TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#917/03-Mar-08

1 月の Macworld Expo で発表されていた Apple の Time Capsule、つまり AirPort ベースステーションとネットワーク機能の Time Machine バックアップディスクの組み合わせがついに出荷された。Glenn Fleishman がこの機器を検討し、この会社が既存の AirPort Extreme ベースステーションに接続されたハードドライブにもこのバックアップ機能を拡張しないのはどうしてなのかと思案する。もう一つのハードウェア関係ニュースとしては、MacBook Air で導入したマルチタッチトラックパッドを、Apple が新しい MacBook Pro モデルにも追加したが、新しい MacBooks には追加しなかった。ところで、あの年末ソフトウェア値引き企画が開発者たちにとって本当にやりがいのあるものだったのかと思案したことのある人たちのために、Adam が MacSanta 2007 プロモーションの結果のいくつかを検討する。今週号の締めくくりとしては、メンテナンスユーティリティ CheckUp 1.0 の概観と、iChat スクリーン共有の不思議の数々、例によって説明のほとんどない Apple からのアップデートいくつか、それに携帯電話各社がフラットレートの価格体系を目指して殺到している最新ニュースもお届けする。

記事:


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iPhone 1.1.4 Update は SDK への布石か?

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

Apple は iPhone と iPod touch のための 1.1.4 update をリリースした。変更に関する詳細については全く触れられていないが、iPhone Atlas のユーザはいくつかのケースで信号強度が改善されており、 SMSメッセージの順番が正常になったり、1.1.3 で発生した Bluetooth の問題が解決されたり、いくつかの送信済みメールが宇宙空間(あるいはイーサネット)の彼方に消え去ってしまうのも修正されているとレポートしている。

私達は、1.1.4 update が 2008 年 3 月 6 日に予定されているソフトウェア開発キット("SDK")に対して iPhone と iPod touch を対応させるための何らかの基本的な変更も含んでいると踏んでいる。 iLoungeの噂話によると、今週末に見られるのは SDK のベータ版に過ぎず、最終リリースは 2008 年後半の Apple's World Wide Developer Conference になるだろうということだ。


iPhoto 7.1.3 がブックとカードを修正

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

Apple は "このアップデートは、リング綴じブックおよびカードの問題を解決します。" という一行の説明だけを付け、iPhoto 7.1.3 をリースした。アップデートはソフトウェア・アップデートか単独の 16.9 MBのダウンロードから利用できる。

言うまでもないことだが、私はこのアップデートをすぐにでもダウンロードすることをお勧めする。もしあなたがリング綴じブックやカードを印刷する予定がなく、それどころか iPhoto を近い将来においても使うつもりがなかったとしてもだ。もし、この「問題」が実際に心理的な問題でしかなかったとしても、iPhoto が起こしがちな大騒ぎを知っているので、私は写真のサムネイルに起こるパーミッションに不安を感じるのだ。iPhoto は以前からこれらのファイルに対してあまりにも独占欲が強かったからだ。


Time Capsule 出荷、USB ドライブへのバックアップもサポート

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

Apple は Time Capsule 機器の出荷を始めた。これは同社の 802.11n 付きの AirPort Extreme Base Station とハードドライブを一緒にしたもので、一つの筐体に収められ電源も外部アダプタではなく内蔵されている。このドライブの取り外しは出来ない。Time Capsule の値段は、500 GB ドライブ付だと $299 だが、1 TB ドライブ付だと $499 となり、Extreme N ベースステーション ($179) 及び同等の容量と性能を持った外付けドライブのコストを合わせたものと較べると多少安いと言える。("Time Capsule が ベースステーションとバックアップディスクを束ねる" 2008-01-15 参照。)

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Time Capsule は Leopard の Time Machine バックアップソフトウェアと一緒になって働く。このソフトウェアはベースステーションの内部ドライブをネットワークボリュームと認識し、Mac OS X 10.5.2 がインストールされた複数のコンピュータからファイルをアーカイブ出来る。(これ以前の Leopard は Time Capsule とは動作しない。)

この新しい機器は USB 経由で Time Capsule に接続されたドライブに対する Time Machine を使ったバックアップにも対応している。この機能は、以前 AirPort Extreme Base Station と Leopard の組み合わせで使えるようになると約束されていたのだが、Leopard の出荷前に機能リストから外されてしまっていた。この事は多くの初期の AirPort Extreme ベースステーションの購入者の怒りを招く事となった; "Time Capsule とそれが巻き起こす怒り" 2008-01-17、そして Macworld の Peter Cohen を参照。Apple は、この取り下げを余儀なくした技術的原因が何であったにしろ、Time Capsule 上でこの機能を生かすためには、それを突き止めそして直した - 何らの具体的な発表もファンファーレも無しに - に違いない。我々としては、この機能を取り込んだ AirPort Extreme に対する改定が出されることを期待するものである。

私の手元には評価用の機器が先週届けられ、Macworld の First Look 記事を書くため早速調べて見た。私は今そのフルレビューを執筆中で来週には出される予定である。私の初見の結論だけを言えば Time Capsule は全般に目標に到達していると言える:設定は簡単で、そしてきちんと動く。

