過去の2回のイベントで Apple は新しいバージョンの iPhone、iPad、Apple Watch、そして HomePod を発表してきたので、私たちとしては今回のイベントが Mac に集中したものになるだろうと予想している。具体的には、Apple silicon を搭載した Mac の第一波と、おそらくは Intel からの切り替えの全体的なロードマップを少しだけ見せることに集中するのではなかろうか。また、Apple が macOS 11 Big Sur のリリース日を発表するのも十分あり得ることだ。
Bloomberg の Mark Gurman は、Apple に関する噂の最も信頼できる伝達者の一人だが、Apple が一連の Apple silicon ラップトップ機を発表するはずで、新型の MacBook Air と MacBook Pro モデルが出るだろうと言っている。Gurman によれば Apple はデザインを新たにした iMac と新しい Mac Pro も現在開発中だという。
他に何かあるだろうか? Apple が最近更新しておらずこのイベントに滑り込ませるかもしれないデバイスが2つある:
Apple TV: デビュー以来 3 年が経った Apple TV 4K と、5 年が経った Apple TV HD とはますます古さを感じさせつつあり、$179 と $149 という価格を正当化するのが困難になっている。とりわけ Apple が Apple TV アプリやその他の Apple に集中したテクノロジーをライバル社のストリーミングメディアボックスやゲームコンソール向けにリリースしているのだからなおさらだ。(2020 年 9 月 28 日の記事“AirPlay 2 と HomeKit が 4K Roku デバイスに登場予定”と 2020 年 11 月 2 日の記事“Apple TV が Xbox ゲームコンソールにも”参照。)
Google はつい最近米国政府から反トラスト訴訟を突き付けられたばかりで、これは Apple にも害をもたらす可能性がある。(2020 年 10 月 20 日の記事“米国司法省、Google を反トラスト訴訟に提訴”参照。) 政府の訴状に書かれた情報によれば、Google は Apple に対して Google を Safari のデフォルトの検索エンジンとする対価として毎年 800-1200 万ドルを支払っており、これが Apple の Services 部門の収益を大きく押し上げているという。
ただ、この憶測にはもっと深い話がある。2018 年に Apple は元 Google 検索の責任者であった John Giannandrea を雇い入れた。また、Apple は検索エンジニア数名の求人を公開していた。加えて、観測筋は Apple が 2015 年に発表していたウェブクローラー Applebot からのヒットに頻繁に気付くようになっている。そしてもちろん、Apple はコア機能で他の会社への依存を可能な限り減らす方を好む。Apple Maps も Apple silicon への移行もその明白な実例だ。
"日常は違ったものになるであろう" と CEO Tim Cook は言う、"何故ならば、人々はこれ [遠隔の仕事と学習の環境] には、今後もうまくやれる様相があることを学んでいるので、我々が元いた所に戻ることは無いと私には思える。iPad も Mac も、これらの環境にあってはその重要性は更に増してくる"。
Apple の Services 部門も、更なる記録破りとなる四半期を迎え、年率 16.3% の成長と売上げ $14.5 billion を記録した。Apple は、好調な成長は Apple Store, Apple Music, そして Apple TV+ から来ていると言った。特に Apple TV+ は、その最初の本格的なヒットとなった Ted Lasso が批評家からも視聴者からも好意的に迎えられつつあるのを受けて軌道に乗ったように見える。また、Services の売上げには、数十億ドルにも及ぶ Google からの支払いも含まれることは言っておくのに値するであろう。これは Apple 機器上のデフォルトの検索エンジンとして Google を指定することに対するものである。
Apple Card と Apple Pay による支払いも Services 部門の一部である。このパンデミックの中にあり、顧客は現金やカードを物理的に扱うのを嫌がり接触無しの支払いに人気が高まる中で、こちらも加速を続けている。Cook は "ニューノーマル" の話題に言及し、この顧客行動の変化は、この先も何年にも亘って続くことになるであろうと言った。
