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#1499: Apple の記録的な Q1 2020 利益、スピアフィッシングからの保護に Google Voice を使う、iOS 13.3.1、iPadOS 13.3.1、macOS 10.15.3、watchOS 6.1.2 と tvOS 13.3.1

Apple が Q1 2020 期の業績報告で記録的な決算結果を発表し、920 億ドル近い売上高と 220 億ドルを超える純利益を報告した。回復を呼んだ iPhone 11 と、人気を集めたウェアラブルのお陰だ。また、Apple は先週そのすべてのオペレーティングシステムをアップデートして iOS 13.3.1、iPadOS 13.3.1、macOS 10.15.3 Catalina、watchOS 6.1.2、tvOS 13.3.1 をリリースした。それぞれの詳細とアップデートに際してのお勧めをお読み頂きたい。あともう一つ大事な記事がある。Apple コンサルタントの Ivan Drucker が寄稿記事で、二要素認証アプリにおける問題点のいくつかに対処する目的で Google Voice を二要素認証実行の中心的道具として使うやり方を説明する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは、セキュリティアップデート 2020-001 (Mojave と High Sierra)、Safari 13.0.5、DEVONthink 3.0.4、URL Manager Pro 5.0、それに Fantastical 3.0 だ。

Michael E. CohenJosh Centers  訳: 亀岡孝仁  

Appleの Q1 2020 業績、iPhone は回復 Wearables は天井知らず

2020 会計年度第1四半期の業績報告で、Apple は純利益 $22.2 billion (希薄化後一株当たり $4.99)、売上げ $91.8 billion を発表した。同社の粗利益は前年同期に比べ 9% 上昇、そして純収益は 11% 上昇した ("Apple の Q1 2019 業績:iPhone は悪く、残りは良い" 29 January 2019 参照)。

Apple の全体としての業績はとても良かったが - 事実、記録更新 - 個別の製品分野を見てみると微妙に異なる姿が見えてくる。前年同期比で、収入が上がったのは iPhone, Wearables, そして Services で、iPad と Mac は両方とも下がった。

Q1 2020 revenue by product category

Q1 category revenues over time

売上げを地域別に見ると、Americas と Europe は2桁の伸びだが、Asia Pacific は 6.5%、Greater China は 3.1% と小幅な伸びに留まり、そして Japan は 9.9% の減となった。しかしながら、China の売上げ上昇は、率は低いが、先行きに対する楽観理由の一つとなっている。と言うのも、この地域市場での最近の四半期での売上げ減の傾向を反転させるものだからである。Apple は Europe で $23.3 billion を稼ぎ、Americas での販売は $41.4 billion に達した。

Q1 2020 revenues by region

Apple は現四半期で類いまれなウィルスの脅威に直面している。コンピュータウィルスではない、コロナウィルスで、これはこの四半期投資家電話会見でも話題の一つであった。CEO Tim Cook は、この感染の発生地である Wuhan 地区に Apple は数社のサプライヤーを持ち、それらの施設は中国政府の要請により少なくとも 10 February 2020 迄は閉鎖されるであろうことを認めた。Apple はまた、従業員の中国への不要不急の旅行を現時点では取りやめており、そして同社は店の清掃の様な手の届く予防措置は講じているが、それは究極的には Apple の制御出来ない要素の一つである。

iPhone

Q1 2019 に下落した後、iPhone 販売は Q1 2020 に 7.6% 上昇し、前年同期の $51.9 billion から $55.9 billion へと回復した。Cook は、この四半期で iPhone 11 が毎週 Apple の最も売れた機種であったと言った。Cook は、iPhone 11 の成功の一因を Apple Card 所有者に対する新しい支払いプランのお陰だとし、このクレジットカードが、利子と手数料以外にも Apple にもたらす価値があることを誇示した。

Q1 iPhone revenue over time

iPad

iPad にとっては失望の四半期で、売上げは Q1 2019 の $6.73 billion から Q1 2010 の $5.98 billion へと下落した。これは 11.2% という二桁の下落である。Cook は、しかしながら、Mexico や India の様な新興市場での iPad 販売増加に注意を喚起した。CFO Luca Maestri は、この下落は昨年度の第1四半期には iPad Pro があったが今年はその様なものは何もなかったことで大方説明出来ると言った。これは理に叶っている。と言うのも、Q1 2019 を除けば Q1 2020 は経年的に見ると 2017 及び 2018.Q1 の iPad 売上げと同等だからである。

Q1 iPad revenue over time

Mac

Mac 販売もまた少々失望もので、前年比で 3.5% の減少となった。Apple は Q1 2020 に $7.16 billion の Mac を売ったが、Q1 2019 では $7.46 billion であった。この四半期に Mac には新しいモデルも出たが、16-inch MacBook Pro と長いこと待たされたMac Pro だが、昨年リリースされた最新の MacBook Air や更新された Mac mini の様な効果をもたらすには、出るのが遅すぎた (或いは、高級機過ぎた)。