説明会でのシニアプロダクトマネジャーの Jai Chulani の説明によると、Time Capsule と一緒に出荷された AirPort Utility 5.3 には内蔵のドライブを管理するための新しいオプションが含まれているという。このドライブは AirPort Utility 経由でフォーマットすることが出来、そして安全にフォーマットするオプションも付いている。AirPort Utility 5.3 には、既存のベースステーションの設定を Time Capsule へと移行する事を可能にする設定機能も加えられている;二重帯域ネットワークの設定、古いベースステーションを 2.4 GHz に、Time Capsule を 5 GHz にする;そして Ethernet 経由で接続する複数のベースステーションのローミングネットワークの設定。(この最後の二つは私が読者からいつも受け取る多くの質問に関係しており、私の電子本 "Take Control of Your 802.11n AirPort Extreme Network" に書いてある事に答えている。)

Time Capsule は Leopard が走っている個々の Mac 上の Time Machine 設定ペーンの中にバックアップターゲットとして現れる。Time Capsule ドライブは、通常の AFP (Apple Filing Protocol) ネットワークボリュームとしてもマウントすることが出来、File Sharing を使っている Leopard システムから共有されたボリューム、或いは Time Machine オプションが生かされた Leopard Server と同じ様に振舞う。

Time Machine は、予めその設定ペーンを使ってローカルボリュームで除外する部分を指定しておかない限り、新しいディスクなら何でも、ネットワークディスクを含んで、最初に全システムバックアップを行なう。このことを考慮して、Chulani は寝る前に Time Capsule ドライブを Ethernet 経由で接続し、最初のバックアップを開始することを薦めている。彼は更に、最初のバックアップを中断すると、それを再開する時に、既に Time Machine によって保存されたファイルの整合性のチェックを行なうので相当な時間がかかることを認識しておいた方がいいと述べている。Energy Saver 設定ペーンで不使用時にスリープするよう設定してあるマシンでも、Time Machine バックアップが進行中に休むことは無い、これは一時間に一回起こる。

Time Capsule は Wi-Fi 上では 802.11n 内蔵の Mac (大抵は該当するが 2006年10月から売り出されたシステムには該当しないものがある) との間だと一番高速となるが、ベースステーションを 5 GHz に設定した時が、この帯域は殆ど使われていないのでネットワーク性能を一番引き出せる。もしあなたのセットアップがこの基準に合わない場合は、コンピュータとの接続を Ethernet 経由にして - Time Capsule は最新の AirPort Extreme Base Station の様に、全てが ギガビット Ethernet である - 最初の全システムバックアップをスピードアップするのを試してみると良い。

Chulani は Time Capsule に搭載されている "サーバーグレード" ドライブは Apple の Xserve サーバーに使われているのと同じ 7200 rpm ドライブであり、通常のドライブよりも高い平均無故障時間 (MTBF) の格付けであることを明らかにした。サーバーグレードの MTBF は通常 1 百万時間 (114 年)、確率の一つの尺度、である;この場合、同様な特性を持った一連のドライブは極めて高い確率で数年を経た後でも全く問題無しに動作しているであろうということである。

Time Capsule に保存されたバックアップは他の全ての Time Machine バックアップと同じフォーマットであり、Migration Assistant のより最新版や Leopard の DVD インストーラーによっても使用可能である:バックアップから、設定、ファイル、そしてアプリケーションを新しいコンピュータに移植するには、Time Capsule によって形成されている Wi-Fi ネットワークを選ぶか或いは Ethernet 経由でネットワークスイッチに直接つなぎ込むかした上で対象のバックアップを選択する。また Leopard DVD を持ったコンピュータをブートすることも出来る、それから Time Capsule を復元するコンピュータに対するネットワーク及びバックアップ元に選定する。後者の場合、Chulani は言う、"この方法だと時を遡ったスナップショットが得られ、特定の日にち、時間を選ぶことが出来る。"

Time Capsule は交換可能なハードドライブを提供していないが、Chulani は、既存のバックアップのコピーを遠隔地保管 - 例えば、貸し金庫とか - のために欲しいという場合は、単純にそのボリュームを Mac 上にマウントしてそこに保存されたバックアップのどれかを或いは全部を他のドライブコピーするのが良いと話している。私は、将来のファームウェアのアップグレードで Time Capsule 自身がその USB ポートに接続されたドライブに対して自分のクローンを作れる様にするべきだと思う。


新 MacBook Pro にマルチタッチ・トラックパッド、MacBook は速度向上

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

Apple の新しいマルチタッチ・トラックパッドの上であなたの指をもっとマウス動作させよう。マルチタッチ・トラックパッドは、2008 年 1月に MacBook Air と共にデビューし、今や MacBook Pro ラインでも動くようになった。Macworld Expo で MacBook Air を短時間テストした感想から、様々なスクロール操作やクリック操作を簡単に覚えられるジェスチャーで使えるマルチタッチ・トラックパッドが印象に残っていた。私は古い MacBook のトラックパッドでのシンプルな二本指スクロールが身に付いていて、さらに古くてこのような機能を全く持っていないiBook で二本指スクロールをしてしまうほどだというのにだ。

マルチタッチ・トラックパッドは二本指スクロール、つまむ(ピンチ)、スワイプ、回転、タップ、ダブルタップ、ドラッグの他に、認識した動作をどのジェスチャーに割り当てるかをコントロールすることができる(しかしそれをシステムの機能に振ることはできない)。

