Skip to content
Thoughtful, detailed coverage of everything Apple for 33 years
前週号 | 日本語版ホーム | 次週号

#1679: iOS 17 の Check In 機能、iOS 17.0.3 が過熱に対処、Mac 用ブラウザの人気度、Arc が AI 機能を追加、Finder タグを使ってますか?

Apple が iOS 17.0.3 をリリースして iPhone 15 の過熱の問題に対処したが、この問題は Instagram などのアプリのバグによって引き起こされることもあるし、新しいデバイスへ移行した後のバックグラウンドでのハウスキーピング処理によることもある。先週号でお尋ねした Mac 用ウェブブラウザについてのアンケート結果を報告するが、最上位は予想通りに Safari だったけれども、意外に投票が集まった Firefox が第2位、その後に Google Chrome が続いた。新参者の Arc もなかなか健闘したが、このウェブブラウザに 5 つの実験的な AI 機能が 90 日間試用という形で追加された。Glenn Fleishman が iOS 17 の新しい Check In (到着確認) 機能を深く掘り下げる。これは、iPhone ユーザーがお互いに到着を知らせ合うことで安心感を保てるとともに、場合によっては身の安全を図る役にも立つというものだ。今週の Do You Use It? アンケートではあなたがどの程度頻繁に Finder タグを使っているかをお尋ねする。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Audio Hijack 4.2.4, SoundSource 5.6.2, Fission 2.8.5 だ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

iOS 17.0.3 が iPhone 15 の過熱の問題とセキュリティ脆弱性に対処

数週間前にリリースされて以来、iPhone 15 が過熱するという報告が多く寄せられていた。最初に噂されたのは iPhone 15 の新しいチタニウム製の外装が原因ではないかというものだったが、Apple はきっぱりとその説を否定して、次のような声明を発表した:

いくつかの条件下で iPhone が動作中に予想よりも熱くなることがあることが判明しました。デバイスをセットアップまたはリストアした後の最初の数日間、バックグラウンドの活動が増すことによりデバイスが熱く感じられるかもしれません。また、iOS 17 の持つバグによって一部のユーザーに影響が起こり得ることも判明しましたので、この点はソフトウェアアップデートで対処いたします。もう一つ別の問題として、サードパーティのアプリの最近のアップデートがシステムに過負荷を掛けている状況があります。現在それらのアプリの開発者と協力して作業中で、修正が順次提供されることになります。

私の iPhone 15 Pro は当初のセットアップ後の数時間、アプリや写真をダウンロードしている間とても熱くなって、ポケットの中に入れておいては耐えられない状態だった。でも、その作業が終わった後は、普通の温度に戻った。過去の iPhone でも同じことを経験した記憶がある。

そして今回、Apple はその誤りに対処するため iOS 17.0.3 をリリースした。また、John Gruber の報告によれば Instagram アプリのアップデートにより、このアプリがアイドル状態でバッテリー残量を毎分 1% ずつも消費するというとんでもないバグが修正されたという。このようなお粗末なプログラミングもまた、Instagram を避けるべき理由の一つだ。

それに加えて、iOS 17.0.3 とそれに伴う iPadOS 17.0.3 が、2 件のセキュリティ脆弱性を修正している。脆弱性の片方は実際に悪用されているとのことだ。このゼロデイ脆弱性と、iPhone の過熱の可能性が修正されているので、早めにアップデートすることをお勧めしたい。

討論に参加

Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Do You Use It? Safari が Mac Web ブラウザのトップに

我々が先週あなたの Mac 上でどの Web ブラウザを使うかを尋ねた時、私は Safari がリストの一番上に来るであろう事に疑いは持っていなかった。それは 2003 年に Mac OS X 10.3 Panther と共に出荷された時から Apple の最も重要なアプリの一つであり続け、性能、機能、そしてセキュリティを改善するアップデートを定常的に受けている。従って、TidBITS 読者の 87% がそれを使っていることは全く驚きではなかった。

