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#1538: Apple One more thing イベントを発表、Apple 検索エンジン、Apple の記録的 Q4 2020 業績、Apple Watch セットアップの悩み、HomeKit Secure Video

"One more thing" の言葉を聞く時がまた巡ってきた。その通り、Apple がもう一つのイベントを 2020 年 11 月 10 日に開催すると発表した。はたしてこれは Apple silicon 搭載の Mac のお披露目になるのか、はたまた macOS 11 Big Sur のリリース日が発表されるのか? Apple は iOS 14 で検索における Google への依存度を下げ、Apple が独自の検索エンジンを開発中なのではないかという憶測を呼んだ。Apple は力強い Q4 2020 業績を発表して、Mac と iPad の売上の伸びのお陰で収益は記録を達成したが iPhone 12 のリリース遅延により利益は減少した。Josh Centers は親戚への贈り物として Apple Watch を購入したが、セットアップの作業が悪夢と化したのでそのような贈り物をして他の人のデバイスで作業する際には気を付けるようにと語る。あともう一つ、Take Control of Home Security Cameras の著者 Glenn Fleishman が HomeKit Secure Video について述べ、プライバシーを保ちつつ自宅を監視するために使う方法を説明する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは SoundSource 5.1、BBEdit 13.5.1、Fission 2.6、Zoom 5.4.1、Alfred 4.2 だ。

Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Apple、2020 年の締めくくりに "One More Thing" イベント

またやって来た。Apple は 2020 年内3番目の、そしておそらく最後のイベントを 2020 年 11 月 10 日の 10 AM PST から開催すると発表した。タイムゾーンの計算を簡単にするためにも、予定をカレンダーに追加することができる。

過去の2回のイベントで Apple は新しいバージョンの iPhone、iPad、Apple Watch、そして HomePod を発表してきたので、私たちとしては今回のイベントが Mac に集中したものになるだろうと予想している。具体的には、Apple silicon を搭載した Mac の第一波と、おそらくは Intel からの切り替えの全体的なロードマップを少しだけ見せることに集中するのではなかろうか。また、Apple が macOS 11 Big Sur のリリース日を発表するのも十分あり得ることだ。

Bloomberg の Mark Gurman は、Apple に関する噂の最も信頼できる伝達者の一人だが、Apple が一連の Apple silicon ラップトップ機を発表するはずで、新型の MacBook Air と MacBook Pro モデルが出るだろうと言っている。Gurman によれば Apple はデザインを新たにした iMac と新しい Mac Pro も現在開発中だという。

他に何かあるだろうか? Apple が最近更新しておらずこのイベントに滑り込ませるかもしれないデバイスが2つある:

いつもと同じく、私たちの SlackBITS グループの #events チャンネルに参加することで、皆さんも私たちと一緒に Apple の発表を視聴できる。いつも通りに楽しい時になるだろう。グループに参加するには slackbits.herokuapp.com へ行き、あなたの電子メールアドレスを入力してから、行動規則に同意して頂くだけでよい。すぐに電子メールで招待状が届くはずだ。

討論に参加

Josh CentersAdam Engst  訳: Mark Nagata   

Apple は独自の検索エンジンを構築しているのか?

iOS 14 における検索機能の変更は、Ars Technica やその他のメディア各社に Apple が Google に代わるものとして独自の検索エンジンを構築しているのではないかという憶測を呼び起こした。一部の検索は今も Google に向くようになっているが、その他のものはウェブサイトへの直接リンクを提示する。

Apple search results in iOS 14

Google はつい最近米国政府から反トラスト訴訟を突き付けられたばかりで、これは Apple にも害をもたらす可能性がある。(2020 年 10 月 20 日の記事“米国司法省、Google を反トラスト訴訟に提訴”参照。) 政府の訴状に書かれた情報によれば、Google は Apple に対して Google を Safari のデフォルトの検索エンジンとする対価として毎年 800-1200 万ドルを支払っており、これが Apple の Services 部門の収益を大きく押し上げているという。

ただ、この憶測にはもっと深い話がある。2018 年に Apple は元 Google 検索の責任者であった John Giannandrea を雇い入れた。また、Apple は検索エンジニア数名の求人を公開していた。加えて、観測筋は Apple が 2015 年に発表していたウェブクローラー Applebot からのヒットに頻繁に気付くようになっている。そしてもちろん、Apple はコア機能で他の会社への依存を可能な限り減らす方を好む。Apple Maps も Apple silicon への移行もその明白な実例だ。

もちろん、評論家たちが深読みし過ぎているという可能性もある。Apple が毎年 800-1200 万ドルの収益を手放す一方でユーザーが期待するレベルの検索エンジンを構築するために大きな出費をすることに熱心になるとは考えにくい。Apple は不足を補うためにあえて赤字の埋め合わせ分を負担するか、または広告ビジネスを拡大するかせざるを得ないだろうが、いずれの道も好ましいものではないからだ。

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Michael E. CohenJosh Centers  訳: 亀岡孝仁  

Apple の Q4 2020、Mac と iPad 好調、売上げは記録更新だが、減益となる

2020 会計年度第四四半期の業績報告で、これは世界的なパンデミックが続く中二回目の四半期報告となるが、Apple は純利益 $12.67 billion (希薄化後一株当り $0.73) そして売上げ $64.7 billion を発表した。同社の売上げは前年同期を 1% 上回ったが、利益は 7.4% 下がった ("Apple Q4 2019、iPhone 販売不振でも史上最高を記録" 30 October 2019 参照)。

Apple Q4 category revenue over time

その理由は、前年比で iPhone 販売が大幅に落ち込んだことにあり、下落幅は 20.7% に及んだが、それは iPhone 12 モデルの遅延によるものである ("世界が燃えさかる中 Apple Q3 2020 業績は最高を記録、次期 iPhone は粋な遅刻 " 30 July 2020 参照)。これらの販売機会の損失が前年比での Apple の利益の減少につながったが、そのことは逆に言えば次の四半期である Q1 2021 業績を大幅に押し上げることになるであろう。

Q4 iPhone revenue over time

しかし、その反対側には Apple の他の事業の天文学的な成長があり、iPhone 販売の減少を補うのに役立った。iPhone 以外の全ての部門が二桁の成長を記録した。

iPad の売上げは前年比で 46% 伸び、$6.8 billion を稼ぎ出した。Mac 販売は Q4 2020 でこれ迄の記録を破り、前年比 29.2% の増加で、売上げは $9 billion を超えた。これは Apple CFO Luca Maestri によれば、これ迄で "ダントツの" この部門で最大の増加であった。

