2016 年型か 2017 年型の MacBook Pro で充電の際に問題が起こっていませんか? Apple が、バッテリー充電が 1% から先に進まない Mac のバッテリーを無料で交換する修理プログラムを開始した。macOS 11.2.1 Big Sur と macOS Catalina 10.15.7 追加アップデートは、充電で問題を起こすバグに対処し、sudo コマンドの脆弱性をパッチする。Big Sur へのアップグレードを考えている人は、十分な空き容量があることを必ず確認してからにしよう。そうしないと抜け出すことの難しい起動ループに陥ってしまう可能性がある。今週はいくつか楽しい機器をお見せしよう。Adam Engst は Insta360 ONE X2 ステディカムの第一印象を述べ、彼自身が雪の上を走る映像もお届けする。Jeff Porten は CES からさらにいくつか素敵なものを紹介する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは、macOS Catalina 10.15.7 追加アップデートとセキュリティアップデート 2021-002 (Mojave)、ChronoSync 4.9.13 と ChronoAgent 1.9.9、Adobe Acrobat DC と Reader DC 21.001.20135、それに Default Folder X
macOS 11.2 Big Sur を使い続けるにつれ、我々は多くの人が以前バージョンの macOS から Big Sur にアップグレードしても安全だと言える所に近づいている。だからといって、問題に直面する人がいないだろうと言うことではない - バグ無しのアプリやオペレーティングシステムなど存在しない - しかし、殆どの再現性のある問題は出尽くしているはずである。
残念ながら、その様な問題がもう一つ出現した。それは Big Sur インストーラーに関する問題に対する Mr. Macintosh の詳細な研究のお陰である。以前のバージョンの macOS からアップグレードする時、Big Sur インストーラーが正常に働くためには十分な空き容量が必要だと言うことが分かったのである。十分な空き容量が無いままインストールを始めると、抜け出すのが困難な Boot Recovery Assistant ループに入り込んでしまう危険がある。
この問題は、以前のバージョンの macOS から Big Sur にアップグレードすることだけに関与するもので、いずれかのバージョンの macOS 11 が既に走っている Mac に対するアップデートには関係しない。そして、それは Intel-based Mac のみに関係する;M1-based Mac は Big Sur がインストールされて出荷されているので、以前のバージョンの macOS からアップグレードされなければならない状況には決して立ち入らない。
Apple は Big Sur がどれ位の容量を必要とするかを明らかにしていて、その Big Sur 技術仕様で規定している:
macOS Sierra 以降から macOS Big Sur へのアップグレードには、35.5GB のハードドライブ空き容量が必要です。これよりも前のリリースから macOS Big Sur へのアップグレードには、最大 44.5GB のハードドライブ空き容量が必要です。
手動では Apple > About This Mac > Storage で確認出来るが、問題は Big Sur のインストーラー自身がアップグレードを完了するために十分な容量があるかどうかをチェックしないことである。そんなことなら、修正は簡単だろうと思われるかも知れないが、Apple は未だ対応していないようだ。もしこの対応遅延に影響を受けているのであれば、Apple にフィードバックを提出しよう。
もしあなた或いはあなたの知人が Big Sur にアップグレードしようとして Boot Recovery Assistant ループに入り込んでしまったとしても、各種の回避策はあるが、 その Mac は T2 チップを持っているか、そして FileVault を有効にしているかによって解は異なる。勿論、もしバックアップがあれば全ての事はより容易になるし、それに Mac をアップグレードする前には常にバックアップすべきである。バックアップがあれば、macOS Recovery にブートし、そのドライブを消去、macOS を再インストール、そしてバックアップから復元出来る。
我々は、全ての TidBITS 読者は定常的にアップデートされたバックアップを維持する方法は十分に理解しており、少なくとも一つの現在のバックアップ無しでオペレーティングシステムのアップグレードを始めることなど考えないであろうと思っているが、十分な容量無しで、或いはバックアップ無しで Big Sur アップグレードを始めてしまった人をあなたが手助けしているとしよう。ここでの目標は、余分のファイルを削除することである (私なら、簡単に再インストール出来る数少ない大きなアプリを狙う):
