael Tsai が EagleFiler 1.9.2 を出した。この書類整理およびアーカイブ作成用アプリのメンテナンス・リリースで、索引付けツールをアップデートして M1 ベースの Mac でネイティブに走るようにしている。今回のアップデートでは内蔵タグに標準のシステムカラーを使うようになり、macOS がクラッシュするバグを回避するため Evernote からの読み込みの際に特定の画像を処理から除外できるようにし、EagleFiler が関連する Spotlight プラグインを発見またはロードできなかった場合の索引付けを改良し、診断レポートが正しく動作しなかった macOS のバグを回避し、タグを無効な名前に改名した後にソースリストのアップデートができなくなったバグを修正した。(C-Command Software からも Mac App Store からも新規購入 $40、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、31.2 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

EagleFiler 1.9.2 の使用体験を話し合おう

Nisus Writer Pro 3.2.1

Nisus Writer Pro 3.2.1

Nisus Software が Nisus Writer Pro 3.2.1 を出した。いくつかの重要な問題点を修正することに特化した、メンテナンス・リリースだ。macOS 11 Big Sur で動作する際、今回のリリースは挙動の遅さと過度な RAM 使用を緩和し、ツールバー項目のサイズが正しくなかった問題を修正し、いくつかのコントロール、アノテーション、ツールバー項目で描画と位置取りのマイナーな問題を解消し、Compare Documents マクロが働かなかった問題に対処している。今回のアップデートではまた、10.14 Mojave で類語辞書の提案が Language パレットに正しく表示されるようにし、Dock 上に最小化されていた書類ウィンドウがアプリの再起動後に正しく再現されるようにし、英語でないファイル名で EPUB 書き出しに失敗していたバグを修正し、Dark モードに改良を加えている。(Nisus Software からも Mac App Store からも新規購入 $65、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、無料アップデート、277 MB、 リリースノート、macOS 10.11+)

Nisus Writer Pro 3.2.1 の使用体験を話し合おう

Timing 2021.1

Timing 2021.1

Daniel Alm が Timing 2021.1 をリリースして、プロジェクトをチームのメンバーと共有して時間項目を Timing ウェブアプリで見られる機能を追加した。チームと招待メンバーの設定を済ませた後は、あなたが共有した相手の同僚たちがそのプロジェクトに時刻を記録することができる。この時間と生産性追跡アプリはまた、いくつかのアイコンの位置揃えをピクセル単位で調整してすっきりした見栄えにし、起動時の Timing ウィンドウの初期サイズを大きくし、プロジェクトを削除する際に "Foreign key constraint" エラーが稀に出ることがあった問題を回避し、アプリ使用情報またはタスクの削除を取り消すことに関係した同期の問題を解消している。(購読年額 $42/$66/$96、無料アップデート、Setapp からも入手可、 35.6 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

Timing 2021.1 の使用体験を話し合おう

Pixelmator Pro 2.0.3

Pixelmator Pro 2.0.3

The Pixelmator Team が Pixelmator Pro 2.0.3 を出した。この画像編集アプリに改良やバグ修正を加えた、メンテナンス・リリースだ。今回のアップデートでは Apple ProRAW 写真への対応 (2020 年 12 月 14 日の記事“Apple が Apple Fitness+、macOS 11.1 Big Sur、iOS 14.3、iPadOS 14.3、watchOS 7.2、tvOS 14.3 をリリース”参照) を追加し、写真のシャドウやハイライトでより細かな復旧を可能にし、Effects ツールに新しい 3 つのエフェクト (Gradient Map、Displacement Map、High Pass) を追加し、Export for Web ツールを使って WebP 画像を書き出す機能への対応を追加し、Selective Color 調整にデフォルトでフルレンジの Hue スライダーを表示し、Pen ツールで描いた道筋が正しい場所にはめ込まれるようにしている。通常価格は $39.99 だが、Pixelmator Pro はホリデー期間は $19.99 でセール中だ。(Pixelmator からも Mac App Store からも新規購入 $39.99、無料アップデート、217 MB、リリースノート、macOS 10.14.4+)

Pixelmator Pro 2.0.3 の使用体験を話し合おう

BusyCal 3.12.2 and BusyContacts 1.5.1

BusyCal 3.12.2 and BusyContacts 1.5.1

2021 年 12 月に、BusyMac は BusyCal 3.12BusyContacts 1.5 をリリースして M1 ベースの Mac と Office 365 Hybrid Authentication への対応を追加した。バックアップからリストアする際に、選択したカレンダーや連絡先だけをローカルにリストアできるようになった。(既存の連絡先をすべて前回のスナップショットで置き換えるのではなく、選択的なリストアができるようにした。)

BusyCal は今回、共有 CalDAV カレンダーで他のユーザーが設定したカラーを無視する設定ができるようにし、Google アカウントでイベントを編集する際に Zoom ミーティングが削除されてしまうことがあった問題を解消し、タイムゾーンが正しく指定されていない場合に Exchange での日付変換に起こっていた問題に対処し、コピーしたイベントに終日イベントの最終日が正しく含まれるようにした。また、BusyCal では連絡先をノートへドラッグ&ドロップするとアプリがクラッシュすることがあったバグを修正した。バージョン 3.12.2 の BusyCal ではマイナーなバグをいくつか修正し、iCloud および Reminders 用に To Do 完了時刻の編集ができるようにした。バージョン 1.5.1 の BusyContacts ではアドレスをクリックして Copy Name & Address を選ぶとジョブタイトルと会社名もコピーされるようにした。