Q4 iPad revenue over time

"我々の顧客にとっては、Mac 及び iPad の両方とも、現在の生活そして働く環境下では信じられない程適切なものである" と Maestri は言った。彼はまた、好調な新学期セールも大幅増であったと言及した。

"日常は違ったものになるであろう" と CEO Tim Cook は言う、"何故ならば、人々はこれ [遠隔の仕事と学習の環境] には、今後もうまくやれる様相があることを学んでいるので、我々が元いた所に戻ることは無いと私には思える。iPad も Mac も、これらの環境にあってはその重要性は更に増してくる"。

Q4 Mac revenue over time

要約すれば、iPhone の遅延にも拘わらず、Mac と iPad の両方が一部には、子供達は遠隔授業へと、従業員は家での仕事へと急激に追い立てられる波に押されて、急激に成長した。"需要は、世界中で我々の予測を上回っている" と Maestri は言った。

Apple の Services 部門も、更なる記録破りとなる四半期を迎え、年率 16.3% の成長と売上げ $14.5 billion を記録した。Apple は、好調な成長は Apple Store, Apple Music, そして Apple TV+ から来ていると言った。特に Apple TV+ は、その最初の本格的なヒットとなった Ted Lasso が批評家からも視聴者からも好意的に迎えられつつあるのを受けて軌道に乗ったように見える。また、Services の売上げには、数十億ドルにも及ぶ Google からの支払いも含まれることは言っておくのに値するであろう。これは Apple 機器上のデフォルトの検索エンジンとして Google を指定することに対するものである。

Cook は、追加の小さな情報も漏らした:Apple One サービスバンドルは 30 October 2020 に開始の予定だと。"Apple 定期購読、Apple Fitness+, Apple One バンドルで拡大">" (15 September 2020) を参照のこと。

Apple Card と Apple Pay による支払いも Services 部門の一部である。このパンデミックの中にあり、顧客は現金やカードを物理的に扱うのを嫌がり接触無しの支払いに人気が高まる中で、こちらも加速を続けている。Cook は "ニューノーマル" の話題に言及し、この顧客行動の変化は、この先も何年にも亘って続くことになるであろうと言った。

Q4 services over time

Wearables, Home, そして Accessories も好調な四半期が続き、売上げは前年比 20.8% 増え、$7.9 billion となった。Apple Watch Series 6 は Q4 が 26 September 2020 に終わる前に発売されたので、この部門の売上増に幾分か貢献したかも知れない。

Q4 wearables over time

Apple が痛みを感じた所もあり、それは Greater China 地域であった。Apple は、多くの地域で横ばいか幾ばくかの成長を記録したが、China では売上げが 28.6% 下落した。しかしながら、他の地域がその下落分を補った様に見える。例えば、Europe の販売は China での売上げの2倍を超えた。

Q4 regional revenue over time

この四半期投資家電話会見を通じて、Cook は Apple が iPhone 12, Mac, iPad, そして一部の Apple Watch モデルで、部品供給不足を経験していると語った。Apple が需要の急増に対応し切れていないのか、或いは今年多くの産業界を襲ったサプライチェーンの問題に悩まされているのかは定かでない;Apple の販売実績を見ると、両方のように見える。

Apple の標語は、現在の条件下での "回復力" と "希望" だと指摘して、Cook 曰く、"我々の前にある道については楽観的に感じている。" Maestri はその主題を引き継いで、機器の販売は二桁の成長をすると予測していた。

これ迄以上に予測不可能な将来に面して、Apple はこの先何ヶ月にも亘って希望と回復力の両方を必要とするであろうが、この四半期の業績から判断して、2021 会計年度第一四半期を通して引き続き業績は予想を上回るかも知れない。

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Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

私は Apple Watch を贈り物として買ったが、テックサポートの悪夢と化した

妻と私には、心房細動の重い症状を持つ一人の親戚がいるが、彼女は最近病状が悪化し、手術を受けなければならない程になった。残念ながら、手術後も、彼女には心臓の動悸が残った。医者は、よくあることで、時間と共に良くなりますよと言っている。

私は自分の経験から、自分の心拍数とリズムを心配しなければならないのはどれだけストレスの多いことか知っている。私は Apple Watch 熱狂者ではないが、手軽に ECG を測定して、物事は多かれ少なかれ正常であることを知るのは心安まることである ("私は救急医療隊員: Apple Watch Series 4 が命を救う場合とは、救えない場合とは" 3 October 2018 参照)。私はだいぶ前から我々の親戚に Apple Watch をあげて心房細動を監視する手助けをすることを考えていたが、この手術に至って実行する決心をした。また、Apple Watch Series 5 が現在特売されていることも追い風となった。Series 5 は ECG 測定には十分に対応する。

しかし、主な関心事は私が頭痛の種となる箱を彼女に与えることになるのではないかと言う心配であった。この人はオタクではないが、彼女の仲間の多くよりも技術には明るかった。我々はまた、事前に彼女の iPhone は Apple Watch Series 5 と働くかについても調べた。彼女は iPhone 6s を持っており、それは Apple Watch に対応するために必要な最低限の iPhone であった。

不幸にして、私の贈り物は実際に一箱の頭痛の種と化した、少なくとも私にとって。最終的には、全ての問題を解決できたが、その成功への道はあるべき姿よりも長くそして困難であった。

立ちはだかる障害

彼女は Apple Watch にびっくりしたが、私は彼女にどの様に設定するかの概要を伝え、後は任せた。通常であれば、私は彼女と一緒に座り、それを設定するのを手伝うのだが、我々は未だ COVID-19 パンデミックのせいでソーシャルディスタンスを維持している。加えて、Apple Watch の設定は単純である:iPhone で星パターンをスキャンするだけで、直ぐに使えるようになる。いや、私はそう思っていた。

彼女は数日後 FaceTime 経由で電話してきた。彼女はその Apple Watch を設定するのに問題を抱えていたからである。幾つか原因究明をした後、私は彼女に Settings > General > About に行くよう指示し、彼女の走らせている iOS バージョンを見るように言った。彼女は未だに iOS 11 上にいた。あれ、まあ。