MacBook Pro -- すぐに入手可能な新しい MacBook Pro は最高 2. 6 GHz の 最新 Intel Core 2 Duo プロセッサと 512 MB の GDDR3 メモリ搭載の Nvidia GeForce 8600M GT グラフィックチップに加速した。17 インチモデルは 4200 rpm の 300 GB ハードドライブを BTO のオプションとして選べるようになった。新しいプロセッサは 2.4、2.5、2.6 GHz が用意されている。MacBook Pro は 2007 年 11 月に2.6 GHz Intel Core 2 Duo になっていたが(2007-11-02 の "Apple が MacBook と MacBook Pro を小幅にアップグレード"参照 )、今度のプロセッサは新しいアーキテクチャを使っていてより少ない電力消費でパフォーマンスをわずかに向上させている。すべての MacBook Proの基本仕様は 2 GB のRAM(4GBに拡張可能)、2層 SuperDrive、802. 11n AirPort Extreme(日本では AirMac Extreme)ワイヤレスネットワーク、Bluetooth 2.1+EDR、ギガビットイーサネット、バックライトキーボード、USB 2.0、FireWire 400/800、内蔵 iSight ビデオカメラだ。

価格は据え置きでベースモデルは下記のように設定されている:

MacBook -- 残念な事に、MacBook にはマルチタッチ・トラックパッドは与えられなかったが、Apple はプロセッサスピードとハードドライブのサイズを製品ラインに渡って強化した。プロセッサは 2.1 GHzか 2.4 GHz のどちらかで、ハードライブのオプションには 120 GB、160 GB、250 GB が付け加えられた。その他の基本仕様は、Bluetooth 2.1+EDR、ギガビットイーサネット、USB 2.0、FireWire 400、内蔵のiSight ビデオカメラとなっている。

こちらも価格は据え置きでラインナップは下記だ:

将来はさらにマルチタッチに? 全体的にいって、これらの新しいモデルは素敵な継続的アップグレードで、増え続けているラップトップに依存している人々にとって、MacBook と MacBook Pro を強く訴求する選択肢にするだろう。Apple が MacBook Pro にマルチタッチ・トラックパッドを組み込んだことには驚かなかったが、今回発表されたMacBook にそれが搭載されなかったことに驚いた。なぜなら、それはこの製品ラインを通じて標準とするべき事柄に思われるからだ。私が本当に見たいのはマルチタッチ・トラックパッドを組み込んだデスクトップMac 用新型キーボードだ。

私は最近、Contour Designs RollerMouse Pro を交換しなければならなかったのだが、代替機が到着するのを待つ間に、Abyssoft の素晴らしい Teleportユーティリティを使って MacBook のトラックパッドでdual 2 GHz Power Mac G5 も操作したほうがはるかにいいことを発見した(2007-08-27 の "TidBITS 御用達ツール: Teleport" 参照)。通常のマウスやトラックボールを単体のキーボードと使うことは MacBookの内蔵キーボードとトラックパッドを使うほどスムーズではない。このことは、私のお気に入りのコントローラの組合せが Matias Tactile Pro keyboard(現在は廃盤となったオリジナルのもので、トラブルのある 2.0 ではない。2004-03-29 の "荘厳なるアルプスにキーボードの帝王が輝く" 参照)のやり方でキーボードの前にポインティングデバイスを配置するもので、横に置くものではないということだろう(2006-12-11 の "RollerMouse Pro が高速・広範囲ローリングに"を参照)。


Sprint Nextel、$90 と $100 の使い放題月ぎめプランを追加

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Verizon Wireless は先週、月額 $100 の使い放題音声通話プランを打ち出して、競合各社のビジネスプランの中に催涙ガスを投げ込んだ。これに刺激されたためか、AT&T と T-Mobile も同じ日にそれぞれ独自のものを打ち出してこれに続いた。Sprint はこんな対抗策で成り行きを見守りたいと言っている: 先週、同社は長いトンネルの先に光を見つけたが、それは明るい空ではなく対向してくる列車のヘッドライトだった。それへの対応として、Sprint は大幅な評価減を発表した。Nextel との合併の価値を取得価額の 10% に切り下げる一方、競合各社の $90 や $100 という使い放題プランと並ぼうとしたのだ。(詳しいことは、2008-02-19 の記事“3つの携帯通信業者が月 $100 の使い放題プランを提供”参照。)

どうやらまだ名前のついていないらしい Sprint の月額 $90 のプランは、サービスと価格の両面で強豪相手を打ち負かしている。その料金で、無制限の音声通話とプッシュ・トゥ・トークサービス(米国では Nextel が開拓した機能で、トランシーバー風に音声を瞬時に送る)および無制限のテキストメッセージングが使える。Verizon は無制限の音声通話に $100 を課金し、無制限のテキストメッセージングには追加の $20 を課している。T-Mobile の月額 $100 のプランにはデータとテキストメッセージが含まれる。一方 AT&T は $100 にさらに $5 から $35 を加えたいろいろのオプションで、さまざまのデータやテキストの追加オプションを提供している。

Sprint は、月額 $100 で Simply Everything(とにかく全部)サービスを提供する。これは Verizon で言えば $100 に $40 プラスしたアドオンコースに相当する。Sprint は無制限のデータおよびテキストメッセージを含むだけでなく、ストリーミングメディアのテレビサービス、音楽サービス、GPS ナビゲーション、それに月額 $90 のプランと同じ使い放題のテキストメッセージングとプッシュ・トゥ・トークサービスも含んでいる。切り替えには契約の更新や延長の手続きは必要でない。ファミリープランの複数回線についても Sprint の競合各社に比べて少し安い価格設定になっている。