もっと興味を引いたのは次に続く幾つかのブラウザである。TidBITS 読者の間では Firefox (59%) が Google Chrome (40%) よりも遙かに多く使われていることに私は興味を引かれた。Google Chrome は全てのプラットフォームを対象とすると群を抜いて一番多く使われている。Chrome の相対的な劣勢は TidBITS 読者がプライバシーを平均以上に強調していることを反映しているのかもしれない。その傾向は、プライバシーに焦点を当てた Brave (21%) と Brave (21%) and DuckDuckGo (11%) がそれぞれ4位と6位に入ったことからも伺われる。Arc は 15% と言う使用シェアをまず間違いなく楽しんでいるが、それは私の記事とそれに対する熱烈な興味のせいであろう。そして、Microsoft Edge は 10% の数字にようやく到達しているが、それは雇用主が内部サイトと AI 統合のためにそれを要求するためであろう。残りのブラウザは一桁の数字しか獲得出来ていない。そして、私は忘れてしまった事を悔いているが、iCabOmniWeb もまたこの領域に属していたであろう。

Do You Use It? poll results on Mac Web browsers

今にして思えば、私はこの調査がどの位物事を浮かび上がらせていたか確信が持てない。それは TidBITS 読者が少なくとも時たまどのブラウザを使うかを大まかには示しているが、多くの人は主たるブラウザを持ちそして特定の理由から、例えばウェブサイトが正しく働かない時のように、他のものを使っている。私の投票は、上記の図では青色の棒で示されている、私が主として Arc を使うが、時として正しく反応しないウェブサイトをテストする、補助アカウントを使ってログインする、或いはインターフェース要素を記録するために他のブラウザも使う事を明示してはいない。

私は主ブラウザの質問を引き出すための別の調査をする事も考えたが、基本的には同じ話題について再度の投票をお願いしたいとは思わなかった。また、私は Google Analytics からのそれについてのデータも持っている。2023 年のデスクトップ Web ブラウザからの tidbits.com トラフィックを見た時、Safari が 48% のページビューでトップにいることは変わらないが、Chrome は 40% で二位、そして Firefox と Edge が 5% の同率で四位となっている。最後に、Opera が 1% で滑り込んでいる。Microsoft Edge と Opera 以外の Chrome 系のブラウザは自らを Chrome と称しているので、その 40% には少なくとも Arc, Brave, そして Vivaldi が含まれる。

ひょっとすると、この調査からの覚えておくべき事は、複数のブラウザの使用は一般的であり、そしてそうすることを敬遠するべきではないということであろう。自分の作業スタイルに一番合ったものをデフォルトとして選ぶが、特定の場面で自分のニーズを満たさない場合は、別の選択肢に頼ることに何ら恥じることはない。少なくとも、Safari はあなたの Applications フォルダで常に待っている。

討論に参加

Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Arc Web ブラウザ、焦点を絞った AI 機能を導入

新しい Arc Web ブラウザのメーカーである New York の The Browser Company は ("Arc はウェブでの作業のやり方を変える" 1 May 2023 参照)、楽しい時間を過ごしているように見える。Arc のための五つの実験的な AI 機能の集合体である Arc Max を紹介するため、The Browser Company はライブのイベントを仕立て、そして QVC ホームショッピングチャネルのプレゼンテーションのものまねを組み込んだもじりのニュース番組と言えるものを提供した。それは Apple レベルの制作価値ではないが、滑稽な面白さがあり、そして退屈なプレスリリースからの歓迎すべき脱却でもある。

20 分もかけて見る時間はないという人のために、以下に The Browser Company が AI をどの様に Arc に統合したかを記す。最初に、Arc > Settings > Max を開き、Turn On Max をクリック、そして全てのスイッチをオンにすることでこの機能を有効に出来る。

Arc Max settings

Arc Max の選択肢が個別に何をするかは以下のようである:

これらの機能の中で、私が最も説得力があると思ったのは Tidy Tabs と Tidy Downloads である。その理由は、それ等はやり取りを必要としないからであり、簡単に元に戻せるからであるが、どうか AI の正確さについての疑念に発展させないで欲しい。それは AI に対する Apple 様の手法である - AI チャットボットと話したいと想定するのではなく、それを背景での挙動に組み込んでいる。

Arc Max 機能は OpenAI の API Platform と (Ask on Page に対しては) Anthropic の Claude に依存している。それ等を使うことは Arc が関係するコンテンツを OpenAI や Anthropic に送ることを必要とする;The Browser Company はそのプライバシー方針をアップデートして本当に何が送られるかを説明している。