また、BusyMac はブログ記事で Mac App Store 版の BusyCal と BusyContacts が 2021 年 1 月末までに購読のみの価格体系へ移行すると発表した。ただし、一度購入すれば永久に使えるライセンスも BusyMac ウェブサイトを通じて販売が継続される。永久ライセンス版には 18 か月間の無料アップデートが含まれており、その期間が過ぎても 40% 割引の料金を支払って更新すればまた新たに 18 か月間アップデートが受けられるようになる。ただし、古いバージョンもいつまでも使い続けることができる。(BusyCal は BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、Setapp からも入手可、23.1 MB、リリースノート、macOS 10.12+。BusyContacts は BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、Setapp からも入手可、12.7 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

BusyCal 3.12.2 と BusyContacts 1.5.1 の使用体験を話し合おう

BBEdit 13.5.4

BBEdit 13.5.4

Bare Bones Software が BBEdit 13.5.4 をリリースして、macOS 11 Big Sur のさまざまなバグを回避するために BBEdit Backups フォルダを Application Support フォルダの中へ移した。この古参のテキストエディタはまた "automatically wrap files with long lines" の挙動を調整して実際にはそれが必要でないファイルに適用される可能性を減らし、空白の untitled 書類の中へ巨大なファイルをドラッグ (または巨大なファイル内容をペースト) した際のパフォーマンスを改善し、編集ウィンドウのテキスト領域の中へファイルをドラッグすることによりファイル内容を挿入する際のメモリ使用量を減らし、再起動やシステム終了の最中にクラッシュを起こすことがあった問題に対処した。(新規購入 $49.99、無料アップデート、18.7 MB、リリースノート、macOS 10.14.2+)

BBEdit 13.5.4 の使用体験を話し合おう

Default Folder X 5.5.4

Default Folder X 5.5.4

St. Clair Software が Default Folder X 5.5.4 を出した。Open/Save ダイアログを拡張するこのユーティリティが正しく起動できないことがあったバグを修正する、メンテナンス・リリースだ。今回のアップデートではまた、macOS 11 Big Sur のバグを回避してファイルダイアログのサイズが常に強制的に前回のサイズになるようにし、対応するファイルやフォルダが削除された場合に Drag Zone や Finder のドロワからも項目が削除されるようにし、Big Sur のファイルダイアログでカーソルが消えてしまう問題に対処し、Photoshop の Save As ダイアログや印刷時の Save As PDF ダイアログを Default Folder X が拡張できなかった問題に対処している。(新規購入 $34.95、TidBITS 会員には新規購入で $10、アップグレードで $5 の値引、Setapp からも入手可、15.7 MB、 リリースノート、macOS 10.10+)

Default Folder X 5.5.4 の使用体験を話し合おう

Keyboard Maestro 9.2

Keyboard Maestro 9.2

Stairways Software の Peter Lewis が Keyboard Maestro 9.2 をリリースした。この自動化およびクリップボード用ユーティリティへのメンテナンス・アップデートだ。今回のリリースでは Alert および Prompt For User Input ウィンドウが呼び出される度に移動してしまった macOS 11 Big Sur のバグを回避し、Big Sur の下で Fast User Switch アクションに起こった問題点を解消し、Clipboard Preferences で Dark モードに関係した表示の不具合に対処し、特定のファイルにアイコンを設定する Set File Icon アクションを追加した。前回の (2020 年 11 月にリリースされた) バージョン 9.1 では M1 ベースの Mac でのネイティブ動作への対応が追加された。(新規購入 $36、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、34.3 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

Keyboard Maestro 9.2 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

2021 年合衆国議会議事堂襲撃がサイバーセキュリティに及ぼす影響

暴徒と化した群衆が合衆国議会議事堂を襲撃して占拠した事件の後の物理的な後片付けや修理の作業に隠れて存在しているのが、サイバーセキュリティ上の重大な懸念だ。Wired の記事で、Lily Hay Newman がこの侵入の持つサイバーセキュリティ上の意味合いを論じ、実際に起こった情報漏洩について説明するとともに、もしも外国の諜報員に利用されたとしたならば他にどんなことが起こり得たかを議論している。

Rendition Infosec の創設者 Jake Williams もそれは十分にあり得ることだと語り「事態を一歩離れて見た上で、外国の諜報機関がこれを見て“うむ、これはチャンスだ”と言っているかもしれないと認識しておく必要がある」と述べた。他の専門家たちも、損害を評価するために、また侵入された可能性のあるアカウント、デバイス、ネットワークに修正を加えて監視するために膨大な作業が必要になると述べている。

National Cyber Security Alliance 理事の Kelvin Coleman が語った言葉を私たち皆が心に刻んでおきたい:「物理的空間に対する侵害があれば、必ずデジタルな侵害も伴うと思っておくようにしています。」

考えてみれば、もしも誰かがあなたの家に侵入したならば、所持品を奪われるよりも、データやアカウント認証情報が危険に晒されることの方が遥かに甚大な被害となるかもしれない。データ保護について言えば、Apple のドライブ暗号化システム FileVault が、とりわけ T2 セキュリティチップを搭載した Mac においては、データが抽出され得ないことを保証できる。(iPhone や iPad も同様のシステムで保護されている。) System Preferences > Security & Privacy > FileVault でオンにしておこう。また、盗まれる可能性のある物理的な手帳にパスワードを書き留めたりせず、必ず 1PasswordLastPass のようなパスワードマネージャを使うようにしよう。

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