こうしたサービスとすべて込みの価格との組み合わせのお陰で、データやテキストメッセージング組み込みの契約をしている既存の Sprint 顧客たちはそれぞれ月額 $20 から $150 程度料金が安くなると思われる。その一方で彼らが契約を続ける可能性も高くなるので、Sprint としては現在直面している悲惨な利用者減の流れにストップをかけることができるかもしれない。この利用者減の事実は昨日の収支報告の中で発表され、同社の未来を脅かしているものだ。

Sprint は 一時的な 297 億ドルの評価減を受け入れると言っている。これは二年前に Nextel を買収した際の取得価額の大部分にあたる。同社の経営は悲惨な状態で、最近就任した CEO は人員の解雇や店舗の閉店を次々に発表して顧客の流出を食い止めようと努めていた。今回の評価減は史上第5位にあたる。

価格を下げることは収益を増やすために良い方法ではないように見えるかもしれないが、携帯電話会社というものはたった一人の顧客を獲得するためにさまざまな出費を合わせて $200 から $600 も費やすことがある。携帯電話本体価格の助成、プロモーション、奨励金 (私は以前私の Cingular 回線のキャンセル料を払うために T-Mobile から $400 の支払いを申し出られたことがある)、あるいはマーケティングの費用などだ。携帯電話番号のポータビリティ制度のお陰で、顧客たちは同じ電話番号を使って携帯電話のキャリアや地上線のオペレータを乗り換えることができるようになったので、顧客が同じ契約に留まる期間はますます短くなりつつある。一人の顧客をあと一年引き留められれば、たとえ月額の料金が低くなったとしても、Sprint としてはその余分の一年で実際に収入を _得る_ ことができる訳だ。

毎月同じ金額を請求することは、キャリアの側にも顧客の側にも利点がある。キャリアとしては経理の作業にそれほど力を注ぐことなくより能率的に収入を確保・徴収することができ、通話やデータの記録が誤っていた際にも(実際これは頻繁な苦情の対象だ)顧客サービスの出費をより少なく抑えられる。顧客の側では、毎月の料金が決まっていれば予算の見通しが立てやすく、気付かずに制限を越えて「ビックリ!」の請求書が届く心配をせずに済む。

それから、クレジットカードの業界が自らを改革して、良い使用歴を持った人たちには払いが一日遅れても馬鹿げた料金を課すことのないように、悪い使用歴の人たちにはクレジット限度を減らしてプリペイドツールやクレジットの管理などの自由度も制限するようにし、使用歴を向上させようとしている人たちにはその改善度に応じて適切な料金とレートを提示するという方向に進んでいることにも注目しておこう。

冗談だと思うだろうか? でも、ベルリンの壁が崩れるのを生きているうちに見られると、誰が予想しただろうか? ソビエト連邦や、南アフリカのアパルトヘイトが、それほど多くの血を流すことなく崩れるのは? パナマ出身の男 (John McCain) が、女性が、そして有色の男が、一様にホワイトハウスへの同等のチャンスを得られる日が来るとは? そういう現実を考えれば、携帯電話キャリアの各社が正気とは思えない過剰料金を捨てて、競争と平明さの名の下に立ち並ぶ日が来るのも夢とは言えないだろう。


Leopard の iChat スクリーン共有で手早い共同作業は完璧

  文: Matt Neuburg <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週、私は Take Control 電子ブック編集長の Tonya Engst とともに私の電子ブック“Take Control of Customizing Leopard”アップグレード版編集作業の最後の段階を進めていた。(主に Mac OS X 10.5.2 アップデートでもたらされた変更点を組み入れるためだった。これに関しては 2008-02-12 の記事“Leopard 10.5.2: TidBITS の不平を、Apple が聞き入れた、少しだけ”参照。)その時突然、Tonya があるアイデアを思いついた。通常の作業の進め方ならば、まず彼女が私に Microsoft Word ファイルを送り、私がそれを編集して、彼女に送り返さなければならないのだが、その代わりに iChat の新しいスクリーン共有機能を使ってはどうかというのだ。つまるところ私たちがしなければならないのは、あちらこちら数カ所で言葉上の表現の細かいところを直すだけのことだったのだから。

そこで、私たちはまさにその通りのことをした。私は iChat を開いて、メンバーリストから Tonya の名前を見つけ、まず彼女とテキストチャットを始めて彼女の手が空いていることを確かめてから、もうその数分後には(すぐ後で説明するようにここでちょっとした馬鹿馬鹿しい騒動を繰り広げなければならなかったのだが)たちまち私のコンピュータのスクリーン一杯に Tonya のコンピュータスクリーンが広がった。彼女はすでに問題の Word 書類を開いていたし、iChat も自動的に私たちが音声で会話できるようにしてくれていた。そこで、彼女は修正の必要な部分にスクロールして、問題点を説明してくれた。彼女がその文章を編集して私がそれを見守ることもできたし、または _私_ がその文章を編集して _彼女_ がそれを見守るということもできた。(私たちは _二人とも_ 彼女のコンピュータのマウスをコントロールすることができた。でも音声コミュニケーションのお陰で、そのことで喧嘩をせずに済んだ。)そこで、彼女が「_こう_ したらどう?」と言うと、私が「それもいいけど、でも _こう_ してみたら?」と答えるという具合で、ほんの数秒後には二人の意見がまとまって次の箇所に進めた。そして、たった2分後には、もうすべてが終わっていた。二人で議論して編集を済ませ、作業は完了した。二人で一緒に共同作業を実行したのだ。