次に、私は彼女が iOS 14 にアップデートするように、指をクロスさせ何も爆発しないよう祈りつつ導いた。しかし、Settings > General > Software Update には、Install Now の選択肢は現れなかった。将来の Bad Apple コラムのためにおさらいしておくと、アップデートをインストールするために十分な空き容量がないと彼女に告げるテキスト情報は、文字が小さいだけでは無く、明るい灰色の背景にやや黒い灰色の色調であった。彼女は年がいっており、それを見ることすら出来なかった! 私は FaceTime 上で何とか理解出来ただけである。アクセシビリティの優越さを謳う会社にしてである、Apple よ、しっかりして欲しい!

iOS 14 アップデートは凡そ 4 GB の空き容量を必要とするのに、これは 16 GB の iPhone である。彼女は iPhone をそれ程使わないにしても、それは満杯であった。私は、彼女に Settings > General > iPhone Storage に行ってもらい、全ての進言をオンにしてもらった。使われていないアプリを外す、古い会話を削除する、等々である。私は、彼女に Facebook と Facebook Messenger アプリも削除してもらった。それらには大きさが膨れ上がる傾向があるからである。また、iCloud Photo Library が Settings > Photos で有効になっていること、Optimize iPhone Storage はオンになっていることも確認してもらった。

残念ながら、これらの努力にも拘わらず、空けられた容量はおよそ 3 GB に過ぎず、彼女にこれ以上写真やビデオを削除し始めてもらうのには気が引けた。ここで最善の行動は、彼女に iPhone と Apple Watch を我が家に持ってきてもらう事だと思った。そうすれば、後は私がやれる。

私の計画は、いったん iPhone が手元に来たら、iTunes 経由でアップデートする事であった (私の iMac は今でも macOS 10.14 Mojave を走らせている)。Apple によると、この方法だと更に空き容量を増やすこと無く iPhone をアップデート出来ると言うことであった。私は、まず iCloud バックアップがあることを確認し、それから iTunes を使ってバックアップした。これは、この話の中で私がした最も賢い動きであった。この様な冒険に着手する前に、常にバックアップを!

それは、このアップデートが途中でおぞましい "unknown error" エラーメッセージと共に止まってしまったからである。iPhone の画面は暗くなり、そして私はパニックし始めた。

iPhone unknown error

障害を直す

私は自分のものを四六時中壊す。でも、私には余り気にならない。何故ならば、予備はあるし、バックアップも取っているし、物の直し方も大体分かっている。それに、結局の所、私の物だし、壊したい時には壊すことだって厭わない。しかし、他の誰かの iPhone をめちゃめちゃにするなんて、しかも頼んでもいない Apple Watch を働くようにするために、プレッシャーは半端ではない。

私は iTunes アップデートを試してみた。復元も試した。問題は、Mojave の iTunes と iOS 14 の間にあるのではと思って、iPhone を 10.15 Catalina の走る MacBook Pro に接続した。それは iOS 14 を再度ダウンロードすることを意味したが、そこでの体験は、Catalina の Finder では iTunes でのものよりもずっと悪かった。その理由は、進行バーが無く、不安だけが高まり全く役に立たないスピンする歯車だけだからである。

ある時点では、Apple サポートに電話するか、或いは Nashville 迄長距離をドライブして行き、疫病に満ちたモールに勇気を出して入り、iPhone を Apple Store の Genius Bar に手渡すことも考えた。私は iPhone を復旧モードに入れることすら出来なかった:私が目にしたのは Apple ロゴとそれに続く真っ黒な画面だけであった。しかしCatalina はそれでも iPhone を見ることが出来たので、私は冷静さを保とうとし、そしてそれを根気よく続けた。

何回かの試行の後、Restore の選択肢はようやく働いた。そして私は iOS 14 を成功裏にインストール出来、iPhone を起動出来た。次に、私は iPhone を初期設定し、私が先に作成したバックアップの一つから復元することを望まなければならなかった。

iPhone を復元する

私が突き当たった最初の壁は、Activation Lock であった。と言うのも、私は彼女の Apple ID パスワードを事前に聞くことを考えなかったからである。(間違いなく、私が馬鹿であった。) 不幸にして、私がそれに遭遇した時、彼女は昼食に行っており、直ぐには連絡出来なかった。私は彼女がパスワードを覚えているだろうか心配しながらおよそ一時間費やした。所で、私は彼女の iPhone を動かなくしてしまい、そのデータも復元出来るかどうか分からないことは彼女に言っていなかった。私は可能であれば彼女に心配を掛けたくなかった - 我々は Apple Watch を心臓病の問題で手助けするために買ったのであり、それ以上の心配は掛けたくなかった! ありがたいことに、彼女はパスワードを覚えており、私はそれを Activation Lock を通過するために使い、次の段階へと進んだ。

彼女は同じパスコードを iPad にも使っていた。そして、私は彼女がそうしていたことが嬉しかった。何故ならば、次の障害は二要素認証だからである。その画面を見た時、私の胃はキュッとなった。何故ならば、彼女の iPad は私の手元には無かったからであるが、私は面白い事実を学んだ:手元にもう一台の Apple 機器が無ければ、Apple は 2FA コードを iPhone にテキストで送ってくれ、自動的に入力までしてくれる。しかし、その後 iOS は iPad のパスコードを求めてきたが、ありがたいことに、私はそれを持っていた。

物事が正常に動き出したのは、ここであった。私は iPhone を iMac 上の iTunes に接続し、そのバックアップを問題なく復元出来た。復元が完了した後、私は Mail, Messages, そして Photos を確認してみた。そして、当然のことながら、全てはあるべき所にあった!

iPhone は iOS 14 にアップデート出来、問題なく走っており、そしてデータも復元された所で、ようやく Apple Watch を設定する時が来た。

楽しめていない時に時間がたつのは速い

言うまでもないが、この全部の状況が呪われている事もあり、私は Apple Watch を設定している時、思わぬ障害に直面した。私は、促された時、時計を watchOS 7 にアップデートすることにした。そうしておけば、後ですることが一つ減ると思ったのである。Apple Watch をアップデートしたことがない人のために言っておくと、それはとても時間の掛かるプロセスである。まず iPhone がアップデートをダウンロードし、それを時計に Bluetooth 経由で転送し、それから時計はそれをインストールしなければならない。我々が TidBITS 読者に watchOS アップデートは夜間にすることをお勧めするのにはそれなりの理由がある。