Q1 Mac revenue over time

Services

最近の傾向と同じく、Services は前年比で 16.9% という極めて大きい成長を記録し、昨年同期の $10.9 billion から Q1 2020 の $12.7 billion へと増加した。"Apple TV+ は素晴らしいスタートを切った" と Cook は言ったが、我々は多くの Apple TV+ 加入者は Apple ハードウェアの購入の特典として無償で受け取ったのものであろうと想像せざるを得ない。Services は2桁の成長を全ての地域市場で達成し、そして Maestri は Apple が今やその有料サービスに 480 百万の購読者を持っていると言った。Apple はその数がこの暦年中に 600 百万に達すると予測している。

Q1 Services revenue over time

Wearables

Wearables 部門は Q1 2020 大成功を収め (Cook はそれを "圧勝の四半期" と呼んだ)、売上げは昨年に比べ嬉し涙が溢れる様な 37% の増加で、Q1 2019 の $7.31 billion からこの四半期の $10 billion へと上昇した。Cook は本当の数字は警戒して出さなかったが、Apple Watch はこの四半期で史上最高の売上げを記録し、そして Wearables 部門単体でも、主として AirPods の成功の陰で、今や Fortune 150 会社の規模に達したと語った。AirPods の売り上げは、非常に強い需要に供給が追いつけない状態が解消出来ていればもっと増えていたであろう。

Q1 Wearables revenue over time

まとめ

Apple の売上げを追跡し予測するのは、年々より複雑になってきている:例えば、Apple TV+ 購読が全 Services 売上げにどれ程貢献しているかを推測するのは、Apple が新しいハードウェアの購入者に提供する無料の購読によって、そして Apple TV+ コンテンツを制作する色々な経費によって複雑化している - ショービジネスは 誰もが 知るビジネスではないのだ!

加えて、Apple の世界的なサプライチェーンと販売は常に予期せぬ外的要因に左右される。例えば、現在のコロナウィルスのまん延や政治情勢である。いずれにしろ、Apple は勢いに乗っている様に見える。新しい製品やサービスは利益を生んでいるし、準備中のものも沢山ある。Apple の短期的な未来が楽観的であることを見るのに AR 強化した眼鏡は必要ない。

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Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

Apple、iOS 13.3.1、iPadOS 13.3.1、macOS 10.15.3、watchOS 6.1.2、tvOS 13.3.1 をリリース

技術者たちが年末休暇から戻った所で、Apple はその主要なオペレーティングシステム全てに対するアップデートをリリースしたが、統一したテーマは特に見当たらない。iOS 13 には新しいプライバシー設定が登場、iOS 及び iPadOS は、簡単に裏をかけるペアレンタルコントロールを修正、そして macOS は最近の Apple ハードウェアに対する性能を微調整した。今回もそうだが、watchOS 及び tvOS は詳細なリリースノートを書くに値しない

iOS 13.3.1 及び iPadOS 13.3.1

iOS 13.3.1 及び iPadOS 13.3.1 は、雑多な修正と一つのプライバシー関連の改良を受けている。概して、我々はアップデートするのに、アップデートされたコードに予期しない問題が潜んでいないことを確認するために1週間程度待てば十分だと見ている。

iPhone 11 に搭載された超広帯域技術についてのプライバシー懸念が浮かび上がった後、Apple それを全てオフにする機能を iOS 13.3.1 に付け加えた。ただ Settings > Privacy > Location Services > System Services に行き、Networking & Wireless をオフにするだけである。

The new Networking & Wireless setting

iOS 13.3 と iPadOS 13.3 で、長いこと待たされた両親がどの子供が電話、FaceTime, そして iMessage を通じて連絡をとれるかを制御出来るようにする機能を導入した殆どすぐ後に ("Apple、iOS 13.3、iPadOS 13.3、HomePod 用 iOS 13.3、macOS 10.15.2 Catalina、watchOS 6.1.1、tvOS 13.3 をリリース" 10 December 2019 参照)、子供達はそれを回避する方法を見つけた。iOS 13.3.1 はそれを修正したと言っている。

その他の変更には次のものが含まれる:

我々の Watchlist 寄稿者である Agen Schmitz は、彼の iPad Air 2 上の iPadOS 13 は動作が遅く、そしてしばしば引っかかることがあったが、iPadOS 13.3.1 アップデートでその軽快さは戻ったと報告している。

iOS 13.3.1 アップデートには 21 のセキュリティ修正が含まれている。

iOS 13.3.1 アップデート - iPhone 11 Pro 上では 278.8 MB - 及び iPadOS 13.3.1 アップデート - 10.5-inch iPad Pro 上では 180.6 MB - は、Settings > General > Software Update から、macOS 10.15 Catalina の Finder で、或いはより以前のバージョンの macOS では iTunes を使ってインストール出来る。

iOS 13 にアップグレード出来ないより古い機器に対して、Apple は iOS 12.4.5 を "重要なセキュリティアップデート" が含まれているとしてリリースしているが、Common Vulnerabilities and Exposures (CVE) 情報は何も提供していない

iOS 13.3.1 for HomePod

この 117.3 MB の iOS 13.3.1 update for HomePod は、一般的な修正の他に Siri 音声にインド英語を追加している。

HomePod Siri 音声は、Home アプリを開くか、HomePod タイルをタッチ&ホールドし、右下隅にあるギアアイコンをタップ、そして Siri Voice を選択するかして変更出来る。