Wearables, Home, そして Accessories も好調な四半期が続き、売上げは前年比 20.8% 増え、$7.9 billion となった。Apple Watch Series 6 は Q4 が 26 September 2020 に終わる前に発売されたので、この部門の売上増に幾分か貢献したかも知れない。
Apple が痛みを感じた所もあり、それは Greater China 地域であった。Apple は、多くの地域で横ばいか幾ばくかの成長を記録したが、China では売上げが 28.6% 下落した。しかしながら、他の地域がその下落分を補った様に見える。例えば、Europe の販売は China での売上げの2倍を超えた。
この四半期投資家電話会見を通じて、Cook は Apple が iPhone 12, Mac, iPad, そして一部の Apple Watch モデルで、部品供給不足を経験していると語った。Apple が需要の急増に対応し切れていないのか、或いは今年多くの産業界を襲ったサプライチェーンの問題に悩まされているのかは定かでない;Apple の販売実績を見ると、両方のように見える。
Apple の標語は、現在の条件下での "回復力" と "希望" だと指摘して、Cook 曰く、"我々の前にある道については楽観的に感じている。" Maestri はその主題を引き継いで、機器の販売は二桁の成長をすると予測していた。
私は自分の経験から、自分の心拍数とリズムを心配しなければならないのはどれだけストレスの多いことか知っている。私は Apple Watch 熱狂者ではないが、手軽に ECG を測定して、物事は多かれ少なかれ正常であることを知るのは心安まることである ("私は救急医療隊員: Apple Watch Series 4 が命を救う場合とは、救えない場合とは" 3 October 2018 参照)。私はだいぶ前から我々の親戚に Apple Watch をあげて心房細動を監視する手助けをすることを考えていたが、この手術に至って実行する決心をした。また、Apple Watch Series 5 が現在特売されていることも追い風となった。Series 5 は ECG 測定には十分に対応する。
しかし、主な関心事は私が頭痛の種となる箱を彼女に与えることになるのではないかと言う心配であった。この人はオタクではないが、彼女の仲間の多くよりも技術には明るかった。我々はまた、事前に彼女の iPhone は Apple Watch Series 5 と働くかについても調べた。彼女は iPhone 6s を持っており、それは Apple Watch に対応するために必要な最低限の iPhone であった。
彼女は Apple Watch にびっくりしたが、私は彼女にどの様に設定するかの概要を伝え、後は任せた。通常であれば、私は彼女と一緒に座り、それを設定するのを手伝うのだが、我々は未だ COVID-19 パンデミックのせいでソーシャルディスタンスを維持している。加えて、Apple Watch の設定は単純である:iPhone で星パターンをスキャンするだけで、直ぐに使えるようになる。いや、私はそう思っていた。
彼女は数日後 FaceTime 経由で電話してきた。彼女はその Apple Watch を設定するのに問題を抱えていたからである。幾つか原因究明をした後、私は彼女に Settings > General > About に行くよう指示し、彼女の走らせている iOS バージョンを見るように言った。彼女は未だに iOS 11 上にいた。あれ、まあ。
次に、私は彼女が iOS 14 にアップデートするように、指をクロスさせ何も爆発しないよう祈りつつ導いた。しかし、Settings > General > Software Update には、Install Now の選択肢は現れなかった。将来の Bad Apple コラムのためにおさらいしておくと、アップデートをインストールするために十分な空き容量がないと彼女に告げるテキスト情報は、文字が小さいだけでは無く、明るい灰色の背景にやや黒い灰色の色調であった。彼女は年がいっており、それを見ることすら出来なかった! 私は FaceTime 上で何とか理解出来ただけである。アクセシビリティの優越さを謳う会社にしてである、Apple よ、しっかりして欲しい!