私の Apple Watch Series 4 に watchOS 7 をインストールした時、私は数多くの問題に遭遇したので、私は心配であった。私は、インストールを始めさせるために何回もやり直さねばならず、午後、夜、そして次の朝まで費やしてしまったし、ダウンロードも数回やり直さなければならなかったのである。その後ですら、重大な電池の減りの問題に遭遇し、時計をペアから外し、再度ペア付けをせざるを得なかった。幸いにして、それは再度問題なく動くようになった。

ありがたいことに、私の親戚の Apple Watch Series 5 を扱っている時には、これらの問題には遭遇しなかった。しかしながら、彼女の iPhone 上の Watch アプリはアップデートはインストール中だと言い、時計の方は iPhone から設定するよう促していると言う問題に遭遇した。しばらく待った後、私は Watch アプリを強制終了し、設定プロセスを再開した。Watch アプリは再度時計をアップデートする必要があると私に言い、私は忠実に従った。幸いにして、少し待ったら、それは時計には既に watchOS 7 がインストールされていることを理解し、設定に進ませてくれた。

Apple Watch の基本的な部分は割と手早く構成出来たので、その後は、文字盤を設定し、ECG を有効にし、そして心拍数と心房細動通知をオンにする所まで行くことにした。

iPhone の Health アプリで ECG を設定するのは、必要以上に並外れて小うるさい。第一に、それは私の場所を確認出来ないと言ってきた。規制の関係で、この ECG 能力は限られた国でのみ使える。私は、この問題は iPhone が私の場所を確認するためセルラーネットワークを使おうとしていることから来ている事に気付いた。そのヒントは、それが有効な SIM カードがインストールされていることを確認するように言ってきたことにある。

Unable to confirm location

私の家ではセルラーサービスがないので (Verizon は嫌だ - 私が 5G に望みを掛けていない理由はお分かりであろう)、私は iPhone と Apple Watch を持って車に乗り、5分程走り、トラクターに正面衝突されるのを避け、そしてセルラーの受信範囲にある雑貨店に駐車した。その通り、iPhone は直ちに場所確認を通った。どうも、Wi-Fi と GPS では、正しい国にいることを確認するには十分ではないようである。また Wi-Fi Calling もダメなようである。我が家では、セルラーサービスにこれを使っている。

これは馬鹿げている。ECG を使うために私がどの国にいるかを決めるのに、セルラー接続が求められるべきではない。弁護士達を幸せに保つために Apple は何らかの確認をしなければならないことは私にも理解出来るが、その情報は簡単に Wi-Fi や GPS から引き出せる。米国は大きな国で、絶対的な精度は必要ではない。

私はこれで終わりかと思ったが、Apple Legal はもう一つの障害を投じてきた。Health アプリは次に、私は心房細動と医師によって診断されたことがあるかと聞いてきた。時計を設定してあげている人は該当するので、私は Yes と答えた。そうしたら、次のダイアログが出てきた、"これらの通知は、心房細動と診断された人達のためには意図されていない。" エラーメッセージは出てこないが、私が No と答えるまで、先に進むことは許されなかった。技術的に言えば、私は心房細動と診断されたことはないので、嘘ではない。

Notice that afib notifications aren't for people with afib

ECG 機能の設定をどうにか終えた所で、私は彼女に適したコンプリケーションを持つ文字盤を作り出すため、家に運転して戻った。彼女は、アナログ文字盤の方が好きだと言っていたので、私は Apple Watch Series 4 で登場した Infograph 文字盤が良いのではと思っていた。コンプリケーションには以下のものを入れたいと思った: Apple Watch setup for my relative

私の Apple Watch Series 4 ではそうだったので、ECG は選択肢の一つだと思っていたが、Watch アプリの中にそれはなかった! 私は、ひょっとすると間違ったコンプリケーションスロットを見ているのではないかと思った。と言うのも、全てのコンプリケーションがどのスロットにでも行けるわけではないからである。次に、ひょっとすると ECG を一回走らせて見るまではコンプリケーションに現れないのではないかとも思ったりした。ECG にまつわる不可思議な障害のことを思えば、分からなくもない。しかし、いいえ、それが理由でもなかった。最後に、私は Apple Watch の画面上で文字盤を編集するのはどうかと思いついた。あら不思議、ECG コンプリケーションは時計の上では選べたのだが、iPhone 上の Watch アプリからではダメだったのだ。何故そうなっているのか私には分からない。

全てをし終えた所で、妻と私は最新にアップデートされた iPhone と適切に構成された Apple Watch を彼女の所へ届けた。数分間掛けて、私は親戚に心拍数を測るのと ECG 計測値を得る方法を説明した。彼女はとても喜んだ。Apple Watch は技術の珠玉だが、実社会での初期設定にはとんでもなく手が掛かることがある。

その夜遅く、私は彼女から時計を壊したというメッセージを受け取った。私は、彼女は単に二つ目の文字盤を付け加えただけだろうと直ぐに思い、文字盤の間での切り替え方法を説明した。私はこの種のテックサポートが好きである。と言うのも、それはユーザーが手にした技術を楽しんでおり、いじり回しており、そしてその使い方を学んでいる事を意味するからである。私が Apple の製品について好きなのは、通常誰かに何か一つを手渡して、彼らがそれを好きな様に探検し歩いても真の損傷には至らない事である。

私は、Apple がその機器上に設ける制約についてしばしば苦言を呈するが、それには裏側もある:これらの制約のお陰で、余り技術に詳しくない人もより自由に探検出来ることである。

Apple Watch は贈り物には適さない

私は、この経験を通じて幾つかのことを学んだ。

とは言え、私は、今後贈り物として Apple Watch を買うことはまずないと思う、妻は例外として。余りに多くの質問が関係してくる:時計の大きさ、好みの色と材質、彼らが好むであろうバンドの種類、そしてその色とサイズ、適切な iPhone を持っているか、その iPhone は最新にアップデートされているか、等々である。

Apple の製品群の中で最も単純な機器の一つではあるが、Apple Watch は贈り物として贈るには最も難しいものの一つである。私はこれ迄、iPad や iPhone すらも贈り物として贈ったことがあるし、それらはより複雑な機器ではあるが、自立したものなので、設定するのは Apple Watch 程には難しくない。