少なくとも今後 90 日間は、The Browser Company は Arc Max に対して課金はしてこないが、疑いなく OpenAI と Anthropic からの請求書はため込むことになるであろう。その理由は、ユーザーがこれ等の機能を有用だと感じるかどうか不明だからであり、同社は Help > Share Feedback を通じて積極的にフィードバックを求めている。The Browser Company はそれぞれの機能がどれ程頻繁に利用されているかの情報を遠隔に収集しているのは間違いないであろう。事実、5-Second Previews 機能は既に Arc ユーザーの代理として 1.5 百万ページを超える Web ページを読んだと発表したばかりである。

90 日後、これ等の機能は消え去るかも知れないし、或いは何らかの有料化の壁の背後に移るかも知れない。いや - ひょっとすると、例を挙げれば、Tidy Tabs や Tidy Downloads を走らせ続ける費用はそれ程でなく、The Browser Company が事業を続ける単なる一つの費用として扱える程度なのかもしれない。何れにしても、私は、良い結果を出せない機能は進んで取り除くという理性的アプローチには賛成する。これ等の五つの機能はプロトタイプの中から選ばれてはいる - The Verge は The Browser Company CEO Josh Miller と、Arc Max の後ろにある考えと最終選考に残らなかったプロタイプについて話をしている。

数ヶ月後に、どの機能が生き残ったかを見てみようと思う。

討論に参加

Glenn Fleishman  訳: Mark Nagata   

iOS 17 の Check In 機能、安心感を提供し、救命に役立つことも

テクノロジーの暗い面だけに注目することは容易いが、Apple はここ数年かけてユーザーをオンラインや日常の脅威から保護することを狙った一連の機能を構築してきた。具体的には Communication Safety (ヌード画像が含まれる写真やビデオから子供たちを隔離する機能で、親が有効化する)、Sensitive Content Warning (ヌードを含むメディアを見る前に誰もが警告を受け取れる機能)、Lockdown Mode (標的になるユーザーのセキュリティを増す機能、2022 年 7 月 6 日の記事“Apple、活動家や政府の標的を守るため Lockdown Mode を追加”参照)、Safety Check (意図しない共有を防ぐため設定を監査する機能) などだ。これらの機能が、あなたの精神的ならびに身体的な健康と安全を維持する役に立つ。

そして、そこに加わった最新の機能が Check In (到着確認) だ。これは iOS 17 の Messages アプリに組み込まれている。基本的に、親から「家に着いたら電話してね、そうしたらあなたが無事に着いたと分かるから」と言われるようなものだと思えばよい。生活の安全を全体的に強化してくれる、有益な機能だ。Check In では、タイマーまたは目的地を安全パートナーに送信できる。安全パートナーとは友人、家族、同僚など、iOS 17 を走らせている人なら誰でもよい。タイマーが終了した後、あるいは目的地に到着する予定の時刻になってもあなたがもし到着確認をしなければ、安全パートナーに通知が送られる。

iPhone にプロンプトが出てから 15 分以内にあなたが応答すれば、Check In は文字通りあなたが到着したという事実以外何も安全パートナーに明かさない。けれども、もしあなたが応答しなければ、あるいはあなたが緊急 SOS を呼び出したり、または (転倒や衝突の結果) 緊急 SOS が自動的に呼び出されたりした場合には、Check In 機能が詳細情報を安全パートナーに送信する。

Check In explanation at first launch

Check In を説明できる最良の例えは、特別のアラームシステムを備えた建物を巡回する警備員だ。あらかじめ決められた時間間隔で、警備員は巡回路の途中にあるアラームボックスに鍵を差し込まなければならない。現代ならば RFID カード (IC タグ) によるタップなどのやり方を使うかもしれない。(歴史的な実例が M, Fritz Lang によるクラシック映画 M の一シーンにある。) もしも警備員が巡回の際に指定された鍵を差し込まなければ、アラームが鳴り、警察に通報が行き、などのことが起こる。私たちの日々の生活で、何かが 起こらなかった ことを識別するのはなかなか困難だ。ここではそれを 否定的情報 と呼ぶことにしよう。それに対して、警報やアラームや電話やテキストメッセージや、あるいはドアのノックなど、何かが起こったこと、つまり 肯定的情報 に私たちは十分慣れている。でも、何かが起こらなかった場合は、多くの場合私たちは手遅れになるまでそのことに気付かない。ところが Check In 機能は、肯定的と否定的双方の情報を混合したものの上に構築される。