FileVault が無効にされている場合: もし FileVault が有効にされていなければ、Mr. Macintosh は3つの選択肢を挙げている:
T2 チップを持たない Mac に対しては、外部ドライブや USB フラッシュドライブからブート出来るはずであり、Mac が走り出せば Finder の中でファイルを削除出来る。ゴミ箱を空にすることを忘れないように。
もし2台目の Mac があり必要なケーブルが揃っていれば、その2台の Mac をつなぎ、問題の Mac を Target Disk Mode にブートし、ホストとなる Mac 上の Finder を使ってその Mac の内部ドライブからファイルを削除する。繰り返しになるが、ゴミ箱を空にすること。
FileVault が有効になっている場合: FileVault が有効になっていると、Mr. Macintosh は Target Disk Mode を使う方法が唯一働くやり方だと言っている。注意が必要なのは、ホストの Mac は 10.13 High Sierra か 10.14 Mojave が走っていなければならないことである。私は、ここでの彼の説明を十分には理解出来ないが、macOS Recovery に入る前に Catalina と Big Sur がアカウントパスワードをどの様に求めるかに関わっている様に見える。他方、より古い macOS バージョンは、Target Disk Mode にある問題の Mac が接続された時に要求する。
この問題は普通だとは言えないが、私は数人の Apple コンサルタントから彼らの顧客の中にはその様な状況に陥った人がいるとの報告を受けている。
最後に、この話の教訓は Big Sur にアップグレードする前に、十分な空き容量があるかを確認することと良いバックアップを保持することである。Joe Kissell も Take Control of Big Surで同じことを勧めている。何れにしろ、この問題を追い詰めるために必要とされた詳細な試験と問題追跡に対して Mr. Macintosh に賞賛を送りたい。
と言うわけで、Insta360 ONE X2 ステディカムの評価機を試験する機会が与えられた時、私には何が欠けていたのかを見いだす機会に飛びついた。このカメラは今や Apple Store バンドルの一つとして $479.95 で売り出されている。二日ほどたった後でも、私はこの ONE X2 を評価する所までは全然達していないが、私の第一印象はハードウェアは並外れて有能だということだが、その編集ソフトウェアを学ぶにはもっと時間が必要らしい。
ONE X2 はチョコレートバーの大きさで、高さはほぼ初代 iPhone と同じだが、幅は三分の二で、厚さは少し厚い。そしてカメラレンズが正面と背面の両側に張り出しており、小さな円形のタッチ画面が正面に付いている。右端にある電源ボタンは見つけ出すのに少々時間が掛かった;私は、正面にあるもっと目につきやすいシャッターボタンに囚われてしまっていた。このボタンは ONE X2 をオンにし (必要な場合)、そして同時に何らかのモードで録画を始め、左端から電池を抜くまで止めることは出来なかった。私は眼鏡を外しとても小さい Quickstart Guide (それは英語で7ページの 3-inch 角のものである) に書いてあるちっぽけなテキストを読んでみてはじめて、自分の間違いに気付いた。
電池と USB-C 充電ポートの蓋は、ONE X2 を深さ 33 フィート (10 m) まで防水に保つゴムシールのために、取り外したり戻したりするのが少々面倒である。(更に $79.99 費やして Dive Case を買えば、45 メートルの水深にまで耐えられる。) ONE X2 は MicroSD カードに録画し、カードは電池室の内側に収まる;入れるのは簡単だが、取り出す方が難しい。底部にあるネジ部を使って、三脚か、もっとありそうなのは、 Invisible Selfie Stick アクセサリに取り付けられる (また、自撮り棒/三脚のコンボ、そして超長バージョンもある)。
Eureka Park は CES の中で新興企業のためのセクションだが、これは以前から私のお気に入りの分科会の一つだ。ガレージにいる二人の青年が半分出来かけの試作品と大きな夢とに包まれている、そんな意気だけは高いテクノロジー会社が大好きな人には、Eureka Park に勝るところはない。突拍子もないアイデアや、とてつもなく奇妙なものを見ることができ、プレゼンテーションの品質を見るだけでその会社が既にベンチャー投資を得ているか、それとも帰りの航空券を買うためにブラックジャックで運試ししなければならないかがすぐに見て取れる。