もう一人の親戚は、何故 Apple Watch が他の時計の様に自立して働けないのか聞いてきた。それは理に適う疑問である。何故ならば、Wi-Fi とセルラー接続の選択肢を持っているのであるから、相方の iPhone を必要とすることなく少なくとも限定された機能をもって働くことは可能な様に見える。

Adam と私は、その可能性について、設定と認証に焦点を当てて少しの間議論したが、専門家の意見も聞くべきだと言うことになった。それで、私は我々の友人であり、Apple にいた時には Apple Watch の開発に携わっていた David Shayer に、その質問をしてみた。彼が言うには、その答えは全て消費電力に帰するという。Apple は電池寿命を最大化するためやれることは全てやるという。Apple Watch は、外部にアクセスするため Wi-Fi と Bluetooth (iPhone に対して) の両方をサポートするが、Bluetooth は Wi-Fi よりも遙かに少ない電力を消費する。それ故、watchOS は可能な限り、直接 Wi-Fi を介さず、相方の iPhone からデータを要求するのに Bluetooth を使うべく設計されている。

Apple は Family Setup を導入して、相方の iPhone の必要性を無くする方向へ一歩踏み出してはいる。これは人々に家族のために Apple Watch を設定させてくれるものである。残念ながら、Family Setup を多くの人にとって実際的で無くしているものが二つ程ある:

最後に、Apple Watch は魅力的ではあるが、それは余りに個人的なもので、人を驚かせる贈り物としては単純に意味をなさない。ひょっとすると、Apple はオンラインツールを作成し、顧客が Apple Watch を誰かに贈るのを手助けするように出来るかも知れない。それにはある程度の制限が付き、そして受け取る人は希望すればそれを個人化出来ると言うのもあるであろう。例えば、余分のお金を払ってより高価なバンドに換えるとか。

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Glenn Fleishman  訳: Mark Nagata   

Apple の HomeKit Secure Video、iCloud ストレージを活用してプライバシー保護

自宅の監視カメラで撮影したビデオ映像をどこかの会社のクラウドストレージにストリーミング送信するというのは、考えただけで不安な気持ちになる。たとえその会社を信用していたとしても、そしてその会社が適切にビデオを暗号化して運搬中にもそれ以外の時にも暗号化の状態を保っていたとしても、暗号化鍵はほとんど常にその会社が握っており、自分の手にはない。つまり、その会社の従業員たちならアクセスできる。けれどもまあ、彼らを信用しているのなら、この状況では問題ないかもしれない。でも考えてみよう。もしも誰かが非合法なやり方でその鍵を手に入れたなら、例えば不満を抱えた従業員とか、クラッカー、傲慢な政府機関その他に、ビデオを見られてしまうかもしれない。また、世界中のどこからでもログインされて、保存した映像を見られたりライブフィードを見られたりする可能性もある。

正直に言わせてもらおう。たとえすべてが完璧に管理されていたとしても、いったい誰が自分の家のストリーミングビデオに Amazon (Ring) なり Google (Home) なり、あるいはそれより小規模ながらそれでも巨大な家電会社からのアクセスを許したいという気持ちになれるだろうか。やはりどう見ても正しいことではないと思えてならない。私はいわゆる「スマート」と名の付いたものをできるだけ自分の家に入れないように務めているし、私の妻はもっと強い拒否反応の持ち主だ。(実際私たちが Siri を使っているのは現時点で言う限り Apple のプライバシーに関する姿勢を一応信用しているからで、Apple が誤解を招きやすいプライバシーの間違いに陥ってその後修正を施すのを見ても、基本的に私たちの気持ちは変わっていない。2019 年 7 月 29 日の記事“Apple 従業員があなたの Siri 会話を聴いているかもしれない”参照。)

Apple は個人の内密なデータに関するプライバシー戦略を追求する際に、多くの人たちにとって魅力的に思えないいくつかの道があるうちの、中庸を選ぼうとした。すなわち、あなたが持っているハードウェアの上にビデオをローカルに保存してあなたが自宅の中で管理しトラブルシュートしなければならないようにする道と、またはブロードバンドと安価なクラウドストレージに依存してオフサイトに置いてコストを抑え、盗難・災害・設備の故障の際にもアクセスを確保できるようにする道だ。

Apple のやり方は、生体認証データ (パスコードでバックアップされる) に依存するデバイス上に暗号化鍵を作成して、それをすべての iPhone と iPad、および Touch ID 搭載の Mac に内蔵された Secure Enclave の中に鍵をセキュアに保存することで問題を巧みに解決する。誰も、Apple でさえもローカルに保存されたその鍵にアクセスできないので、Apple がそれらの鍵で暗号化されたデータに遠隔から同期して iCloud サーバ上に保存しても、データがクラッカーから、さらに言えば国内国外を問わず政府の最高レベルからの圧力からも保護されることを強く保証できる。

このやり方で、Apple は iMessage の会話がたとえ傍受されても読まれないこと、iCloud Keychain に保存された認証情報が保護されることを保証する。Photos が People アルバムのために秘密を要する顔認証データを同期するにもこのやり方を使っている。そしてまた、Apple が HomeKit Secure Video のアーキテクチャに利用したのもこのやり方だ。HomeKit Secure Video は iCloud ストレージを 200 GB または 2 TB レベルで (個人契約でも、Family Sharing グループでも) 購入した人に無料ボーナスとして提供される機能だ。この方法で保存されたビデオは iCloud ストレージの上限の計算には加算されない。しかしながら、200 GB プランではたった 1 台のカメラしか接続できず、2 TB プランの場合は最大 5 台までのカメラを接続できる。

HomeKit Secure Video では互換なサードパーティ製のカメラが必要となる。iMore が、現在 HomeKit Secure Video 対応を提供しているいくつかのメーカーの 11 のカメラをリストしている。重要な点は、いったんセットアップを終えればもはやそのメーカーがそのカメラにアクセスすることができず、あなたももはやそのメーカーのアプリを使ってビデオストレージの機能を調整したり保存されたビデオにアクセスしたりはできなくなる。(けれどもファームウェアアップデートをインストールしたり、例えばパンやチルトなどカメラ特有のいくつかの機能を設定したりコントロールしたりするにはやはりメーカーのアプリが必要となる。)