Still image from M, showing a security clock

Check In 機能によって、あなたが応答しなかったという事実があなたが応答 できない ことを示唆できるための過程を Apple は作り出した。。言い換えれば、何か問題が起こっているのに、助けを呼べないのだということだ。

これに似た仕組みを既にご存知の人もきっといるだろう。Uber 配車アプリの機能 Share My Trip2016 年に追加されたもので、Uber は運転手が乗客に不正を働いたり、誘拐したり、脅したりといった稀な状況を懸念してこの機能を作った。2017 年になって、今度は運転手のためにも Follow My Ride 機能が用意されて、乗客からの暴力の可能性に備える保護策とした。

Apple の Check In 機能はそれよりもっと広い範囲に焦点を合わせて、危険にさらされたり、道に迷ったり、負傷したりした人たちを識別しようとする。そのような状態に陥った人がアラートに応答しなかった際に、Check In の通知によって安全パートナーがそれを予防したり、あるいは素早く阻止したり、救急医療が受けられたりする手配ができるようになる。ひょっとするとそのお陰で命が救われることもあるかもしれない。緊急 SOS 機能が救命に役立った実例を記事“衛星経由の Emergency SOS がマウイの山火事で命を救った”(2023 年 8 月 10 日) で紹介したが、これから数か月のうちに Check In 機能で命が救われた実話が聞こえてくるのではないかと思う。

Check In は安全のための補助手段を提供する

人生は危険なものだが、たいていの人にとって、たいていの場合、危険は散発的で、予期していなかった時に起こるものだ。自動車事故に遭ったり、帰宅途中に襲われたり、山火事に巻き込まれたりするのを予知できる人はいない。それでも、危険が高そうだと予想できる状況はある。例えば犯罪者が待ち伏せていそうな地域を夜中に歩いたり、たった一人で自動車を運転して長距離を走ったりする場合だ。Check In はまさにそういう状況で役に立つように作られていて、あなたがタイマーに応答しなかったり予定通りに到着しなかったりしたならば安全パートナーに警告を送る。子供たちだけで旅行するような場合には特に有益かもしれない。

一見してそれと明らかでなくても Check In 機能が役立つ状況はいろいろある。例えば、病気や手術からの回復期で歩くのに支障があって転倒の危険を伴う場合や、あるいはてんかんなどの持病があってごく稀に認識機能障害を起こしたり意識を失ったりする可能性がある場合などだ。Check In 機能を使えば、もし何かが起こっても iPhone が自動的に誰かに知らせてくれるようになるので、他の人があなたに繰り返し連絡を入れたりする必要がなくなる。(実際、現在まだ欠落しているものの一つは“反復 Check In”機能で、大切な人を安心させるために一日を通じて何度も応答するようにしたい状況はあるだろう。)

目的地を指定して Check In 機能を使う場合は、移動手段 (車、交通機関、または徒歩) を指定できる。Check In 機能は地図や交通情報にもアクセスできるので、到着時刻を予想できる。あなたが目的地に近付くにつれて、Check In 機能は移動の状況やあなたの現在位置に基づいて応答に要する時間を調整する。また、到着してすぐに iPhone を使えなかったり、移動時間の予想があやふやだったりする場合には時間の設定に余裕を持たせることもできる。

Check In 機能はあなたの道筋を監視するので、経路が変わってあなたが目的地から遠ざかり、当初の旅行予定と食い違ってしまった場合にはあなたに応答を求める。最近私はメリーランド州に旅行したが、ダレス国際空港からの乗り継ぎが 40 分間東へ、次いで 40 分間北西へ飛んで、もともと北東側にあった目的地に到着することになった。おそらくこの状況では Check In から道筋の警告が出たことだろう。あるいはひょっとすると自動的に乗り継ぎの道筋を認識して、予定通りの旅をしていると判断したかもしれない。