協力して編集作業を進めるのは TidBITS では何も目新しいことではない。私たちは何度も SubEthaEdit を使ったことがあるし、Tonya は最近 Google DocsZoho Writer に凝っているので気持ちが既に協同作業のパターンにはまっているらしい。でも、iChat のスクリーン共有ではこれに音声による会話が加わる上に、私たちはただ単に書類を共有しているだけでなく、同じ書類をリアルタイムで同時に編集したり読んだりできるわけだ。だからこれは、手早くて軽量級の、ブレインストーミングと協力による作業という目的には完璧だ。嬉しいのは、問題点が素晴らしいコミュニケーションのもとで、たった五分間で解決されるという気持ち良さだ。同じ問題点を私たちの重量級の電子メールによるコミュニケーションを使って解決しようと思えば、ずっと不格好なコミュニケーションのもとで丸二日もかかるかもしれない。一言で言えば、これは効率的な、満足できる、上出来な、高速で、楽しい方法だ。ぜひ皆さんもお試しあれ!

二つだけヒントを書き添えておこう。まず、ターゲットのマシンで、スクリーン共有がオンになっている必要がある! 私たちの場合、Tonya が彼女のマシンで Video > Screen Sharing Enabled をチェックすべきだということを思い出すまで、何をやってもうまく行かなかった。次に、私が Buddies > Ask To Share Tonya's Screen を選んだ時、私の画面には進行状況インジケータが回転する小さなダイアログが現われたが、Tonya のスクリーンには何も現われず、彼女がふとひらめいて第二モニタの接続を外してから、やっとそのダイアログが現われた。その後は、すべてがうまく行った。どうやら、特定の複数モニタ環境ではスクリーン共有機能が沈没してしまうようだが、困ったことに iChat の Connection Doctor からも、他のどんなダイアログからも、どんなトラブルが起こっているかの知らせは表示されなかった。


MacSanta プロモーションを分析する

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

2007 年 12 月のこと、Rogue Amoeba は MacSanta を催行した。これは Mac 関係のダウンロード可能な製品を販売している会社のための宣伝企画だった。(2007-12-01 の記事“Mac 開発者が2つのソフトウェア割引キャンペーンを開始”参照。)その仕組みは簡単だ。MacSanta に参加したい会社は、少なくとも $50 を Electronic Frontier Foundation に寄付するとともに、ある特定の日には 20% 割引を、12 月の残りの大半の日には 10% 値引きを、それぞれ提供しなければならないというものだった。参加した個々の会社は、それぞれの顧客たちに MacSanta について広く宣伝することを強く期待されており、それによっていずれの会社も売り上げを伸ばせるだろうということだった。

MacSanta が終わって、参加した各社は無記名のアンケートでこの期間内の売り上げユニット数を知らせるようにと依頼された。参加した 124 社のうちこのアンケートに答えたのは 62 社だった。売り上げ金額を報告することは依頼されなかったが、私の推定では MacSanta でキャンペーンの対象となった製品の大部分は $10 から $50 程度の価格範囲のもので、$100 に近いものはごく少数だった。この無記名アンケートの結果からいくつか興味深い数字を紹介してみよう:

さて問題は、もしもあなたが Mac 開発者なら、はたして MacSanta は参加する価値があるかどうかということだ。こうした平均値だけをもとに収入の予想をしてもただ仮定の上に推測を積み重ねるだけでしかないが、それでもあなたの製品の価格に単純にこれを掛け算してごく控え目な見積もりを出すことはできる。でも、その答えはイエス、参加する価値はあると考えて間違いないだろう。(あなたのショッピングカート用にグラフィックを作ったり割引の項目を作ったりするのが面倒過ぎるというのならば話は別だが。)税金の控除対象である $50 を EFF に寄付するだけで、あなたは無料で知名度を高め、しかも利益が上がることがほぼ保証されているのだから。

より端的に言えば、MacSanta への参加は、すべての船を持ち上げてくれる上げ潮の流れに乗るようなものだ。より多くの会社がそれぞれの顧客たちに向けて MacSanta の存在を知らせるようになればなるほど、Mac 開発者たちも Mac ユーザーたちも、ともにより良いホリデーシーズンを迎えられるようになる。私たち Mac コミュニティーのために MacSanta を現実のものとしてくれた Rogue Amoeba に、称賛を贈りたい。


CheckUp 1.0: 見事な、しかしまだ未熟なメンテナンスユーティリティ

  文: Joe Kissell <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

コインや切手を収集する人はいるが、私の場合はユーティリティを収集している。私はこれまでメンテナンスやトラブルシューティング、バックアップその他についてたくさんのことを書いてきたし、とにかくそういう種類の人間だからという理由もあるが、私はユーティリティと種別されるようなプログラムを自分の Mac に数え切れないほど備えている。(いや、数えてみたら 130 あった。)その 130 番目、つまり最も新しくインストールしたものは CheckUp という名前だ。これは多目的のメンテナンスユーティリティで、Mac の機器構成やパフォーマンスのさまざまの諸相をモニターし、またいくつかの便利な維持管理の作業を実行してくれる。いずれは CheckUp のおかげで、私のユーティリティコレクションのサイズを一つの機能も失うことなく小さくすることができるのではないかと思う。しかしながら、このバージョン 1.0 はその潜在能力を見せてはいるものの、いくつもの欠陥もまた見せているため、まだ当分の間は他のツールを消去する訳には行かない。