ある時点では、Apple サポートに電話するか、或いは Nashville 迄長距離をドライブして行き、疫病に満ちたモールに勇気を出して入り、iPhone を Apple Store の Genius Bar に手渡すことも考えた。私は iPhone を復旧モードに入れることすら出来なかった:私が目にしたのは Apple ロゴとそれに続く真っ黒な画面だけであった。しかしCatalina はそれでも iPhone を見ることが出来たので、私は冷静さを保とうとし、そしてそれを根気よく続けた。
iPhone は iOS 14 にアップデート出来、問題なく走っており、そしてデータも復元された所で、ようやく Apple Watch を設定する時が来た。
楽しめていない時に時間がたつのは速い
言うまでもないが、この全部の状況が呪われている事もあり、私は Apple Watch を設定している時、思わぬ障害に直面した。私は、促された時、時計を watchOS 7 にアップデートすることにした。そうしておけば、後ですることが一つ減ると思ったのである。Apple Watch をアップデートしたことがない人のために言っておくと、それはとても時間の掛かるプロセスである。まず iPhone がアップデートをダウンロードし、それを時計に Bluetooth 経由で転送し、それから時計はそれをインストールしなければならない。我々が TidBITS 読者に watchOS アップデートは夜間にすることをお勧めするのにはそれなりの理由がある。
私の Apple Watch Series 4 に watchOS 7 をインストールした時、私は数多くの問題に遭遇したので、私は心配であった。私は、インストールを始めさせるために何回もやり直さねばならず、午後、夜、そして次の朝まで費やしてしまったし、ダウンロードも数回やり直さなければならなかったのである。その後ですら、重大な電池の減りの問題に遭遇し、時計をペアから外し、再度ペア付けをせざるを得なかった。幸いにして、それは再度問題なく動くようになった。
ありがたいことに、私の親戚の Apple Watch Series 5 を扱っている時には、これらの問題には遭遇しなかった。しかしながら、彼女の iPhone 上の Watch アプリはアップデートはインストール中だと言い、時計の方は iPhone から設定するよう促していると言う問題に遭遇した。しばらく待った後、私は Watch アプリを強制終了し、設定プロセスを再開した。Watch アプリは再度時計をアップデートする必要があると私に言い、私は忠実に従った。幸いにして、少し待ったら、それは時計には既に watchOS 7 がインストールされていることを理解し、設定に進ませてくれた。
Apple Watch の基本的な部分は割と手早く構成出来たので、その後は、文字盤を設定し、ECG を有効にし、そして心拍数と心房細動通知をオンにする所まで行くことにした。
これは馬鹿げている。ECG を使うために私がどの国にいるかを決めるのに、セルラー接続が求められるべきではない。弁護士達を幸せに保つために Apple は何らかの確認をしなければならないことは私にも理解出来るが、その情報は簡単に Wi-Fi や GPS から引き出せる。米国は大きな国で、絶対的な精度は必要ではない。
私はこれで終わりかと思ったが、Apple Legal はもう一つの障害を投じてきた。Health アプリは次に、私は心房細動と医師によって診断されたことがあるかと聞いてきた。時計を設定してあげている人は該当するので、私は Yes と答えた。そうしたら、次のダイアログが出てきた、"これらの通知は、心房細動と診断された人達のためには意図されていない。" エラーメッセージは出てこないが、私が No と答えるまで、先に進むことは許されなかった。技術的に言えば、私は心房細動と診断されたことはないので、嘘ではない。
ECG 機能の設定をどうにか終えた所で、私は彼女に適したコンプリケーションを持つ文字盤を作り出すため、家に運転して戻った。彼女は、アナログ文字盤の方が好きだと言っていたので、私は Apple Watch Series 4 で登場した Infograph 文字盤が良いのではと思っていた。コンプリケーションには以下のものを入れたいと思った:
降雨確率
最高、最低気温
日没時間
アクティビティ
カレンダー
心拍数
ECG
電池残量