HomePod を手動でアップデートするには (それ自体でもそのうちアップデートするはず)、Home アプリを開き, HomePod タイルをタッチ&ホールドし、ギアアイコンをタップして HomePod 設定を呼び出し、それから Install をタップする。

macOS 10.15.3 Catalina

この 2.96 GB macOS 10.15.3 Catalina アップデートは、27 のセキュリティ修正と、最近リリースされたばかりの Apple ハードウェアだけを対象とする一対の改善を提供している:

Apple は、我々が聞き及んでいる Mail データ消失バグについては一言も触れていないが ("Catalina でのメールデータ消失に注意 11 October 2019 参照)、我々の仲間の Michael Cohen はこのアップデートをインストールした後、macOS は彼に彼の Mail データベースをアップデートしていると言ってきたと報じている。もし 10.15.3 で何らかのデータ消失問題を経験したら、知らせて欲しい。

この問題を追跡してきた Michael Tsai は次の様に言っている:

これについて Apple のリリースノートには何もないが、私が聞いたことからすると、macOS 10.15.3 は、"On My Mac" に保存された大量のメッセージが Catalina にアップデートする時か、或いは Mail のデータベースを再構築する時に消去される場合があるバグを修正している。しかし、メールボックス間でメッセージを移動する時に (ドラッグ&ドロップ、ルール、或いは AppleScript 経由で)、それらを消去したり、複製したり、或いは単に移動させないというバグは修正していない。

macOS 10.15.3 アップデートは System Preferences > Software Update からアップデート出来る。もしビデオを 16-inch MacBook Pro 上で編集していたり、Pro Display XDR を使っているのであれば、これを余り時間をおかないでインストールすべきであろう。さもなければ、もう既に Catalina を走らせているとして、数日待って新しい問題が聞こえてこないことを確かめてからでも遅くはない。未だ Mojave からアップグレードしていない人達にとっては、そしてとりわけ Mail の中でしょっちゅうメッセージを移動させる人にとっては、今行動を起こさなくとも何ら害はない。

watchOS 6.1.2

watchOS 6.1.2 アップデートは "重要なセキュリティアップデートを提供しており、全てのユーザーに推奨される。" このアップデートは Apple Watch Series 4 に対しては 98.8 MB の大きさで、iPhone の Watch アプリからインストール出来る:Watch > General > Software Update に行く。

このアップデートを避けるべき理由は何もないが、だからと言って、頑張って直ぐにインストールする価値があるわけでもない。Apple Watch が充電されている夜間を利用してインストールすれば良い。

tvOS 13.3.1

何時ものことだが、tvOS 13.3 アップデートノートは閑散としており、ただ "一般的な性能と安定性の改善" を約束しているだけである。このアップデートには 13 のセキュリティアップデートが、多くは他のオペレーティングシステムと共通しているものだが、含まれる。もし自動アップデートがオンになっていないのであれば、Settings > System > Software Updates に行くことで Apple TV HD 又は Apple TV 4K をアップデート出来る。我々は放っておいて自動的にアップデートされるのを待つ積もりだ。もし何らかの変更に気づいたら、知らせて欲しい。

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Ivan Drucker  訳: Mark Nagata   

あなた自身をスピアフィッシングから保護するための代替手段

もしもあなたが、あるいはあなたが知っているだれかが、公的な立場の人だったり、資産家であったり、その他オンラインの盗人の標的になりやすい人の場合は、一般的に言われているセキュリティの最良実践方法では不十分かもしれない。近年ますます、オンラインの盗人たちは「スピアフィッシング」と呼ばれるテクニックを使って直接に特定の個人を標的にすることが多くなってきている。これは、携帯電話番号を盗むのが驚くほど簡単だという事実に依存して、その電話番号を利用してパスワードをリセットするやり方だ。(2018 年 10 月 4 日の記事“SMS 送信ログインコード、iOS 12 と Mojave で自動入力。でも安全ではない”参照。) この問題に対しては一般的に認証アプリを使うことが解決になると考えられているが、そこにはいくつもの理由で問題がある。テクノロジーに詳しくない人には使い方が難し過ぎるという問題点も大きい。

パートナーの Caroline Green と私は共同で、Manhattan で Mac コンサルティング会社を経営している。今年になって私たちは 2 件のスピアフィッシングを扱ったし、他にも何件かのスピアフィッシングを耳にしている。私たちが扱った件ではいくつかの重要なアカウント、例えば電子メール、ドメインホスティング、ソーシャルメディアのサイトなどのアカウントが盗まれた。私たちは結局その大多数を正常な状態に戻すことに成功したが、他の状況でも同じように成功できる保証は何もない。その上、それらのアカウントはすべて何日もアクセスできない状態が続いたので、アカウントが不正使用されることを通じてその人の評判がダメージを受けるという事態も簡単に起こり得る。