いやつまり、たいていの年はそうだったということだ。今年の CES は完全に仮想の開催だったので、いつものフィルターが裏返しになった。物理的なブースは費用がかかり、会社が一年以内にものになりそうかどうかということが感覚で分かる。けれどもオンラインのブースはそれほど費用がかからず、CES ウェブサイトのフォーマットのお陰ですべての会社が同じように見える。それでも会社がどの程度うまく広報活動をしているかを見分けられるヒントはあるのだが、第一印象でパッと判断するためにかかる時間が従来の数秒間から数分間に変わってしまった。つまり、ブースを一目見て分かる代わりに、PDF をダブルクリックして読める三行の説明が魅力あるものかどうかを判断するのだ。従来 20,000 以上あった出展者数が今年は 2,000 以下になったけれども、そのうち 600 以上が Eureka Park のブースを検索して見つかった。ショウのフロアに比べて、セクション全体の感じを掴むにはあまりにも数が多すぎる。
来年はライブの CES をと願う気持ちにさせられた。ただ、もしもオンラインの展示と並行して実施することになるのならば、ぜひとも CTA にもっと良いプレゼンテーション方法を思い付いてもらいたいものだと心から願いたい。
Econ Technologies が ChronoSync 4.9.13 と ChronoAgent 1.9.9 をリリースして、macOS 11 Big Sur でのいくつかの問題に対処した。ChronoSync は Bootable Backup Assistant に警告を追加して macOS 11 Big Sur ボリュームがソースのリストに載っていない理由を説明するとともに、macOS Big Sur のブート可能バックアップを作成する方法を説明した技術注記へユーザーを導く。ChronoSync はまた、AWS S3 エンドポイント領域のリストを更新し、macOS アップデートの後にターゲットとなった APFS ボリュームグループを見つけにくくしていた Big Sur の挙動を回避し、スケジュール化した同期タスクを走らせた際に例外エラーを起こしていた Big Sur の問題を解消し、Big Sur での変更によって引き起こされた Resolve Alias 機能のバグを修正した。一方 ChronoAgent は一部の M1 ベースのシステムでエージェントが起動しないバグを修正した。(ChronoSync は新規購入 $49.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、67.3 MB、リリースノート、macOS 10.11+。ChronoAgent は新規購入 $14.99、26.7 MB、 リリースノート、macOS 10.10+)
Bloomberg Businessweek の記事で Austin Carr と Mark Gurman が Tim Cook の人物像を描き出し、Cook がいかにして Steve Jobs からバトンを受け継いで Apple をかつては想像もできなかった高みへと引き上げたかを説明した。要約すれば、彼は製造を中国へ移し、あらゆるコストを可能な限り (セントよりも下の桁に至るまで) 削減して、製造のあらゆる側面を (Apple 従業員たちが工場の床を監視し非効率性を見つけ出すことまでして) 管理した。そうして彼は Apple の製品ラインを拡大しつつ、巧みな技で政治力も駆使した。
だからと言って Cook の成功を否定しようという訳ではない。Steve Ballmer が率いる Microsoft はかつてない金を稼ぎ出しつつも主力製品の維持に苦闘したが、Cook が率いる Apple は多彩な新製品と新サービスを成長させてきた。一時的に停滞した製品も (例えば Mac mini や Mac Pro など) あったかもしれないが、主要な製品で立ち消えになったものはなかった。その上 Apple は、Cook の指導力の下に、COVID-19 パンデミックの影響の下で苦しむ世界的サプライチェーンとしてさえ、ほとんど奇跡的と言えるほどに新製品を量産した。
けれどもこの Bloomberg 記事にはもっと深い、もっと懸念すべき状況も潜んでいる。それは、中国以外で、とりわけ米国内で、大規模に製品を組み立てることができないという点だ。記事を読んで最もがっかりすることの一つは、テキサス州にある Apple の Mac Pro 工場でトラブルが起こり、ここは Flex という委託製造業者が運営する工場なのだが、コンポーネントの入手に困難を抱え、経験不足の作業員の問題にも苦しんでいるという話だ。この記事は事実上、これほどの高性能エレクトロニクスを今日の米国で製造するのは無理だと認めている。対照的に、Foxconn は中国にあった更地をたった数か月で iPod nano の工場に変えてみせた。Apple は近年、製造をインドやベトナムへ移す取り組みを始めているが、それらの国でも規模や品質の問題で苦闘している。