CheckUp の最も目立った特長はその格好良いインターフェイスだ。グラフィックスは美しく、タブからタブへの移動には 3D キューブや移動の効果のオプションがあり、その他にもあちこちにたくさんの見た目の美しさがちりばめられている。インターフェイスは機能的でもあって、このソフトウェアがすることのほとんどすべてがたった二回か三回以内のクリックで実行できる。面倒な階層構造をさまよったり、何がどこにあるのかと長々と当て推量したりする必要はない。その他、CheckUp についてはいろいろなことが言えるだろうが、とにかくこれは見て気持ち良く、使って分かりやすい。少なくともそのメインの機能についてはそう言える。

CheckUp_CPU

それで、CheckUp はいったい何をするのか? まずはじめに、System Profiler と同じ情報の多くを表示する。例えばあなたの Mac のシリアル番号、プロセッサの仕様、RAM 構成、さらにはインストールされているフォントやドライバ、インターネットプラグイン、環境設定パネル、アプリケーションなどだ。また、Activity Monitor の機能の多くも持っていて、リアルタイムの CPU、RAM、ディスク、ネットワークの使用状況を表示する。現在動作中のアプリケーションもすべて表示して(Activity Monitor よりずっと素敵なグラフィックスを使っていると言い添えておこう)そのうち _いくつか_ は一時停止あるいは終了もできる。(開発者によればいくつかのプロセスについて終了や一時停止ができないのはそれが危険であるかもしれないからで、将来のバージョンではこの制限を取り除いた“エキスパートモード”を装備するかもしれないとのことだ。私は CheckUp がこのような制限を勝手に、しかも説明もなしに加えているのは気に障る。Activity Monitor では、何でも終了させてくれるのだから。)

CheckUp ではまた、普通ならば Terminal や Disk Utility を必要とするような、よくあるたくさんのコマンドにもクリック一つでアクセスできる。例えばディスクのアクセス権修正、日ごと、週ごと、あるいは月ごとの定期的なメンテナンススクリプトの実行、事前バインドのアップデート、隠れたファイルやフォルダのブラウズ、Spotlight データベースの再構築などだ。ディスクの空き容量が少なくなったり、CPU や RAM の使用量が高くなり過ぎたり、Mac の内部がオーバーヒートしたり、その他いくつかの問題の予兆となる状況になった時には(たとえ CheckUp 自身が走っていなくても)警告してくれる。

同様の機能を持つユーティリティが他にもたくさんある(その多くは無料である)ことは私も知っているが、CheckUp が普通と違っているのは、これらの情報をそれが走っている Mac について提供するだけでなく、遠隔の Mac についてもできることだ。CheckUp のライセンスではこのアプリケーションを2台のコンピュータにそれぞれ一つずつインストールすることが許されているので、これをあなたの Mac と、あなたのローカルネットワーク上またはインターネット上どこでも、好きなところにあるもう一台の Mac とをモニターするために使える。(ただし、介在するファイヤウォールやルータなどがポート 15550 を開いていて、必要に応じてポートフォワーディングが設定されていることを仮定する。)ライセンスで認められた CheckUp を持つどんな Mac でも(機能がオンになっていてあなたがパスワードを知っている限り)遠隔モニターできるのだが、一度に一台しか見ることができない。それぞれが2台ずつの Mac をサポートする CheckUp を5ユニットかそれ以上購入した場合は app4mac が割引価格で提供しているものの、個々のコンピュータ用にライセンスを割引価格で買い増しすることはできない。

先生どうかしたの? -- 説明書に関したことでは、CheckUp は私を喜ばせたりがっかりさせたりしてくれる。プラスの側面としては、いろいろのスクリーンにある“?”アイコンをクリックすればポップアップするヘルプウィンドウは、私がこれまで読んだものの中で最も役立つものの一つと言える。興味深い歴史と背景情報を提供しつつ、他の多くのアプリケーションのコンテクスト対応ヘルプと違って簡潔すぎず押し付けがましくもない。隠れたファイルやフォルダをブラウズするのに CheckUp を使えば、そういう項目(/etc、/sbin、/var その他)が見られるだけでなく、それらの多くについて何のためのものかの説明が読める。また、Processes タブで Descriptions of Processes ボタンをクリックすれば、CheckUp は驚くほど読んで面白い、わかりやすい英語の説明を、通常ならば謎に包まれた Mac OS X を構成するバックグラウンドプロセスの多く、例えば mDNSResponder や ATSServer などに対して表示してくれる。

CheckUp_Processes

ところが残念ながら、これらのコンテクスト対応ヘルプスクリーン以外にこのプログラムは説明書を持っていない。このプログラムの操作に関して私はいくつか重要な質問があったが、その答えはそこにはなかった。CheckUp のヘルプメニューはウェブベースの FAQ に導いてくれたが、そこにはほんの少しの質問と答えがあるだけだった。そこで app4mac のウェブサイトで Documentation をクリックしたり、CheckUp をクリックしたりしてみたが、同じページが再読み込みされる以外何も起こらなかった。開発者に尋ねてみたところ、説明書はバージョン 1.1 で付くけれども、サポートのリクエストはほんの少数しか受けていないので皆が十分このプログラムを理解しているのではないかという話だった。いや、申し訳ないが、それは違う。このプログラムは緊急に説明書を必要としている。問題点の実例として、インターフェイスの奇妙な点をいくつか説明させて頂こう。これらを前にして、私はただ頭を掻きむしるだけだった。(それで、開発者に救いを求めるメッセージを書き送ったのだ。)