悪意ある者たちが使うツールおよびテクニックとして、スピアフィッシングが今後ますます精緻なものとなり蔓延してしまうのではないかと私たちは心配している。コンサルタントやテクノロジー専門家としての私たちに課せられた難問は、クライアントたちに、とりわけ有名人や資産家のクライアントたちに、彼ら自身にとって使いやすい形で総合的なオンラインのセキュリティを提供できるようになることだ。

私たちが思い付いたテクニックは、認証アプリの代わりとして Google Voice のテキストメッセージを使うやり方だ。セットアップに多少手間が掛かるけれども、使いやすく理解しやすい上に、人によっては自分のアカウントに信頼できる助手やコンサルタントがアクセスするのを許すことに意味があると納得してもらえる。このテクニックをここでお披露目したいと思う理由は二つある。まず第一に、似たような解決法を探している人たちのお役に立てるのではないかと願っているからだ。そして第二に、外部の人たちに調べてもらうことで、何らかの弱点や脆弱な点が見つかるかもしれないと思うからだ。

あなたにとってどの部分が危ういのか?

まず始めに、オンラインアカウントをセキュアに保つための基礎事項をいくつか思い出しておこう。

あなたの携帯電話番号こそ弱い個所

たとえあなたが今述べてきた項目すべてをちゃんとしていたとしても、それだけではまだ安全でないかもしれない。私が目にした 2 件のアカウント盗難のうち 1 件では非常に巧妙な攻撃が使われ、その犠牲者が強力なパスワードとパスワードマネージャを使っていたにもかかわらず、盗人たちは彼の SIM カードから携帯電話番号を移植することに成功した。その電話番号を持つ電話機をいったん手にすることができさえすれば、彼のアカウントに入ってパスワードのリセットを要求するだけで、簡単に彼のアカウントにアクセスできるようになった。なぜなら、リセットのための確認コードはその電話機にテキストメッセージで送られたからだ。

いったいなぜそんなことが起こったのかと皆さんは思案しておられることだろう。その盗人は巧みなソーシャル・エンジニアリングを使って犠牲者のセルラープロバイダの従業員を騙し、電話番号を移植するよう説得したのだった。そんなことはまず起こり得ないだろうとお思いの方のために言い添えると、ぜひこういう視点で考えてみて頂きたい。世界中のどこにいる誰であっても、あなたのキャリアのカスタマー・サービスに電話をかけることができる。そして、その電話を受けた従業員の誰であっても、あなたの電話番号を別の SIM カードに入れることは可能なのだ! そう、ここではたくさんのことが危険に晒されている。大多数のキャリアは転送ロック、パスコード、あるいは PIN などを提供して、電話番号を移植する際にそれが必要となるようにしている。

私は自分のキャリアに電話をかけて PIN を有効にし、それを私のパスワードマネージャに覚えさせておいた。皆さんにも、同じことをするよう強くお勧めしたいと思う。AT&TSprintT-MobileVerizon 各社の情報リンクをどうぞ。しかしながら、キャリアによる転送ロックだけに依存してはいけない。それがどの程度うまく実装されているのか私は何も知らないし、裏の裏まで知り尽くした盗人の巧みな言葉によって防護策が回避されてしまうことも十分あり得る。

認証アプリの問題点

セキュリティの専門家たちはたいてい、二要素認証のためにテキストメッセージを使わずに認証アプリを使うことを勧める。例えば Authy (2014 年 11 月 6 日の記事“Authy、あなたの 2 要素認証トークンを保護する”参照)、Google AuthenticatorDuo Mobile といった認証アプリが一般的だ。この種のアプリはそれぞれ独自に、30 秒ごとに変更されるコードを提供する。パスワードマネージャの中にはそれ自身が認証アプリとして動作できるものもある。例えば 1Password もできる。確かに、認証アプリが 2FA コードを受け取るための非常にセキュアな方法であることは私たちも同意する。

Authy screenshot

ただ、独立動作の認証アプリに関して私たちが気付いた問題点は、これらのアプリがあまりうまくデザインされていないという点だ。私たちのクライアントたちは認証アプリで新規にアカウントをセットアップしようとして苦労したし、いったんセットアップが済んだ後でさえ、使い方に苦労した人もいた。もちろん読者の皆さんや私たち自身にとってみれば十分に使えるだろう。でも、私の念頭にあるのは TidBITS を読んでいない人たちのことだ。たとえ以前からパスワードマネージャを使っていた人でさえ、そのパスワードマネージャに認証アプリ機能が含まれていたとしても、それを使うためには QR コードをスキャンしたり「時間ベースのワンタイムパスワード」なる概念を理解したりしなければ 2FA のセットアップができない。

さらにまた、皆さんや私のような人たちにとっても、独立動作の認証アプリにはいくつかの難点がある:

1Password (および他のパスワードマネージャ) は上記の懸念の多くにエレガントに対処するための工夫をしている。例えば自動入力の最中にセキュリティコードをクリップボードに収めたり、それをしたと説明する通知を出したりする。けれども 2FA 対応をパスワードマネージャの中に組み込むことにはそれ自体問題がない訳でもない:

そこで、私たちはもっと別の解決法を探すことにした。

認証アプリと携帯電話番号の代わりに Google Voice を使う

Google Voice は、通話とテキストメッセージの双方を使える電話番号を提供してくれる、無料のサービスだ。iOS アプリ Google Voice を使って、またはウェブブラウザを使ってアクセスし、いずれの場合も通知が提供される。

Google Voice

この Google Voice サービスが魅力的なのは、本物の携帯電話番号と認証アプリに関して上で議論した問題点の多くを、解決してくれるからだ:

私たちのやり方は、まず新規に Gmail アカウントを作成する。これは Google Voice の電話番号をホストするためだけの目的で作るものなので、電子メールアドレス、ファーストネーム、ラストネーム、生年月日の各フィールドに入力する情報は本物の身元証明情報とは違うものを入れておく。それが済めば、ユーザーの iPhone に (必要ならば iPad にも) Google Voice アプリを入れて、サインインする。アカウントに登録された電子メールアドレスはそれ自身身元識別の役に立たず、Google Voice 電話番号をホストする以外の目的には一切使われないので、盗人がそこに辿り着く可能性はない。その上、たとえ辿り着いたとしても、それが誰のものか知られることはあり得ない。(もしもあなたがこれからこの Google Voice のやり方を試してみるのならば、必ずその前にアカウントからあなたの本物の携帯電話番号を削除しておくべきだ。Google Voice のセットアップの際に、登録済みの電話番号がデフォルトで追加されるからだ。もしもそれを削除せず放置すれば、あなたの電話番号を盗もうとする攻撃者があなたの Google Voice テキストメッセージからコードを入手できてしまう。また、デフォルトでテキストメッセージをあなたの電子メールアドレスに自動転送する設定も必ず無効にしておくべきだ。)

強力なパスワードを使えば、この Google Voice アカウントはセキュアだ。では、もしもその認証情報が失われたらどうなるか? これはやり過ぎの対策かもしれないが、万一その Google Voice アカウントのアカウント復旧が必要になった場合には、私たちはそのユーザーの iCloud アドレスに付随した身元を特定できない電子メールエイリアスを使う。そのエイリアスの背後にある実際の、身元を特定できない iCloud アカウントは、直接チェックされるようにするか、またはそのクライアントの実際の電子メールに転送されるかするようにしておく。こうしておけば、もしも盗人がその Google Voice アカウントの復旧用アドレスを発見したとしても、盗人がそれに関係した何かにログインできるようになる心配がない。また、私たちはアカウントの作成日と偽の生年月日を記録している。これは、アカウント復旧の際に Google にその情報を尋ねられるかもしれないからだ。

こうやって Google Voice の電話番号を使うことで、私たちのクライアントたちは皆、ただ単に代替用の電話番号を入力するというだけの手間が要るだけで簡単に二要素認証をセットアップできる。コードが必要になった際には、テキストメッセージ通知として通知が出る。助手、同僚、あるいはコンサルタントも問題なくそのコードにアクセスできる。その上、その Google Voice アカウントへのログインアクセスを持たない者は誰も、その代替用電話番号を盗人の SIM カードに移すことができない。

二要素認証に Google Voice を使うことの不都合な点

私たちの知る限り、この Google Voice のやり方の最も重大な欠点は、半年程度に一度ずつテキストメッセージを送信するかまたは電話をかけるかしないと自動的にその電話番号が失効してしまうことだ。もちろん Google はこのことを警告してくれるが、クライアントたちのために働いている私たちとしてはやはり先を見越して行動を起こすのが最善の対策だ。その Google Voice アカウントの Gmail アドレスに届いたメールをすべて普段使っているアカウントに転送しておくのも良いだろう。そうしておけば Google から届いた警告を見落とす心配がなくなる。それからまた、カレンダーに年2回のリマインダーを設定しておくと良いだろう。

ウェブサイトによっては、Google Voice の電話番号を受け付けないところもあるかもしれないし、2FA の主たる手段としてテキストメッセージを認めないところもあるかもしれない。実際私はそのようなところを何度か見たことがある。例えば、Facebook に Google Voice 番号を受け入れさせるには、アカウントに最初に追加する電話番号をそれにしておかなければならない。CrashPlan は認証アプリに対応しているけれども、SMS には対応していない。こういったタイプのアカウントでは、認証アプリ (または認証アプリとしても挙動するパスワードマネージャ) を使うか、本物の携帯電話番号を入力するか、あるいは 2FA を使わずに済ませるか、よく考えて戦略的判断を下す必要がある。それからまた、有名なウェブサイトの中にはそもそも 2FA に対応していないものさえある。(Spotify よ、君のことを言っているんだよ。)

Filtering spam in the Google Voice app

Adam Engst が、もう一つ別の難点の可能性を指摘してくれた。それは、Google Voice の電話番号には迷惑通話がかかって来ることが多いという点だ。私たちはクライアントたちに、Google Voice アプリの中ですべての通話と留守番電話を無視するように勧める必要があるだろう。さらに良い方法として、このアプリの Settings 画面で、電話の着信をすべて無効にしておくことも、スパムとしてフィルター分けすることもできる。ただしこの方法を使うと、Google が識別を誤って重要なコードが届かないリスクも生じる。

最後にもう一言。Google Voice は Google にとってかなり末梢的な存在である製品なので、ある日突然 Google がこのサービスを廃止するということもあるかもしれない。とはいえ、そういう事態になれば Google はきっとユーザーが別のやり方を見つけられるように十分な警告を提供してくれることだろうが。

あなたはどう思いますか?