Check In からプロンプトが出てあなたがそれに応答しなかった場合、あなたの安全パートナーにシステムからの通知が届く。また、あなたが緊急 SOS を呼び出したり、または衝突などの結果あなたの iPhone や Apple Watch が自動的に緊急サービスを呼び出したりした場合にも、Apple はあなたの安全パートナーに通知を送る。その場合、安全パートナーにはその緊急通話の原因となったと思われる詳細情報も届く。また、少なくともあなたのおよその現在位置と、(プライバシー設定にもよるが) あなたの移動の全体状況と正確な位置座標も知らされる。(Apple は Check In 機能のサーバ側での詳細情報を何も明かしていないが、目的地やタイマーを送信した人が使っているハードウェアにはそれほど依存しないはずだ。なぜなら、たとえあなたの iPhone のバッテリーが空になったり、電源が切られたり、ネットワーク接続がなくなったりしても、やはり安全パートナーに通知が送られるからだ。)

Check In 機能は誤認警報を避けるためにある程度のエラーのマージンを提供している。タイマーや目的地によって応答を求める状態になると、15 分間のカウントダウンが始まり、あなたが応答するまで 5 分ごとに警告サウンドを鳴らす。(Apple は説明書に警告サウンドについて何も記していないが、私たちはテストの際にこの警告サウンドを経験した。) 続けるには iPhone のロックを外してボタンをタップしなければならない。タイマーによる警告については、タイマーを終了させれば単に安全パートナーの Check In カードで状況が更新されるのみだ。一方、目的地による警告については、あなたが予定通りに到着したというシンプルなメッセージが安全パートナーに届く。15 分以内にあなたが応答しなければ、Check In が安全パートナーに詳細情報を送る。

ざっと要約すればこんなところだ。どうやって設定するかについてはもう少し込み入っている。この 1.0 リリースの段階で Apple が手順を十分に効率化したのか否かは怪しいものだと私は思っている。将来のアップデートで、もっと使いやすいものになることを期待したい。

Check In の設定方法と使い方

Check In 機能の基本的要件は、Messages アプリで Check In カードを送信する人とそれを受信する人の双方が iOS 17 の走る iPhone を使っていなければならないことだ。Check In を共有する人が手順を開始する際には、セルラー接続が必要だ。(Apple はこのセルラー接続の要件をサポート記事に記していないが、セルラー接続がない状態で Check In を送信しようとしても Messages アプリの Check In にアラートが出てその要件を表示する。) また、Apple は Check In 機能が一部の国と地域では利用できないと述べているが、今のところどの国がサポート対象なのかのリストをまだ公表していない。(もしあなたの国での状況が分かればコメントで教えて頂きたい!)

最初に Check In をセットアップする際に、Apple は詳しい情報を提供するとともに、プライバシーのレベルを選ぶよう求める。まずはこのプライバシーのオプションから話を始めよう。Limited と Full の二者択一だ:

安全パートナーが情報を受け取るのはあなたが Check In のリクエストに応答しなかったり緊急通話を呼び出したりした場合のみなので、実際に知らない人、例えばホテルのコンシェルジュなどと情報を共有するのでない限り、Limited の設定を選びたくなる理由を私は思い付かない。たとえ知らない人と共有するのであったとしても、緊急サービスや警察に私がどこを通ってどこへ行ったかの正確な情報が伝わる方が良いと私は思う。なので、もし厳密なプライバシーが必要だと思う以外の理由で Limited の設定を選ぶべき状況を説明できる人がいるのならば、ぜひ声をあげて欲しいと思う。

このプライバシーの設定はいつでも Settings > Messages > Check In Data で変更できる。この Check In Data 設定画面には Limited と Full がどう違うかを示すプレビューがちゃんと表示される。とても素敵なプレゼンテーションなので、他の機能についても、複雑な選択がビジュアルな要約によってずっと分かりやすくなるものでは同様にしてくれることを Apple には願いたい。

Check In privacy options

当初のセットアップが終われば、実際に Check In を使う手順は次の通りだ:

  1. Messages アプリに行く。
  2. 既存の会話を選ぶか、または誰か一人と新規の会話を開始する。(Check In はまだグループ会話では利用できない。)
  3. 「+」アイコンをタップして Check In を選ぶ。見えるようにするため More をタップする必要があるかもしれない。
  4. その Messages 会話の中に Check In カードが登場する。Check In の開始時点ではタイマーか目的地かを選ぶことはできないが、タイマーは常時表示されていて、“Around 時刻”のような情報があらかじめ添えられている。ここでその 時刻 は現在のおよそ一時間後だ。
  5. Edit ボタンをタップし、タイマーを調整するか、または目的地を設定する。