Intel-li らしくないデザイン -- いくつかの機能は、いや「機能」と括弧付きで言うべきかもしれないが、Intel ベースの Mac を必要とする。いずれにしても、そのようにした設計上の決定は百歩譲っても疑わしいものだ。まず第一に、Display the Temperature as Celsius Instead of Fahrenheit(温度を華氏でなく摂氏で表示する)というチェックボックスが Intel プロセッサでないと働かないという。私は開発者にいったいどうして華氏を摂氏に変換することが PowerPC プロセッサではできないほど複雑なのかと尋ねてみた。その答えは、温度をチェックするために使っている方法が PowerPC ベースの Mac では全く働かないからというものだった。ああ、それなら、問題は単位の変換ではなくて温度を読み取る段階にあるのだ。当然ながら PowerPC ベースの Mac でも温度を読む方法はいくつもあるが、どうやら余分なプログラミング作業を要したらしい。(だから、将来のバージョンには登場するのかもしれない。)

ということで、あなたが Intel ベースの Mac を持っていたとしよう。Mac の内部温度が指定された温度を指定された時間だけ超えていた場合に警告が表示されるように設定することができる。確かにこれは便利なもののように聞こえるが、難点が一つある。それを何度にするか、何分にするかの設定は、あなたが好きな数字を入力できるのだが、いったいどんな数字を入力すべきなのか? 私の知る限り、私の Mac はひょっとしたら華氏 100 度(摂氏 38 度)以上で 2 分間走り続ければ熱過ぎるのか、それとも華氏 200 度(摂氏 93 度)で半時間走り続けても大丈夫なのか、さっぱり見当もつかない。CheckUp のインターフェイスにも、ヘルプシステムにも、オンライン FAQ にも、ユーザーのために何の手がかりも与えられていない。その意味するところは、必要な情報をどこか他の場所で探して見つけてこない限りこの機能は事実上役立たずだということだ。(ちなみに、大多数の Mac モデルは内部に複数個の温度センサーを持っており、それぞれが別々の安全許容範囲を持っていると思われる。開発者によれば CheckUp は CPU 温度のみをモニターしているというが、将来は他のオプションも登場するかもしれない。)

Intel ベース Mac を必要とするもう一つ別の「機能」は、ツールバーに現われるオシロスコープのアニメーションだ。このアニメーションは単なる飾りで、機能的な意味はない。これをオフにすることもできるが、そのためにはアプリケーションを起動し直さなければならない。開発者によれば、これが Intel ベースの Mac でしか働かない理由は OpenGL に依存しているからで、OpenGL は _いくつかの_ PowerPC ベース Mac に付属のグラフィックスカードでサポートされていないからだ。でも、PowerPC 互換なアニメーションをする方法は他にいくらでもある。第一、こんなアニメーションならばすっぱりやめてしまっても、あるいは静止画像で置き換えても、何の問題もなかっただろう。現状の実装方法は馬鹿げているとしか言いようがない。

さらなる問題点 -- 私は他にもいくつか CheckUp で腹立たしい経験をした。例えば、現在動作中のプロセスを名前の順で並べ替えた時、CheckUp は先に大文字で始まるものをすべて並べ、その後に小文字で始まるものたちを並べた。かくして、AppleSpell と autofsd とは 100 個ほどの項目で隔てられていた。ディスクの空き容量が少なくなった時に警告が現われるように設定すると、確かに警告は現われた。それは良いのだが、警告は起動ディスクに対するものだけではなかった。マウントしたディスクイメージの空き容量が私が指定したものより少なかった場合にさえも警告が出るのだ。これでは、完全な役立たずの機能という他はない。(開発者によれば、ディスク空き容量の警告にもっとコントロールを増やすことが最もリクエストの多い機能で、将来のバージョンでは対処がなされるそうだ。)それから、Run Maintenance Scripts ボタンをクリックした時、私は日ごと、週ごと、月ごとのスクリプトのうちどれを走らせるのかを尋ねてくることを期待していた。ところが、CheckUp は何をするかも言わず、何の確認を求めることもせずに、ただ単にすべてのスクリプトを走らせたのだ。これもまた、開発者の将来対処すべきリストに載っているそうだ。

さらに深刻な問題は、このプログラムを単に開くこと、走らせ続けることに関係している。このバージョン 1.0 では、私が CheckUp を起動させる度に、エラーメッセージが出てこのプログラムが CheckUpAgent バックグラウンドプロセスとのコンタクトに失敗したので走ることができないと言ってくる。そこに助言として、もう一度試してみるように、それでも駄目ならば Mac を再起動するようにと書いてある。そこで直ちに CheckUp を起動し直すと、このメッセージはもはや現われないのだが、その次に起動させた時には、またもや同じメッセージが出る。また、CheckUp が走っている状態でコンピュータをスリープさせてからスリープを解除した時にも、いつも同じメッセージが現われる。この場合は OK をクリックすると CheckUp が勝手に終了してしまう。開発者はこのバグを認めて私にベータ版の CheckUp 1.0.1(2008 年 3 月にリリース予定)を送ってくれ、問題は解決した。(バージョン 1.0.1 では他にも多数のパフォーマンス関係や安定性関係の問題点が修正されている。)それでも、これはメンテナンスユーティリティなのだから、いくらバージョン 1.0 であっても、基本的に起動の度にクラッシュするというのはやっぱりいかがなものか。App4mac によれば CheckUp 1.1 ではきちんとした説明書の追加に加え、その他多数の改良が予定されているとのことで、こちらは 2008 年 4 月末ごろにリリース予定だという。