私はプロのセキュリティ専門家ではないけれども、私の有名人や資産家のクライアントたちにとって、あるいは普通よりもセキュリティ意識の高い人たちにとって、安全さと使いやすさのちょうど良いバランスをこのシステムが実現していると私には思える。皆さんは、何かはっきりした欠陥あるいはリスクにお気付きになっただろうか? もしそうなら、ぜひコメントで指摘して頂きたい。


Ivan Drucker はニューヨーク市にある IvanExpert Mac Support の創設者であり CEO だ。以前彼は Apple でソフトウェア品質管理技術者として働いており、初めて Apple II を使い始めたのは 1978 年、彼が 8 歳の時だった。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Security Update 2020-001 (Mojave and High Sierra)

セキュリティアップデート 2020-001 (Mojave と High Sierra)

Apple が macOS 10.14 Mojave 用と 10.13 High Sierra 用にセキュリティアップデート 2020-001 をリリースして、これらの古いオペレーティングシステムにあったさまざまのセキュリティ脆弱性をパッチした。今回のアップデートはいくつかのカーネル関係の問題により悪意のあるアプリケーションがシステム権限を取得して任意のコードを実行したり制限されたメモリを読み取ったりできてしまった状況に対処し、悪意を持って作成された JPEG ファイルから任意のコードを実行される可能性があった画像処理に関係するメモリ破壊の問題を解消し、CoreBluetooth フレームワークのメモリ漏洩をパッチし、アクセス制限を改善して悪意のあるアプリケーションにより任意のファイルに上書きされる可能性のあった問題に対処した。(無料、10.14 Mojave 用は 1.62 GB、10.13 High Sierra 用 は 1.92 GB、セキュリティコンテンツリリースノート)

セキュリティアップデート 2020-001 (Mojave と High Sierra) の使用体験を話し合おう

Safari 13.0.5

Safari 13.0.5

Apple が macOS 10.14 Mojave と 10.13 High Sierra 用に Safari 13.0.5 をリリースして、Apple が macOS 10.15.3 Catalina に含まれるバージョンのウェブブラウザでも対処した 2 件の脆弱性を解消した。2020 年 1 月 28 日の記事“Apple、iOS 13.3.1、iPadOS 13.3.1、macOS 10.15.3、watchOS 6.1.2、tvOS 13.3.1 をリリース”を参照のこと。今回のアップデートでは、アドレスバーの偽装を防ぐためにステート管理を改善しユーザーインターフェイス不一致の問題に対処するとともに、Safari Login AutoFill で UI の処理を改善することでローカルユーザがパスワードを暗号化されない状態のままネットワーク上に送出する事態を予防した。Safari 13.0.5 は Software Update からのみ入手できる。(無料、macOS 10.13.6 および 10.14.6)

Safari 13.0.5 の使用体験を話し合おう

DEVONthink 3.0.4

DEVONthink 3.0.4

DEVONtechnologies が DEVONthink 3.0.4, をリリースして、書類については Dark モードを無効にしつつ他のユーザーインターフェイスはダークにしておく環境設定項目を追加した。今回のアップデートではまた、クラウドフォルダの中にあるファイルやフォルダの読み込みと索引付けを改善し、検索結果をスコア順に並べて表示することをデフォルトとし、Finder から Markdown 書類へドロップした画像ファイルに有効な Markdown リンクを追加するようにし、リッチテキスト書類を印刷したり PDF に変換したりする際にリンクのフォーマッティングを保つようにし、ネットワークボリューム上の索引付けられたフォルダを処理する際の反応性を改善し、変更をアップロードした直後に同期保存分のガベージコレクションを実行して他のデバイスへの不必要かつ大サイズとなる可能性のあるダウンロードを避けるとともにディスク容量を解放するようにした。(DEVONthink 新規購入 $99、DEVONthink Pro 新規購入 $199、DEVONthink Server 新規購入 $499、TidBITS 会員にはそれぞれ 15 パーセント割引、無料アップデート、92.8 MB、macOS 10.11.5+)