タイマーを設定するには、そのまま Send Messages Send button ボタンをタップしてもよいし、次の手順で時間を変更してもよい:

  1. Edit をタップする。
  2. 時刻ピッカーを使って継続時間を選ぶ。
  3. Done をタップする。
  4. Check In があなたの選んだ継続時間を確認してくる。
  5. Messages の Send ボタンをタップして Check In を開始する。
    Check In create timer

目的地を設定するには、次の手順に従う:

  1. "When I arrive" をタップする。
  2. Change をタップする。
  3. あなたの行き先を検索する。その代わりに地図上でつまんだりズームしたりしてインタラクティブに位置を選ぶことも可能だが、それではやはり具合が悪い。いずれにしても正しい地点を押してピンを置いておく。Small、Medium、Large のいずれかを選んで到着する領域を選ぶこともできて、数ブロック離れた場所に駐車しなければならない場合や、ある程度の距離の範囲内にしておいた方が気が楽だと思う場合にはこの領域設定の方が望ましい。
  4. Done をタップする。
  5. 次に、Driving (車) と Travel (交通機関) と Walking (徒歩) のいずれかを選んでタップする。
  6. オプションとして、Add Time をタップして 15、30、または 60 分間を Apple が設定した継続時間に加算することができる。Apple はあなたが通っている場所に基づいて交通情報や目的地の情報を更新するので、たいていの場合時間の加算は必要ないだろう。
  7. Done をタップする。
  8. Send ボタンをタップする。
    Check In create destination

タイマーと目的地のいずれの場合にも、あなたがそれを安全パートナーに送信しなければ Check In 機能は動作を開始しない。これは知っておくべきだと思うが、安全パートナーが届いた Check In カードを拒絶することはできないようだ。これは依頼というよりもむしろ 既成事実 と言うべきだ。受取った人は OK をタップするしかない。

Check In が動作を開始した後は、Messages アプリの中でカードをタップしてタイマーの時間を延長することができて、予定より長くかかってしまったような場合に便利だ。(左下図) けれども、目的地を変更することはできない。予定が変わった場合には、Messages アプリでカードをタップして Check In をキャンセルできる。タイマーについてはタップ 1 回 (右下図)、目的地については Cancel Check In をタップしてからもう一度 Cancel Check In をタップして確認する。そのような場合、安全パートナーには Check In がキャンセルされたという通知だけが届く。

Check In adjust timer and cancel timer

安全パートナーの側では、Check In が届く度に iOS 17 が次に何が起こるかの詳しい説明を提供する。タイマーの場合も、目的地ベースの Check In の場合も、予想される終了時刻が示される。また、Check In からの通知を Settings で Critical Alerts に設定してどの Focus モードでも必ず通知が表示されるようにしておくのがよいという提案も表示される。その設定をするための Allow プロンプトが出るかもしれない。もし出なければ、Settings > Notifications > Messages へ行って Critical Alerts を有効にすればその設定ができる。

Check In safety partner receipt

時間ベースの Check In (左下図) ではタイマーが終わってプロンプトが出てから 15 分以内にタップして応答すれば、Check In が首尾よく終了する。目的地を指定した場合には、何もする必要がない。予定時間、または余裕を持たせた場合はそれも加えただけの時間が過ぎるより以前にあなたが目的地として設定した領域に入った場合には、Check In が終了したという通知が届く。この通知はあなたの安全パートナーが受け取る通知 (右下図) と同じものだ。いずれの種類の Check In でも、会話の両側で更新情報としてカードが登場して "Check In Ended" と報告する。さきほども述べた通り、タイマーの場合はそれで終わりで、目的地の場合はあなたが到着したことを伝えるシンプルなメッセージが届く。

Check In ends successfully

誰かと Check In を共有する前に、必ずその相手と話し合ってあなたが何をしようとしているか、Check In がどのように動作するか、あなたがキャンセルしたり応答しなかったりした場合に何をすべきかを理解してもらうようにしよう。(あなたがキャンセルした場合、安全パートナーには Check In がキャンセルされたという知らせが届くだけなので、Check In をキャンセルするよう悪漢に強要される余地を残す弱点だと言えるかもしれない。)