私の Apple Watch Series 4 ではそうだったので、ECG は選択肢の一つだと思っていたが、Watch アプリの中にそれはなかった! 私は、ひょっとすると間違ったコンプリケーションスロットを見ているのではないかと思った。と言うのも、全てのコンプリケーションがどのスロットにでも行けるわけではないからである。次に、ひょっとすると ECG を一回走らせて見るまではコンプリケーションに現れないのではないかとも思ったりした。ECG にまつわる不可思議な障害のことを思えば、分からなくもない。しかし、いいえ、それが理由でもなかった。最後に、私は Apple Watch の画面上で文字盤を編集するのはどうかと思いついた。あら不思議、ECG コンプリケーションは時計の上では選べたのだが、iPhone 上の Watch アプリからではダメだったのだ。何故そうなっているのか私には分からない。
全てをし終えた所で、妻と私は最新にアップデートされた iPhone と適切に構成された Apple Watch を彼女の所へ届けた。数分間掛けて、私は親戚に心拍数を測るのと ECG 計測値を得る方法を説明した。彼女はとても喜んだ。Apple Watch は技術の珠玉だが、実社会での初期設定にはとんでもなく手が掛かることがある。
その夜遅く、私は彼女から時計を壊したというメッセージを受け取った。私は、彼女は単に二つ目の文字盤を付け加えただけだろうと直ぐに思い、文字盤の間での切り替え方法を説明した。私はこの種のテックサポートが好きである。と言うのも、それはユーザーが手にした技術を楽しんでおり、いじり回しており、そしてその使い方を学んでいる事を意味するからである。私が Apple の製品について好きなのは、通常誰かに何か一つを手渡して、彼らがそれを好きな様に探検し歩いても真の損傷には至らない事である。
とは言え、私は、今後贈り物として Apple Watch を買うことはまずないと思う、妻は例外として。余りに多くの質問が関係してくる:時計の大きさ、好みの色と材質、彼らが好むであろうバンドの種類、そしてその色とサイズ、適切な iPhone を持っているか、その iPhone は最新にアップデートされているか、等々である。
Apple の製品群の中で最も単純な機器の一つではあるが、Apple Watch は贈り物として贈るには最も難しいものの一つである。私はこれ迄、iPad や iPhone すらも贈り物として贈ったことがあるし、それらはより複雑な機器ではあるが、自立したものなので、設定するのは Apple Watch 程には難しくない。
もう一人の親戚は、何故 Apple Watch が他の時計の様に自立して働けないのか聞いてきた。それは理に適う疑問である。何故ならば、Wi-Fi とセルラー接続の選択肢を持っているのであるから、相方の iPhone を必要とすることなく少なくとも限定された機能をもって働くことは可能な様に見える。
Adam と私は、その可能性について、設定と認証に焦点を当てて少しの間議論したが、専門家の意見も聞くべきだと言うことになった。それで、私は我々の友人であり、Apple にいた時には Apple Watch の開発に携わっていた David Shayer に、その質問をしてみた。彼が言うには、その答えは全て消費電力に帰するという。Apple は電池寿命を最大化するためやれることは全てやるという。Apple Watch は、外部にアクセスするため Wi-Fi と Bluetooth (iPhone に対して) の両方をサポートするが、Bluetooth は Wi-Fi よりも遙かに少ない電力を消費する。それ故、watchOS は可能な限り、直接 Wi-Fi を介さず、相方の iPhone からデータを要求するのに Bluetooth を使うべく設計されている。
Apple は Family Setup を導入して、相方の iPhone の必要性を無くする方向へ一歩踏み出してはいる。これは人々に家族のために Apple Watch を設定させてくれるものである。残念ながら、Family Setup を多くの人にとって実際的で無くしているものが二つ程ある:
セルラー対応の Apple Watch を必要とする。それはより高価なだけでなく、あなたのキャリアが Apple Watch サポートするとして、そのキャリアに対する毎月の料金が必要となる。Apple には次の様なノートがある、"セルラープランは家族のために Apple Watch を設定するのに必要ではないが、他の機能のためには必要である。" 同社は、どの機能がセルラーアクセスを必要とするのか明らかにしていないが、Internet の使用を必要とするものはどれでも含まれそうである。