結局のところ -- CheckUp を使い始めた時、私はそのとても美しくて明快なインターフェイスに強い印象を受け、きっとこのプログラムが大好きになると思った。けれども使えば使うほど、そのキラキラした幸せな気持ちは次第に薄れていった。一つには、メンテナンスユーティリティがこれほど多くの分野でメンテナンスを必要としているなんて私は我慢できない! さらには、$49 という価格はどう見ても正当化し難い。CheckUp にできることのすべては、それぞれどれかの無料ユーティリティでもできる(その多くは Mac OS X 内蔵のユーティリティでできる)のだから。確かに、そのためには時々コマンドラインを使ったり、少なくともエレガントさの劣るグラフィカルなプレゼンテーションで我慢したりしなければならないのだが。それでも、_そこまで_ 高い金額を出すほどのものとは思えない。

当然ながら、私は CheckUp を私の電子ブック“Take Control of Maintaining Your Mac”でメンテナンスのツールとして推薦すべきかどうかも考えた。確かに CheckUp は私が薦めるモニタリングの作業のいくつかを実行してはくれるのだが、これはあなたのコンピュータから悪いものを一掃する助けにはならないし、また重要なファイルをバックアップしたり、ソフトウェアを最新バージョンに保ったり、キャッシュをクリアしたり、その他賢明なるメンテナンス戦術を構成すべきいくつもの点で欠けているところがある。だから、確かに CheckUp はいくつかの点で便利ではあるが、これを完結したメンテナンスユーティリティと見るべきではない。

CheckUp が将来性を持っていることは疑いない。けれどもこのバージョン 1.0 はそのルックス以外のほとんどすべての点で弱いところがある。きっといくつかのバージョン改訂を経た後では、深刻なバグも解消され新機能もたくさん追加されてその値札に見合うだけのものになるだろう。でも今のところは、まず Activity Monitor の使い方を学んで、必要な Unix 風の作業のためのフロントエンドとして OnyX などの無料のユーティリティをダウンロードし、メンテナンスを扱った良い本を読むというやり方の方が、より良い結果を、それもずっと安い値段で、実現できるだろう。

CheckUp 1.0 のダウンロードサイズは 12.6 MB だ。いくつかの機能が無効となった試用版としては期限なしに使える。ライセンスを購入すればプログラムのすべての機能が利用できる。


TidBITS Talk/03-Mar-08 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Take Control 電子ブック -- 新しい Mac に効率的にデータを移行させるため、この二冊の Take Control 電子ブックが役立つだろうか、とある読者が質問する。(メッセージ数 3)

管理者アクセスでの問題点 -- アプリケーションが通常ではあり得ない状況で管理者アクセスを求めてきた場合、ユーザアカウントの状態をチェックするとよい。(メッセージ数 4)

iPod shuffle はもっと小さくなれるか? -- テクノロジーはすべてを小さくする方向に向かっているが、iPod shuffle が実際これ以上小さくなるのは現実的だろうか? ある読者は、少なくとも近い将来のうちは現状の iPod で最小だろうと主張する。(メッセージ数 3)

他の Mac でも最初のキーの問題が -- 新しい MacBook および MacBook Pro 機種に対する最近のキーボードファームウェアアップデートは、他の Mac にも関係する問題を修正している。(メッセージ数 3)

日付フォーマットの設定が残らない -- ある読者の Mac では、日付と時刻の表示フォーマットを別のものに変えることができない。さまざまの方法を試してみたが駄目だった。(メッセージ数 7)

SuperDuper で Time Machine を使う -- SuperDuper が Leopard 互換になったのを受けて、これを Time Machine と共に使うことができるかどうかを読者たちが議論する。(メッセージ数 10)

TurboTax 2007 が MacOSX 10.3.9 で走らない -- これにはショックを受けた。本当に。でも幸いにも、TurboTax に代わる他のものがある。(メッセージ数 3)

Office 2008 AutoUpdate (MAU) の重要なアップデート -- Microsoft がそのアップデートユーティリティをアップデートした。けれどもある読者のところではアップデータがアップデートを見つけられず、Office 2008 アプリケーションの一つの中でアップデートをチェックしなければならない。(メッセージ数 2)

Now Up-to-Date & Contact を iPod touch と同期 -- このデータの同期は簡単か、そもそも可能なのか? それとも、そろそろ Apple の製品、iCal と Address Book の組み合わせに移行すべき潮時なのか? (メッセージ数 1)

第二の内蔵ドライブでのアクセス権 -- ある読者はこれまで雑多なファイルを保存するために第二ドライブを使っていて、アクセス権で何の問題も起こったことはなかったが、このディスクに Leopard をインストールするとそれが問題になるのだろうか? (メッセージ数 2)

なぜ Apple は iPhone で iCal をフルに有効にしないのか? -- iPhone は Mac OS X を走らせているのだから、iCal の複数個のカレンダーがこの機器に持ってくるとすべて一つに詰め込まれてしまうのは、いったいなぜなのか? (メッセージ数 1)

"Mid 2007" MacBook での最大 RAM 量は? -- このマシンは仕様書に書いてあるよりも多くのメモリをサポートすることができるか? (メッセージ数 7)


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