Check In が首尾よく終了した場合、安全パートナーは次のいずれかを見ることになる:

けれども Check In が目的を達成しなかった場合には、次の 5 つの挙動のうちいずれかが起こる:

上記のいずれの場合にももし安全パートナーにアラートが表示されれば、安全パートナーはその通知をタップするか、または Messages でそのカードを使うかして (左下図) 何が起こらなかったかを読むことができ、その下の Details ボタンをタップすれば共有される詳しい情報が (Limited と Full のプライバシー設定に応じて) 表示される画面が開く。(右下図は Apple が示した例)

Check In failed

もし安全パートナーになったなら、相手との会話の内容に基づいて (あるいは残念ながらそのような会話の欠如に基づいて) 相手が Check In (到着確認) を しなかった 場合に自分がどう挙動すべきかを考えておこう。たいていの場合、テキストメッセージ (例えば「大丈夫か? 到着確認が来ないけど」) を送り、その後で電話もかけてみるというのがまずすべきことだろう。とりわけ、まだ多くの人が Check In 機能の使い方に慣れていない段階ではそういう風にするのがよいだろう。

もしそういうことをしても一切応答がなければ、他の人たちの力を借りることを考えるだろう。友人、家族、近所の人たちなどだ。あるいは、もう少し待ってから緊急サービスや警察に通報することも考えるだろう。ただ、結局のところそれは単に相手の人の iPhone の充電が切れただけのことなのかもしれないし、ネットワークに接続できなくなったり、あるいはうっかり壊してしまったりしたのかもしれない。つまり、取るべき行動はさまざまの要因に依存する。

当然ながら、緊急 SOS が呼び出された場合には、私なら即座に役所に援助を求めることだろう。少なくとも米国においては、相手の人があなたと同じ地域にいるのでない場合、911 に電話をかけてはいけない。そうではなくて、相手の人がいる地域の警察のウェブサイトを検索して、その土地の警察署の 10 桁の番号に電話しよう。

あなたとあなたが安全パートナーに指定した人が二人とも iOS 17 を走らせていることを確認したら、一度 Check In 機能を使ってみて、それを使うことで安心感が増すかどうか試してみよう。もしもこの機能のお陰で何かの緊急事態を回避することができたなら、ぜひ私たちにもそのことを話して頂きたい。


Check In 機能については Glenn Fleishman の本 Take Control of iOS & iPadOS Privacy and Security にも解説がある。iOS 17 と iPadOS 17 の新情報を取り入れてアップデート済みだ。新たに設けられたセクションで、Apple の安全性強化のための各種設定、例えば Check In、Safety Check (意図しない共有を防ぐため設定を監査する機能)、Sensitive Content Warning (ヌードを含むメディアを見る前に誰もが警告を受け取れる機能) などを調べている。

討論に参加

TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

Audio Hijack 4.2.4, SoundSource 5.6.2, and Fission 2.8.5 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Audio Hijack 4.2.4, SoundSource 5.6.2, Fission 2.8.5

Rogue Amoeba が同社の3つのオーディオユーティリティをアップデートして、macOS 14 Sonoma とのフル互換性を提供した。Audio Hijack 4.2.4 (フル機能のオーディオ録音)、SoundSource 5.6.2 (オーディオ入力/出力コントロール)、Fission 2.8.5 (オーディオエディタ) だ。いずれも macOS 14.1 Sonoma の下で期待通りに起動し動作するようになった。Audio Hijack と SoundSource は Audio Capture Engine 11.9.5 を搭載し、オーディオキャプチャの信頼性を向上させた。

Audio Hijack の Peak/RMS Meters および VU Meters ブロックが Dark および Light 双方のモードで適切に調整されるようになり、Parametric EQ ブロックが何の入力もない状態でオーディオを生成しているかのように見えた問題が修正された。SoundSource は Playgrounds アプリからのオーディオを正しく対象にできるようになり、また SoundSource のポップオーバーが稀に複数モニタの間で動かなくなることがあった問題を修正した。(Audio Hijack は新規購入 $64、36.6 MB、リリースノート。SoundSource は新規購入 $39、29.2 MB、 リリースノート。Fission は新規購入 $29、14.7 MB、リリースノート。いずれも TidBITS 会員には 20% 割引、無料アップデートで macOS 11+ を要する)