正直に言わせてもらおう。たとえすべてが完璧に管理されていたとしても、いったい誰が自分の家のストリーミングビデオに Amazon (Ring) なり Google (Home) なり、あるいはそれより小規模ながらそれでも巨大な家電会社からのアクセスを許したいという気持ちになれるだろうか。やはりどう見ても正しいことではないと思えてならない。私はいわゆる「スマート」と名の付いたものをできるだけ自分の家に入れないように務めているし、私の妻はもっと強い拒否反応の持ち主だ。(実際私たちが Siri を使っているのは現時点で言う限り Apple のプライバシーに関する姿勢を一応信用しているからで、Apple が誤解を招きやすいプライバシーの間違いに陥ってその後修正を施すのを見ても、基本的に私たちの気持ちは変わっていない。2019 年 7 月 29 日の記事“Apple 従業員があなたの Siri 会話を聴いているかもしれない”参照。)
Apple は個人の内密なデータに関するプライバシー戦略を追求する際に、多くの人たちにとって魅力的に思えないいくつかの道があるうちの、中庸を選ぼうとした。すなわち、あなたが持っているハードウェアの上にビデオをローカルに保存してあなたが自宅の中で管理しトラブルシュートしなければならないようにする道と、またはブロードバンドと安価なクラウドストレージに依存してオフサイトに置いてコストを抑え、盗難・災害・設備の故障の際にもアクセスを確保できるようにする道だ。
Apple のやり方は、生体認証データ (パスコードでバックアップされる) に依存するデバイス上に暗号化鍵を作成して、それをすべての iPhone と iPad、および Touch ID 搭載の Mac に内蔵された Secure Enclave の中に鍵をセキュアに保存することで問題を巧みに解決する。誰も、Apple でさえもローカルに保存されたその鍵にアクセスできないので、Apple がそれらの鍵で暗号化されたデータに遠隔から同期して iCloud サーバ上に保存しても、データがクラッカーから、さらに言えば国内国外を問わず政府の最高レベルからの圧力からも保護されることを強く保証できる。
HomeKit Secure Video では互換なサードパーティ製のカメラが必要となる。iMore が、現在 HomeKit Secure Video 対応を提供しているいくつかのメーカーの 11 のカメラをリストしている。重要な点は、いったんセットアップを終えればもはやそのメーカーがそのカメラにアクセスすることができず、あなたももはやそのメーカーのアプリを使ってビデオストレージの機能を調整したり保存されたビデオにアクセスしたりはできなくなる。(けれどもファームウェアアップデートをインストールしたり、例えばパンやチルトなどカメラ特有のいくつかの機能を設定したりコントロールしたりするにはやはりメーカーのアプリが必要となる。)
その代わりに、iOS、iPadOS、または macOS の Home アプリを使う。20 以上の家庭用監視カメラが基本的な HomeKit 対応を備えていて、例えば少しの設定を調整したり、ライブフィードを見たりできるが、他の大多数の機能にはカメラのアプリを使う。けれども HomeKit Secure Video 対応のカメラならば、Home アプリがカメラの設定をしたり、通知の発信源となったり、ライブのビデオやビデオクリップを見たりできるハブとなる。ローカルネットワーク上にいる人なら誰でもアクセスできるが、あなたがそれに制限をかけることも可能だ。HomeKit 対応デバイスのすべてが“Home ハブ”つまり iPad、HomePod、Apple TV を必要としている訳ではないが、HomeKit Secure Video にはハブが必要だ。(ボーナス機能として、ハブがあればローカルと遠隔両方のアクセスが可能となる。)
私は 2018 年の中頃に長期旅行に出かける前に Logitech Circle 監視カメラを買ったが、初代の Circle と Circle 2 (AC 電源モデルのみ) は現在ベータ版のファームウェアリリースを使えば HomeKit Secure Video 対応にアップグレードできる。最近になって私は思い切ってそれをしてみて、全体的にそうして良かったと思っている。ただし、通知のレベルのコントロールについては悪くなったところもあり、長期間にわたって広い意味の活動をさせるためには難点もある。(Logitech は現在最も安価版モデルの Circle View も出しており、これは HomeKit Secure Video のみで働く。)