Wired Logitech camera
わが家ではワイヤー接続の Logitech Circle カメラが玄関前の通路とポーチに向けて設置してあり、小包が届いたかどうか、夜中に犬や猫やアライグマがわが家を (いつ) 訪れたかも分かる。

その代わりに、iOS、iPadOS、または macOS の Home アプリを使う。20 以上の家庭用監視カメラが基本的な HomeKit 対応を備えていて、例えば少しの設定を調整したり、ライブフィードを見たりできるが、他の大多数の機能にはカメラのアプリを使う。けれども HomeKit Secure Video 対応のカメラならば、Home アプリがカメラの設定をしたり、通知の発信源となったり、ライブのビデオやビデオクリップを見たりできるハブとなる。ローカルネットワーク上にいる人なら誰でもアクセスできるが、あなたがそれに制限をかけることも可能だ。HomeKit 対応デバイスのすべてが“Home ハブ”つまり iPad、HomePod、Apple TV を必要としている訳ではないが、HomeKit Secure Video にはハブが必要だ。(ボーナス機能として、ハブがあればローカルと遠隔両方のアクセスが可能となる。)

私は 2018 年の中頃に長期旅行に出かける前に Logitech Circle 監視カメラを買ったが、初代の Circle と Circle 2 (AC 電源モデルのみ) は現在ベータ版のファームウェアリリースを使えば HomeKit Secure Video 対応にアップグレードできる。最近になって私は思い切ってそれをしてみて、全体的にそうして良かったと思っている。ただし、通知のレベルのコントロールについては悪くなったところもあり、長期間にわたって広い意味の活動をさせるためには難点もある。(Logitech は現在最も安価版モデルの Circle View も出しており、これは HomeKit Secure Video のみで働く。)

HomeKit Secure Video に取り組む

Apple は絶えず iOS、iPadOS、macOS の Home アプリにより多くのものを要求しようとしているが、少なくとも (iTunes にあまりにも多くの機能が詰め込まれたあの時代とは違って) Home アプリは家庭内のさまざまなことをコントロールしモニターできるようにする物理的デバイスに対象を限っている。HomeKit Secure Video は、まさにその分類に属している。

監視カメラをインストールしたりアップデートしたりして HomeKit Secure Video で使えるようにアップデートないし設定が済めば、あとすべきなのは Home アプリを開いてそのデバイスを設定するだけでよい。私の Logitech Circle の場合、デバイスを登録したりさらには追加したりすることすら手動での作業は何も要らなかった。ローカルネットワーク上で利用可能な選択肢として自動的に表示されていた。

ビデオで最良の体験を得るには、iOS または iPadOS の Home アプリを使うのがよい。macOS 用の Home アプリは比較的新しく、macOS 10.14 Mojave 上で使える機能はあまりない。大体においてライブフィードを見るだけしかできない。10.15 Catalina になれば、ビデオクリップを見たり設定でいくつかの項目を変更したりもできる。(私はまだ来たるべき 11.0 Big Sur でテストしたことがない。)

どのバージョンの Home アプリでも、アプリを開けばカメラからのライブビデオのサムネイル画像が現われる。それをタップすれば、クリップやさらなる設定にアクセスできるようになる。以下では簡単のために iOS/iPadOS 14 バージョンの Home アプリに話を絞ることにしよう。

The camera feed in Home

Apple は、カメラが動きを探知したときにのみビデオクリップを撮影するように HomeKit Secure Video をデザインした。これを実用に適したものにするため、カメラの視野の中にキャプチャーゾーンをあなたが指定して、それが録画を引き起こすようにしている。Home アプリはこれらのパラメータをカメラの中の Apple 互換なファームウェアに送信し、カメラはそれによってどの時点で撮影を始めるかを決定する。通知は別途設定できるので、録画を始めるイベントのうち特定のもののみから通知を受けるようにもできる。クリップの個数に制限はないが、Apple はローリング式にたった 10 日間しか保持しない。

たいていの人は在宅中にはビデオの録画を望まず、Home アプリは家族全員についてそれぞれの主デバイスの位置情報に基づき在宅しているか否かを判断できる。オプションによっては便利に使えるものもあるだろう。(COVID-19 の時代においてこれはあまり現実的意味はないが、必ずしもいつも無意味という訳でもない。)

Apple としては珍しいことに、HomeKit Secure Video は膨大な数のオプションや設定を提供しており、それらが互いに複雑に関わり合っている。初めてカメラをセットアップする際にアシスタントなどはなく、私が自分の望む方法で録画をし、数秒に一度もの頻繁な通知に悩まされずに住むように設定する理想的な方法を見つけるまでにかなり長い時間がかかった。

カメラのライブ表示が出ている画面で歯車アイコンをクリックすれば変更ができる。カメラを設定するために私が選んだのは以下のものだ:

ビデオクリップは Home アプリで見直す。ライブ画像をタップすれば、クリップからクリップへとスクラブすることで最大 10 日前のものまで行きつ戻りつすることができる。また、ウィンドウの一番上に見えるカレンダー部分で日を選んでタップすることもできる。それぞれのクリップにはそれがどんな種類のものを録画したビデオなのかの区別が、人か動物か自動車のシルエットのアイコンタグを付けて示される。もしも Face Recognition がオンで一人または複数の人が認識されていれば、クリップの上をスクラブするとその人の名前が表示される。一つのクリップをタップすればその再生が始まる。

Share (共有) ボタンをタップしてからクリップをトリミングすることも、または丸ごと全体でも、共有オプションにある好きな送信先に送ることができる。

お金を節約しつつ心の平和を得る

HomeKit Secure Video の利点にはプライバシーとセキュリティをはじめとしていろいろのものがあるが、これは費用の面でも良いところがある。多くの監視カメラでは何らかのクラウドベースの一定量のストレージがカメラの購入に伴って無料で付いてくるが、多くの場合そこには 24 時間程度しか映像を保持しなかったり、その他かなり厳しい制約がある。動きを探知したことによるクリップの総数に制限が付くこともある。

それとは対照的に、HomeKit Secure Video はいくら動きを探知しても好きなだけ数多くのクリップを保存でき、保持期間もローリング式に 10 日間で、既に支払い済みの iCloud ストレージ料金以外に何ら追加費用を支払う必要がない。結果として一般的な監視カメラメーカーのものより料金が安い。例えば Logitech には初代の Circle と Circle 2 カメラ用に2つのプランがある:

サービスによっては Logitech よりずっと安い料金で長い保持期間も提供しているところもある。Amazon の Ring Protect プランは最大 60 日間クリップと静止画像を 1 台のデバイスならば月額 $3 (年額 $30) で提供しており、月額 $6 (年額 $60) 払えばデバイス数が無制限となる上にオプションの Ring Alarm デバイスもインストールすればプロフェッショナルなアラーム監視のオプションも付けられる。

わが家では動物や人の活動を探知することがますます増えたので2台目のカメラを付けることを考慮した。Logitech のサービスならば、現在の年額 $99 の Logitech Circle プランを年額 $179 に引き上げなければならない。HomeKit Secure Video ならば、デバイスを購入する費用だけで済む。

これは完全に私の想像だが、Logitech やその他の会社はそれまでは手の届かなかった顧客を取り込もうとして HomeKit Secure Video に対応しているのであって、それに合わせて自社の製品を Apple Store でホームソリューションの一部として Apple に宣伝してもらおうとしているのではないだろうか。それならば Logitech が Circle View を作った説明もつく。追加の設定を必要とすることなくエコシステムのソリューションとして Apple が販売できるものになっているからだ。

HomeKit Secure Video はカメラのメーカー各社にとって、とりわけハードウェアを売りたいけれどもバックエンドの基盤構造を構築し維持管理する手間をかけたくないメーカーにとって、利益をもたらすものとなる。2 TB の iCloud プランを持っている人ならばコストは上昇しないので、またストレージと監視カメラ撮影の組み合わせのために月額が $2.99 から $9.99 に増えてもあまり大したことではないので、顧客にとってもカメラの買い増しに抵抗がなくなるという魅力もある。

けれども、Apple はほとんどの機器メーカーが嫌がる状況をも作り出している。それは、HomeKit Secure Video 対応のカメラは Home アプリの目から見ればすべて同じだという点だ。スマートスイッチなど他のデバイスと同様に、顧客が望むハードウェア機能の一つとして他のものといろいろ組み合わせて使うことが意図されているので、あらゆるソフトウェアオプションが標準化されているからだ。

Apple のプラットフォームとソフトウェア全体にわたって深く統合されていることも、私たちにとってはありがたい。他の会社の製品では達成できないレベルにまで、より多くのセキュリティと、存在感、そして人物認証のオプションが提供されるからだ。

HomeKit Secure Video の制約

私は過去 2 年間にわたってかなり良い Logitech Circle ソフトウェアをウェブアプリとしてもモバイルアプリとしても使ってきたので、それらを HomeKit Secure Video と比較できるしっかりした根拠を持ち合わせている。明らかな弱点と言える機能欠落がいくつかあって、Apple なら簡単に追加できるだろうにと思われるのは次のような点だ:

セキュリティと便利さのバランス

わが家を監視し制御するために作られたテクノロジーを当初はしぶしぶ取り入れた私だったが、自分がいかに快適に HomeKit Secure Video を使っているかに気付いて今は少し驚いている。Apple は今後もさらに改良と洗練を加えて、今はまだ弱い部分を競合サービスと同レベルにまで引き上げてくれることだろう。けれども、既に追加の iCloud ストレージに対して料金を支払っている多くの Apple ユーザーにとっては、追加料金を一切支払うことなくプライバシーとセキュリティを維持できるようにデザインされたサービスはこれ以外にない。

家庭用監視カメラの選択肢と、その使用を巡るプライバシーの問題について、またそのための購買決定方法について詳しくは、私が書いた本Take Control of Home Security Camerasをお読み頂きたい。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

SoundSource 5.1

SoundSource 5.1

Rogue Amoeba が SoundSource 5.1 をリリースして、新しい Headphone EQ エフェクトを追加し、また Audio Capture Engine をバージョン 11.2.2 にアップデートして Mac Catalyst アプリ (例えば Apple の Voice Memos や Podcasts など、2019 年 6 月 13 日の記事“Catalyst と SwiftUI はアプリ開発をどう変えるか”参照) にフル対応した。AutoEq プロジェクトのデータから構築した Headphone EQ エフェクトは、何千ものモデルのヘッドフォンのためにカスタマイズ調整したオーディオ同等化を自動的に提供する。このオーディオコントロール・ユーティリティは今回から音声チャット (VoIP) アプリケーションを調整する際に待ち時間の最も少ないモードを自動的に使うようにし、異なるオーディオソース間でサードパーティのオーディオエフェクトをドラッグ&ドロップで移動できるようにし、Home アプリからのオーディオ処理を改善し、ポップオーバーのピン留めを外す際に起こることがあったメモリリークをパッチし、SoundSource のメインウィンドウでメーターを無効化できるようにした。(新規購入 $39、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、15.8 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

SoundSource 5.1 の使用体験を話し合おう

BBEdit 13.5.1

BBEdit 13.5.1

Bare Bones Software が BBEdit 13.5.1 を出した。機能をたっぷり追加して最近出されたバージョン 13.5 へのメンテナンス・アップデートだ。(2020 年 10 月 19 日の記事“BBEdit 13.5、効率の向上をサイクル途中で提供”参照。) この古参のテキストエディタは Services メニューに Compare Using BBEdit 項目を新設して Find Differences 操作を実行できるようにし、Rescued Documents ウィンドウのリストの並び順を修正し、書類ウィンドウの中のシートを使って "These files are identical" の報告を出そうとする際に起こったクラッシュを解消し、Markdown 早見表にタイトルの付いた画像の位置取りのための項目を追加し、untitled 書類の救出が "Make backup before saving" がオンの場合には実行されなかったバグを修正し、テキストファイルの可能性のあるものの考慮対象から PDF が明示的に除外されるようにし、サンドボックス化されたプロセスが BBEdit に Apple イベントを送ることができなかった macOS のバグ (結果として Automator、MarsEdit、Keyboard Maestro から、おそらくその他にもあるだろうが、その種のアプリからのオートメーション操作が働かなくなっていた) を回避した。(新規購入 $49.99、無料アップデート、18.7 MB、リリースノート、macOS 10.14.2+)