Audio Hijack 4.2.4, SoundSource 5.6.2, Fission 2.8.5 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Do You Use It? Finder タグ

OS X 10.9 Mavericks で Apple は Finder タグを導入した。伝統的なフォルダ階層とは別の方法でファイルやフォルダを整理するためのもので、Josh Centers が記事“Mavericks の Finder におけるタグ付けのすべて”(2013 年 11 月 14 日) で詳しく解説している。それから 10 年間、タグは Mac ユーザーが使える状態で提供され続けてきたが、今はどれくらい使われているのだろうか? そこで今週のアンケートの質問は、あなたはどの程度頻繁に Finder タグを使っているかというものだ。タグ機能には欠けた点があると思うか、それとも Mac を使う際に不可欠のものとなっているか、あなたの考えをコメントに書き込んで頂きたい。

元記事を読む | 討論に参加

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Carbon Copy Cloner がクラウドのみのコンテンツもバックアップ

記事“Apple の File Provider、Mac のクラウドストレージに変更を強いる”(2023 年 3 月 10 日) の最後のところで、私はクラウドストレージサービスに保管されているデータをバックアップすることに関しては問題がある、なぜなら online-only のファイルはバックアップされないからだと書いた。なので私は、クラウドストレージのデータ蓄積全体を、少なくとも一時的に、ダウンロードすることをお勧めした。そうすれば全部がバックアップに含まれるからだ。その後であなたが作成した新しいファイルはローカルにあるのでバックアップされるが、共同作業している他の人たちが作成したり変更したりしたファイルが直ちにあなたのバックアップに反映されない状況は十分にあり得る。

ただしそれは、あなたが最も新しいバージョンの Carbon Copy Cloner を使っているのでない場合の話だ。最新バージョンの Carbon Copy Cloner ならば cloud-only のコンテンツを一時的にダウンロードしてローカルにバックアップし、その後ローカルなストレージ容量を浪費しないように一時的ファイルを削除する。Agen Schmitz が TidBITS 監視リスト記事でこの機能に触れているが (2023 年 9 月 11 日の記事“Carbon Copy Cloner 6.1.7”参照)、ここでもう一度この機能について明確に指摘しておきたい。これはあまりにも独特で巧妙な機能だからだ。Bombich Software は次のように説明している:

これらのストレージサービスに保存されたファイルにオンラインのみというフラグが付けば、そのファイルのローカルなコピーはあなたの Mac から削除され、その代わりに 0 バイトのプレースホルダーファイルが置かれます。これは、あなたの Mac 上に空き容量をいくらか確保できるという意味では便利な機能ですが、そうしたファイルのローカルなバックアップを作るためには論理的な難問が生じます。この種の cloud-only ファイルのローカルなバックアップを作りたいと思うならば、CCC としては一時的にそれらのファイルをあなたの起動ディスク上にダウンロードせざるを得ません。CCC にはそれが可能ですが、そのためには膨大な量のデータをインターネット経由でダウンロードする必要が伴うかもしれないため、この機能はデフォルトでオフにしてあります。同じように、このデータがあなたの起動ディスクのバックアップと入り混じる結果として、空き容量の制約によってバックアップ全体をリストアすることが不可能になってしまう状況もあり得ます。それを避けるため、cloud-only ストレージのバックアップはバックアップディスク上の別ボリュームに保存する設定にすることをお勧めします。

それに続けてこのページは詳しい手順を説明するとともに、iCloud-only ファイルの中には一時的にダウンロードできないものがある (Apple が皮肉にも自社の File Provider テクノロジーを iCloud で使っていないことが理由) と説明するなど、興味深い技術的詳細も述べている。バックアップの奇妙な状況に関する話題に興味ある人や、ローカルとクラウドのストレージを統合したいと思っている人には、必読の解説だろう。

そしてもちろん、クラウド上にあるデータのローカルなバックアップを維持したいと強く思う人は、バックアップ戦略に Carbon Copy Cloner を加えるとよいだろう。

元記事を読む | 討論に参加