HomeKit Secure Video に取り組む
Apple は絶えず iOS、iPadOS、macOS の Home アプリにより多くのものを要求しようとしているが、少なくとも (iTunes にあまりにも多くの機能が詰め込まれたあの時代とは違って) Home アプリは家庭内のさまざまなことをコントロールしモニターできるようにする物理的デバイスに対象を限っている。HomeKit Secure Video は、まさにその分類に属している。
監視カメラをインストールしたりアップデートしたりして HomeKit Secure Video で使えるようにアップデートないし設定が済めば、あとすべきなのは Home アプリを開いてそのデバイスを設定するだけでよい。私の Logitech Circle の場合、デバイスを登録したりさらには追加したりすることすら手動での作業は何も要らなかった。ローカルネットワーク上で利用可能な選択肢として自動的に表示されていた。
ビデオで最良の体験を得るには、iOS または iPadOS の Home アプリを使うのがよい。macOS 用の Home アプリは比較的新しく、macOS 10.14 Mojave 上で使える機能はあまりない。大体においてライブフィードを見るだけしかできない。10.15 Catalina になれば、ビデオクリップを見たり設定でいくつかの項目を変更したりもできる。(私はまだ来たるべき 11.0 Big Sur でテストしたことがない。)
どのバージョンの Home アプリでも、アプリを開けばカメラからのライブビデオのサムネイル画像が現われる。それをタップすれば、クリップやさらなる設定にアクセスできるようになる。以下では簡単のために iOS/iPadOS 14 バージョンの Home アプリに話を絞ることにしよう。
Apple は、カメラが動きを探知したときにのみビデオクリップを撮影するように HomeKit Secure Video をデザインした。これを実用に適したものにするため、カメラの視野の中にキャプチャーゾーンをあなたが指定して、それが録画を引き起こすようにしている。Home アプリはこれらのパラメータをカメラの中の Apple 互換なファームウェアに送信し、カメラはそれによってどの時点で撮影を始めるかを決定する。通知は別途設定できるので、録画を始めるイベントのうち特定のもののみから通知を受けるようにもできる。クリップの個数に制限はないが、Apple はローリング式にたった 10 日間しか保持しない。
Apple としては珍しいことに、HomeKit Secure Video は膨大な数のオプションや設定を提供しており、それらが互いに複雑に関わり合っている。初めてカメラをセットアップする際にアシスタントなどはなく、私が自分の望む方法で録画をし、数秒に一度もの頻繁な通知に悩まされずに住むように設定する理想的な方法を見つけるまでにかなり長い時間がかかった。
Activity Zone を設定する: Select Activity Zones で、四隅をタップすることで領域を描く。オブジェクトをタップしてから Clear をタップすればそのオブジェクトが削除され、Cancel をタップすれば描いたすべてのゾーンが消える。与えられた領域の外側を撮影したければ、Invert Zones をタップすれば Home アプリはそのようにする。私たちのカメラは歩道の一部と近隣の道路も撮影範囲に入れていたので、表の歩道から玄関前のポーチに至る間に人々が最も通るであろう範囲だけをゾーンに設定した。それはつまり場所によっては動きを捉え損ねる可能性があることをも意味していたが、ゾーンに触れずに玄関に達するにはほとんどポーチの上を空中に浮かんで通り抜けるしかない。
録画オプションを決める: Recording Options をタップして、When Home (在宅中) と When Away (外出中) それぞれに違ったオプションを選ぶ。これらの設定により、例えば誰かが在宅中には録画を無効 (Off) にして、全員が外出中には Home アプリにストリーミングを送るとともにクリップを録画するようにできる。でも、可能な組み合わせはもっとずっと多くある。わが家には頻繁に小包が届くし、夜には動物たちが訪れるので、在宅中でも外出中でもストリーミングと録画の双方をするように設定した。