BBEdit 13.5.1 の使用体験を話し合おう

Fission 2.6

Fission 2.6

Rogue Amoeba が Fission 2.6 (作成にもう一年もかかってしまったメンテナンス・リリース) を出して、macOS 11 Big Sur とフル互換にし、Opus オーディオファイルへの対応を追加した。このオーディオエディタはまた、互換なサンプルレートのフォーマットを 384 kHz に引き上げ、変更しつつあるチャンネルを持つデバイスが出力デバイスセレクタに正しく表示されるようにし、スペックより大きな AIFF ファイルもロードするようにし、チャプター分けされたファイルを改良し、スライダーのノブの位置取りに修正を施し、オーディオデバイスが一つも存在しなかった場合に起こったクラッシュを解消し、Fission の Batch Converter でのエラーレポートを更新し、システムの最低要件を 10.13 High Sierra に上げた。(Rogue Amoeba からの新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、Mac App Store からも入手可能、無料アップデート、11.1 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

Fission 2.6 の使用体験を話し合おう

Zoom 5.4.1

Zoom 5.4.1

Zoom が会社名と同名のビデオ会議アプリをバージョン 5.4 にアップデートして、ミーティングをスケジュールする際に Join Before Host の設定で参加者たちが開始時刻の 5、10、または 15 分前に参加できるようにした。このリリースではメインの連絡先フォルダもそのサブフォルダもどちらも Office 365 から同期できるようにし、スター付きのフォルダ全部を通して検索 (あるいはスター付きのメッセージのみをフィルター分けして検索することも) できるようにし、あらかじめ割り当てられた Breakout Rooms の挙動を改良し、Proximity 共有を更新して特定のアプリやコンピュータオーディオをサポートするようにした。Zoom 5.4 ではまた、終端間暗号化を 30 日間のテクニカル・プレビューとして展開し始めている。(詳しくは 2020 年 10 月 30 日の記事“Zoom、終端間暗号化のプレビューを展開”参照。) このリリースの後間もなく、詳細は明かされていないがマイナーなバグを修正した Zoom 5.4.1 が出された。(無料、23.9 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

Zoom 5.4.1 の使用体験を話し合おう

Alfred 4.2

Alfred 4.2

Running with Crayons が Alfred 4.2 をリリースした。このキーボード駆動のランチャーに macOS 11 Big Sur のリリースへの準備を整えさせる、メンテナンス・アップデートだ。Alfred 4.2 ではまた、Alfred のアップデートデータを取得できない場合のエラー報告を改良し、クリップボード/スニペット表示のプレビューテキストを左上に寄せてスクロールの際に目を通しやすいようにし、File System ナビゲーション要約パネルのメモリ管理を改善している。(基本的機能は無料、Powerpack は 23 ポンド、3.1 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

Alfred 4.2 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Zoom、終端間暗号化のプレビューを展開

Zoom は現在、同社のビデオ会議サービスのための終端間暗号化を 30 日間のテクニカル・プレビューとして展開中だ。これは 10 月中頃に始まり、11 月中頃まで続く予定だ。終端間暗号化は暗号化された会話の鍵を参加者たちのマシン上で生成して保存し Zoom のサーバ上には保存しないので、Zoom のサーバに誰かが侵入したとしても会話を傍受されることがない。Zoom は当初終端間暗号化を有料の追加機能とする予定であったが、無料ユーザーにも使えるようにした。しかしながらこの機能を有効化すると Zoom の他の機能の一部が無効化される。具体的には電話によるダイヤルイン、ホストより前の参加、クラウド録画、ストリーミング、ライブ文字起こし、Breakout Rooms、投票、1:1 のプライベートチャット、ミーティング応答などだ。それらの機能が不要で追加のセキュリティが欲しい場合は、アカウントレベルで終端間暗号化を有効に切り替える必要がある。大多数の Zoom ユーザーにとってはおそらくやり過ぎと言えるものだろうが、必要とする人たちのためにオプションとして提供してくれたのは嬉しいことだ。

Zoom encryption settings

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インターネットに対する David Bowie の 1999 年の洞察

10 月 29 日の Internet Day を記念して、1999 年に Jeremy Paxman が David Bowie にインタビューした様子を BBC が改めて取り上げた。その中で二人はインターネットの広範囲にわたる影響について議論した。Paxman は頑としてインターネットは単なるツールだという立場を貫いたが、Bowie の考えはもっとずっと未来を見通していた。(Bowie が彼独自のインターネットサービスプロバイダ BowieNet を開始したのが 1998 年であったことを念頭に置いておこう。) Bowie は 1970 年代に社会の分断が始まるのを目にしたし、これからますますインターネットが物事を分断するようになるだろうと (正しく) 予想して、「既知の真実と既知の嘘」の世界から「あらゆる質問に2つ、3つ、4つの面がある」世界へ、それと同時に「刺激的で恐ろしい」しかも「中庸とは何かという考え方を押しつぶす」世界へと移ってしまうだろうと言ってのけた。

1999 年の段階で Bowie が YouTube、ソーシャルメディア、情報戦争、そして「ポスト真実」の時代の出現を予想することは無理だったろうが、彼はインターネットがただ単なるファックス機と同じようなものではないと見抜く洞察を持っていた。「単なるツールに過ぎないのではないですか」という Paxman の問いかけは、明らかに Bowie の考えに対する疑いを示していた。「いや、これは異星の生命体ですよ」と Bowie はニコッと笑って答えた。ゲーム終了、David Bowie の勝利だ。彼は 2016 年に亡くなった。

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Apple TV が Xbox ゲームコンソールにも

Apple はまだまだ Apple TV のコンテンツを自社の垣根の外でも利用できるようにと拡張を続ける。Apple TV アプリが、Microsoft の現行の Xbox One と、2020 年 11 月 10 日に登場予定の Xbox Series XXbox Series S ゲームコンソールに登場しようとしている。このアプリは他のサードパーティの TV プラットフォームにあるものと同一の見栄えである可能性が高い。私たちは、Apple が自社のニーズに合った場合に他のプラットフォームとの間でどのような仕事をするのか、興味深く見守りたい。Apple Fitness サービスについては Apple ハードウェアとの緊密な統合があるので別のプラットフォームに対応するとは想像し難いけれども、Apple News アプリや Apple Books アプリの他のバージョンが開発中ということはあり得るだろうか?

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