DEVONthink 3.0.4 の使用体験を話し合おう

URL Manager Pro 5.0

URL Manager Pro 5.0

Alco Blom が古くからある彼の URL Manager Pro のバージョン 5.0 をリリースした。これが最初に TidBITS で紹介されたのは 1996 年のことだ。(1996 年 4 月 29 日の記事“本よりもたくさんのしおり(ブックマーク)、パート3”参照。) このアプリでシステムワイドのブックマークメニューの中にブックマークを集めて管理でき、Safari、Chrome、Chromium、Opera、Firefox、Vivaldi などほとんどのウェブブラウザに対応していてメニューバーからアクセスできるようになる。今回 64-bit アプリケーションとして一から書き直された URL Manager Pro は、macOS 10.14 Mojave と 10.15 Catalina に対応し、Auto Save、Versions、Share ボタンなどの macOS 機能も導入している。このアプリは無料でダウンロードできるが、すべての機能 (例えばツールバーのカスタマイズやブックマークの読み込みなど) のロックを外すには $35 を払うことが必要だ。過去のバージョンから URL Manager Pro 5.0 のフルバージョンへのアップグレード料金は $25 だ。(新規購入 $35、アップグレード $25、8.7 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

URL Manager Pro 5.0 の使用体験を話し合おう

Fantastical 3.0

Fantastical 3.0

Flexibits が Fantastical をバージョン 3 にアップデートした。Apple の Calendar アプリの代替となるこのカレンダーアプリの、メジャーリリースだ。Fantastical 3.0 ではユーザーインターフェイスが一新され、すべてのプラットフォーム (macOS、iOS、iPadOS、watchOS) で見栄えが統一され、新しい購読価格モデルが採用された。新機能としては他の人たちに複数個のミーティング時刻を提案する機能、個々の日ごとにアイコンをクリックすれば 10 日間の AccuWeather 予報を表示する機能、Todoist タスクへの対応、すべてのプラットフォームを横断して働くカレンダーセットがある。また、Fantastical ではユーザーが「興味ある」カレンダーを追加して、例えば世界中のスポーツチーム (アイスランド Reykjavik の Fjölnir FC など)、好きなテレビ番組、さまざまの国や宗教や教育システムごとの祝日などをまとめることもできる。

Fantastical 3 Features

Mac 用 Fantastical 2 は一回払いの $49.99 という価格で販売されていたが、Fantastical 3 の新しい購読料金は Fantastical Premium が月額 $4.99 (年額払いは 33% 引きの $39.99) だ。iPhone 用と iPad 用のアプリは今回 Fantastical Premium に含まれるが、これらは従来それぞれ $9.99 と $4.99 で販売されていた。

もしあなたが Fantastical 2 のライセンスを持っていれば、そのアプリを起動すれば自動的に、既存の Fantastical 2 機能のロックが外れて使えるようになった状態のバージョン 3.0 にアップグレードする道が提供される。しかしながら、この限定付きバージョンはタスクの追加、共同作業の機能、さらには Day、Week、Month、Year のカレンダー表示などへの対応が欠けており、つまりはサイドバー表示しか使えない。新しい Fantastical 3 機能や標準の各カレンダー表示を使うためには Fantastical Premium を購読する必要がある。

無料でフル機能の 14 日間試用版の Fantastical 3 が、Flexibits アカウントを作成してクレジットカードを提供すれば、入手可能となる。(Flexibits からも Mac App Store からも購読年額 $39.99、21.7 MB、リリースノート、macOS 10.13.2+)

Fantastical 3.0 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

アンチウイルスのメーカー Avast が数百万人のユーザーのデータを転売

MotherboardPCMag の共同調査により、アンチウイルスのメーカー Avast が同社のアンチウイルス製品のユーザーのウェブ閲覧データを収集して、それを子会社 Jumpshot を通じて販売していたことが判明した。Jumpshot は自らが「あらゆる検索、あらゆるクリック、あらゆる購入に、あらゆるサイトで」アクセスできると広言し、自らのクライアントには Google、Intuit、McKinsey、Microsoft、その他が含まれると述べていた。

Avast が自らのブラウザ拡張を使ってデータを収集していたことは昨年明かされ、それを受けて Google、Mozilla、Opera の各社がそれぞれの拡張ストアからその拡張を排除した。けれども Avast はそれ以後も、ユーザーが Avast Security アンチウイルスソフトウェアや、あるいは同社が所有する AVG AntiVirus をインストールしたコンピュータからデータを収集することができていた。

Jumpshot はデータが匿名化されていると主張したが、クライアントがそのデータを他の情報と結び付ければたやすくユーザーの特定が可能となっていた:

一見しただけでは、クリックしても害はないように見える。それを特定のユーザーに結び付けることはできない。つまりそれは、あなたが Amazon.com でなければの話だ。でも Amazon.com なら、2019 年 12 月 1 日の 12:03:05 に iPad Pro を購入したのがどの Amazon ユーザーであるかが簡単に特定できる。たちまち device ID: 123abcx は既知のユーザーとなる。すると、その 123abcx ユーザーがしていた他のどんなことでも Jumpshot の知るところとなる。他の e-コマースの購入も、Google 検索も、すべてはもはや匿名でなくなる。

この調査報告が公表されてから間もなく Avast は声明を発表して、データ収集の慣行を中止し Jumpshot の業務を終了したと述べた。それでも、私たちとしては Avast のすべての製品をアンインストールして今後はもう使わないことをお勧めしたい。この会社は、報道や規制当局からの極めて強力な圧力があって初めて正しいことをしたのだから。このような重大なやり方で乱用された信頼は、たった一つの前向きの行動のみで取り戻せるものではない。