通知を調整する: 通知があまりにも多く届き過ぎればすぐに圧倒されてしまう。そこで Notifications をタップして、通知を減らすためのパラメータを設定する。例えば、特定の時間帯にのみメッセージが届くように指定できる (ただしこれはそのデバイス上の Do Not Disturb 設定にも従う) し、どんな動きを探知した場合にも通知をするようにも (信じられないほど静かな場所に住んでいるのでない限りあまりにも多くの通知が届くことになるだろう)、あるいは録画のオプションに基づいてクリップが保存された場合にのみ通知をするようにもできる。通知が届けば、それをタップして Home アプリを開き、カメラ項目を開いて、クリップの冒頭から再生できる。何度か試行錯誤を重ねることで私は通知が適切に働くようにできたが、ただ一つだけ例外があって、家族の誰かが前庭で作業をしている場合に通知が繰り返し届くことだけは仕方がなかった。もしも「X 分間に一度ずつだけ通知する」という選択肢があれば素敵だろうにとは思うが。
ビデオクリップは Home アプリで見直す。ライブ画像をタップすれば、クリップからクリップへとスクラブすることで最大 10 日前のものまで行きつ戻りつすることができる。また、ウィンドウの一番上に見えるカレンダー部分で日を選んでタップすることもできる。それぞれのクリップにはそれがどんな種類のものを録画したビデオなのかの区別が、人か動物か自動車のシルエットのアイコンタグを付けて示される。もしも Face Recognition がオンで一人または複数の人が認識されていれば、クリップの上をスクラブするとその人の名前が表示される。一つのクリップをタップすればその再生が始まる。
HomeKit Secure Video の利点にはプライバシーとセキュリティをはじめとしていろいろのものがあるが、これは費用の面でも良いところがある。多くの監視カメラでは何らかのクラウドベースの一定量のストレージがカメラの購入に伴って無料で付いてくるが、多くの場合そこには 24 時間程度しか映像を保持しなかったり、その他かなり厳しい制約がある。動きを探知したことによるクリップの総数に制限が付くこともある。
それとは対照的に、HomeKit Secure Video はいくら動きを探知しても好きなだけ数多くのクリップを保存でき、保持期間もローリング式に 10 日間で、既に支払い済みの iCloud ストレージ料金以外に何ら追加費用を支払う必要がない。結果として一般的な監視カメラメーカーのものより料金が安い。例えば Logitech には初代の Circle と Circle 2 カメラ用に2つのプランがある:
わが家では動物や人の活動を探知することがますます増えたので2台目のカメラを付けることを考慮した。Logitech のサービスならば、現在の年額 $99 の Logitech Circle プランを年額 $179 に引き上げなければならない。HomeKit Secure Video ならば、デバイスを購入する費用だけで済む。
これは完全に私の想像だが、Logitech やその他の会社はそれまでは手の届かなかった顧客を取り込もうとして HomeKit Secure Video に対応しているのであって、それに合わせて自社の製品を Apple Store でホームソリューションの一部として Apple に宣伝してもらおうとしているのではないだろうか。それならば Logitech が Circle View を作った説明もつく。追加の設定を必要とすることなくエコシステムのソリューションとして Apple が販売できるものになっているからだ。
けれども、Apple はほとんどの機器メーカーが嫌がる状況をも作り出している。それは、HomeKit Secure Video 対応のカメラは Home アプリの目から見ればすべて同じだという点だ。スマートスイッチなど他のデバイスと同様に、顧客が望むハードウェア機能の一つとして他のものといろいろ組み合わせて使うことが意図されているので、あらゆるソフトウェアオプションが標準化されているからだ。
Apple のプラットフォームとソフトウェア全体にわたって深く統合されていることも、私たちにとってはありがたい。他の会社の製品では達成できないレベルにまで、より多くのセキュリティと、存在感、そして人物認証のオプションが提供されるからだ。
HomeKit Secure Video の制約
私は過去 2 年間にわたってかなり良い Logitech Circle ソフトウェアをウェブアプリとしてもモバイルアプリとしても使ってきたので、それらを HomeKit Secure Video と比較できるしっかりした根拠を持ち合わせている。明らかな弱点と言える機能欠落がいくつかあって、Apple なら簡単に追加できるだろうにと思われるのは次のような点だ:
“プライバシーゾーン”がない: 稀な機能を備えていないからと言って Apple を批判することはできないが、Amazon の第3世代、バッテリー駆動の Blink カメラでは“プライバシーゾーン”を設定してその部分は録画やライブ映像で隠されるようにし、見られたくない活動、あるいはその市や州・郡や国の法律で解釈されるプライバシーの期待度に照らせば違法となってしまう活動などを録画から除外することができる。あらゆるカメラシステムがこのような機能を提供すべきであるし、Apple にもその重要性を理解して欲しいものだと思う。
通知に対するより良い制御を: 他のカメラシステムならばユーザーに多過ぎる通知を出さないことについてより良い対策を施していることが多い。家族が頻繁に家に出入りしたり、家の前を歩き回ったりすれば、私のところに続けざまに通知が殺到してしまう。HomeKit Secure Video はもっと賢くあって欲しい。とりわけ顔認証機能があるのだから、メッセージの送出を減らして情報をまとめたり要約したりできるはずだ。
クラウドにしか保存しない: Apple は、デバイスごとの鍵を使ってローカルに映像を処理し暗号化するにもかかわらず、データの保存はクラウド上にしかしない。人によっては、クラウドベースのアクセスがあること自体が決定的な拒否要因だと思うかもしれない。その場合、最新の選択肢として手頃な料金の監視カメラで映像をすべてローカルなネットワークで接続されたドライブに保存するものが現に存在する。Lorex Technology と Zosi Technology はいずれも一つのハブを中心に複数のカメラを持つシステムを提供している。いずれも遠隔アクセスのオプションもあるけれども、それを無効化してすべてのビデオをローカルに保つこともできる。
モーター駆動のカメラを制御することはできない: レンズを回転、パン、チルトさせられるカメラ、例えば Eufy Indoor Cam 2K Pan and Tilt を Home アプリはまだコントロールできない。レンズを調整するにはメーカーのアプリを使う必要がある。
セキュリティと便利さのバランス
わが家を監視し制御するために作られたテクノロジーを当初はしぶしぶ取り入れた私だったが、自分がいかに快適に HomeKit Secure Video を使っているかに気付いて今は少し驚いている。Apple は今後もさらに改良と洗練を加えて、今はまだ弱い部分を競合サービスと同レベルにまで引き上げてくれることだろう。けれども、既に追加の iCloud ストレージに対して料金を支払っている多くの Apple ユーザーにとっては、追加料金を一切支払うことなくプライバシーとセキュリティを維持できるようにデザインされたサービスはこれ以外にない。
Running with Crayons が Alfred 4.2 をリリースした。このキーボード駆動のランチャーに macOS 11 Big Sur のリリースへの準備を整えさせる、メンテナンス・アップデートだ。Alfred 4.2 ではまた、Alfred のアップデートデータを取得できない場合のエラー報告を改良し、クリップボード/スニペット表示のプレビューテキストを左上に寄せてスクロールの際に目を通しやすいようにし、File System ナビゲーション要約パネルのメモリ管理を改善している。(基本的機能は無料、Powerpack は 23 ポンド、3.1 MB、リリースノート、macOS 10.11+)
Apple はまだまだ Apple TV のコンテンツを自社の垣根の外でも利用できるようにと拡張を続ける。Apple TV アプリが、Microsoft の現行の Xbox One と、2020 年 11 月 10 日に登場予定の Xbox Series X と Xbox Series S ゲームコンソールに登場しようとしている。このアプリは他のサードパーティの TV プラットフォームにあるものと同一の見栄えである可能性が高い。私たちは、Apple が自社のニーズに合った場合に他のプラットフォームとの間でどのような仕事をするのか、興味深く見守りたい。Apple Fitness サービスについては Apple ハードウェアとの緊密な統合があるので別のプラットフォームに対応するとは想像し難いけれども、Apple News アプリや Apple Books アプリの他のバージョンが開発中ということはあり得るだろうか?