私たち自身はアンチウイルスソフトウェアを使っていないし、使うことをお勧めもしない。とりわけ、常時バックグラウンドで走って連続的にスキャンをするこの種のソフトウェアは、パフォーマンスに悪影響を与えるからだ。けれども、経験不足でアドウェアやその他のマルウェアに騙されかねない人たちを援助する必要がある場合には、無料版の Malwarebytes を使って時々手動でスキャンするのがよいだろう。

Running a Malwarebytes scan

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Apple、米国で新しい Maps の展開を完了

2018 年の半ばに進行中の努力を公表した時点で、Apple は既に何年も費やして米国における自社の Maps データの根本的な作り替え作業を続けてきていた。(2018 年 6 月 29 日の記事“Apple、Maps (地図) アプリを根底から一新する予定”参照。) そして今、Apple はその作業が完了したので改良された米国の地図データをすべての Maps ユーザーが利用できるようになったと発表した。Apple の次なる目標はヨーロッパの地図データの改良だ。最近 Maps アプリを使っていなかったという方は、一度試してみるとよい。以前に比べて格段に詳しい情報が見られるようになっている。この Apple のアニメーションをご覧頂きたい。

An animation showing the new maps vs the old maps

Apple はまた、Look Around 機能への対応も拡張されたと述べた。この機能は、Apple による Google Street View に対する答だ。今回 Look Around 機能が New York City、San Francisco Bay Area、Los Angeles、Las Vegas、Houston、それにハワイの Oahu 島に対応しており、今後もさらなる都市がこれに加わる予定だ。

Look Around on an iPad

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Tony Blevins: Tim Cook の経費削減担当者

iPhone 売上の成長率が鈍るに従い、利ざやを保つために供給コストを下げることが Apple にとってますます重要になりつつある。そこで登場するのが Apple の調達管理担当副社長 Tony Blevins だ。Wall Street Journal の Tripp Mickle が、Blevins の人物像と、Apple が最良の取引をするための彼の強硬な戦略を概観する。(Wall Street Journal の有料コンテンツの壁を越えられなければ、AppleInsider が良い要約記事を出している。)

Apple はモデムチップを巡って騒動の絶えない関係を Qualcomm との間に作ってきたが、そのすべての只中に Blevins がいた:

Blevins 氏と頻繁に交渉してきた Qualcomm の重役たちは、彼がお願い事をする際には友達のように接し、低価格を強要しようとする際には抜け目なく動き、Qualcomm が彼の要求に逆らった際には激しい態度で接することを痛感した。

Blevins が Apple のために何億ドルもの節約を達成してきたのは、例えば Apple の新しい工場のために複数のガラス供給業者を同時に香港のホテルに招いて、彼らをそれぞれ別々の会議室に入れ、Blevins が部屋から部屋へと行きつ戻りつして、多くの場合ハッタリを交えた数字をちらつかせる、といった彼の戦術によるものであった。彼はまた  Apple の厳格な機密保持方針を執行する責任者でもあり、供給業者がそれに違反すれば 5 千万ドルあるいはそれ以上の違約金を取られることもある。

このような強引な戦術については Blevins あるいは Apple を批判したい気持ちにもなるだろうが、ビジネスの世界が往々にして残酷であることも事実で、成功を収めている大会社には必ず Blevins のような上級管理職がいるものであり、それは必要なことなのだ。

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2019 年の Apple: Six Colors による 2019 年成績表

Apple を最も鋭く観察し続けている人たちの目から見て 2019 年の Apple の成績はどうだったか? Six Colors の Jason Snell が、毎年恒例の Apple 成績表を公開した。この成績表は、何人もの TidBITS スタッフや寄稿者たちも含む 65 人の Apple 観察者たちによるランク付けやコメントに基づいて作られたものだ。最も良い成績が付いたのは Apple Watch と Wearables で (その点は Apple 自身による業績報告でも同じであった、2020 年 1 月 28 日の記事“Appleの Q1 2020 業績、iPhone は回復 Wearables は天井知らず”参照)、低い成績が付いたのは Apple TV、HomeKit、それと全体的なソフトウェア品質であった。それほど驚きの結果とは言えない。

Six Colors 2019 Apple scores

Snell はわざわざ手間を掛けて 2018 年の成績との比較もした。下の表から、明らかな傾向が見て取れるだろう。最も多くの非難を集めた二つのカテゴリーはソフトウェア品質 (iOS 13 と Catalina でのお粗末な仕事のせいだ) と環境的/社会的支援 (香港での抗議活動に対する Apple の活動のせいでもある) で、反対に大きく伸びたのが Services、これは 2019 年に Apple がサービス部門に大きく投資したことを反映している。

Changes from 2018's Apple report card

いつもと同じく、この Snell の報告記事は読む価値が十分にある。とりわけ、皆さんお気に入りの Apple 評論家たちが述べた明快な言葉にご注目頂きたい。

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